特許第6031180号(P6031180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6031180
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   A63F5/04 512Z
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-239646(P2015-239646)
(22)【出願日】2015年12月8日
【審査請求日】2016年2月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026620
【氏名又は名称】山佐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(72)【発明者】
【氏名】花房 利樹
【審査官】 東 治企
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−287911(JP,A)
【文献】 特開2015−107267(JP,A)
【文献】 特開2005−312814(JP,A)
【文献】 特開2014−117404(JP,A)
【文献】 特開2015−116391(JP,A)
【文献】 特開2014−094244(JP,A)
【文献】 特開2012−070845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御データを含む通信用データを生成するデータ生成手段を備え、該データ生成手段により生成された通信用データを送信する第一制御基板と、
前記通信用データを伝送する通信経路を介して前記第一制御基板と接続され、該第一制御基板から送信された該通信用データの制御データに基づいて、所定の制御を行う第二制御基板と
を備えた遊技機において、
前記通信経路に設けられ、前記第一制御基板から前記第二制御基板へ送られる前記通信用データを中継すると共に、不正の検知に起因して予め定められた通信停止条件成立すると第二制御基板への該通信用データの送信を停止するデータ中継基板を備え、
前記第一制御基板は、データ生成手段により、原通信用データを予め定められた第一の暗号化規則に従い暗号化する処理を行い、その暗号化された通信用データを、データ中継基板に送信するものであり、
前記データ中継基板は、データ変換手段により、第一制御基板から送られた通信用データを復号する第一復号処理と、復号された通信用データを、第一の暗号化規則とは異なる、予め定められた第二の暗号化規則に従い暗号化する処理とを行い、その暗号化された通信用データを、第二制御基板に送信するものであり、
前記第二制御基板は、データ中継基板から送られた通信用データを復号する第二復号処理を行うものであることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
制御データを含む通信用データを生成するデータ生成手段を備え、該データ生成手段により生成された通信用データを送信する第一制御基板と、
前記通信用データを伝送する通信経路を介して前記第一制御基板と接続され、該第一制御基板から送信された該通信用データの制御データに基づいて、所定の制御を行う第二制御基板と
を備えた遊技機において、
前記通信経路に設けられ、前記第一制御基板から前記第二制御基板へ送られる前記通信用データを中継すると共に、不正の検知に起因して予め定められた通信停止条件成立すると第二制御基板への該通信用データの送信を停止するデータ中継基板を備え、
前記第一制御基板は、データ生成手段により、原通信用データを、データ中継基板に送信するものであり、
前記データ中継基板は、データ変換手段により、第一制御基板から送られた通信用データを、予め定められた暗号化規則に従い暗号化する処理を行い、その暗号化された通信用データを、第二制御基板に送信するものであり、
前記第二制御基板は、データ中継基板から送られた通信用データを復号する復号処理を行うものであることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に対する不正行為の防止技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンやパチンコ機等の遊技機は、制御負担を分散させるため、複数の制御基板を備えており、一の制御基板から他の制御基板へ、信号線を介して制御データを送信することにより、制御データを受信した制御基板が所定の制御を行っている。ここで、制御データを受信する側の制御基板は、制御データに従って遊技者が体感する動作を直接的または間接的に制御実行する機能を備えたものが一般的であり、遊技者が獲得する利益に関与する制御を実行するものもある。こうした遊技者の利益に関与する受信側の制御基板に対して、その記憶装置ROMに格納されたプログラムやデータを改ざんしたり、このROMを交換したりすることで、不正な利益を獲得しようとする不正行為が行われ、問題となっていた。
【0003】
