(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031123
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】排気ガスシステムを備えるエンジンブロック構造
(51)【国際特許分類】
F01N 3/28 20060101AFI20161114BHJP
F02B 67/00 20060101ALI20161114BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20161114BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20161114BHJP
F02F 7/00 20060101ALI20161114BHJP
B60K 13/04 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
F01N3/28 301V
F02B67/00 K
F01N3/08 B
F01N3/24 E
F01N3/28 301E
F01N3/28 M
F02B67/00 F
F02F7/00 N
B60K13/04 A
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-551571(P2014-551571)
(86)(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公表番号】特表2015-509160(P2015-509160A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】EP2013000066
(87)【国際公開番号】WO2013104543
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2014年9月10日
(31)【優先権主張番号】102012000591.1
(32)【優先日】2012年1月14日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ショペンゲル
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・ペペ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ライトシェーフ
(72)【発明者】
【氏名】ユッタ エリーザベット・ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス・シューバート
【審査官】
石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−012563(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/111254(WO,A1)
【文献】
特開2010−083331(JP,A)
【文献】
特開2009−133228(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/045847(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンブロック(2)及び排気ガスシステム(3)を備えるエンジンブロック構造(1)であり、前記排気ガスシステム(3)が、排気ガス流の流れる方向に見て、排気ガスターボチャージャ(5)、酸化触媒コンバータ(7)、尿素水溶液添加装置(9)、微粒子フィルタ(43)及びSCR触媒コンバータ(45)を連続して配置する形で具備しているエンジンブロック構造であって、
前記排気ガスターボチャージャ(5)、前記酸化触媒コンバータ(7)、前記尿素水溶液添加装置(9)、前記微粒子フィルタ(43)及び前記SCR触媒コンバータ(45)が一緒に、前記エンジンブロック(2)の面に沿って、前記エンジンブロックに配置されており、前記面は、前記エンジンブロック(2)のアウトプット側(15)に対して垂直に向けられており、前記排気ガスターボチャージャ(5)が、少なくとも実質的に排気マニホールド(25)の上方に配置されており、
前記排気ガスターボチャージャ(5)、前記酸化触媒コンバータ(7)、前記尿素水溶液添加装置(9)、前記微粒子フィルタ(43)及び前記SCR触媒コンバータ(45)は、前記排気ガス流が前記排気ガスターボチャージャ(5)の出口から前記SCR触媒コンバータ(45)の出口までに、約180°の方向転換を少なくとも1回行うように互いに配置されており、
前記微粒子フィルタ(43)と前記SCR触媒コンバータ(45)とが実質的に前記エンジンブロック(2)の長手方向に前後に並んで配置されていること、および
前記微粒子フィルタ(43)と前記SCR触媒コンバータ(45)とが一緒に前記酸化触媒コンバータ(7)のものとは別の1つの容器(11)内に配置されていることを特徴とする、エンジンブロック構造(1)。
【請求項2】
前記微粒子フィルタ(43)が、インレットダクト及びアウトレットダクトを有し、少なくとも前記インレットダクトの壁はSCR触媒層を有していることを特徴とする、請求項1に記載のエンジンブロック構造(1)。
【請求項3】
前記排気ガスターボチャージャ(5)と前記酸化触媒コンバータ(7)とがパイプライン(29)によって互いに接続されており、前記パイプラインが、実質的に前記エンジンブロック(2)の長手方向に通っており、排気ガスターボチャージャ出口から酸化触媒コンバータ入口までの前記排気ガスの流動長さが300mmよりも短いことを特徴とする、請求項1又は2に記載のエンジンブロック構造(1)。
【請求項4】
