(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、熱電素子1は高温部2と低温部3との所定の温度差(特許文献1では300℃)によりファン12に必要な熱起電力を発生させるため、バーナー10が燃焼しても、この所定の温度差が生じるまで、ファン12は直ぐに駆動するわけではない。
このため、特許文献1では、ファン12が駆動すれば熱気は筐体から排出されるが、ファン12が駆動するまでの所定の時間帯、筐体はバーナー10の燃焼熱で加熱され続けられ危険である。また、このような筐体が加熱される事態は、故障によりファン12が停止した場合も同様である。
本発明は以上のような事態を防止することにあり、送風機が駆動しなくても、筐体の過熱を防止して、安全な燃焼機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、筐体内に、バーナーを有する燃焼室と、前記バーナーの燃焼熱を利用してなる高温部と低温部の間に配置され
、ゼーベック効果を発揮する半導体から形成された熱電素子により熱起電力を発生させる熱電変換手段とが配置され、前記熱起電力により軸流ファンを駆動させて、前記筐体に形成された吹き出し口から前記燃焼熱を放出するようにした燃焼機器であって、前記筐体は、前記吹き出し口よりも上側に、前記燃焼室から発生した前記燃焼熱を外部に放出するための放熱口を有すると共に、内側に前記軸流ファンの風を前記吹き出し口側に向けるための流路を有し、前記燃焼室は、前記放熱口の下側に前記燃焼熱を前記筐体内に導く開口部を有し、前記開口部と前記放熱口との間であって前記流路よりも前記吹き出し口側には、前記軸流ファンの駆動時に前記燃焼熱が前記放熱口から抜けるのを抑え、この抑えられた燃焼熱を前記軸流ファンからの風によって前記吹き出し口の方向に向かわせる変向部が設けられて
おり、前記バーナーの火炎、前記高温部、前記熱電素子、前記低温部、及び前記軸流ファンは、その順序で水平方向に一列に並んでいる燃焼機器により解決される。
【0007】
本発明の燃焼機器は、バーナーの燃焼熱を利用してなる高温部と低温部の間に配置される熱電素子により熱起電力を発生させる熱電変換手段が配置され、この熱起電力により送風機を駆動させて、吹き出し口から燃焼熱を放出するようにしている。従って、例えば外部電源がない屋外や停電時等であっても送風機を駆動させて、燃焼機器を使用できる。
ここで、筐体は、吹き出し口よりも上側に、燃焼室から発生した燃焼熱を外部に放出するための放熱口を有する。従って、熱電変換手段で送風機が駆動するまでの所定の時間帯、或いは、例えば熱電変換手段が故障した場合、相対的に上側の放熱口から燃焼熱を逃がして、筐体の過熱を防止することができる。
また、この放熱口とは別に相対的に下側に吹き出し口が形成されているので、送風機が正常に駆動している時間帯は、当該下側の吹き出し口から燃焼熱を放出して、外部空間を効率よく暖めることができる。
また、燃焼室は、放熱口の下側に燃焼熱を筐体内に導く開口部を有し、開口部と放熱口との間には、軸流ファンの駆動時に燃焼熱が放熱口から抜けるのを抑え、この抑えられた燃焼熱を軸流ファンからの風によって吹き出し口の方向に向かわせる変向部が設けられている。なお、ここにいう「燃焼熱が放熱口から抜けるのを抑え」とは、開口部から放熱口に向かう燃焼熱の流れに所要の抵抗を与えることを意味し、軸流ファンの起動前において、開口部から放熱口に向かう燃焼熱の流路を塞ぐことを意味するものではない。従って、このような変向部が設けられることにより、軸流ファンの起動前は、開口部から上昇する燃焼熱を放熱口から放出することができる。そして、軸流ファンの駆動時には、放熱口に向かう流れが抑えられた燃焼熱に対して軸流ファンの風を当てて、燃焼熱の流れを吹き出し口の方向にベクトルを変えさせ、放熱口があったとしても、燃焼熱を効果的に吹き出し口から放出することができる。
しかも、熱電素子は、ゼーベック効果を発揮する半導体から形成され、バーナーの火炎、高温部、熱電素子、低温部、及び軸流ファンは、その順序で水平方向に一列に並んでいる。そうすると、火炎と高温部とが対面して、高温部をより早く加熱して、軸流ファンの起動時間をより短縮できる。また、低温部と軸流ファンとが対面して、低温部を効率よく冷却できる。また、各部位を対面させて、余計な部材を介在させることなく、火炎と熱電変換手段と軸流ファンとを一列に並べて、コンパクトな配置も可能となる。
