(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被試験対象(100)に対する試験信号を生成し、当該試験信号が入力された当該被試験対象からの出力信号に対して測定を実行する測定部(12)と、ネットワーク(110)を介して複数の外部制御装置(30a〜30d)とデータの送受信を行う第1通信部(16)と、前記被試験対象を接続する複数の測定ポート(11−1〜11−4)と、を備える測定装置(10)について、
前記測定装置を前記複数の外部制御装置によって遠隔制御するための制御権を管理する制御権管理部(18)を備え、
前記制御権管理部は、
前記測定ポートごとに、前記複数の外部制御装置のうちの1つに前記制御権を付与する取得管理部(18a)と、
前記測定ポートごとに、前記複数の外部制御装置のうち前記制御権が付与された外部制御装置の当該制御権を解放する解放管理部(18b)と、
前記測定ポートごとに、前記複数の外部制御装置のうち前記制御権が付与された外部制御装置の当該制御権を解放するとともに、前記複数の外部制御装置のうちの1つに前記制御権を付与する委譲管理部(18c)と、を含むことを特徴とするマルチユーザ管理装置。
前記制御権管理部は、前記複数の外部制御装置のうち前記制御権を付与した外部制御装置からのリード/ライトを許可し、前記複数の外部制御装置のうち前記制御権を付与していない外部制御装置からのリードを許可することを特徴とするマルチユーザ管理装置。
前記複数の外部制御装置のうちリード/ライトが許可された外部制御装置は、前記第2表示部に表示される前記GUIの画像データ、前記測定結果、及び前記測定情報の閲覧と、前記第2入力部による前記測定情報の設定が可能であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のマルチユーザ管理装置。
前記複数の外部制御装置のうちリードが許可された外部制御装置は、前記第2表示部に表示される前記GUIの画像データ、前記測定結果、及び前記測定情報の閲覧が可能であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のマルチユーザ管理装置。
被試験対象(100)に対する試験信号を生成し、当該試験信号が入力された当該被試験対象からの出力信号に対して測定を実行する測定部(12)と、ネットワーク(110)を介して複数の外部制御装置(30a〜30d)とデータの送受信を行う第1通信部(16)と、前記被試験対象を接続する複数の測定ポート(11−1〜11−4)と、を備える測定装置(10)について、
前記測定装置を前記複数の外部制御装置によって遠隔制御するための制御権を管理する制御権管理ステップ(S1〜S21)を含み、
前記制御権管理ステップは、
前記測定ポートごとに、前記複数の外部制御装置のうちの1つに前記制御権を付与する取得管理ステップ(S1〜S3,S10〜S12)と、
前記測定ポートごとに、前記複数の外部制御装置のうち前記制御権が付与された外部制御装置の当該制御権を解放する解放管理ステップ(S7〜S9)と、
前記測定ポートごとに、前記複数の外部制御装置のうち前記制御権が付与された外部制御装置の当該制御権を解放するとともに、前記複数の外部制御装置のうちの1つに前記制御権を付与する委譲管理ステップ(S13〜S19)と、を含むことを特徴とするマルチユーザ管理方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るマルチユーザ管理装置及び方法の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施形態としてのマルチユーザ管理装置1は、被試験対象100に対して各種測定を行う測定装置10に備えられるものである。
【0021】
測定装置10は、マルチユーザ管理装置1、測定ポート11−1〜11−4、測定部12、表示部13、表示制御部14、入力部15、通信部16(16−1〜16−4)、及び制御部17を備えている。測定装置10は、例えばインターネット、LAN、WLANなどのネットワーク110を介して、複数の外部制御装置30a〜30dと有線又は無線接続され、外部制御装置30a〜30dとの間でデータの送受信を行うことができるようになっている。
【0022】
被試験対象100は、例えばルータ、スイッチングハブ、伝送装置などのネットワーク機器、あるいは、携帯電話などの無線端末機器である。
