特許第6031089号(P6031089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031089
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】プローブ及び画像診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20161114BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   A61B8/12
   A61B1/00 300D
   A61B1/00 300F
   A61B1/00 300P
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-507400(P2014-507400)
(86)(22)【出願日】2013年3月19日
(86)【国際出願番号】JP2013001853
(87)【国際公開番号】WO2013145635
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年1月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-69682(P2012-69682)
(32)【優先日】2012年3月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 エマ
(72)【発明者】
【氏名】森 功
【審査官】 宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−508973(JP,A)
【文献】 特開2007−268131(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/077632(WO,A2)
【文献】 特開2010−246767(JP,A)
【文献】 特表2008−510586(JP,A)
【文献】 特開2004−290548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
A61B 1/00 − 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波の送受信を行う超音波送受信部と、光の送受信を行う光送受信部とが配置された送受信部を有し、該送受信部を回転させながら超音波及び光を送信し、生体管腔内を軸方向に移動させながら、該超音波送受信部が受信した生体組織からの反射波と、該光送受信部が受信した生体組織からの反射光とを用いて、該生体組織の軸方向の超音波断層画像及び光断層画像を生成する画像診断装置に対して、反射波及び反射光を伝送可能なプローブであって、
前記超音波送受信部と前記光送受信部との方位角方向になす角度差θ[deg]が、前記超音波送受信部の前記軸方向の位置と前記光送受信部の前記軸方向の位置との間の距離L[mm]および前記送受信部の回転速度ω[r/s]に比例し、前記送受信部の軸方向の移動速度V[mm/s]に反比例するように、前記超音波送受信部及び前記光送受信部が配置されていることを特徴とするプローブ。
【請求項2】
前記超音波送受信部の前記軸方向の位置と前記光送受信部の前記軸方向の位置との間の距離L[mm]と、前記超音波送受信部と前記光送受信部との方位角方向になす角度差θ[deg]は、前記送受信部の回転速度をω[r/s]、前記送受信部の軸方向の移動速度をV[mm/s]とした場合、
L=V/ω×θ/360
の関係を満たすように、前記超音波送受信部及び前記光送受信部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記角度差θは、360[deg]未満であることを特徴とする請求項2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記生体管腔内の同一位置を前記超音波送受信部が走査するタイミングと前記光送受信部が走査するタイミングとの時間差が、10msec以下であることを特徴とする請求項3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記距離L[mm]は、150[μm]以下であることを特徴とする請求項4に記載のプローブ。
【請求項6】
前記超音波送受信部による超音波の送信方向及び前記光送受信部による光の送信方向の前記軸方向に対する仰角は、略90°であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプローブから送信された前記反射波及び前記反射光を用いて、超音波断層画像及び光断層画像を生成する画像診断装置であって、
前記超音波断層画像及び前記光断層画像の各フレームは、前記超音波送受信部と前記光送受信部とが同一の走査位置を走査した際に取得した反射波及び反射光に基づいて生成されたラインデータを用いて構築されることを特徴とする画像診断装置。
【請求項8】
超音波の送受信を行う超音波送受信部と、光の送受信を行う光送受信部とが配置された送受信部を有し、該送受信部を回転させながら超音波及び光を送信し、生体管腔内を軸方向に移動させながら、該超音波送受信部が受信した生体組織からの反射波と、該光送受信部が受信した生体組織からの反射光とを用いて、該生体組織の軸方向の超音波断層画像及び光断層画像を生成する画像診断装置に対して、反射波及び反射光を伝送可能なプローブであって、
前記超音波送受信部と前記光送受信部とは、前記軸方向に沿って配置されており、前記超音波送受信部と前記光送受信部との方位角方向になす角度差をθ[deg]、前記送受信部の回転速度をω[r/s]、前記送受信部の軸方向の移動速度をV[mm/s]とした場合、
V/ω×θ/360
