【文献】
LG Electronics,CA-based aspects for FDD-TDD joint operation[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯74 R1-133372,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_74/Docs/R1-133372.zip>,2013年 8月23日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィードバック制御部は、FDDセルのDL信号に対する送達確認信号とTDDセルのDL信号に対する送達確認信号の送信を、各セルの上り制御チャネルを利用してそれぞれ独立に制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のユーザ端末。
前記受信部は、FDDセルとTDDセルの両方でULサブフレームが設定される場合に、各セルの上り制御チャネルに関する情報が含まれる下り制御情報を受信することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のユーザ端末。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述したように、LTE、LTE−Aシステムでは、Duplex modeとしてFDDとTDDの2つが規定されている(上記
図1A参照)。また、Rel.10からは、基地局内CA(Intra−eNB CA)がサポートされている。しかし、Rel.10/11におけるCAは、同一Duplex−mode(FDD+FDD Intra−eNB CA、又はTDD+TDD Intra−eNB CA)に限られていた(上記
図1B参照)。
【0014】
一方で、Rel.12以降のシステムでは、複数CC間で異なるDuplex−mode(TDD+FDD)を適用した基地局内CA(Intra−eNB CA)が想定されている(上記
図1C参照)。また、Rel.12以降のシステムでは、基地局間CA(Inter−eNB CA)の適用も想定されている(
図2A参照)。なお、基地局間CAは、Duplex−modeに限らずサポートされることが望ましく、異なるDuplex−mode(TDD+FDD)も含めた基地局間CAが導入されることが考えられる。
【0015】
基地局内CA(Intra−eNB CA)は、複数セル間で1つのスケジューラを用いてスケジューリングを制御する(
図2B参照)。つまり、ユーザ端末は、送達確認信号(ACK/NACK(以下、「A/N」とも記す))等の上り制御信号(UCI)を特定セル(PCell)にのみフィードバックすればよい。
【0016】
一方で、基地局間CA(Inter−eNB CA)は、複数セル毎にスケジューラが独立して設けられ、各セルでそれぞれスケジューリングを制御する。また、Inter−eNB CAでは、各基地局間は遅延が無視できない接続(Non−ideal backhaul接続)とすることが想定されている。そのため、ユーザ端末は、上り制御信号(UCI)を各セルにフィードバックする必要がある(
図2C参照)。
【0017】
複数CC(セル)間で異なるDuplex−modeを適用してCAを行う場合(TDD−FDD CA)、ユーザ端末がどのようにA/Nフィードバックを行うかが問題となる。例えば、Inter−eNB CAでは、複数CC独立にHARQを行うことが考えられる。この場合、FDDを適用するセル(FDDセル)とTDDを適用するセル(TDDセル)から同一サブフレームでそれぞれA/Nを同時送信することも考えられる。
【0018】
一方で、Intra−eNB CAでは、(1)Inter−eNB CAと同様に複数CC独立にHARQを行う場合と、(2)いずれかのCCに複数CC分のA/Nを多重して送信する場合が考えられる。後者(2)の場合には、いずれかのCCにA/Nが集約されるため、A/Nの同時送信は生じない。また、Intra−eNB CAにおいて、ユーザ端末がいずれのフィードバック方法を適用するかは、ユーザ端末の能力(UE capability)や各CCで適用される周波数帯の組み合わせ(Band combination)等に依存し、基地局側でユーザ端末に設定することが考えられる。
【0019】
上述したTDD−FDD CAにおいて、従来のフィードバックメカニズムをそのまま適用することが考えられる。例えば、複数CC間で異なるDuplex−modeを適用してIntra−eNB CAを行う場合(上記(2))、PCellのPUCCHに複数CC分のA/Nを多重してフィードバックする。この場合について、以下に簡単に説明する。
【0020】
図3Aは、FDDを適用するセル(以下、「FDDセル」とも記す)においてユーザ端末がPDSCH信号に対するACK/NACKをフィードバックするタイミングを示している。この場合、ユーザ端末は、PDSCH信号が割当てられたDLサブフレームから所定(例えば、4ms)後のULサブフレームでA/Nをフィードバックする。
【0021】
図3Bは、TDDを適用するセル(以下、「TDDセル」とも記す)においてユーザ端末がPDSCH信号に対するACK/NACKをフィードバックするタイミングを示している。この場合、ユーザ端末は、PDSCH信号が割当てられたDLサブフレームにあらかじめ割当てられたULサブフレームでA/Nをフィードバックする。
【0022】
Rel.11までのシステムにおけるTDDは、ULとDLの構成比率が複数パターン定められており(DL/UL Configuration0-6)、各DL/UL構成においてULサブフレームに割当てられるDLサブフレームが決められている。例えば、
図3Bは、DL/UL構成2(DL/UL Config.2)の場合を示しており、各DLサブフレームは所定のULサブフレームに割当てられている(対応付けられている)。
図3Bにおいて、各DLサブフレーム(特別サブフレームを含む)に付された番号は、対応するULサブフレームからのサブフレーム数を示している。
【0023】
既存システムでは、CAを適用する場合もA/Nフィードバックタイミング(DL HARQタイミング)は同じとなる。但し、ULでCAを適用する場合であっても、PUCCHを用いたA/N送信は特定セル(PCell)でのみ行うことが規定されている。
【0024】
本発明者等は、複数CC間で異なるDuplex−modeを適用するCA(TDD−FDD CA)において、A/Nフィードバック等をPCellのPUCCHのみ用いて行うと、フィードバックに利用するULサブフレームが制限される場合があることを見出した。例えば、TDDセルがPCell、FDDセルがSCellとなる場合、送達確認信号等のUL伝送を適切に行えなくなるおそれがある。
【0025】
図4Aは、TDDセルがPCell、FDDセルがSCellとなる場合に、SCell(FDDセル)のDL HARQタイミングを上記FDDセルのタイミング(
図3A)に合わせたフィードバック方法を示している。この場合、SCell(FDDセル)の多くのDLサブフレームに対して、A/Nフィードバック用のULサブフレームを割当てることができなくなる。つまり、各DLサブフレームで送信されるPDSCH信号のA/Nをフィードバックすることができない。さらに、SCell(FDDセル)のULサブフレームのリソースが空いているにも関わらずPUCCHに利用することが出来ない。