【0023】
測定部12は、例えば少なくとも1つのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)によって信号生成部12a及び信号解析部12bを構成し、被試験対象100に対して測定を実行するようになっている。測定部12は、少なくとも1つの被試験対象100に対して、測定ポート11−1〜11−4ごとに異なる測定を並列に実行することが可能である。
【0024】
信号生成部12aは、後述する測定項目選択窓45及び測定パラメータ設定領域46で設定された測定項目及び測定パラメータに対応した試験信号としてのフレーム又はパケットを生成し、当該試験信号を測定ポート11−1〜11−4を介して被試験対象100に送信するようになっている。なお、測定部12による測定に関する測定項目及び測定パラメータを総称して「測定情報」ともいう。この測定情報は、測定ポートごとに設定することが可能である。
【0025】
信号解析部12bは、信号生成部12aから出力された出力信号(被測定信号)としてのフレーム又はパケットを測定ポート11−1〜11−4を介して被試験対象100から受信し、当該被測定信号から、後述する測定項目選択窓45で選択された測定項目に対応した受信状態情報を抽出して、それらを解析するようになっている。
【0026】
測定ポート11−1〜11−4は、被試験対象100を測定部12に接続する端子をそれぞれ有しており、イーサネット(登録商標)などのIPネットワークを通じて、測定部12と被試験対象100との間で、試験信号や被試験対象100からの被測定信号を光信号又は電気信号に変換して送受信するようになっている。
【0027】
例えば、各測定ポート11−1〜11−4には、1つずつ被試験対象100が接続されてもよい。あるいは、各測定ポート11−1〜11−4には、1つの被試験対象100が有する複数の測定端子が1つずつ接続されてもよい。
【0028】
測定部12による測定は、各測定ポート11−1〜11−4にそれぞれ対応する通信部16−1〜16−4を介して、外部制御装置30a〜30dによって遠隔制御されるようになっている。なお、
図1に示した構成はあくまで一例であり、測定ポートの個数は4つに限定されるものではなく、5以上であってもよいし、3以下であってもよい。
【0029】
表示部13は、例えばLCDやCRTなどの表示機器で構成され、表示制御部14からの制御信号に応じて各種表示内容を表示するようになっている。この表示内容には、測定部12による測定結果や、測定情報などを設定するためのソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象が含まれる。
【0030】
入力部15は、例えばテンキーや各種設定キーを備えたキーボードやマウスなどの入力装置や、表示部13の表面に設けられたタッチパネルのような入力装置や、リモートコマンド制御又はグラフィカル・ユーザ・インタフェース(Graphical User Interface:GUI)ベースのリモート制御(以下、「リモートGUI制御」ともいう)によって測定装置10の遠隔制御を行う外部制御装置30a〜30dで構成される。入力部15による入力操作は、制御部17により検知されるようになっている。表示部13の表示内容と入力部15の少なくとも一部はGUIで構成される。
【0031】
通信部16−1〜16−4は、ネットワーク110を介して測定装置10をリモート制御する複数の外部制御装置30a〜30dとの間で、GUIの画像データ(以下、「GUIデータ」ともいう)、及び、測定装置10による測定結果や測定情報のデータ(以下、「測定データ」ともいう)を含むデータや、制御信号の送受信を行うようになっている。
【0032】
通信部16−1〜16−4は、例えば、イーサネット(登録商標)、WLAN、Bluetooth(登録商標)などの有線用又は無線用の通信用インタフェースで構成され、ネットワーク110を介して後述する外部制御装置30a〜30dの通信部36と通信を行う。
【0033】
制御部17は、例えばCPU、ROM、RAMなどを含むマイクロコンピュータで構成され、測定装置10を構成する各部の駆動制御を行うようになっている。また、制御部17は、ユーザが入力部15を操作して設定する後述の測定情報に基づき、当該測定情報に対応する測定を測定部12に行わせるための制御信号を、測定部12に出力するようになっている。
【0034】
