特許第6031131号(P6031131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6031131肺癌治療用、特に非小細胞肺癌(NSCLC)治療用組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031131
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】肺癌治療用、特に非小細胞肺癌(NSCLC)治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7105 20060101AFI20161114BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20161114BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20161114BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20161114BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20161114BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20161114BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20161114BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20161114BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20161114BHJP
   A61K 47/48 20060101ALI20161114BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20161114BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20161114BHJP
【FI】
   A61K31/7105
   A61K39/00 HZNA
   A61P35/00
   A61P37/04
   A61P11/00
   A61P43/00 121
   A61K39/39
   A61K37/08
   A61K47/18
   A61K47/48
   A61K48/00
   !C12N15/00 A
【請求項の数】24
【全頁数】69
(21)【出願番号】特願2015-7164(P2015-7164)
(22)【出願日】2015年1月16日
(62)【分割の表示】特願2012-251602(P2012-251602)の分割
【原出願日】2008年10月8日
(65)【公開番号】特開2015-110613(P2015-110613A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2015年2月16日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2007/008770
(32)【優先日】2007年10月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509014386
【氏名又は名称】キュアバック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】バーナー,マレイケ
(72)【発明者】
【氏名】プロブスト,ヨヘン
(72)【発明者】
【氏名】ランデー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘール,イングマー
【審査官】 六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/008154(WO,A1)
【文献】 国際公開第02/098443(WO,A2)
【文献】 国際公開第2004/004743(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/024518(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00
A61K 31/7105
A61K 38/16
A61K 39/39
A61P 35/00
A61P 37/04
WPI
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性(免疫賦活)組成物を調製するための、5つの異なる抗原をコードする少なくとも5つのRNAの使用であって、
上記活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも5つのRNAは、全て同時に、または、少なくとも1つと別の少なくとも1つとが異なるタイミングとなるように、投与されるものであり、
上記5つの抗原は、
・NY−ESO−1、
・MAGE−C1、
・MAGE−C2、
・5T4、および
・Survivin
であ且つ
さらなるRNAはMUC1をコードしているものである、使用。
【請求項2】
上記5つのRNAのうちの少なくとも1つがmRNAである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
上記5つのRNAのうちの少なくとも1つは、請求項1に規定されている抗原のフラグメント、変異体またはエピトープをコードするRNAから選択されるRNAを含む、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
上記5つのRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号3、18、20、22および25のRNA配列と同一または少なくとも80%同一のRNAから選択されるRNAを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
上記さらなるRNAは配列番号1のRNA配列である、または配列番号1のRNA配列と少なくとも80%同一である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
上記5つのRNAのうちの少なくとも1つは改変RNAである、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
上記改変RNAが安定化mRNAである、請求項に記載の使用。
【請求項8】
上記5つのRNAのうちの少なくとも1つのコード領域のG/C含量は、野生型RNAのコード領域のG/C含量と比べて増加している、請求項またはに記載の使用。
【請求項9】
上記5つのRNAのうちの少なくとも1つにコードされたアミノ酸配列は、野生型RNAがコードするアミノ酸配列と比べて改変されていない、請求項に記載の使用。
【請求項10】
上記5つのRNAのうちの少なくとも1つのリボソーム結合部位の環境におけるA/U含量が、野生型RNAのリボソーム結合部位の環境におけるA/U含量と比べて増加している、請求項のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
改変mRNAの上記コード領域ならびに/または5’および/もしくは3’非翻訳領域は、野生型RNAと比べて不安定配列要素を含まないように改変されている、請求項10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
上記改変mRNAによって上記コードされたアミノ酸配列は、野生型RNAがコードするアミノ酸配列と比べて改変されていない、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
上記改変mRNAは、5’キャップ構造、ならびに/またはポリ(A)尾部、ならびに/またはポリ(C)尾部、ならびに/または少なくとも1つのIRES、ならびに/または少なくとも1つの5’および/もしくは3’安定化配列を有する、請求項12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
上記改変mRNAは、10〜200アデノシンヌクレオチドのポリ(A)尾部、および/または10〜200シトシンヌクレオチドのポリ(C)尾部を有する、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
上記5つのRNAのうちの少なくとも1つは、配列番号4、19、21、23および26のRNA配列、もしくは配列番号4、19、21、24および26のRNA配列と同一または少なくとも80%同一のRNAから選択されるRNAを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
上記少なくとも5つのRNAは、配列番号4、19、21、24および26のRNA配列と同一またはこれらの配列のいずれかと少なくとも90%同一である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
上記さらなるRNAは、配列番号2のRNA配列である、または配列番号2のRNA配列と少なくとも80%同一である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
上記さらなるRNA配列は、配列番号2のRNA配列である、または配列番号2のRNA配列と少なくとも90%同一である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
上記5つの異なる抗原をコードする上記少なくとも5つのRNAは、配列番号4、19、21、24および26のRNA配列である、またはこれらの配列のいずれかと少なくとも95%同一であって、
上記さらなるRNAは、配列番号2のRNA配列と同一または配列番号2のRNA配列と少なくとも95%同一である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
上記5つのRNAのうちの少なくとも1つは、1つ以上のポリカチオンと複合化されている、請求項1〜19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
上記5つのRNAのうちの少なくとも1つは、プロタミンまたはオリゴフェクタミンと複合化されている、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
上記活性(免疫賦活)組成物は少なくとも1つのアジュバントをさらに含んでいる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
上記5つの異なる抗原をコードする少なくとも5つのRNAはキットの構成要素である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
上記5つの異なる抗原をコードする少なくとも5つのRNAはワクチンの構成要素である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、哺乳類において(獲得)免疫反応を引き起こし得る少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNA、好ましくはmRNAを含む活性(免疫賦活)組成物に関する。本発明は、さらに上記活性(免疫賦活)組成物を含有するワクチンに関し、さらに、肺癌、特に非小細胞肺癌(NSCLC)、好ましくは、主要な3つのサブタイプである肺扁平上皮癌、腺癌および肺大細胞癌から選択される肺癌もしくはそれに関連する疾患の治療用の、(ワクチン調製用)活性(免疫賦活)組成物および/または(獲得)免疫反応を引き起こすワクチンの使用に関する。最後に、本発明は活性(免疫賦活)組成物および/またはワクチンを備えるキット、特に部品キットに関する。
【0002】
全ての悪性腫瘍のうち、25%は気管支癌(肺の癌)である。気管支癌は、世界中において、男性における最も多い癌関連の死亡原因であり、女性の場合も2番目に多い癌関連の死亡原因である。ドイツでは、前立腺癌および結腸直腸癌に続いて、3番目に多い癌の種類である。世界中で年間130万人が、肺癌によって死亡している。中央ヨーロッパでは、人口100.000人中およそ60人が肺癌に罹患しており、肺癌と新たに診断される人数は徐々に上昇している(現在ドイツでは、年間およそ50.000人)。肺癌と診断されると、全体的に見て平均的な5年後の生存率はほんの5%である。とはいえ、各患者の推定余命は完全にその患者の病期(TMN分類)および冒された癌(肺癌)のサブタイプ(下記参照)に左右される。
【0003】
顕微鏡下で悪性細胞の大きさおよび外観を識別することによって分類される主要な肺癌のサブタイプは、小細胞肺癌(20%)および非小細胞肺癌(NSCLC)(80%)である。この分類は、単に組織学的な基準による分類ではあるが、疾患の臨床管理および予後の際に非常に重要な意味を持つ。小細胞肺癌であれば通常は化学療法で治療を行う。一方、非小細胞肺癌であれば一次療法として手術を行う場合がほとんどである。
【0004】
非小細胞肺癌(NSCLC)は、予後および管理がおおよそ同じであるということから、同一のグループにされている。3種類のサブタイプ:肺扁平上皮癌、腺癌および肺大細胞癌がこれに当てはまる。主な治療方法は手術を行うことであるが、患者の4分の1しか切除に成功せず、再発率も50%である。進行期の疾患に対する治療方法として、手術を行った後に補助化学療法および/または補助放射線療法の両方を行う方法がある。一方、単独療法(一次療法)としての化学療法は、比較的効果に乏しい結果しか得られない方法として捉えられている。一般的に用いられている4種類の併用化学療法処方計画を比較したところ、優勢なものはなかった。回答率は15%から22%であり、1年後の生存率は1%から36%であった(例えば、O'Mahony, D., S. Kummar, et al. (2005)."Non-small-cell lung cancer vaccine therapy: a concise review." J Clin Oncol 23(35):9022-8を参照)。したがって、術前化学療法では期待余命を延命させる結果を得られていないものの、補助化学療法では、放射線療法と組み合わせられた場合も含めて、推定余命をはるかに長くする効果が得られている。
【0005】
今日において用いられている化学療法の一つとして、一次療法としても用いられる白金系薬物と例えばゲムシタビンとを組み合わせた方法などがあり、たとえばペメトレキセドは二次療法として用いられる。
【0006】
NSCLCの治療に用いられる他の選択肢として、分子レベルで腫瘍に特異的なターゲット構造に影響を及ぼすことで伝統的な細胞傷害性化学療法の成功を促す、いわゆる「標的治療」がある。用いられる物質には、上皮増殖因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼに作用する、ベバシズマブ(腫瘍起因性血管形成抑制剤)またはエルロチニブが挙げられる。
【0007】
現在の肺癌の治療における治療方法は、確実にいくらかは改善してきているものの、特にNSCLCに関しては、死亡率の高さを鑑み、代わりのもしくは改善されたさらなる治療方法を強く求める傾向がいまだ上昇し続けている。
【0008】
したがって、ここでNSCLCの治療方法として免疫システムの利用が提案されている。免疫システムは、数々の疾患において治療および予防に重要な役割を果たしている。現段階での知識によれば、例えば腫瘍細胞を識別して破壊することで臓器を保護する様々な機構が哺乳類によってもたらされている。これらの腫瘍細胞は、組織の正常な細胞および組織から区別されて検出されなければならない。
【0009】
ヒトなどの脊椎動物の免疫システムは、多種類のタンパク質、細胞、臓器および組織からなり、それぞれが精巧かつ機能的なネットワークで相互作用する。この複雑な免疫反応として、特定の病原体または腫瘍細胞をより効率的に認識するよう、脊椎動物のシステムは経時的に適応する。適応プロセスは免疫記憶を作り出し、後にまた同様の状態に遭遇した際に、より効果的な保護を可能とする。この適応免疫または獲得免疫のプロセスは、ワクチン接種計画の基礎となる。
【0010】
獲得免疫システムは抗原に特異的であり、抗原提示と呼ばれるプロセス中に特定の「自己」または「非自己」抗原を認識する必要がある。抗原を特定することで、特定病原体または病原体感染細胞もしくは腫瘍細胞に適合する反応を引き起こすことができる。これらの適合反応を開始させる能力は、「記憶細胞」と呼ばれる細胞によって体内に保持されている。病原体が体に2回以上感染した場合、この特定の記憶細胞を用いて、素早く病原菌を破壊する。したがって、この獲得免疫システムは免疫記憶を得られるだけではなくより強い免疫反応を起こし、1つ以上のシグネチャー抗原(signatre antigen)によって各病原体または腫瘍細胞が「記憶」される。
【0011】
脊椎動物における獲得免疫システムの主要成分としては、主に細胞レベルでのリンパ球および分子レベルでの抗体が含まれる。獲得免疫システムにおける細胞成分としてのリンパ球として、骨髄中の造血肝細胞から得られたB細胞およびT細胞が挙げられる。B細胞は液性反応と関連性があり、T細胞は細胞性免疫反応に関連している。B細胞およびT細胞の両方が、特定標的を認識する受容体分子を有している。T細胞は、抗原(例えば、病原体の小さなフラグメント)が処理されて腫瘍組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と呼ばれる「自己」受容体と組み合わさって提示された後にのみ、病原体ターゲット構造などの「非自己」標的を認識する。一方、B細胞抗原特異的受容体はB細胞表面上の抗体分子であり、表面上の抗体が特定の外来性抗原と結合したときに病原体を認識する。この抗原/抗体複合体はB細胞によって吸収され、タンパク質分解によってペプチドにまで処理される。次に、B細胞はこの抗原ペプチドを、表面にあるMHCクラスII分子に提示する。このMHCおよび抗原の組み合わせは、適合するヘルパーT細胞を引き寄せる。このヘルパーT細胞は、リンフォカインを放出し、B細胞を活性化させる。活性化されたB細胞が分裂を開始すると、その娘細胞は、この抗原を認識する抗体を数百万コピー分泌する。これらの抗体は血漿およびリンパ液中に循環し、抗原を発現している病原体または腫瘍細胞と結合し、補体活性によって破壊するよう、または食細胞が取り込んで破壊するようにマーキングする。
【0012】
獲得免疫システムの細胞成分として、細胞傷害性T細胞(CD8)はCTL−反応を示し得る。細胞傷害性T細胞(CD8)は、MHCI型分子に結合している、内因性病原体由来および自己抗原由来のペプチドを認識することができる。CD8−T細胞は、細胞傷害性タンパク質を細胞内に放出することによって、破壊作用を実行する。
【0013】
免疫システムの機構は、治療処置のための標的を形成する。適切な方法は、一般的に、自然免疫反応を引き起こすためのアジュバント投与、または獲得免疫反応を引き起こすための抗原もしくは免疫原の投与に基づいている。一般的に抗原が病原体の特定成分(例えば、表面タンパク質)またはそのフラグメントに基づいているため、患者に対する核酸の投与、またそれに続く所望のポリペプチド、タンパク質または抗原の発現も想定している。
【0014】
従来の免疫反応の誘発、免疫法またはワクチン接種方法は、必要な遺伝子情報を細胞内に取り入れるために用いられるDNA分子の使用に基づいている。例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリプレントランスフェクション、原形質融合、エレクトロポレーション、マイクロインジェクションおよびリポフェクション等、DNAを細胞に導入する種々の方法が開発されてきており、特にリポフェクションが適していると証明されている。同様に、DNAウイルスがDNAビヒクルとして用いられてもよい。DNAウイルスはその感染特性により、非常に高いトランスフェクション効率を得ることができる。用いられるウイルスは、トランスフェクションを受けた細胞に機能的な感染性粒子が形成されないよう、遺伝学的に改変されている。このように注意はしていても、導入された遺伝子およびウイルス性遺伝子の、例えば潜在的な組換え行為による制御不能な誘導が発生するリスクを排除することはできない。このことはまた、宿主細胞ゲノムの無傷の遺伝子に、例えば組換えによってDNAが挿入されるリスクをも有する。この結果、この遺伝子は変異する可能性があり、したがって完全もしくは部分的に活性を失うか、誤った情報に応答する可能性が出てくる。言い換えると、細胞にとって不可欠な遺伝子産物の合成が完全に抑制されるか、あるいは改変されたもしくは不正確な遺伝子産物が発現する可能性がある。DNAが細胞増殖の制御に関わる遺伝子に組み入れられる場合は、ある特定のリスクが発生する。この場合、宿主細胞が変質し、癌または腫瘍の形成につながる恐れがある。さらに、細胞に導入されたDNAを発現させる場合、対応するDNA媒介物がウイルス性CMVプロモーターなどの強力なプロモーターを含有している必要がある。処置細胞のゲノムにこのようなプロモーターを組み込むことは、細胞内における遺伝子発現の制御に不必要な変更を引き起こしてしまう可能性がある。免疫反応を引き起こす因子として(例えば、ワクチンとして)DNAを用いる他のリスクとしては、外来性DNAを導入した患者内での病原体抗DNA抗体の誘導であり、結果として(致命的ともなり得る)免疫反応を引き起こす可能性がある。
【0015】
概して、効果的に免疫システムを刺激することで肺癌、特に非小細胞肺癌(NSCLC)を治療し、かつDNA系組成物による導入遺伝子の伝播が制御できないという問題を回避し得る効率的なシステムを構築する余地および必要性がある。
【0016】
したがって、本発明の課題は、a)免疫システムを刺激することで肺癌を治療し、かつb)上記不利益を回避し得る、組成物を提供することである。
【0017】
この課題は、本発明の構成要素によって解決される。特に、以下の抗原からなる群より選択される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを含む活性(免疫賦活)組成物によって解決される:
・hTERT、
・WT1、
・MAGE−A2、
・5T4、
・MAGE−A3、
・MUC1、
・Her−2/neu、
・NY−ESO−1、
・CEA、
・Survivin、
・MAGE−C1、および/または
・MAGE−C2。
【0018】
本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に含まれているように、上記群の少なくとも2つの抗原、抗原タンパク質、または抗原ペプチドの特定の組み合わせが、(獲得)免疫システムを効果的に刺激し、肺癌、特に非小細胞肺癌(NSCLC)の治療を可能とすることが見出されたことは驚くべきことである。本明細書では、抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの各用語は同義として用いられ得る。本発明の記載内容において、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物はさらに、免疫反応、好ましくは本明細書中に定義された獲得免疫反応を、活性(免疫賦活)組成物に含まれるもしくはコードされる成分の1つによって引き起こすことができる組成物としても解釈される。この成分の1つは、上記少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする上記少なくとも1つのRNAであることが好ましく、(m)RNAであることが好ましい。
【0019】
活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAはhTERTをコードし得る。この発明の記載内容において、「hTERT」はヒトテロメラーゼ逆転写酵素であり、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に用いられる場合、「hTERT」をコードするRNA(好ましくはmRNA)の好ましい配列は、図7(配列番号7)に示されており、より好ましくは図8(配列番号8)に示されている。Minev,Hippら(2000)は、テロメラーゼがヒト細胞における悪性トランスフォメーションに関連しているリボ核タンパク質酵素であると開示している(Minev, B., J. Hipp, et al. (2000)."Cytotoxic T-cell immunity against telomerase reverse-transcriptase in humans." Proc Natl Acad Sci U S A 97(9):4796-801)。テロメラーゼ活性は大多数のヒトの腫瘍において上昇しており、その遺伝子産物が全てのヒトの腫瘍に共通する最初の分子となる。クラスIのMHC分子に結合する、内生的に処置されたテロメラーゼペプチドの生成は、異なる由来の腫瘍を細胞傷害性T細胞(CTL)の標的にすることができる。したがって、Minev,Hippらによれば、通常の大人および癌患者においてテロメラーゼペプチドを認識する前駆体CTLが免疫付与によって拡大し得るのであれば、このことで癌に対するワクチン治療を進展させることができるとしている。Minev,Hippらはまた、正常な個人および前立腺癌に罹患している患者を、テロメラーゼ逆転写酵素(hTRT)由来の2つのHLA−A2.1制限ペプチドに対してin vitroで免疫化したところ、大多数がhTRT特異的CTLを生成したことを示した。CarpenterおよびVonderheide(2006)(Carpenter, E. L. and R. H. Vonderheide (2006);"Telomerase-based immune therapy of cancer."Expert Opin Biol Ther 6(10):1031-9)は、1997年にヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)をクローニングしたところからhTERTを抗腫瘍免疫療法標的として初めて臨床試験を行うまでの進歩は速かったと報告している。hTERTは、ヒトの癌の大多数において過剰発現されるが、正常な成体組織においてはその発現が制限される。hTERTは、発癌の際に決定的な役割を有し、癌幹細胞によって発現され得る。しかしながら、自己抗原であるにもかかわらず、hTERTはin vitroおよびin vivoの両方において免疫原性を有する。乳癌、前立腺癌、肺癌およびその他癌に罹患している患者に対して、hTERT免疫療法のフェーズIの研究がいくつか完了しており、その臨床的および免疫学的な結果は有望なものであった。免疫療法によって、機能的な抗腫瘍T細胞を、臨床毒性が発生することなく患者内で誘発させることができた。hTERTに基づく治療向けにも、免疫予防方法として個体にワクチン接種をする機会が想定され得る。Nair,S.K.およびHeiserら(2000)は、マウスTERT RNAを形質導入した樹状細胞をワクチン接種したマウスにおける、抗マウスTERT免疫性の誘導について開示している(Nair,S.K., A.Heiser etal. (2000)."Induction of cytotoxic T-cell responses and tumor immunity against unrelated tumors using telomerase reverse-transcriptase RNA transfected dendriticcells." Nat Med 6(9):1011-7.を参照)。したがって、好ましい実施形態によれば、活
性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図7に示されている配列(配列番号7)、より好ましくは図8に示されている配列(配列番号8)から選択されるhTERT抗原をコードしていてもよい。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図7に示されるhTERT配列(配列番号7)、より好ましくは図8に示されるhTERT配列(配列番号8)のフラグメント、変異体またはエピトープから選択されるhTERT抗原を代替的にまたは付加的にコードし得る。
【0020】
活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、さらにWT1をコードし得る。本発明の内容では、「WT1」はウィルムス腫瘍1であり、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に用いられる場合、「WT1」をコードするRNA(好ましくはmRNA)の好ましい配列は図9(配列番号9)に示されており、より好ましくは図10(配列番号10)に示されており、そしてさらに好ましくは図11(配列番号11)に示されている。Oka,Y.A.およびTsuboiら(2004)は、ウィルムス腫瘍タンパク質が肺癌で過剰発現されることを見出した(Oka, Y., A. Tsuboi et al. (2004). "Induction of WT1 (Wilms' tumor gene)-specific cytotoxic T-cells by WT1 peptide vaccine and the resultant cancer regression." Proc Natl Acad Sci U S A 101(38): 13885-90)。Okaら(2004、上記)は、肺癌に罹患している患者10人に対し、WT1由来ペプチドのワクチン接種を行った。そして、この臨床反応が抗腫瘍CD8+T細胞活性と相互関係を有することを示した。ウィルムス腫瘍遺伝子WT1は、白血病および様々な種類の固形腫瘍で過剰発現し、WT1タンパク質はこのような悪性腫瘍に対する免疫療法において魅力的な活性標的抗原であることを示した。Okaら(2004、上記)は、乳癌もしくは肺癌、脊髄形成異常性症候群、または急性骨髄性白血病に罹患している患者に対して行われた、WT1ペプチドを用いた免疫療法のフェーズI臨床研究の結果を報告した。WT1ワクチン接種の有効性が評価できた患者20人のうち、12人は白血病性芽細胞または腫瘍の大きさおよび/または腫瘍マーカーが減少するなどの臨床反応を示した。WT1ワクチン接種後のWT1特異的細胞傷害性T細胞の出現率と臨床反応の間で明白な相互関係が観察された。したがって、WT1ワクチン接種がWT1特異的細胞傷害性T細胞を誘発し、正常な組織を傷つけることなく癌を退行させる結果を示した。好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図9に示される配列(配列番号9)、より好ましくは図10に示される配列(配列番号10)、さらに好ましくは図11に示される配列(配列番号11)から選択されるWT1抗原をコードし得る。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図9に示されるWT1配列(配列番号9)、より好ましくは図10に示されるWT1配列(配列番号10)、さらに好ましくは図11に示されるWT1配列(配列番号11)のフラグメント、変異体またはエピトープから選択されるWT1抗原を代替的もしくは付加的にコードし得る。
【0021】
