特許第6030988号(P6030988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030988
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
   A63F7/02 326G
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-77839(P2013-77839)
(22)【出願日】2013年4月3日
(65)【公開番号】特開2014-200412(P2014-200412A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優
【審査官】 青▲柳▼ 祥子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−119076(JP,A)
【文献】 特開2009−213536(JP,A)
【文献】 特開2011−010720(JP,A)
【文献】 特開2007−068865(JP,A)
【文献】 特開2009−172216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体のベース部材に可動演出ユニットと装飾部品とが近接して配設されている遊技機において、
前記ベース部材に上面を開放した収納凹所が設けられており、この収納凹所が前記可動演出ユニットの組み付け位置として定められた第1収納凹部と前記装飾部品の組み付け位置として定められた第2収納凹部と有していると共に、前記収納凹所の内底部にスライド部材がロック位置とアンロック位置との間を移動可能に保持されており、
前記可動演出ユニットは、ロック位置にある前記スライド部材に係止して前記第1収納凹部からの脱落が阻止されると共に、前記スライド部材がアンロック位置にあるときに前記第1収納凹部に対して着脱可能であり、
前記装飾部品は、前記スライド部材がロック位置にあるときに前記第2収納凹部に対して組み付け可能であると共に、前記第2収納凹部に組み付けられたときに前記スライド部材に当接してアンロック位置への移動を阻止することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記装飾部品に下方へ突出するストッパ片が設けられていると共に、前記スライド部材に前記ストッパ片に係合可能な受部と当該スライド部材の移動の際に操作者によって操作可能とする作動部とが近接して設けられており、前記スライド部材がアンロック位置にあるときに、前記受部は前記ストッパ片と平面的に重なる位置にあって前記装飾部品の前記第2収納凹部に対する組み付けを阻止し、前記作動部の操作に基づいて前記スライド部材がロック位置にあるときに、前記受部は前記ストッパ片の側面に対向して前記スライド部材のアンロック位置への移動を阻止することを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に係り、特に、押圧ボタン等を備えた可動演出ユニットの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機に代表される遊技機の中には、遊技盤の遊技領域に可変表示装置や始動入賞口やアタッカ装置等を設け、遊技領域に向けて発射された遊技球が始動入賞口に入賞したことを契機に電子抽選を行い、その抽選結果に基づいて可変表示装置が図柄の変動表示および変動停止を行うようにした機種が数多く存在する。電子抽選の抽選結果には当たりとハズレがあり、抽選結果が当たりの場合には、可変表示装置の表示画面に特定の図柄が表示され、通常モードから特別遊技モードへと移行する。この特別遊技モードでは、アタッカ装置の開閉扉が開放動作して大入賞口を露呈させるので、露呈した大入賞口に遊技球が入りやすくなって遊技者は多くの賞球を獲得できるようになる。
【0003】
従来より、この種のパチンコ機において、押圧ボタン等を備えた可動演出ユニットを機器本体の前面の所定位置、例えば遊技球を収納する受皿の周囲に配設し、電子抽選の抽選結果に基づいて可変表示装置で特定の表示演出を行う際に、遊技者に対して可動演出ユニットの操作を促すことにより、遊技者を演出に参加させて遊技の興趣性を高めるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示されたパチンコ機では、操作パネルに開設した取付孔に可動演出ユニットの底部を挿入して裏面側に突出させた後、この底部に嵌め込んだリング状の固定具を一方向へ回転操作してロック状態とすることにより、可動演出ユニットを操作パネルに固定することが可能となり、固定具を逆方向へ回転操作してロック解除することにより、可動演出ユニットを操作パネルから取り外せるようになっている。