の値が、600[μm]未満であることを特徴とするプローブ。
【請求項9】
前記軸方向と超音波送信方向のなす角度と、前記軸方向と光送信方向のなす角度とがほぼ等しいことを特徴とする請求項1または8に記載のプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ及び画像診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、動脈硬化の診断や、バルーンカテーテルまたはステント等の高機能カテーテルによる血管内治療時の術前診断、あるいは、術後の結果確認のために、画像診断装置が広く使用されている。
【0003】
画像診断装置には、血管内超音波診断装置(IVUS:Intra Vascular Ultra Sound)や光干渉断層診断装置(OCT:Optical Coherence Tomography)等が含まれ、それぞれに異なる特性を有している。
【0004】
更に、最近では、IVUSの機能と、OCTの機能とを組み合わせた画像診断装置も提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。このような画像診断装置によれば、高深度領域まで測定できるIVUSの特性と、高分解能で測定できるOCTの特性とを活かした断層画像を生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−56752号公報
【特許文献2】特表2010−508973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画像診断装置では、通常、血管内においてプローブ部を回転動作及び軸方向動作させながら、送受信部にて超音波または光を送受信させることで断層画像の生成を行う。このため、IVUS用の送受信部とOCT用の送受信部とを、プローブ内において上記特許文献1または2に開示されているような配置とした場合、超音波及び光の血管内における走査位置にずれが生じることとなる。IVUS用の送受信部とOCT用の送受信部は、いずれも一定のサイズを有しており、両者は径方向または軸方向にずらして配置する必要があることから、送受信位置を完全に同一にさせることができないからである。
【0007】
一方で、血管内のプラーク等の性状は、IVUSを用いて生成された断層画像とOCTを用いて生成された断層画像とを用いて観察することが有効である。このため、走査位置にずれがあった場合に、有効な観察ができない可能性がある。
【0008】
このようなことから、上述のような画像診断装置においては、IVUS用の送受信部により走査される血管内の走査位置と、OCT用の送受信部により走査される血管内の走査位置とを一致させ、完全に同一位置を観察できるようにすることが望ましい。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、超音波を送受信可能な送受信部と、光を送受信可能な送受信部とを用いて、それぞれの断層画像を生成可能な画像診断装置において、同一位置を観察できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係るプローブは以下のような構成を備える。即ち、
超音波の送受信を行う超音波送受信部と、光の送受信を行う光送受信部とが配置された送受信部を有し、該送受信部を回転させながら超音波及び光を送信し、生体管腔内を軸方向に移動させながら、該超音波送受信部が受信した生体組織からの反射波と、該光送受信部が受信した生体組織からの反射光とを用いて、該生体組織の軸方向の超音波断層画像及び光断層画像を生成する画像診断装置に対して、反射波及び反射光を伝送可能なプローブであって、
前記超音波送受信部と前記光送受信部との方位角方向になす角度差θ[deg]が、前記超音波送受信部の前記軸方向の位置と前記光送受信部の前記軸方向の位置との間の距離L[mm]および前記送受信部の回転速度ω[r/s]に比例し、前記送受信部の軸方向の移動速度V[mm/s]に反比例するように、前記超音波送受信部及び前記光送受信部が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、超音波を送受信可能な送受信部と、光を送受信可能な送受信部とを用いて、それぞれの断層画像を生成可能な画像診断装置において、同一位置を観察することが可能となる。
【0012】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1図1は、本発明の一実施形態にかかる画像診断装置100の外観構成を示す図である。
図2図2は、プローブ部の全体構成及び先端部の断面構成を示す図である。
図3図3は、イメージングコアの断面構成、ならびに超音波送受信部及び光送受信部の配置を示す図である。
図4A図4Aは、従来の画像診断装置の超音波送受信部及び光送受信部を回転動作及び軸方向動作させた場合の、走査位置を示す図である。
図4B図4Bは、画像診断装置100の超音波送受信部及び光送受信部を回転動作及び軸方向動作させた場合の、走査位置を示す図である。
図5図5は、画像診断装置100の機能構成を示す図である。
図6図6は、信号処理部の機能構成を示す図である。
図7図7は、画像診断装置100により生成される断層画像と、超音波送受信部及び光送受信部の走査位置との対応関係を説明するための図である。
図8図8は、画像診断装置100により生成される超音波信号及び光信号のラインデータとフレームとの対応関係を説明するための図である。
図9図9は、イメージングコアの断面構成、ならびに超音波送受信部及び光送受信部の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0015】
[第1の実施形態]
<1.画像診断装置の外観構成>