活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、さらにMAGE−A2をコードし得る。この発明の記載内容において、「MAGE−A2」はメラノーマ抗原ファミリーA,2Bであり、「MAGE−A2」をコードするRNA(好ましくはmRNA)の好ましい配列は、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に用いられる場合、図14に示す配列(配列番号14)であり、より好ましくは図15に示す配列(配列番号15)である。GillespieおよびColeman(1999)(Gillespie, A. M. and R. E. Coleman (1999). "The potential of melanoma antigen expression in cancer therapy." Cancer Treat Rev 25(4):219-27)は、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、頭頚部癌、肺癌、上顎癌、メラノーマ、食道癌、骨肉腫、および卵巣癌で発現したことを報告している。したがって、好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図14に示される配列(配列番号14)、より好ましくは図15に示される配列(配列番号15)から選択されるMAGE−A2抗原をコードし得る。さらなる好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図14(配列番号14)に示されるMAGE−A2配列、より好ましくは図15に示されるMAGE−A2配列(配列番号15)のフラグメント、変異体またはエピトープから選択されるMAGE−A2抗原を代替的にまたは付加的にコードし得る。
【0022】
活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、さらに5T4をコードし得る。この発明の記載内容において、「5T4」は栄養膜糖タンパク質であり、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に用いられる場合、「5T4」をコードするRNA(好ましくはmRNA)の好ましい配列は、図3に示す配列(配列番号3)であり、さらに好ましくは図4に示す配列(配列番号4)である。Harrop、Connollyら(2006)は、ヒト癌胎児性抗原5T4が、プラセンタならびに結腸直腸癌、胃癌、腎臓癌および卵巣癌を含む種々のヒトの癌において高いレベルで発現しているものの、正常な組織ではほとんど発現していない、ロイシンに富む72−kDa膜糖タンパク質であることを報告している(Harrop, R., N. Connolly, et al.(2006). "Vaccination of colorectal patientswith modified Vaccinia Ankara delivering the tumor antigen 5T4 (TroVax) inducesimmune responses which correlate with disease control: a phase I/II trial." Clin Cancer Res 12(11 Pt 1):3416-24を参照)。5T4の過剰発現は、結腸直腸癌、胃癌、および卵巣癌の患者における予後不良に関連している。このような悪化因子であるにもかかわらず、大多数の患者(17人中16人;94%)において、5T4特異的細胞性および/または液性免疫反応がTroVax免疫化後に引き起こされ、これは多くの他の癌免疫療法試験と比べて有益であると考えられた。まとめると、これらは、i.m.およびi.d.投与経路を介して送達されたTroVaxの安全性および免疫原性を示している。ZhaoおよびWang(2007)(Zhao, Y. and Y. Wang(2007). "5T4 oncotrophoblastic glycoprotein: janus molecule in life and a novel potential target againsttumors." Cell Mol Immunol 4(2):99-104)は、5T4腫瘍栄養膜糖タンパク質が胚組織および様々な悪性腫瘍の細胞表面に発現する膜貫通タンパク質であることを報告している。これは、胚形成における大量の細胞移動、移植に関連した細胞浸潤、および腫瘍形成における腫瘍性転移を含む、複数の生物学的および病理的プロセスにおいて不可欠な役割を果たしている。Kopreski,Benkoら(2001)によると、5T4は、癌治療において潜在的な標的となる上皮悪性腫瘍において高頻度で過剰発現する栄養膜糖タンパク質である(Kopreski, M. S., F. A. Benko et al.(2001). "Circulating RNA as a tumor marker: detection of 5T4 mRNA in breast およびlung cancer patient serum." AnnN Y Acad Sci 945:172-8を参照)。血清を、進行性乳癌(患者5人)または非小細胞
肺癌(患者14人)に罹患している患者19人から、および、増幅可能なRNAを有する正常な対照ボランティア25人から集めた。血清から抽出されたRNAは、ヘミネステッド(heminested)の二段階反応のRT−PCRで、ゲル電気泳動法で検出された産物を用いて増幅した。5T4 mRNAは、乳癌患者5人中2人、肺癌患者14人中6人の、計19人中8人(42%)の癌患者血清から再現性をもって検出されたが、正常な対照血清からは25人中3人(12%)のみからしか検出されなかった(p=0.035)。したがって、好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図3に示す配列(配列番号3)、より好ましくは図4に示す配列(配列番号4)から選択される5T4抗原をコードし得る。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図3に示される5T4配列(配列番号3)、より好ましくは図4に示される5T4(配列番号4)のフラグメント、変異体、またはエピトープから選択される5T4抗原を代替的にまたは付加的にコードし得る。
【0023】
活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、さらにMAGE−A3をコードし得る。本発明の記載内容において「MAGE−A3」はメラノーマ抗原ファミリーA,3であり、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に用いられる場合、「MAGE−A3」をコードするRNA(好ましくはmRNA)の好ましい配列は、図16に示す配列(配列番号16)であり、より好ましくは図17に示す配列(配列番号17)である。GillespieおよびColeman(1999)(Gillespie, A. M. and R. E. Coleman(1999). "The potential of melanoma antigen expression in cancer therapy." Cancer Treat Rev 25(4):219-27を参照)は、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、グリオーム、頭頚部癌、肺癌、上顎癌、メラノーマ、ニューロブラストーマ、食道癌および卵巣癌での発現を報告した。Sienel,Varwarkら(2004)は、早期非小細胞肺癌(NSCLC)におけるMAGE−A3発現率を割り出すための研究を開示している(Sienel, W., C. Varwerk, et al. (2004). "Melanoma associated antigen (MAGE)-A3 expression in Stages I and II non-small-cell lung carcinoma: results of a multi-center study." Eur J Cardiothorac Surg 25(1):131-4を参照)。手術可能な臨床ステージIまたはIIのNSCLCの一次腫瘍サンプルを204人の患者から集め、病理学的病期を判定した。逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応を用いてMAGE−A3の転写物を検出することで、組織サンプルからMAGE−A3の発現を分析した。MAGE−A3の発現は、調査した病期I〜II一次腫瘍204のうち80(39.2%)にて観察された。Atanackovic,Altorkiら(2004)は、元々はメラノーマにて同定された腫瘍関連抗原であるMAGE−A3が、非小細胞肺腫瘍からも見つかったと開示している(Atanackovic, D., N. K. Altorki et al. (2004). "Vaccine-induced CD4+ T-cell responses to MAGE-3 protein in lung carcinoca patients." J Immunol 172(5):3289-96を参照)。臨床試験において、9人のNSCLC患者にこのタンパク質をワクチン接種したところ、3人から抗体反応が得られた。アジュバントASO2Bと組み合わされたMAGE−A3を受けた患者8人のうち7人が、MAGE−A3に対する抗体を産生した。これらの患者の何人かはさらにタンパク質に対するT細胞反応も得られた。したがって、好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図16に示される配列(配列番号16)、より好ましくは図17に示される配列(配列番号17)から選択されるMAGE−A3抗原をコードし得る。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図16に示すMAGE−A3配列(配列番号16)、より好ましくは図17に示すMAGE−A3(配列番号17)のフラグメント、変異体またはエピトープから選択されるMAGE−A3抗原を代替的にまたは付加的にコードし得る。
【0024】
活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、さらにMUC1をコードし得る。この発明の記載内容において、「MUC1」はムチン1であり、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に用いられる場合、「MUC1」をコードするRNA(好ましくはmRNA)の好ましい配列は、図1に示す配列(配列番号1)であり、より好ましくは図2に示す(配列番号2)である。癌関連ムチンは、免疫療法の潜在的な標的である。これらの分子は、内皮細胞表面に悪性細胞を容易に接着させることで転移を促進すると考えられている。Denda−NagaiおよびIrimura(2000)(Denda-Nagai, K. and T. Irimura (2000). "MUC1 in cancer-host interactions." Glycoconj J 17(7-9): 649-58)によると、乳癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、胃癌、結腸癌、および卵巣癌を含む全ての腺癌の90%において、MUC−1が過剰発現する。Kontani,Taguchiら(2001)は、肺癌の60%においてMUC−1が過剰発現していることを見出したと開示し(Kontani, K.,O. Taguchi et al. (2001). "Modulation of MUC1 mutin as an escape mechanism of breast carcinoma cells from autologous cytotoxic T-lymphocytes." Br J Cancer 84(9):1258-64を参照)、一方でKontani,Taguchiら(2003)は、MUC1陽性癌で細胞免疫性を引き起こさせるべくパルスDCをMUC1抗原とともに用いる方法を分析する研究において、臨床的にMUC−1陽性患者9人のうち7人から、腫瘍マーカーレベルの低下または悪性胸水の消失のいずれかの反応が治療に対して現われることを見出した(Kontani, K., O. Taguchi, et al. (2003). "Dendriticcell vaccine immunotherapy of cancer targeting MUC1 mutin." Int J Mol Med 12(4):493-502を参照)。反応のあった患者のうち3人はNSCLCに罹患していた。Palmer,Parkerら(2001)は、病期III/IVのNSCLCに対してMUC1ペプチドをフェーズI臨床試験で用いる際の安全性および認容性が得られたと報告している(Palmer, M., J. Parkerら(2001). "Phase I study of the BLP25 (MUC1 peptide) liposomal vaccine for active specific immunotherapy in stage IIIB/IV non-small-cell lung carcinoma." Clin Lung Cancer 3(1):49-57;discussion 58を参照)。12人の患者のうち5人(42%)が免疫反応を示し、12人の患者のうち4人(33%)が安定疾患となった。Wierecky,Muellerら(2006)は、さらに様々な血液病および上皮悪性腫瘍に過剰発現するTAA MUC1の、HLA−A2結合新規9−merペプチドを2つ同定している(Wierecky, J.,M. Mueller et al. (2006). "Dendritic cell-based cancer immunological therapy targeting MUC-1." Cancer Immunol Immunother 55(1):63-7を参照)。これらのペプチドでDCパルスした後に生成された細胞傷害性T細胞は、抗原特異的およびHLA限定的にMUC1を発現する腫瘍細胞の溶解を引き起こすことができた。2つの臨床研究のうち、MUC1由来ペプチドでパルスしたDCを用いて行った進行癌に罹患している患者へのワクチン接種は、深刻な副作用もなく寛容を示し、免疫反応を引き起こすことができた。転移腎細胞癌に罹患している20人の患者のうち、6人の患者から、3つの客観的応答(1CR、2PR)を示す転移の退行を示した。したがって、好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図1に示す配列(配列番号1)、より好ましくは図2に示す配列(配列番号2)から選択されるMUC1抗原をコードし得る。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図1に示す配列(配列番号1)、より好ましくは、図2に示す配列(配列番号2)のフラグメント、変異体またはエピトープから選択されるMUC1抗原を代替的にまたは付加的にコードし得る。
【0025】
活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、さらにHer−2/neuをコードし得る。本発明の記載内容において、「Her−2/neu」はv−erb−b2赤芽細胞白血病ウイルス性腫瘍遺伝子ホモログ2であり、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に用いられている場合、「Her−2/neu」をコードするRNA(好ましくはmRNA)の好ましい配列は、図5に示す配列(配列番号5)であり、より好ましくは図6に示す配列(配列番号6)である。Baxevanis,Sotiropolouら(2004)によれば、HER−2/neu(HER2またはc−erb−B2でも知られる)は、チロシンキナーゼ活性を有し、広範囲にわたって上皮成長因子(EGF)受容体と相同関係を有する185−kDaタンパク質受容体である(Baxevanis, C. N.,P. A. Sotiropoulou, et al. (2004). "Immunobiology of HER-2/neu oncoprotein and its potential application in cancer immunotherapy." Cancer Immunol Immunother 53(3):166-75を参照)。HER−2/neuは多くの上皮腫瘍に発現し、全卵巣癌および乳癌のおよそ20−25%、全膵臓腺癌のおよそ35−45%、そして結腸直腸癌のおよそ90%において発現することが知られている。HER−2/neuの過剰発現は、予後不良のマーカーを表している。Her−2の過剰発現は、乳、卵巣、膵臓、結腸、肺、および他の組織にある悪性腫瘍で観察されている。Her−2は通常、種々のヒトの組織(皮膚、消化管上皮、乳、卵巣、肝細胞)において低いレベルで発現する。Bernhard,Salazar(2002)は、能動的に癌患者をHER−2/neuに対して免疫する臨床試験の早期段階で免疫性が生成される結果が得られ、一定期間、その免疫反応が持続したと結論付けている(Bernhard,H., Salazar L. et al. (2002). "Vaccination against the HER-2/neu oncogenic protein." Endocr Relat Cancer 9(1): 33-44を参照)。現在のワクチン試験は、エピトープまたはペプチド系ワクチンの使用のみに焦点を当てている。この理由のほどんどは、ペプチドワクチン手法がげっ歯類モデルにおけるneu特異的な寛容を回避できるという観察を受けた結果である。Bernhardら(2002、上記)によれば、次世代のワクチンの取り組みは、タンパク質系ワクチン、DCに負荷されたHER−2/neu抗原製剤、および核酸系製剤を含む可能性が高い。これらの手法を前臨床レベルで研究するげっ歯類モデルの研究は見込みがあった。そのため、活性免疫処置後におけるex vivoでのHER−2/neu特異的T細胞の増殖、またはHER−2/neu発現DCを用いたin vitro培養は、進行期のER−2/neu過剰発現腫瘍の治療の選択肢として考えられていた。Baxevanis,Sotiridouら(2006)は、ヒトにおいては、ワクチンに用いられるペプチドに対する免疫反応が検出されているものの、臨床反応が何も記述されていないことを見出した(Baxevanis, C. N.,N. N. Sotiriadouら(2006). "Immunogenic HER-2/neu peptides as tumor vaccines." Cancer Immunol Immunother 55(1):85-95を参照)。Disis,Gooleyら(2002)によれば、Her−2/neuはEGFRファミリーの一員である(Disis, M. L., T. A. Gooley et al. (2002). "Generation of T-cell immunology to the HER-2/neu protein after active immune process with HER-2/neu peptide-based vaccines." J ClinOncol 20(11):2624-32を参照)。これは、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸癌および肺癌
にて高頻度に過剰発現する。フェーズI臨床試験にて、38人の患者(2人がNSCLC患者)にHer−2/neuペプチドをワクチン接種したところ、患者の92%が、Her−2/neuに対するT細胞免疫性を生成した。したがって、好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図5に示す配列(配列番号5)、より好ましくは図6に示す配列(配列番号6)から選択されるHer−2/neu抗原をコードし得る。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図5に示すHer−2/neu配列(配列番号5)、より好ましくは図6に示すHer−2/neu配列(配列番号6)のフラグメント、変異体またはエピトープから選択されるHer−2/neu抗原を代替的にまたは付加的にコードし得る。
【0026】
活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、さらにNY−ESO−1をコードし得る。この発明の記載内容において、「NY−ESO−1」は癌/精巣抗原1Bであり、本発明の活性(免疫賦活)組成物に用いられる場合、「NY−ESO−1」をコードするRNA(好ましくはmRNA)の好ましい配列は、図20に示す配列(配列番号20)であり、より好ましくは図21に示す配列(配列番号21)である。Chen,Scanlanら(1997)は、RT−PCRによって、種々のヒトの腫瘍におけるNY−ESO−1のmRNA発現を報告している:メラノーマ23/67、卵巣癌2/8、乳癌10/33、甲状腺癌2/5、前立腺癌4/16、膀胱癌4/5、結腸癌0/16、バーキットリンパ腫1/2、グリオーム0/15、基底細胞癌0/2、胃癌0/12、平滑筋肉腫0/2、肺癌2/12、その他肉腫0/2、腎臓癌0/10、膵臓癌0/2、リンパ腫0/10、セミノーム0/1、ヘパトーム2/7、脊髄腫瘍0/1(Chen, Y. T., M. J. Scanlan et al. (1997). "A testicular antigen aberrantly expressed in human cancers detected by autologous antibody screening." Proc Natl Acad Sci U S A 94(5):1914-8を参照)。Jager,Karbachら(2006)は、NY−ESO−1が種々のヒト悪性腫瘍に発現する癌/精巣抗原であり、NY−ESO−1を標的とするワクチン方法が開発されていることを報告している(Jager, E.,J. Karbach et al. (2006). "Recombinant vaccinia/fowlpox NY-ESO-1 vaccines induce both humoral and cellular NY-ESO-1-specific immune responses in cancer patients." Proc Natl Acad Sci U S A 103(39):14453-8を参照)。この研究では、組換えvaccinia−NY−ESO−1および組換えfowlpox−NY−ESO−1の安全性および免疫原性を、種々の腫瘍種を有する36人の一連の患者において分析を行った。各コンストラクトについて、まず個別に2つの異なる投与量で分析を行い、次に組換えvaccinia−NY−ESO−1の後に組換えfowlpox−NY−ESO−1を投与するプライム・ブースト法で分析を行った。ワクチンは、個別または組み合わせの両方において良好な寛容を有した。高い割合の患者において、少なくとも4回のワクチン接種を月間隔で行うことで、広範囲のNY−ESO−1エピトープに対するNY−ESO−1特異的抗体反応および/または特異的CD8およびCD4T細胞反応を引き起こすことができた。ワクチン接種を受けた患者5人から得られたCD8T細胞クローンは、NY−ESO−1発現メラノーマ標的細胞を溶解することが示された。メラノーマに罹患している何人かの患者では、ワクチン接種をすることで疾病の自然経過が良い方向に影響したような印象を強く受けた。Davis,Chenら(2004)は、皮内に注射されたHLA−A2制限NY−ESO−1ペプチドは安全かつ免疫原性を有することを報告をしている(Davis, I. D.,W. Chen et al. (2004). "Recombinant NY-ESO-1 protein with ISCOMATRIX adjuvant induces broad integrated antibodies and CD4(+) and CD8(+) T-cell responses in humans." Proc Natl Acad Sci U S A 101(29):10697-702)。これらの試験は安全性および免疫原性を割り出すためだけに設計されたものであるが、何人かの患者は、腫瘍の退行または疾病の安定化を示した。また、Jager,Gnjaticら(2000)によって、切除NY−ESO−1発現メラノーマを有する患者において、抗体反応ならびにCD4およびCD8T細胞反応を含む広範囲のNY−ESO−1特異的免疫反応が、ISCOMATRIXアジュバント(CSL社、Parkville、Victoria、Australia)と組み合わせた組換えNY−ESO−1タンパク質による免疫化後に見られることが明示された(Jager, E., S. Gnjatic et al.(2000). "Induction of primary NY-ESO-1 immunity: CD8+ T-cell and antibody responses in peptide-vaccinated patients with NY-ESO-1+ cancers." Proc Natl Acad Sci U S A 97(22):12198-203を参照)。このワクチンに対する免疫反応は、長期無病生存率に関連するように見受けられた。さらに、Odunsi,Qianら(2007)は、NY−ESO−1ペプチドを有するワクチン接種が、卵巣癌に対して一体的な液性およびT細胞反応を引き起こすと報告している(Odunsi, K.,F. Qianら(2007). "Vaccination with an NY-ESO-1 peptide of HLA class I/II specificities induces integrated humoral and T-cell responses in ovarian cancer." Proc Natl Acad Sci U S A 104(31):12837-42を参照)。したがって、好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図20に示す配列(配列番号20)、より好ましくは図21に示す配列(配列番号21)から選択されるNY−ESO−1抗原をコードし得る。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図20に示すNY−ESO−1配列(配列番号20)、より好ましくは図21に示すNY−ESO−1配列(配列番号21)のフラグメント、変異体またはエピトープから選択されるNY−ESO−1抗原を代替的にまたは付加的にコードし得る。
【0027】
活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、さらにCEAをコードし得る。本発明の記載内容において、「CEA」は癌胎児性抗原(CECAM5=癌胎児性抗原関連細胞接着分子5)であり、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に用いられる場合、「CEA」をコードするRNA(好ましくはmRNA)の好ましい配列は、図12に示す配列(配列番号12)であり、より好ましくは図13に示す配列(配列番号13)である。Hammarstrom(1999)によると、CEAは接着分子として機能する180kDa癌胎児性糖タンパク質であり、NSCLCの70%において過剰発現する(Hammarstrom, S. (1999). "The carcinoembryonic antigen (CEA) family: structures, suggested functions and expression in normal and malignant tissues." Semin Cancer Biol9(2):67-81)。Berinstein(2002)は、CEAが癌に対する活性ワクチ
ン手法の標的として多くの魅力的な特徴を有していると報告している(Berinstein, N. L.(2002). "Carcinoembryonic antigen as a target for therapeutic anticancer vaccines: a review." J Clin Oncol 20(8):2197-207)。CEAは好ましい発現パターンを有しており、全てのヒト癌の50%を越える種類で発現する。CEA自身が腫瘍形成プロセスの中で役割を果たすこともあり、癌が進行する間、発現を選択、維持することができる。CEAは様々なMHCクラス1分子に処理、提示されていることが多く立証されている。また、CEAに対する免疫寛容は絶対ではない。ヒトT細胞がCEAを発現している癌細胞を認識し、それに対して活性化し、癌細胞を溶解することができるという多くのデータが存在している。CEAを標的抗原として用いたいくつかの異なる治療ワクチン手法を評価したところ、安全性は確立されている。また、CEAに対する液性および/または細胞反応は立証されている。ほとんどの場合、これらのBerinstein(2002、上記)によって発表された研究には非常に進行した難治性の転移結腸癌患者が選ばれているが、臨床活動のいくつかの証拠では、疾病の安定化、および何人かの患者では客観的応答が立証されている。アゴニストCEA MHCクラスI結合ペプチド(CAP1−6D)およびCEAを組み込んだポックスウイルスベクターによってパルスした樹状細胞は、共刺激分子の有無に関わらず、活性化CD8T細胞反応において最も活性が高かった。残念ながら樹状細胞手法は、患者に特異的な樹状細胞の調製物を得る物流上の難しさによって制限され得る。CEAを標的としたカナリア痘ベクターシステムを用いた4つのフェーズI研究が報告された。これらの試験によって、この手法が安全、かつ主として注入部位に限定してグレード1および2の緩い毒性を示すことを示した。また、この試験は、特定細胞性T細胞反応が大多数の患者においてCEAに対して活性化し得ることを示している。これらの反応は、ベクター内にB7.1共刺激分子を含ませること、または注入部位に組換えGM−CSを加えることで増強させ得る。客観的臨床応答は報告されなかったが、これらフェーズI研究の患者のかなりの割合の者が疾病の安定化を経験した。CEAを認識するT細胞の割合をさらに増強させるためのワクチン接種方法があり、これは、これらワクチンの臨床活性を増大させると考えられている。少なくともいくつかのワクチンは軽微な疾病状態であればより効果的であることを示唆するデータがある。Ueda,Itohら(2004)は、CEA由来ペプチドをパルスした自己樹状細胞を用いて、転移胃腸癌または肺癌に罹患している患者18人を治療した1つの研究を記載している(Ueda, Y.,T. Itoh et al. (2004). "Dendritic cell-based immunotherapy of cancer with carcinoembryonic antigen-derived, HLA-A24-restricted CTL epitope: Clinical outcomes of 18 patients with metastasis gastrointestinal or lung adenocarcinomas." Int J Oncol 24(4):909-17を参照)。ほとんどの患者について、皮膚試験で測定した免疫反応、およびin vitroT細胞アッセイを観察した。客観的臨床応答は報告されなかったが、この免疫療法を受けている間、何人かの患者の疾病は安定していた。したがって、好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図12に示す配列(配列番号12)、より好ましくは図13に示す配列(配列番号13)から選択されるCEA抗原をコードし得る。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図12に示すCEA配列(配列番号12)、より好ましくは図13に示す配列(配列番号13)のフラグメント、変異体またはエピトープから選択されるCEA抗原を代替的にまたは付加的にコードし得る。