前記酸化触媒コンバータ(7)と前記微粒子フィルタ(43)とがパイプライン(31)によって互いに接続されており、前記排気ガス流が、酸化触媒コンバータ出口から微粒子フィルタ入口までに、実質的に90°の方向転換を1回行うか、又は実質的に180°の方向転換を2回行うように互いに配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のエンジンブロック構造(1)。
【請求項5】
前記酸化触媒コンバータ(7)と前記微粒子フィルタ(43)との間のパイプライン(31)が混合区間(33)を具備し、前記混合区間に沿って、前記尿素水溶液添加装置(9)が配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のエンジンブロック構造(1)。
【請求項6】
前記混合区間(33)が、混合装置(35)を有していることを特徴とする、請求項5に記載のエンジンブロック構造(1)。
【請求項7】
前記酸化触媒コンバータ(7)が、実質的に前記排気マニホールド(25)の上方に配置されていることを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のエンジンブロック構造(1)。
【請求項8】
前記微粒子フィルタ(43)と前記SCR触媒コンバータ(45)とが、実質的に前記排気マニホールド(25)の下方に、及び少なくとも実質的にエンジンキャリア(27)の上方に配置されていることを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のエンジンブロック構造(1)。
【請求項9】
前記微粒子フィルタ(43)と前記SCR触媒コンバータ(45)とが、前記排気ガスターボチャージャ(5)に対してほぼ中心に配置されていることを特徴とする、請求項8に記載のエンジンブロック構造(1)。
【請求項10】
前記排気ガスターボチャージャ(5)が、前記エンジンブロック(2)の前記アウトプット側(15)の反対側よりも、前記エンジンブロック(2)の前記アウトプット側(15)により近く配置されており、前記酸化触媒コンバータ(7)は、前記アウトプット側(15)よりも前記アウトプット側(15)の反対側により近く配置されていることを特徴とする、請求項1〜9のうちいずれか一項に記載のエンジンブロック構造(1)。
【請求項11】
前記排気ガスターボチャージャ(5)と前記酸化触媒コンバータ(7)とは、前記排気ガス流が排気ガスターボチャージャ出口から酸化触媒コンバータ入口までに、実質的に90°の方向転換を1回行うように互いに配置されており、前記酸化触媒コンバータ(7)を通る前記排気ガスは、前記エンジンブロック(2)の長手方向に対して実質的に垂直に向いている方向に流れることを特徴とする、請求項1〜10のうちいずれか一項に記載のエンジンブロック構造(1)。
【請求項12】
前記排気ガスターボチャージャ(5)が、前記エンジンブロック(2)の前記アウトプット側(15)よりも、前記アウトプット側(15)の反対側により近く配置されており、前記酸化触媒コンバータ(7)は、前記エンジンブロック(2)の前記アウトプット側(15)の反対側よりも前記アウトプット側(15)により近く配置されていることを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のエンジンブロック構造(1)。
【請求項13】
前記酸化触媒コンバータ(7)は前記混合区間(33)に対して、及び前記混合区間(33)は前記微粒子フィルタ(43)に対して、前記排気ガス流が酸化触媒コンバータ出口から前記混合区間(33)への入口までに、実質的に180°の方向転換を1回行い、前記排気ガス流は、前記混合区間(33)の出口から前記微粒子フィルタ(43)の入口までに、実質的に180°の方向転換を1回行うように配置されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載のエンジンブロック構造(1)。
【請求項14】
前記微粒子フィルタ(43)と前記SCR触媒コンバータ(45)とが、実質的に前記排気ガスターボチャージャ(5)の下方に、また実質的に前記酸化触媒コンバータ(7)の下方に配置されていることを特徴とする、請求項1〜13のうちいずれか一項に記載のエンジンブロック構造(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に基づく排気ガスシステムを備えるエンジンブロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガスシステムのコンポーネントがエンジンブロックの近くに配置されているエンジンブロック構造がすでに知られている。非特許文献1から、排気ガスシステムを備えるエンジンブロック構造が知られており、ここでは内燃機関がディーゼルエンジンである排気ガスシステムは、酸化触媒コンバータ及び微粒子フィルタを具備している。両方のエレメントは、エンジンブロック側のハウジング内に一緒に配置されている。このことは、これらのエレメントが非常に急速に作動温度に到達する、及びエンジンからコンポーネントまでの区間がより長いことによって生じる排気ガスの温度損失を小さく維持できる、という利点を有している。この周知の排気ガスシステムには、エンジン付近に配置されている排気ガス浄化コンポーネントが2つしかない。複雑な排気ガスシステムの場合、詳細には選択的触媒反応のためのそのような補助的触媒コンバータ(SCR触媒コンバータ)を備える排気ガスシステムの場合、取付けスペースの理由から、通常、エンジン付近に配置することは不可能である。SCR触媒コンバータは、とくにディーゼル型内燃機関の排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を軽減するために使用される。このために、混合区間の範囲において、尿素水溶液が排気ガス流の中に送り込まれ、このとき、混合区間は、尿素水溶液と排気ガスとを完全に混合するために用いられるが、他方では反応区間としても用いられ、この区間に沿って尿素と水が反応し、アンモニアと二酸化炭素が発生する。