図1は本発明の一実施形態にかかる画像診断装置(IVUSの機能と、OCTの機能とを備える画像診断装置)100の外観構成を示す図である。
【0016】
図1に示すように、画像診断装置100は、プローブ部101と、スキャナ/プルバック部102と、操作制御装置103とを備え、スキャナ/プルバック部102と操作制御装置103とは、信号線104により各種信号が伝送可能に接続されている。
【0017】
プローブ部101は、直接血管等の体腔内に挿入され、パルス信号に基づく超音波を体腔内に送信するとともに、体腔内からの反射波を受信する超音波送受信部と、伝送された光(測定光)を連続的に体腔内に送信するとともに、体腔内からの反射光を連続的に受信する光送受信部と、を備えるイメージングコアが内挿されている。画像診断装置100では、該イメージングコアを用いることで体腔内部の状態を測定する。
【0018】
スキャナ/プルバック部102は、プローブ部101が着脱可能に取り付けられ、内蔵されたモータを駆動させることでプローブ部101に内挿されたイメージングコアの体腔内の軸方向の動作及び回転方向の動作を規定している。また、超音波送受信部において受信された反射波及び光送受信部において受信された反射光を取得し、操作制御装置103に対して送信する。
【0019】
操作制御装置103は、測定を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定により得られたデータを処理し、体腔内の断層画像として表示するための機能を備える。
【0020】
操作制御装置103において、111は本体制御部であり、測定により得られた反射波に基づいて超音波データを生成するとともに、該超音波データに基づいて生成されたラインデータを処理することで、超音波断層画像を生成する。更に、測定により得られた反射光と光源からの光を分離することで得られた参照光とを干渉させることで干渉光データを生成するとともに、該干渉光データに基づいて生成されたラインデータを処理することで、光断層画像を生成する。
【0021】
111−1はプリンタ/DVDレコーダであり、本体制御部111における処理結果を印刷したり、データとして記憶したりする。112は操作パネルであり、ユーザは該操作パネル112を介して、各種設定値及び指示の入力を行う。113は表示装置としてのLCDモニタであり、本体制御部111において生成された断層画像を表示する。
【0022】
<2.プローブ部の全体構成及び先端部の断面構成>
次に、プローブ部101の全体構成及び先端部の断面構成について図2を用いて説明する。図2に示すように、プローブ部101は、血管等の体腔内に挿入される長尺のカテーテルシース201と、ユーザが操作するために血管等の体腔内に挿入されることなく、ユーザの手元側に配置されるコネクタ部202とにより構成される。カテーテルシース201の先端には、ガイドワイヤルーメンを構成するガイドワイヤルーメン用チューブ203が設けられている。カテーテルシース201は、ガイドワイヤルーメン用チューブ203との接続部分からコネクタ部202との接続部分にかけて連続する管腔を形成している。
【0023】
カテーテルシース201の管腔内部には、超音波を送受信する超音波送受信部と光を送受信する光送受信部とが配置された送受信部221と、電気信号ケーブル及び光ファイバケーブルを内部に備え、それを回転させるための回転駆動力を伝達するコイル状の駆動シャフト222とを備えるイメージングコア220が、カテーテルシース201のほぼ全長にわたって挿通されている。
【0024】
コネクタ部202は、カテーテルシース201の基端に一体化して構成されたシースコネクタ202aと、駆動シャフト222の基端に駆動シャフト222を回動可能に固定して構成された駆動シャフトコネクタ202bとを備える。
【0025】
シースコネクタ202aとカテーテルシース201との境界部には、耐キンクプロテクタ211が設けられている。これにより所定の剛性が保たれ、急激な物性の変化による折れ曲がり(キンク)を防止することができる。
【0026】
駆動シャフトコネクタ202bの基端は、スキャナ/プルバック部102に着脱可能に取り付けられる。
【0027】
次に、プローブ部101の先端部の断面構成について説明する。カテーテルシース201の管腔内部には、超音波を送受信する超音波送受信部と光を送受信する光送受信部とが配置された送受信部221が配されたハウジング223と、それを回転させるための回転駆動力を伝送する駆動シャフト222とを備えるイメージングコア220がほぼ全長にわたって挿通されており、プローブ部101を形成している。
【0028】
送受信部221では、体腔内組織に向けて超音波及び光を送信するとともに、体腔内組織からの反射波及び反射光を受信する。
【0029】
駆動シャフト222はコイル状に形成され、その内部には電気信号ケーブル及び光ファイバケーブル(シングルモードの光ファイバケーブル)が配されている。
【0030】
ハウジング223は、短い円筒状の金属パイプの一部に切り欠き部を有した形状をしており、金属塊からの削りだしやMIM(金属粉末射出成形)等により成形される。ハウジング223は、内部に送受信部221として、超音波送受信部及び光送受信部を有し、基端側は駆動シャフト222と接続されている。また、先端側には短いコイル状の弾性部材231が設けられている。
【0031】
弾性部材231はステンレス鋼線材をコイル状に形成したものであり、弾性部材231が先端側に配されることで、イメージングコア220を前後移動させる際にカテーテルシース201内での引っかかりを防止する。
【0032】
232は補強コイルであり、カテーテルシース201の先端部分の急激な折れ曲がりを防止する目的で設けられている。
【0033】