また、制御部17は、外部制御装置30a〜30dによってリモートコマンド制御又はリモートGUI制御が行われたとき、その制御内容に従って測定部12に被試験対象100に対する測定を行わせるようになっている。また、制御部17は、測定部12による測定データや、後述のマルチユーザ管理装置1による管理結果のログを保存するようになっている。
【0035】
図2に示すように、各外部制御装置30a〜30dは、例えば、外部のネットワーク110と接続可能なパーソナルコンピュータなどの端末機器であって、表示部33、表示制御部34、入力部35、通信部36、及び制御部37を有する。各外部制御装置30a〜30dの構成は同様である。また、表示部33、入力部35、通信部36、及び制御部37の基本的な構成は、測定装置10が有する表示部13、入力部15、通信部16−1〜16−4、及び制御部17と同様である。
【0036】
通信部36は、ネットワーク110を介して、測定装置10の通信部16−1〜16−4との間でGUIデータ及び測定データを含むデータを送受信するようになっている。
【0037】
表示部33は、表示制御部34からの制御信号に応じて、通信部36によって受信されたGUIデータ及び測定データを表示するようになっている。これにより、表示部33は、測定装置10の表示部13の表示内容とほぼ同様の内容を表示することが可能である。
【0038】
制御部37は、外部制御装置30a〜30dを構成する各部の駆動制御を行うようになっている。また、制御部37は、ユーザが入力部35を操作して設定する後述の測定情報に基づき、当該測定情報に対応する測定を測定装置10の測定部12に行わせるための制御信号を、測定装置10の制御部17に出力するようになっている。
【0039】
さらに、制御部37は、測定装置10に対する制御権の取得又は解放を要求するコマンドを、マルチユーザ管理装置1に出力するようになっている。
【0040】
以下、本実施形態のマルチユーザ管理装置1の構成について説明する。マルチユーザ管理装置1は、制御権管理部18及び計時部19を備える。
【0041】
制御権管理部18は、取得管理部18a、解放管理部18b、及び委譲管理部18cを含み、測定装置10を複数の外部制御装置30a〜30dによって遠隔制御するための制御権を管理するようになっている。
【0042】
取得管理部18aは、測定ポート11−1〜11−4ごとに通信部16を介して、複数の外部制御装置30a〜30dのうちの1つに制御権を付与する。解放管理部18bは、測定ポート11−1〜11−4ごとに通信部16を介して、複数の外部制御装置のうち制御権が付与された外部制御装置の当該制御権を解放する。
【0043】
委譲管理部18cは、測定ポート11−1〜11−4ごとに通信部16を介して、複数の外部制御装置のうち制御権が付与された外部制御装置の当該制御権を解放するとともに、複数の外部制御装置のうちの1つに制御権を付与する。
【0044】
さらに、取得管理部18a及び委譲管理部18cは、複数の外部制御装置のうち制御権を付与した外部制御装置からのリード/ライトを許可するようになっている。また、解放管理部18b及び委譲管理部18cは、複数の外部制御装置のうち制御権を付与していない外部制御装置からのリードを許可するようになっている。
【0045】
また、制御権管理部18は、表示制御部14を介して、測定装置10の表示部13と外部制御装置30a〜30dの表示部33に、各通信部16−1〜16−4と通信を行っている外部制御装置の識別情報(IPアドレスやユーザの名前など)と、各外部制御装置の制御権の有無を表示させるようになっている。
【0046】
さらに、制御権管理部18は、表示制御部14を介して、外部制御装置30a〜30dの表示部33に、外部制御装置30a〜30dのユーザ間で制御権の移行に関する意思を確認するためのダイアログを表示させるようになっている。
【0047】
計時部19は、複数の外部制御装置30a〜30dのうち、制御権が付与された外部制御装置の入力部35が操作されていない時間を計時するようになっている。解放管理部18bは、計時部19が所定時間以上を計時した場合には、複数の外部制御装置30a〜30dのうち制御権が付与された外部制御装置の制御権を解放する。
【0048】
以下、測定装置10及び外部制御装置30a〜30dにおける表示制御について説明する。表示制御部14は内部用表示制御部14a及び外部用表示制御部14bを有する。内部用表示制御部14aは、例えば