【0008】
また、好ましくは、前記吹き出し口は、前記燃焼室の前記開口部が臨むように配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、好ましくは、前記高温部は前記燃焼室内に配置されており、前記燃焼室には、前記高温部を冷却するための空気導入口が形成されていることを特徴とする。
そうすると、高温部は燃焼室内に配置されているため、高温部を早く加熱して、送風機の起動時間を短縮できる。
そして、高温部が加熱された後は、送風機が起動して空気導入口から空気を入れて高温部を冷却し、これにより、高温部が燃焼室内に配置されていても、熱電素子が耐熱温度を超えないように制御することができる。
【0010】
また、好ましくは、
前記空気導入口と前記
軸流ファンとが対面するように配置されていることを特徴とする。
そうする
と、空気導入口と
軸流ファンも対面しているので、
軸流ファンの風を直接的に勢いよく燃焼室に送り込んで、高温部が高温になり過ぎる事態を有効に防止できる。
従って、軸流ファンが駆動し始めれば、今度はその
軸流ファンの風で高温部を効果的に冷して、熱電素子の耐熱温度超えを防止し、シンプルな構成で適正な発電状態を維持することができる。
【0011】
また、好ましくは、前記バーナーの燃料源は圧縮された液化ガスが収容されたカートリッジ式ガスボンベであることを特徴とし、可搬性に優れた燃焼機器を提供することができる。
【0012】
また、好ましくは、前記低温部と前記カートリッジ式ガスボンベとは、熱伝導部材を介して接続されていることを特徴とする。
そうすると、液化ガスが収容されたカートリッジ式ガスボンベは、ガスが噴出するに従ってガスボンベが次第に冷却されていくという特性を有するため、熱電変換手段は加熱されるに従って、低温部が高温化され易い状態になったとしても、ガスボンベの冷熱を低温部にまわして、低温部を効果的に冷却できる。従って、適正な発電状態を維持することができる。
【0013】
また、好ましくは、前記熱電変換手段が発電していることを報知する報知手段を有することを特徴とする。
従って、使用者は熱電変換手段の発電の様子を認識でき、例えば熱電変換手段が故障して筐体が過度に加熱された場合であっても、それを認識して危険を回避できる。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明は、送風機が駆動しなくても、筐体の過熱を防止して、安全な燃焼機器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の燃焼機器は、ガスや灯油等の燃料を燃焼させ、その燃焼熱を利用して生じた起電力により送風機を駆動させるようにした燃焼機器であり、以下、本発明の好ましい実施形態としてファンヒータを例にあげ、図を参照しながら詳しく説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
また、以下の図において、同一の符号を付した箇所は特に言及がない限り同様の構成である。
【0017】
図1〜
図3は本発明の好ましい実施形態に係る燃焼機器(ファンヒータ)10であり、
図1はその正面側斜視図、
図2はその背面側斜視図、
図3はその正面パネルの一部を切り欠いた正面側斜視図である。
これらの図の燃焼機器10は、持ち運び可能な大きさとされ、外部電源がない場所であっても使用が可能とされている。
燃焼機器10は、筐体12、燃料供給部20、燃焼室30、熱電変換手段40、及び送風機50を有している。
【0018】
〔筐体について〕
筐体12は、例えばスチールに耐熱塗装が施して形成されており、全体的に矩形状とされ、持ち運びが便利なように側面12Bに取っ手が設けられている。
この筐体12の中には、
図3に示すように、燃料供給部20と燃焼室30が配置されており、そして、
図2に示すように、背面12Cに送風機50が取付けられている。
【0019】