【0028】
活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、さらにSurvivinをコードし得る。本発明の記載内容において、「Survivin」はバキュロウイルスIAPリピート含有5(survivin)であり、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に用いられた場合、「survivin」をコードするRNA(好ましくはmRNA)の好ましい配列は、図18に示す配列(配列番号18)であり、より好ましくは図19に示す配列(配列番号19)である。Survivinは、Grube,Moritzら(2007)によって定義付けられている(Grube, M.,S. Moritz et al. (2007). "CD8+ T-cellsreactive to survivin antigen in patients with multiple myeloma." Clin Cancer Res13(3):1053-60を参照)。Survivinはアポトーシスファミリーの阻止剤の一員
であり、様々な種類の悪性腫瘍で過剰発現する。survivinエピトープを認識する細胞傷害性T細胞は、in vitroにおいて引き起こされ得、また白血病、乳癌、およびメラノーマに罹患している患者に対してワクチン接種をすることによって引き起こされ得る。多発性骨髄腫に罹患している患者において、survivin特異的CD8+T細胞が出現しているかを調べた。そして、23人の患者のうち9人から、また21人の健康なボランティアのうち1人から、T細胞認識HLA−A2.1結合survivinペプチドが検出された。Survivin活性T細胞は末期分化型エフェクターT細胞(CD8+、CD45RA+、およびCCR7)として同定された。骨髄標本における骨髄腫細胞の陽性survivin発現は、11人の患者のうち7人において観察された。Survivinは上皮および血液由来のほとんどのヒト癌細胞から多く発現し、過剰発現は癌の進行、予後不良、耐性、そして短期患者生存率に関連している。Duffy,O’Donovan(2007)は、Survivinがほとんど全ての悪性腫瘍において過剰発現する16.5kDaのタンパク質であり、正常な分化成体組織においてはほとんど検出されないと報告している(Duffy, M. J., N. O'Donovan,ら(2007). "Survivin: a promising tumor biomarker." Cancer Lett 249(1):49-60を参照)。機能的に、survivinはアポトーシスの制御、細胞増殖の促進、および血管形成の促進をすることが示されている。これらの処理における役割と一致して、survivinは、癌の進行において重要な役割を果たすと説明されていた。正常組織および悪性組織の間での発現に大きな違いがあるため、さらに癌の進行における原因となる役割のために、survivinは現在、潜在的な腫瘍マーカーとして集中的に調査が行われている。新たに出てきているデータは、survivinを測定することで膀胱癌の早期診断、複数癌の種類の予後判断、そして多様な抗癌治療に対する反応の予測を手助けし得ることを示唆している。Zeis,Siegelら(2003)は、survivin−RNAを形質導入した自己樹状細胞を用いてPBMCを刺激することによって生成されたヒトsurvivin特異的CTLは、血液悪性細胞系から、急性骨髄性白血病に罹患している患者から単離された一次腫瘍細胞までの範囲において、細胞傷害性を示した(Zeis, M., S. Siegel et al. (2003). "Generation of cytotoxic responses in mice and human individuals against hematological malignancy using survivin-RNA-transfected dendritic cells." J Immunol 170(11):5391-7を参照)。また、survivin−RNAを形質導入した樹状細胞をマウスにワクチン接種することで、survivin発現リンパ腫によるチャレンジに対する長期耐性を有することにつながり、腫瘍拒絶Agとしてのsurvivinの潜在的な可能性を示した。血液学腫瘍に対する免疫治療手法のためのターゲット構造としてのsurvivinの使用について、証拠が得られた。したがって、好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図18に示す配列(配列番号18)、より好ましくは図19に示す配列(配列番号19)から選択されるSurvivin抗原をコードし得る。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図18に示すSurvivin配列(配列番号18)、より好ましくは図19に示すSurvivin配列(配列番号19)のフラグメント、変異体またはエピトープから選択されるSurvivin抗原を代替的にまたは付加的にコードし得る。
【0029】
活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、さらにMAGE−C1をコードし得る。本発明の記載内容において、「MAGE−C1」はメラノーマ抗原ファミリーC,1であり、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に用いられる場合、「MAGE−C1」をコードするRNA(好ましくはmRNA)の好ましい配列は、図22に示す配列(配列番号22)であり、より好ましくは図23に示す配列(配列番号23)であり、そしてさらに好ましくは図24に示す配列(配列番号24)である。Lucas,De Smetら(1998)は、RDAを行うことで、最近、MAGE−C1を同定した(Lucas,S., C. De Smet et al. (1998). "Identification of a new MAGE gene with tumor-specific expression by representational difference analysis." Cancer Res 58(4):743-52を参照)。試験を行った正常組織のパネルにおいて、精巣を除き、MAGE−C1を発現しなかった。腫瘍サンプルのうち、MAGE−C1はセミノーム、メラノーマ、および膀胱癌で高頻度に発現した。また、頭頚部癌、乳癌、非小肺癌、前立腺腺癌および肉腫でもかなりの割合で発現した。Jungbluth,Chenら(2002)は、乳癌、卵巣癌、肝臓癌、精巣癌、膀胱癌、メラノーマおよび非小細胞肺癌(39%)での発現を開示している(Jungbluth, A. A.,Y. T. Chenら(2002). "CT7 (MAGE-C1) antigen expressionin normal and neoplastic tissues." Int J Cancer 99(6):839-45を参照)。Gure
,Chuaら(2005)は、癌精巣抗原の発現に関して523人もの非小細胞肺癌(NSCLC)患者の腫瘍を分析した(Gure, A. O.,R. Chua et al. (2005). "Cancer-testis genes are coordinately expressed and are markers of poor outcome in non-small-cell lung carcinoma." Clin Cancer Res 11(22):8055-62を参照)。MAGE−C1は18,8%の患者に存在した。Scanlan,Altorkiら(2000)はさらに、33の非小細胞肺癌におけるCT抗原の発現を報告した:MAGE−C1:30%(Scanlan, M. J.,N. K. Altorki et al. (2000). "Expression of cancer-testis antigens inlung carcinoma: definition of bromodomain testis-specific gene (BRDT) as a new CT gene, CT9." Cancer Lett 150(2):155-64を参照)。したがって、好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図22に示す配列(配列番号22)、より好ましくは図23に示す配列(配列番号23)、さらに好ましくは図24に示す配列(配列番号24)から選択されるMAGE−C1抗原をコードし得る。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図22に示すMAGE−C1配列(配列番号22)、より好ましくは図23に示すMAGE−C1配列(配列番号23)、さらに好ましくは図24に示すMAGE−C1配列(配列番号24)のフラグメント、変異体、もしくはエピトープから選択されるMAGE−C1抗原を代替的にまたは付加的にコードし得る。
【0030】
活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、さらにMAGE−C2をコードし得る。本発明の記載内容において、「MAGE−C2」はメラノーマ抗原ファミリーC2であり、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に用いられる場合、「MAGE−C2」をコードするRNA(好ましくはmRNA)の好ましい配列は、図25に示す配列(配列番号25)であり、より好ましくは図26に示す配列(配列番号26)である。Lucas,De Plaenら(2000)は、メラノーマ細胞系にRDAを行うことで、最近、MAGE−C2を同定した(Lucas, S.,E. De Plaen et al. (2000). "MAGE-B5, MAGE-B6, MAGE-C2, and MAGE-C3: four new members of the MAGE family with tumor-specific expression." Int J Cancer 87(1):55-60を参照)。MAGE−C2は、試験を行った正常組織のパネルにおいては、精巣を除き、発現しなかった。腫瘍サンプルのうち、MAGE−C2はセミノーム、メラノーマ、および膀胱癌から高頻度に発現した。また、頭頚部癌、乳癌、非小肺癌および肉腫においてもかなりの割合で発現した。Scanlan,Altorkiら(2000)は、33の非小細胞肺癌におけるCT抗原の発現を報告した:MAGE−C2:30%(Scanlan, M. J.,N. K. Altorki et al. (2000). "Expression of cancer-testis antigens in lung carcinoma: definition of bromodomain testis-specific gene (BRDT) as a new CT gene, CT9." Cancer Lett 150(2):155-64を参照)。したがって、好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図25に示す配列(配列番号25)、より好ましくは図26に示す配列(配列番号26)から選択されるMAGE−C2抗原をコードし得る。さらに好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、図25に示すMAGE−C2配列(配列番号25)、より好ましくは図26に示すMAGE−C2配列(配列番号26)のフラグメント、変異体またはエピトープから選択されるMAGE−C2抗原を代替的にまたは付加的にコードし得る。
【0031】
上記規定の、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAがコードし得る抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドは、これらの配列のフラグメントまたは変異体を含んでいてもよい。このようなフラグメントまたは変異体は、一般的に、上記記載の抗原、抗原タンパク質、抗原ペプチド、配列、またはそれらをコードする核酸配列のいずれか1つと、核酸レベルもしくはアミノ酸レベルにおいて、野生型配列全体に対して少なくとも5%,10%,20%,30%,40%,50%,60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、同様により好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも95%またはさらに97%の配列相同性を有する配列を含み得る。
【0032】
本発明の記載内容における抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの「フラグメント」は、上記に定義した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの配列を含み得、この配列は、アミノ酸配列(またはこれをコードする核酸配列)に関して、オリジナル(ネイティブ)タンパク質(もしくはこれをコードする核酸配列)のアミノ酸配列と比べてN末端、C末端、および/または配列内にてトランケートされている(truncated)ものである。このようなトランケーション(truncation)は、アミノ酸レベルもしくは対応する核酸レベルにおいて起こり得る。したがって、上記規定のフラグメントの配列相同性は、好ましくは上記規定の抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチド全体、もしくはそのような抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの(コードする)核酸配列全体を参照している。
【0033】
本発明の記載内容における抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドのフラグメントは、さらに、アミノ酸をおよそ6からおよそ20もしくはそれ以上の長さを有する上記規定の抗原、抗原タンパク質もしくは抗原ペプチドの配列を含んでいてもよい。例えば、MHCクラスI分子によって処理・提示された、好ましくはおよそ8からおよそ10、例えば8、9、もしくは10のアミノ酸(または6、7、11、もしくは12のアミノ酸)の長さを有するフラグメント、または、MHCクラスII分子によって処理・提示された、好ましくは13以上のアミノ酸の長さ、例えば13、14、15、16、17、18、19、20もしくはそれ以上のアミノ酸を有するフラグメントが挙げられる。これらのフラグメントはアミノ酸配列のいずれの部分からも選択され得る。これらのフラグメントは、一般的にペプチドフラグメントとMHC分子とからなる複合体としてT細胞内に認識される。すなわち、フラグメントは一般的に、ネイティブ形態では認識されない。
【0034】
本明細書に記載の抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドのフラグメントはまた、これらの抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドのエピトープを含み得る。本発明の記載内容におけるエピトープ(「抗原決定基」とも呼ばれる)とは、本明細書に記載の(ネイティブ)抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの外面に位置する、好ましくはアミノ酸を5〜15、より好ましくはアミノ酸を5〜12、さらに好ましくはアミノ酸を6〜9有するフラグメントであり、抗体またはB細胞受容体として、すなわちネイティブ形態で認識され得るフラグメントである。抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドのこのようなエピトープは、さらにこのような抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの、本明細書中に記載の変異体から選択されてもよい。本明細書において、抗原決定基は、本明細書に規定されている抗原、抗原タンパク質もしくは抗原ペプチドのアミノ酸配列において不連続な、本明細書において規定されている抗原、抗原タンパク質もしくは抗原ペプチドの分節を三次元構造として組み合わせることで形成される高次構造的または不連続エピトープか、単一のポリペプチド鎖からなる連続もしくは直線エピトープであり得る。
【0035】
上記規定の抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの「変異体」は、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされ得る。この場合、上記で規定されている抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドをコードする少なくとも1つの(m)RNAの核酸が入れ替えられている。このようにして、例えば1つ以上のアミノ酸を置換、挿入および/または欠失したアミノ酸配列を有する、1つ以上の変異でオリジナルの配列と異なるアミノ酸配列を有する抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドを生成することができる。これらのフラグメントおよび/または変異体は、全長ネイティブ抗原もしくは抗原タンパク質と同一の生体作用または特異的活性、例えば特異的抗原特性を有することが好ましい。
【0036】
本発明に係る活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAはさらに、コードするアミノ酸配列が生理学的配列と比較して同類アミノ酸置換を有する、上記で規定した抗原または抗原タンパク質をコードし得る。これらをコードするヌクレオチド配列およびこれらのコードされたアミノ酸配列は特に、上記で規定した変異体に該当する。同一クラスから派生するアミノ酸が入れ替えられる置換は、同類置換と呼ばれる。特に、これらは脂肪族側鎖を有するアミノ酸、ポジティブもしくはネガティブにチャージされた側鎖を有するアミノ酸、もしくは側鎖に芳香族基を有するアミノ酸、またはヒドロキシルブリッジに入り込める側鎖(例えばヒドロキシル機能を有する側鎖)を有するアミノ酸である。つまりは、例えば極性側鎖を有するアミノ酸が同様に極性側鎖を有する別のアミノ酸と置き換えられるか、または、例えば疎水性側鎖で特徴付けられるアミノ酸が同様の疎水性側鎖を有する別のアミノ酸と置換される(例えば、セリン(トレオニン)とトレオニン(セリン)またはロイシン(イソロイシン)とイソロイシン(ロイシン))。挿入および置換は、特に、三次元構造に変化を生じさせない配列位置、または結合領域に影響を与えない位置で可能である。挿入または欠失による三次元構造の変化は、例えばCDスペクトル(円二色性スペクトル)を用いて容易に判定できる(Urry, 1985, Absorption, Circular Dichroism and ORD of Polypeptides, in: Modern Physical Methods in Biochemistry, Neuberger et al. (ed.), Elsevier, Amsterdam)。
【0037】
さらに、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされ得る上記で規定した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドの変異体は、抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドがそれぞれ変更されることなく、遺伝暗号の縮重に応じて上記少なくとも1つの(m)RNAの核酸が入れ替えられたこれらの配列を含み得る。すなわち、上記意味においてアミノ酸配列または少なくともその一部では、1つ以上の変異においてオリジナル配列と異ならないこともある。
【0038】
2つの配列(例えば本明細書に規定したRNAもしくはmRNA配列等の核酸配列、またはアミノ酸配列、好ましくは上記で規定した抗原、抗原タンパク質もしくは抗原ペプチドのアミノ酸配列などのコードされたアミノ酸配列)における一致の割合を決定するべく、配列を順番に並べ、続いて互いに比較する。こうすることで、例えば、第一の配列にギャップを挿入することができ、第二の配列の対応する位置の要素を比較することができる。第一の配列の位置が第二の配列の対応する位置と同じ要素によって占められている場合は、2つの配列はこの位置で同一である。2つの配列が同一かどうかの率は、同一である位置の数を位置の合計数で割った数である。2つの配列が同一である割合は、数学的アルゴリズムによって算出することができる。使用可能な数学的アルゴリズムの例としてKarlinら(1993),PNAS USA,90:5873−5877またはAltschulら(1997),Nucleic Acids Res.,25:3389−3402が好ましいが、これに特に限定されない。このようなアルゴリズムはBLASTプログラムに組み込まれる。このプログラムによって、ある一定の範囲まで本発明の配列と同一である配列を同定することができる。
【0039】
上記に規定したとおり、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物は、上記群の抗原の中から選択されるいずれか少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを有する。なぜなら、本発明によれば、上記群の少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原からなる特定の組み合わせは、肺癌、特に非小細胞肺癌(NSCLC)を治療する(獲得)免疫システムを効率的に刺激するからである。しかしながら、本発明は、上記群の抗原のいずれもから選択される3,4,5,6,7,8,9,10,11または12の(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAを有する活性(免疫賦活)組成物を提供することができ、これら抗原のいかなる組み合わせも可能であり、想定される。
【0040】
特に好ましい実施形態によれば、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、下記抗原からなるサブグループより選択されるいかなる抗原の少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードし得る:
・hTERT、
・WT1、
・5T4、
・NY−ESO−1、
・Survivin、および/または
・MAGE−C2。
【0041】
より好ましくは、本発明はまた、上記群もしくはサブグループのいかなる抗原から選択される少なくとも3,4,5または6の(好ましくは異なる)抗原をコードする、少なくとも1つのRNAを含む活性(免疫賦活)組成物を提供し得る。なお、これら抗原のいかなる組み合わせをも可能である。
【0042】
したがって、他の特に好ましい実施形態によって、本発明の上記活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、下記の抗原の組み合わせを(少なくとも)いずれか1つ含む上記群またはサブグループの抗原のいずれもから選択される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードし得る:
・hTERTおよびWT1、もしくは
・hTERTおよび5T4、もしくは
・hTERTおよびNY−ESO−1、もしくは
・hTERTおよびSurvivin、もしくは
・hTERTおよびMAGE−C2、もしくは
・WT1および5T4、もしくは
・WT1およびNY−ESO−1、もしくは
・WT1およびSurvivin、もしくは
・WT1およびMAGE−C2、もしくは
・5T4およびNY−ESO−1、もしくは
・5T4およびSurvivin、もしくは
・5T4およびMAGE−C2、もしくは
・NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・SurvivinおよびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1および5T4、もしくは
・hTERT,WT1およびNY−ESO−1、もしくは
・hTERT,WT1およびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1およびMAGE−C2、もしくは
・hTERT,5T4,およびNY−ESO−1、もしくは
・hTERT,5T4,およびSurvivin、もしくは
・hTERT,5T4,およびMAGE−C2、もしくは
・hTERT,NY−ESO−1,およびSurvivin、もしくは
・hTERT,NY−ESO−1,およびMAGE−C2、もしくは
・hTERT,Survivin,およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,5T4およびNY−ESO−1、もしくは
・WT1,5T4およびSurvivin、もしくは
・WT1,5T4およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・WT1,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・5T4,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・5T4,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・5T4,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・NY−ESO−1,SurvivinおよびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,5T4およびNY−ESO−1、もしくは
・hTERT,WT1,5T4およびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1,5T4およびMAGE−C2、もしくは
・hTERT,5T4,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・hTERT,5T4,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・hTERT,NY−ESO−1,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・WT1,5T4,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・WT1,5T4,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,5T4,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・5T4,NY−ESO−1,SurvivinおよびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,5T4,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1,5T4,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,5T4,NY−ESO−1,SurvivinおよびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,5T4,NY−ESO−1,SurvivinおよびMAGE−C2。
【0043】
より好ましくは、本発明の上記活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、下記抗原の組み合わせの(少なくとも)いずれか1つを含む上記群またはサブグループの抗原のいずれもから排他的に選択される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードし得る:
・hTERTおよびWT1、もしくは
・hTERTおよび5T4、もしくは
・hTERTおよびNY−ESO−1、もしくは
・hTERTおよびSurvivin、もしくは
・hTERTおよびMAGE−C2、もしくは
・WT1および5T4、もしくは
・WT1およびNY−ESO−1、もしくは
・WT1およびSurvivin、もしくは
・WT1およびMAGE−C2、もしくは
・5T4およびNY−ESO−1、もしくは
・5T4およびSurvivin、もしくは
・5T4およびMAGE−C2、もしくは
・NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・SurvivinおよびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1および5T4、もしくは
・hTERT,WT1およびNY−ESO−1、もしくは
・hTERT,WT1およびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1およびMAGE−C2、もしくは
・hTERT,5T4,およびNY−ESO−1、もしくは
・hTERT,5T4,およびSurvivin、もしくは
・hTERT,5T4,およびMAGE−C2、もしくは
・hTERT,NY−ESO−1,およびSurvivin、もしくは
・hTERT,NY−ESO−1,およびMAGE−C2、もしくは
・hTERT,Survivin,およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,5T4およびNY−ESO−1、もしくは
・WT1,5T4およびSurvivin、もしくは
・WT1,5T4およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・WT1,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・5T4,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・5T4,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・5T4,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・NY−ESO−1,SurvivinおよびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,5T4およびNY−ESO−1、もしくは
・hTERT,WT1,5T4およびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1,5T4およびMAGE−C2、もしくは