そして、可動演出ユニットを操作パネルにロック状態で組み付けた後、この操作パネルを機器本体の前面と球皿カバーの上端内縁とで挟持することにより、機器本体から球皿カバーを取り外さない限り可動演出ユニットの取り外しを行えないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−213536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら前述した従来技術では、可動演出ユニットを検査したり交換するメンテナンス作業時に、まず、球皿カバーを機器本体から取り外して操作パネルとの係合を解除した後、操作パネルを可動演出ユニットと一緒に機器本体から取り外し、次いで、固定具を回転操作して可動演出ユニットと操作パネルとのロック状態を解除することにより、可動演出ユニットを操作パネルから取り外すことができるようになるため、球皿カバーや操作パネルを含む多くの周辺部材を取り外す必要があり、可動演出ユニットのメンテナンス作業が煩雑で面倒であった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、可動演出ユニットをベース部材の所定位置に簡単かつ確実に固定することができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、機器本体のベース部材に可動演出ユニットと装飾部品とが近接して配設されている遊技機において、前記ベース部材に上面を開放した収納凹所が設けられており、この収納凹所が前記可動演出ユニットの組み付け位置として定められた第1収納凹部と前記装飾部品の組み付け位置として定められた第2収納凹部と有していると共に、前記収納凹所の内底部にスライド部材がロック位置とアンロック位置との間を移動可能に保持されており、前記可動演出ユニットは、ロック位置にある前記スライド部材に係止して前記第1収納凹部からの脱落が阻止されると共に、前記スライド部材がアンロック位置にあるときに前記第1収納凹部に対して着脱可能であり、前記装飾部品は、前記スライド部材がロック位置にあるときに前記第2収納凹部に対して組み付け可能であると共に、前記第2収納凹部に組み付けられたときに前記スライド部材に当接してアンロック位置への移動を阻止するようにした。
【0009】
このように構成された遊技機では、スライド部材をアンロック位置に移動した状態で収納凹所の第1収納凹部内に可動演出ユニットを組み込んだ後、収納凹所の第2収納凹部内に露出するスライド部材を操作してロック位置へ移動すると、可動演出ユニットがスライド部材に係止されてロック状態となり、この状態で装飾部品を第2収納凹部に組み付けると、スライド部材の一部が装飾部品に当接してロック位置に保持されるため、装飾部品を第2収納凹部に組み付けることによって可動演出ユニットの第1収納凹部からの脱落を確実に阻止することができる。
【0010】
上記の構成において、装飾部品に下方へ突出するストッパ片が設けられていると共に、スライド部材にストッパ片に係合可能な受部と当該スライド部材の移動の際に操作者によって操作可能とする作動部とが近接して設けられており、スライド部材がアンロック位置にあるときに、受部はストッパ片と平面的に重なる位置にあって装飾部品の第2収納凹部に対する組み付けを阻止し、作動部の操作に基づいてスライド部材がロック位置にあるときに、受部はストッパ片の側面に対向してスライド部材のアンロック位置への移動を阻止するようになっていると、可動演出ユニットと装飾部品の組立/分解作業を簡単に行うことができて好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の遊技機は、機器本体のベース部材に設けられた収納凹所に対する可動演出ユニットおよび装飾部品の組立/分解作業を簡単かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態例に係るパチンコ機の外観を示す斜視図である。
図2図1に示すパチンコ機の前面扉を開放した状態の斜視図である。
図3図1に示すパチンコ機の背面図である。
図4図1のパチンコ機に備えられる可動演出ユニットと十字キーユニットの非装着状態を示す斜視図である。
図5】可動演出ユニットの構成部材である下カバーの斜視図である。
図6】可動演出ユニットと十字キーユニットが組み付けられる収納凹所の説明図である。
図7】収納凹所の内底部に固定された支持部材の斜視図である。
図8】収納凹所の内底部に配置されたスライド部材の斜視図である。
図9】スライド部材の平面図である。
図10】可動演出ユニットとスライド部材のロック/アンロック状態を下面側から見た説明図である。
図11】可動演出ユニットを収納凹所に組み込んだ直後の状態を示す断面図である。