図1に示す筐体12の正面12Aには、筐体12内の熱を送風機50の送風により、温風として外部に吹き出すようにした吹き出し口18が形成され、この吹き出し口18には、吹き出し方向を調整するための複数枚のルーバー19が設けられている。なお、正面12Aには燃焼室30の火炎が視認できるように、のぞき窓16が形成されている。
筐体12の側面12B及び背面12Cには、開閉自在な扉27を有し、この扉27を開けてガスボンベ22の出し入れが可能とされている。なお、取出し口(扉27で覆われている部分)は筐体12の背面12Cと側面12Bに連続して開けられた貫通孔であり、これにより燃焼機器10が小型であっても、ガスボンベ22を容易に出し入れできる。
【0020】
〔燃料供給部について〕
燃料供給部20は燃焼室30に燃料を供給するための部分である。
本発明の燃焼機器に用いられる燃料にはガスや灯油等を利用することができるが、本実施形態の場合の燃料はガスであり、さらに、
図1に示すように、燃料を供給するための燃料源を、燃料供給部20に対して着脱可能なように、圧縮された液化ガスが収容されたカートリッジ式ガスボンベ22とされている。
具体的には、
図3に示すように、燃料供給部20にはガスボンベ22を収容して置くための載置部24が設けられている。載置部24は、燃焼室30の下にある台部13の横隣に配置されている。好ましくは、載置部24は熱伝導性のよい金属材料であり、ガスボンベ22の周側面と密着する形状となるように湾曲をしている。
【0021】
そして、燃料供給部20にはボンベ接続部23があり、このボンベ接続部23に対して、収容されたガスボンベ22が着脱可能となっている。ガスボンベ22から吐出された燃料ガスは、ボンベ接続部23内に設けられたガバナーに入って圧力調整されるようになっている。なお、ガスボンベ22が加熱されてその内部圧力が異常に上昇した時、安全機構が作動して外れるように、ボンベ接続部23とガスボンベ22との着脱はマグネットとされている。このボンベ接続部23は操作摘み部28と接続され、ガスボンベ22から供給されるガス量が調整可能とされている。このようにしてガスボンベ22からボンベ接続部23を介して供給される燃料ガスは、ガス導管29やガス・空気混合器(図示せず)を通って、空気と混合されながら後述するガスバーナー32に供給される。
【0022】
〔燃焼室について〕
燃焼室30は燃料ガスが燃焼する空間S1を有し、この空間S1にガスバーナー32及び電極34が配設されている。そして、燃料供給部20から供給された燃料ガスはガスバーナー32に送られ、操作摘み部28の回転によりイグナイタ(不図示)が押されてパルス電圧が発生し、そのパルス電圧によって電極34が放電することで、燃料ガスが点火する。
なお、ガスバーナー32は、空間S1の横幅方向(
図3のY方向)に長い棒状であり、その長手方向に複数の火炎口32aを並べることで、空間S1の横幅方向Yに満遍なく火炎を出すようにしている。
また、燃焼室30の正面壁30bの一部又は全体は耐熱ガラスから形成され、
図1ののぞき窓16から内側が視認できる構成とされている。
【0023】
〔送風機について〕
図2に示す送風機50は、主に、
図1及び
図3の吹き出し口18から温風を吹き出させるための「温風吹き出し機能」、熱電変換手段40(
図4参照)を冷却するための「冷却機能」を有する送風手段である。冷却機能については後述する。
送風機50にはファンやブロワを利用することができる。
図2に示す送風機50は、好ましくは、モータ52の駆動により、軸流方向Xに送風するプロペラ51(
図4参照)を有する軸流ファンである。なお、本発明の送風機50は軸流ファンに限られず、遠心ファン等を用いることもできる。
この送風機50は、外部電源を用いずに、
図3の熱電変換手段40により生じた熱起電力で駆動する。
【0024】
〔熱電変換手段について〕
熱電変換手段40は、ゼーベック効果を利用して熱起電力を発生させるもので、熱電変換モジュール、熱電発電機、等とも呼ばれる。
熱電変換手段40については、
図1のA−A断面図である
図4を用いて説明する。なお、
図4では燃料が燃焼している状態を図示している。
図4に示すように、熱電変換手段40は、高温部42、低温部44、及び高温部42と低温部44との間に挟まれた熱電素子46とを有している。
【0025】