・hTERT,5T4,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・hTERT,5T4,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・hTERT,NY−ESO−1,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・WT1,5T4,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・WT1,5T4,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,5T4,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・5T4,NY−ESO−1,SurvivinおよびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,5T4,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1,5T4,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,5T4,NY−ESO−1,SurvivinおよびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,5T4,NY−ESO−1,SurvivinおよびMAGE−C2。
【0044】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明は少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAを有する活性(免疫賦活)組成物を提供し、
a)上記少なくとも2つの抗原のうち、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、3つ、4つ、5つまたは6つが、
・5T4、
・NY−ESO−1、
・MAGE−A2、
・MAGE−A3、
・MAGE−C1、および/または
・MAGE−C2から選択され、
b)さらなる抗原が、本明細書に規定した少なくとも1つの抗原、好ましくは、本明細書中に記載の抗原の組み合わせ、群またはサブグループのいずれもから選択され、例えば、上記さらなる抗原は、
・hTERT、
・WT1、
・MAGE−A2、
・5T4、
・MAGE−A3、
・MUC1、
・Her−2/neu、
・NY−ESO−1、
・CEA、
・Survivin、
・MAGE−C1、および/または
・MAGE−C2
から選択される。
【0045】
さらに好ましい実施形態によれば、a)に係る上記少なくとも1つの抗原は、
・NY−ESO−1、
・MAGE−C1、および/または
・MAGE−C2
から選択される。
【0046】
他の好ましい実施形態によれば、a)に係る上記少なくとも1つの抗原は、
・MAGE−C1、および/または
・MAGE−C2
から選択される。
【0047】
他の好ましい実施形態によれば、b)に係る上記少なくとも1つの抗原は、以下の組み合わせのいずれか1つに規定された一つまたは複数の抗原から選択される:
・hTERTおよびWT1、もしくは
・hTERTおよびMAGE−A2、もしくは
・hTERTおよび5T4、もしくは
・hTERTおよびMAGE−A3、もしくは
・hTERTおよびMUC1、もしくは
・hTERTおよびHer−2/neu、もしくは
・hTERTおよびNY−ESO−1、もしくは
・hTERTおよびCEA、もしくは
・hTERTおよびSurvivin、もしくは
・hTERTおよびMAGE−C1、もしくは
・hTERTおよびMAGE−C2、もしくは
・WT1およびMAGE−A2、もしくは
・WT1および5T4、もしくは
・WT1およびMAGE−A3、もしくは
・WT1およびMUC1、もしくは
・WT1およびHer−2/neu、もしくは
・WT1およびNY−ESO−1、もしくは
・WT1およびCEA、もしくは
・WT1およびSurvivin、もしくは
・WT1およびMAGE−C1、もしくは
・WT1およびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A2および5T4、もしくは
・MAGE−A2およびMAGE−A3、もしくは
・MAGE−A2およびMUC1、もしくは
・MAGE−A2およびHer−2/neu、もしくは
・MAGE−A2およびNY−ESO−1、もしくは
・MAGE−A2およびCEA、もしくは
・MAGE−A2およびSurvivin、もしくは
・MAGE−A2およびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A2およびMAGE−C2、もしくは
・5T4およびMAGE−A3、もしくは
・5T4およびMUC1、もしくは
・5T4およびHer−2/neu、もしくは
・5T4およびNY−ESO−1、もしくは
・5T4およびCEA、もしくは
・5T4およびSurvivin、もしくは
・5T4およびMAGE−C1、もしくは
・5T4およびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A3およびMUC1、もしくは
・MAGE−A3およびHer−2/neu、もしくは
・MAGE−A3およびNY−ESO−1、もしくは
・MAGE−A3およびCEA、もしくは
・MAGE−A3およびSurvivin、もしくは
・MAGE−A3およびMAGE−C1
・MAGE−A3およびMAGE−C2
・MUC1およびHer−2/neu、もしくは
・MUC1およびNY−ESO−1、もしくは
・MUC1およびCEA、もしくは
・MUC1およびSurvivin、もしくは
・MUC1およびMAGE−C1、もしくは
・MUC1およびMAGE−C2、もしくは
・HER−2/NEUおよびNY−ESO−1、もしくは
・HER−2/NEUおよびCEA、もしくは
・HER−2/NEUおよびSurvivin、もしくは
・HER−2/NEUおよびMAGE−C1、もしくは
・HER−2/NEUおよびMAGE−C2、もしくは
・NY−ESO−1およびCEA、もしくは
・NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・NY−ESO−1およびMAGE−C1、もしくは
・NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・CEAおよびSurvivin、もしくは
・CEAおよびMAGE−C1、もしくは
・CEAおよびMAGE−C2、もしくは
・SurvivinおよびMAGE−C1、もしくは
・SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−C1およびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1およびMAGE−A2、もしくは
・hTERT,WT1および5T4、もしくは
・hTERT,WT1およびMAGE−A3、もしくは
・hTERT,WT1およびMUC1、もしくは
・hTERT,WT1およびHer−2/neu、もしくは
・hTERT,WT1およびNY−ESO−1、もしくは
・hTERT,WT1およびCEA、もしくは
・hTERT,WT1およびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1およびMAGE−C1、もしくは
・hTERT,WT1およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,MAGE−A2および5T4、もしくは
・WT1,MAGE−A2およびMAGE−A3、もしくは
・WT1,MAGE−A2およびMUC1、もしくは
・WT1,MAGE−A2およびHer−2/neu、もしくは
・WT1,MAGE−A2およびNY−ESO−1、もしくは
・WT1,MAGE−A2およびCEA、もしくは
・WT1,MAGE−A2およびSurvivin、もしくは
・WT1,MAGE−A2およびMAGE−C1、もしくは
・WT1,MAGE−A2およびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A2,5T4およびMAGE−A3、もしくは
・MAGE−A2,5T4およびMUC1、もしくは
・MAGE−A2,5T4およびHer−2/neu、もしくは
・MAGE−A2,5T4およびNY−ESO−1、もしくは
・MAGE−A2,5T4およびCEA、もしくは
・MAGE−A2,5T4およびSurvivin、もしくは
・MAGE−A2,5T4およびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A2,5T4およびMAGE−C2、もしくは
・5T4,MAGE−A3およびMUC1、もしくは
・5T4,MAGE−A3およびHer−2/neu、もしくは
・5T4,MAGE−A3およびNY−ESO−1、もしくは
・5T4,MAGE−A3およびCEA、もしくは
・5T4,MAGE−A3およびSurvivin、もしくは
・5T4,MAGE−A3およびMAGE−C1、もしくは
・5T4,MAGE−A3およびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A3,MUC1およびHer−2/neu、もしくは
・MAGE−A3,MUC1およびNY−ESO−1、もしくは
・MAGE−A3,MUC1およびCEA、もしくは
・MAGE−A3,MUC1およびSurvivin、もしくは
・MAGE−A3,MUC1およびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A3,MUC1およびMAGE−C2、もしくは
・MUC1,Her−2/neuおよびNY−ESO−1、もしくは
・MUC1,Her−2/neuおよびCEA、もしくは
・MUC1,Her−2/neuおよびSurvivin、もしくは
・MUC1,Her−2/neuおよびMAGE−C1、もしくは
・MUC1,Her−2/neuおよびMAGE−C2、もしくは
・HER−2/NEU,NY−ESO−1およびCEA、もしくは
・HER−2/NEU,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・HER−2/NEU,NY−ESO−1およびMAGE−C1、もしくは
・HER−2/NEU,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・NY−ESO−1,CEAおよびSurvivin、もしくは
・NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C1、もしくは
・NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C2、もしくは
・CEA,SurvivinおよびMAGE−C1、もしくは
・CEA,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・Survivin,MAGE−C1およびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,MAGE−A2および5T4、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2およびMAGE−A3、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2およびMUC1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2およびHer−2/neu、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2およびNY−ESO−1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2およびCEA、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2およびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2およびMAGE−C1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4およびMAGE−A3、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4およびMUC1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4およびHer−2/neu、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4およびNY−ESO−1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4およびCEA、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4およびSurvivin、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4およびMAGE−C1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4およびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびMUC1、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびHer−2/neu、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびNY−ESO−1、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびCEA、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびSurvivin、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびMAGE−C2、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,およびHer−2/neu、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1およびNY−ESO−1、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1およびCEA、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1およびSurvivin、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1およびMAGE−C1、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1およびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびNY−ESO−1、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびCEA、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびSurvivin、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびMAGE−C2、もしくは
・MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびCEA、もしくは
・MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびMAGE−C1、もしくは
・MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・HER−2/NEU,NY−ESO−1,CEAおよびSurvivin、もしくは
・HER−2/NEU,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C1、もしくは
・HER−2/NEU,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C2、もしくは
・NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C1、もしくは
・NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・CEA,Survivin,MAGE−C1およびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4およびMAGE−A3、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4およびMUC1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4およびHer−2/neu、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4およびNY−ESO−1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4およびCEA、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4およびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4およびMAGE−C1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびMUC1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびHer−2/neu、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびNY−ESO−1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびCEA、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびSurvivin、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびMAGE−C1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびHer−2/neu、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびNY−ESO−1、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびCEA、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびSurvivin、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびMAGE−C2、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびNY−ESO−1、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびCEA、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびSurvivin、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびMAGE−C1、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびCEA、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびSurvivin、もしくは
・MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C1、もしくは
・MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C2、もしくは
・HER−2/NEU,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C1、もしくは
・HER−2/NEU,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・NY−ESO−1,CEA,Survivin,MAGE−C1およびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびMUC1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびHer−2/neu、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびNY−ESO−1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびCEA、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびMAGE−C1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびHer−2/neu、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびNY−ESO−1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびCEA、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびSurvivin、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびMAGE−C1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびNY−ESO−1、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびCEA、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびSurvivin、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびMAGE−C2、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびCEA、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびMAGE−C1、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびSurvivin、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C2、もしくは
・MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C1、もしくは
・MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・HER−2/NEU,NY−ESO−1,CEA,Survivin,MAGE−C1およびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびHer−2/neu、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびNY−ESO−1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびCEA、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびMAGE−C1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびNY−ESO−1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびCEA、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびSurvivin、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびMAGE−C1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびCEA、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびSurvivin、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C1、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,Survivin,MAGE−C1およびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびNY−ESO−1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびCEA、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびMAGE−C1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neuおよびMAGE−C2、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびCEA、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびMAGE−C1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびSurvivin、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C2、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C1、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C2;もしくは
・MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,Survivin,MAGE−C1およびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびCEA、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびMAGE−C1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1およびMAGE−C2、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびSurvivin、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C1、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,Survivin,MAGE−C1およびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびSurvivin、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEAおよびMAGE−C2、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C1、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,Survivin,MAGE−C1およびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C1、もしくは
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,SurvivinおよびMAGE−C2、もしくは
・WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,Survivin,MAGE−C1およびMAGE−C2、
または
・hTERT,WT1,MAGE−A2,5T4,MAGE−A3,MUC1,Her−2/neu,NY−ESO−1,CEA,Survivin,MAGE−C1およびMAGE−C2。
【0048】
他の特に好ましい実施形態によれば、b)に係る上記少なくとも1つの抗原は、上記で規定した抗原の以下の特定の組み合わせから選択される:
・Survivinおよび5T4。
【0049】
本発明に係る上記活性(免疫賦活)組成物の上記少なくとも1つのRNAは、一般的にいかなるRNAであってもよく、好ましくは、これに限定されないが、コーディングRNA、環状もしくは直線状RNA、一本鎖もしくは二本鎖RNA(2つの一本鎖RNAの非共有結合性会合によるRNAも考えられ得る)、または少なくとも部分的に自己相補的である、部分的に二本鎖もしくは部分的に一本鎖のRNAである。なお、部分的に二本鎖もしくは部分的に一本鎖のRNA分子は一般的に、長さの異なる一本鎖RNA分子または同じ長さを有する2本の一本鎖RNA分子からなり、一方の一本鎖RNA分子が他方の一本鎖RNA分子と部分的に相補的であり、両方でその領域に二本鎖RNAを形成する、すなわち、RNA配列全体に対して部分的に二本鎖もしくは部分的に一本鎖のRNAを形成する。より好ましくは、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは一本鎖RNAであり、さらに好ましくは直線状RNAである。本発明に係る活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)であることが最も好ましい。本明細書において、メッセンジャーRNA(mRNA)は一般的に(少なくとも)いくつかの構成要素からなるRNAであり、例えば任意的な5’−UTR領域、上流に位置するリボソーム結合部位とその後に続くコード領域、ポリ−A尾部(および/またはポリ−C−尾部)が続き得る任意的な3’−UTR領域などによって構成される。
【0050】
特に好ましい一実施形態によって、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原は、それぞれ1つの(単シストロン性)RNA、好ましくは1つの(単シストロン性)mRNAによってコードされる。言い換えると、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、少なくとも2つの(単シストロン性)RNA、好ましくはmRNAを有し、少なくとも2つの(単シストロン性)RNA、好ましくはmRNAは、それぞれ上述の群もしくはサブグループのいずれか1つ、好ましくは上述の組み合わせの中の1つから選択される(好ましくは異なる)抗原を1つだけコードし得る。
【0051】