【0026】
図4Bは、TDDセルがPCell、FDDセルがSCellとなる場合に、SCell(FDDセル)のDL HARQタイミングを上記TDDセルのタイミング(
図3B)に合わせたフィードバック方法を示している。この場合、
図4Aと比較してPCell(TDDセル)のULサブフレームでA/Nフィードバック用のULサブフレームを割当てることができるSCell(FDDセル)のDLサブフレーム数は増加する。しかし、FDDセルのフィードバックタイミング(例えば、4ms)が変更されるため、従来と比較して複雑な制御が必要となるおそれがある。また、SCell(FDDセル)のULサブフレームのリソースが空いている場合であってもPUCCHに利用することが出来ない。
【0027】
そこで、本発明者等は、TDD−FDD CAを適用する際(特に、TDDセルがPCell、FDDセルがSCellとなる場合)に、SCellのULおいてPUCCHを用いたUL送信(PUCCH送信)をサポートすることにより、PCell及びSCellの各DLサブフレームに対してULサブフレームを適切に割当てることができることを見出した。
【0028】
具体的には、Intra−eNB CAにおいて、FDDセルとTDDセルのいずれがPCellであるかに関わらず、FDDセルの一方のみにULサブフレームが設定される場合には、当該FDDセルのULサブフレームを利用して送達確認信号等のフィードバック(PUCCH送信)を行う。また、FDDセルとTDDセルの両方でULサブフレームが設定される場合(TDDセルのULサブフレーム設定時)に、TDDセルとFDDセルのいずれか一方又は両方のULサブフレームを利用して送達確認信号のフィードバックを行うことを着想した(
図5参照)。
【0029】
つまり、Intra−eNB CAにおいて、FDDセルとTDDセルの両方でULが設定されるサブフレーム以外のサブフレームでは、FDDセルのULサブフレームを用いてA/Nに関するPUCCH送信を行う。より具体的には、FDDセルのDLサブフレームの中で、TDDセルのULサブフレームから4サブフレーム前のDLサブフレーム以外のDLサブフレームに対するA/NをFDDセルのULサブフレームを利用してフィードバックする。これにより、FDDセルとTDDセルのいずれがPCellであるかに関わらず、FDDのULサブフレームのリソースを有効に活用する。また、FDDセルとTDDセルの両方でULが設定されるサブフレームで、A/Nのフィードバック方法(フィードバック先等)を制御する。
【0030】
FDDセルとTDDセルの両方でULが設定されるサブフレームにおいて、PUCCH送信を行うセル(FDDセル及び/又はTDDセル)の選択は、基地局が設定してユーザ端末に通知する構成とすることができる。
【0031】
例えば、Intra−eNB CAにおいて、FDDセルとTDDセルの両方でULが設定されるサブフレーム(TDDのULサブフレーム)で、各セルのPUCCHを用いてそれぞれのA/Nをフィードバックする。この場合、Inter−eNB CAと同じフィードバックタイミングとすることができるため、ユーザ端末は、1つの機能でIntra−eNB CAとInter−eNB CAの両方をサポートすることができる(
図6A、6B参照)。これにより、無線(RF)回路やベースバンド回路を複雑化することなく、安価に端末を供給できるようになる。
【0032】
あるいは、Intra−eNB CAにおいて、FDDセルとTDDセルの両方でULが設定されるサブフレームで、1CCのPUCCHに各CCのA/Nを集約して多重し、フィードバックする。1CCを用いて各CCのA/Nをフィードバックすることによりマルチキャリア送信とするのを回避できるので、帯域外輻射やピーク送信電力の増加を抑制し、より大きな電力で送信することができる。また、カバレッジを確保することも可能となる。
【0033】
但し、1CCのPUCCHに各CCのA/Nを集約して多重する場合、TDDセルとFDDセルのいずれを選択するかが問題となる。以下に、1CCのPUCCHに各CCのA/Nを集約して多重する場合のセル(CC)の選択方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、TDDセルにおいてDL/UL構成2を用いる場合を例に挙げて説明するが、本実施の形態で適用可能なDL/UL構成はこれに限られない。
【0034】
(第1の態様)
第1の態様では、FDDセルとTDDセルの両方でULが設定されるサブフレーム(TDDのULサブフレーム設定時)において、1CCのPUCCHに複数CCのA/Nを多重してフィードバックする方法について説明する。
【0035】
(態様1)
態様1では、1CCでA/Nを送信する場合、PUCCH送信をFDDセルに限定して行う(
図7参照)。つまり、FDDセルがSCellであっても、PCellの場合と同様にFDDセルのPUCCHを用いてACK/NACKのフィードバックを行う。なお、
図7では、FDDセルにおいて、FDDセルとTDDセルの両方でULが設定されるサブフレームに対するDLサブフレームの割当てしか示していないが、他のDLサブフレームも上記
図5で示したようにULサブフレームに割当てられている。これは、以下の
図8、9、11、12でも同様である。
【0036】
この場合、FDDセルとTDDセルの両方でULが設定されるサブフレームにおいても、FDDセルのPUCCHに、FDDセルとTDDセルのA/Nを多重する。その他のサブフレームでは、FDDセルのPUCCHにFDDセルのA/Nを多重して送信する。
【0037】
図7に示すようにフィードバック方法を制御することにより、ULサブフレームが限定されるTDDと異なり、毎サブフレームULが設定されるFDDセルにPUCCHを集約できるため、ULリソースの空きを無くし、有効に利用することができる。また、TDDセルよりFDDセルを低い周波数で用いる場合、FDDセルのULにPUCCHを集約して多重することにより、ULのカバレッジを効果的に確保することができる。
【0038】
(態様2)
態様2では、1CCでA/Nを送信する場合、PUCCHをFDDセルとTDDセルとを用いて送信する(
図8参照)。具体的には、FDDセルとTDDセルの両方でULが設定されるサブフレームでは、TDDセルのULでPUCCH送信を行う。また、その他のサブフレームではFDDセルのULでPUCCH送信を行う。この場合、TDDセルとFDDセルのPUCCH送信は異なるサブフレームでそれぞれ行い、FDDセルとTDDセルで同時にPUCCH送信は行わない。
【0039】
図8に示すように、FDDセルとTDDセルのULのPUCCHを利用して送達確認信号の送信を行うことにより、各セルに対するPUCCH送信を分散することができる。
【0040】
なお、上記態様1は、特にFDDセルがPCell(TDDセルがSCell)の時に適用することが好ましい。一方、態様2は、特にTDDセルがPCell(FDDセルがSCell)の時に適用することが好ましい。つまり、TDDセルがPCellの場合のみ、SCellでのPUCCH送信を適用する。
【0041】