図12】可動演出ユニットと十字キーユニットを収納凹所に装着した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本発明の実施形態例に係るパチンコ機(遊技機)は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられた前面扉3等を備えており、前面扉3にはガラスやプラスチック等からなる透明板4が取り付けられている。
【0014】
図2に示すように、機枠1の左側枠部には上側軸受け体5と下側軸受け体(図示省略)が固着されており、この下側軸受け体よりも下方の左下隅部には大型のスピーカ6が配設されている。一方、本体枠2の左側枠部の上下両端には第1ピン(図示省略)が設けられており、これら両第1ピンを上側軸受け体5と下側軸受け体に軸支することによって、本体枠2を機枠1に対して開閉自在に支持する第1ヒンジ機構が構成されている。
【0015】
本体枠2の上部内側には遊技盤7が収納されており、この遊技盤7の盤面(前面)は透明板4を透して目視可能となっている。遊技盤7はガイドレール8等によって区画形成された遊技領域9を有しており、詳細な説明は省略するが、遊技領域9には可変表示装置や可動役物装置、始動入賞口、一般入賞口、アタッカー装置、遊技釘、風車、アウト口等が設けられている。遊技盤7よりも下方の本体枠2は前面扉3によって覆い隠される設置部2bとなっており、この設置部2b内の下部中央には遊技球を遊技領域9に向けて発射する発射装置10が配設されている。
【0016】
本体枠2の右側枠部は第1ヒンジ機構と反対側の自由端側であり、この右側枠部の裏面にはシリンダ錠11aを有する施錠装置11が設置されている。図示省略されているが、この施錠装置11は本体枠2の裏面に配置された後部施錠杆と本体枠2の前面に配置された前部施錠杆とを備えており、常態では、施錠装置11の後部施錠杆によって機枠1に対して本体枠2が施錠されると共に、前部施錠杆によって本体枠2に対して前面扉3が施錠されている。そして、シリンダ錠11aの鍵穴に図示せぬ鍵を差し込み、この鍵を一方向(例えば時計回り)へ回動すると、後部施錠杆が下動して本体枠2が開錠されるようになっている。また、シリンダ錠11aの鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(反時計回り)へ回動すると、前部施錠杆が上動して前面扉3が開錠されるようになっている。
【0017】
図1に戻り、前面扉3の左側枠部の上下両端には第2ピン(図示省略)が設けられており、これら両第2ピンを本体枠2の左側枠部に突設した上下の支持板2aに軸支することによって、前面扉3を本体枠2に対して開閉自在に支持する第2ヒンジ機構が構成されている。前面扉3には遊技盤7の盤面に対向する大きな開口3aが開設されており、この開口3aは透明板4によって塞がれている。前面扉3の前面上部には比較的小型のスピーカ12が左右に1個ずつ配設されており、これらスピーカ12と前述した大型のスピーカ6とによって遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。また、前面扉3の前面下部には、遊技盤7の裏面に配設された賞球払出装置(後述する)から払い出された遊技球を収容する上段受皿13と、上段受皿13から排出された遊技球を収容する下段受皿14とが設けられており、下段受皿14の右側方には発射装置10の発射強度を調整するための操作ハンドル15が配設されている。さらに、上段受皿13の中央部前方には後述する可動演出ユニット16と十字キーユニット17が近接した位置に配設されている。この可動演出ユニット16は遊技の進行状況に応じて遊技者が適時に使用する装置であり、十字キーユニット17は演出履歴等の各種情報を検索したり入力する装置である。
【0018】
図3に示すように、このパチンコ機の背面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御基板18と、主制御基板18からの指令を受けて可動演出ユニット16や可変表示装置やスピーカ等の各種装置を制御すると共に、十字キーユニット17等の操作部からの入力信号を受けて各種装置を制御する副制御基板19と、前述した賞球払出装置20と、主制御基板18からの指令を受けて賞球払出装置20を制御する払出制御基板21と、操作ハンドル15の回動量に応じて発射装置10の作動を制御する発射制御基板22と、大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板23等が設けられている。主制御基板17には、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装されており、このCPUがROMやRAMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。また、副制御基板19にも主制御基板17と同様のCPU、ROM、RAMが実装されており、後述の押圧ボタン26や十字キーユニット17からの信号入力に基づいて遊技領域9の可変表示装置に対する表示変更処理や所定の演出処理を開始するようにしたり、主制御基板17からの信号入力に基づいて回転リング27を回転制御するように回転処理を行わせて遊技に係る所定演出や押圧ボタン26の有効押圧状態の示唆を行わせるようにしたりする。