上述の不正行為を防止し得る構成として、例えば特許文献1の構成が提案されている。かかる特許文献1の構成は、送信側の制御基板と受信側の制御基板との通信経路に通信データを中継する不正防止基板を設け、不正防止基板が、受信側の制御基板に設けられたROMの改ざんや交換を検知した場合に、送信側の制御基板から受信側の制御基板へのデータの通信を停止するようにしたものである。この構成によれば、受信側の制御基板のROMが改ざんされたり交換されたりすると、送信側の制御基板から送信された制御データを受信側の制御基板が受信できないことから、ROMの改ざんや交換によって生ずる不正な利益の獲得を防止できる。
【0004】
上記の特許文献1の構成をスロットマシンに適用した具体例で説明すると、メイン制御基板(送信側の制御基板)とサブ制御基板(受信側の制御基板)との通信経路にゲート装置(不正防止基板に相当)が配設され、サブ制御基板のROMを不正に改ざんしたり交換するという不正行為が行われた場合に、ゲート装置がメイン制御基板からサブ制御基板への制御データの送信を停止する。この構成によれば、サブ制御基板のROMの改ざんや交換により、AT(アシストタイム)機能を悪用して不正な利益を獲得しようとする行為を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−287911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1の従来構成では、不正が、受信側の制御基板のROMの改ざんや交換のみであれば、不正防止基板による送信停止により防止できるものの、該ROMの改ざんや交換に加えて、送信側の制御基板と受信側の制御基板とでデータ通信を直接可能なバイパス経路が構築されてしまうと、例え不正防止基板で送信停止しても、該バイパス経路を介して制御データが送信されてしまうことから、不正な利益の発生を防止することができない。そのため、こうしたバイパス経路が構築された場合にあっても、不正な利益の発生を防止できる構成が求められていた。
【0007】
本発明は、不正なバイパス経路が構築された場合に、不正な利益が発生することを防止可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、制御データを含む通信用データを生成するデータ生成手段を備え、該データ生成手段により生成された通信用データを送信する第一制御基板と、前記通信用データを伝送する通信経路を介して前記第一制御基板と接続され、該第一制御基板から送信された該通信用データの制御データに基づいて、所定の制御を行う第二制御基板とを備えた遊技機において、前記通信経路に設けられ、前記第一制御基板から前記第二制御基板へ送られる前記通信用データを中継すると共に、予め定められた通信停止条件の成立に伴って該第二制御基板への該通信用データの送信を停止するデータ中継基板を備え、前記データ中継基板は、前記第一制御基板から送信された前記通信用データを、予め定められた暗号化規則に従って、前記データ生成手段により生成された該通信用データと互いにデータ形式の異なる別の通信用データに変換するデータ変換手段を備え、前記データ変換手段により変換した別の通信用データを前記第二制御基板へ送信するものであり、前記第二制御基板は、前記データ変換手段により変換された別の通信用データを復号する手段を備えていることを特徴とする遊技機である。
本発明では、かかる構成として、前記第一制御基板は、データ生成手段により、原通信用データを予め定められた第一の暗号化規則に従い暗号化する処理を行い、その暗号化された通信用データを、データ中継基板に送信するものであり、前記データ中継基板は、データ変換手段により、第一制御基板から送られた通信用データを復号する第一復号処理と、復号された通信用データを、第一の暗号化規則とは異なる、予め定められた第二の暗号化規則に従い暗号化する処理とを行い、その暗号化された通信用データを、第二制御基板に送信するものであり、前記第二制御基板は、データ中継基板から送られた通信用データを復号する第二復号処理を行うものであることを特徴とする遊技機を提案している。また、前記第一制御基板は、データ生成手段により、原通信用データを、データ中継基板に送信するものであり、前記データ中継基板は、データ変換手段により、第一制御基板から送られた通信用データを、予め定められた暗号化規則に従い暗号化する処理を行い、その暗号化された通信用データを、第二制御基板に送信するものであり、前記第二制御基板は、データ中継基板から送られた通信用データを復号する復号処理を行うものであることを特徴とする遊技機を提案している。
【0009】
ここで、データ変換手段としては、第一制御基板から送信された変換前の通信用データを、その全てが変換前と異なるように、別の通信用データに変換するものであっても良いし、又は、一部分のみが変換前と異なるように、別の通信用データに変換するものであっても良い。また、通信停止条件としては、第二制御基板に対する不正を検知することが好適であるが、その他に、第一制御基板から発する通信に関する不正の検知、不正電波の検知、前扉の不正開放など様々な不正を検知することも設定できる。
【0010】
