(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域内に配設されて遊技に係わる演出画像を表示可能な演出表示装置と、電子抽選の結果を可動体の可動態様によって遊技者に示唆する可動役物装置とを備えた弾球遊技機において、
前記可動役物装置が、第1の光源を搭載した回路基板と、この回路基板に対向して配置された回転装飾体と、この回転装飾体を前記第1の光源の前方位置で回転動作させるモータと、前記回転装飾体の回転中心部分に配置された光透過性を有する意匠部と、この意匠部の後方に対向して配置された第2の光源とを備え、前記回転装飾体に凸レンズ状光透過部と平板状光透過部とを円周方向に沿って配列し、前記回転装飾体の回転時に、前記第1の光源の光が前記凸レンズ状光透過部と前記平板状光透過部とを交互に透過して前方に放射されると共に、前記第2の光源の光が前記意匠部を透過して前方に放射可能となっていることを特徴とする弾球遊技機。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機に代表される弾球遊技機の中には、遊技盤の遊技領域に演出表示装置や始動入賞口を設け、遊技領域に向けて発射された遊技球が始動入賞口に入賞したことを契機に電子抽選を行い、その抽選結果に基づいて演出表示装置が図柄の変動表示および停止表示を行うようにした機種が存在する。電子抽選の抽選結果には当たり(当選)とハズレ(非当選)があり、抽選結果が当たりの場合には、演出表示装置に所定の特別図柄の組み合わせが表示され、遊技状態が通常モードから特別遊技モードへと移行する。この特別遊技モードでは、例えばアタッカーを開放動作することによって露呈された大入賞口に遊技球が入るので、遊技者は数多くの賞球を獲得することができる。
【0003】
このような弾球遊技機において、可動態様を変化させることができる可動体を演出表示装置の周囲に配置し、電子抽選で当選していることを可動体の可動態様によって遊技者に示唆または報知するようにした可動役物装置が広く採用されている。かかる可動役物装置は、モータやソレノイド等を駆動源として種々の運動を行う可動体を備えており、従来より、モータを駆動源として回転する円盤状の可動体に光透過部と遮光部を設けると共に、この可動体の中央部に方形状の演出表示装置を組み込んで一体化し、回転中の可動体に対して背面側から発光ダイオードの光を照射することにより、光透過部を透過した発光ダイオードの光を遊技者の視界に入れて眩しさを演出するようにした可動役物装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示された弾球遊技機では、可動体の光透過部が演出表示装置の相対向する2つの長辺の外側領域に設けられており、これら光透過部には細かな溝加工等による光拡散処理が施されている。また、可動体の遮光部は演出表示装置の相対向する2つの短辺の外側領域に設けられており、可動体の円周方向に沿って2つの光透過部と2つの遮光部が交互に配列されている。一方、発光ダイオードは可動体の後方に配置した基板上に4つ実装されており、これら発光ダイオードは光透過部と遮光部の回転軌跡に沿う円周上に90度の間隔を存して配置されている。したがって、可動体の回転に伴って光透過部と遮光部が任意の発光ダイオードの前方を交互に通過することになり、発光ダイオードの光を光透過部から可動体の前方へ断続的に放射することができると共に、光透過部の光拡散効果によって可動体の広い領域を煌びやかに光らすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の弾球遊技機では、可動体の回転中に背後からの光が光透過部でデジタル的に点滅しているように見せることにより、可動体の回転に連動したライティング演出を行うようにしているが、光を点滅させるだけの単純な発光形態であるため、遊技者に強いインパクトを与えることは困難であった。また、可動体の光透過部に光拡散処理を施してライティング演出効果を高めるようにしているが、光透過部を透過する全ての光が拡散するだけであるため、この点からも遊技者に与えるインパクトは弱いものであった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、インパクトのあるライティング演出を行うことができる弾球遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域内に配設されて遊技に係わる演出画像を表示可能な演出表示装置と、電子抽選の結果を可動体の可動態様によって遊技者に示唆する可動役物装置とを備えた弾球遊技機において、前記可動役物装置が、