このアンモニアは、次にSCR触媒コンバータ内で排気ガス流の窒素酸化物と反応するため、その濃度は低下する。混合区間の機能を保証するため、この区間はある程度の長さを有していなければならない。従って、SCR触媒コンバータは、通常、車両のアンダフロア部分に配置され、これによって、エンジンブロックからSCR触媒コンバータまで、十分な長さの距離を排気ガス流のために提供している。このことは、排気ガス流内で温度損失及び圧力損失が生じるという欠点を有している。さらに、尿素水溶液を添加するためのセンサならびにSCR触媒コンバータを複雑に配置し、車両エレクトロニクスに接続しなければならない。また、車両アンダフロア部分のコンポーネントの配置は車両モデルによって異なっているため、排気ガスシステムの多数のバリエーションが必要であり、このことが物流管理の問題及び高コストの原因となっている。
【0003】
特許文献1から、微粒子フィルタ及びSCR触媒コンバータのコンパクトな配置が知られており、ここでは、微粒子フィルタとSCR触媒コンバータとが、実質的にS字形に通るパイプによって接続されている。このことにより、コンポーネントを隣り合って並べるコンパクトな配置と同時に、コンポーネント間の混合区間を十分に長くすることが可能となる。それにもかかわらず、このコンパクトな配置も車両のアンダフロア部分に設けられているために、相応の欠点が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP 2 123 878 A1
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】MTZ 10、2011年、763〜768頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は上述の欠点をもたない、排気ガスシステムを備えるエンジンブロック構造を提供することである。とくに、排気ガス流内の温度損失及び圧力損失ができるかぎり回避され、センサの接続及び配置が、とりわけSCR触媒コンバータの部分で単純化され、また車両モデルとは無関係に配置が実現されることになるため、確保しなければならないバリエーションの数が大いに軽減される課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に基づく、エンジンブロック及び排気ガスシステムを備えるエンジンブロック構造を作ることによって解決される。この場合、排気ガスシステムは、排気ガス流の流れる方向に見て、連続して配置された以下のコンポーネントを具備している。すなわち、排気ガスターボチャージャ、尿素水溶液添加装置、微粒子フィルタ及びSCR触媒コンバータである。エンジンは内燃機関として形成されており、好ましくはディーゼルエンジンである。このエンジンブロック構造は、排気ガスターボチャージャ、酸化触媒コンバータ、尿素水溶液点火装置、微粒子フィルタ及びSCR触媒コンバータが一緒に、エンジンブロックの面に沿って、同エンジンブロックに取り付けられていることを特徴とする。この場合、排気ガスシステムのコンポーネントが取り付けられている面は、エンジンブロックのアウトプット側に対して垂直に向けられている。アウトプット側という用語は、トランスミションが配置されるエンジンブロックの側に該当する。内燃機関がディーゼルエンジンとして形成されている場合、酸化触媒コンバータは、有利には、ディーゼル酸化触媒コンバータとして形成されている。これと同様に、微粒子フィルタも、有利には、ディーゼル微粒子フィルタとして形成されている。排気ガスシステムのコンポーネントをエンジンブロックの1つの同じ面に一緒に配置することにより、これらのコンポーネントは互いにかなり接近して、かつエンジン付近に配置されているため、これらはエンジンの排熱によって加熱される、つまり、急速にそれらの作動温度に達し、その温度が維持される。さらに、結果的に、とくに配管の長さが少なくなることから、排気ガス流内での温度損失及び圧力損失が大幅に回避される。この配置は、排気ガスシステムがエンジンブロックと、いわば一体となって、アッセンブリとして形成されているため、実際の車両モデルに左右されない。すなわち、排気ガスシステムをこのエンジンブロックと完全に一体にして、車両のエンジンルーム内に収納することができる。排気ガスシステムの上述のコンポーネントのいずれも、車両のアンダフロア部分には収納されない。すべてのコンポーネントをエンジンブロックの1つの面に一緒に配置することにより、排気ガスシステム用のセンサの配置と接続も大幅に単純化される。
【0008】
微粒子フィルタとSCR触媒コンバータとが1つの容器内に一緒に配置されていることを特徴とするエンジンブロック構造も有利である。この容器はコンビボックスとも呼ばれ、通常は、ハウジング内への排気ガスの供給を行うインテークファネルと、浄化された排気ガスをハウジングから排気するためのエグゾーストファネルとを備えるスチール製ハウジングとして形成されている。共通のハウジング内に密接に隣り合う配置により、とくに、微粒子フィルタとSCR触媒コンバータとの間の温度損失及び圧力損失が大幅に回避される。
【0009】
さらに、微粒子フィルタがインレットダクト及びアウトレットダクトを有し、インレットダクトの壁が選択的触媒反応層、すなわちSCR触媒層を有することを特徴とするエンジンブロック構造も有利である。有利には、アウトレットダクトの壁もSCR触媒層を有している。これにより、すでに微粒子フィルタでも、とくに窒素酸化物還元に関して、選択的触媒作用を発揮することができる。下流に接続されているSCR触媒コンバータのNOx低減に追加して行われるこのNOx低減により、NOx排出値をとくに低くすることができる。
【0010】