図3に示すようなGUIで構成される表示内容を表示部13に表示させるようになっている。
【0049】
外部用表示制御部14bは、例えば
図3に示すようなGUIで構成される表示内容を外部制御装置30a〜30dの表示部33に表示させるためのGUIデータを生成する。なお、外部用表示制御部14bは、GUIデータの解像度や画質を調整するものであってもよい。
【0050】
なお、複数の外部制御装置30a〜30dのうちリード/ライトが許可された外部制御装置は、表示部33に表示される表示内容(測定情報、GUIデータ、測定結果など)の閲覧と、入力部35による測定情報の設定を実行することができる。一方、複数の外部制御装置30a〜30dのうちリードのみが許可された外部制御装置は、測定情報の設定を行うことはできず、表示部33に表示される表示内容の閲覧のみを行うことができる。
【0051】
測定装置10の表示部13、内部用表示制御部14a、及び入力部15と、外部制御装置30a〜30dの表示部33、表示制御部34、及び入力部35の構成はほぼ同様であるため、以下では外部制御装置30a〜30dの表示部33、表示制御部34、及び入力部35の構成についてのみ詳細に説明する。
【0052】
図3に示すように、表示制御部34は、表示部33に主表示領域41aを設定し、設定した主表示領域41a内に、被試験対象100からの被測定信号に対する信号解析部12bの信号解析結果を測定結果として表示させる制御を行うようになっている。
【0053】
また、表示制御部34は、測定開始や停止を指定するための測定開始/停止ボタン42aなどの使用頻度の高い処理を実行するための操作ボタンを含む領域42を、主表示領域41a内に表示させる制御を行うようになっていてもよい。
【0054】
また、表示制御部34は、入力部35の操作により押下可能な表示切替ボタン43を表示部33の所定領域に表示させるようになっており、表示切替ボタン43の押下状態に応じて、各種表示内容の表示のオン/オフを切り替えることができるようになっている。
【0055】
例えば
図4から
図3への変化に示すように、表示制御部34は、表示切替ボタン43が押下されてオンとなったことによって、主表示領域41a内の一部に副表示領域41bを設定し、副表示領域41bに、通信規格表示窓44、測定項目選択窓45及び測定パラメータ設定領域46を表示する。
【0056】
なお、表示制御部34は、表示切替ボタン43が入力部35により押下されてオンとなったことを条件として、主表示領域41a内の副表示領域41b以外の領域41cに信号解析部12bの信号解析結果の少なくとも一部を表示させる制御を行うようになっている。
【0057】
一方、
図3から
図4への変化に示すように、表示制御部34は、表示切替ボタン43が入力部35により押下されてオフとなったことを条件として、主表示領域41a内の副表示領域41bの設定をオフとするとともに、副表示領域41bに表示されていた表示内容の表示をオフとするようになっている。
【0058】
さらに、表示制御部34は、表示切替ボタン43が入力部35により押下されてオフとなったことを条件として、副表示領域41bが設定されていた領域に、信号解析部12bの信号解析結果の少なくとも一部を表示させる制御を行うようになっている。
【0059】
通信規格表示窓44は、複数の通信規格の中からあらかじめ設定された一つ以上の通信規格を表示するようになっている。なお、これらの被測定対象の通信規格は、あらかじめ設定されるのみでなく、任意の操作で選択できるようになっていてもよい。
【0060】
本実施形態において被試験対象100は、例えば100Gイーサネット(登録商標)、40Gイーサネット(登録商標)、STM(Synchronous Transport Module)−64の各通信規格に従った通信を行うものである。
【0061】
あるいは、被試験対象100は、例えばW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)、LTE(Long Term Evolution)、CDMA2000(Code Division Multiple Access 2000)、EV−DO(Evolution Data Only)、TD−SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)の各通信規格に従った通信を行うものであってもよい。