これにより、FDDセルがPCellの場合に不要なSCellでのPUCCH送信を抑制すると共に、TDDセルがPCellの場合にはFDDセルへPUCCH送信を分散(PUCCHオフローディング)することができる。また、TDDセルとFDDセルのいずれがPCellであっても、PCellのDL割当てに対するPUCCH送信はすべてPCellで行うため、Fallbackが容易となる。
【0042】
また、TDD−FDD CAにおいて、FDDセルとTDDセルのエリアサイズや収容ユーザ数、トラフィックが同等でない場合、例えば1つのマクロセルに対し多数のスモールセルが重畳しており、マクロセルがカバレッジをサポートする一方で、マクロセル中に多数設置されたスモールセルがそれぞれ比較的小さなエリア・少ないユーザに大容量通信を提供するような場合、が想定される。このような環境において、上記態様1は、特にTDDセルがPCell(FDDセルがSCell)の時に適用することが好ましい。一方、態様2は、FDDセルおよびTDDセルいずれがPCellの時にも適用することができる。つまり、できる限りSCellでのPUCCH送信を行う場合に態様2を適用することが好ましい。
【0043】
上記のような環境では、マクロセルをPCell、スモールセルをSCellとして、SCellで追加的に大容量通信を提供するのが一般的に想定される。この場合マクロセル(PCell)は多数のユーザと通信する都合上、ULリソースは混雑しやすくなる。したがって、できる限りユーザが少ないスモールセル(SCell)でPUCCH送信を行うようにすることで、PUCCHを多数のスモールセルに分散し、マクロセルのULリソースが混雑するのを避けることができる。
【0044】
(態様3)
態様3では、1CCでA/Nを送信する場合、FDDセルとTDDセルの両方でULが設定されるサブフレームにおいて、所定条件に基づいてFDDセル又はTDDセルの一方のULを選択して、PUCCH送信を行う。所定条件としては、FDDセルとTDDセルの両方でULサブフレームとなるタイミングにおいて、各セルのA/Nの送信有無とすることができる。
【0045】
例えば、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるサブフレームにおいて、FDDセルのDL信号(PDSCH信号)に対するA/Nの送信がある場合にはFDDセルのULにPUCCHを割当てて送信し、A/Nの送信がない場合にはTDDセルのULにPUCCHを割当てて送信する(
図9参照)。これにより、スケジューラがPUCCH送信を行うセルを制御でき、ダイナミック(動的)なPUCCHオフローディングが可能となる。また、DLのスケジューリングが多いセルにPUCCH送信を集約できるため、DL/ULトラフィックを均質化することができる。
【0046】
例えばマクロセルとスモールセルでTDD−FDDによるIntra−eNB CAするケースでは、DLトラフィックはチャネル品質が良く、比較的他ユーザのトラフィックが小さい可能性が高いスモールセルに偏る可能性が高い。このような場合にスモールセルに偏ったDLトラフィックにあわせてPUCCHをスモールセルに偏らせることができる。したがって、マクロセルと多数のスモールセルが重畳する環境で、DL/UL双方で高いオフロード効果を得ることができる。さらに、FDDセルとTDDセル両方のDL割当てに対するA/N送信がある場合にはFDDセルのULにPUCCHを割り当ててA/Nを送信するため、TDDのULでトラフィックが多い場合に、空いているFDDのULを利用することができる。
【0047】
あるいは、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるサブフレームにおいて、TDDセルのDL信号に対するA/Nの送信がある場合にはTDDセルのULにPUCCHを割当てて送信し、A/Nの送信がない場合にはFDDセルのULにPUCCHを割当てて送信してもよい。この場合、FDDセルとTDDセル両方のDL割り当てに対するA/N送信がある場合には、TDDセルのULにPUCCHを割り当てて送信する。これにより、スケジューラがPUCCH送信を行うセルを制御でき、ダイナミック(動的)なPUCCHオフローディングが可能となる。
【0048】
例えばマクロセルとスモールセルでTDD−FDDによるIntra−eNB CAするケースでは、DLトラフィックはチャネル品質が良く、比較的他ユーザのトラフィックが小さい可能性が高いスモールセルに偏る可能性が高い。このような場合にスモールセルに偏ったDLトラフィックにあわせてPUCCHをスモールセルに偏らせることができる。したがって、マクロセルと多数のスモールセルが重畳する環境で、DL/UL双方で高いオフロード効果を得ることができる。さらに、FDDセルとTDDセル両方のDL割り当てに対するA/N送信がある場合にはTDDセルのULにPUCCHを割り当ててA/Nを送信するため、TDDセルがスモールセルとなる環境で、ユーザ数が少なくトラフィックが比較的小さいスモールセルにPUCCHをオフロードすることができる。
【0049】
<基地局−UE間通知方法>
なお、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるタイミングにおいて、いずれのセルのULでPUCCH送信を行うかについて、基地局は下り制御情報(DCI)や上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング)等を用いてユーザ端末に通知することができる。例えば、基地局は、既存のDCI中の未使用、又はPUCCHリソース関連のビットを利用してユーザ端末にセルに関する情報を通知することができる。以下に、基地局からユーザ端末に対する通知方法について説明する。
【0050】
基地局は、SCellのDCIに含まれるTPCコマンド領域(ARIとも呼ばれる)を利用して、PUCCH送信を行うセルを指定することができる。ARIは、Rel.10で導入されたACK/NACKリソース識別子(A/N Resource Indicator)であり、CA適用時にSCellで送信されたPDSCHのA/Nフィードバックに利用するPCellのPUCCHリソースを指定するために利用される。具体的には、あらかじめRRC等上位レイヤによりPUCCHリソース候補を複数通知しておき、その中からいずれか1つをARIにより指定する。
【0051】
Rel.10で導入されたARIは、PCell内のPUCCHリソースしか指定できない。そこで、本実施の形態では、ARIを用いてPCellとSCellにわたって複数のPUCCHリソース候補を設定できる構成とする。ユーザ端末は、基地局から通知されたARIを用いてPUCCH送信を行うCCとPUCCHリソースを選択する。
【0052】
このように、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるタイミングにおいて、ARIを利用してフィードバック先のセル(A/Nを集約するセル)を選択することにより、ダイナミックかつ柔軟にPUCCH送信を制御することができる。これにより、PUCCH送信を各セル(例えば、TDDセル)へ分散することができ、オフローディング効果を得ることができる。また、PUCCH信号の送信電力制御(TPC)は、PCellのDCIに含まれるTPCコマンドを用いて行い、SCellのTPCコマンドを用いてPUCCH送信を行うCCとリソースを選択することにより、オーバーヘッドの増加を抑制することができる。