他の特に好ましい実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、(少なくとも)1つのバイシストロン性または多シストロン性RNA、好ましくはmRNA、すなわち、上述の群もしくはサブグループのいずれか1つから、好ましくは上述の組み合わせの中の1つから選択される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原のコード配列を2つ以上有する(少なくとも)1つのRNAを含んでいてもよい。このような、(少なくとも)1つのバイシストロン性または多シストロン性RNAの少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原のコード配列は、後述の少なくとも1つのIRES(内部リボソーム侵入部位)配列によって分離されてもよい。したがって、「少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする」という表現は、上記(少なくとも)1つの(バイシストロン性または多シストロン性)RNA、好ましくはmRNAが、例えば上述の抗原の群の少なくとも2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12の(好ましくは異なる)抗原または上述の規定に含まれるこれらのフラグメントもしくは変異体をコードし得ることを意味し得るが、これに限定されない。より好ましくは、上記(少なくとも)1つの(バイシストロン性またはさらに多シストロン性)RNA、好ましくはmRNAが、例えば、上述の抗原のサブグループまたは上記規定に含まれるフラグメントもしくは変異体の中の、少なくとも2,3,4,5または6の(好ましくは異なる)抗原をコードし得ることを意味し得るが、これに限定されない。本明細書において、上記で規定したいわゆるIRES(内部リボソーム侵入部位)配列は、単独のリボソーム結合部位として機能し得るが、それぞれがリボソームによって翻訳されるいくつかのタンパク質をコードするバイシストロン性または多シストロン性RNAとなるように機能してもよい。本発明に用いられるIRES配列の例としては、ピコルナウイルス(例えば、FMDV)、ペスチウイルス(CFFV)、ポリオウイルス(PV)、脳心筋炎ウイルス(ECMV)、口蹄疫ウイルス(FMDV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、古典的豚コレラウイルス(CSFV)、マウス白血病ウイルス(MLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)またはコオロギ麻痺ウイルス(CrPV)のIRES配列が挙げられる。
【0052】
さらに特に好ましい実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、上記で規定したような少なくとも1つの単シストロン性RNA、好ましくはmRNAと、上記で規定したような少なくとも1つのバイシストロン性または多シストロン性RNA、好ましくはmRNAとの混合物を含み得る。上記少なくとも1つの単シストロン性RNAおよび/または上記少なくとも1つのバイシストロン性または多シストロン性RNAは、異なる抗原または上記規定に含まれるそのフラグメントもしくは変異体をコードすることが好ましく、抗原は上述の抗原の群またはサブグループのいずれか1つから選択されることが好ましく、上記記載の組み合わせのいずれか1つから選択されることがより好ましい。しかしながら、本発明の活性(免疫賦活)組成物が全体として上記で規定した少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原を提供していれば、少なくとも1つの単シストロン性RNAおよび少なくとも1つのバイシストロン性または多シストロン性RNAは、上述の抗原の群またはサブグループのいずれか1つ、好ましくは上述の組み合わせのいずれか1つから選択される同一の抗原を(部分的に)コードすることもできる。このような実施形態は、本発明の活性(免疫賦活)組成物を、それを必要としている患者に例えば時間依存的等、時差的に投与する際に有効である。このような本発明の活性(免疫賦活)組成物の成分、特に少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする異なるRNAは、例えば部分組成物のキット(の異なる部分)内に含まれていたり、本発明に係る別の活性(免疫賦活)組成物として個別に投与されたりしてもよい。
【0053】
上記で規定した抗原の群またはサブグループから、より好ましくは上述の組み合わせの中から選択される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、一般的に約50〜約20000、または約100〜約20000のヌクレオチド、好ましくは約250〜約20000のヌクレオチド、より好ましくは約500〜約10000、さらに好ましくは約500〜約5000の長さを有している。
【0054】
一実施形態によれば、上記で規定した抗原の群もしくはサブグループ、より好ましくは上述の組み合わせの中から選択される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、修飾RNAであってもよく、本明細書中に規定した任意の修飾が活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAに導入され得る。本明細書中に規定した修飾は、好ましくは本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAの安定化をもたらす。
【0055】
第1の実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、「安定化RNA」、好ましくは安定化mRNAとして、つまりはin vivo分解(例えば、エキソヌクレアーゼもしくはエンドヌクレアーゼによる分解)に対して基本的に耐性である(m)RNAとしてもたらされてもよい。このような安定は、例えば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAの修飾リン酸骨格によってもたらされる。本発明に関連する骨格修飾は、RNAに含まれるヌクレオチドの骨格のリン酸が化学修飾されている修飾である。この関連で好ましく用いられるヌクレオチドは、ホスホロチオネート修飾リン酸骨格等、リン酸骨格に含まれる少なくとも1つのリン酸酸素が好ましくは硫黄原子と入れ替えられているリン酸骨格を含んでいる。安定化(m)RNAはさらに、例えば、荷電ホスホネート酸素がアルキルまたはアリール基と入れ替えられているアルキルおよびアリールホスホネート、または荷電酸素残基がアルキル化された状態で存在するリン酸ジエステルおよびアルキルリン酸トリエステルなどの、非イオン性リン酸類似体をさらに含んでいてもよい。このような骨格修飾は一般的に、メチルホスホネート、ホスホアミデートおよびホスホロチオネート(例えば、シチジン−5’−O−(1−チオリン酸塩))からなる群からの修飾を含むが、これに限定されない。
【0056】
本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、付加的にまたは代替的に糖修飾を含み得る。本発明に関連する糖修飾は、少なくとも1つのRNAのヌクレオチドの糖を化学修飾したものであり、一般的には、2’−デオキシ−2’−フルオロ−オリゴリボヌクレオチド(2’−フルオロ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸塩、2’−フルオロ−2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸塩)、2’−デオキシ−2’−デアミンオリゴリボヌクレオチド(2’−アミノ−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸塩、2’−アミノ−2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸塩)、2’−O−アルキルオリゴリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−C−アルキルオリゴリボヌクレオチド(2’−O−メチルシチジン−5’−三リン酸塩、2’−メチルウリジン−5’−三リン酸塩)、2’−C−アルキルオリゴリボヌクレオチド、およびこれらの異性体(2’−アラシチジン−5’−三リン酸塩、2’−アラウリジン−5’−三リン酸塩)、またはアジド三リン酸塩(2’−アジド−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸塩、2’−アジド−2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸塩)からなる群より選択される糖修飾を含むが、これに限定されない。
【0057】
本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAはまた、少なくとも1つの塩基修飾を付加的または代替的に含んでいてもよい。この塩基修飾は、変更されていない、すなわち本来(=ネイティブ)のRNA配列と比べて、少なくとも1つのRNA配列によってコードされているタンパク質の発現を著しく上昇させるのに適している。この場合での「著しく」は、ネイティブRNA配列の発現と比べて、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、40%、50%もしくは60%、より好ましくは少なくとも70%、80%、90%もしくは100%そして最も好ましくは少なくとも150%、200%もしくは300%かそれ以上、タンパク質の発現が上昇することを意味する。本発明と関連して、このような塩基修飾を有するヌクレオチドは、以下からなる塩基修飾ヌクレオチドの群から選択されることが好ましい:2−アミノ−6−クロロプリンリボシド−5’−三リン酸塩、2−アミノアデノシン−5’−三リン酸塩、2−チオシチジン−5’−三リン酸塩、2−チオウリジン−5’−三リン酸塩、4−チオウリジン−5’−三リン酸塩、5−アミノアリルシチジン−5’−三リン酸塩、5−アミノアリルウリジン−5’−三リン酸塩、5−ブロモシチジン−5’−三リン酸塩、5−ブロモウリジン−5’−三リン酸塩、5−ヨードシチジン−5’−三リン酸塩、5−ヨードウリジン−5’−三リン酸塩、5−メチルシチジン−5’−三リン酸塩、5−メチルウリジン−5’−三リン酸塩、6−アザシチジン−5’−三リン酸塩、6−アザウリジン−5’−三リン酸塩、6−クロロプリンリボシド−5’−三リン酸塩、7−デアザアデノシン−5’−三リン酸塩、7−デアザグアノシン−5’−三リン酸塩、8−アザアデノシン−5’−三リン酸塩、8−アジドアデノシン−5’−三リン酸塩、ベンゾイミダゾール−リボシド−5’−三リン酸塩、N1−メチルアデノシン−5’−三リン酸塩、N1−メチルグアノシン−5’−三リン酸塩、N6−メチルアデノシン−5’−三リン酸塩、O6−メチルグアノシン−5’−三リン酸塩、プソイドウリジン−5’−三リン酸塩,およびプロマイシン−5’−三リン酸塩、キサントシン−5’−三リン酸塩。特に、5−メチルシチジン−5’−三リン酸塩、7−デアザグアノシン−5’−三リン酸塩、5−ブロモシチジン−5’−三リン酸塩、およびプソイドウリジン−5’−三リン酸塩からなる塩基修飾ヌクレオチドの群より選択される、塩基修飾用のヌクレオチドが好ましい。
【0058】
他の実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、リボースまたは塩基構成成分の修飾を含む修飾ヌクレオチドをさらに導入することによって、同様に修飾(および好ましくは安定化)することができる。一般的に、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、グアノシン、ウラシル、アデノシン、および/またはシトシンまたはその類似体等、いかなるネイティブ(=天然の)ヌクレオチドを含み得る。これに関連して、ヌクレオチド類似体は天然のヌクレオチドの非自然発生変異体として定義される。したがって、類似体は、非自然発生官能基を有する化学的に誘導体化されたヌクレオチドである。非自然発生官能基は、天然のヌクレオチドに付加されるかもしくは天然のヌクレオチドから取り除かれたもの、または天然のヌクレオチドの自然発生官能基と置換されたものであることが好ましい。そのため、天然のヌクレオチドの各構成要素、すなわち、RNA配列の骨格(上記参照)を形成する塩基構成要素、糖(リボース)構成要素および/またはリン酸構成要素は、修飾されていてもよい。グアノシン、ウラシル、アデノシン、およびシトシンの類似体は、アセチル化、メチル化、ヒドロキシ化等、化学的に改変された、天然のまたは非天然のグアノシン、ウラシル、アデノシン、チミジンまたはシトシンを含み、これに限定されることはないが、例えば、1−メチル−アデノシン、1−メチル−グアノシン、1−メチル−イノシン、2,2−ジメチル−グアノシン、2,6−ジアミノプリン,2’−アミノ−2’−デオキシアデノシン、2’−アミノ−2’−デオキシシチジン、2’−アミノ−2’−デオキシグアノシン、2’−アミノ−2’−デオキシウリジン、2−アミノ−6−クロロプリンリボシド、2−アミノプリン−リボシド、2’−アラアデノシン、2’−アラシチジン、2’−アラウリジン、2’−アジド−2’−デオキシアデノシン、2’−アジド−2’−デオキシシチジン、2’−アジド−2’−デオキシグアノシン、2’−アジド−2’−デオキシウリジン、2−クロロアデノシン、2’−フルオロ−2’−デオキシアデノシン、2’−フルオロ−2’−デオキシシチジン、2’−フルオロ−2’−デオキシグアノシン、2’−フルオロ−2’−デオキシウリジン、2’−フルオロチミジン、2−メチル−アデノシン、2−メチル−グアノシン、2−メチル−チオ−N6−イソペネニル−アデノシン、2’−O−メチル−2−アミノアデノシン、2’−O−メチル−2’−デオキシアデノシン、2’−O−メチル−2’−デオキシシチジン、2’−O−メチル−2’−デオキシグアノシン、2’−O−メチル−2’−デオキシウリジン、2’−O−メチル−5−メチルウリジン、2’−O−メチルイノシン、2’−O−メチルプソイドウリジン、2−チオシチジン、2−チオ−シトシン、3−メチル−シトシン、4−アセチル−シトシン、4−チオウリジン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)−ウラシル、5,6−ジヒドロウリジン、5−アミノアリルシチジン、5−アミノアリル−デオキシ−ウリジン、5−ブロモウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオ−ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−ウラシル、5−クロロ−アラ−シトシン、5−フルオロ−ウリジン、5−ヨードウリジン、5−メトキシカルボニルメチル−ウリジン、5−メトキシ−ウリジン、5−メチル−2−チオ−ウリジン、6−アザシチジン、6−アザウリジン、6−クロロ−7−デアザ−グアノシン、6−クロロプリンリボシド、6−メルカプト−グアノシン、6−メチル−メルカプトプリン−リボシド、7−デアザ−2’−デオキシ−グアノシン、7−デアザアデノシン、7−メチル−グアノシン、8−アザアデノシン、8−ブロモ−アデノシン、8−ブロモ−グアノシン、8−メルカプト−グアノシン、8−オキソグアノシン、ベンゾイミダゾール−リボシド、ベータ−D−マンノシル−キュェオシン,ジヒドロ−ウラシル、イノシン、N1−メチルアデノシン、N6−([6−アミノヘキシル]カルバモイルメチル)−アデノシン、N6−イソペンテニル−アデノシン、N6−メチル−アデノシン、N7−メチル−キサントシン、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、プロマイシン、キュェオシン,ウラシル−5−オキシ酢酸、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ワイブトキソシン,キサントシン,およびキシロ−アデノシンを含む。このような類似体の調製は、米国特許第4,373,071号、第4,401,796号、第4,415,732号、第4,458,066号、第4,500,707号、第4,668,777号、第4,973,679号、第5,047,524号、第5,132,418号、第5,153,319号、第5,262,530号、および第5,700,642号等により、当事者に公知である。上記で規定した類似体の場合、本発明の活性(免疫賦活)組成物のRNAの免疫原性を向上させ、および/またはすでに導入されているRNAにおけるさらなる修飾を妨害しないものが、本発明に従って類似体に付与されることがとりわけ好ましい。
【0059】
特定の実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、脂質修飾を含むことができる。このような脂質修飾RNAは一般的に、本明細書に規定した、上記規定の抗原の群またはサブグループから、好ましくは組み合わせの中から選択される少なくとも2つの抗原をコードするRNAを含んでいる。このような脂質修飾RNAはさらに、そのRNAと共有結合するリンカーを少なくとも1つ、および対応するリンカーと共有結合する脂質を少なくとも1つ含んでいることが一般的である。あるいは、脂質修飾RNAは、本明細書に規定した少なくとも1つのRNA、およびそのRNAと(リンカーなしで)共有結合している少なくとも1つの(二機能性)脂質を含む。第3の選択肢によれば、脂質修飾RNAは、本明細書に規定したRNA、そのRNAと共有結合しているリンカーを少なくとも1つ、および対応するリンカーと共有結合している脂質を少なくとも1つ、そしてさらにそのRNAと(リンカーなしで)共有結合している(二機能性)脂質を少なくとも1つ、含んでいる。
【0060】
本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAに含まれている(複合化または共有結合している)脂質は、一般的に、好ましくはそれ自身で生物学的に活性のある脂質または親油性残基である。このような脂質は、RRR−アルファトコフェロール(旧D−アルファトコフェロール),L−アルファトコフェロール、D,L−アルファトコフェロールのラセミ化合物,ビタミンEコハク酸塩(VES)等のアルファトコフェロール(ビタミンE)、レチノイン酸およびレチノール等のビタミンAおよびその誘導体、ビタミンDおよびそのエルゴステロール前駆体等のビタミンDおよびその誘導体、ビタミンEおよびその誘導体、もしくはビタミンKならびに関連キノンもしくはフィトール化合物等のビタミンKおよびその誘導体等のビタミン類、または、コール酸、デオキシコール酸、デヒドロコール酸等の胆汁酸、コーチゾン、ジゴキシゲニン、テストステロン、コレステロールまたはチオコレステロールといったステロイド類など、天然物質または天然化合物を含むことが好ましい。本発明の範囲内における他の脂質または親油性残基は、ポリアルキレングリコール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20, 533)、ドデカンジオール、ヘキサデカノールまたはウンデシル残基等のC1−C20−アルカン、C1−C20−アルケンまたはC1−C20−アルカノール化合物といった脂肪族基(Saison-Behmoaras et al., EMBO J, 1991, 10, 111; Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259, 327; Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75, 49)、ホスファチジルグリセロール、ジアシルホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロール、スフィンゴ脂質、セレブロシド、ガングリオシド、もしくはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート等のリン脂質(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651; Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18, 3777)、ポリエチレングリコール(PEG)等のポリアミンまたはポリアルキレングリコール(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14, 969)、ヘキサエチレングリコール(HEG)、パルミチンもしくはパルミチル残基(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264, 229)、オクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール残基(Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277, 923)、また、蝋、テルペン、脂環式炭化水素、飽和およびモノ不飽和もしくは多価不飽和脂肪酸残基等を含む。
【0061】
本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、in vivoでRNAが分解するのを回避するべく、様々な方法で安定化させることができる。一般的にin
vivoにおけるmRNAまたはRNAの不安定性または(速い)分解はRNA系組成物を応用する際に深刻な問題を引き起こし得ることが知られている。このRNAの不安定性は、一般的にRNA分解酵素「RNAase」(リボヌクレアーゼ)によって引き起こされる。このようなリボヌクレアーゼのコンタミネーションがあると、溶液中のRNAが完全に分解してしまう場合もある。したがって、細胞の細胞質内におけるmRNAの自然分解は非常に精巧に制御されており、上記組成物を用いる前に特別な処理、特にピロ炭酸ジエチル(DEPC)を用いて処理することで、RNaseのコンタミネーションを全般的に取り除くことができる。これに関連し、従来技術においてもいくつかの自然分解メカニズムが知られており、これらも同様に利用し得る。例えば、in vivoにおいて末端構造はmRNAにとって一般的に非常に重要である。例として、天然のmRNAの5’末端にはいわゆる「キャップ構造」(修飾グアノシンヌクレオチド)があり、3’末端は最大200のアデノシンヌクレオチドの配列(いわゆるポリA尾部)である。
【0062】
したがって、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、特にmRNAとして提供される場合、いわゆる「5’キャップ」構造を付加することでRNaseによる分解に対して安定化され得る。これに関連して、「5’キャップ」構造としてm7G(5’)ppp(5’(A,G(5’)ppp(5’)AまたはG(5’)ppp(5’)Gが特に好ましい。しかしながら、このような修飾は、例えば脂質修飾等が本発明の免疫賦活組成物の(m)RNAの5’末端にいまだ導入されていない場合、もしくはこの修飾が(未修飾もしくは化学的に修飾された)(m)RNAの免疫原性に影響を与えない場合にのみ導入される。
【0063】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAにおいて、特にRNAがmRNAである場合、3’末端のポリA尾部は、一般的に約10〜200のアデノシンヌクレオチド、好ましくは約10〜100のアデノシンヌクレオチド、さらに好ましくは約20〜100のアデノシンヌクレオチド、またはよりさらに好ましくは約40〜80のアデノシンヌクレオチドを含み得る。
【0064】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAにおいて、特にRNAがmRNAである場合、3’末端のポリ−C尾部は一般的に約10〜200のシトシンヌクレオチド、好ましくは約10〜100のシトシンヌクレオチド、より好ましくは約20〜70シトシンヌクレオチド、またはよりさらに好ましくは約20〜60もしくは10〜40のシトシンヌクレオチドを含み得る。
【0065】
本発明の他の実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、修飾され、それにより安定化され得、特にRNAがmRNAの形態である場合、RNAのG/C含量、好ましくは少なくとも1つのRNAのコード領域のG/C含量を改変することによって、安定化され得る。
【0066】
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのコード領域のG/C含量は改変されており、特に、対応する野生型(m)RNAすなわち未改変(m)RNAのコード領域のG/C含量と比べて、増加している。少なくとも1つの(m)RNAにおけるコードされたアミノ酸配列は、対応する野生型(m)RNAにおけるコードされたアミノ酸配列と比べて改変されていないことが好ましい。
【0067】
本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAの修飾は、翻訳されるあらゆる(m)RNA領域の配列が、その(m)RNAの効率的な翻訳にとって重要であるという点に基づいて行われる。したがって、様々なヌクレオチドの組成物および配列が重要である。特に、G(グアノシン)/C(シトシン)含量が増加している配列はA(アデノシン)/U(ウラシル)含量が増加している配列よりも安定している。本発明によれば、(m)RNAのコドンは、翻訳アミノ酸配列を保持しながらもG/Cヌクレオチド含量が増加しているように、その野生型(m)RNAと比べて変化している。複数のコドンが1つの同一アミノ酸をコードすること(いわゆる、遺伝暗号の縮重)に留意して、安定性を得るのに最も適したコドンを決定することができる(いわゆる、代替コドンの使用)。
【0068】
少なくとも1つの(m)RNAによってコードされているアミノ酸に応じて、少なくとも1つの(m)RNA配列における野生型配列と異なるような改変は、種々可能である。GまたはCのヌクレオチドのみを含むコドンによってコードされるアミノ酸の場合、コドンを改変する必要は無い。したがって、Pro(CCCまたはCCG)、Arg(CGCまたはCGG)、Ala(GCCまたはGCG)、およびGly(GGCまたはGGG)のそれぞれのコドンは、AまたはUが存在しないため、改変する必要がない。
【0069】
対照的に、Aおよび/またはUのヌクレオチドを含むコドンは、同一アミノ酸をコードする、Aおよび/またはUを含まないコドンと置換することで改変できる。これらの例として、以下が挙げられる:
Proのコドンは、CCUまたはCCAからCCCまたはCCGに改変でき、
Argのコドンは、CGUまたはCGAまたはAGAまたはAGGからCGCまたはCGGに改変でき、
Alaのコドンは、GCUまたはGCAからGCCまたはGCGに改変でき、
Glyのコドンは、GGUまたはGGAからGGCまたはGGGに改変できる。
【0070】
他の場合では、コドンからAまたはUのヌクレオチドを排除することはできないものの、Aおよび/またはUのヌクレオチド含量のより少ないコドンを用いることで、AおよびU含量を減らすことができる。これらの例は以下のとおりである:
Pheのコドンは、UUUからUUCに改変でき、
Leuのコドンは、UUA、UUG、CUUまたはCUAからCUCまたはCUGに改変でき、
Serのコドンは、UCUまたはUCAまたはAGUからUCC,UCGまたはAGCに改変でき、
Tyrのコドンは、UAUからUACに改変でき、
Cysのコドンは、UGUからUGCに改変でき、
Hisのコドンは、CAUからCACに改変でき、
Glnのコドンは、CAAからCAGに改変でき、
Ileのコドンは、AUUまたはAUAからAUCに改変でき、
Thrのコドンは、ACUまたはACAからACCまたはACGに改変でき、
Asnのコドンは、AAUからAACに改変でき、
Lysのコドンは、AAAからAAGに改変でき、
Valのコドンは、GUUまたはGUAからGUCまたはGUGに改変でき、
Aspのコドンは、GAUからGACに改変でき、
終止コドンUAAはUAGまたはUGAに改変できる。
【0071】
他方、Met(AUG)およびTrp(UGG)のコドンは、配列の改変をすることができない。
【0072】
上記で挙げた置換は、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのG/C含量を、対応する野生型(m)RNA(すなわち、オリジナルの配列)と比べて増加させるために、それぞれ単体で、あるいは考えられる全ての組み合わせとして用いることができる。したがって、例えば、野生型配列にあるThrの全てのコドンをACC(またはACG)に改変することができる。しかしながら、例えば上述の考えられる置換の組み合わせを用いることが好ましい:
オリジナル配列(野生型(m)RNA)において、Thrをコードする全てのコドンをACC(またはACG)に置換し、そして
もともとSerをコードする全てのコドンをUCC(またはUCGまたはAGC)に置換する;
オリジナル配列において、Ileをコードする全てのコドンをAUCに置換し、
もともとLysをコードする全てのコドンをAAGに置換し、そして
もともとTyrをコードする全てのコドンをUACに置換する;
オリジナル配列において、Valをコードする全てのコドンをGUC(またはGUG)に置換し、
もともとGluをコードする全てのコドンをGAGに置換し、
もともとAlaをコードする全てのコドンをGCC(またはGCG)に置換し、そして
もともとArgをコードする全てのコドンをCGC(またはCGG)に置換する;
オリジナル配列において、Valをコードする全てのコドンをGUC(またはGUG)に置換し、
もともとGluをコードする全てのコドンをGAGに置換し、
もともとAlaをコードする全てのコドンをGCC(またはGCG)に置換し、
もともとGlyをコードする全てのコドンをGGC(またはGGG)に置換し、そして
もともとAsnをコードする全てのコドンをAACに置換する;
オリジナル配列において、Valをコードする全てのコドンをGUC(またはGUG)に置換し
もともとPheをコードする全てのコドンをUUCに置換し、
もともとCysをコードする全てのコドンをUGCに置換し、
もともとLeuをコードする全てのコドンをCUG(またはCUC)に置換し、
もともとGlnをコードする全てのコドンをCAGに置換し、そして
もともとProをコードする全てのコドンをCCC(またはCCG)に置換する;等。
【0073】
本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのコード領域のG/C含量は、本明細書に規定した抗原、抗原タンパク質もしくは抗原ペプチド、またはそのフラグメントもしくは変異体をコードする、野生型(m)RNAのコード領域のG/C含量と比べて、少なくとも7%、より好ましくは少なくとも15%、特に好ましくは少なくとも20%、増加していることが好ましい。特定の実施形態によれば、本明細書に規定した抗原、抗原タンパク質もしくは抗原ペプチドまたはそのフラグメントもしくは変異体をコードする領域における置換可能なコドン、または野生型(m)RNA配列の配列全体における置換可能なコドンの少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、より好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%そして最も好ましくは少なくとも90%、95%または100%が置換されており、そのことによって上記配列のG/C含量が増加している。
【0074】
本明細書において、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのG/C含量を、野生型配列と比べて最大限(すなわち、置換可能コドンの100%)にまで増やすこと、特にタンパク質をコードする領域において増やすことは、とりわけ好ましい。
【0075】