【0019】
図4に示すように、上段受皿13は遊技機の機器本体(筺体)を構成する一部となるものであり、この上段受皿13の外殻をなすベース部材24には、複数の遊技球を収容すると共に、収容された遊技球を機内に設けられる球発射装置へと1球づつ誘導する皿収容空間部24bと、皿収容空間部24bの手前側において遊技者と対峙する前面部24cが設けられている。ベース部材24の前面部24cの略中央領域には、上面を開放した収納凹所25が設けられており、この収納凹所25は隔壁24aによって区画された第1収納凹部25aと第2収納凹部25bとを有している。第1収納凹部25aは可動演出ユニット16の組み付け位置として定められた部位であり、この第1収納凹部25a内には、可動演出ユニット16と副制御基板19とを電気的に接続するためのコネクタ付きワイヤーハーネスが引き回されている。そして、このワイヤーハーネスにコネクタ接続される可動演出ユニット16を組み付けた場合、第1収納凹部25aの上面開放部が隙間なく密閉状態となるように閉鎖されることとなる。また、第2収納凹部25bは十字キーユニット17の組み付け位置として定められた部位であり、この第2収納凹部25b内には、十字キーユニット17と副制御基板19とを電気的に接続するためのコネクタ付きワイヤーハーネスが引き回されている。そして、このワイヤーハーネスにコネクタ接続される十字キーユニット17を組み付けた場合、第2収納凹部25bの上面開放部が隙間なく密閉状態となるように閉鎖されることとなる。これらの組み付けにより、前面部24cの中央領域は押圧ボタン26や十字キーの操作盤30を備える操作領域として形成される。
【0020】
可動演出ユニット16は、遊技者によって押圧操作される押圧ボタン26と、押圧ボタン26の周囲に回転可能かつ駆動制御可能に配置された回転リング27と、回転リング27を支持する外装ケース28と、外装ケース28の下面に固定された下カバー29と、回転リング27を駆動する図示せぬモータや押圧ボタン26の押圧面を発光させるための発光装置、押圧ボタン26の押圧状態を検知するスイッチ等を備えており、これら各部品はユニット化されて1つの部品として取り扱われるようになっている。図5に示すように、下カバー29の底面四隅には、それぞれが略並行かつ同一方向に向かって延びる平面部を有する板状の係合段部29aが形成されており、図11に示すように、この係合段部29aは同一方向が開放部となる断面コの字状としている。これら4つの係合段部29aにおける断面コの字状の内側領域29bに後述するスライド部材34のフック爪34dが出入りすることで係脱可能になっている。
【0021】
十字キーユニット17は可動演出ユニット16に近接配置された装飾部品である。この十字キーユニット17は、遊技者によって4方向へ揺動操作される上ボタン凸部、下ボタン凸部、左ボタン凸部、右ボタン凸部が設けられた略円形の操作盤30と、操作盤30を揺動可能に支持する取付板31および下ケース32と、操作盤30の真下に組み込まれて前述の4方向への揺動操作に応じた動作を検知可能とするスイッチ等を備えており、これら各部品はユニット化されて1つの部品として取り扱われるようになっている。取付板31の外周部には弾性変形可能な第1係合部31aが設けられており、ベース部材24の第2収納凹部25bの上部周囲部に設けられた第2係合部24dと前述の第1係合部31aとが弾性変形に基づいて互いに嵌り合うスナップ結合となることにより、取付板31は第2収納凹部25bの上面開放部が隙間なく密閉状態となるようにして固定される。なお、前述の固定方法については、スナップ結合でなくともネジ止め等を含む周知の固定手段を用いるようにしても良い。図12に示すように、下ケース32の底面には下方へ突出するストッパ片32aが設けられており、このストッパ片32aが後述するスライド部材34の移動状態の変化に応じて受部34fと係脱可能になっている。
【0022】