高温部42はガスバーナー32の燃焼熱により加熱される部分である。これに対して、低温部44が配置された空間S2は、筐体12の背面12Cの空気取り入れ口11を介して外部空間と連通しており、低温部44は取り込んだ外気との接触により加熱され難くなっている。なお、高温部42及び低温部44は、共に周知の金属材料を用いることができる。
このようにして高温部42と低温部44との間に温度差が生じ、その間の半導体からなる熱電素子46に熱起電力が生じる。図の熱電素子46は、高温部42と低温部44との温度差が150℃になることで、送風機50を起動する熱起電力を生じるようになっている。
そして、ガスが燃焼し続けると、その燃焼熱で低温部44も温度が上昇し易くなるが、一旦、送風機50が起動すると、その風で低温部44は冷却され、これにより、高温部42と低温部44との温度差を維持し易くしている。
【0026】
このようにして熱電変換手段40は発電するが、この発電している最中は、
図1及び
図3に示すように、発電していることを報知する報知手段59を有している。図の場合、報知手段59は、
図4の熱電素子46と配線(不図示)を介して電気的に接続されたランプ(好ましくはLEDランプ)であり、熱電素子46で生じた起電力を受けて点灯することで、使用者に発電状態を報知している。
本実施形態の燃焼機器10は以上の特徴を有しており、さらに、以下の特徴も有している。
【0027】
〔燃焼室と高温部との関係〕
本実施形態の場合、高温部42が早く加熱されて、送風機50の起動時間を短縮できるように、以下の種々の工夫がなされている。
先ず、
図3及び
図4に示すように、高温部42は燃焼室30内に配置(空間S1に露出)されている。具体的には、高温部42は燃焼室30の背面側の内面30aから正面側に向かって突出している。なお、高温部42は、
図3に示すように複数枚のフィン42aが空間S1の横幅方向Yに列設した状態である。
また、
図4に示すように、ガスバーナー32への燃料ガスの供給量を最大にし、火炎FRを最大にした状態において、高温部42の主面部(正面部)はその火炎FR(好ましくは、火炎FRの先端部FR1)と対面するように配置されている。
また、火炎FRが高温部42に接触しないように高温部42に対面させつつ、火炎FRを高温部42に隣接させるため、ガスバーナー32は高温部42から所定の距離X1をおいて配置されている。
【0028】
〔放熱口について〕
以上のように、本実施形態では、高温部42をいち早く加熱して、送風機50の起動時間の短縮を図っているが、それでも、送風機50の起動には相当な時間(例えば約1分間程度)が必要である。このため、この送風機50が起動するまでの時間帯、ガスバーナー32の燃焼熱は筐体12内に籠って危険な状態となる恐れがある。
そこで、本発明では、この送風機50の起動までの燃焼熱を外部に放出するための放熱口15が、吹き出し口18とは別に形成されている。
【0029】
具体的には、放熱口15は、
図1に示すように、複数のスリット状の貫通孔を列設して形成されており、少なくとも貫通孔よりも大きな物がこの放熱口15を通って筐体12内に侵入しない形状とされている。なお、本発明の放熱口15はスリット状の貫通孔に限られず、例えば、多数の丸状や多角形状の小孔、或いは網状であっても構わない。
そして、吹き出し口18は可及的に温風を下側から吹き出すのが好ましいのに対して、放熱口15は可及的に筐体12内に熱が篭もらないように放出するのが好ましいことから、放熱口15は吹き出し口18よりも上側、より好ましくは、筐体12の天板部12Dに形成されている。
また、
図4に示すように、燃焼室30は燃焼熱を筐体12内に導く開口部39を有しており、放熱口15は、少なくともこの開口部39よりも上側にあることが必要である。
【0030】
図4の開口部39は燃焼室30の上部に形成され、送風機50の風AR1を吹き出し口18側に向けるための流路55(燃焼室30の上板32と、この上板32から所定の間隔を空けて上側にある板部材36とで画された空間)の終端部55aの下側に隣接している。
そして、開口部39は、吹き出し口18側および放熱口15側の双方に臨むようにして開口している。これにより、送風機50が駆動していない時は、開口部39から出た燃焼熱は放熱口15に向かって流れ、一方、送風機50が駆動している時は、開口部15から出た燃焼熱は風AR1に当たって、その勢いで吹き出し口18から吹き出される。