ガイドワイヤルーメン用チューブ203は、ガイドワイヤが挿入可能なガイドワイヤ用ルーメンを有する。ガイドワイヤルーメン用チューブ203は、予め血管等の体腔内に挿入されたガイドワイヤを受け入れ、ガイドワイヤによってカテーテルシース201を患部まで導くのに使用される。
【0034】
駆動シャフト222は、カテーテルシース201に対して送受信部221を回転動作及び軸方向動作させることが可能であり、柔軟で、かつ回転をよく伝送できる特性をもつ、例えば、ステンレス等の金属線からなる多重多層密着コイル等により構成されている。
【0035】
<3.イメージングコアの断面構成>
次に、イメージングコア220の断面構成、ならびに超音波送受信部及び光送受信部の配置について説明する。図3は、イメージングコアの断面構成、ならびに超音波送受信部及び光送受信部の配置を示す図である。
【0036】
図3の30aに示すように、ハウジング223内に配された送受信部221は、超音波送受信部310と光送受信部320とを備えており、超音波送受信部310及び光送受信部320は、それぞれ、駆動シャフト222の回転中心軸上(30aの一点鎖線上)において軸方向に沿って配置されている。
【0037】
このうち、超音波送受信部310は、プローブ部101の先端側に、また、光送受信部320は、プローブ部101の基端側に配置されており、超音波送受信部310の超音波送受信位置と光送受信部320の光送受信位置との間の距離(距離間隔)がLとなるように、ハウジング223内に取り付けられている。
【0038】
また、超音波送受信部310及び光送受信部320は、駆動シャフト222の軸方向に対する、超音波送受信部310の超音波送信方向(仰角方向)、及び、光送受信部320の光送信方向(仰角方向)が、それぞれ、略90°となるようにハウジング223内に取り付けられている。また、各送信方向は、カテーテルシース201の管腔内表面での反射を受信しないように90°よりややずらすことが望ましい。
【0039】
駆動シャフト222の内部には、超音波送受信部310と接続された電気信号ケーブル311と、光送受信部320に接続された光ファイバケーブル321とが配されており、電気信号ケーブル311は、光ファイバケーブル321に対して螺旋状に巻き回されている。
【0040】
図3の30bは、超音波受信位置において、回転中心軸に略直交する面で切断した場合の断面図である。図3の30bに示すように、紙面下方向を0とした場合、超音波送受信部310の超音波送信方向(回転角方向(方位角方向ともいう))は、θとなっている。
【0041】
図3の30cは、光送受信位置において、回転中心軸に略直交する面で切断した場合の断面図である。図3の30cに示すように、紙面下方向を0とした場合、光送受信部320の光送信方向(回転角方向)は、0となっている。つまり、超音波送受信部310と光送受信部320は、超音波送受信部310の超音波送信方向(回転角方向)と、光送受信部320の光送信方向(回転角方向)とが、互いにθずれるように配置されている。
【0042】
<4.超音波送受信部と光送受信部との位置関係>
超音波送受信部310と光送受信部320との位置関係について更に詳説する。上述したように、超音波送受信部310及び光送受信部320は、回転中心軸上において軸方向に沿って、超音波送受信位置と光送受信位置との間の距離がLとなるように配置されており、かつ、超音波送信方向(回転角方向)と光送信方向(回転角方向)との角度差がθとなるように配置されている。なお、超音波送受信部310と光送受信部320を同一の軸上(回転中心軸上)に配置したのは、構築される超音波断層画像の画像中心と光断層画像の画像中心とが一致するようにするためである。
【0043】
ここで、本実施形態に係る画像診断装置100のスキャナ/プルバック部102におけるプルバック速度(軸方向の移動速度)をVPB[mm/s]、回転速度をω[r/s]とすると、超音波送受信部310による走査位置と、光送受信部320による走査位置とを一致させるためには、距離Lと角度差θが、以下のような関係を有していることが必要である。
【0044】
L[mm]=VPB[mm/s]/ω[r/s]×θ[deg]/360[deg] ・・・ (式1)
ここで、一例として、スキャナ/プルバック部102のプルバック速度VPBを20[mm/s]、回転速度ωを30[r/s](1800[rpm])とした場合の、距離Lと角度差θの適正値について以下に検討する。
【0045】
(1)同時性を考慮した場合
上式1を満たすことで、超音波送受信部310による走査位置と、光送受信部320による走査位置とを一致させることが可能となるが、超音波送受信部310による走査タイミングと光送受信部320による走査タイミングとが大きく離れていることは望ましくない。走査タイミングのずれ(時間差)が大きい場合、その間に、測定対象が変化してしまうことがありえるからである。
【0046】
このため、本実施形態に係る画像診断装置100では、同一の走査位置に対する、超音波送受信部310による走査タイミングと光送受信部320による走査タイミングのずれ(時間差)が、1フレーム未満となるようにし、両者の同時性を高める構成としている。つまり、本実施形態に係る画像診断装置100では、θ<360°となるように(つまり、L[mm]<VPB[mm/s]/ω[r/s]となるように)構成されている。
【0047】
(2)拍動を考慮した場合
血管内の断層画像を生成する場合、拍動の影響を考慮する必要があり、同一の走査位置に対する、超音波送受信部310による走査タイミングと光送受信部320による走査タイミングとの時間差における、拍動による血管内の変化は、極力抑える必要がある。一般に、走査タイミングのずれ(時間差)を10msec以下に抑えれば、拍動による血管内の変化を無視することができる(10msec以下であれば、超音波送受信部310と光送受信部320とは、ほぼ同じタイミングで走査しているとみなすことができる)。
【0048】