図6に示すように、第1収納凹部25aの内底部には、スライド部材34を移動可能に支持する支持部材33がネジ止め固定されている。この支持部材33によって第1収納凹部25aと第2収納凹部25bが併設されている同図の左右方向(X1−X2方向)へスライド部材34が移動自在となるようにしている。図7に示すように、支持部材33の中央部には枠状の開口33aが設けられており、この開口33aを介して平行に対面する両内壁(図6の左右方向と直交する一対の上下面)に一対のガイド面33bが形成されている。図8図9に示すように、スライド部材34は、支持部材33の開口33a内に挿入される挿入部分を備える枠状部34aと、枠状部34aの一端側から突出する突出部34bとを有する一体成形品であり、枠状部34aの開口領域内における中央部に補強用の橋絡片34cが設けられると共に、枠状部34aの開口領域内における内壁面四隅に前述したフック爪34dが形成されている。フック爪34dは、枠状部34aの開口内に向かって突出する平面部を有する板片であって、フック爪34d1とフック爪34d2は一対の対向する形状となり、フック爪34d3とフック爪34d4は一対の対向する形状となる。突出部34bは図6のX1−X2方向における枠状部34aの一方(右側面)から突出するブロック状部材であり、その先端側は有底の角筒状に形成されて溝空間34e−1を有する作動部34eとなっている。突出部34bの上面には作動部34eの溝空間34e−1を囲む上部周囲面34f−1が形成され、上部周囲面34f−1における枠状部34a寄りは平面となって断面逆L字状の受部34fが近接して設けられており、この受部34fにおける枠状部34aの開口領域内へ向かう側面34f−2は平面視円弧状に切欠かれている。これにより、平面視円弧状の側面34f−2の形状によって、角筒状の溝空間34e−1に対し操作者の1つの指(例えば、人差指)を挿入した後に、他の指(例えば、親指)により摘み易くする作動部34eとしての効果を図ることができる。
【0023】
スライド部材34の枠状部34aの第1外側面34a−1と第2外側面34a−2は、支持部材33の開口33a内に挿入された際に一対のガイド面33bと近接するように配設され、枠状部34aの第1外側面34a−1と第2外側面34a−2が図6のX1−X2方向に移動する場合には当該一対のガイド面33bに沿って摺動することとなり、枠状部34aは安定して第1収納凹部25aの内部を移動自在となるよう支持される。第1収納凹部25aの内底部に固定された支持部材33の開口33a内に挿入され移動自在とされたスライド部材34の突出部34bは、ベース部材24の隔壁24aを貫通して第2収納凹部25bの内部に達しており、第2収納凹部25b内に露出する作動部34cの溝空間34e−1に操作者の指や治具等を引っ掛けて図6のX1−X2方向に操作することにより、スライド部材34は図6(a)に示す隔壁24a寄りのアンロック位置と図6(b)に示す隔壁24a寄りから離れるロック位置との間を移動可能となっている。
【0024】
次に、可動演出ユニット16と十字キーユニット17をベース部材24の収納凹所25に組み付ける手順について説明する。
【0025】
まず、図6(a)に示すように、スライド部材34を開口33aの左側内壁寄りとなる図中X1方向末端のアンロック位置に移動し、この状態で可動演出ユニット16を第1収納凹部25aの上部開口から内部に挿入する。図10(a)はこの状態を可動演出ユニット16の下方から見た説明図であり、可動演出ユニット16の下カバー29に形成された4つの係合段部29aはスライド部材34の枠状部34aに形成された各フック爪34dと平面的に重ならない位置にあるため、可動演出ユニット16は第1収納凹部25aに挿入規制されない着脱可能なアンロック状態となっている。
【0026】
このように可動演出ユニット16を上方から第1収納凹部25aに組み込むと、可動演出ユニット16は第1収納凹部25aの内底部に固定された支持部材33に載置されて水平方向に移動不可能な位置決め状態となる。これにより、図11に示すように、第1収納凹部25aの上部開口は可動演出ユニット16(外装ケース28)によって塞がれるが、第2収納凹部25bの内底部にスライド部材34の突出部34b(受部34fおよび作動部34c)が露出する。そして、図6(b)に示すように、この作動部34cに操作者の指や治具等を引っ掛けてスライド部材34を開口33aの右側内壁寄りとなるX2方向(図の右方)へ引き込むと、スライド部材34の第1外側面34a−1と第2外側面34a−2が支持部材33の一対のガイド面33bに沿って案内されながら摺動してアンロック位置からロック位置へと移動する。図10(b)はこの状態を可動演出ユニット16の下方から見た説明図であり、スライド部材34の各フック爪34dのX2方向への移動先において各係合段部29aが対応して位置決め配設されており、このX2方向への移動に伴って各フック爪34dの平面部と対応する各係合段部29aの平面部が上下に重なり合うように断面コの字状の内側領域29bへ挿入されて引っ掛かる状態となることで上下方向への移動が不可能となるため、可動演出ユニット16は第1収納凹部25aからの脱落が阻止されたロック状態となる。ただし、この時点で突出部34bの作動部34cは依然として第1収納凹部25a側から第2収納凹部25bに向かって突出して露出状態となっているため、スライド部材34をロック位置からX1方向へ押し込むよう作動部34cに基づくスライド操作をすれば、各フック爪34dと各係合段部29aの引っ掛かり状態が解除されるため、可動演出ユニット16を再びアンロック状態にして第1収納凹部25aから持ち上げて取り外すことができる。