【0053】
また、基地局は、拡張PDCCH(EPDCCH)で送信されるDCIに含まれ、かつPUCCHリソース番号(ECCE番号)にオフセットを付与するビット領域(AROとも呼ばれる)を利用して、PUCCH送信を行うセルを指定することができる。AROは、Rel.11で導入され、EPDCCHにより復調されるPDSCHのA/Nフィードバックに利用されるPUCCHリソースを決定する際に、拡張制御チャネル要素番号(ECCE番号)に加えるオフセット値を指定するものである。拡張PDCCH(EPDCCH)とは、PDSCH(下り共有データチャネル)と周波数分割多重されて割当てられる下り制御チャネルである。
【0054】
Rel.11で導入されたAROは、CAの適用が考慮されておらず(Non−CA)、CAを適用する際には未使用(ゼロ固定)とすることが規定されている。そこで、本実施の形態では、AROを用いてPUCCH送信を行うセル(PCell又はSCell)を指定する。ユーザ端末は、通知されたAROに基づいてPUCCH送信を行うCCを選択する。
【0055】
このように、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるタイミングにおいて、AROを利用してフィードバック先のセル(A/Nを集約するセル)を選択することにより、ダイナミックかつ柔軟にPUCCH送信を制御することができる。これにより、PUCCH送信を各セルへ分散することができ、オフローディング効果を得ることができる。
【0056】
また、EPDCCHでDCIを送信する場合、基地局は、上述したSCellのARIと、AROとを組み合わせて適用して、フィードバック先のセル及びPUCCHリソースをユーザ端末に通知することができる。例えば、基地局は、AROによりPUCCH送信を行うCCを指定し、ARIにより当該CCにおけるPUCCHリソースを指定してユーザ端末に通知する。この際、指定するCC毎に異なるPUCCHリソース候補セットを設定してもよい。このように、ARIとAROを利用することにより、未使用ビットを有効に利用すると共に、柔軟にPUCCH送信制御とオフローディングを行うことが可能となる。
【0057】
また、基地局は、下り制御情報(DCI)を送信する制御チャネル(PDCCH/EPDCCH)のリソースや構成(Config)を用いることにより、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるタイミングにおいてPUCCH送信を行うセルに関する情報を、ユーザ端末に指示してもよい。
【0058】
例えば、基地局は、サーチスペースの種類(Common−SS又はUE−specific−SS)に各セルを対応付けてユーザ端末に指示することができる。一例として、共通サーチスペース(C−SS)の場合はPCell、ユーザ固有サーチスペース(UE−SS)の場合はSCellでPUCCH送信を行う。
【0059】
あるいは、基地局は、制御チャネルの種類(PDCCH又はEPDCCH)に各セルを対応付けてユーザ端末に指示することができる。一例として、PDCCHの場合はPCell、EPDCCHの場合はSCellでPUCCH送信を行う。
【0060】
あるいは、基地局は、下り制御情報(DCI)がスケジューリングされたPDCCH/EPDCCHの場所(CCE番号)に各セルを対応付けてユーザ端末に指示することができる。一例として、DCIがPDCCH/EPDCCHのCCE/ECCE番号0〜30にマッピングされている場合はPCell、それ以外はSCellでPUCCH信号の送信を行う。
【0061】
このように、サーチスペースの種類、制御チャネルの種類、PDCCH/EPDCCHの場所等にセル情報を対応づけることにより、DCIのスケジューリングでPUCCH送信を行うCCを指示することができる。これにより、オーバーヘッドの増加を抑制することができる。また、SCellでPUCCHを送信するケースを、例えばUE−SSやEPDCCHなど限定し、それ以外の、例えばC−SSやPDCCHではPCellでPUCCHを送信するように規定してもよい。これにより、UE−specificなRRCパラメータのRe−configurationを行っている際中でも、C−SSやPDCCHを用いることで通信を途切れることなく続ける(Fallbackする)ことが可能となる。
【0062】
<PUSCH送信時>
本実施の形態において、A/N送信タイミング(サブフレーム)においてPUSCH信号を送信する場合、ユーザ端末は、PUCCHとPUSCHの同時送信を行うか、あるいはPUSCHにA/Nを多重して送信することができる。
【0063】
PUCCHとPUSCHの同時送信を行う場合、PUSCHの割当てに関わらず、ユーザ端末は、A/Nを送信する予定のCCのPUCCHを用いて、A/N送信(PUCCH送信)を行う。つまり、ユーザ端末は、PUSCHとPUCCHを用いてULデータ信号とA/Nの同時送信を行う。
【0064】
一方で、PUSCHとPUCCHの同時送信を行わない場合、ユーザ端末は、A/Nを送信する予定であるCCに関わらず、A/NをPUSCHに多重して送信する。なお、複数CC(PCellとSCell)でPUSCH送信を行う場合、PCellのPUSCHにA/Nを多重して送信を行う。また、PCellでPUSCH送信を行わず、複数のSCellでPUSCH送信を行う場合には、SCellインデックスが小さいセルにA/Nを多重して送信を行うことができる。
【0065】
(第2の態様)
上記第1の態様では、上りリンクのCAが適用可能なユーザ端末(UL CA capable UE)はFDD−TDD CAを実現することが出来る。一方で、UL CAをサポートしていないユーザ端末はFDD−TDD CAを実現できないおそれがある。例えば、低コストのユーザ端末等は、DL CAはサポートしているが、UL CAをサポートしていない場合も考えられる。また、各CCが適用する周波数バンドの組み合わせによっては、ユーザ端末がUL CAを行えない可能性も考えられる。
【0066】
UL CAをサポートしていないユーザ端末(UL CA non−capable UE)は、ULに対して1つのRFしか有していない。そのため、例えば、上記
図8のようにサブフレーム毎にUL周波数を切り替えることは困難となる。一方で、より多くのユーザ端末が、より多くの環境下でTDD−FDD CAを実現するためには、UL CAをサポートしていないユーザ端末であっても、上述したTDD−FDD CAを適用可能なシステムとすることが好ましい。
【0067】
このような問題を解決するために、UL CAをサポートしていないユーザ端末がTDD−FDD CAを行う場合、又はTDDセルとFDDセルの両方のULでPUCCH送信を行う場合に、TDDセルのULサブフレーム前後にUL送信を行わない期間(RF tuning period)を設けることが考えられる(
図10参照)。例えば、TDDのULサブフレームの前後1ms程度をRF調整期間(RF tuning period)とする。
【0068】
しかし、