第1の光源を搭載した回路基板と、この回路基板に対向して配置された回転装飾体と、この回転装飾体を前記
第1の光源の前方位置で回転動作させるモータと
、前記回転装飾体の回転中心部分に配置された光透過性を有する意匠部と、この意匠部の後方に対向して配置された第2の光源とを備え、前記回転装飾体に凸レンズ状光透過部と平板状光透過部とを円周方向に沿って配列し、前記回転装飾体の回転時に、前記
第1の光源の光が前記凸レンズ状光透過部と前記平板状光透過部とを交互に透過して前方に放射される
と共に、前記第2の光源の光が前記意匠部を透過して前方に放射可能となっているという構成にした。
【0009】
このように構成された弾球遊技機では、可動役物装置の回転装飾体に凸レンズ状光透過部と平板状光透過部とが円周方向に沿って配列されて
いると共に、回転装飾体の回転中心部分に光透過性を有する意匠部が配置されており、この回転装飾体がモータを駆動源として
第1の光源の前方位置で回転すると、
第1の光源の光が凸レンズ状光透過部と平板状光透過部とを交互に透過して回転装飾体の前方へ放射され
、同時に第2の光源を点灯すると、第2の光源の光が意匠部を透過して前方に放射される。その際、
第1の光源から出射されて平板状光透過部に向かう光はそのまま前方へ放射されるが、凸レンズ状光透過部に向かう光は収束光となって前方へ放射されるため、回転中の回転装飾体から強弱に調光された光が放射されるアナログ的な発光形態となり、
照光する意匠部の周囲を回転装飾体が回転しながらアナログ的に発光するという斬新でインパクトのあるライティング演出を行うことができる。
【0010】
上記の構成において、回路基板上に複数の光源が円周方向に沿って配列されていると共に、回転装飾体に凸レンズ状光透過部と平板状光透過部とが円周方向に沿って交互に複数配列されていると、回転中の回転装飾体から強弱に調光された光を連続的に放射することができて好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の弾球遊技機では、
照光する意匠部の周囲を回転装飾体が回転しながら、この回転装飾体から強弱に調光された光が放射されるアナログ的な発光形態となるため、斬新でインパクトのあるライティング演出を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態例に係る弾球遊技機(パチンコ機)は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の内側に収容された後述する遊技盤3と、本体枠2の前面に開閉自在に取り付けられたガラス扉4と、ガラス扉4の下側で本体枠2の前面に開閉自在に取り付けられた前面ボード5と、前面ボード5の右下隅部に取り付けられた発射ハンドル6等を具備しており、前面ボード5には遊技球を収容する受皿7が設けられている。ガラス扉4の中央部には透明なガラス板8が取り付けられており、遊技盤3の前面はこのガラス板8を通して外部から目視可能となっている。また、ガラス扉4の上部にはスピーカ9が左右に1個ずつ取り付けられており、これらスピーカ9から遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。
【0014】
図2に示すように、遊技盤3は本体枠2の背面側に露出しており、この遊技盤3には、主制御処理部10、特別図柄表示制御部11、普通図柄表示制御部12、演出制御処理部13、ランプ制御処理部14、音声制御処理部15等が設けられている。その他、本体枠2の背面側には、支払制御処理部16、発射制御処理部17、賞球支払装置18等が設けられており、これらは遊技盤3を包囲する適宜位置に配置されている。
【0015】