【0027】
このようにスライド部材34スライド移動させることによって可動演出ユニット16をロック状態とした後、十字キーユニット17を上方から第2収納凹部25bに組み込むと、図12に示すように、第2収納凹部25bの上部開口が十字キーユニット17の取付板31によって塞がれると共に、下ケース32から突出するストッパ片32aの側面がスライド部材34の受部34fの側面34f−2に対向しつつ近接して挿入されるようになる。そして、十字キーユニット17を前述のスナップ結合に基づいてベース部材24に固定すると、この時点でスライド部材34のX1方向(図の左方)への移動がストッパ片32aの側面と受部34fの側面34f−2との当接によって阻止されるため、十字キーユニット17を第2収納凹部25bから取り外さない限りスライド部材34のロック状態は維持され、可動演出ユニット16を第1収納凹部25aから取り外すことは不可能となる。
【0028】
なお、十字キーユニット17を第2収納凹部25bに組み込む際に、スライド部材34が正しくロック位置にスライド操作されていない場合、すなわち、スライド部材34をアンロック位置からロック位置に移動操作する作業を忘れてしまった場合、十字キーユニット17を第2収納凹部25bに挿入する過程でストッパ片32aの下端が受部34fの上面(上部周囲面34f−1)にぶつかってしまう(平面的に重なる)ため、十字キーユニット17をスナップ結合可能とさせるための正規位置まで挿入することができなくなる。したがって、十字キーユニット17を第2収納凹部25bに対して正しく組み込むことができなかった場合は、可動演出ユニット16がロック状態になっていないものと判断することができ、ロック状態にする操作を忘れたまま誤組付けしてしまうという不良を未然に防止することができる。
【0029】
また、可動演出ユニット16を検査したり交換するメンテナンス作業を行う場合は、上記した組み付け手順と逆の作業を行うようにすれば良い。すなわち、まず、十字キーユニット17のスナップ結合を解除した後に、十字キーユニット17を第2収納凹部25bから持ち上げて取り外すことでスライド部材34の突出部34b(受部34fおよび作動部34c)を露出させ、この突出部34bの作動部34cを操作者の手指で把持等をさせて押し込み操作してスライド部材34をX1方向末端のアンロック位置まで移動する。これにより、スライド部材34のフック爪34dと下カバー29の係合段部29aとの引っ掛かり状態の係合が解除されるため、可動演出ユニット16はアンロック状態になって支持部材33に載置されている第1収納凹部25aから持ち上げて取り外すことができる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態例に係るパチンコ機(遊技機)は、遊技機の機器本体の一部を構成する上段受皿13のベース部材24に設けられた収納凹所25に近接配置される可動演出ユニット16と十字キーユニット(装飾部品)17とを備え、この収納凹所25が可動演出ユニット16の組み付け位置として定められた第1収納凹部25aと十字キーユニット17の組み付け位置として定められた第2収納凹部25bを有していると共に、収納凹所25の内底部にスライド部材34がロック位置とアンロック位置との間を移動可能に保持されており、十字キーユニット17の未装着状態で第2収納凹部25b内に露出するスライド部材34(突出部34b)をロック位置へ移動することによって、可動演出ユニット16の第1収納凹部25aからの脱落を阻止すると共に、十字キーユニット17を第2収納凹部25bに組み付けることによって、スライド部材34(突出部34b)をロック位置に維持して外部から操作できないようにしたので、可動演出ユニット16をベース部材24の所定位置に簡単かつ確実に固定することができる。
【0031】
なお、本実施形態例では、遊技者に対向する部位であって、遊技中等に想定外の衝撃が付与され易い上段受皿13の前面部24cにおいて、可動演出ユニット16と装飾部品(十字キーユニット)17を組付けるようにしている。そのため、可動演出ユニット16と装飾部品17の何れか一方が故障する可能性が高くなる。その際に、可動演出ユニット16と装飾部品17とが一体となっている場合と比較して、何れか一方を容易かつ円滑的にメンテナンスすることができるようになる。また、上面を開放した収納凹所25は隔壁24aによって区画された第1収納凹部25aと第2収納凹部25bとしているため、機内の制御装置に対しアクセスして不正行為をすることを想定した場合において、装飾部品17を取り外した後にスライド部材34を移動させ、さらに可動演出ユニット16を取り外すことで収納凹所25内の配線等にアクセス可能となるという煩雑な手間を要するので、かかる不正行為を抑止することができる。なお、遊技機の機器本体を構成する下段受皿14や前面扉3など他部位のベース部材24に、可動演出ユニット16と装飾部品(十字キーユニット)17を組付けるようにしても良い。また、スライド部材34のフック爪34dと下カバー29の係合段部29aとの係合部位および該係合部位の個数は、要求される固定環境に応じて適宜に設計変更することも可能である。
