特許第6031172号(P6031172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6031172生体照合システム、生体照合方法、生体照合装置及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6031172
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】生体照合システム、生体照合方法、生体照合装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/32 20130101AFI20161114BHJP
   G06T 7/00 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   G06F21/32
   G06T7/00 510B
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-184486(P2015-184486)
(22)【出願日】2015年9月17日
【審査請求日】2015年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】唐戸 真耶
(72)【発明者】
【氏名】福泉 武史
(72)【発明者】
【氏名】平田 謙司
【審査官】 戸島 弘詩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−108112(JP,A)
【文献】 特開2012−088835(JP,A)
【文献】 特開2007−233609(JP,A)
【文献】 特開2014−232390(JP,A)
【文献】 特開2008−158678(JP,A)
【文献】 特開2007−206942(JP,A)
【文献】 特開2005−208880(JP,A)
【文献】 特開2003−281099(JP,A)
【文献】 特開2012−133603(JP,A)
【文献】 特開2012−027657(JP,A)
【文献】 特開2008−071366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F21/30
H04L9/32
G06T7/00
E05B1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の携帯端末と、生体照合装置とを有する生体照合システムであって、
前記複数の携帯端末のそれぞれは、各携帯端末の識別情報及び位置情報を含む位置信号又は各携帯端末の識別情報を含む無線信号を前記生体照合装置に送信する送信部を有し、
前記生体照合装置は、
前記複数の携帯端末毎に、各携帯端末の利用者の登録生体情報を各携帯端末の識別情報と関連付けて記憶する記憶部と、
人物を検出する人物検出部と、
特定の利用者の入力生体情報を取得する取得部と、
前記複数の携帯端末のそれぞれから前記位置信号又は無線信号を受信する受信部と、
前記受信した位置信号又は無線信号に基づいて、前記生体照合装置から所定範囲内にある二以上の携帯端末を検出し、前記記憶部に記憶された登録生体情報の中から、前記検出した携帯端末の識別情報にそれぞれ関連付けられた二以上の登録生体情報を抽出する抽出部と、
前記人物検出部が人物を検出したときに、前記所定範囲内に携帯端末が存在する場合は前記入力生体情報を前記抽出した登録生体情報のそれぞれと照合する第1モードで動作し、前記所定範囲内に携帯端末が存在しない場合は前記入力生体情報を前記記憶部に記憶された全ての登録生体情報のそれぞれと照合する第2モードで動作する照合部と、を有し、
前記照合部は、前記第2モードで動作中に、前記抽出部が前記所定範囲内にある携帯端末を検出した場合、前記第1モードと前記第2モードの両方で並列して動作する、
とを特徴とする生体照合システム。
【請求項2】
前記生体照合装置は、前記受信した位置信号又は無線信号に基づいて、各携帯端末と前記生体照合装置の間の距離を検出する距離検出部をさらに有し、
前記抽出部は、前記検出した距離に基づいて、前記二以上の携帯端末を検出する、請求項1に記載の生体照合システム。
【請求項3】
前記照合部は、前記生体照合装置との間の距離が短い携帯端末の識別情報に関連付けられた登録生体情報から順に、前記入力生体情報と照合する、請求項2に記載の生体照合システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記複数の携帯端末毎に、各携帯端末の利用者の属性を各携帯端末の識別情報と関連付けてさらに記憶し、
前記照合部は、前記属性に基づいて定められた順に、前記入力生体情報を前記抽出した登録生体情報のそれぞれと照合する、請求項1または2に記載の生体照合システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、携帯電話であり、
前記携帯端末の識別情報は、電話番号であり、
前記携帯端末は、各携帯端末の利用者の生体情報を前記生体照合装置に登録する際に、各携帯端末の識別情報及び各携帯端末の利用者の生体情報を含む登録要求信号を前記生体照合装置に送信する登録要求部をさらに有し、
前記生体照合装置は、前記複数の携帯端末のそれぞれから前記登録要求信号を受信した場合、前記登録要求信号に含まれる生体情報を前記登録生体情報として、前記登録要求信号に含まれる識別情報と関連付けて前記記憶部に記憶する登録部をさらに有する、請求項1〜4の何れか一項に記載の生体照合システム。
【請求項6】
複数の携帯端末と、記憶部を有する生体照合装置とを有する生体照合システムにおける生体照合方法であって、
前記複数の携帯端末のそれぞれが、各携帯端末の識別情報及び位置情報を含む位置信号又は各携帯端末の識別情報を含む無線信号を前記生体照合装置に送信し、
前記生体照合装置が、
前記複数の携帯端末毎に、各携帯端末の利用者の登録生体情報を各携帯端末の識別情報と関連付けて前記記憶部に記憶し、
人物を検出し、
特定の利用者の入力生体情報を取得し、
前記複数の携帯端末のそれぞれから前記位置信号又は無線信号を受信し、
前記受信した位置信号又は無線信号に基づいて、前記生体照合装置から所定範囲内にある二以上の携帯端末を検出し、前記記憶部に記憶された登録生体情報の中から、前記検出した携帯端末の識別情報にそれぞれ関連付けられた二以上の登録生体情報を抽出し、
人物を検出したときに、前記所定範囲内に携帯端末が存在する場合は前記入力生体情報を前記抽出した登録生体情報のそれぞれと照合する第1モードで動作し、前記所定範囲内に携帯端末が存在しない場合は前記入力生体情報を前記記憶部に記憶された全ての登録生体情報のそれぞれと照合する第2モードで動作し
前記第2モードで動作中に、前記所定範囲内にある携帯端末を検出した場合、前記第1モードと前記第2モードの両方で並列して動作する、
ことを含むことを特徴とする生体照合方法。
【請求項7】
複数の携帯端末と通信する生体照合装置であって、
前記複数の携帯端末毎に、各携帯端末の利用者の登録生体情報を各携帯端末の識別情報と関連付けて記憶する記憶部と、
人物を検出する人物検出部と、
特定の利用者の入力生体情報を取得する取得部と、
前記複数の携帯端末のそれぞれから各携帯端末の識別情報及び位置情報を含む位置信号又は各携帯端末の識別情報を含む無線信号を受信する受信部と、
前記受信した位置信号又は無線信号に基づいて、前記生体照合装置から所定範囲内にある二以上の携帯端末を検出し、前記記憶部に記憶された登録生体情報の中から、前記検出した携帯端末の識別情報にそれぞれ関連付けられた二以上の登録生体情報を抽出する抽出部と、
前記人物検出部が人物を検出したときに、前記所定範囲内に携帯端末が存在する場合は前記入力生体情報を前記抽出した登録生体情報のそれぞれと照合する第1モードで動作し、前記所定範囲内に携帯端末が存在しない場合は前記入力生体情報を前記記憶部に記憶された全ての登録生体情報のそれぞれと照合する第2モードで動作する照合部と、を有し、