図3に示すように、遊技盤3の前面(盤面)はガイドレール19等によって略円形状に区画され遊技領域20となっており、発射ハンドル6が遊技者によって任意角度に回転操作されると、図示せぬ発射装置が受皿7に保留された遊技球を遊技領域20に向けて連続的に打ち出すようになっている。遊技領域20の上部中央付近には中央役物ユニット21が配設されており、この中央役物ユニット21は、中央部に矩形状の開口22aを有する装飾ケース22と、装飾ケース22の上壁裏側に配設された後述する可動役物装置23とを具備している。また、中央役物ユニット21の裏面側には液晶パネル(LCD)からなる演出表示装置24が配設されており、この演出表示装置24の表示画面24aは装飾ケース22の開口22aから露出している。
【0016】
装飾ケース22の真下の遊技領域20には上面に入賞孔を有する単純構造の第1始動入賞口25が配設されており、装飾ケース22の右側の遊技領域20には可動片を有する電動チューリップ構造の第2始動入賞口26が配設されている。そして、第1始動入賞口25または第2始動入賞口26に遊技球が入賞すると、それを契機として特別図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果に基づいて演出表示装置24の表示画面24a上で演出用図柄の変動表示および停止表示が行われる。また、第2始動入賞口26の上方の遊技領域20には通過チャッカー27が配設されており、遊技球がこの通過チャッカー27を通過すると、それを契機として普通図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に第2始動入賞口26の可動片を一時的に駆動して遊技球の入賞を許可するようになっている。
【0017】
さらに、第1始動入賞口25の右側方の遊技領域20にはアタッカー28が配設されており、このアタッカー28によって内部の大入賞口(図示せず)が覆われている。アタッカー28は、第1始動入賞口25または第2始動入賞口26に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、当たりとなって大当たり遊技状態(特別遊技モード)へ移行した場合に作動される装置である。具体的には、特別図柄の抽選結果が大当たりの場合、演出表示装置24の表示画面24a上に演出用図柄の変動表示を例えば「777」のように特定図柄で停止させると共に、アタッカー28の開閉扉が複数回繰り返し開放動作して大入賞口を露呈させる。アタッカー28は1回の開放動作について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入賞するまで開放状態を維持し、かかる開放動作を例えば15回繰り返した後に大当たりが終了する。その他、遊技領域20内には、遊技球の流下経路を担う遊技釘29と風車30や、遊技球の払い出しのみを行う複数の一般入賞口31等が配設されており、いずれの始動入賞口25,26や一般入賞口31にも入賞しなかった遊技球は、遊技領域20の最下端部に設けられたアウト口32から遊技盤19の裏面側に排出されるようになっている。
【0018】
可動役物装置23は前述した特別図柄に係る電子抽選の結果を可動体(役物)の可動態様によって遊技者に示唆することができる装置であり、前述したように、可動役物装置23は装飾ケース22の上壁裏側に配設されている。
図4〜
図7に示すように、この可動役物装置23は、装飾ケース22の内部にねじ止め等によって固定された横長形状のベース体33と、ベース体33の前面の左右両側に配置された一対の駆動ギア34と、両駆動ギア34を個別に回転駆動する一対のモータ35と、両駆動ギア34の内側に配置された左右一対の回転板36と、両回転板36の間に配置された可動体37と、両回転板36と可動体37とを連結する左右一対のアーム38とによって主に構成されている。
【0019】