本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのさらに好ましい変更例は、細胞内におけるtRNAの出現頻度の違いによっても翻訳効率が定まるという知見に基づいている。したがって、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAにおいていわゆる「希少コドン」の量が増加している場合、対応する改変された少なくとも1つの(m)RNA配列は、比較的「頻度の高い」tRNAをコードするコドンが存在する場合に比べてはるかに低い程度で翻訳される。
【0076】
本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の改変された少なくとも1つの(m)RNAにおいて、アジュバントタンパク質をコードする領域は、細胞内において比較的希少であるtRNAに対応する野生型配列の少なくとも1つのコドンが、細胞内に比較的よく出現するtRNAであって、上記の比較的希少であるtRNAと同一のアミノ酸を運ぶtRNAに対応するコドンと交換されるように、野生型(m)RNAの対応する領域と比較して改変されている。この改変によって、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAの配列は、出現頻度が高いtRNAが利用されるコドンが挿入されるように改変されている。言い換えると、本発明によれば、この改変によって、細胞内で比較的希少なtRNAに対応する野生型配列の全てのコドンを、細胞内で比較的高頻度に出現するtRNAであって、同一のアミノ酸を運ぶtRNAに対応するコドンと交換することができる。
【0077】
細胞内にどのtRNAが比較的高頻度で出現するか、また対照的にどれが比較的希少かは、当業者に公知のことである。例えば、Akashi, Curr. Opin. Genet. Dev. 2001, 11(6): 660-666を参照のこと。特定アミノ酸のために最も高頻度で出現するtRNAを用いるコドンがとくに好ましく、例えば、(ヒト)細胞において最も高頻度で出現するtRNAを用いるGlyコドンが挙げられる。
【0078】
本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの改変(m)RNAにおいて増加している、特に最大化されている、結果として生じるG/C含量を、(m)RNAのコード領域でコードされているタンパク質のアミノ酸配列を改変させることなく、「高頻度」コドンに関連させることが好ましい。この好ましい実施形態によって、とりわけ効果的に翻訳され、かつ安定化された、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(改変)(m)RNAを用意することができる。
【0079】
(G/C含量が増加しており、tRNAを交換した)上述の本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの改変(m)RNAの決定は、本発明にその全範囲が組み込まれるWO02/098443に記載されているコンピュータプログラムを用いて実施し得る。このコンピュータプログラムを用いることで、最大G/C含量において、細胞内で起こり得る限り高頻度に出現するtRNAに対応するコドンを用いることと共に、少なくとも一つの改変(m)RNAにコードされているアミノ酸配列が非改変配列と比較して好ましくは改変されていないという結果となるように、遺伝暗号またはその縮重性質を活用して、任意の所望の(m)RNAのヌクレオチド配列を改変し得る。あるいは、オリジナル配列と比較して、G/C含量またはコドン使用のみを改変することもできる。Visual
Basic 6.0(使用開発環境:Microsoft Visual Studio Enterprise 6.0 with Servicepack 3)のソースコードは、WO02/098443にも記載されている。
【0080】
本発明のさらに好ましい実施形態では、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAのリボソーム結合部位の環境におけるA/U含量が、対応する野生型(m)RNAのリボソーム結合部位の環境におけるA/U含量と比べて増加している。この改変(リボソーム結合部位周囲におけるA/U含量の増加)は、少なくとも1つの(m)RNAにおけるリボソーム結合の効率を向上させる。リボソームがリボソーム結合部位(Kozak配列:GCCGCCACCAUGG(配列番号27)、AUGは開始コドンを形成)と効果的に結合することによって、少なくとも1つの(m)RNAの効率的な翻訳がもたらされる。
【0081】
本発明のさらなる実施形態によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、潜在的に不安定化させる配列要素に応じて改変されてもよい。特に、少なくとも1つの(m)RNAのコード領域および/または5’ならびに/もしくは3’非翻訳領域は、対応する野生型(m)RNAと比較して、不安定配列要素を含まないように改変されてもよく、少なくとも1つの改変(m)RNAにコードされたアミノ酸配列は対応する野生型(m)RNAと比較して改変されていないことが好ましい。例えば、真核RNAの配列内に不安定配列要素(DSE)があると、シグナルタンパク質がそれに結合してin vivoでRNAの酵素分解を制御することが知られている。少なくとも1つの改変(m)RNAをさらに安定化させるには、必要に応じて本明細書に規定した抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドをコードする領域内で、野生型(m)RNAの対応する領域と比べて1以上の改変を行い、不安定化配列要素が含まれないようにしてもよい。本発明によれば、このような改変をすることによって、非翻訳領域(3’−および/または5’−UTR)に存在するDSEを本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAから排除することができる。
【0082】
このような不安定配列は、例えばAUリッチ配列(AURES)であり、多くの不安定RNAの3’−UTR部分に生じる(Caput et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1986,83:1670-1674)。したがって、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、少なくとも1つの(m)RNAがこのような不安定配列を含まないように、野生型(m)RNAと比べて改変されることが好ましい。これは、例えばトランスフェリン受容体(Binder et al., EMBO J. 1994,13:1969―1980)をコードする遺伝子の3’−UTR断片に含まれる配列GAACAAGのような、エンドヌクレアーゼによって認識される配列モチーフにも適用される。これらの配列モチーフも、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAから取り除かれていることが好ましい。
【0083】
また、本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、例えばリボソーム結合を促進するか本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(バイシストロン性または多シストロン性)RNA上にコードされた異なる抗原を発現させるべく、上記で規定した少なくとも1つのIRESおよび/または少なくとも1つの5’および/または3’安定化配列を、改変した形態で有していてもよい。
【0084】
本発明によれば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、さらに少なくとも1つの5’および/または3’安定化配列を有していることが好ましい。これら5’および/または3’非翻訳領域における安定化配列は、細胞質ゾル内の少なくとも1つの(m)RNAの半減期を大きくする効果を有する。これらの安定化配列は、ウイルス、バクテリアおよび真核生物にある天然の配列と100%の配列相同性を有していてもよく、また部分的もしくは完全に合成されたものであってもよい。例えばヒト(Homo sapiens)またはアフリカツメガエル(Xenopus laevis)から得られたグロビン遺伝子の非翻訳配列(UTR)は、本発明において安定化RNAを得るために用いることができる安定化配列の一例である。安定化配列の別の例として、グロビン、(I)−コラーゲン、15−リポキシゲナーゼまたはチロシンヒドロキシラーゼをコードする、非常に安定なRNAに含まれる一般式(C/U)CCANCCC(U/A)PyUC(C/U)CC(配列番号28)が挙げられる(Holcik et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997,94:2410-2414を参照)。このような安定化配列は、もちろん単独で用いることができ、他と組み合わせて用いることもでき、また当業者に公知の他の安定化配列と組み合わせて用いることもできる。したがって、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つの(m)RNAは、グロビンUTR(非翻訳領域)安定化RNA、特にグロビンUTR安定化RNAとして存在していることが好ましい。
【0085】
それでもなお、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAの塩基の置換、付加、または欠失は、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAを調製するためのDNAマトリクスを用いて、周知の部位特異的突然変異誘発法もしくはオリゴヌクレオチド連結法によって行われるのが好ましい(例えば、Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 3rd ed.,Cold Spring Harbor,NY,2001を参照)。このようなプロセスでは、少なくとも1つの(m)RNAを調製するのに、対応するDNA分子をin vitroで転写してもよい。このDNAマトリクスは、in vitro転写用に、例えばT7またはSP6プロモーターのような適切なプロモーターを有することが好ましく、その後に、調製すべき少なくとも1つのRNAの所望のヌクレオチド配列、およびin vitro転写用終結シグナルを有することが好ましい。所望の少なくとも1つのRNAのマトリクスを形成するDNA分子は、バクテリア内で自己複製し得るプラスミドの一部として、発酵増殖およびその後の単離によって調製することができる。本発明に好適なプラスミドは、例えば、pT7Ts(GenBankアクセッション番号U26404;Lai et al., Development 1995,121:2349-2360)、例えばpGEM−1(GenBankアクセッション番号X65300;プロメガ社製)などのpGEMシリーズ、およびpSP64(GenBankアクセッション番号X65327)等が挙げられる;また、Mezei and Storts,Purification ofPCR Products:Griffin and Griffin(ed.),PCR Technology:Current Innovation,CRC Press,Boca Raton,FL,2001.も参照のこと。
【0086】
本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAは、少なくとも1つのRNAとカチオン化合物、特に、例えば(ポリ)カチオンペプチドまたはタンパク質等のポリカチオン化合物とを会合化もしくは複合化、または結合させることで安定化できる。特に、RNAに対するポリカチオン性、核酸結合タンパク質として、プロタミン、ヌクレオリン、スペルミンまたはスペルミジンを用いることが特に効果的である。さらに、ポリ−L−リジンまたはヒストンといった他のカチオンペプチドもしくはタンパク質を用いることも同様に可能である。このRNAを安定化させる方法は、参照によって本発明に組み込まれているEP−A−1083232に記載されている。本発明の活性(免疫賦活)組成物のRNAを安定化させるのに使用可能なさらに好ましいカチオン物質は、キトサン、ポリブレン、ポリエチレンイミン(PEI)またはポリ−L−リジン(PLL)等のカチオン多糖が挙げられる。本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAを、脂質系複合化試薬としてのオリゴフェクタミン(oligofectamine)などのカチオンタンパク質またはカチオン脂質といったカチオン化合物と会合または複合させることで、薬学的に活性な成分として存在する少なくとも1つのRNAにおける、治療すべき細胞または治療すべき生物への移入を好ましくは増加させる。また、複合化による、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAに対する安定化効果についても本明細書の記載を参照する。これは、RNAの安定化にも適用される。
【0087】
他の特に好ましい実施形態によれば、活性(免疫賦活)組成物の少なくともRNAは、分泌シグナルペプチドを付加的にまたは代替的にコードし得る。このようなシグナルペプチドは、一般的におよそ15〜30のアミノ酸長であり、好ましくはコードペプチドのN末端に位置する配列であるが、これに特に限定されない。本明細書に規定したシグナルペプチドは、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAにコードされる抗原、抗原タンパク質または抗原ペプチドを、決められた細胞内コンパートメント、好ましくは細胞表面、小胞体(ER)またはエンドソーム−リソソームコンパートメントに運ぶことが好ましい。本明細書に規定した分泌シグナルペプチド配列の例として、特にこれに限定されないが、古典的または非古典的MHC分子のシグナル配列(例えば、MHCクラスI分子HLA−A0201等のMHCIおよびMHCII分子のシグナル配列)、本明細書に規定したサイトカインまたは免疫グロブリンのシグナル配列、本明細書に規定した免疫グロブリンまたは抗体のインバリアント鎖のシグナル配列、Lamp1、Tapasin、Erp57、カルレティキュリン、カルネキシンおよびさらなる膜会合タンパク質のシグナル配列、または小胞体(ER)もしくはエンドソーム−リソソームコンパートメントと会合するタンパク質のシグナル配列などが挙げられる。特に、本発明によれば、MHCクラスI分子HLA−A0201のシグナル配列を用いることが好ましい。
【0088】
上記のいずれの改変も、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNA、さらに本発明で用いられる任意の(m)RNAに適用することができ、適切な場合もしくは必要に応じて、その少なくとも1つのRNAにおいて互いに改変の妨げとならない組み合わせであれば、これらを任意の組み合わせによって組み合わせてもよい。その選択は、当業者が適宜選択することができる。
【0089】
他の実施形態によれば、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物は、アジュバントを含み得る。本明細書の記載内容において、アジュバントは本発明に係る活性(免疫賦活)組成物の投与および送達をサポートするのに適した、任意の化合物として理解され得る。さらに、このようなアジュバントは、先天的な免疫システムの免疫反応、すなわち非特異的免疫反応を誘導または向上し得るが、これに制限されない。言い換えると、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物を投与した際、一般的に、本発明の活性(免疫賦活)組成物は、含まれる少なくとも1つのRNAがコードする少なくとも2つの抗原によって、獲得免疫反応を誘導する。さらに、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物は、本明細書に規定したアジュバントを加えることによって、本発明に係る活性(免疫賦活)組成物に(支持療法的な)先天的免疫反応を起こし得る。このようなアジュバントは、当業者に公知であって、本件に適した、すなわち哺乳類の免疫反応の誘導を支持する、任意のアジュバントから選択され得る。アジュバントは特に限定されないが、以下からなる群より選択されることが好ましい:TDM、MDP、ムラミルジペプチド、プルロニックス、ミョウバン液、水酸化アルミニウム、ADJUMERTM(ポリホスファゼン);リン酸アルミニウムゲル;藻類由来グルカン;アルガムリン;水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン);高タンパク質吸着水酸化アルミニウムゲル;低粘性水酸化アルミニウムゲル;AFまたはSPT(スクアラン(5%)、Tween80(0.2%)、プルロニックL121(1.25%)、リン酸緩衝生理食塩水のエマルジョン、pH7.4);AVRIDINETM(プロパンジアミン);BAY R1005TM((N−(2−デオキシ−2−L−ロイシルアミノ−b−D−グルコピラノシル)−N−オクタデシル−ドデカノイル−アミデヒドロアセテート);CALCITRIOLTM(1−α,25−ジヒドロキシ−ビタミンD3);リン酸カルシウムゲル;CAPTM(リン酸カルシウムナノ粒子);コレラホロトキシン、コレラ−トキシン−A1−タンパク質−A−D−フラグメント融合タンパク質、コレラトキシンのサブユニットB;CRL 1005(ブロック共重合体P1205);サイトカイン含有リポソーム;DDA(臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム);DHEA(デヒドロエピアンドロステロン);DMPC(ジミリストイルホスファチジルコリン);DMPG(ジミリストイルホスファチジルグリセロール);DOC/ミョウバン錯体(デオキシコール酸ナトリウム塩);フロイント完全アジュバント;フロイント不完全アジュバント;ガンマイヌリン;ゲルブアジュバント((i)N−アセチルグルコサミニル−(P1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、(ii)塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA)、(iii)亜鉛−L−プロリン塩複合体(ZnPro−8)の混合体;GM−CSF);GMDP(N−アセチルグルコサミニル−(b1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン);イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン);ImmTherTM(N−アセチルグルコサミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−isoGlu−L−Ala−グリセロールジパルミテート);DRV(脱再水小胞から得られる免疫リポゾーム);インターフェロン−ガンマ;インターロイキン1ベータ;インターロイキン2;インターロイキン7;インターロイキン12;ISCOMSTM;ISCOPREP7.0.3.TM;リポソーム;LOXORIBINETM(7−アリル−8−オキソグアノシン);LT経口アジュバント(大腸菌不安定エンテロトキシン−プロトキシン);任意の組成物の小球体および微粒子;MF59TM;(スクアレン水乳剤);MONTANIDE ISA 51TM(精製不完全フロイントアジュバント);MONTANIDE ISA 720TM(代謝性油アジュバント);MPLTM(3−Q−脱アシル化−4’−モノホスホリルリピッドA);MTP−PEおよびMTP−PEリポソーム((N−アセチル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−(ヒドロキシホスホリルオキシ))−エチルアミド,モノナトリウム塩);MURAMETIDETM(Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH);MURAPALMITINETMおよびD−MURAPALMITINETM(Nac−Mur−L−Thr−D−isoGIn−sn−グリセロールジパルミトイル);NAGO(ノイラミニダーゼガラクトースオキシダーゼ);任意の組成物のナノ球体またはナノ粒子;NISV(非イオン界面活性小胞);PLEURANTM(β−グルカン);PLGA、PGAおよびPLA(乳酸およびグリコール酸の単独および共重合体;小球体/ナノ球体);PLURONIC
L121TM;PMMA(ポリメチルメタクリレート);PODDSTM(プロテノイド小球体);ポリエチレンカルバメート誘導体;poly−rA:poly−rU(ポリアデニル酸−ポリウリジル酸錯体);ポリソルベート80(Tween 80);タンパク質コクリエート(protein cochleate)(Avanti Polar Lipids,Inc.,Alabaster,AL);STIMULONTM(QS−21);Quil−A(Quil−Aサポニン);S−28463(4−アミノ−otec−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5c]キノリン−1−エタノール);SAF−1TM(“Syntex adjuvant formulation”);センダイ蛋白リポソームおよびセンダイ含有脂質マトリクス;スパン−85(ソルビタントリオレアート);スぺコール(Marcol52、スパン85およびTween85のエマルジョン);スクアレンまたはRobane(2,6,10,15,19,23−ヘキサメチルテトラコサンおよび2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサン);ステアリルチロシン(オクタデシルチロシン塩酸塩);Theramid(N−アセチルグルコサミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−isoGlu−L−Ala−ジパルミトキシプロピルアミド);スレオニル−MDP(TermurtideTMまたは[thr 1]−MDP;N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン);Ty粒子(Ty−VLPまたはウイルス様粒子);特にAdju−phos、Alhydrogel、Rehydragel等の、Pam3Cys、特にアルミニウム塩を含むWalter−Reedリポソーム(水酸化アルミニウムに吸着しているリピッドAを含むリポソーム)、およびリポペプチド;CFA、SAF、IFA、MF59、Provax、TiterMax、Montanide、Vaxfectin等の乳剤;Optivax(CRL1005)、L121、Poloaxmer4010)等の共重合体;BIORAL等の、リポソーム(Stealthを含む)コクリエート;QS21、Quil A、Iscomatrix、ISCOM等の植物由来アジュバント;PLG、PMM、Inulin等のトマチン、生体高分子を含む、同時刺激に適したアジュバント;ロムルチド、DETOX、MPL、CWS、マンノース、CpG核酸配列、CpG7909、ヒトTLR1−10のリガンド、マウスTLR1−13のリガンド、ISS−1018、IC31、イミダゾキノリン、Ampligen、Ribi529、IMOxine、IRIVs、VLPs、コレラトキシン、熱不安定毒素、Pam3Cys、フラジェリン、GPIアンカー、LNFPIII/Lewis X、抗菌ペプチド、UC−1V150、RSV融合タンパク質、cdiGMP;およびCGRPニューロペプチドを含むアンタゴニストに好適なアジュバント。
【0090】
好適なアジュバントは、カチオンまたはポリカチオン化合物から選択することもでき、この場合、好ましくは、アジュバントは本発明の活性(免疫賦活組成物)の少なくとも1つのRNAとカチオンまたはポリカチオン化合物とを複合化することによって調製される。本明細書において活性(免疫賦活)組成物のRNAと本明細書に規定したカチオンまたはポリカチオン化合物とを会合化もしくは複合化することで、好ましくはアジュバント特性を与え、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAが安定化する。特に、このようなカチオンまたはポリカチオン化合物は、プロタミン、ヌクレオリン、スペルミンもしくはスペルミジン等のカチオンまたはポリカチオンのペプチドまたはタンパク質から選択され、あるいは、ポリ−L−リジン(PLL)、ポリアルギニン、塩基性ポリペプチド、HIV結合ペプチド等の細胞透過性ペプチド(CPPs)、Tat、HIV−1 Tat(HIV)、Tat由来ペプチド、Penetratin、VP22由来もしくはVP22類似体ペプチド、HSV VP22(単純ヘルペス)、MAP、KALAもしくはタンパク質形質導入ドメイン(PTD、PpT620、プロリンリッチペプチド、アルギニンリッチペプチド、リジンリッチペプチド、MPGペプチド、Pep−1、L−オリゴマー、カルシトニンペプチド、アンテナペディア由来ペプチド(特にショウジョウバエアンテナペディア由来)、pAntp、pIsl、FGF、ラクトフェリン、トランスポータン、ブホリン2、Bac715−24、SynB、SynB(1)、pVEC、hCT由来ペプチド、SAP、プロタミン、スペルミン、スペルミジン、またはヒストン等の他のカチオンペプチドまたはタンパク質から選択される。さらに好ましいカチオンまたはポリカチオン化合物は、例えばキトサンといったカチオン多糖類、ポリブレン、ポリエチレンイミン(PEI)等のカチオンポリマー、DOTMA:塩化[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル])−N,N,N−トリメチルアンモニウム,DMRIE,ジ−C14−アミジン,DOTIM,SAINT,DC−Chol,BGTC,CTAP,DOPC,DODAP,DOPE:ジオレイルホスファチジルエタノールアミン,DOSPA,DODAB,DOIC,DMEPC,DOGS:ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン,DIMRI:臭化ジミリストオキシプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム,DOTAP:ジオレオイルオキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン,DC−6−14:塩化O,O−ジテトラデカノイル−N−(a−トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミン,CLIP1:塩化rac−[(2,3−ジオクタデシルオキシプロピル)(2−ヒドロキシエチル)]−ジメチルアンモニウム,CLIP6:rac−[2(2,3−ジヘキサデシロキシプロピル−オキシメチルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、CLIP9:rac−[2(2,3−ジヘキサデシロキシプロピル−オキシスクシニルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム),オリゴフェクタミン等のカチオン脂質、または、β−アミノ酸ポリマーもしくは逆ポリアミド等の修飾ポリアミノ酸、PVP(ポリ(臭化N−エチル−4−ビニルピリジニウム))等の修飾ポリエチレン、pDMAEMA(ポリ(ジメチルアミノエチルメチルアクリレート))等の修飾アクリレート、pAMAM(ポリ(アミドアミン))等の修飾アミドアミン、ジアミン端が修飾された1,4ブタンジオールジアクリレート−co−5−アミノ−1−ペンタノールポリマー等の修飾ポリベータアミノエステル(PBAE)、ポリプロピルアミンデンドリマーまたはpAMAM系デンドリマー等のデンドリマー、PEI:ポリ(エチレンイミン),ポリ(プロピレンイミン)等のポリイミン、ポリアリルアミン、シクロデキストリン系ポリマー,デクストラン系ポリマー,キトサン等の糖バックボーン系ポリマー、PMOXA−PDMS共重合体等のシランバックボーン系ポリマー、1つ以上の(例えば、上述のカチオンポリマーから選択された)カチオンブロックと、1つ以上の親水性もしくは親油性ブロック(例えば、ポリエチレングリコール)との組み合わせからなるブロックポリマー、などのカチオンもしくはポリカチオンポリマーなどが挙げられる。
【0091】
さらに、活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAと複合させることでアジュバントとして使用するのに好ましいカチオンもしくはポリカチオンタンパク質またはペプチドは、以下の合計式(I)を満たすタンパク質またはペプチドから選択され得る:(Arg);(Lys);(His);(Orn);(Xaa)、式中、l+m+n+o+xは8〜15、およびl,m,nまたはoはそれぞれ独立して、Argと、Lysと、Hisと、Ornとの総量がオリゴペプチドの全アミノ酸の少なくとも50%を示すように、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15から選択され任意の数字を示し、XaaはArg、Lys、HisまたはOrnを除くネイティブ(すなわち、天然)または非ネイティブアミノ酸から選択される任意のアミノ酸であり、xはXaaの総量がオリゴオペプチドの全アミノ酸の50%を超えない範囲で0、1、2、3または4から選択される。本明細書において特に好ましいオリゴアルギニンは、Arg、Arg、Arg、Arg、H、R、H、YSSRSSY、(RKH)、Y(RKH)R等である。
【0092】
好適なアジュバントはまた、一般式(II)を有する核酸から選択されてもよい:G、式中、Gはグアノシン、ウラシルまたはグアノシンもしくはウラシルの類似体であり、Xはグアノシン、ウラシル、アデノシン、チミジン、シトシンまたは上述のヌクレオチドの類似体であり、lは1〜40の整数であり、l=1のとき、Gはグアノシンまたはその類似体であり、l>1のときはヌクレオチドの少なくとも50%がグアノシンまたはその類似体であり、mは少なくとも3の整数であり、m=3のとき、Xはウラシルまたはその類似体であり、m>3のときは少なくとも3つの連続するウラシルまたはウラシル類似体があり、nは1〜40の整数であり、n=1のとき、Gはグアノシンまたはその類似体であり、n>1のときはヌクレオチドの少なくとも50%がグアノシンまたはその類似体である。
【0093】
他の適切なアジュバントは、一般式(III)を有する核酸からさらに選択されてもよい:C、式中、Cはシトシン、ウラシルまたはシトシンもしくはウラシルの類似体であり、Xはグアノシン、ウラシル、アデノシン、チミジン、シトシンまたは上述のヌクレオチドの類似体であり、lは1〜40の整数であり、l=1のとき、Cはシトシンまたはその類似体であり、l>1のときはヌクレオチドの少なくとも50%がシトシンまたはその類似体であり、mは少なくとも3の整数であり、m=3のとき、Xはウラシルまたはその類似体であり、m>3のときは少なくとも3つ連続するウラシルまたはウラシル類似体があり、nは1〜40の整数であり、n=1のとき、Cはシトシンまたはその類似体であり、n>1のときはヌクレオチドの少なくとも50%がシトシンまたはその類似体である。
【0094】