【0031】
ここで、筐体12は、開口部39と放熱口15との間に、送風機50が駆動する前後で燃焼熱の流れを切り替えるための変向部65を有している。
本実施形態の変向部65は、開口部39と放熱口15とを結ぶ仮想線KL上であって、吹き出し口18よりも上側に、放熱口15に向かう燃焼熱の流路57を確保しつつ、放熱口15に向かう燃焼熱の流れを抑える抵抗部60を配設することで形成されている。そして、この抵抗部60により、送風機50の駆動時には燃焼熱が放熱口15から抜けるのを抑え、この抑えられた燃焼熱に対して、吹き出し口18に向かう送風機50の風AR1を当てて、燃焼熱を吹き出し口18の方向に向かわせている。
このようにして、送風機50の駆動前は、開口部39と放熱口15とは流路57を介して空間的に繋がっているので、燃焼熱を放熱口15まで流すことができ、かつ、送風機50の駆動後は、燃焼熱の放熱口に向かう流れを抵抗部60の抵抗によって抑えつつ、送風機50の風AR1により吹き出し口の方向にベクトルを変えさせることができる。
なお、
図4の抵抗部60は板状であるが、本発明はこれに限られず、例えばブロック状でも構わない。また、抵抗部60の数も図のように1枚に限られるものではなく、2つ以上の抵抗部60であってもよい。
【0032】
図4の抵抗部60は、風AR1の流路55(風AR1を吹き出し口18に導くための流路)の終端部55aよりも上側とされ、これにより、送風機50が駆動した後の風AR1が放熱口15から吹き出してしまう事態を防止している。
また、
図4の場合の抵抗部60は、流路55を構成する部材とは別の部材で形成され、流路55の終端部55aよりも吹き出し口18側に形成されているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、流路55を構成する上側の板部材36が、
図4の一点鎖線で示すように、平面視において開口部39の一部又は全てを隠すようにして吹き出し口18側に延伸し、この延伸した部分36−1が抵抗部60の機能を発揮するようにしても構わない。
なお、
図4のように、抵抗部60は平面視において開口部39を完全に隠すように、開口部39の上を覆うのが好ましく、これにより、少なくとも燃焼熱が放熱口15に直進して流れることはなく、また、放熱口15からゴミが入っても、そのゴミが燃焼室30に落下することも防止できる。
【0033】
〔熱電変換手段と送風機との関係〕
図4に示すように、熱電変換手段40の低温部44の主面部と送風機50とは対面し、これにより、低温部44は送風機50の風を他の部材に邪魔されることなく正面から受ける構成とされている。
具体的には、低温部44周辺の斜視図である
図5に示すように、低温部44は複数枚のフィン44aが筐体12の横幅方向Yに列設して形成され、この複数枚のフィン44aの互いの間には、上下方向Zに沿った空間S3が形成されている。
これにより、送風機50の風は、複数枚のフィン44aからなる低温部44に当たって、低温部44を効率よく冷却できると共に、低温部44に当たった風は、筐体12内の低温部44の上下方向Zに円滑に流れる。そして、上側に流れた風AR1は、
図4に示す流路55を通り、吹き出し口18から吹き出される。
【0034】
これに対し、
図5の低温部44の下側に流れた風AR2は、
図4に示すように、負圧状態になった燃焼室30内に、燃焼室30の背面12C側壁面に形成された貫通孔からなる空気導入口37を通って吸い込まれ、そして高温部42に当たって、高温部42を冷却する。このように高温部42を冷却するのは、熱電素子46の耐熱温度(本実施形態の場合、250℃)を超えた過熱による故障を防止するためである。即ち、本実施形態の場合、高温部42は送風機50の駆動と報知手段59の点灯を維持できるだけの温度であれば足り(例えば、220℃)、熱電素子46の耐熱温度を超えないように、送風機50が駆動した後は高温部42を冷却している。
なお、空気導入口37は
図3に示すように、高温部42の横幅方向Yの寸法と同様又はそれ以上の幅寸法Y1を有しているが、高さ寸法H1は小さく形成され、その開口面積は、少なくとも
図4の風AR1の流路55の断面積よりも小さい。