前記照合部は、前記第2モードで動作中に、前記抽出部が前記所定範囲内にある携帯端末を検出した場合、前記第1モードと前記第2モードの両方で並列して動作する、
とを特徴とする生体照合装置。
【請求項8】
複数の携帯端末と通信し且つ記憶部を有する生体照合装置の制御プログラムであって、
前記複数の携帯端末毎に、各携帯端末の利用者の登録生体情報を各携帯端末の識別情報と関連付けて前記記憶部に記憶し、
人物を検出し、
特定の利用者の入力生体情報を取得し、
前記複数の携帯端末のそれぞれから各携帯端末の識別情報及び位置情報を含む位置信号又は各携帯端末の識別情報を含む無線信号を受信し、
前記受信した位置信号又は無線信号に基づいて、前記生体照合装置から所定範囲内にある二以上の携帯端末を検出し、前記記憶部に記憶された登録生体情報の中から、前記検出した携帯端末の識別情報にそれぞれ関連付けられた二以上の登録生体情報を抽出し、
人物を検出したときに、前記所定範囲内に携帯端末が存在する場合は前記入力生体情報を前記抽出した登録生体情報のそれぞれと照合する第1モードで動作し、前記所定範囲内に携帯端末が存在しない場合は前記入力生体情報を前記記憶部に記憶された全ての登録生体情報のそれぞれと照合する第2モードで動作し
前記第2モードで動作中に、前記所定範囲内にある携帯端末を検出した場合、前記第1モードと前記第2モードの両方で並列して動作する、
ことを前記生体照合装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報の照合を行う生体照合システム、生体照合方法、生体照合装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用者の顔、虹彩、指紋、静脈、声紋等を表す生体情報を、予め登録された生体情報と照合することにより、利用者の認証を行う生体照合システムが利用されている。
【0003】
特許文献1には、利用者の顔画像を撮影し、撮影した顔画像と予め照合用辞書に記憶されている顔画像との照合処理を行う顔画像照合装置が開示されている。この顔画像照合装置は、キーボード等の操作部により入力されたIDコードに対応した辞書内の顔画像との照合を行う1対1の照合モード、又は、辞書内の全ての顔画像との照合を行う1対Nの照合モードで顔画像の照合処理を行う。
【0004】
特許文献2には、被験者の顔画像を撮影し、撮影した顔画像と被験者の顔画像が蓄積されるデータベースから抽出された顔画像との類似度を計算する顔画像検索システムが開示されている。この顔画像検索システムは、被験者が所持する磁気カード、ICカード、無線タグ等の記憶媒体に付与され、記憶されているカードIDをカードリーダにより読み取り、読み取ったカードIDをキーとしてデータベースを検索し、当該カードIDに関連付けられた顔画像を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−71366号公報
【特許文献2】特開2013−61875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、生体情報の照合には一定の時間が必要であるため、引用文献1に記載された1対Nの照合モードで照合処理を行う場合、登録されている画像が多いときには、照合時間が非常に長くなる可能性がある。一方、引用文献1に記載された1対1の照合モードで照合処理を行う場合、利用者にキーボード等の操作部を用いてIDコードを入力させる必要があるため、利用者の利便性が低下する。
【0007】
また、引用文献2の顔画像検索システムにおいても、被験者は、磁気カード等を取り出してカードリーダにかざす必要がある。無線タグを使用する場合、被験者は、無線タグを取り出してカードリーダにかざす必要はないが、被験者の近辺に他の無線タグを有する人物がいるときに、顔画像検索システムは、データベースから被験者以外の人物の顔画像を取得してしまい、照合に失敗する可能性がある。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決すべくなされたものであり、利用者の利便性を向上しつつ、生体情報の照合を適切に行うことを可能とする生体照合システム、生体照合方法、生体照合装置及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る生体照合システムは、複数の携帯端末と、生体照合装置とを有する生体照合システムであって、複数の携帯端末のそれぞれは、各携帯端末の識別情報及び位置情報を含む位置信号又は各携帯端末の識別情報を含む無線信号を生体照合装置に送信する送信部を有し、生体照合装置は、複数の携帯端末毎に、各携帯端末の利用者の登録生体情報を各携帯端末の識別情報と関連付けて記憶する記憶部と、特定の利用者の入力生体情報を取得する取得部と、複数の携帯端末のそれぞれから位置信号又は無線信号を受信する受信部と、受信した位置信号又は無線信号に基づいて、生体照合装置から所定範囲内にある二以上の携帯端末を検出し、記憶部に記憶された登録生体情報の中から、検出した携帯端末の識別情報にそれぞれ関連付けられた二以上の登録生体情報を抽出する抽出部と、入力生体情報を抽出した登録生体情報のそれぞれと照合する照合部と、を有する。
【0010】
また、本発明に係る生体照合システムにおいて、生体照合装置は、受信した位置信号又は無線信号に基づいて、各携帯端末と生体照合装置の間の距離を検出する距離検出部をさらに有し、抽出部は、検出した距離に基づいて、二以上の携帯端末を検出することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る生体照合システムにおいて、照合部は、生体照合装置との間の距離が短い携帯端末の識別情報に関連付けられた登録生体情報から順に、入力生体情報と照合することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る生体照合システムにおいて、記憶部は、複数の携帯端末毎に、各携帯端末の利用者の属性を各携帯端末の識別情報と関連付けてさらに記憶し、照合部は、属性に基づいて定められた順に、入力生体情報を抽出した登録生体情報のそれぞれと照合することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る生体照合システムにおいて、携帯端末は、携帯電話であり、携帯端末の識別情報は、電話番号であり、携帯端末は、各携帯端末の利用者の生体情報を生体照合装置に登録する際に、各携帯端末の識別情報及び各携帯端末の利用者の生体情報を含む登録要求信号を生体照合装置に送信する登録要求部をさらに有し、生体照合装置は、複数の携帯端末のそれぞれから登録要求信号を受信した場合、登録要求信号に含まれる生体情報を登録生体情報として、登録要求信号に含まれる識別情報と関連付けて記憶部に記憶する登録部をさらに有することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る生体照合システムにおいて、生体照合装置は、人物を検出する人物検出部をさらに有し、照合部は、人物検出部が人物を検出したときに、所定範囲内に携帯端末が存在する場合は入力生体情報を抽出した登録生体情報のそれぞれと照合する第1モードで動作し、所定範囲内に携帯端末が存在しない場合は入力生体情報を記憶部に記憶された全ての登録生体情報のそれぞれと照合する第2モードで動作することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る生体照合システムにおいて、照合部は、第2モードで動作中に、抽出部が所定範囲内にある携帯端末を検出した場合、第1モードと第2モードの両方で並列して動作することが好ましい。
【0016】