図10に示す方法では、RF tuning(RF調整)中は、UL送信を行うことができないため、UL送信のスループットが低下するおそれがある。また、UL送信が行えない期間は、A/Nフィードバックも行うことができないため、DL信号(PDSCH信号)の割当ても制限される。これにより、DL送信のスループットも低下するおそれがある。
【0069】
そこで、第2の態様では、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるタイミング(TDDセルのULサブフレーム)において、FDDセル又はTDDセルのA/Nの送信有無に応じて、PUCCH送信を行うセルを制御する。つまり、A/Nの送信を考慮して、TDDセルにおけるPUCCH送信を選択してRF調整期間を設定する。これにより、UL CAをサポートしていないユーザ端末がFDDセルとTDDセルのULでPUCCH送信を切り替える場合であっても、スループットの低下を低減することができる。
【0070】
例えば、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるタイミングにおいて、ユーザ端末は、FDDセルのA/N送信がない場合に限り、TDDセルのULでPUCCH送信を行う。それ以外は、FDDセルのULでPUCCH送信を行う(
図11参照)。つまり、FDDセルとTDDセルの両方にA/N送信がある場合には、FDDのULに集約してPUCCH送信を行う。これにより、TDDセルでPUCCH送信を行う場合であっても、RF調整期間の影響を低減することができる。一方で、TDDセルのみでPUCCH送信が多く発生する場合には、RF調整が頻発するものの、PUCCHをTDDセルに偏らせることができる。したがって、DLトラフィックの偏りに応じてULトラフィックをも同じように偏らせることが可能である。
【0071】
あるいは、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるタイミングにおいて、TDDセルのA/N送信がある場合に、TDDセルのULでPUCCH送信を行う。この場合、FDDセルとTDDセルの両方にA/N送信がある場合には、TDDのULに集約してPUCCH送信を行う。
【0072】
このように、FDDセル又はTDDセルのA/Nの送信有無に応じてトラフィック(PUCCH送信)を比較的TDDに偏らせることができる。したがって、例えばFDDセルがマクロセル、TDDセルがスモールセルのような場合に、ULリソースが比較的空きやすいTDDスモールセルにPUCCHをより多く配分することができる。また、FDDセルだけでなくTDDセルを利用してPDCCH送信を行うことにより、トラフィックを分散してオフローディング効果を得ることができる。
【0073】
FDDセルとTDDセルの両方でULとなるタイミングにおけるRF調整(RF tuning)の適用有無について、基地局は下り制御情報(DCI)や上位レイヤシグナリング等を用いてユーザ端末に指示することができる。この場合、基地局は、既存のDCI中の未使用、又はPUCCHリソース関連のビットを利用して指示することが好ましい。以下に、基地局からユーザ端末に対する通知方法について説明する。なお、上述した基地局−UE間通知方法と同様の部分については説明を省略する。
【0074】
例えば、基地局は、SCellのDCIに含まれるTPCコマンド領域(ARI)を利用して、RF調整の適用有無を指示することができる。また、基地局は、EPDCCHで送信されるDCIに含まれかつPUCCHリソース番号にオフセットを付与するビット領域(ARO)を利用して、RF調整の適用有無を指定することができる。
【0075】
一例として、ユーザ端末は、ARI又はAROでTDDセルのULにおけるPUCCH送信が指示された場合に、RF調整を行う。これにより、ダイナミックかつ柔軟にPUCCH送信を制御すると共に、PUCCH送信を各セルへ分散してオフローディング効果を得ることができる。また、ユーザ端末は、ARI又はAROの指示がない場合にはRF調整を行わないため、ULにおいて不要な無送信期間が生じることを抑制することができる。
【0076】
また、EPDCCHでDCIを送信する場合、基地局は、SCellのARIと、AROとを組み合わせて適用して、RF調整の適用有無及びPUCCHリソースをユーザ端末に通知することができる。例えば、基地局は、AROによりRF調整の適用有無を指定し、ARIにより当該CCにおけるPUCCHリソースを指定してユーザ端末に通知する。このように、SCellのARIとAROを利用することにより、未使用ビットを有効に利用すると共に、柔軟にPUCCH送信を制御してオフローディングを行うことができる。また、ユーザ端末は、AROの指示がない場合にはRF調整を行わないため、ULにおいて不要な無送信期間が生じることを抑制することができる。
【0077】
また、基地局は、RF調整の適用有無について、下り制御情報(DCI)を送信する制御チャネル(PDCCH/EPDCCH)のリソースや構成(Config)を用いてユーザ端末に指示してもよい。
【0078】
例えば、基地局は、サーチスペースの種類(Common−SS又はUE−specific−SS)に各セルを対応付けてユーザ端末に指示することができる。一例として、共通サーチスペース(C−SS)の場合はPCell、ユーザ固有サーチスペース(UE−SS)の場合はSCellでPUCCH送信を行う。これにより、サーチスペースの種類が切り替わらない限りRF調整は行われない、ULにおいて不要な無送信期間が生じることを抑制することができる。また、サーチスペースの種類を切り替えることにより、RF調整を制御すると共に、PUCCH送信を行うCCを切り替えてオフローディングすることができる。
【0079】
あるいは、基地局は、制御チャネルの種類(PDCCH又はEPDCCH)に各セルを対応付けてユーザ端末に指示することができる。一例として、PDCCHの場合はPCell、EPDCCHの場合はSCellでPUCCH信号の送信を行う。これにより、制御チャネルの種類が切り替わらない限りRF調整は行わないため、ULにおいて不要なUL無送信期間が生じることを抑制することができる。また、制御チャネルの種類を切り替えることにより、RF調整を制御すると共に、PUCCH送信を行うCCを切り替えてオフローディングすることができる。
【0080】
あるいは、基地局は、下り制御情報(DCI)がスケジューリングされたPDCCH/EPDCCHの場所(CCE番号)に各セルを対応付けてユーザ端末に指示することができる。一例として、DCIがPDCCH/EPDCCHのCCE/ECCE番号0〜30にマッピングされている場合はPCell、それ以外はSCellでPUCCH信号の送信を行う。これにより、スケジューラによりRF調整を制御して不要なUL無送信期間の発生を避けると共に、RF調整を行うこと(PUCCH送信セルを切り替えること)によりPUCCHのオフロードを制御することができる。
【0081】
このように、サーチスペースの種類、制御チャネルの種類、PDCCH/EPDCCHの場所等にセル情報を対応づけることにより、DCIのスケジューリングでオーバーヘッドを増加させずにPUCCH信号を送信するCCを指示することができる。
【0082】
(変形例)