【0062】
測定項目選択窓45は、プルダウンメニュー機能により、表1に示す複数の測定項目(Frequency、Skew、LOSなど)の中から一つの測定項目を選択可能に表示するようになっている。既に述べたように、これらの測定項目は測定ポート11−1〜11−4ごとに設定可能である。
【0063】
測定項目「Frequency」は、信号生成部12aにより出力される試験信号の周波数を測定対象の通信規格の基準周波数から所定周波数だけずらし、その周波数変化に対する被試験対象100の耐性を測定するための項目である。
【0064】
測定項目「Skew」は、信号生成部12aにより出力される試験信号のフレーム間の時間を変化させ、その時間変化に対する被試験対象100の耐性を測定するための項目である。
【0065】
測定項目「LOS」は、信号生成部12aにより生成された試験信号の被試験対象100への送信を所定時間停止させることにより、被試験対象100が所定時間試験信号を受信していない状態を反映した応答を返すか否かを測定するようになっている。
【0066】
測定パラメータ設定領域46は、測定項目選択窓45で選択された測定項目に対応した測定パラメータを設定するための領域である。この測定パラメータは、選択された測定項目に対応した試験信号を信号生成部12aに生成させるとともに、被試験対象100からの出力信号に対して、選択された測定項目に対応した解析処理を信号解析部12bに行わせるために必要なものである。
【0067】
以下、
図3に示すように、測定項目として「Frequency」が選択された場合を例に挙げて副表示領域41bの構成を説明する。
【0068】
具体的には、測定パラメータ設定領域46は、基準周波数表示窓46a、及び周波数変化量設定窓46bを有する。
【0069】
基準周波数表示窓46aは、通信規格表示窓44に表示された通信規格に対応した試験信号の基準周波数を表示するようになっている。なお、基準周波数表示窓46aは、入力部35の操作により表示値を変更することも可能となっている。
【0070】
周波数変化量設定窓46bは、試験信号の周波数について、その基準周波数からのずれの大きさを上下キーにより設定可能に表示するようになっている。
【0071】
さらに、測定パラメータ設定領域46は、測定パラメータの数値入力を行うテンキー46cと、測定パラメータの単位を変更する単位切替キー46dと、直前の数値を削除する後退キー(BS(backspace)キー)46eと、入力した数値を決定する実行キー(Enterキー)46fと、測定パラメータの数値を削除するクリアキー46gと、を有していてもよい。
【表1】
【0072】
以下、
図5,6を参照しながら、本実施形態のマルチユーザ管理装置1を用いたマルチユーザ管理方法について説明する。以下では説明を簡単にするため、2つの外部制御装置30a,30bが、1つの測定ポート11−1に関する制御権を取得、解放、又は委譲する場合の処理の一例を示す。初期状態では、外部制御装置30a,30bのいずれも測定ポート11−1に関する制御権を有していないものとする。
【0073】
図5のシーケンス図において、ステップS1〜S3,S10〜S12は制御権の取得、ステップS7〜S9は制御権の解放に関する処理を示している。なお、
図5の処理が実行される前に、測定装置10が起動しているものとする。
【0074】
まず、外部制御装置30aの制御部37は、測定ポート11−1に対応する通信部16−1を介して、制御権管理部18に測定ポート11−1に関する制御権の取得要求を送信する(ステップS1)。
【0075】
次に、制御権管理部18の取得管理部18aは、測定ポート11−1に関する制御権が既に他の外部制御装置によって取得されていない場合には、外部制御装置30aに制御権を付与する旨の取得応答を返す(ステップS2)。なお、測定ポート11−1に関する制御権が既に他の外部制御装置によって取得されている場合には、取得管理部18aは、外部制御装置30aに制御権を付与しない旨の拒否応答を返す。
【0076】
そして、外部制御装置30aの制御部37は、取得管理部18aから制御権の取得応答を受けると、測定ポート11−1に関するリード/ライトを実行することが可能になる(ステップS3)。
【0077】
次に、外部制御装置30bの制御部37が、測定ポート11−1に対応する通信部16−1を介して、制御権管理部18に測定ポート11−1に関する制御権の取得要求を送信すると(ステップS4)、制御権管理部18の取得管理部18aは、外部制御装置30bに制御権を付与しない旨の拒否応答を返す(ステップS5)。