本発明に係る端末の生体照合方法は、複数の携帯端末と、記憶部を有する生体照合装置とを有する生体照合システムにおける生体照合方法であって、複数の携帯端末のそれぞれが、各携帯端末の識別情報及び位置情報を含む位置信号又は各携帯端末の識別情報を含む無線信号を生体照合装置に送信し、生体照合装置が、複数の携帯端末毎に、各携帯端末の利用者の登録生体情報を各携帯端末の識別情報と関連付けて記憶部に記憶し、特定の利用者の入力生体情報を取得し、複数の携帯端末のそれぞれから位置信号又は無線信号を受信し、受信した位置信号又は無線信号に基づいて、生体照合装置から所定範囲内にある二以上の携帯端末を検出し、記憶部に記憶された登録生体情報の中から、検出した携帯端末の識別情報にそれぞれ関連付けられた二以上の登録生体情報を抽出し、入力生体情報を抽出した登録生体情報のそれぞれと照合することを含む。
【0017】
本発明に係る端末の生体照合装置は、複数の携帯端末と通信する生体照合装置であって、複数の携帯端末毎に、各携帯端末の利用者の登録生体情報を各携帯端末の識別情報と関連付けて記憶する記憶部と、特定の利用者の入力生体情報を取得する取得部と、複数の携帯端末のそれぞれから各携帯端末の識別情報及び位置情報を含む位置信号又は各携帯端末の識別情報を含む無線信号を受信する受信部と、受信した位置信号又は無線信号に基づいて、生体照合装置から所定範囲内にある二以上の携帯端末を検出し、記憶部に記憶された登録生体情報の中から、検出した携帯端末の識別情報にそれぞれ関連付けられた二以上の登録生体情報を抽出する抽出部と、入力生体情報を抽出した登録生体情報のそれぞれと照合する照合部と、を有する。
【0018】
本発明に係る端末の制御プログラムは、複数の携帯端末と通信し且つ記憶部を有する生体照合装置の制御プログラムであって、複数の携帯端末毎に、各携帯端末の利用者の登録生体情報を各携帯端末の識別情報と関連付けて記憶部に記憶し、特定の利用者の入力生体情報を取得し、複数の携帯端末のそれぞれから各携帯端末の識別情報及び位置情報を含む位置信号又は各携帯端末の識別情報を含む無線信号を受信し、受信した位置信号又は無線信号に基づいて、生体照合装置から所定範囲内にある二以上の携帯端末を検出し、記憶部に記憶された登録生体情報の中から、検出した携帯端末の識別情報にそれぞれ関連付けられた二以上の登録生体情報を抽出し、入力生体情報を抽出した登録生体情報のそれぞれと照合することを生体照合装置に実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る生体照合システム、生体照合方法、生体照合装置及び制御プログラムは、複数の携帯端末から受信した位置信号又は無線信号に基づいて、照合に用いる登録生体情報を抽出することにより、利用者の利便性を向上しつつ、生体情報の照合を適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】生体照合システム1の概要を説明するための模式図である。
図2】生体照合システム1の概略構成の一例を示す図である。
図3】携帯端末100の概略構成の一例を示す図である。
図4】生体照合装置200の概略構成の一例を示す図である。
図5】(a)は、登録生体画像テーブルのデータ構造の一例を示す図であり、(b)は、距離テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図6】生体画像の登録処理の動作シーケンスの一例を示す図である。
図7】携帯端末の位置通知処理の動作シーケンスの一例を示す図である。
図8】生体照合処理の動作フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0022】
図1は、本実施形態に係る生体照合システム1の概要を説明するための模式図である。
【0023】
図1に示す生体照合システム1は、セキュリティエリア10へ進入しようとする利用者A〜Eの顔を撮影した生体画像を用いて、利用者A〜Eの認証を行い、認証結果に基づいてゲート11の開閉を制御する。ゲート11は、例えばフラッパーゲートである。生体画像は生体情報の一例である。
【0024】
図1に示すように、生体照合システム1は、複数の携帯端末100と、生体照合装置200とを有する。生体照合装置200には、各利用者の顔が写っている生体画像が、各利用者の携帯端末の電話番号等の識別情報(携帯端末ID)と関連付けて予め登録されている。以下、予め登録されている生体画像を登録生体画像と称する場合がある。各携帯端末100は、各利用者A〜Eにより所持され、各携帯端末の携帯端末IDと各携帯端末の現在位置を示す位置情報とを含む位置信号を定期的に生体照合装置200に送信している。一方、生体照合装置200は、各携帯端末100から送信された位置信号に基づいて、各携帯端末100と生体照合装置200の間の距離を検出する。
【0025】
この生体照合システム1において、生体照合装置200は、セキュリティエリア10へ進入しようとする利用者Aの顔を撮影すると、上記した距離に基づいて、生体照合装置200から所定範囲内12にある携帯端末100(利用者A、C、Eの携帯端末)を検出する。以下、撮影した生体画像を入力生体画像と称する場合がある。生体照合装置200は、予め登録されている登録生体画像の中から、検出した携帯端末100の携帯端末IDに関連付けられた登録生体画像(利用者A、C、Eの登録生体画像)を抽出する。生体照合装置200は、入力生体画像と、抽出した各登録生体画像とを照合し、何れかの登録生体画像との照合に成功した場合、ゲート11を開き、利用者Aのセキュリティエリア10への進入を許可する。
【0026】
このように、生体照合装置200は、予め登録されている登録生体画像の中から、生体照合装置200から所定範囲内12にある携帯端末に対応する登録生体画像のみを抽出し、照合に利用する。これにより、生体照合装置200は、入力生体画像と、予め登録されている全ての登録生体画像との照合を行う必要がなくなるため、照合処理を短時間に完了させることが可能となる。また、各利用者は、携帯端末100を所有していれば、IDコードの入力、磁気カードの提示等を行う必要がないので、利用者の利便性が向上される。また、生体照合装置200は、入力生体画像と、所定範囲内12にある携帯端末100に対応する全ての登録生体画像との照合を行うので、入力生体画像が撮影された利用者と異なる他の利用者の登録生体画像のみと照合を行ってしまい、照合に失敗することを防止することができる。また、生体照合装置200は、入力生体画像と、各登録生体画像との照合を並列に実行できるので、特定の登録生体画像との照合結果を待つことなく、他の登録生体画像との照合を実行でき、照合処理全体の高速化を図ることも可能となる。
【0027】
図2は、生体照合システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0028】
図2に示すように、生体照合システム1は、複数の携帯端末100と、生体照合装置200とを有する。
【0029】
各携帯端末100は、無線LAN通信機能を有し、無線LANのアクセスポイント300と接続される。アクセスポイント300は、所定のサービスエリア内で各携帯端末100と無線LAN通信方式に従った無線通信を行う。アクセスポイント300は、イーサネット(登録商標)等の有線LANにより、ネットワーク400と接続される。ネットワーク400には生体照合装置200が接続され、各携帯端末100は、生体照合装置200と通信することができる。
【0030】
なお、各携帯端末100は、携帯電話通信機能を有し、不図示の基地局及び携帯電話ネットワークを介して生体照合装置200と接続されてもよい。
【0031】
アクセスポイント300は、携帯端末100と、ネットワーク400との間の通信を中継する通信装置である。アクセスポイント300は、主に2.4GHz帯、5GHz帯等を感受帯域とするアンテナを含む通信インタフェース回路を有し、携帯端末100との間でIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.11規格の無線通信方式に基づいて無線通信を行う。
【0032】
図3は、携帯端末100の概略構成の一例を示す図である。
【0033】