かかる構成にあっては、第一制御基板から第二制御基板へ送信する通信用データを、データ中継基板で異なるデータ形式に変換するようにしたものであるから、第一制御基板から発信される通信用データと、第二制御基板で受信される通信用データとが、互いに異なるデータ形式となる。そのため、仮に第一制御基板と第二制御基板とで直接通信可能なバイパス経路が不正に構築された場合には、第二制御基板が、本来受信すべきデータ形式と異なる通信用データを受信することから、第二制御基板では、復号する手段で対応できず、制御データを取得できない。このように、本構成によれば、前記バイパス経路の構成により不正な利益を獲得しようとする不正行為が行われても、通信用データの制御データを取得できないことから、利益の発生を防止できる。すなわち、本構成は、上述した特許文献1の従来構成における、送信側の制御基板(第一制御基板)と受信側の制御基板(第二制御基板)とで直接通信可能なバイパス経路が構築されることによって不正な利益が獲得されるという問題点を、解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施例のスロットマシンの制御回路を示すブロック図である。
図2】メイン制御基板1からサブ制御基板2へ送信する通信用データの内容を示す図表である。
図3】メイン制御基板1、サブ制御基板2、およびデータ中継基板3の通信にかかる制御回路を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明をスロットマシンに適用した実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
本実施例にあって、本発明にかかる第一制御基板は、メイン制御基板1に相当し、本発明にかかる第二制御基板は、サブ制御基板2に相当する。また、本発明にかかるデータ生成手段は、メイン制御基板1のメイン用マイクロコンピュータ30により構成される。また、本発明にかかるデータ変換手段は、データ中継基板3の中継用マイクロコンピュータ50により構成される。また、本発明にかかる通信用データを復号する手段は、サブ制御基板2のサブ用マイクロコンピュータ40により構成される。
【0013】
図1は、本実施例のスロットマシンの制御回路を示すブロック図である。
スロットマシンは、メイン制御基板1、サブ制御基板2、およびデータ中継基板3を備えている。メイン制御基板1とデータ中継基板3とが、データを伝送する信号線16aにより接続され、データ中継基板3とサブ制御基板2とが、信号線16bにより接続されている。そして、本実施例にあっては、信号線16a、データ中継基板3、および信号線16bを介して、メイン制御基板1からサブ制御基板2へ通信用データが一方向に送信される。ここで、信号線16aは、メイン制御基板1に配設された送信回路33と、データ中継基板3に配設された受信回路51aとに夫々接続されており、信号線16bは、データ中継基板3に配設された送信回路51bと、サブ制御基板2に配設された受信回路41とに夫々接続されている。尚、本実施例にあって、データ中継基板3を介した信号線16aおよび信号線16bにより、本発明にかかる通信経路が構成されている。
【0014】
さらに、本実施例にあっては、サブ制御基板2とデータ中継基板3とが、信号線17a,17bにより接続されており、これら信号線17a,17bとにより双方向通信できる。信号線17aは、データ中継基板3に配設された送信回路61aと、サブ制御基板2に配設された受信回路46aとに夫々接続されており、信号線17bは、サブ制御基板2に配設された送信回路46bと、データ中継基板3に配設された受信回路61bと夫々接続されている。これら信号線17a,17bによる双方向通信の経路は、上記した信号線16bによる一方向通信の経路と独立して設けられている。
【0015】
メイン制御基板1は、遊技の進行に関する制御を行うメイン用マイクロコンピュータ30と、送信回路33とを備えている。メイン用マイクロコンピュータ30は、CPU、RAM、ROM等からなり、スタートスイッチ、ストップスイッチ、ベットスイッチ,マックスベットスイッチ、および精算スイッチなどからの信号が入力される。また、メイン用マイクロコンピュータ30からは、リールを駆動するモータ、ホッパーユニットを駆動するモータなどに夫々信号が出力される。メイン用マイクロコンピュータ30は、所定間隔(1.8ミリ秒)でCPUに割込みを発生させる。そして、CPUは、この割込みの発生毎に、遊技の進行に係る制御処理を実行する。例えば、遊技者によってスタートスイッチが操作されると、メイン用マイクロコンピュータ30は、モータによってリールを回転駆動することにより、リールに配された図柄を変動表示させる。また、図柄の変動表示中に、遊技者によってストップスイッチが操作されると、メイン用マイクロコンピュータ30は、ストップスイッチに対応付けられたリールの回転を停止させて、当該リールの変動表示を停止させる。
【0016】