請求項1に記載の排気ガスシステムのコンポーネントは、排気ガス流が排気ガスターボチャージャの出口からSCR触媒コンバータの出口までに、約180°のメイン排気ガス流動方向の方向転換を少なくとも1回行うように互いに配置されていることを特徴とするエンジンブロック構造が有利である。約180°の方向転換が1回設けられている場合、好ましくは、エンジンブロックの長さを2回利用して、排気ガスシステムのコンポーネントが同エンジンブロックに配置される。約180°の方向転換が2回設けられている場合、エンジンブロックの長さは、それに対応して3回利用される。同様に、180°の方向転換を3回以上設けることも可能である。方向転換の数により、とくに、排気ガスシステムのコンポーネント、すなわち排気ガスターボチャージャ、酸化触媒コンバータ、尿素水溶液添加装置、微粒子フィルタ及びSCR触媒コンバータの配置を、実際のエンジンブロックに合わせて、とりわけその長さに合わせて調整することが可能となる。従って、より大きな取付け長さを備えるエンジンブロックの場合は、180°の方向転換を1回だけ設ければ十分である。僅かな取付け長さしか使用できない場合は、例えば、180°の方向転換を2回以上設けることもできる。
【0011】
排気ガスターボチャージャと酸化触媒コンバータとがパイプラインによって互いに接続されており、このパイプラインが、実質的にエンジンブロックの長手方向に通っていることを特徴とするエンジンブロック構造も有利である。この場合、長手方向は、エンジンブロックのアウトプット側からその反対側へ通るエンジンブロックの方向に該当する。エンジンブロックのアウトプット側の反対側は、好ましくはここにバイブレーションダンパが設けられていることから、バイブレーションダンパ側とも呼ばれる。以下の説明でバイブレーションダンパ側という用語が使用されていても、このことを、バイブレーションダンパがこの側に必ず取り付けられているというように、限定的な意味に理解してはならない。そうではなく、この用語は、単にエンジンブロックのアウトプット側の反対側に対して使用される。このエンジンブロック構造では、排気ガスターボチャージャ出口から酸化触媒コンバータ入口までの排気ガスの流動長さが300mmよりも短い。有利には、この長さは200mmである。
【0012】
酸化触媒コンバータと微粒子フィルタとがパイプラインによって互いに接続されており、排気ガス流が酸化触媒コンバータ出口から微粒子フィルタ入口までに、実質的に90°の方向転換を1回行うように互いに配置されていることを特徴とするエンジンブロック構造が有利である。このことは、とくに、比較的大きな取付け長さが排気ガスシステムのコンポーネントのために使用できる場合に設けられている。とりわけ、このことは、エンジンブロックが車両内で長手方向に取り付けられる場合に当てはまる。使用できる取付け長さがこれより小さい場合、このことは、とくにエンジンブロックが横向きに取り付けられているケースであり得るが、好ましくは、排気ガスが酸化触媒コンバータ出口から微粒子フィルタ入口までに、実質的に180°の方向転換を2回行うようになっている。すなわち、排気ガス流は、酸化触媒コンバータから出た後で180°向きを変え、好ましくはある程度の区間を戻って、最後に2度目の180°の方向転換をすることから、排気ガス流は、酸化触媒コンバータの中に流入した方向と実質的に同じ方向で微粒子フィルタの中に流入する。
【0013】
酸化触媒コンバータと微粒子フィルタとの間のパイプラインが混合区間を具備し、この混合区間に沿って、尿素水溶液添加装置及び好ましくはとくに静的な混合装置が配置されていることを特徴とするエンジンブロック構造も有利である。この混合装置は、尿素水溶液と排気ガス流との完全な混合に用いられる。酸化触媒コンバータと微粒子フィルタとの間のパイプラインは、有利には、排気ガス中に送り込まれる尿素の少なくともほぼ完全な熱分解及び/又は加水分解を可能にするのに十分な長さによって形成されている。
【0014】
排気ガスターボチャージャが、実質的に、好ましくは完全に排気マニホールドの上方に配置されていることを特徴とするエンジンブロック構造が有利である。これにより、エンジンブロックに排気ガスシステムを配置するための追加の取付けスペースが得られる。
【0015】
酸化触媒コンバータが、実質的に排気マニホールドの上方に配置されていることを特徴とするエンジンブロック構造も有利である。とくに、この酸化触媒コンバータが、ほぼ排気ガスターボチャージャの高さに配置されている場合、これらのエレメント間の接続を最大限短く保つことができる。
【0016】
微粒子フィルタ及びSCR触媒コンバータは、実質的に排気マニホールドの下方に、及び実質的に、好ましくは完全にエンジンキャリアの上方に、ならびに好ましくは排気ガスターボチャージャに対してほぼ中心に配置されていることを特徴とするエンジンブロック構造も有利である。従って、有利な実施形態においては、上から見てみると、共通のハウジング内で好ましくは密接に隣り合って配置されている微粒子フィルタ及びSCR触媒コンバータのコンポーネントに関して、排気ガスターボチャージャがほぼ中央に配置されている。これにより、エンジンブロック面の取付けスペースが最適に利用され、しかもコンポーネントがエンジンキャリアと衝突することはない。
【0017】
排気ガスターボチャージャが、エンジンブロックのバイブレーションダンパ側よりも、エンジンブロックのアウトプット側により近く配置されており、酸化触媒コンバータは、アウトプット側よりもバイブレーションダンパ側により近く配置されていることを特徴とするエンジンブロック構造も有利である。とくに、排気ガス流が180°の方向転換を1回だけ行うようになっている場合、このことは、とくにスペースを節約する、適切な排気ガス流のガイドを保証し、それによって適切な排気ガスシステムのコンポーネントの配置を保証している。とりわけ、エンジンブロックが、車両方向に見て、縦向きに取り付けられている場合、SCR触媒コンバータの出口が、このケースでは車両後部に向けられている。従って、SCR触媒コンバータの下流で、排気ガス流の追加の方向転換を設ける必要はない。