なお、上記説明では、FDDセル、TDDセルのそれぞれのDL信号(PDSCH信号)の割当てに対するHARQタイミングとして、CAを適用しない場合のフィードバックタイミングを利用する場合を示したが、本実施の形態はこれに限られない。例えば、Intra−eNB CAにおいて、TDDセルにおけるDL HARQタイミングを、FDDのDL HARQタイミングと同じとしてもよい(
図12参照)。この場合、TDDセルの各DLサブフレームで送信されるPDSCH信号に対するA/Nを、当該PDSCH信号が送信されたサブフレームから所定期間(例えば、4ms)後のFDDセルのULサブフレームでフィードバックすることができる。これにより、TDDのDL HARQにおけるフィードバック遅延を4msに低減できる。また、1つのULサブフレームでフィードバックする送達確認信号の数を減らし、複数のサブフレームに渡って分散することができるので、基地局による送達確認信号の検出ミスがあった場合にDL HARQに与える影響を低減できる。
【0083】
一方で、
図12に示す場合、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるタイミング(TDDセルのULサブフレーム)において、いずれのCCにA/Nを多重してPUCCH送信を行うかが問題となる。この場合、上記第1の態様で示したいずれかの態様を用いて、PUCCH送信を行うセルを選択することができる。例えば、
図12において、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるサブフレームで、PUCCH送信をプライマリセルの設定に関わらず一方のセル(FDDセル又はTDDセル)に限定して行う場合、PCell又はSCellで行う場合、あるいは当該サブフレームでA/N送信を行うセルで行う場合等が挙げられる。
【0084】
また、上記説明では、TDD−FDD CAについて説明したが、本実施の形態が適用可能な構成はこれに限られない。本実施の形態は、FDD−FDD CAやTDD−TDD CAに適用することも可能である。
【0085】
例えば、FDD−FDD又はTDD−TDDの基地局間CA(Inter−eNB CA)では、複数CC独立にHARQを行う。この場合、複数CCから同一サブフレームでそれぞれA/N(PUCCH送信)を同時に送信することができる。一方で、FDD−FDD又はTDD−TDDの基地局内CA(Intra−eNB CA)では、(1)Inter−eNB CAと同様に複数CC独立にHARQを行ってもよいし、(2)いずれかのCCに複数CC分のA/Nを多重して送信してもよい。後者(2)の場合には、いずれかのCCにA/Nが集約されるため、A/Nの同時送信は生じない。
【0086】
(無線通信システムの構成)
以下、本実施の形態に係る無線通信システムの一例について、詳細に説明する。
【0087】
図13は、本実施の形態に係る無線通信システムの概略構成図である。なお、
図13に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム或いは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。この無線通信システムでは、LTEシステムのシステム帯域幅を1単位とする複数の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア)を一体としたキャリアアグリゲーション(CA)が適用することができる。また、この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4G、FRA(Future Radio Access)と呼ばれても良い。
【0088】
図13に示す無線通信システム1は、マクロセルC1を形成する無線基地局11と、マクロセルC1内に配置され、マクロセルC1よりも狭いスモールセルC2を形成する無線基地局12a及び12bとを備えている。また、マクロセルC1及び各スモールセルC2には、ユーザ端末20が配置されている。ユーザ端末20は、無線基地局11及び無線基地局12の双方への接続(dual connectivity)が可能となっている。また、無線基地局11と無線基地局12間で基地局内CA(Intra−eNB CA)、又は基地局間CA(Inter−eNB CA)が適用される。また、無線基地局11と無線基地局12の一方はFDDを適用し、他方はTDDを適用することができる。
【0089】
ユーザ端末20と無線基地局11との間は、相対的に低い周波数帯域(例えば、2GHz)で帯域幅が狭いキャリア(既存キャリア、Legacy carrier等と呼ばれる)を用いて通信が行なわれる。一方、ユーザ端末20と無線基地局12との間は、相対的に高い周波数帯域(例えば、3.5GHz等)で帯域幅が広いキャリアが用いられてもよいし、無線基地局11との間と同じキャリアが用いられてもよい。ユーザ端末20と無線基地局12間のキャリアタイプとしてニューキャリアタイプ(NCT)を利用してもよい。無線基地局11と無線基地局12(又は、無線基地局12間)は、有線接続(Optical fiber、X2インターフェース等)又は無線接続されている。
【0090】
無線基地局11及び各無線基地局12は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。また、各無線基地局12は、無線基地局11を介して上位局装置に接続されてもよい。
【0091】
なお、無線基地局11は、相対的に広いカバレッジを有する無線基地局であり、eNodeB、マクロ基地局、送受信ポイントなどと呼ばれてもよい。また、無線基地局12は、局所的なカバレッジを有する無線基地局であり、スモール基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、Home eNodeB、マイクロ基地局、送受信ポイントなどと呼ばれてもよい。以下、無線基地局11及び12を区別しない場合は、無線基地局10と総称する。各ユーザ端末20は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでよい。
【0092】
無線通信システムにおいては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域幅を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
【0093】
ここで、
図13に示す無線通信システムで用いられる通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH、拡張PDCCH)とを有する。PDSCHにより、ユーザデータ及び上位制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、PDSCHおよびPUSCHのスケジューリング情報等が伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。また、拡張PDCCH(EPDCCH)により、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報等が伝送されてもよい。このEPDCCHは、PDSCH(下り共有データチャネル)と周波数分割多重される。
【0094】
上りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、ユーザデータや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACK等が伝送される。
【0095】
図14は、本実施の形態に係る無線基地局10(無線基地局11及び12を含む)の全体構成図である。無線基地局10は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インターフェース106とを備えている。
【0096】
下りリンクにより無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30から伝送路インターフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
【0097】
ベースバンド信号処理部104では、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理が行われて各送受信部103に転送される。また、下りリンクの制御チャネルの信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われて、各送受信部103に転送される。
【0098】
また、ベースバンド信号処理部104は、上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号等)により、ユーザ端末20に対して、当該セルにおける通信のための制御情報を通知する。当該セルにおける通信のための情報には、例えば、上りリンク又は下りリンクにおけるシステム帯域幅、フィードバック用のリソース情報等が含まれる。各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナ毎にプリコーディングして出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101により送信する。
【0099】
一方、上りリンクによりユーザ端末20から無線基地局10に送信されるデータについては、各送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部102で増幅され、各送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部104に入力される。
【0100】
ベースバンド信号処理部104では、入力されたベースバンド信号に含まれるユーザデータに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理がなされ、伝送路インターフェース106を介して上位局装置30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放等の呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
【0101】
図15は、本実施の形態に係る無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104の主な機能構成図である。
図15に示すように、無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104は、制御部301と、下り制御信号生成部302と、下りデータ信号生成部303と、マッピング部304と、デマッピング部305と、チャネル推定部306と、上り制御信号復号部307と、上りデータ信号復号部308と、判定部309と、を少なくとも含んで構成されている。
【0102】
制御部301は、PDSCHで送信される下りユーザデータ、PDCCH及び/又は拡張PDCCH(EPDCCH)で伝送される下り制御情報、下り参照信号等のスケジューリングを制御する。また、制御部301は、PUSCHで伝送される上りデータ、PUCCH又はPUSCHで伝送される上り制御情報、上り参照信号のスケジューリングの制御(割当て制御)も行う。上りリンク信号(上り制御信号、上りユーザデータ)の割当て制御に関する情報は、下り制御信号(DCI)を用いてユーザ端末に通知される。
【0103】
具体的に、制御部301は、上位局装置30からの指示情報や各ユーザ端末20からのフィードバック情報に基づいて、下りリンク信号及び上りリンク信号に対する無線リソースの割り当てを制御する。つまり、制御部301は、スケジューラとしての機能を有している。また、Inter−eNB CAでは、制御部301は複数CC毎に独立に設けられており、Intra−eNB CAでは、制御部301は複数CCに対して共通に設けた構成とすることができる。
【0104】
下り制御信号生成部302は、制御部301により割当てが決定された下り制御信号(PDCCH信号及び/又はEPDCCH信号)を生成する。具体的に、下り制御信号生成部302は、制御部301からの指示に基づいて、下りリンク信号の割当て情報を通知するDL assignmentと、上りリンク信号の割当て情報を通知するUL grantを生成する。
【0105】
例えば、上記第1の態様において、下り制御信号生成部302は、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるサブフレームでA/Nを集約して多重する(PUCCH送信する)セルに関する情報を下り制御情報(DCI)に含める。また、上記第2の態様において、下り制御信号生成部302は、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるサブフレームにおけるRF調整の適用有無に関する情報を下り制御情報に含める。
【0106】
具体的には、下り制御信号生成部302は、SCellのARIと、AROとを利用して、ユーザ端末がA/Nフィードバックに利用するセル(フィードバック先のセル)や、当該セルで利用するPUCCHリソースに関する情報を生成する。あるいは、下り制御信号生成部302は、SCellのARIと、AROとを利用して、RF調整の適用有無や、利用するPUCCHリソースに関する情報を生成する。
【0107】
なお、下り制御信号生成部302は、ユーザ端末のA/Nのフィードバック先のセルに関する情報や、RF調整の適用有無に関する情報を、サーチスペースの種類、制御チャネルの種類、又はPDCCH/EPDCCHの場所等に対応づけて制御情報を生成してもよい。この場合、下り制御信号生成部302は、制御部301からの指示に基づいて下り制御情報を生成する。
【0108】
下りデータ信号生成部303は、下りデータ信号(PDSCH信号)を生成する。下りデータ信号生成部303により生成されるデータ信号には、各ユーザ端末20からのCSI等に基づいて決定された符号化率、変調方式に従って符号化処理、変調処理が行われる。
【0109】
マッピング部304は、制御部301からの指示に基づいて、下り制御信号生成部302で生成された下り制御信号と、下りデータ信号生成部303で生成された下りデータ信号の無線リソースへの割当てを制御する。
【0110】
デマッピング部305は、ユーザ端末から送信された上りリンク信号をデマッピングして、上りリンク信号を分離する。チャネル推定部306は、デマッピング部305で分離された受信信号に含まれる参照信号からチャネル状態を推定し、推定したチャネル状態を上り制御信号復号部307、上りデータ信号復号部308に出力する。