ある好ましい実施形態によれば、本発明はさらに本発明に係る活性(免疫賦活)組成物を含有するワクチンを提供し得る。本発明のワクチンは、付加的に薬学的に許容されるキャリアおよび/またはさらなる補助剤ならびに添加物および/またはアジュバントを含み得る。特に好ましい実施形態によれば、本発明のワクチンに含まれる活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされている抗原は、上述のグループまたはサブグループから選択される。さらに好ましい実施形態によれば、タンパク質抗原は、NY−ESO1[アクセッション番号NM_001327]、hTERT[アクセッション番号NM_198253]、survivin[アクセッション番号AF077350]、5T4[アクセッション番号NM_006670]およびWT1[アクセッション番号NM_000378]を含むサブグループの抗原のいずれか、および/または本明細書に規定したような、MAGE−C1およびMAGE−C2を含む以下のサブグループの抗原のいずれか、および/または本明細書に規定したような、MAGE−A2およびMAGE−A3を含む以下のサブグループの抗原のいずれかから選択される。
【0095】
本発明のワクチンは、典型的に、上記で規定した少なくとも2つの抗原、好ましくは上記のグループまたはサブグループから選択される少なくとも2つの抗原を、最も好ましくは示した組み合わせのいずれかでコードする、上記で規定した活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAを、安全かつ効果的な量で含んでいる。本明細書における「安全かつ効果的な量」とは、肺癌、好ましくは治療対象の非小細胞肺癌(NSCLC)関連状態、より好ましくは肺扁平上皮癌、腺癌、および肺大細胞癌を含む(ただし、これに特に制限されない)非小細胞肺癌(NSCLC)の3つの主要サブタイプに関連した状態に対して正の変化を著しく引き起こし得る、ワクチンに含まれる上記で規定した活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAの量を意味する。また一方で、「安全かつ効果的な量」は重度の副作用を回避し得る、すなわち利益とリスクとの関係を適切に保つ程度の少なさである。これらの制限の決定は、一般的に、思慮のある医療判断の範囲内で行われる。本発明のワクチンと関連して、「安全かつ効果的な量」は、過剰または有害な免疫反応がもたらされることなく、しかし好ましくは測定可能レベルより低い免疫反応でもなく、獲得免疫システムを刺激するのに適切なRNA(そしてコードされる少なくとも2つの抗原)の量である。上記で規定したような、ワクチンに含まれる活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAの「安全かつ効率的な量」は、さらに単シストロン性、バイシストロンまたは多シストロン性RNA等、RNAの種類に応じて選択されてもよい。なぜなら、バイシストロンまたは多シストロン性RNAは、単シストロン性RNAを同量使うのに比べて、コードされた抗原が非常に多く発現し得るからである。本発明のワクチンに含まれる、上記で規定した活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAの「安全かつ効率的な量」は、治療対象の特定状態、および治療対象患者の年齢、身体的状態、重症度、治療の期間、付随治療の種類、用いられる特定の薬学的に許容されるキャリアの種類、および担当医の知識ならびに経験の範囲内における同様の要因によって変化する。本発明に係るワクチンは、薬学的組成物またはワクチンとして、ヒトおよび獣医療目的で用いることができる。
【0096】
本発明にかかるワクチンは、一般的に、薬学的に許容されるキャリアを含む。ここでの「薬学的に許容されるキャリア」という表現は、本発明のワクチンの液状または非液状主成分を含むことが好ましい。本発明のワクチンが液状である場合、キャリアは一般的にピロゲンを含まない水、例えばリン酸またはクエン酸緩衝液等の等張生理食塩水または緩衝(水)溶液を示す。特に本発明のワクチンを注射する場合、ナトリウム塩、好ましくは少なくとも50mMのナトリウム塩、カルシウム塩、好ましくは少なくとも0,01mMのカルシウム塩、および必要に応じてカリウム塩、好ましくは少なくとも3mMのカリウム塩、を含む水または好ましくは緩衝剤、より好ましくは緩衝液を用いることができる。好ましい実施形態によれば、ナトリウム塩、カルシウム塩、および必要に応じてカリウム塩は、例えば、塩化物、ヨウ化物または臭化物等のハロゲン化物の形態、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩または硫酸塩等の形態であり得る。ナトリウム塩の例として、例えばNaCl、NaI、NaBr、NaCO、NaHCO、NaSOがあり、必要に応じてのカリウム塩の例としては、例えばKCl、KI、KBr、KCO、KHCO、KSOがあり、カルシウム塩の例としては、例えばCaCl、CaI、CaBr、CaCO、CaSO、Ca(OH)が挙げられるが、これらに特に限定されない。さらに、緩衝剤は上記カチオンの有機アニオンも含み得る。より好ましい実施形態によれば、上記で規定した注射用途に好適な緩衝剤は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl)、および必要に応じて塩化カリウム(KCl)から選択される塩を含むことができ、塩化物に加えてさらにアニオンも存在し得る。CaClは、KCl等の他の塩と入れ替えられてもよい。一般的に、注射緩衝剤に含まれる塩は少なくとも50mMの塩化ナトリウム(NaCl)、少なくとも3mMの塩化カリウム(KCl)および少なくとも0,01mMの塩化カルシウム(CaCl)の濃度である。注射緩衝剤は特定の参照媒体を基準にして高張、等張、または低張であってよい。すなわち、緩衝剤は、特定参照媒体を基準にして、塩含量がより多いか、同等か、または少なくてもよく、そして浸透または濃度による他の影響によって細胞が損傷することがない上記塩濃度の緩衝剤が用いられることが好ましい。参照媒体は、例えば血液、リンパ、細胞質液、またはその他体液等の「in vivo」の方法にて生成される液体、または例えば共通緩衝剤または液体等の、「in vitro」の方法で参照媒体として用いられる液体が挙げられる。このような共通緩衝剤または液体は、当業者に公知である。特に、液体主成分としてリンゲル乳酸溶液が好ましい。
【0097】
また一方、ヒトに好適に投与可能な、1つ以上の相溶性固体もしくは液体フィラーもしくは希釈剤または封入化合物を同様に用いてもよい。本明細書において「相溶性」の表現は、本発明のワクチンの成分が、一般的な使用条件下で本発明のワクチンの薬学的効果を実質的に低下させる相互作用を起こすことなく上記規定の少なくとも2つの抗原をコードする活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAと混合し得ることを意味する。薬学的に許容されるキャリア、フィラーおよび希釈剤は、当然ながら、これらが治療すべき人への投与に適切なものとなるように、充分に高純度であって、充分に低毒素でなければならない。薬学的に許容されるキャリア、フィラーまたはそれらの成分として使用可能な化合物の例として、ラクトース、グルコースおよびショ糖等の糖類、コーンスターチまたはジャガイモデンプン等のデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、エチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロースおよびその誘導体、トラガント末、モルト、ゼラチン、獣脂、ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウム等の固体流動促進剤、硫酸カルシウム、落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびカカオ脂等の植物油、ポリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール等の多価アルコール、ならびにアルギン酸が挙げられるが、これに限定されない。
【0098】
薬学的に許容されるキャリアは、原則的に本発明のワクチンがどのようにして投与されるかに応じて選択される。本発明のワクチンは、例えば、全身的にまたは局所的に投与され得る。全身投与の経路は一般的に、例えば皮下、静脈、筋肉、動脈、皮内および腹腔内注射および/または鼻腔内投与を含む、経皮、経口、および非経口の経路が挙げられる。局所投与は一般的に、例えば皮内、経皮、皮下、または筋肉の経路の局所的に投与する注射、または、病巣内、頭蓋内、肺内、心内および舌下注射等が挙げられる。ワクチンは、皮内、皮下、または筋肉経路で投与するのが好ましい。したがって、組成物/ワクチンは液状または固体状で作製されるのが好ましい。本発明のワクチンの適切な投与量は、動物モデルを用いた所定の手順に沿った実験によって決定できる。用いられるモデルには、ウサギ、ヒツジ、マウス、ラット、イヌ、および非ヒト霊長類モデル等があるが、これに限定されない。注射する単位投与量形態は、水の滅菌溶液、生理食塩水またはその混合物を含むことが好ましい。このような溶液のpHはおよそ7.4に調整される。注射用の好適なキャリアには、ヒドロゲル、放出制御または遅延放出用具、ポリ乳酸およびコラーゲンマトリクス等が挙げられる。局所投与に好適な薬学的に許容されるキャリアは、ローション、クリーム、ゲル等に用いられるのに適したものが挙げられる。もし本発明のワクチンが経口で投与されるようであれば、錠剤、カプセル等が投与単位として好ましい。経口投与用の投与単位を作製するための薬学的に許容されるキャリアは従来公知である。どれを選択するかは、味、コスト、保存性等の二次考慮によるものとなり、本発明の課題に対して重要でなく、当業者が容易に作製することができる。
【0099】
本発明のワクチンは、さらに免疫原性を向上させるべく、1つ以上の補助剤を付加的に含むことができる。上記規定の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAと、上記のとおり、本発明のワクチンに必要に応じて含まれる補助剤との相乗作用は、免疫原性を向上させることによって得られることが好ましい。この点において、種々の補助剤の種類に応じて、様々な機構が考慮され得る。樹状細胞(DC)を成熟させる化合物、例えば、リポ多糖類、TNF−アルファまたはCD40リガンド等は第一種の好適な補助剤となる。一般的に、「危険信号」として免疫システムに影響を与える任意の薬剤(LPS、GP96等)、または、本発明に係る免疫刺激アジュバントによって引き起こされた免疫反応を目標程度に増強させおよび/または影響を与えるサイトカイン(GM−CFS等)を、補助剤として用いることができる。特に好ましい補助剤は、コードされた少なくとも2つの抗原によって獲得免疫反応が引き起こされるのに加え、先天的な免疫反応を促進する、モノカイン、リンフォカイン、インターロイキンまたはケモカイン等のサイトカインであり、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32、IL−33、INF−アルファ、IFN−ベータ、INF−ガンマ、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、LT−ベータまたはTNF−アルファ、およびhGH等の成長因子がその例として挙げられる。
【0100】
本発明のワクチンに加え得るさらなる添加物は、Tween等の乳化剤、ラウリル硫酸ナトリウム等の湿潤剤、着色剤、味付与剤、薬学的に許容されるキャリア、錠剤形成剤、安定剤、酸化防止剤、保存剤などが挙げられる。
【0101】
本発明のワクチンはまた、ヒトToll様受容体TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10との(リガンドとしての)結合親和力、またはマウスToll様受容体TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12もしくはTLR13との(リガンドとしての)結合親和力のために免疫を刺激することが知られている、他の任意の化合物を付加的に含んでもよい。
【0102】
本明細書において本発明のワクチンに付加可能な他のクラスの化合物として、CpG核酸、特にCpG−RNAまたはCpG−DNAが挙げられる。CpG−RNAまたはCpG−DNAは一本鎖CpG−DNA(ss CpG−DNA)、二本鎖CpG−DNA(dsDNA)、一本鎖CpG−RNA(ss CpG−RNA)、または二本鎖CpG−RNA(ds CpG−RNA)であり得る。CpG核酸はCpG−RNAであるのが好ましく、一本鎖CpG−RNA(ss CpG−RNA)であるのがより好ましい。CpG核酸は少なくとも1つまたはそれ以上の(分裂促進性)シトシン/グアニンジヌクレオチド配列(CpGモチーフ)を含むことが好ましい。第一の好ましい代替案によれば、これらの配列に含まれる少なくとも1つのCpGモチーフ、すなわちCpGモチーフのC(シトシン)およびG(グアニン)は、メチル化されていない。これらの配列に必要に応じて含まれる他のシトシンまたはグアニンは全て、メチル化されていてもメチル化されていなくてもよい。一方で、さらに好ましい代替案では、CpGモチーフのC(シトシン)およびG(グアニン)は、メチル化された形態でもあり得る。
【0103】
本発明のさらに好ましい課題によれば、本発明に記載の上記活性(免疫賦活)組成物または少なくとも2つの(好ましくは)異なる抗原をコードする上記少なくとも1つのRNAは、肺癌の治療、好ましくは治療対象の非小細胞肺癌(NSCLC)関連状態、より好ましくは肺扁平上皮癌、腺癌、および肺大細胞癌を含む(ただし、これに特に制限されない)非小細胞肺癌(NSCLC)の3つの主要組織型に関連した状態の治療(のための本発明に係るワクチンの作製)に用いられてもよい。
【0104】
本発明のさらに好ましい目的によれば、本発明のワクチンまたは本明細書に規定した少なくとも2つの(好ましくは)異なる抗原をコードする少なくとも1つのRNAは、肺癌、好ましくは治療対象の非小細胞肺癌(NSCLC)関連状態、より好ましくは肺扁平上皮癌、腺癌、および肺大細胞癌を含む(ただし、これに特に制限されない)非小細胞肺癌(NSCLC)の3つの主要サブタイプに関連した状態の治療に用いられてもよい。
【0105】
本明細書の記載内容において、肺癌、好ましくは治療対象の非小細胞肺癌(NSCLC)関連状態、より好ましくは肺扁平上皮癌、腺癌および肺大細胞癌を含む(ただし、これに特に制限されない)非小細胞肺癌(NSCLC)の3つの主要サブタイプに関連した状態の治療が必要な患者に対して、本発明のワクチンの薬学的に効果的な量、または本発明の活性(免疫賦活)組成物の薬学的に効果的な量を投与することによる、これらを治療する方法も本発明に含まれる。このような方法は、一般的に、本発明の活性(免疫賦活)組成物または本発明のワクチンを作製する任意の第一工程と、投与を必要とする患者に対して本発明の活性(免疫賦活)組成物または本発明のワクチンを(薬学的に効果的な量で)投与する第二工程とを含む。投与を必要とする患者は任意の哺乳類から一般的に選択される。本発明の記載内容において、哺乳類は、一般的に肺癌、好ましくは非小細胞肺癌(NSCLC)関連状態、より好ましくは肺扁平上皮癌、腺癌および肺大細胞癌を含む(ただし、これに特に制限されない)非小細胞肺癌(NSCLC)の3つの主要サブタイプに関連した状態に罹患している、例えば、これに限定されないが、ヤギ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ロバ、サル、類人猿、およびマウス、ハムスター、ウサギ等のげっ歯類、ならびに特にヒトからなる群より選択されることが好ましい。
【0106】
本発明はまた、本明細書で規定した本発明の活性(免疫賦活)組成物または少なくとも2つの(好ましくは)異なる抗原をコードする少なくとも1つのRNAの使用(本発明のワクチンの調製のための使用)に関し、好ましくは哺乳類における免疫反応の誘発、好ましくは肺癌の治療に、より好ましくは本明細書に規定した非小細胞肺癌(NSCLC)関連状態の治療における使用に関する。
【0107】
同様に、本発明はまた、哺乳類において獲得免疫反応を誘発する、好ましくは肺癌の治療用、より好ましくは本明細書に記載の非小細胞肺癌(NSCLC)関連状態の治療用に、本発明のワクチン自体もしくは本明細書に記載の少なくとも2つの(好ましくは)異なる抗原をコードする上記少なくとも1つのRNAの使用に関する。
【0108】
肺癌、好ましくは本明細書に規定した非小細胞肺癌(NSCLC)の治療または予防を必要とする患者に対する予防または治療は、例えば少なくとも1つの好ましくは異なる抗原を含有する部品のキットとして、一度にまたは時間差で、本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチンを投与することで行うことができる。上記で規定したように、投与する際に、投与経路のいずれも好適に用いられる。例えば、本発明の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAによってコードされている少なくとも2つの(特異的に選択された)抗原によって獲得免疫反応を引き起こすか促進することで、肺癌、好ましくは本明細書に規定した非小細胞肺癌(NSCLC)関連状態を治療することができる。本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチンを、異なる抗原をコードする他のRNAの組み合わせを含み得る別の本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本明細書に規定した本発明のワクチンを投与する前に、投与と同時に、および/または投与の後に投与してもよい。なお、本発明の別の活性(免疫賦活)組成物の少なくとも1つのRNAにコードされている各抗原は、肺癌の治療に好適であることが好ましく、本明細書に規定した非小細胞肺癌(NSCLC)関連状態の治療に好適であることがより好ましい。本明細書の記載内容において、本明細書に規定した治療とは、肺癌に関連する疾患の調節、好ましくは本明細書に規定した非小細胞肺癌(NSCLC)に関連する疾患の調節をも含み得る。
【0109】
さらなる一実施形態によれば、本発明はさらに、上記規定の哺乳類の免疫反応を調節する、好ましくは免疫反応を引き起こすか促進する、より好ましくは肺癌の治療、特に本明細書に規定のNSCLCの治療を補助する((本発明の)ワクチンの作製用)活性(免疫賦活)組成物の使用を含む。本明細書の記載内容において、肺癌、特に本明細書に規定したNSCLCの治療補助は、例えば放射線療法、化学療法、陽子線治療、ホルモン療法、抗体療法、アジュバント療法、本発明のワクチン以外のワクチンを用いる療法、キナーゼ阻害剤もしくはスモールヌクレオチドを用いる療法等、またはこれらを組み合わせた療法等、肺癌、特に本明細書に規定したNSCLCに対する従来の癌治療と、本発明の活性(免疫賦活)組成物または本明細書に規定した本発明のワクチンを用いた療法との任意の組み合わせであってもよい。肺癌、特に本明細書に規定したNSCLCの治療補助は、本明細書中に規定した他の実施形態のいずれにおいても考慮され得る。
【0110】
本発明の活性(免疫賦活)組成物または本明細書に規定した少なくとも2つの(好ましくは)異なる抗原をコードする少なくとも1つのRNA、または本発明のワクチンは、時間差治療で投与されてもよい。時間差治療とは、例えば肺癌、特に本明細書に規定したNSCLCの治療の前に、治療と同時に、および/または治療の後に、本発明の活性(免疫賦活)組成物または本明細書に規定した少なくとも2つの(好ましくは)異なる抗原をコードする少なくとも1つのRNA、または本発明のワクチンを投与することであってよく、例えば、肺癌、特にNSCLCの治療またはそれに好適な薬剤の投与の前に、投与と同時に、および/または投与の後に本発明の活性(免疫賦活)組成物、またはワクチンを投与することによって行われる。このような時間差治療は、例えばキット、好ましくは後述する部品のキットを用いて行われてもよい。
【0111】
時間差治療は、本発明の活性(免疫賦活)組成物またはワクチン、好ましくは上記規定の少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAの投与であって、好ましくは部分的に本発明の活性(免疫賦活)組成物またはワクチンを構成する上記規定の少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAを投与する前に、投与と同時に、または投与した後に、好ましくは同じ本発明の活性(免疫賦活)組成物またはワクチンを部分的に構成する別の上記規定の少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNAを、付加的もしくは代替的に投与することを含み得る。(全ての少なくとも1つのRNA)は、1時間以内、より好ましく30分以内、さらに好ましくは15、10、5、4、3、もしくは2分もしくはさらに1分以内に投与することが好ましい。このような時間差治療は、例えば、キット、好ましくは後述する部品のキットを用いて行われ得る。
【0112】
最後の実施形態によれば、本発明はさらに、活性な本発明の(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチン、ならびに必要に応じて、本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチンの投与および投与量に関する情報を載せた技術指示書を備えている、キット、特に部品のキットを提供する。技術指示書は、本発明の活性(免疫賦活)組成物および/または本発明のワクチンの投与および投与量についての情報を含み得る。このようなキット、好ましくは部品のキットは、例えば上述の応用または使用に適用することができ、肺癌、特に本明細書に規定したNSCLCの治療のための(本発明のワクチン作製のための)少なくとも1つの本発明の活性(免疫賦活)組成物の使用にこのましくは適用できる。このキットはまた、肺癌、好ましくは本明細書に規定したNSCLCを治療するための少なくとも一つの(本発明のワクチン作製用の)本発明の活性(免疫賦活)組成物の使用に適用することができ、本発明の活性(免疫賦活)組成物)および/またはワクチンは、コードされている少なくとも2つの抗原によって、上記規定の哺乳類において免疫反応を引き起こすかまたは促進し得る。このようなキットはさらに、上記規定の哺乳類における免疫反応を調節する、例えば引き起こすか促進するなどして誘発するため、そして好ましくは肺癌、特にNSCLCの治療を補助するために、少なくとも1つの(本発明のワクチン作製のための)本発明の活性(免疫賦活)組成物の使用に適用され得る。特別な形式のキットとして、部品のキットは、キットの異なる部分において1以上の同一または異なる活性な本発明の(免疫賦活)組成物および/または1以上の同一または異なる本発明のワクチンを含んでいてもよい。部品のキットはまた、(例えば、1つの)活性な本発明の(免疫賦活)組成物、(例えば、1つの)本発明のワクチンおよび/または上記規定の少なくとも1つの抗原をコードする少なくとも1つのRNAを、キットの異なる部品に含み得る。例えば、キットの各部品が、好ましくは異なる抗原をコードするRNAを少なくとも1つ含み得る。さらに、部品のキットの両方の種類を組み合わせることもできる。例えばin vivoで同一治療を行っている最中に、異なる製剤を用いる場合ならびに/または活性な本発明の(免疫賦活)組成物、本発明のワクチンおよび/もしくは上記規定の少なくとも1つの抗原をコードする少なくとも1つのRNAの濃度を高くする場合等の時間差治療などが検討されたときに、部品キットを用いることができる。部品のキットは、別の製剤または本発明の活性(免疫賦活)組成物の異なる抗原を(すなわち部分的に)投与することが(例えば技術的な理由により)想定されるか必要になったものの、例えばin vivoにおいて異なる抗原が組み合わされて存在しなければならない場合にも用いられ得る。特に、キットの特別な形式として、部品キットが検討され、キットの各部品は上記規定の少なくとも1つの好ましくは異なる抗原を含み、キットの全ての部品が活性な本発明の(免疫賦活)組成物または本明細書に規定した本発明のワクチンを構成していることが好ましい。このような特定の部品のキットは、例えば異なる抗原がキットの異なる部品として構成されているものの、同時または時間差でそれを必要とする哺乳類に投与される場合に特に好適である。後者の場合、そのようなキットの異なる部品の投与は、キットの最後の部品を投与した後でほとんど同時期に全ての抗原が哺乳類体内に存在するように、短い時間内で全ての投与がなされるのが一般的である。上記キットのいずれもが、上記規定の治療に用いられ得る。
【0113】
〔本発明の利点〕
本発明は、肺癌、特に非小細胞肺癌(NSCLC)の治療のための活性(免疫賦活)組成物を提供する。この組成物は、哺乳類の(獲得)免疫反応を引き起こし得るhTERT、WT1、MAGE−A2、5T4、MAGE−A3、MUC1、Her−2/neu、NY−ESO−1、CEA、Survivin、MAGE−C1、またはMAGE−C2からなる群より選択される少なくとも2つの(好ましくは異なる)抗原をコードする少なくとも1つのRNA、好ましくはmRNAを含んでいる。このような活性(免疫賦活)組成物によって、肺癌、特に非小細胞肺癌(NSCLC)の治療、または従来の療法を用いる際の補助的な治療を効率的に行うことができる。さらに、RNAを治療方法として用いることによって、導入されたDNA配列が非制御下で増殖してしまう問題を回避することができる。本発明の活性(免疫賦活)組成物に用いられるRNAは、例えば免疫反応、免疫処置またはワクチン接種において、DNA発現システムよりも注目に値するさらなる利点を有している。これらの利点としては、とりわけ、細胞に導入されたRNAがゲノムに組み込まれないという点が挙げられる。このことによって、その遺伝子が変異する危険性を回避することができ、その結果、完全もしくは部分的に活性化されない状態、または誤情報を引き起こしてしまう状態を避けることができる。これによってさらに、免疫反応を引き起こす薬剤(例えば、ワクチン)としてDNAを用いる場合の他の危険性、例えば外来性DNAが導入されている患者の体内に病原性の抗DNA抗体が誘発され、(おそらく致命的な)免疫反応を引き起こすこと等を避けることができる。対照的に、抗RNA抗体はいまだ検出されていない。
【0114】
〔図面〕
以下の図面は本発明をさらに図示する目的で提供されており、本発明の対象がこれらに限定されることを意図するものではない。
【0115】
図1:MUC1(HsMUC1−5×VNTR(野生型配列は通常40個のタンデムリピートであるが、クローニング上の理由により、5個のタンデムリピートまで減少。)をコードしており、GC含量:61.27%、長さ:1668bpであるRNA配列(配列番号1)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
【0116】
図2:MUC1(HsMUC1 GC−5×VNTR、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:73.56%、長さ:1668bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号2)を示す図である。塩基配列(図1(配列番号1))との違いは、398/1668塩基=23.86%である。
【0117】
図3:5T4(Hs5T4(栄養膜糖タンパク質TPBG)をコードしており、GC含量:61.60%、長さ:1263bpであるRNA配列(配列番号3)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
【0118】
図4:5T4(Hs5T4 GC、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:70.47%、長さ:1263bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号4)を示す図であり、。塩基配列(図3(配列番号3))との違いは、247/1263塩基=19.56%である。
【0119】
図5:Her−2/neu(HsHer2/neu(v−erb−b2赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ2))をコードしており、GC含量:60.78%、長さ:3768bpであるRNA配列(配列番号5)(野生型に基づいた開始配列)を示す図である。
【0120】
図6:Her−2/neu(HsHer2/neu GC、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:70.54%、長さは:3768bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号6)を示す図である。塩基配列(図5(配列番号5))との違いは、772/3768塩基=20.49%である。
【0121】
図7:hTERT(HsTERT(テロメラーゼ逆転写酵素)をコードしており、GC含量:66.08%、長さ:3399bpであるRNA配列(配列番号7)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
【0122】
図8:hTERT(HsTERT GC、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:72.96%、長さ:3399bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号8)を示す図である。塩基配列(図7(配列番号7))との違いは、566/3399塩基=16.65%である。
【0123】
図9:WT1(HsWT1(ウィルムス腫瘍1))をコードしており、GC含量:61.78%、長さ:1554bpであるRNA配列(配列番号9)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
【0124】
図10図10A)は、WT1(HsWT1(ウィルムス腫瘍1))をコードしており、配列の領域325−408において野生型配列の対応する領域と比べてGC含量が減少しているRNA配列(配列番号10)を示す図であり、図10B)、C)、およびD)は、以下の対応する領域325−408との比較結果を示している:B)では、図9(配列番号9)に係る野生型配列との比較、C)では、図11(配列番号11)に係るGCが最大化された配列との比較、およびD)では、図10(配列番号10)に係るGCが低減された配列との比較を示す。なお、これらは全て異なるGCパターンを示している。
【0125】
図11:WT1(HsWT1 GC、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:72.59%、長さ:1554bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号11)を示す図である。塩基配列(図9(配列番号9))との違いは、322/1554塩基=20.72%である。
【0126】
図12:CEA(CEA(癌胎児性抗原)HsCEACAM5)をコードしており、GC含量:52.20%、長さ:2109bpであるRNA配列(配列番号12)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
【0127】
図13:CEA(CEACAM5 GC、1.最大GC、2.コドン使用、既に配置済み)をコードしており、GC含量:66.24%、長さ:2109bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号13)を示す図である。塩基配列(図12(配列番号12)との違いは、495/2109塩基=23.47%である。