このようなことから、本実施形態に係る画像診断装置100では、同一の走査位置に対する、超音波送受信部310による走査タイミングと光送受信部320による走査タイミングのずれ(時間差)が、10msec以下となるようにし、拍動に対する両者の同時性を高める構成としている。つまり、本実施形態に係る画像診断装置100では、θ<108°(=10[msec]/33.3[msec/r]×360[deg])となるように構成されている。
【0049】
(3)送受信部サイズを考慮した場合
プローブ部101は、直接血管等の体腔内に挿入されるものであり、低侵襲の観点及び細径の血管への挿入等を考慮すると、送受信部221の軸方向の長さは、600[μm]未満、望ましくは500[μm]程度に抑える必要がある。そして、超音波送受信部310及び光送受信部320の製造可能な最小サイズを考慮すると、距離Lは150[μm]以下に抑えることが望ましい。
【0050】
このようなことから、本実施形態に係る画像診断装置100では、θ≦90°(=150[μm]/20[mm/s]/30[r/s]×360[deg])となるように構成されている。
【0051】
<5.走査位置についての説明>
超音波送受信部310と光送受信部320との上記位置関係により、本実施形態に係る画像診断装置100では、同一の走査位置を走査することが可能となる。以下、図4A及び図4Bを用いて、超音波送受信部310の走査位置と光送受信部320の走査位置との関係について説明する。
【0052】
このうち、図4Aは、比較のために、従来の画像診断装置の超音波送受信部と光送受信部を回転動作及び軸方向動作させた場合の走査位置関係(超音波送受信部と光送受信部とが同一の走査位置を走査するように、L及びθが規定されていない場合の走査位置関係)を示している。
【0053】
図4Aの40a〜40cにおいて、横軸は、血管等の体腔の軸方向の位置座標を、縦軸は、血管等の体腔の径方向の位置座標をそれぞれ示している。
【0054】
このうち、40aは超音波送受信部の走査軌跡を、40bは光送受信部の走査軌跡をそれぞれ示している。
【0055】
図4Aの例では、超音波送受信部の超音波送信方向(回転角方向)と、光送受信部の光送信方向(回転角方向)との角度差θが0°、回転中心軸上において軸方向に沿った、超音波送受信位置と光送受信位置との間の距離LがL1となるように配置されている。
【0056】
この場合、送受信部を回転動作及び軸方向動作させると、図4Aの40cに示すように、超音波送受信部の走査軌跡と、光送受信部の走査軌跡とがずれることとなる(つまり、超音波送受信部の走査位置と、光送受信部の走査位置とが同一とならない)。
【0057】
一方、図4Bは、超音波送受信部310と光送受信部320とを上式(1)の関係を有するように構成した場合の、走査位置関係を示している。
【0058】
図4Bの例では、超音波送受信部の超音波送信方向(回転角方向)と、光送受信部の光送信方向(回転角方向)との角度差θがθ2、回転中心軸上において軸方向に沿った、超音波送受信位置と光送受信位置との間の距離LがL2となるように配置されている。
【0059】
この場合、送受信部221を回転動作及び軸方向動作させると、図4Bの41cに示すように、超音波送受信部310の走査軌跡と、光送受信部320の走査軌跡とが一致することとなる(つまり、超音波送受信部310の走査位置と、光送受信部320の走査位置とが同一となる)。
【0060】
<6.画像診断装置の機能構成>
次に、画像診断装置100の機能構成について説明する。図5は、IVUSの機能とOCT(ここでは、例として波長掃引型OCT)の機能とを組み合わせた画像診断装置100の機能構成を示す図である。なお、IVUSの機能と他のOCTの機能とを組み合わせた画像診断装置についても、同様の機能構成を有するため、ここでは説明を省略する。
【0061】
(1)IVUSの機能
イメージングコア220は、先端内部に超音波送受信部310を備えており、超音波送受信部310は、超音波信号送受信器552より送信されたパルス波に基づいて、超音波を生体組織に送信するとともに、その反射波(エコー)を受信し、アダプタ502及びスリップリング551を介して超音波エコーとして超音波信号送受信器552に送信する。
【0062】
なお、スリップリング551の回転駆動部側は回転駆動装置504のラジアル走査モータ505により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ505の回転角度は、エンコーダ部506により検出される。更に、スキャナ/プルバック部102は、直線駆動装置507を備え、信号処理部528からの信号に基づいて、イメージングコア220の軸方向動作を規定する。
【0063】
超音波信号送受信器552は、送信波回路と受信波回路とを備える(不図示)。送信波回路は、信号処理部528から送信された制御信号に基づいて、イメージングコア220内の超音波送受信部310に対してパルス波を送信する。
【0064】
また、受信波回路は、イメージングコア220内の超音波送受信部310より超音波信号を受信する。受信された超音波信号はアンプ553により増幅された後、検波器554に入力され検波される。
【0065】
更に、A/D変換器555では、検波器554より出力された超音波信号を30.6MHzで200ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(超音波データ)を生成する。なお、ここでは、30.6MHzとしているが、これは音速を1530m/secとしたときに、深度5mmに対して200ポイントサンプリングすることを前提として算出されたものである。したがって、サンプリング周波数は特にこれに限定されるものではない。
【0066】