また、本実施形態の空気導入口37は高温部42よりも下側に配置されている。従って、空気導入口37を通過して吸い込まれた風AR2が燃焼室30内で上昇しても、風AR2を高温部42に当てることができる。しかも、
図3のように、高温部42は複数枚のフィン42aが空間S1の横幅方向Yに列設しているため、複数枚のフィン42aどうしの間を抜けるように風AR2が通り、効果的に高温部42を冷却できる。
また、本実施形態では、空気導入口37と送風機50のプロペラ51とを対面させ、送風機50の風AR3を空気導入口37から直接的に燃焼室30内に送り込んでいる。
【0035】
〔低温部の冷却について〕
上述のように、低温部44は送風機50で空冷されるが、さらに、低温部44とガスボンベ22とを熱伝導部材58を介して接続して、低温部44の冷却を図っている。即ち、
ガスボンベ22は液化ガスが収容された金属製の容器であるため、ガスが噴出するに従って次第に冷却されていくという特性を有し、この冷熱を低温部44にまわして効果的に冷却している。
本実施形態の場合、
図4及び
図5に示すように、熱伝導部材58の一方の端部58aはフィン44aの側面に接続され、他方の端部58bは上述したガスボンベ22の載置部24に接続されている。
なお、熱伝導部材58は銅や銀等の熱伝導性が良い金属材料を好適に用いることができるが、本発明はこれに限られるものではない。
【0036】
本発明の実施形態に係る燃焼機器10は以上のように構成されており、熱電変換手段40の熱起電力により送風機50を駆動できるので、ガスボンベ22の燃料だけで燃焼機器10を使用することができ、そして、熱電変換手段40で送風機50が起動するまでの所定の時間、或いは、例えば熱電変換手段40が故障した場合でも、放熱口15から燃焼熱を逃がして、筐体12の過熱を防止できる。
ところで、本発明の燃焼機器は上記実施の形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の個別の構成は、必要により省略したり、説明しない他の構成と組み合わせたりしてもよい。
例えば、
図6及び
図7に示す第1及び第2変形例に係る燃焼機器71,72を採用することもできる。
以下のこの変形例について説明する。
【0037】
〔第1変形例〕
図6は本発明の実施形態の第1変形例に係る燃焼機器71であって、
図4に対応した概略部分縦断面図である。
この図の燃焼機器71が
図1〜
図5の燃焼機器10と異なるのは、高温部42の冷却手段についてである。
即ち、燃焼室30の空間S1に露出した高温部42を空冷するための空気導入口79は、燃焼室30内の空間S1と、送風機50が配置された空間S2とを繋ぐようにして、燃焼室30の背面側の壁面30cの下側を通る流路82により形成されている。
具体的には、台部13の燃焼室30側には貫通孔81が、台部13の送風機50側には貫通孔83が、それぞれ形成されている。そして、この2つの貫通孔81,83どうしが流路82を介して空間的に繋がることで空気導入口79が形成されており、好ましくは、燃焼室30側の貫通孔81は、高温部42の真下に配置されている。さらに好ましくは、貫通孔83に比べて貫通孔81の開口面積は小さくなっている。
これにより、燃焼機器71では、送風機50から燃焼室30内に直接入る風AR3(
図4参照)はないが、低温部44に当たってから下側に流れる風AR2等は、燃焼室30内が負圧であることも手伝って、高温部42に勢いよく下から当たって、高温部42を冷却できる。
【0038】
〔第2変形例〕
図7は本発明の実施形態の第2変形例に係る燃焼機器72であり、熱電変換手段40の部分を水平方向に切断した場合の概略横断面図である。
この図の燃焼機器72が
図1〜
図5の燃焼機器10と異なるのは、高温部42の冷却手段についてである。
即ち、
図7の場合、高温部42を空冷するための空気導入口88は、燃焼室30の横幅方向Yに形成されている。具体的には、空気導入口88は、燃焼室30の横幅方向Yの壁面に形成された貫通孔であり、高温部42の横幅方向Yの両端部42b,42cに隣接して配置されるのが好ましい。
なお、
図7の高温部42も
図3のように複数枚のフィン42aからなっているが、この複数枚のフィン42aは上下方向Zに列設して、複数枚のフィン42aどうしの間に空気導入口88を通過してきた風を入れるのがよい。