携帯端末100は、例えば携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistant, PDA)、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤ、タブレットPC等である。携帯端末100は、無線通信ネットワークへの接続、自装置の位置の測定及び通知、所定のアプリケーションプログラムの実行等を可能とする。そのために、携帯端末100は、第1無線通信部101と、第2無線通信部102と、端末操作部103と、端末表示部104と、位置検出部105と、端末撮像部106と、端末記憶部107と、端末制御部110とを有する。
【0034】
第1無線通信部101は、主に2.4GHz帯、5GHz帯等を感受帯域とするアンテナを含む、通信インタフェース回路を有し、アクセスポイント300との間でIEEE802.11規格の無線通信方式に基づいて無線通信を行う。そして、第1無線通信部101は、アクセスポイント300から受信したデータを端末制御部110に供給する。また、第1無線通信部101は、端末制御部110から供給されたデータをアクセスポイント300に送信する。なお、携帯端末100が無線LAN通信機能を有さない場合、第1無線通信部101は省略されてもよい。
【0035】
第2無線通信部102は、主に2.1GHz帯を感受帯域とするアンテナを含む、通信インタフェース回路を有し、携帯端末100を不図示の携帯電話ネットワークに接続する。第2無線通信部102は、不図示の携帯電話の基地局により割り当てられるチャネルを介して、基地局との間でCDMA(Code Division Multiple Access)方式等による無線信号回線を確立し、基地局との間で通信を行う。そして、第2無線通信部102は、基地局から受信したデータを端末制御部110に供給する。また、第2無線通信部102は、端末制御部110から供給されたデータを基地局に送信する。なお、携帯端末100が携帯電話機能を有さない場合、第2無線通信部102は省略されてもよい。
【0036】
端末操作部103は、携帯端末100の操作が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル式の入力装置、キーパッド等である。ユーザは、このデバイスを用いて、文字、数字等を入力することができる。端末操作部103は、ユーザにより操作されると、その操作に対応する信号を発生する。そして、発生した信号は、ユーザの指示として、端末制御部110に入力される。
【0037】
端末表示部104は、動画像、静止画像等の出力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル式の表示装置、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等である。端末表示部104は、端末制御部110から供給される動画像データに応じた動画像、静止画像データに応じた静止画像等を出力する。
【0038】
位置検出部105は、携帯端末100の現在位置を検出する。位置検出部105は、主に1.5GHz帯を感受帯域とするアンテナを含むGPS回路を有し、不図示のGPS衛星からGPS信号を受信する。位置検出部105は、受信したGPS信号をデコードし、時刻情報等を取得する。そして、位置検出部105は、その時刻情報等に基づいてGPS衛星から携帯端末100までの擬似距離を計算し、その擬似距離を代入して得られる連立方程式を解くことにより、携帯端末100が存在する位置(緯度、経度、高度等)を検出し、位置情報として出力する。
【0039】
なお、位置検出部105は、GPSの代わりに、無線LANのアクセスポイントから発信されるビーコン信号の電波強度に基づいて、携帯端末100の現在位置を検出してもよい(いわゆるWiFi測位方式)。その場合、位置検出部105は、少なくとも三つのアクセスポイントから受信したビーコン信号の電波強度に基づいて、各アクセスポイントとの間の距離を推定し、不図示のアクセスポイント位置管理サーバから取得した各アクセスポイントの位置と、推定した距離とから携帯端末100の現在位置を検出する。または、位置検出部105は、携帯電話の基地局から受信したセルID(Identifier)を利用して、携帯端末100の現在位置を検出してもよい(いわゆるセル測位方式)。
【0040】
端末撮像部106は、2次元に配列され、受光した光量に応じた電気信号を出力する光電変換素子(例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサ、C−MOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)など)と、その光電変換素子上に結像するための結像光学系を有するカメラである。端末撮像部106は、撮影した画像を端末制御部110に供給する。
【0041】
端末記憶部107は、例えば、半導体メモリを有する。端末記憶部107は、端末制御部110での処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、端末記憶部107は、ドライバプログラムとして、第1無線通信部101を制御する無線通信デバイスドライバプログラム、第2無線通信部102を制御する携帯電話通信デバイスドライバプログラム、端末操作部103を制御する入力デバイスドライバプログラム、端末表示部104を制御する出力デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、端末記憶部107は、オペレーティングシステムプログラムとして、IEEE802.11規格の無線通信方式を実行する接続制御プログラム、携帯電話の接続制御プログラム等を記憶する。また、端末記憶部107は、アプリケーションプログラムとして、ウェブページの取得及び表示を行うウェブブラウザプログラム、電子メールの送信及び受信を行う電子メールプログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて端末記憶部107にインストールされてもよい。
【0042】
また、端末記憶部107は、データとして、携帯端末100の携帯端末IDを記憶する。携帯端末IDは、例えば携帯端末100の電話番号である。さらに、端末記憶部107は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶する。
【0043】
端末制御部110は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。端末制御部110は、携帯端末100の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。端末制御部110は、携帯端末100の各種処理が端末記憶部107に記憶されているプログラム、端末操作部103の操作等に応じて適切な手順で実行されるように、第1無線通信部101、第2無線通信部102、端末表示部104、位置検出部105、端末撮像部106等の動作を制御する。端末制御部110は、端末記憶部107に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、端末制御部110は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0044】
端末制御部110は、登録要求部111と、送信部112とを有する。端末制御部110が有するこれらの各部は、端末制御部110が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、端末制御部110が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして携帯端末100に実装されてもよい。
【0045】
図4は、生体照合装置200の概略構成の一例を示す図である。
【0046】