ベース体33の前面には左右一対のストッパ突起39が突出形成されると共に、各ストッパ突起39の斜め上方位置に円筒状のボス33aがそれぞれ突出形成されている。左右のモータ35はベース体33の裏面側に取り付けられており、左右の駆動ギア34はベース体33の前方へ突出するモータ35の出力軸にそれぞれ固着されている。左右の回転板36はベース体33のボス33aに圧入された軸40に回転可能に支持されており、これら回転板36は対応する駆動ギア34の外周面に噛合している。これにより、左右のモータ35の回転がそれぞれ駆動ギア34を介して回転板36に伝達されるため、回転板36はモータ35を駆動源として正逆両方向へ回転可能となっている。左右の回転板36にはそれぞれ長孔41が形成されており、この長孔41の長軸方向は回転板36の回転中心O(軸40)を外れた直線上に設定されている。すなわち、長孔41は回転板36の外周縁寄りを外側端部として内方へ延びているが、その長軸を通る直線に対して回転板36の回転中心Oは大きくずれている。なお、一方のストッパ突起39は左側の回転板36の回転中心Oに対して斜め右下位置に設けられ、他方のストッパ突起39は右側の回転板36の回転中心Oに対して斜め左下位置に設けられており、これらストッパ突起39は対応する回転板36の裏面側に対向している。また、
図5に示すように、ベース体33の前面にはフォトインタラプタからなる一対の検知センサ42が取り付けられており、回転板36の裏面に設けた図示せぬ遮光板が検知センサ42の光路を横切ることにより、左右の回転板36の原点位置を検出できるようになっている。
【0020】
左右のアーム38の一端側には鉤形状の逃げ部38aが形成されており、これら逃げ部38aの先端部には駆動ピン43が固着されている。一方のアーム38の駆動ピン43は左側の回転板36の長孔41内に摺動可能に挿入され、他方のアーム38の駆動ピン43は右側の回転板36の長孔41内に摺動可能に挿入されている。これにより、左右の回転板36の回転運動が長孔41に係合する駆動ピン43を介して左右のアーム38に伝達されるため、両アーム38の交叉角度は回転板36の回転角度に応じて変化する。
図5に示すように、左右のアーム38の他端側は連結部38bとなっており、これら連結部38bは支軸44を介して可動体37の背面側の支持ベース45に回転可能に連結されている。この可動体37の具体的構成については後ほど詳細に説明するが、左右の支軸44には歯車46がそれぞれ取り付けられており、これら歯車46は支持ベース45に軸支された2つの中継歯車47を介して常時噛合した状態となっている。
【0021】
図4と
図5は可動体37が最も上側の初期位置に保持されている状態を示しており、この初期位置において、左右両アーム38は可動体37を介してほぼ一直線の水平姿勢となっている。そして、モータ35を駆動源として両回転板36を一方向へ回転駆動することにより、左右のアーム38の交叉角度が次第にV字状に狭まっていくため、それに伴って両アーム38の連結部38bに連結された可動体37が
図7に示す最下位置(動作位置)まで下降する。また、可動体37が動作位置にあるときに両回転板36を他方向へ回転駆動すると、アーム38の交叉角度がV字姿勢から次第に水平姿勢に拡がっていくため、それに伴って可動体37は初期位置まで上昇する。すなわち、左右のモータ35から可動体37に至るまでの動力伝達系、具体的には、モータ35と駆動ギア34と回転板36とアーム38とによって、可動体37を昇降動作させる駆動機構が構成されている。
【0022】
次に、
図8〜
図10を参照して可動体37の構成を説明すると、この可動体37は、前述した円板状の支持ベース45と、支持ベース45の裏面に取り付けられたモータ48と、支持ベース45の前面に取り付けられたリング状の第1回路基板49と、モータ48を駆動源として回転するリング状の回転装飾体50と、支持ベース45に固定されて回転装飾体50の中央部を覆う意匠部材51と、意匠部材51の背面側に配置された第2回路基板52と、これら意匠部材51と第2回路基板52の間に配置された導光体53とによって主に構成されている。
【0023】
支持ベース45の前面には円環状のガイド突起45aが形成されており、この支持ベース45の裏面にモータ48が取り付けられている。モータ48の出力軸48aは支持ベース45の前方へ突出しており、この出力軸48aに駆動ギア54が固着されている。第1回路基板49はガイド突起45aより外側の支持ベース45に取り付けられており、この第1回路基板49上には
第1の光源として複数のLED55が円周方向に所定間隔を存して配列されている。
【0024】