A/D変換器555にて生成されたライン単位の超音波データは信号処理部528に入力される。信号処理部528では、超音波データをグレースケールに変換することにより、血管等の体腔内の各位置での超音波断層画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ113に出力する。
【0067】
なお、信号処理部528はモータ制御回路529と接続され、モータ制御回路529のビデオ同期信号を受信する。信号処理部528では、受信したビデオ同期信号に同期して超音波断層画像の構築を行う。
【0068】
また、このモータ制御回路529のビデオ同期信号は、回転駆動装置504にも送られ、回転駆動装置504はビデオ同期信号に同期した駆動信号を出力する。
【0069】
(2)波長掃引型OCTの機能
508は波長掃引光源(Swept Laser)であり、SOA515(semiconductor optical amplifier)とリング状に結合された光ファイバ516とポリゴンスキャニングフィルタ(508b)よりなる、Extended−cavity Laserの一種である。
【0070】
SOA515から出力された光は、光ファイバ516を進み、ポリゴンスキャニングフィルタ508bに入り、ここで波長選択された光は、SOA515で増幅され、最終的にcoupler514から出力される。
【0071】
ポリゴンスキャニングフィルタ508bでは、光を分光する回折格子512とポリゴンミラー509との組み合わせで波長を選択する。具体的には、回折格子512により分光された光を2枚のレンズ(510、511)によりポリゴンミラー509の表面に集光させる。これによりポリゴンミラー509と直交する波長の光のみが同一の光路を戻り、ポリゴンスキャニングフィルタ508bから出力されることとなる。つまり、ポリゴンミラー509を回転させることで、波長の時間掃引を行うことができる。
【0072】
ポリゴンミラー509は、例えば、32面体のミラーが使用され、回転数が50000rpm程度である。ポリゴンミラー509と回折格子512とを組み合わせた波長掃引方式により、高速、高出力の波長掃引が可能である。
【0073】
Coupler514から出力された波長掃引光源508の光は、第1のシングルモードファイバ540の一端に入射され、先端側に伝送される。第1のシングルモードファイバ540は、途中の光カップラ部541において第2のシングルモードファイバ545及び第3のシングルモードファイバ544と光学的に結合されている。従って、第1のシングルモードファイバ540に入射された光は、この光カップラ部541により最大で3つの光路に分割されて伝送される。
【0074】
第1のシングルモードファイバ540の光カップラ部541より先端側には、非回転部(固定部)と回転部(回転駆動部)との間を結合し、光を伝送する光ロータリジョイント(光カップリング部)503が回転駆動装置504内に設けられている。
【0075】
更に、光ロータリジョイント(光カップリング部)503内の第4のシングルモードファイバ542の先端側には、プローブ部101の第5のシングルモードファイバ543がアダプタ502を介して着脱自在に接続されている。これによりイメージングコア220内に挿通され回転駆動可能な第5のシングルモードファイバ543に、波長掃引光源508からの光が伝送される。
【0076】
伝送された光は、イメージングコア220の光送受信部320から生体管腔内の生体組織に対して回転動作及び軸方向動作しながら照射される。そして、生体組織の表面あるいは内部で散乱した反射光の一部がイメージングコア220の光送受信部320により取り込まれ、逆の光路を経て第1のシングルモードファイバ540側に戻る。さらに、光カップラ部541によりその一部が第2のシングルモードファイバ545側に移り、第2のシングルモードファイバ545の一端から出射された後、光検出器(例えばフォトダイオード524)にて受光される。
【0077】
なお、光ロータリジョイント503の回転駆動部側は回転駆動装置504のラジアル走査モータ505により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ505の回転角度は、エンコーダ部506により検出される。更に、スキャナ/プルバック部102は、直線駆動装置507を備え、信号処理部528からの指示に基づいて、イメージングコア220の軸方向動作を規定する。
【0078】
一方、第3のシングルモードファイバ544の光カップラ部541と反対側の先端には、参照光の光路長を微調整する光路長の可変機構532が設けられている。
【0079】
この光路長の可変機構532はプローブ部101を交換して使用した場合の個々のプローブ部101の長さのばらつきを吸収できるよう、その長さのばらつきに相当する光路長を変化させる光路長変化手段を備えている。
【0080】
第3のシングルモードファイバ544およびコリメートレンズ518は、その光軸方向に矢印523で示すように移動自在な1軸ステージ522上に設けられており、光路長変化手段を形成している。
【0081】
具体的には、1軸ステージ522はプローブ部101を交換した場合に、プローブ部101の光路長のばらつきを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する光路長変化手段として機能する。さらに、1軸ステージ522はオフセットを調整する調整手段としての機能も備えている。例えば、プローブ部101の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージにより光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置からの反射光と干渉させる状態に設定することが可能である。
【0082】