【0128】
図14:MAGE−A2(HsMAGE−A2(メラノーマ抗原ファミリーA,2)HsMAGE−A2B)をコードしており、GC含量:55.87%、長さ:945bpであるRNA配列(配列番号14)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
【0129】
図15:MAGE−A2(HsMAGE−A2B GC、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:68.57%、長さ:945bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号15)を示す図である。塩基配列(図14(配列番号14))との違いは、187/945塩基=19.79%である。
【0130】
図16:MAGE−A3(MAGE−A3(メラノーマ抗原ファミリーA,3)MAGE−A3)をコードしており、GC含量:56.30%、長さ:945bpであるRNA配列(配列番号16)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
【0131】
図17:MAGE−A3(MAGE−A3 GC、1.最大GC、2.コドン使用、GCに富んでいることは既知)をコードしており、GC含量:69.00%、長さ:945bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号17)を示す図である。塩基配列(図16(配列番号16))との違いは、190/945塩基=20.11%である。
【0132】
図18:Survivin(Survivin(バキュロウイルスIAPリピート含有5、BIRC5)HsSurvivin(wt))をコードしており、GC含量:52.68%、長さ:429bpであるRNA配列(配列番号18)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
【0133】
図19:Survivin(HsSurvivin(GC)、1.最大GC、2.コドン使用、GCに富んでいることは既知)をコードしており、GC含量:65.27%、長さ:429bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号19)を示す図である。塩基配列(図18(配列番号18))との違いは、72/429塩基=16.78%である。
【0134】
図20:NY−ESO−1(ホモサピエンスNY−ESO−1(NY−ESO−1(wt))をコードしており、GC含量:67.4%であるRNA配列(配列番号20)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
【0135】
図21:NY−ESO−1(NY−ESO−1(GC))をコードしており、GC含量79.56%、(GCに富んでいることは既知)である(GC)安定化RNA配列(配列番号21)を示す図である。wt(図20(配列番号20))との違いは、112/543塩基、20.63%である。
【0136】
図22:MAGE−C1(HsMAGEC1(メラノーマ抗原ファミリーC,1)HsMAGEC1(wt))をコードしており、GC含量:51.86%、長さ:3429bpであるRNA配列(配列番号22)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
【0137】
図23:MAGE−C1(HsMAGEC1(GC)、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:68.73%、長さ:3429bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号23)を示す図である。塩基配列(図22(配列番号22))との違いは、964/3429塩基=28.11%である。
【0138】
図24:短縮MAGE−C1(HsMAGEC1(GC)、1.最大GC、2.コドン使用)をコードする(GC)安定化RNA配列(配列番号24)を示す図である。塩基配列(図22(配列番号22))と比較して、繰り返し領域を欠失し、始めの開始コドン(ATG)に続く図24に係る配列は、GC最大化野生型配列(図23(配列番号23))の613番目のアミノ酸から始まる。
【0139】
図25:MAGE−C2(HsMAGE−C2(メラノーマ抗原ファミリーC,2)HsMAGE−C2)をコードしており、GC含量:50.81%、長さ:1122bpであるRNA配列(配列番号25)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
【0140】
図26:MAGE−C2(HsMAGE−C2 GC、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:66.58%、長さ:1122bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号26)を示す図である。塩基配列(図25(配列番号25))との違いは、264/1122塩基=23.53%である。
【0141】
図27:質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原NY−ESO−1に特異的なIgG1抗体の有無を示す図である。
【0142】
図28:質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原NY−ESO−1に特異的なIgG2a抗体の有無を示す図である。
【0143】
図29:質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原MAGE−C1に特異的なIgG1抗体の有無を示す図である。
【0144】
図30:質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原MAGE−C1に特異的なIgG2a抗体の有無を示す図である。
【0145】
図31:質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原MAGE−C2に特異的なIgG1抗体の有無を示す図である。
【0146】
図32:質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原MAGE−C2に特異的なIgG2a抗体の有無を示す図である。
【0147】
図33:質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原5T4に対する抗原特異的Tリンパ球の誘発を示す図である。
【0148】
図34:質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原NY−ESO−1に対する抗原特異的Tリンパ球の誘発を示す図である。
【0149】
〔実施例〕
以下の実施例は、本発明をさらに図示するために例示されており、本発明の対象がこれら実施例に限定されることを意図するものではない。
【0150】
<1.コーディングプラスミドの調製>
以下の実験では、末端に以下の抗原をコードするそれぞれのmRNA配列に対応するDNAを調製し、in vitro転写およびトランスフェクション実験に用いた:
・hTERT、
・WT1、
・MAGE−A2、
・5T4、
・MAGE−A3、
・MUC1、
・Her−2/neu、
・NY−ESO−1、
・CEA、
・Survivin、
・MAGE−C1、または
・MAGE−C2。
これに関して、ネイティブ抗原をコードするmRNAに対応するDNA配列は、GC含量が増量させられ、コドンが最適化されている。そして、コーディング配列を、ポリAタグおよびポリCタグ(A70−C30)によって既に修飾されているRNActiveコンストラクト(CureVac GmbH,Tubingen,Germany)内に移した。
【0151】
<2.In vitro転写>
実施例1で得た組換えプラスミドDNAに基づいて、in vitro転写によってRNA配列を調製した。これに関して、組換えプラスミドDNAを直鎖状にして、次いでT7 RNAポリメラーゼを用いてin vitroで転写した。次に、DNAの鋳型をDNaseI消化によって分解した。RNAをLiCl沈殿で回収し、さらにHPLC抽出(PUREMessenger,CureVac GmbH,Tubingen,ドイツ)によって不要なものを除去した。
【0152】
<3.プロタミンとの複合化>
RNAを細胞内および生物内にトランスフェクションするためには、in vitro転写で得られたRNAを好ましくは複合化し、より好ましくはプロタミンとRNAとを混合して複合化するのが好ましい。
【0153】
<4.ワクチン実験>
ワクチン接種として、上記のin vitro転写実験によって得られたRNA(実験2参照)を、好ましくはプロタミンと複合化したとき(実験3を参照)に、マウス(マウス:C57 BL/6)にトランスフェクションした。トランスフェクションは相違する群において行った。各群につき5匹のマウス(C57 BL/6)を、本発明のmRNA混合液、すなわちプロタミンで複合化したmRNAの混合物を用いて、3週間以内に8回、皮内経由で免疫性を与えた。なお、RNAはhTERT、WT1、MAGE−A2、5T4、MAGE−A3、MUC1、Her−2/neu、NY−ESO−1、CEA、Survivin、MAGE−C1、またはMAGE−C2の抗原を少なくとも2つコードしている。
【0154】
<5.抗原特異的免疫反応(B細胞免疫反応)の検出>
抗原特異的抗体を検出することで、抗原特異的免疫反応(B細胞免疫反応)を検出した。これに関して、ワクチン接種したマウスから、血液サンプルを、最終ワクチン接種から1週間後に採取し、血清を調製した。MaxiSorbプレート(Nalgene Nunc International)を、mRNA混合液(0.5μg/ウェル)によってコードされている抗原性タンパク質でコーティングした。0.05%Tween−20および1%BSAを含む1×PBSでブロッキングした後、希釈したマウス血清(1:30,1:90,1:270,1:810)と共にプレートをインキュベートした。その後、ビオチン結合二次抗体(Anti−mouse−IgG2a、Pharmingen)を添加した。洗浄後、プレートをホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ−ストレプトアビジンでインキュベートし、続いてABTS基質(2,2’−アジノ−ビス(3−エチル−ベンズチアゾリン−6−スルホン酸)の変換を測定した。
【0155】
<6.ELISPOTによる抗原特異的細胞性免疫反応(T細胞免疫反応)の検出>
最後のワクチン接種から2週間後にマウスを屠殺し、脾臓を取り出して脾細胞を単離した。脾細胞を7日間、上記抗原(ペプチドライブラリー)からのペプチドの存在下で再刺激をするか、抗原をコードするRNAを用いてエレクトロポレーションされた、野生型の同系マウスの骨髄細胞から生成された樹状細胞と共に共インキュベートした。抗原特異的細胞性免疫反応を判別するために、再刺激後にINFガンマ分泌を測定した。INFガンマを検出するため、コートマルチスクリーンプレート(Millipore)を、INFγに対する抗体を含む、コーティングバッファーである0.1Mの炭酸塩−炭酸水素塩緩衝液(pH9.6、10.59g/lのNaCO、8.4g/lのNaHCO)(BD Pharmingen,Heidelberg,ドイツ)で一晩インキュベートした。刺激物質およびエフェクター細胞を1:20の比率でプレート内で共に24時間インキュベートした。プレートを1×PBSで洗浄し、ビオチン結合二次抗体でインキュベートした。1×PBS/0.05% Tween−20で洗浄した後、プレートに基質(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム液体基質システム、Sigma Aldrich社製、Taufkirchen,ドイツ)を添加することで、視覚的に基質の変換を検出することができた。
【0156】
<7.腫瘍チャレンジ>
免疫化:
最後の免疫処置から1週間後に、1 Mio B16メラノーマ細胞またはTRAMP−C1細胞をマウスの皮下に注射した。それぞれ2週間(B16)または7週間(TRAMP−C1)以内に、腫瘍の大きさを測定した。
【0157】
<8.mRNAワクチンの調製>
非小細胞肺癌(NSCLC)の治療用ワクチンとして用いられるための複数の抗原の組み合わせを含む本発明の活性(免疫賦活)組成物の特定の実施例を、上記記載に基づいて、以下のように調製した。例示されている本発明の活性(免疫賦活)組成物は、質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(配列番号4、19、21、24、および26(GCに富む配列)に対応するNY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなる。
【0158】
(ワクチン接種)
C57BL/6マウスに、質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(配列番号4、19、21、24、および26(GCに富む配列)に対応するNY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンを、皮内にワクチン接種した(抗原毎、サイクル毎に64μg、1サイクル毎に4回に分けて注射)。対照ワクチン接種は、LacZをコードするRNA(コントロールmRNA lacZ)を、対応する合計投与量だけ用いて行った。ワクチン接種では、免疫処置を3サイクル(第1、第3、および第5週)で行った。群、マウスの数、およびマウスの種類は以下の表に示すとおりである。
【0159】
【表1】
【0160】
(抗原特異的抗体の検出)
最後のワクチン接種から6日後、血液サンプル(200μl)を逆軌道で採取し、ELISAを用いて血清を分析し、抗原特異的抗体サブタイプIgG1およびIgG2aの有無を調べた。96ウェルのELISAプレートを組換えタンパク質でコーティングし(コーティングバッファー中に10μg/mlの濃度でタンパク質が含まれており、37°Cで4時間インキュベート)、ウェル毎に200μlのブロッキングバッファーを用いて、4°Cで一晩、ブロッキングを行った。その後、室温で4時間、サンプルを、各群のマウスから集めた血清でインキュベートし、1:3〜1:48の範囲に希釈して、滴定した。マウスIgG1またはIgG2aに対する特異的抗体(ブロッキングバッファにて1:300)と共にインキュベートし、HRP結合二次抗体(ブロッキングバッファ内に1:500)と共にインキュベートした後、TMB基質を加えた。比色反応はELISAリーダ(Tecan Deutschland GmbH,Crailsheim,ドイツ)を用いて、450nmで測定した。
【0161】
(ELISPOT)
細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応を検出のために、特定刺激に対するエフェクターサイトカインIFN−γの分泌の分析は、ELISPOT技術を用いて単一細胞レベルで可視化することができる。
【0162】
抗原ワクチンを接種したマウスおよび対照マウスからの脾細胞を、最後のワクチン接種を行ってから6日後に単離し、抗IFN−γ捕獲抗体(10μg/ml)でコーティングされた96ウェルELISPOTプレートに移した。その後、細胞を、適切な抗原由来ペプチドライブラリーまたはHIV由来ライブラリーもしくはペプチドの溶媒であるDMSOの何れかによって、24時間、37°Cで刺激するか、あるいはコントロールとして純媒体でインキュベートした。ライブラリーは全て、1μg/ペプチド/mlの濃度で用いた。インキュベート期間の後、細胞をプレートから洗い落として、細胞から分泌されたIFN−γを、マウスIFN−γ(1μg/ml)に対するビオチン化二次抗体、続いてストレプトアビジン−AKPを用いて検出した。BCIP/NBT基質を用いてスポットを可視化し、自動化ELISPOTリーダ(Immunospot Analyzer,CTL Analyzers LLC)を用いて計測した。
【0163】
(統計分析)
Graph Pad Prism 5.01(GraphPad Software,Inc.)を用いて、統計分析を行った。全ての結果を平均(または中央値)±標準誤差で示した。Elispot試験では、基底の活性が個々によって大きく異なることを踏まえ、マウス毎に、中間ウェルのスポットの数を他の全ての数値から差し引くバックグラウンド補正を行った。両側マン−ホイットニー検定法を用いて、有意水準を5%でテストグループの違いを分析した。
【0164】
(結果および考察)
マウスに、それぞれ個別にカチオンペプチドプロタミンを用いて質量比4:1で製剤した、NSCLC関連抗原(配列番号4、19、21、24、および26(GCに富む配列)に対応するNY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンを用いて、ワクチン接種を行った。対照マウスは、mRNAワクチンと同じ比率でプロタミンを用いて製剤された、LacZをコードする非関連RNAで処理した。
【0165】
抗原ワクチン接種を受けたマウスおよび対照マウスから摂取した血液から単離された血清を用いて、抗原に対して特定の抗体が誘導されるかをテストした。分析した5つのタンパク質のうち、MAGE−C1、MAGE−C2、およびNY−ESO−1の3つでは、mRNAワクチンを接種したマウスの血清から抗原特異的抗体を検出し、mRNAがin
vivoにおいて機能的で免疫原性を有することを示した。抗体の検出に必要なタンパク質は、大腸菌で生成した。大腸菌でのタンパク質の生成が翻訳後修飾に影響を与えることがあり、用いられる抗原に関してこの点についてあまり記載がない。そのため、このことが残るタンパク質において反応がなかったことの原因となり得る。
【0166】
続いて、mRNAワクチンの投与に対する細胞傷害性T細胞の活性を分析した。IFN−γはTh1反応の主要な媒介物であり、活性CTLから分泌される。したがって、ワクチン接種したマウスから採取した脾細胞内における抗原特異的細胞傷害性T細胞の有無を、ELISPOT技術を用いて調べた。脾細胞の抗原性刺激として、制限ペプチドライブラリーを用いた。使用ヒト抗原における、マウスMHC(C57BL/6マウスにおけるH−2KおよびH−2D)にとって明確に識別可能なエピトープが知られていないため、SYFPEITHIデータベースを検索して、潜在的な結合親和力をもとに選択される、ペプチドの仮想選択を用いる必要があった。タンパク質の配列全体におよぶペプチドライブラリー(11のアミノ酸が部分的に一致している15mer)の中で、仮定的に最も良いエピトープを含む15merを選択し、最大で18ペプチドまで集めた。しかしながら、これらの種類は必ずしも正しいエピトープを含んでいるとは限らず、これらのツールを補助として用いた免疫反応の検出において、擬陰性の結果が容易に生じ得る。とはいうものの、NY−ESO−1および5T4に由来するこれらライブラリーのうちの2つからの刺激は、mRNAワクチン接種を受けたマウスの脾細胞においては高IFN−γ分泌を引き起こし、非関連タンパク質であるβ−ガラクトシダーゼをコードするmRNAをワクチン接種した対照マウスの脾細胞では高IFN−γ分泌を引き起こさなかった。いずれの脾細胞も、HIV由来コントロールペプチドライブラリーには反応しなかった。媒体単独でインキュベートした脾細胞によるIFN−γスポットの数は、新しく単離された細胞の基底の活性を表す。基底の活性が個々によって大きく異なることを受け、中間ウェルのスポットの数を他の全ての数値から差し引くバックグラウンド補正を個々について行った。
【0167】
これらの実験の結果を図27から図34に示す。
【図面の簡単な説明】
【0168】
図1】MUC1(HsMUC1−5×VNTR(野生型配列は通常40個のタンデムリピートであるが、クローニング上の理由により、5個のタンデムリピートまで減少。)をコードしており、GC含量:61.27%、長さ:1668bpであるRNA配列(配列番号1)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
図2】MUC1(HsMUC1 GC−5×VNTR、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:73.56%、長さ:1668bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号2)を示す図である。塩基配列(図1(配列番号1))との違いは、398/1668塩基=23.86%である。
図3】5T4(Hs5T4(栄養膜糖タンパク質TPBG)をコードしており、GC含量:61.60%、長さ:1263bpであるRNA配列(配列番号3)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
図4】5T4(Hs5T4 GC、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:70.47%、長さ:1263bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号4)を示す図であり、。塩基配列(図3(配列番号3))との違いは、247/1263塩基=19.56%である。
図5】Her−2/neu(HsHer2/neu(v−erb−b2赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ2))をコードしており、GC含量:60.78%、長さ:3768bpであるRNA配列(配列番号5)(野生型に基づいた開始配列)を示す図である。
図6】Her−2/neu(HsHer2/neu GC、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:70.54%、長さは:3768bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号6)を示す図である。塩基配列(図5(配列番号5))との違いは、772/3768塩基=20.49%である。
図7】hTERT(HsTERT(テロメラーゼ逆転写酵素)をコードしており、GC含量:66.08%、長さ:3399bpであるRNA配列(配列番号7)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
図8】hTERT(HsTERT GC、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:72.96%、長さ:3399bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号8)を示す図である。塩基配列(図7(配列番号7))との違いは、566/3399塩基=16.65%である。
図9】WT1(HsWT1(ウィルムス腫瘍1))をコードしており、GC含量:61.78%、長さ:1554bpであるRNA配列(配列番号9)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
図10図10A)は、WT1(HsWT1(ウィルムス腫瘍1))をコードしており、配列の領域325−408において野生型配列の対応する領域と比べてGC含量が減少しているRNA配列(配列番号10)を示す図であり、図10B)、C)、およびD)は、以下の対応する領域325−408との比較結果を示している:B)では、図9(配列番号9)に係る野生型配列との比較、C)では、図11(配列番号11)に係るGCが最大化された配列との比較、およびD)では、図10(配列番号10)に係るGCが低減された配列との比較を示す。なお、これらは全て異なるGCパターンを示している。
図11】WT1(HsWT1 GC、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:72.59%、長さ:1554bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号11)を示す図である。塩基配列(図9(配列番号9))との違いは、322/1554塩基=20.72%である。
図12】CEA(CEA(癌胎児性抗原)HsCEACAM5)をコードしており、GC含量:52.20%、長さ:2109bpであるRNA配列(配列番号12)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
図13】CEA(CEACAM5 GC、1.最大GC、2.コドン使用、既に配置済み)をコードしており、GC含量:66.24%、長さ:2109bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号13)を示す図である。塩基配列(図12(配列番号12)との違いは、495/2109塩基=23.47%である。
図14】MAGE−A2(HsMAGE−A2(メラノーマ抗原ファミリーA,2)HsMAGE−A2B)をコードしており、GC含量:55.87%、長さ:945bpであるRNA配列(配列番号14)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
図15】MAGE−A2(HsMAGE−A2B GC、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:68.57%、長さ:945bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号15)を示す図である。塩基配列(図14(配列番号14))との違いは、187/945塩基=19.79%である。
図16】MAGE−A3(MAGE−A3(メラノーマ抗原ファミリーA,3)MAGE−A3)をコードしており、GC含量:56.30%、長さ:945bpであるRNA配列(配列番号16)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
図17】MAGE−A3(MAGE−A3 GC、1.最大GC、2.コドン使用、GCに富んでいることは既知)をコードしており、GC含量:69.00%、長さ:945bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号17)を示す図である。塩基配列(図16(配列番号16))との違いは、190/945塩基=20.11%である。
図18】Survivin(Survivin(バキュロウイルスIAPリピート含有5、BIRC5)HsSurvivin(wt))をコードしており、GC含量:52.68%、長さ:429bpであるRNA配列(配列番号18)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
図19】Survivin(HsSurvivin(GC)、1.最大GC、2.コドン使用、GCに富んでいることは既知)をコードしており、GC含量:65.27%、長さ:429bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号19)を示す図である。塩基配列(図18(配列番号18))との違いは、72/429塩基=16.78%である。
図20】NY−ESO−1(ホモサピエンスNY−ESO−1(NY−ESO−1(wt))をコードしており、GC含量:67.4%であるRNA配列(配列番号20)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
図21】NY−ESO−1(NY−ESO−1(GC))をコードしており、GC含量79.56%、(GCに富んでいることは既知)である(GC)安定化RNA配列(配列番号21)を示す図である。wt(図20(配列番号20))との違いは、112/543塩基、20.63%である。
図22】MAGE−C1(HsMAGEC1(メラノーマ抗原ファミリーC,1)HsMAGEC1(wt))をコードしており、GC含量:51.86%、長さ:3429bpであるRNA配列(配列番号22)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
図23】MAGE−C1(HsMAGEC1(GC)、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:68.73%、長さ:3429bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号23)を示す図である。塩基配列(図22(配列番号22))との違いは、964/3429塩基=28.11%である。
図24】短縮MAGE−C1(HsMAGEC1(GC)、1.最大GC、2.コドン使用)をコードする(GC)安定化RNA配列(配列番号24)を示す図である。塩基配列(図22(配列番号22))と比較して、繰り返し領域を欠失し、始めの開始コドン(ATG)に続く図24に係る配列は、GC最大化野生型配列(図23(配列番号23))の613番目のアミノ酸から始まる。
図25】MAGE−C2(HsMAGE−C2(メラノーマ抗原ファミリーC,2)HsMAGE−C2)をコードしており、GC含量:50.81%、長さ:1122bpであるRNA配列(配列番号25)(野生型に基づく開始配列)を示す図である。
図26】MAGE−C2(HsMAGE−C2 GC、1.最大GC、2.コドン使用)をコードしており、GC含量:66.58%、長さ:1122bpである(GC)安定化RNA配列(配列番号26)を示す図である。塩基配列(図25(配列番号25))との違いは、264/1122塩基=23.53%である。
図27】質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原NY−ESO−1に特異的なIgG1抗体の有無を示す図である。
図28】質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原NY−ESO−1に特異的なIgG2a抗体の有無を示す図である。
図29】質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原MAGE−C1に特異的なIgG1抗体の有無を示す図である。
図30】質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原MAGE−C1に特異的なIgG2a抗体の有無を示す図である。
図31】質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原MAGE−C2に特異的なIgG1抗体の有無を示す図である。
図32】質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原MAGE−C2に特異的なIgG2a抗体の有無を示す図である。
図33】質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原5T4に対する抗原特異的Tリンパ球の誘発を示す図である。
図34】質量比4:1でプロタミンを用いて製剤したNSCLC関連抗原(NY−ESO−1、MAGE−C1、MAGE−C2、Survivin、および5T4)を1つコードするmRNAをそれぞれ含む5つの成分からなるmRNAワクチンをワクチン接種したマウスにおける、腫瘍抗原NY−ESO−1に対する抗原特異的Tリンパ球の誘発を示す図である。
図1
図2
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【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]