回転装飾体50は、複数の孔部56aを有するリング状の前段装飾体56と、同じく複数の孔部57aを有するリング状の後段装飾体57と、これら前段装飾体56と後段装飾体57の各孔部56a,57aに嵌め込まれた複数の凸レンズ58とによって構成されている。前段装飾体56と後段装飾体57はいずれも光透過性合成樹脂からなり、両者56,57は接着や熱融着などの固定手段を用いて一体化されている。後段装飾体57の中央部には内歯車59aを有する環状体59が固定されており、前述した駆動ギア54はこの内歯車59aに噛合している。これにより、モータ48の回転が駆動ギア54から環状体59を介して後段装飾体57に伝達されるため、回転装飾体50(前段装飾体56と後段装飾体57および凸レンズ58)はモータ48を駆動源として回転することができる。
【0025】
凸レンズ58はガラスや光透過性合成樹脂からなる光学部品であり、回転装飾体50における凸レンズ58が配置された部分は凸レンズ状光透過部50aとなっている(
図4参照)。また、前段装飾体56と後段装飾体57の各孔部56a,57a以外の箇所はレンズ加工されておらず、回転装飾体50における凸レンズ状光透過部50aを除く部分は平板状光透過部50bとなっている。すなわち、回転装飾体50は第1回路基板49の前方を覆うように回転可能に配置されており、この回転装飾体50に凸レンズ状光透過部50a(凸レンズ58)と平板状光透過部50bとが円周方向に沿って交互に配列されている。したがって、第1回路基板49上に実装されたLED55の光が回転装飾体50を透過して前方へ放射される際、平板状光透過部50bに向かう光はそのまま前方へ放射されるが、凸レンズ状光透過部50aに向かう光は収束光となって前方へ放射されることになる。
【0026】
意匠部材51は、回転装飾体50の中央部の開口よりも若干大きめな円形状の前面板60と、前面板60の周縁から外側へ突出するリング状の外周板61とからなり、これら前面板60と外周板61はネジ止めなどを用いて一体化されている。前面板60の裏面には複数本の長寸の取付脚60aが設けられており、各取付脚60aを回転装飾体50や環状体59の中央部開口を挿通して支持ベース45にネジ止めすることにより、意匠部材51は支持ベース45に固定されている。外周板61の裏面には円環状のガイド突起61aが形成されており、環状体59の前後方向の両端部を外周板61のガイド突起61aと支持ベース45のガイド突起45aに係合することにより、回転装飾体50は意匠部材51と支持ベース45との間に回転可能に支持されている。また、前面板60の裏面には複数本の短寸の支持脚60bが設けられており、これら支持脚60bに円形状の第2回路基板52が取り付けられている。この第2回路基板52上には
第2の光源として複数のLED62が実装されており、これらLED62の光は前面板60と第2回路基板52の間に配置された導光体53を介して意匠部材51の前方へ放射されるようになっている。
【0027】
このように構成された弾球遊技機において、通常、可動役物装置23の可動体37は演出表示装置24の上方の初期位置に保持されて非動作状態となっており、
図3に示すように、可動体37は装飾ケース22の上壁裏側に隠れて演出表示装置24の表示画面24aには出現していない。ここで、まず、
図4〜
図7を参照して可動体37の昇降動作について説明すると、
図4と
図5に示すように、かかる初期位置で左右両アーム38の先端部近傍はそれぞれストッパ突起39の上面に当接しており、また、左右の回転板36に形成された長孔41はいずれも回転板36の回転中心O(軸40)を介して可動体37の反対側位置にあると共に、両アーム38の先端部に設けられた駆動ピン43は連結部38b(支軸44)と回転板36の回転中心Oとを結ぶ直線L(
図5参照)よりも下方位置で長孔41の内側端部に係合している。したがって、両アーム38の連結部38bに連結された可動体37の自重はストッパ突起39によって受け止められ、凸レンズ58群を含む回転装飾体50やその駆動源であるモータ48等を搭載して重量が大きい可動体37であるにも拘わらず、この可動体37を演出表示装置24の上方の初期位置に確実に停止させておくことができる。なお、このように可動体37が初期位置に保持されているとき、ベース体33から突出するボス33aは両アーム38の先端側に形成された鉤形状の逃げ部38a内に位置しており、この逃げ部38aによって回転板36の軸受部であるボス33aと駆動ピン43を有するアーム38の先端部との当接が回避されている。