1軸ステージ522で光路長が微調整され、グレーティング519、レンズ520を介してミラー521にて反射された光は第3のシングルモードファイバ544の途中に設けられた光カップラ部541で第1のシングルモードファイバ540側から得られた光と混合されて、フォトダイオード524にて受光される。
【0083】
このようにしてフォトダイオード524にて受光された干渉光は光電変換され、アンプ525により増幅された後、復調器526に入力される。この復調器526では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力は干渉光信号としてA/D変換器527に入力される。
【0084】
A/D変換器527では、干渉光信号を例えば180MHzで2048ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。なお、サンプリング周波数を180MHzとしたのは、波長掃引の繰り返し周波数を40kHzにした場合に、波長掃引の周期(12.5μsec)の90%程度を2048点のデジタルデータとして抽出することを前提としたものであり、特にこれに限定されるものではない。
【0085】
A/D変換器527にて生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部528に入力される。測定モードの場合、信号処理部528では干渉光データをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータ(ラインデータ)を生成し、これを座標変換することにより、血管等の体腔内の各位置での光断層画像を構築し、所定のフレームレートでLCDモニタ113に出力する。
【0086】
信号処理部528は、更に光路長調整手段制御装置530と接続されている。信号処理部528は光路長調整手段制御装置530を介して1軸ステージ522の位置の制御を行う。
【0087】
<7.信号処理部の機能構成>
次に、画像診断装置100の信号処理部528において、断層画像を構築するための、信号処理部528の機能構成について図6を用いて説明する。なお、以下に説明する構築処理は、専用のハードウェアを用いて実現されてもよいし、ソフトウェアにより(コンピュータがプログラムを実行することにより)実現されてもよい。
【0088】
図6は、画像診断装置100の信号処理部528における構築処理を実現するための機能構成ならびに関連する機能ブロックを示した図である。
【0089】
図6に示すように、A/D変換器527で生成された干渉光データ621は、信号処理部528内のラインデータ生成部601において、モータ制御回路529から出力されるラジアル走査モータ505のエンコーダ部506の信号を用いて、ラジアル走査1回転あたりのライン数が512本となるように処理される。
【0090】
なお、ここでは一例として、512ラインから光断層画像を構築することとしているが、このライン数に限定されるものではない。
【0091】
ラインデータ生成部601より出力されたラインデータ622は、制御部605からの指示に基づいて、ラジアル走査1回転分ごとに、ラインデータメモリ602に格納される。このとき、制御部605では、直線駆動装置507の移動量検出器より出力されたパルス信号641をカウントしておき、ラインデータ622をラインデータメモリ602に格納する際、それぞれのラインデータ622を生成した際のカウント値を対応付けて格納する。
【0092】
カウント値と対応付けて格納されたラインデータ623は、制御部605からの指示に基づいて、光断層画像構築部603にて各種処理(ライン加算平均処理、フィルタ処理等)が施された後、Rθ変換されることで、順次光断層画像624として出力される。
【0093】
更に、画像処理部604において、LCDモニタ113に表示するための画像処理が施された後、光断層画像625としてLCDモニタ113に出力される。
【0094】
同様に、A/D変換器555で生成された超音波データ631は、信号処理部528内のラインデータ生成部611において、モータ制御回路529から出力されるラジアル走査モータ505のエンコーダ部506の信号を用いて、ラジアル走査1回転あたりのライン数が512本となるように処理される。
【0095】
ラインデータ生成部611より出力されたラインデータ632は、制御部605からの指示に基づいて、ラジアル走査1回転分ごとに、ラインデータメモリ612に格納される。このとき、制御部605では、直線駆動装置507の移動量検出機より出力されたパルス信号641をカウントしておき、ラインデータ632をラインデータメモリ612に格納する際、それぞれのラインデータ632を生成した際のカウント値を対応付けて格納する。
【0096】
なお、ラジアル走査1回転分ごとに格納されるラインデータ632と対応付けて格納されるカウント値は、ラジアル走査1回転分ごとに格納されるラインデータ622と対応付けて格納されるカウント値とは、超音波送信方向(回転角方向)と光送信方向(回転角方向)との角度差θに対応するカウント値だけずれている。図7及び図8を用いて詳説する。
【0097】
図7は、画像診断装置100により生成される超音波断層画像及び光断層画像と、超音波送受信部310及び光送受信部320の走査位置との対応関係を示す図であり、図8は、画像診断装置100により生成される超音波データ及び干渉光データのラインデータ632、622とフレームとの対応関係を説明するための図である。
【0098】
図7の70a、70bにおいて、横軸は時間を、縦軸は血管等の体腔の径方向の位置座標をそれぞれ示している。また、70aは超音波送受信部310の走査軌跡を、70bは光送受信部320の走査軌跡をそれぞれ示している。
【0099】