【0018】
排気ガスターボチャージャと酸化触媒コンバータとは、排気ガス流が排気ガスターボチャージャ出口から酸化触媒コンバータ入口までに実質的に90°の方向転換を1回行うように、互いに配置されていることを特徴とするエンジンブロック構造も有利である。この場合、排気ガスターボチャージャは、好ましくは、エンジンブロックの長手方向に向けられている、すなわち実質的に水平に配置されている。従って、酸化触媒コンバータを通る排気ガスは、好ましくは、エンジンブロックの長手方向に対して実質的に垂直に、好ましくは同エンジンブロックの下面を向いている方向に流れる。酸化触媒コンバータを通る排気ガス流は、有利には、エンジンブロックが取り付けられている車両に関して見た場合にも、上から下へと流れる。
【0019】
排気ガスターボチャージャが、エンジンブロックのアウトプット側よりも、エンジンブロックのバイブレーションダンパ側により近く配置されていることを特徴とするエンジンブロック構造も有利である。従って、酸化触媒コンバータは、バイブレーションダンパ側によりもアウトプット側により近く配置されている。この配置は、とくに、使用できる取付け長さがより少ないため、排気ガス流の180°の方向転換が2回必要となり得る場合に有利である。このことは、とくに、エンジンブロックが、車両方向に見て、横向きに取り付けられる場合に考えられる。しかし、とくに使用可能な取付けスペースが少ない場合にも、縦向きの取付けで説明した配置を実施することも可能である。このケースでは、この配置の場合にも排気ガス流が180°の方向転換を2回行うことにより、排気ガス流はSCR触媒コンバータを車両後部に向かって離れるため、それ以上の方向転換は必要ない。
【0020】
酸化触媒コンバータは混合区間に対して、及び混合区間は微粒子フィルタに対して、排気ガス流が酸化触媒コンバータ出口から混合区間への入口までに実質的に180°の方向転換を1回行うように配置されていることを特徴とするエンジンブロック構造が有利であり、このとき、排気ガス流は、混合区間の出口から微粒子フィルタへの入口までに実質的に180°の方向転換を1回行う。従って、排気ガス流の180°の方向転換は2回行われるようになっており、酸化触媒コンバータから微粒子フィルタまでの、混合区間を含む接続が、いわばS字形になるように設けられている。従って、この混合区間は、酸化触媒コンバータと微粒子フィルタとの間に、排気ガスがこれらを通り、長手方向に見て、いわば引き返すように配置されており、このとき、酸化触媒コンバータを通る排気ガスも、微粒子フィルタを通る排気ガスも同じ方向に流れ、一方、混合区間では反対方向に流れる。すでに説明したように、排気ガスシステムのコンポーネントのそのような配置は、とくに取付けスペース又は取付け長さが限定されている取付け状況に適している。このことは、通常、エンジンブロックが、車両方向に見て、横向きに取り付けられている場合に考えられる。
【0021】
最後に、微粒子フィルタとSCR触媒コンバータとが、実質的に排気ガスターボチャージャの下方に、また実質的に酸化触媒コンバータの下方に配置されていることを特徴とするエンジンブロック構造が有利である。このことは、とくに、コンポーネントのコンパクトな配置を意味し、これらのコンポーネントは、有利には、温度損失及び圧力損失を最小化するために互いに近くに配置されている。有利には、これらのコンポーネントがペアになって、すなわち、1つは排気ガスターボチャージャと酸化触媒コンバータが隣り合って、もう1つは微粒子フィルタとSCR触媒コンバータが隣り合って配置されている。
【0022】
以下に、本発明を図に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】より大きな取付け長さにおける、排気ガスシステムを備えるエンジンブロック構造の実施例の図である。
【
図2】より小さな取付け長さにおける、排気ガスシステムの第2の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、エンジンブロック2及び排気ガスシステム3を備えるエンジンブロック構造1の第1の実施例の図を示している。この排気ガスシステムは、排気ガス流の流れる方向に見て、エンジンブロック2から排気管(図示されていない)へと連続して配置される形で、排気ガスターボチャージャ5、酸化触媒コンバータ7、尿素水溶液添加装置9、ここではコンビボックスと呼ばれる容器11の中に一緒に配置されている微粒子フィルタとSCR触媒コンバータ、ならびにマフラ(図示されていない)及び最終的に排気管に通じるパイプ接続(図示されていない)の接続部との分離箇所13を具備している。好ましくは、排気ガスが流れる方向に見て、
図1に示されている排気ガスシステム3のコンポーネントの下流に配置されている部品を、これらのコンポーネントから振動絶縁するために、分離箇所13に直接に隣り合って、連結解除エレメント(図示されていない)が設けられている。
【0025】
排気ガスターボチャージャ5、酸化触媒コンバータ7、添加装置9、微粒子フィルタ及びSCR触媒コンバータは、