【0028】
この状態で左右のモータ35を始動して右側の回転板36を
図4の反時計方向に回転駆動すると共に、左側の回転板36を
図4の時計方向に回転駆動すると、両回転板36の回転運動が長孔41に係合する駆動ピン43を介して左右の両アーム38に伝達され、これら両アーム38が互いの交叉角度を次第に狭めるように可動体37と共に下方へ移動するため、初期位置に保持されていた可動体37が
図4から
図6の途中状態を経て
図7に示す動作位置まで下降する。その際、長孔41の姿勢(長軸の向き)は回転板36の回転角度に応じて変化し、左右の回転板36が
図4から
図7に示す角度まで回転する間に、長孔41は傾斜姿勢から鉛直姿勢(
図6参照)になった後、逆向きに傾斜しながら水平姿勢を経て傾斜姿勢(
図7参照)となり、それに伴って駆動ピン43が長孔41内を内側端部から外側端部に向かって移動する。そして、可動体37が
図7に示す動作位置まで下降した時点でモータ35を停止すると、
図11に示すように、左右のアーム38に吊り下げられた可動体37が装飾ケース22の上壁から落下して表示画面24aの前方に出現する。このとき、両アーム38の上端部(駆動ピン43の周囲)をストッパ突起39に当接させることで可動体37のそれ以上の落下が阻止され、可動体37は
図7に示す動作位置に安定的に保持される。
【0029】
また、
図7や
図11に示すように、可動役物装置23の可動体37が表示画面24aの前方の動作位置に落下している状態で左右のモータ35を逆転すると、可動役物装置23が上記と逆向きに動作して可動体37は再び初期位置に戻って
図3に示すように装飾ケース22の上壁裏側に隠れる。具体的には、右側の回転板36を
図7の時計方向に回転駆動すると共に、左側の回転板36を
図7の反時計方向に回転駆動すると、まず、外側端部を下に傾斜していた長孔41の姿勢が鉛直状態に次第に近付いていき、この間、両アーム38はそれぞれの駆動ピン43を長孔41の外側端部に係合させたまま回転板36の回転方向へ移動するため、両アーム38はストッパ突起39との当接を回避しながらその上方空間を移動する。そして、長孔41が鉛直姿勢になる角度まで回転板36を回転駆動すると、
図6に示すように、それまで外側端部に係合していた駆動ピン43が長孔41内を落下して内側端部へと向かうため、両アーム38がストッパ突起39に急接近する。さらに、回転板36を回転駆動して長孔41の内側端部が前記直線L(
図5参照)を越えた時点でモータ35を停止すると、
図4に示すように、両アーム38の先端部近傍がストッパ突起39の上面に当接した状態となり、可動体37は演出表示装置24の上方の初期位置に安定的に保持される。
【0030】
なお、可動体37が表示画面24aの前方を昇降動作するとき、左右のアーム38は互いの交叉角度を変えながら可動体37と共に上下動するが、可動体37に連結された両アーム38の連結部38bどうしが歯車46と中継歯車47を介して常時噛合しているため、昇降途中の可動体37が不所望に傾いたりふらつくことはなく、可動体37をガタのない安定した姿勢で昇降動作させることができる。
【0031】
次に、
図8〜
図10を参照して可動体37の発光動作について説明すると、
図11に示すように、可動役物装置23の可動体37が表示画面24aの前方に出現しているときに、第1回路基板49上の各LED55を点灯した状態で回転装飾体50を回転駆動すると、回転中の回転装飾体50から強弱に調光された光を放射することができる。すなわち、モータ48を始動して回転装飾体50を第1回路基板49の前方で回転駆動すると、第1回路基板49上に実装されたLED55の光が回転する回転装飾体50の凸レンズ状光透過部50a(凸レンズ58)と平板状光透過部50bとを交互に透過して前方へ放射される。その際、LED55から出射して平板状光透過部50bに向かう光はそのまま前方へ放射されるが、凸レンズ状光透過部50aに向かう光は収束光となって前方へ放射されるため、回転中の回転装飾体50から強弱に調光された光が放射されるアナログ的な発光形態となり、斬新でインパクトのあるライティング演出を行うことができる。