上述したように、超音波送信方向(回転角方向)と光送信方向(回転角方向)とは、θの角度差を有しているため、同時にラジアル走査を開始すると、各時間において超音波送受信部310の走査位置と光送受信部320の走査位置とは異なることとなる(例えば、ラジアル走査開始した時点で、超音波送受信部310は、参照番号701に示す走査位置を走査するのに対して、光送受信部320は、参照番号711に示す走査位置を走査する)。
【0100】
このため、超音波断層画像1フレーム分のラインデータ632と、光断層画像1フレーム分のラインデータ622とを、同じタイミングで取り込む構成としてしまうと、それぞれの断層画像は、互いに異なる走査位置のラインデータを用いて構築されてしまうこととなる。
【0101】
このようなことから、本実施形態に係る画像診断装置100では、超音波送信方向(回転角方向)と光送信方向(回転角方向)との角度差分の時間差をもって、ラジアル走査1回転分のラインデータを取り込む構成としている。
【0102】
例えば、超音波断層画像702は、タイミング703にて取得されたラインデータをラジアル走査1回転分の1本目のラインデータとして格納し、タイミング704にて取得されたラインデータをラジアル走査1回転分の512本目のラインデータとして格納することで構築された超音波断層画像である。
【0103】
一方、光断層画像712は、タイミング711にて取得されたラインデータをラジアル走査1回転分の1本目のラインデータとして格納し、タイミング714にて取得されたラインデータをラジアル走査1回転分の512本目のラインデータとして格納することで構築された光断層画像である。
【0104】
図8の80aは、このようにしてラインデータメモリ612に格納されたラインデータ632の一例を示す図であり、図8の80bは、ラインデータメモリ602に格納されたラインデータ622の一例を示す図である。
【0105】
図8の80aと図8の80bとの対比からわかるように、ラジアル走査1回転分のラインデータ632は、ラジアル走査1回転分のラインデータ622とは、角度差θ分だけずれてラインデータメモリ612に格納されることとなる。
【0106】
図6の説明に戻る。カウント値と対応付けて格納されたラインデータ633は、制御部605からの指示に基づいて、超音波断層画像構築部613にて各種処理(ライン加算平均処理、フィルタ処理等)が施された後、Rθ変換されることで、順次超音波断層画像634として出力される。
【0107】
更に、画像処理部604において、LCDモニタ113に表示するための画像処理が施された後、超音波断層画像635としてLCDモニタ113に出力される。
【0108】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る画像診断装置100では、超音波送受信部310及び光送受信部320を回転中心軸上において軸方向に沿って配置するにあたり、スキャナ/プルバック部におけるプルバック速度及び回転速度に対応する配置とした。
【0109】
また、超音波送受信部310と光送受信部320との間の距離および回転角方向の角度差を、両者の測定の同時性及び拍動の影響、ならびに送受信部サイズを考慮して決定する構成とした。
【0110】
更に、超音波送受信部310と光送受信部320との間の回転角方向の角度差に応じて、超音波断層画像1フレームの構築に用いられるラインデータ及び光断層画像1フレームの構築に用いられるラインデータを決定する構成とした。
【0111】
この結果、超音波送受信部と光送受信部とを用いて、それぞれの断層画像を生成可能な画像診断装置において、同一位置を観察することが可能となった。
【0112】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、超音波送受信部310及び光送受信部320を回転中心軸上において軸方向に沿って配置する構成としたが本発明はこれに限定されず、回転中心軸からずらして配置する構成としてもよい。超音波画像生成時及び光断層画像生成時の画像処理によりそれぞれの画像中心を調整可能であるため、超音波送受信部310と光送受信部320とは、必ずしも回転中心軸上に配置させる必要がないからである。
【0113】
図9は、本実施形態に係る画像診断装置における、イメージングコアの断面構成、ならびに超音波送受信部及び光送受信部の配置を示す図である。なお、ここでは図3との相違点を中心に説明する。
【0114】
図9に示すように、本実施形態に係る画像診断装置では、超音波送受信部310及び光送受信部320は、回転中心軸に対して距離rだけ離れた位置において配置されており、かつ、超音波送信方向(回転角方向)と光送信方向(回転角方向)との角度差がθとなるように配置されている。
【0115】
このように、回転中心軸から等距離の位置において軸方向に沿って配置するように構成することで、上記第1の実施形態と同様に、超音波送受信部と光送受信部とは、同一位置を観察することができる。
【0116】
[第3の実施形態]
上記第1の実施形態では、超音波送受信部310を先端側に、光送受信部320を基端側に配置する構成としたが、本発明はこれに限定されず、光送受信部320を先端側に、超音波送受信部310を基端側に配置する構成としてもよい。
【0117】
また、上記第1の実施形態では、構築された超音波断層画像と光断層画像の表示態様について特に言及しなかったが、超音波断層画像と光断層画像は、血管等の体腔内の軸方向の各位置に対応する各断層画像を、並列して表示させるように構成してもよいし、画像中心が一致するように重畳して表示させるように構成してもよい。
【0118】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0119】
本願は、2012年3月26日提出の日本国特許出願特願2012−069682を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。
図1
図2
図3
図5
図6
図8
図9
図4A
図4B
図7