図1では観察者側を向くエンジンブロック2の面に沿って、同エンジンブロックに一緒に配置されている。この面は、好ましくは、作用可能にトランスミッションと接続することができるアウトプット側15に対して、実質的に垂直になっている。ここで図示されているエンジンブロック2は、アウトプット側15の反対側にバイブレーションダンパ17を有している。従って、アウトプット側15の反対側は、バイブレーションダンパ側とも呼ばれる。この名称は、このエンジンブロック2が強制的にバイブレーションダンパ17を具備しなければならいことを意味するものではない。この名称は、いかなる制限もなく、アウトプット側15の反対側である、エンジンブロック2の側を呼ぶための簡略形としてのみ用いられる。エンジンブロック2の長手方向は、アウトプット側15からバイブレーションダンパ側19まで延びている。従って、この排気ガスシステム3も、実質的にエンジンブロック2の長手方向に、このエンジブロックに沿って延びている。このエンジンブロック2を、自動車の方向に見て、この自動車内に縦向きに取り付けることが可能である。このことを、縦向きの取付けと呼ぶ。この場合、エンジンブロック2の長手方向と自動車の長手方向は、互いに平行に方向づけられている。このエンジンブロック2を、自動車の長手方向に見て、この自動車内に横向き取り付けることも可能である。このことを、横向きの取付けと呼ぶ。このケースでは、エンジンブロック2の長手方向が、自動車の長手方向に対して垂直に向けられている。エンジンブロック2は、上面21及び下面23を有している。自動車内に取り付ける場合、上面21は上へ向けられ、下面23は下へ向けられている。
【0026】
エンジンブロック2が、自動車内に縦向きに取り付けられている場合、通常、アウトプット側15は車両の後部を向いている。これに対して、横向きに取り付けられている場合、アウトプット側15は、通常、走行方向に見て左を向き、少なくとも中央ヨーロッパでは、自動車の運転席側を向いている。
【0027】
図1に示されている実施例は、排気ガスターボチャージャ5が完全に排気マニホールド25の上方に配置されている。その他の実施例では、排気ガスターボチャージャ5が、実質的に排気マニホールド25の上方に配置されていることも可能である。
【0028】
微粒子フィルタとSCR触媒コンバータ、従って容器11は、実質的に排気マニホールド25の下方、及び実質的にエンジンキャリア27の上方に配置されており、それによってエンジンブロック2を車両ボディに固定することができる。微粒子フィルタとSCR触媒コンバータとを、完全に排気マニホールド25の下方及び/又は完全にエンジンキャリア27の上方に配置することが可能である。これらは、排気ガスターボチャージャ5に関してほぼ中心に配置されている。このことは、アウトプット側15からバイブレーションダンパ側19まで延びている区間において、これらのエレメントが、実質的に同じ位置に配置されていることを意味している。
【0029】
排気ガスターボチャージャ5と酸化触媒コンバータ7とは、パイプライン29によって互いに接続されている。このパイプラインは、実質的にエンジンブロック2の長手方向に通っている。この場合、排気ガスの流動長さは、排気ガスターボチャージャ5の出口から酸化触媒コンバータ7への入口まで、有利には300mmより小さく、とくに有利には約200mmである。排気ガスターボチャージャ5と酸化触媒コンバータ7との間における排気ガス流内の圧力損失及び/又は温度損失を最小化することができる。
【0030】
有利には、酸化触媒コンバータ7の上流に、ここでは図示されていない触媒コンバータ加熱ディスクを接続することができる。これにより、酸化触媒コンバータは、排気ガス流による加熱だけで可能なよりもさらに速くその作動温度まで達することができる。好ましくは、触媒コンバータ加熱ディスク自体が触媒層を具備している、すなわち酸化触媒コンバータ7に加え、上流に取り付けられた触媒として作用する。
【0031】
酸化触媒コンバータ7と微粒子フィルタとは、混合区間33を具備するパイプライン31によって互いに接続されている。このパイプラインに沿って、添加装置9が配置されている。好ましくは、この混合区間33が混合装置35を具備しており、この装置は、とくに有利には静的な混合装置として形成されている。1つの実施例では、この混合装置がパイプライン31及び排気ガス流に対して静止している分配エレメント、例えばブレードなどを具備しており、これによって、排気ガス流に渦巻きを発生させ、とくに、添加装置9によって添加される尿素水溶液と排気ガス流とを完全に混合する。動的混合装置35を設けることも可能であり、この装置は、混合のために、排気ガスパイプ33に対して動き、排気ガス流に対しても動くエレメントを有している。添加装置9によって添加される尿素水溶液は、ここでは、円錐型インジェクション37によって図示されている。
【0032】
混合区間33は、十分な長さを有している場合には、添加された尿素水溶液は、これらが排気ガス流と一緒に微粒子フィルタ及び/又はSCR触媒コンバータの中に流入する前に反応して、アンモニアと二酸化炭素を発生させることができる。このために、混合区間33は、有利には100mm〜300mmの長さを有し、この長さは、添加装置9の位置から微粒子フィルタへの入口又はここでは容器11への入口までが測定される。
【0033】
有利には、添加装置9が、酸化触媒コンバータ7のできるだけ近くに配置されており、とくに有利には、酸化触媒コンバータの出口から50mm〜100mmの距離にある。
【0034】
微粒子フィルタとSCR触媒コンバータは、有利には、数センチの短い距離に配置されており、有利には25mmよりも少なく、とくに有利には約15mmの距離に並んで配置されている。このことにより、排気ガス流内の熱損失を、両方のコンポーネント間で低く維持することができる。これらのコンポーネントが容器11の中に一緒に配置されている場合は、とくに簡単に近い配置が可能となる。とりわけ有利には、排気ガス流内の圧力損失をできるだけ低く維持するために、微粒子フィルタとSCRコンバータとは同じ直径又は断面寸法を有している。好ましくは、両方のエレメントが7.5インチの直径を有している。酸化触媒コンバータも、有利には実質的に、とくに有利には完全に、微粒子フィルタとSCR触媒コンバータの直径に相当する直径を有している。酸化触媒コンバータ7は、6.2インチの直径を有することができ、同様に7.5インチの直径を有することもできる。言及したエレメントのためのその他の直径も可能である。