生体照合装置200は、生体画像を用いて利用者の認証を行い、利用者のセキュリティエリアへの進入を制御する。そのために、生体照合装置200は、装置通信部201と、装置表示部202と、音声出力部203と、人物検出センサ204と、インタフェース部205と、装置撮像部206と、装置記憶部207と、装置制御部210とを備える。
【0047】
装置通信部201は、イーサネット(登録商標)などの有線の通信インタフェース回路を有し、ネットワーク400を介して各携帯端末100等と通信を行う。そして、装置通信部201は、各携帯端末100等から受信したデータを装置制御部210に供給する。また、装置通信部201は、装置制御部210から供給されたデータを各携帯端末100等に送信する。
【0048】
装置表示部202は、端末表示部104と同様のディスプレイであり、装置制御部210から供給される動画像データに応じた動画像、静止画像データに応じた静止画像等を出力する。
【0049】
音声出力部203は、音声の出力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、スピーカである。音声出力部203は、装置制御部210から供給される音声データに応じた音声を出力する。
【0050】
人物検出センサ204は、装置撮像部206の前に存在する人物を検出する人感センサであり、例えば、レーザ測距センサである。人物検出センサ204は、例えば近赤外線のパルスレーザを投光し、そのレーザの反射光を取得する。人物検出センサ204は、Time-of-Flight法等により、レーザを反射した物体までの距離を測定し、測定した距離を装置制御部210に供給する。
【0051】
インタフェース部205は、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインタフェース回路、又は、RS(Recommended-Standards)232C等のシリアルインタフェース規格に準じたインタフェース回路を有し、ゲート11と電気的に接続する。インタフェース部205は、装置制御部210からの指示に従って、ゲート11を開くための開信号、又は、ゲート11を閉じるための閉信号をゲート11に送信する。
【0052】
装置撮像部206は、端末撮像部106と同様の撮像部であり、撮影した画像を装置制御部210に供給する。
【0053】
装置記憶部207は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくともいずれか一つを有する。装置記憶部207は、装置制御部210による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、装置記憶部207は、ドライバプログラムとして、装置通信部201を制御する通信デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、装置記憶部207は、オペレーティングシステムプログラムとして、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の通信方式による接続制御プログラム等を記憶する。また、装置記憶部207は、アプリケーションプログラムとして、装置撮像部206が撮像した画像を用いて利用者を認証するプログラム、インタフェース部205を介してゲート11を開閉するプログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて装置記憶部207にインストールされてもよい。
【0054】
また、装置記憶部207は、データとして、各携帯端末100の利用者の登録生体画像を管理する登録生体画像テーブル、生体照合装置200と各携帯端末100との間の距離を管理する距離テーブル等を記憶する。また、装置記憶部207は、データとして、生体照合装置200の現在位置を記憶する。さらに、装置記憶部207は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶する。
【0055】
図5(a)は、登録生体画像テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0056】
図5(a)に示すように、登録生体画像テーブルには、各携帯端末毎に、各携帯端末の携帯端末ID、利用者の登録生体画像、利用者の属性等が相互に関連付けられて登録される。
【0057】
登録生体画像は、各携帯端末の利用者の特定の部位が写っている画像である。本実施形態では、特定の部位が顔であり、生体画像が顔画像である場合を例にして説明する。なお、特定の部位は、各利用者を識別できるものであればどのような部位でもよく、例えば、虹彩、指紋、手又は指の静脈等でもよい。利用者の属性は、例えば利用者の資格(セキュリティエリア10の管理者又は一般利用者等)、役職(部長、課長又は一般社員等)、所属するグループ(社員、ゲスト等)等である。
【0058】
図5(b)は、距離テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0059】
図5(b)に示すように、距離テーブルには、各携帯端末毎に、各携帯端末の携帯端末ID、各携帯端末の位置情報、各携帯端末と生体照合装置200の間の距離、位置情報を取得した日時等が相互に関連付けられて登録される。
【0060】
位置情報は、例えば緯度及び経度であり、各携帯端末の現在位置を示す。各携帯端末と生体照合装置200の間の距離は、各携帯端末の位置情報に示される現在位置と生体照合装置200の現在位置から算出される、各携帯端末と生体照合装置200の間の現在の距離である。
【0061】
装置制御部210は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。装置制御部210は、生体照合装置200の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。装置制御部210は、生体照合装置200の各種処理が装置記憶部207に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、装置通信部201等の動作を制御する。装置制御部210は、装置記憶部207に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、装置制御部210は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
【0062】
装置制御部210は、登録部211、受信部212、距離検出部213、人物検出部214、取得部215、抽出部216及び照合部217等を有する。装置制御部210が有するこれらの各部は、装置制御部210が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、装置制御部210が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして生体照合装置200に実装されてもよい。
【0063】
図6は、生体照合システム1による生体画像の登録処理の動作シーケンスの一例を示す図である。なお、以下に説明する動作シーケンスは、予め端末記憶部107及び装置記憶部207に記憶されているプログラムに基づいて、主に端末制御部110及び装置制御部210により、携帯端末100及び生体照合装置200の各要素と協働して実行される。
【0064】
最初に、生体照合装置200の登録部211は、生体画像が登録される利用者が所有する携帯端末の携帯端末IDを受け付ける(ステップS101)。この携帯端末IDは、例えば、生体照合システム1の管理者により不図示のコンピュータに入力され、登録部211は、装置通信部201を介して不図示のコンピュータから、その携帯端末IDを受信する。また、この携帯端末IDは、生体照合システム1の管理者により不図示の操作部を用いて生体照合装置200に入力されてもよい。
【0065】