【0111】
上り制御信号復号部307は、上り制御チャネル(PUCCH)でユーザ端末から送信されたフィードバック信号(送達確認信号等)を復号し、制御部301へ出力する。上りデータ信号復号部308は、上り共有チャネル(PUSCH)でユーザ端末から送信された上りデータ信号を復号し、判定部309へ出力する。判定部309は、上りデータ信号復号部308の復号結果に基づいて、再送制御判定(A/N判定)を行うと共に結果を制御部301に出力する。
【0112】
図16は、本実施の形態に係るユーザ端末20の全体構成図である。ユーザ端末20は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部(受信部)203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205とを備えている。
【0113】
下りリンクのデータについては、複数の送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部204でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理等がなされる。この下りリンクのデータの内、下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理等を行う。また、下りリンクのデータの内、報知情報もアプリケーション部205に転送される。
【0114】
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御(H−ARQ (Hybrid ARQ))の送信処理や、チャネル符号化、プリコーディング、DFT処理、IFFT処理等が行われて各送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201により送信する。
【0115】
図17は、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204の主な機能構成図である。
図17に示すように、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204は、制御部401(フィードバック制御部)と、上り制御信号生成部402と、上りデータ信号生成部403と、マッピング部404と、デマッピング部405と、チャネル推定部406と、下り制御信号復号部407と、下りデータ信号復号部408と、判定部409と、を少なくとも含んで構成されている。
【0116】
制御部401は、無線基地局から送信された下り制御信号(PDCCH信号)や、受信したPDSCH信号に対する再送制御判定結果に基づいて、上り制御信号(A/N信号等)や上りデータ信号の生成を制御する。無線基地局から受信した下り制御信号は下り制御信号復号部407から出力され、再送制御判定結果は、判定部409から出力される。
【0117】
また、制御部401は、PDSCH信号に対する送達確認信号(A/N)のフィードバックを制御するフィードバック制御部としても機能する。具体的に、制御部401は、CAが適用される通信システムにおいて、A/Nをフィードバックするセル(又は、CC)や、A/Nを割当てるPUCCHリソースを決定する。例えば、制御部401は、無線基地局から送信された下り制御信号等に基づいて、A/Nのフィードバック先のセルや、利用するPUCCHリソースを決定してマッピング部404に指示する。
【0118】
例えば、TDD−FDD CAを適用する上記第1の態様の態様1において、制御部401は、1CCでA/Nを送信する場合にPUCCH送信をFDDセルに限定して行うように制御する(上記
図7参照)。この場合、FDDセルがPCellであるかSCellであるかに関わらず、FDDセルのPUCCHを用いてA/Nのフィードバックを行う。
【0119】
上記第1の態様の態様2において、制御部401は、1CCでA/Nを送信する場合にPUCCH送信をFDDセルとTDDセルとを用いて送信するように制御する(上記
図8参照)。具体的には、FDDセルとTDDセルの両方でULが設定されるタイミングでは、TDDセルのULでPUCCH送信を行い、それ以外のサブフレームではFDDセルのULでPUCCH送信を行うように制御する。
【0120】
上記第1の態様の態様3において、制御部401は、1CCでACK/NACKを送信する場合に、FDDセル又はTDDセルのA/Nの送信有無に基づいて、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるサブフレームでPUCCH送信を行うセルを決定する(上記
図9参照)。
【0121】
また、TDD−FDD CAを適用する上記第2の態様において、制御部401は、FDDセルとTDDセルの両方でULとなるタイミングにおけるRF調整の適用有無を、FDDセル又はTDDセルのA/Nの送信有無に基づいて決定する(上記
図11参照)。
【0122】
上り制御信号生成部402は、制御部401からの指示に基づいて上り制御信号(送達確認信号やチャネル状態情報(CSI)等のフィードバック信号)を生成する。また、上りデータ信号生成部403は、制御部401からの指示に基づいて上りデータ信号を生成する。なお、制御部401は、無線基地局から通知される下り制御信号にULグラントが含まれている場合に、上りデータ信号生成部403に上りデータ信号の生成を指示する。
【0123】
マッピング部404(割当て部)は、制御部401からの指示に基づいて、上り制御信号(送達確認信号等)と上りデータ信号の無線リソース(PUCCH、PUSCH)への割当てを制御する。例えば、マッピング部404は、フィードバック(PUCCH送信)を行うCC(セル)に応じて、当該CCのPUCCHにA/Nの割当てを行う。
【0124】
デマッピング部405は、無線基地局10から送信された下りリンク信号をデマッピングして、下りリンク信号を分離する。チャネル推定部406は、デマッピング部405で分離された受信信号に含まれる参照信号からチャネル状態を推定し、推定したチャネル状態を下り制御信号復号部407、下りデータ信号復号部408に出力する。
【0125】
下り制御信号復号部407は、下り制御チャネル(PDCCH)で送信された下り制御信号(PDCCH信号)を復号し、スケジューリング情報(上りリソースへの割当て情報)を制御部401へ出力する。また、下り制御信号に送達確認信号をフィードバックするセルに関する情報や、RF調整の適用有無に関する情報が含まれている場合も、制御部401へ出力する。
【0126】
下りデータ信号復号部408は、下り共有チャネル(PDSCH)で送信された下りデータ信号を復号し、判定部409へ出力する。判定部409は、下りデータ信号復号部408の復号結果に基づいて、再送制御判定(A/N判定)を行うと共に結果を制御部401に出力する。
【0127】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。例えば、上述した複数の態様を適宜組み合わせて適用することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。