【0035】
微粒子フィルタは、好ましくは、インレットダクト及びアウトレットダクトを有し、このとき、インレットダクトの壁及びとくに有利にはアウトレットダクトの壁もSCR触媒層を有している。これにより、この微粒子フィルタは、いわゆるSD微粒子フィルタとして形成されている。微粒子フィルタが、SCR触媒コンバータの選択的触媒作用を支援することも可能である。
【0036】
図1に示されているように、排気ガスシステム3のコンポーネントは、排気ガス流が排気ガスターボチャージャの出口からSCR触媒コンバータ又は容器11の出口までに、約180°の方向転換を行うように互いに配置されている。この配置は、比較的長い取付け長さが排気ガスシステム3のために使用できる場合に有利である。従って、この配置は、とくに、エンジンブロック2が、車両内に縦向きに取り付けられている場合に有利である。しかし、使用できる取付け長さが十分である場合は、エンジンブロック2を横向きに取り付けて
図1に示されている配置を実現することもできる。
【0037】
排気ガスターボチャージャ5は、図示されている実施例の場合、バイブレーションダンパ側19よりもアウトプット側15により近く配置されている。この場合、排気ガスターボチャージャは、排気ガスターボチャージャのタービン側39がバイブレーションダンパ側19に向けられ、一方、コンプレッサ側41はアウトプット側15に向けられている。すなわち、排気ガスターボチャージャ5を離れた排気ガス流は、まず、バイブレーションダンパ側19に流れる。
【0038】
酸化触媒コンバータ7は、アウトプット側15よりもバイブレーションダンパ側19により近く配置されている。この場合、排気ガスターボチャージャ5と酸化触媒コンバータ7とは、排気ガス流が、排気ガスターボチャージャ5の出口から酸化触媒コンバータ7への入口までに、実質的に90°の方向転換を1回行うように互いに配置されている。とくに、酸化触媒コンバータ7を通る排気ガスは、エンジンブロック2の長手方向に対して実質的に垂直であり、好ましくはエンジンブロックの下面23を向いている方向に流れる。好ましくは、この方向転換が、できるだけ酸化触媒コンバータ7の入口近くで行われる。従って、酸化触媒コンバータ7への方向転換は、この酸化触媒コンバータへの入口近くで初めて行われるため、パイプライン29が、実質的にエンジンブロック2の長手方向を通ることが保証されている。
【0039】
排気ガス流は、排気ガスターボチャージャ5から酸化触媒コンバータ7までに、実質的に90°の方向転換を2回行うことが可能である。例えば、酸化触媒コンバータ7は、
図1において、排気ガスターボチャージャ5よりも観察者の方により近く配置することができる。従って、排気ガス流は、最初の90°の方向転換で観察者の方へ方向を向け、第2の90°の方向転換では下方へ方向を向けることができる。もちろん、酸化触媒コンバータ7が、排気ガスターボチャージャ5よりも観察者から遠く離れて配置されていることも同様に可能である。このケースでも、2回の90°の方向転換は、好ましくは酸化触媒コンバータ7の入口近くで行われるため、パイプライン29は、実質的にエンジンブロック2の長手方向を通る。
【0040】
排気ガス流が、酸化触媒コンバータ7を実質的に垂直に、下面23の方に向かって流れる場合、排気ガス流は、酸化触媒コンバータ7の出口から実質的に垂直に流出し、微粒子フィルタへの入口までに、実質的に90°の方向転換を1回行う。従って、混合区間33は、好ましくは、エンジンブロック2の長手方向に対して実質的に平行に通る。
【0041】
これに対応して、容器11、すなわち微粒子フィルタとSCR触媒コンバータでは、
図1に示されている実施例の場合、好ましくは実質的にエンジンブロック2の長手方向に排気ガス流が通過する。
【0042】
分離箇所13は、好ましくは、排気ガス流が下面23に対して約45°の方向転換を1回行うように形成されている。とくに有利には、分離箇所が、エンジンブロック2のアウトプット側15の近くに、とくに100mm以下の間隔で配置されている。とりわけ有利には、分離箇所13が、自動車のエンジンルームの範囲内に、すなわち、エンジンルームをパッセンジャコンパートメントから分離しているユニットコンパートメントパーティションウォール又はフロントパネルの前に配置されている。
【0043】
図1から、微粒子フィルタとSCR触媒コンバータ、ここでは容器11が、実質的に排気ガスターボチャージャ5の下方に、また実質的に酸化触媒コンバータ7の下方に配置されていることは明らかである。図示されている実施例では、容器11が、完全に排気ガスターボチャージャ5の下方に、また実質的に酸化触媒コンバータ7の下方に配置されている。
【0044】
さらに、
図1による実施例に関しては、排気ガス流が、有利には、容器11又は微粒子フィルタとSCR触媒コンバータを、排気ガスターボチャージャ5の出口での流動方向に対して約180°向きを変えて流れていることも示されている。
【0045】
図2は、エンジンブロック2(ここでは図示されていない)に取り付けられている排気ガスシステム3の配置のための第2の実施例を示している。同一のエレメント及び機能の同じエレメントは、同じ記号が付されているため、その限りにおいて前述の説明が参照される。ここに示されている実施例は、有利には、使用できる取付け長さが
図1による配置には十分ではない場合に設けられる。このケースが考えられるのは、とくに、エンジンブロック2が、車両方向に見て、横向きに取り付けられる場合である。
【0046】
つまり、
図1による配置の場合、排気ガスシステム3のコンポーネントは、排気ガス流が排気ガスターボチャージャ5の出口からSCR触媒コンバータの出口までに、約180°の方向転換を実質的に1回行うように互いに配置されている。このことは、SCR触媒コンバータの出口での排気ガスの流動方向が、排気ガスターボチャージャ5の出口での流動方向に対して約180°向きを変えて方向づけられていることを意味している。これに対して、