【0078】
次に、外部制御装置30bの制御部37は、取得管理部18aから制御権の拒否応答を受けると、測定ポート11−1に関するリードを実行することが可能になる(ステップS6)。
【0079】
次に、制御権管理部18は、外部制御装置30aの入力部35が前回操作されてから所定時間が経過したか否か、すなわち計時部が所定時間以上を計時したか否かを判断する(ステップS7)。所定時間が経過していない場合には、所定時間が経過するまで待機する。所定時間が経過した場合には、ステップS8に進む。
【0080】
ステップS8において、制御権管理部18の解放管理部18bは、外部制御装置30aの制御権を解放する。これにより、外部制御装置30aは、測定ポート11−1に関するリードのみを実行することが可能になる(ステップS9)。
【0081】
次に、外部制御装置30bの制御部37は、測定ポート11−1に対応する通信部16−1を介して、制御権管理部18に測定ポート11−1に関する制御権の取得要求を送信する(ステップS10)。
【0082】
次に、制御権管理部18の取得管理部18aは、測定ポート11−1に関する制御権がいずれの外部制御装置にも取得されていないため、外部制御装置30bに制御権を付与する旨の取得応答を返す(ステップS11)。
【0083】
そして、外部制御装置30bの制御部37は、取得管理部18aから制御権の取得応答を受けると、測定ポート11−1に関するリード/ライトを実行することが可能になる(ステップS12)。
【0084】
図5のステップS4〜S6の処理では、ある測定ポートに関して既に制御権を取得している外部制御装置がある場合には、他の外部制御装置が当該測定ポートに関する制御権を取得することができないようになっている。本発明はこれに限定されず、ある測定ポートに関して既に制御権を取得している外部制御装置がある場合に、他の外部制御装置が当該測定ポートに関する制御権を強制的に取得することができるようになっていてもよい。あるいは、以下の
図6に示すように、本実施形態のマルチユーザ管理装置1を介して2つの外部制御装置の間で制御権の委譲を行ってもよい。
【0085】
図6(a)のシーケンス図において、ステップS13〜S19は制御権の委譲に関する処理を示している。以下の説明では、ステップS13以前の段階で外部制御装置30bが制御権を取得しているものとする。
【0086】
まず、外部制御装置30aの制御部37は、測定ポート11−1に対応する通信部16−1を介して、制御権管理部18に測定ポート11−1に関する制御権の取得要求を送信する(ステップS13)。
【0087】
次に、制御権管理部18は、制御権を取得している外部制御装置30bの表示部33に、外部制御装置30aのユーザが測定ポート11−1に関する制御権を要求している旨のダイアログを表示させる(ステップS14)。
【0088】
次に、外部制御装置30bのユーザが、ステップS14で表示されたダイアログにおいて、外部制御装置30aの制御権の要求を許可する旨の回答をした場合には、外部制御装置30bの制御部37は、測定ポート11−1に対応する通信部16−1を介して、制御権管理部18に測定ポート11−1に関する制御権の解放要求を送信する(ステップS15)。
【0089】
次に、解放管理部18bは、外部制御装置30bに制御権を解放する旨の解放応答を返す(ステップS16)。これにより、外部制御装置30bは、測定ポート11−1に関するリードのみを実行することが可能になる(ステップS17)。
【0090】
次に、制御権管理部18の取得管理部18aは、測定ポート11−1に関する制御権がいずれの外部制御装置にも取得されていないため、外部制御装置30aに制御権を付与する旨の取得応答を返す(ステップS18)。
【0091】
そして、外部制御装置30aの制御部37は、取得管理部18aから制御権の取得応答を受けると、測定ポート11−1に関するリード/ライトを実行することが可能になる(ステップS19)。
【0092】
一方、外部制御装置30bのユーザが、ステップS14で表示されたダイアログにおいて、外部制御装置30aの制御権の要求を拒否する旨の回答をした場合には、ステップS14以降の処理は
図6(b)に示すようになる。
【0093】