【0032】
また、第2回路基板52上に実装された各LED62を点灯動作すると、これらLED62の光が意匠部材51の前面板60と外周板61を透過して前方へ放射されるため、回転装飾体50の中央部に配置された意匠部材51を照光することができる。特に、第1回路基板49上のLED55と第2回路基板52上のLED62とを同時に点灯動作すると、照光する意匠部材51の周囲を回転装飾体50が回転しながら発光するという極めてインパクトのあるライティング演出を行うことができる。
【0033】
以上説明したように本実施形態例に係る弾球遊技機(パチンコ機)では、可動役物装置23に備えられる可動体37の回転装飾体50に凸レンズ状光透過部50a(凸レンズ58)と平板状光透過部50bとが円周方向に沿って交互に配列されており、この回転装飾体50がモータ48を駆動源として第1回路基板49上のLED55の前方位置で回転することにより、LED55の光が凸レンズ状光透過部50aと平板状光透過部50bとを交互に透過して回転装飾体50の前方へ放射されるが、その際、LED55から出射されて平板状光透過部50bに向かう光はそのまま前方へ放射されるが、凸レンズ状光透過部50aに向かう光は収束光となって前方へ放射されるため、回転中の回転装飾体50から強弱に調光された光が放射されるアナログ的な発光形態となり、斬新でインパクトのあるライティング演出を行うことができる。そして、かかる回転装飾体50の動作と演出表示装置24の表示画面24a上における変動表示とに関連性を持たせ、例えば、リーチや擬似連等の変動表示に合わせて回転装飾体50を動作させて大当たりとなる期待度が高くなるように設定すれば、インパクトのあるライティング演出と相俟って遊技者の遊技機への印象を強くすることができ、興趣性を高めることができる。
【0034】
また、回転装飾体50が中央部に開口を有するリング状に形成されていると共に、第1回路基板49を支持する支持ベース45に回転装飾体50の開口を覆う意匠部材51が固定されており、この意匠部材51と支持ベース45とによって回転装飾体50が回転可能に支持されているため、リング状の回転装飾体50が意匠部材51の周囲を回転しながら発光するというライティング演出を実現できると共に、意匠部材51を回転装飾体50の回転用ガイド部材として機能させることができる。
【0035】
さらに、可動体37の支持ベース45にアーム38が連結されており、このアーム38の回動によって回転装飾体50が演出表示装置24の上方から前方に落下するようになっているため、回転装飾体50を演出表示装置24の落下位置(動作位置)で回転発光させたり、上方位置(初期位置)と落下位置の途中で回転発光させるなど、回転装飾体50の昇降位置とライティング演出を組み合わせたインパクトの強い演出効果を発揮することができる。なお、可動体37が初期位置で装飾ケース22の上壁裏側に隠れている場合でも回転装飾体50は回転発光できるようになっており、かかる初期位置で回転装飾体50が回転発光している様子は装飾ケース22の意匠構造物を通して認識できるようになっている。また、上記した回転装飾体50の発光回転による演出動作の他に、回転装飾体50が発光回転を伴わずに動作位置に出入するだけの演出動作や、回転装飾体50が動作位置で発光しないで回転するだけの演出動作も行うようにし、これら各動作態様との間で大当たりとなる期待度に変化を持たせるようにすると、興趣性をより一層高めることができる。この場合、回転装飾体50を動作位置で発光回転させる動作形態が最も期待度の高いものであるとすれば、回転装飾体50が動作位置で発光回転した時点で、遊技者は大当たりになった可能性が高いと認識することができる。
【0036】
なお、上記実施形態例では、前段装飾体56と後段装飾体57および各凸レンズ58によって回転装飾体50を構成した場合について説明したが、前段装飾体56と後段装飾体57を一体成形品にしても良く、前段装飾体56と後段装飾体57および凸レンズ58を含む全ての部品を2色成形等によって一体成形することも可能である。