図2による実施例の場合、コンポーネントは、排気ガス流が約180°の方向転換を実質的に2回行うように互いに配置されている。従って、SCR触媒コンバータの出口での排気ガスの流動方向は、排気ガスターボチャージャ5の出口での流動方向に対して、実質的に平行に方向づけられている。
【0047】
図1による配置では、排気ガスシステム3の配置のためにエンジンブロック2の取付け長さが、いわば2回利用され、一方、
図2による実施例では3回利用される。これに応じて、
図2の実施例における排気ガスシステム3の配置は全体的により狭くなっている。
【0048】
とくに、
図2の実施例における排気ガスターボチャージャ5は、図示されていないエンジンブロック2のアウトプット側15よりもエンジンブロックのバイブレーションダンパ側19により近く配置されている。酸化触媒コンバータ7は、バイブレーションダンパ側19よりもアウトプット側15により近く配置されている。
【0049】
酸化触媒コンバータ7は、これが排気ガスターボチャージャ5とほぼ同じ高さに位置するように配置されており、このとき、排気ガスターボチャージャ5から酸化触媒コンバータ7までに排気ガス流の方向転換は行われない。そのため、とくに、両方のコンポーネントを互いに非常に接近して配置することが可能である。
【0050】
酸化触媒コンバータ7は、混合区間33に対して、排気ガス流が、酸化触媒コンバータの出口から混合区間33の入口までに、実質的に180°の方向転換を1回行うように配置されている。同時に、混合区間33は、ここでは図示されている微粒子フィルタ43に対して、排気ガス流が、混合区間33の出口から微粒子フィルタへの入口までに、実質的に180°の方向転換を1回行うように配置されている。方向転換においてもさらに混合が行われるため、この方向転換を混合区間33に割り当てることも可能である。重要なことは、微粒子フィルタ43の入口に向かう混合区間33の部分で、実質的に180°の方向転換が1回行われることである。
【0051】
これに応じて、
図2による配置の場合、酸化触媒コンバータ7と微粒子フィルタ43とは、排気ガス流が、酸化触媒コンバータ7の出口から微粒子フィルタ43への入口までに、実質的に180°の方向転換を2回行うように互いに配置されていることが分かる。
【0052】
すなわち、排気ガスが、いわゆるバイブレーションダンパ側19からアウトプット側15へ延びる方向へ、排気ガスターボチャージャ5の出口から酸化触媒コンバータ7を通過して流れる場合、排気ガスは反対方向へ、つまりアウトプット側15からバイブレーションダンパ側19の方へ混合区間33を通り抜ける。次に、排気ガスは方向転換することから、排気ガスは混合区間33での流動方向とは反対方向へ、微粒子フィルタ43及び同様にここでは図示されているSCR触媒コンバータ45、従って容器11を通り抜け、好ましくはバイブレーションダンパ側19からアウトプット側15へと方向づけられている。すなわち、全体として、微粒子フィルタ43とSCR触媒コンバータ45を通る流動方向は、酸化触媒コンバータ7を通る流動方向に対して平行に合わせられ、一方、混合区間33を通る流動方向は、この流動方向とは逆方向に向けられている。
【0053】
好ましくは、エンジンブロックが横向きに取り付けられている場合、排気ガスシステム3は、自動車の中でエンジンブロック2の後部に配置されている。従って、排気ガスシステムは、詳細には、エンジンルームにおいてエンジンブロック2とパッセンジャコンパートメントのユニットコンパートメントパーティションウォールとの間に配置されている。エンジンブロック2が横向きに取り付けられており、アウトプット側15が、走行方向に見て右を向いている場合、先に説明した流動方向は、好ましくはアウトプット側15とバイブレーションダンパ側19に関して見ると、逆になる。しかし、その他の実施例では、エンジンブロック2ばかりではなく、排気ガスシステム3のコンポーネントを逆に配置することも可能であり、そのため、
図2による実施例に関して、いわば鏡面反転の配置が生じる。
【0054】
分離箇所13の部分では、ここにパイプライン47が設けられており、このパイプラインは、エンジンブロック2が横向きに取り付けられている場合、排気ガス流の流動方向を車両後部の方向に変える。パイプライン47は、連結解除エレメント49を具備している。
【0055】
排気ガスシステム3内の熱損失をさらに軽減するため、及び車両取り付けスペースの温度負荷を低下させるため、排気ガスシステム3には、好ましくは固体絶縁が装備されている、あるいはパイプライン29、31、47及び有利には排気ガスシステム3のコンポーネントにも、一貫して、断熱材が、例えば被覆又は空隙絶縁された状態で装備されている。
【0056】
全体として、エンジンブロック構造1は、排気ガスシステム3の全コンポーネントをエンジン近くに配置することを可能にすることが分かり、これにより、とくに排気ガス流の温度損失は生じない。とくに、大きな断面、好ましくは80mmのパイプライン断面と短い経路、及びさまざまなコンポーネントの入口及び出口箇所の削減により、排気ガス流の圧力損出も低下する。排気ガスセンサについては、とくにエンジンハーネスへの接続に関して、エンジン近くに、最適に配置することが可能である。添加装置9は、簡単に、エンジンクーラント回路によって冷却することができる。全体として、排気ガスシステム3の配置は、もはや車両モデル及び車両仕様(ステアリングバリエーション、ドライブの種類)に影響されないため、排気装置の考えられるバリエーション数が削減される。排気ガスシステム3のコンパクトな配置にもかかわらず、酸化触媒コンバータ7と微粒子フィルタ43との間には混合区間33用に、十分に大きな取付け長さが使用可能であるため、尿素水溶液を効率的に添加および配分することができる。