図6(b)に示すように、制御権管理部18の取得管理部18aは、外部制御装置30aに制御権を付与しない旨の拒否応答を返す(ステップS20)。これにより、外部制御装置30aは、測定ポート11−1に関するリードのみを実行することが可能になる(ステップS21)。
【0094】
また、本実施形態のマルチユーザ管理装置1によれば、
図7に示すように、測定装置10に有線又は無線接続される外部制御装置30a〜30dに加えて、更に外部制御装置30を設けて外部制御装置30a〜30dの制御権を管理する構成も可能である。
【0095】
例えば、外部制御装置30を使用している管理者としてのユーザが、外部制御装置30a〜30dの表示部33の表示内容を閲覧し、外部制御装置30a〜30dのユーザからの要求に応じて、外部制御装置30a〜30d間で制御権を動的に移行することもできる。
【0096】
例えば、
図7(a)から
図7(b)への変化に示すように、制御権を取得している外部制御装置30aのユーザが、遠隔地の外部制御装置30を使用している管理者に制御権を委譲することができる。これにより、外部制御装置30aのユーザが測定装置10を用いて測定を行っている際に、遠隔地にいる管理者が測定結果を閲覧したり、一時的にアシスタント操作を行ったりすることが可能となる。
【0097】
なお、
図7では、1つの外部制御装置30が、1つの測定装置10に接続している外部制御装置30a〜30dを監視する構成を示したが、1つ以上の外部制御装置30が、複数の測定装置10に接続している外部制御装置を監視するものであってもよい。
【0098】
以上説明したように、本実施形態のマルチユーザ管理装置1は、測定装置10の測定ポート11−1〜11−4ごとに、複数の外部制御装置30a〜30dのうちの1つに制御権を付与する取得管理部18aと、複数の外部制御装置のうち制御権が付与された外部制御装置の当該制御権を解放する解放管理部18bと、複数の外部制御装置のうち制御権が付与された外部制御装置の当該制御権を解放するとともに、複数の外部制御装置のうちの1つに制御権を付与する委譲管理部18cと、を備える。
【0099】
これにより、複数ユーザによる同時リモート制御環境において、ユーザが明示的な制御権を持って測定装置を使用することができるため、他のユーザに影響されずに測定装置の制御を行うことができる。
【0100】
また、制御権の取得、解放、委譲により、ユーザ間で制御権の動的なやり取りが可能となる。さらに、複数ユーザがそれぞれ遠隔地の外部制御装置を操作する場合であっても、円滑に制御権を移行できるので、高額なネットワーク試験装置などの測定装置を有効に使用することが可能になる。
【0101】
また、本実施形態のマルチユーザ管理装置1においては、制御権管理部18は、複数の外部制御装置30a〜30dのうち制御権を付与した外部制御装置からのリード/ライトを許可し、複数の外部制御装置30a〜30dのうち制御権を付与していない外部制御装置からのリードを許可する。
【0102】
これにより、測定ポートごとにライト可能な外部制御装置を1つに制限して、コンフリクトを回避することができる。
【0103】
また、本実施形態のマルチユーザ管理装置1においては、複数の外部制御装置30a〜30dのうち制御権が付与された外部制御装置の入力部35が操作されていない時間を計時する計時部19を更に備え、解放管理部18bは、計時部19が所定時間以上を計時した場合には、複数の外部制御装置30a〜30dのうち制御権が付与された外部制御装置の当該制御権を解放する。
【0104】
これにより、長時間使用されていない外部制御装置が制御権を独占し続けることを防止して、測定装置を有効に使用することが可能になる。
【0105】
また、本実施形態のマルチユーザ管理装置1においては、複数の外部制御装置30a〜30dのうちリード/ライトが許可された外部制御装置は、表示部33に表示されるGUIデータ及び測定データの閲覧と、入力部35による測定情報の設定が可能である。また、複数の外部制御装置30a〜30dのうちリードが許可された外部制御装置は、表示部33に表示されるGUIの画像データ及び測定データの閲覧が可能である。
【0106】
これにより、1つの測定ポートに関して、2つの外部制御装置の表示部にほぼ同様の表示内容が表示されるとともに、当該2つの外部制御装置の間で制御権を移行できるため、あるユーザが測定装置10を用いて測定を行っている際に、他のユーザが測定結果を閲覧したり、一時的にアシスタント操作を行ったりすることが可能となる。