次に、登録部211は、携帯端末IDを受け付けると、その携帯端末IDに対応する携帯端末100に登録許可信号を送信する(ステップS102)。登録許可信号は、生体照合装置200への生体画像の登録を許可することを通知する信号であり、受け付けた携帯端末IDである電話番号宛てにSMS(Short Message Service)のメッセージとして送信される。登録部211は、登録許可信号をSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)のプロトコルに従って、装置通信部201を介して不図示のSMSサーバに送信し、SMSサーバは、受信した登録許可信号をSMSのメッセージとしてその電話番号の携帯端末100に送信する。
【0066】
次に、携帯端末100の登録要求部111は、第2無線通信部102を介して登録許可信号を受信すると、端末撮像部106に携帯端末100の利用者の顔を撮影させて、利用者の顔が写っている生体画像を取得する(ステップS103)。
【0067】
次に、登録要求部111は、登録要求信号を第2無線通信部102を介して生体照合装置200に送信する(ステップS104)。登録要求信号は、携帯端末100の利用者の生体画像を生体照合装置200に登録することを要求する信号であり、登録要求信号には、携帯端末100の識別情報(電話番号)及び利用者の生体画像が含まれる。登録要求信号は、上記したSMSサーバを介して生体照合装置200に送信される。
【0068】
次に、生体照合装置200の登録部211は、装置通信部201を介してSMSサーバから登録要求信号を受信した場合、受信した登録要求信号の送信元である携帯端末の電話番号を、登録許可信号の送信先である携帯端末の電話番号と照合する(ステップS105)。登録部211は、登録要求信号の送信元である携帯端末の電話番号と、登録許可信号の送信先である携帯端末の電話番号が一致するか否かを判定することにより照合を行う。
【0069】
次に、登録部211は、照合に成功した場合、即ち登録要求信号の送信元である携帯端末の電話番号と、登録許可信号の送信先である携帯端末の電話番号が一致した場合、登録要求信号に含まれる生体画像を登録生体画像として、携帯端末IDと関連付けて登録生体画像テーブルに記憶する(ステップS106)。
【0070】
以上により、生体画像の登録処理の動作シーケンスは終了する。各利用者は、所有する携帯端末100を用いて生体画像を登録することができるので、生体照合装置200が設置された場所まで出向いて登録を行う必要がなくなり、利用者の利便性を向上させることが可能になる。また、生体照合装置200は、登録許可信号及び登録要求信号をSMSのメッセージによって、各携帯端末と送受信する。即ち、生体照合装置200は、携帯端末の電話番号を用いて、生体画像の登録を行う。これにより、他人によるなりすましが防止され、正当な利用者以外の人物の生体画像が不正に登録されることが防止される。
【0071】
図7は、生体照合システム1による携帯端末の位置通知処理の動作シーケンスの一例を示す図である。なお、以下に説明する動作シーケンスは、予め端末記憶部107及び装置記憶部207に記憶されているプログラムに基づいて、主に端末制御部110及び装置制御部210により、携帯端末100及び生体照合装置200の各要素と協働して実行される。なお、図7に示す動作シーケンスは所定の期間(例えば1秒)毎に定期的に実行される。
【0072】
最初に、携帯端末100の送信部112は、位置検出部105から位置情報を取得する(ステップS201)。なお、送信部112は、位置情報を位置検出部105から定期的に取得していてもよい。
【0073】
次に、送信部112は、第1無線通信部101を介して生体照合装置200に位置信号を送信する(ステップS202)。位置信号には、携帯端末100の携帯端末ID及び位置情報が含まれる。なお、送信部112は、第2無線通信部102を介して生体照合装置200に位置信号を送信してもよい。その場合、位置信号は、上記したSMSサーバを介して生体照合装置200に送信される。
【0074】
一方、生体照合装置200の受信部212は、装置通信部201を介して携帯端末100から位置信号を受信し、距離検出部213は、受信部212が受信した位置信号に基づいて、携帯端末100と生体照合装置200の間の距離を検出する(ステップS203)。距離検出部213は、位置信号に含まれる携帯端末100の位置情報と装置記憶部207に記憶されている生体照合装置200の現在位置から、携帯端末100と生体照合装置200の間の距離を算出する。
【0075】
次に、距離検出部213は、携帯端末100の位置情報、携帯端末100と生体照合装置200の間の距離、及び、現在日時を携帯端末100の携帯端末IDと関連付けて距離テーブルに記憶する(ステップS204)。なお、その携帯端末100の携帯端末IDが距離テーブルにまだ記憶されていない場合、距離検出部213は、携帯端末ID、位置信号、距離及び現在日時を距離テーブルに新たに記憶する。一方、その携帯端末100の携帯端末IDが距離テーブルに既に記憶されている場合、距離検出部213は、距離テーブルにおいて、その携帯端末IDに関連付けられた位置信号、距離及び現在日時を、新たに取得した位置情報、距離及び現在日時に更新する。
【0076】
また、距離検出部213は、距離テーブル定期的に監視し、所定時間(例えば1分)以上更新されていない携帯端末IDに係る各情報を削除する。
【0077】
以上により、携帯端末の位置通知処理の動作シーケンスは終了する。この動作シーケンスにより、生体照合装置200は、各携帯端末100と生体照合装置200の間の最新の距離を取得することができる。
【0078】
図8は、生体照合装置200による生体照合処理の動作フローの一例を示す図である。なお、以下に説明する動作フローは、予め端末記憶部107及び装置記憶部207に記憶されているプログラムに基づいて、主に端末制御部110及び装置制御部210により、携帯端末100及び生体照合装置200の各要素と協働して実行される。なお、図8に示す動作フローは定期的に実行される。
【0079】
最初に、人物検出部214は、人物を検出するまで待機する(ステップS301)。人物検出部214は、人物検出センサ204から、レーザを反射した物体までの距離を取得し、取得した距離が所定距離(例えば1m)以下であるか否かにより、生体照合装置200の前に人物が存在するか否かを判定する。
【0080】
人物検出部214が、生体照合装置200の前に人物が存在すると判定して人物を検出した場合、取得部215は、人物検出部214が検出した人物の顔を撮影した入力生体画像を取得する(ステップS302)。取得部215は、装置撮像部206に人物検出部214が検出した人物の顔を撮影させて、その撮影した画像を入力生体画像として取得する。
【0081】
次に、抽出部216は、距離テーブルに記憶された、各携帯端末100と生体照合装置200の間の距離に基づいて、生体照合装置200から所定範囲(例えば10m)内にある携帯端末100を検出する(ステップS303)。特に、抽出部216は、生体照合装置200から所定範囲内にある二以上の携帯端末100を検出する。
【0082】
次に、抽出部216は、生体照合装置200から所定範囲内に携帯端末100が存在するか否かを判定する(ステップS304)。
【0083】
抽出部216は、生体照合装置200から所定範囲内に携帯端末100が存在する場合、照合部217が動作する動作モードを第1モードに決定する(ステップS305)。動作モードは、入力生体画像の照合方法を規定し、第1モードと第2モードの二種類のモードを有する。第1モードは、入力生体画像を、生体照合装置200から所定範囲内に存在する各携帯端末100の携帯端末IDに関連付けられた各登録生体画像と照合するモードである。一方、第2モードは、入力生体画像を、登録生体画像テーブルに記憶された全ての登録生体画像のそれぞれと照合するモードである。
【0084】