【0032】
また、本実施形態例では、十字キーユニット17の構成部材である下ケース32に下方へ突出するストッパ片32aを設けると共に、スライド部材34に設けられた突出部34bに、スライド部材34を移動させる際に操作者によって操作させるための作動部34cとストッパ片32aに当接して移動規制させるための受部34fとが近接するように形成されている。これにより、十字キーユニット17の未装着状態で第2収納凹部25bに露出させるスライド部材34の突出部34b(受部34fおよび作動部34e)がアンロック位置にあるときは、受部34fの上部周囲面34f−1をストッパ片32aの下端と平面的に重ならせて、十字キーユニット17を第2収納凹部25bに挿入させようとしても当該上部周囲面34f−1とストッパ片32aの下端が当接することによって組み付けが阻止される。そして、スライド部材34の突出部34b(受部34fおよび作動部34e)がロック位置に移動されることに応じて受部34fが移動したときだけ、十字キーユニット17(ストッパ片32a)を第2収納凹部25bへ挿入可能とし、十字キーユニット17が組付けられた際に受部34fの側面34f−2をストッパ片32aの側面に対向させてスライド部材34のアンロック位置への移動を阻止するようにしている。これにより、可動演出ユニット16と十字キーユニット17を収納凹所25の所定位置に簡単かつ確実に組付けることができると共に、可動演出ユニット16を第1収納凹部25aからの脱落を阻止させる保持とするためのロック状態にするスライド部材34の操作を忘れたまま十字キーユニット17の誤組付けをしてしまうという不良を未然に防止することができる。なお、本実施形態例では、近接して設けられる受部34fおよび作動部34eは、スライド部材を構成する一部分として一体的に形成される突出部34bに設けられるとしているが、それぞれを別部品として組み立て構成されるようにしても良い。
【0033】
また、上記実施形態例では、可動演出ユニット16が押圧ボタン26および回転リング27を備える構成としたが、何れか一方のみの構成としても良い。また、ボタン構成も押しボタンでなくとも、引き出し式やレバー式であっても良い。また、可動演出ユニット16の可動構成の態様は、回転駆動だけでなく揺動や突出駆動などであっても良い。また、可動演出ユニット16が、画像表示制御(例えば、液晶表示、7セグ)に基づく二次元可動表示演出をさせるための構成であっても良い。
【0034】
なお、上記実施形態例では、可動演出ユニット16に近接配置される装飾部品として十字キーユニット17を例示して説明したが、十字キーユニット17以外の他の装飾部品として、可動演出ユニット16の回転リング27の回転駆動制御、押圧ボタン26の押圧面を発光させる発光制御、押圧ボタン26が押圧されたときの検知制御との連動に基づく報知や演出、または遊技に関する表示装置に対して可変表示処理などを行わせる所定の入出力装置を備える部品としても良い。例えば、球貸ボタンと返却ボタン等を搭載した球貸操作板や、LEDや導光板等を内蔵した電飾板や、遊技に係る画像表示制御(例えば、液晶表示、7セグ)が可能な表示装置や、装飾フィギュアに代表される意匠体等を可動演出ユニット16に近接配置するようにしても良い。
【0035】
また、上記実施形態例では、本発明による可動演出ユニット16と装飾部品(十字キーユニット)17の固定構造をパチンコ機に適用した場合について説明したが、スロットマシン等の他の遊技機に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
2 本体枠
3 前面扉
13 上段受皿
16 可動演出ユニット
17 十字キーユニット(装飾部品)
24 ベース部材
24a 隔壁
25 収納凹所
25a 第1収納凹部
25b 第2収納凹部
29 下カバー
29a 係合段部
32 下ケース
32a ストッパ片
33 支持部材
33a 開口
33b ガイド面
34 スライド部材
34a 枠状部
34b 突出部
34c 橋絡片
34d フック爪
34e 作動部
34f 受部
図1
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