次に、抽出部216は、生体照合装置200から所定範囲内に存在する各携帯端末100の携帯端末IDに関連付けられた各登録生体画像について、照合部217が入力生体画像を照合させていく登録生体画像の順序を決定する(ステップS306)。例えば、抽出部216は、照合部217が入力生体画像を照合させていく登録生体画像の順序を、生体照合装置200との間の距離が短い携帯端末100の携帯端末IDに関連付けられた登録生体画像の順とする。これにより、照合部217は、生体照合装置200に近い位置に存在する利用者の登録生体画像から順に照合していくため、より短時間で照合成功となる可能性が高くなり、照合成功となるまでの時間を低減させることが可能となる。
【0085】
また、抽出部216は、照合部217が入力生体画像を照合させていく登録生体画像の順序を、各携帯端末100の利用者の属性に基づいて定められた順としてもよい。例えば、抽出部216は、一般利用者の登録生体画像より前に、セキュリティエリア10の管理者の登録生体画像との照合を行う。これにより、セキュリティエリア10の管理者については、より短時間で照合成功となる可能性が高くなり、業務等によりゲート11を何回も通過する管理者をスムーズにセキュリティエリア10に進入させることが可能になる。また、抽出部216は、一般社員の登録生体画像より前に、部長、課長等の役職者の登録生体画像との照合を行ってもよい。同様に、抽出部216は、ゲストの登録生体画像より前に、社員の登録生体画像との照合を行ってもよい。これにより、頻繁にゲート11を通過する人物をスムーズにセキュリティエリア10に進入させることが可能になる。
【0086】
ステップS307〜S311の処理は、生体照合装置200から所定範囲内に存在する携帯端末100毎に、ステップS306で決定された順に従って実行される。
【0087】
まず、抽出部216は、ステップS306で決定された順に従って、登録生体画像テーブルに記憶された登録生体画像の中から、次に照合される携帯端末100の携帯端末IDに関連付けられた登録生体画像を抽出する(ステップS307)。
【0088】
次に、照合部217は、入力生体画像を、抽出した登録生体画像と照合する(ステップS308)。照合部217は、まず、入力生体画像から顔の特徴を表す特徴点を抽出する。例えば、照合部217は、入力生体画像において、周辺画素との輝度差が所定値以上となるエッジ画素を抽出し、抽出したエッジ画素の位置、パターン等に基づいて特徴量を算出する。照合部217は、算出した特徴量が目、鼻、口等の各部について予め定められた条件を満たすか否かにより各部の位置を特定し、特定した各部の位置に基づいて、目尻、目頭、鼻尖点、口角点等の特徴点を抽出する。
【0089】
なお、生体照合装置200は、同様の方法により、登録生体画像が登録されたときに登録生体画像から特徴点を抽出しておき、抽出した特徴点を登録生体画像と関連付けて登録生体画像テーブルに記憶しておく。なお、登録生体画像における特徴点の抽出は、照合部217が照合時に行ってもよい。照合部217は、入力生体画像から抽出した特徴点と、登録生体画像から抽出された特徴点について、対応する特徴点同士の位置関係が一致する度合いを算出する。照合部217は、算出した度合いが所定閾値以上である場合に、入力生体画像と登録生体画像が一致したと判定し、照合に成功したと判定する。一方、照合部217は、算出した度合いが所定閾値未満である場合、入力生体画像と登録生体画像は一致しないと判定し、照合に失敗したと判定する。
【0090】
次に、照合部217は、入力生体画像の照合に成功したか否かを判定する(ステップS309)。
【0091】
照合部217は、入力生体画像の照合に成功した場合、照合に成功した旨を装置表示部202又は音声出力部203を用いて利用者に通知するとともに、ゲート11を開くための開信号をインタフェース部205を介してゲート11に送信し(ステップS310)、一連のステップを終了する。開信号を受信すると、ゲート11は開き、利用者はゲート11を通過することができる。なお、ゲート11は、所定時間経過後に自動的にゲート11を閉じ、照合に成功していない他の利用者がセキュリティエリア12に進入することを防止する。
【0092】
一方、照合部217は、入力生体画像の照合に失敗した場合、生体照合装置200から所定範囲内に存在する全ての携帯端末100に対応する登録生体画像との照合が完了したか否かを判定する(ステップS311)。照合部217は、まだ照合していない登録生体画像が存在する場合、処理をステップS307へ戻し、ステップS307〜S311の処理を繰り返す。
【0093】
一方、照合部217は、全ての登録生体画像との照合が完了した場合、照合に失敗した旨を装置表示部202又は音声出力部203を用いて利用者に通知し(ステップS312)、一連のステップを終了する。この場合、ゲート11は開かず、利用者はゲート11を通過することができない。
【0094】
また、ステップS304において、生体照合装置200から所定範囲内に携帯端末100が存在しなかった場合、抽出部216は、照合部217が動作する動作モードを第2モードに決定する(ステップS313)。この場合、入力生体画像は、登録生体画像テーブルに記憶された全ての登録生体画像のそれぞれと任意の順序で照合される。
【0095】
ステップS314〜S318の処理は、ステップS307〜S312の処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。但し、ステップS314〜S318の処理は、登録生体画像テーブルに記憶された全ての登録生体画像に対して実行される。
【0096】
なお、生体照合装置200は、第2モードで動作中にも、図7に示した携帯端末の位置通知処理、及び、図8のステップS303、S304の処理を実行し、生体照合装置200から所定範囲内に携帯端末100が存在するか否かを判定してもよい。第2モードで動作中に、抽出部216が生体照合装置200から所定範囲内にある携帯端末100を検出した場合、照合部217は、第1モードと第2モードの両方で並列して動作する。例えば、装置制御部210が二つのCPUを有する場合、一方のCPUは、引き続き第2モードにより、入力生体画像を、登録生体画像テーブルに記憶された各登録生体画像と順次照合していく。他方のCPUは、第1モードにより、入力生体画像を、生体照合装置200から所定範囲内に存在する携帯端末100の携帯端末IDに関連付けられた登録生体画像と照合する。
【0097】
生体照合装置200から所定範囲内に携帯端末100が検出された場合に、単純に第2モードから第1モードに切り替えると、入力生体画像が、検出された携帯端末100の利用者のものでなかったときは、全ての登録生体画像と最初から照合しなおす必要が生じる。生体照合装置200は、第1モードと第2モードの両方で並列して動作することにより、入力生体画像が、検出された携帯端末100の利用者のものであったときは短時間で照合を成功させ、そうでなかったときも、それまでの照合結果を無駄にすることなく照合処理を続けることができる。
【0098】
また、生体照合装置200は、第1モードでの照合に失敗した場合、ステップS312において、照合に失敗した旨を利用者に通知するのではなく、処理をステップS313に移行して、動作モードを第2モードに切り替えてもよい。これにより、入力生体画像が、所定範囲内に存在する携帯端末100の利用者のものであるときは短時間で照合を成功させ、そうでないときも、入力生体画像を、対応する登録生体画像と確実に照合させることができる。
【0099】
また、生体照合装置200は、第1モードでの照合に失敗した場合、ステップS312において、照合に失敗した旨を利用者に通知するのではなく、テンキー、キーボード等の不図示の入力装置より、利用者に携帯端末IDを入力させることにより、携帯端末IDを特定してもよい。また、生体照合装置200は、利用者の氏名、住所等、携帯端末IDとは別の第2識別情報を予め登録しておき、第1モードでの照合に失敗した場合、利用者に第2識別情報を入力させることにより、携帯端末IDを特定してもよい。また、生体照合装置200は、第1モードでの照合に失敗した場合、利用者に識別情報を入力させて、入力された識別情報に対応する登録生体画像との照合処理と、第2モードでの照合処理とを並行して実行してもよい。これにより、利用者が短時間で識別情報を入力できた場合は短時間で照合成功となり、利用者が識別情報の入力に長時間を要した場合でも一定時間内に照合を完了させることが可能となる。
【0100】
以上説明してきたように、生体照合装置200は、所定範囲内にある携帯端末100に対応する登録生体画像のみを用いて照合処理を実行するので、入力生体画像と、全ての登録生体画像との照合を行う必要がなくなり、照合処理を短時間に完了させることが可能となる。各利用者は、携帯端末100を所有していれば、IDコードの入力、磁気カードの提示等を行う必要がないので、利用者の利便性が向上される。また、生体照合装置200は、入力生体画像と、所定範囲内にある携帯端末100に対応する全ての登録生体画像との照合を行うので、入力生体画像が撮影された利用者と異なる他の利用者の登録生体画像のみと照合を行ってしまい、照合に失敗することを防止することができる。また、生体照合装置200は、入力生体画像と、各登録生体画像との照合を並列に実行できるので、特定の登録生体画像との照合結果を待つことなく、他の登録生体画像との照合を実行でき、照合処理全体の高速化を図ることも可能となる。
【0101】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、生体照合装置200は、各携帯端末100の位置情報を含む位置信号の代わりに、各携帯端末100から送信される無線信号を用いて、各携帯端末100と生体照合装置200の間の距離を検出してもよい。その場合、携帯端末100は第1近距離無線通信部をさらに有し、生体照合装置200は第2近距離無線通信部をさらに有する。第1近距離無線通信部及び第2近距離無線通信部は、それぞれ、BLE(Bluetooth Low Energy)(登録商標)等の通信方式に従った近距離無線通信を行うためのインタフェース回路を有し、相互に近距離無線通信を行う。なお、第1近距離無線通信部及び第2近距離無線通信部は、Bluetooth(登録商標)、RFID(Radio Frequency IDentification)、ZigBee等の他の通信方式に従った近距離無線通信を行うためのインタフェース回路を有してもよい。
【0102】
この場合、図7のステップS201、202において、携帯端末100の送信部112は、第1近距離無線通信部を介して生体照合装置200に無線信号を送信する。無線信号には、携帯端末100の携帯端末IDが含まれる。一方、ステップS203において、生体照合装置200の受信部212は、第2近距離無線通信部を介して携帯端末100から無線信号を受信し、距離算出部213は、受信部212が受信した無線信号に基づいて、携帯端末100と生体照合装置200の間の距離を検出する。例えば、距離算出部213は、携帯端末100から無線信号を受信した場合に、その携帯端末100は、生体照合装置200から所定範囲内に存在すると判定する。または、距離算出部213は、事前の実験により、携帯端末100から受信した無線信号の電波強度と、携帯端末100と生体照合装置200の間の距離との関係を表すテーブルを作成しておき、そのテーブルに従って、携帯端末100と生体照合装置200の間の距離を検出してもよい。
【0103】
生体照合装置200は、近距離無線通信の信号を利用することによっても、入力生体画像と照合させる登録生体画像を、生体照合装置200の近辺に存在する携帯端末100に対応する登録生体画像のみに絞り込むことが可能となる。
【0104】
また、生体照合システム1は、各携帯端末100から送信される無線信号として、音波を利用してもよい。その場合、携帯端末100はスピーカ等の音声出力部をさらに有し、生体照合装置200はマイク等の音声入力部をさらに有する。
【0105】
この場合、図7のステップS201、202において、携帯端末100の送信部112は、音声出力部を介して生体照合装置200に対して、携帯端末100の携帯端末IDを表す音波を出力する。各携帯端末100が出力する音波の波形は、各携帯端末100の携帯端末IDに対応するように予め割り当てられる。一方、ステップS203において、生体照合装置200の受信部212は、音声入力部を介して携帯端末100から音波を受信し、距離検出部213は、受信部212が受信した音波に基づいて、携帯端末100と生体照合装置200の間の距離を検出する。例えば、距離検出部213は、携帯端末100から音波を受信した場合に、その携帯端末100は、生体照合装置200から所定範囲内に存在すると判定する。または、距離検出部213は、事前の実験により、携帯端末100から受信した音波の最大振幅と、携帯端末100と生体照合装置200の間の距離との関係を表すテーブルを作成しておき、そのテーブルに従って、携帯端末100と生体照合装置200の間の距離を検出してもよい。
【0106】
生体照合装置200は、音波を利用することによっても、入力生体画像と照合させる登録生体画像を、生体照合装置200の近辺に存在する携帯端末100に対応する登録生体画像のみに絞り込むことが可能となる。
【0107】
また、生体照合システム1は、フラッパーゲート等のゲート11の代わりに、鍵を有する扉の開閉を制御してもよい。その場合、生体照合装置200のインタフェース部205は、扉が有する鍵と電気的に接続し、装置制御部210からの指示に従って、鍵を解錠するための解錠信号又は施錠するための施錠信号をゲート鍵に送信する。この場合、図8のステップS310、317において、照合部217は、解錠信号をインタフェース部205を介してゲート11に送信する。この場合も、生体照合システム1は、セキュリティエリア10への利用者の入退室を適切に制御することができる。
【0108】
また、生体照合システム1は、生体情報として、生体画像の代わりに、声紋等の画像以外の情報を使用してもよい。その場合、携帯端末100及び生体照合装置200は、それぞれ端末撮像部106及び装置撮像部206の代わりに、マイク等の端末音声入力部及び装置音声入力部(不図示)を有する。生体照合装置200の登録部211は、携帯端末100の端末音声入力部を介して入力された各携帯端末の利用者の声紋を登録生体情報として登録し、取得部215は、装置音声入力部を介して入力された特定の利用者の声紋を入力生体情報として取得する。そして、照合部217は、取得された入力生体情報を各登録生体画像と照合する。この場合も、生体照合システム1は、利用者の利便性を向上しつつ、生体情報の照合を適切に行うことができる。
【0109】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0110】
1 生体照合システム
100 携帯端末
111 登録要求部
112 送信部
200 生体照合装置
207 装置記憶部
211 登録部
212 受信部
213 距離検出部
214 人物検出部
215 取得部
216 抽出部
217 照合部
【要約】      (修正有)
【課題】利用者の利便性を向上しつつ、生体情報の照合を適切に行うことを可能とする生体照合システムを提供する。
【解決手段】生体照合システム1は、複数の携帯端末100、及び生体照合装置200を有する。生体照合装置200は、記憶部、取得部、受信部、抽出部、及び照合部を有する。記憶部は、各携帯端末の利用者の登録生体画像を各携帯端末の識別情報と関連付けて記憶する。取得部は、特定の利用者の入力生体情報を取得する。受信部は、各携帯端末から位置信号又は無線信号を受信する。抽出部は、受信した位置信号又は無線信号に基づいて、生体照合装置から所定範囲内にある二以上の携帯端末を検出し、記憶部に記憶された登録生体画像の中から、検出した携帯端末の識別情報にそれぞれ関連付けられた二以上の登録生体画像を抽出する。照合部は、それぞれの入力生体情報と抽出した登録生体画像とを照合する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8