メイン用マイクロコンピュータ30のROMには、送信する通信用データを生成するプログラムや、通信用データの生成に関する固定データ等が格納されている。また、メイン用マイクロコンピュータ30のRAMには、送信する通信用データを一時的に記憶しておくための送信バッファ32(図3参照)としての記憶領域が予め確保されている。メイン用マイクロコンピュータ30のCPUは、前記割込み発生時に通信用データを生成すると、生成した通信用データを送信バッファ32に格納する。なお、送信バッファ32は、複数の通信用データを格納可能である。そして、メイン用マイクロコンピュータ30は、前記割込みのたびに、送信バッファ32に格納された通信用データを送信するための処理を実行する。なお、メイン制御基板1からデータ中継基板3を介してサブ制御基板2へ送信される通信用データは一方向のみで送られ、サブ制御基板2やデータ中継基板3からメイン制御基板1へ向けて通信用データが送られることはない。
【0017】
データ中継基板3は、メイン制御基板1とサブ制御基板2との間で、メイン制御基板1からサブ制御基板2へ送られる通信用データを中継するものであり、中継用マイクロコンピュータ50と、上記の信号線16aが接続された受信回路51aと、信号線16bが接続された送信回路51bとを備えている。中継用マイクロコンピュータ50は、CPU、RAM、ROM等からなるものである。中継用マイクロコンピュータ50のROMには、メイン制御基板1から送信された通信用データを変換するプログラム、およびこの変換に関する固定データなどが格納されている。また、中継用マイクロコンピュータ50のRAMには、メイン制御基板1から送信された通信用データを受信するための受信バッファ52aと、サブ制御基板2へ送信する通信用データを一時的に記憶しておくための送信バッファ52bとが設けられている。受信回路51aは、信号線16aを介して、メイン制御基板1の送信回路33と接続されており、メイン制御基板1から送信された通信用データは、受信回路51aを介して受信バッファ52aに転送される。中継用マイクロコンピュータ50のCPUは、所定間隔(1.2ミリ秒)で割込みを発生させ、この割込みの発生毎に、受信バッファ52aに記憶された通信用データを取得する。さらに、中継用マイクロコンピュータ50のCPUは、取得した通信用データを、異なるデータ形式の別の通信用データに変換する処理を実行して、変換した別の通信用データを送信バッファ52bに格納し、この通信用データを送信するための処理を実行する。尚、こうした中継用マイクロコンピュータ50により通信用データを変換する処理は、本発明の要部にかかることから、その詳細は後述する。
【0018】
さらに、データ中継基板3は、サブ制御基板2と双方向通信するための送信回路61aと受信回路61bとを備えている。これら送信回路61aと受信回路61bとは、後述する不正検知処理用のデータを送受信するためのものである。中継用マイクロコンピュータ50のROMには、不正検知用のプログラム、およびこの不正検知に関する固定データも格納されている。また、中継用マイクロコンピュータ50のRAMには、この送信回路61aから送信するデータを一時的に記憶しておくための不正検知用の送信バッファ(図示せず)と、この受信回路61bで受信したデータを一時的に記憶しておくための不正検知用の受信バッファ(図示せず)とが、上記した通信用データに用いる受信バッファ52aおよび送信バッファ52bと別に設けられている。中継用マイクロコンピュータ50は、不正検知処理の実行により、送信回路61aと受信回路61bとを用いて不正検知用のデータを送受信する。尚、この不正検知処理の詳細は、後述する。
【0019】
サブ制御基板2は、遊技に関する演出等の制御を行うサブ用マイクロコンピュータ40と、上記の信号線16bが接続された受信回路41とを備えている。サブ用マイクロコンピュータ40は、CPU、RAM、ROM等からなるものである。サブ用マイクロコンピュータ40のROMには、多岐に亘る演出パターンに関する固定データが記憶されている。また、サブ用マイクロコンピュータ40のRAMには、受信した通信用データを一時的に記憶しておくための受信バッファ42(図3参照)が設けられている。受信回路41は、信号線16bを介して、データ中継基板3の送信回路51bと接続されており、データ中継基板3から送信された通信用データは、受信回路41を介して受信バッファ42に転送される。サブ用マイクロコンピュータ40のCPUは、所定間隔(1.2ミリ秒)で割込みを発生させ、この割込みの発生毎に、受信バッファ42に記憶された通信用データを取得する。そして、サブ用マイクロコンピュータ40のCPUは、取得した通信用データの示す制御データに従って制御を行う。具体的には、図示しない音声制御回路を介してスピーカから音を出力したり、図示しない画像制御回路を介して液晶表示器に画像を出力する。
【0020】
さらに、サブ制御基板2は、不正検知処理用のデータを送受信するための受信回路46aと送信回路46bとを備えており、受信回路46aと送信回路46bとによってデータ中継基板3と双方向通信する。この受信回路46aには、上記の信号線17aが接続されており、この信号線17aを介して、データ中継基板3の送信回路61aから不正検知処理用のデータが入力される。また、送信回路46bは、上記の信号線17bが接続されており、この信号線17bを介して、データ中継基板3の受信回路61bへ不正検知処理用のデータを出力する。また、サブ用マイクロコンピュータ40のRAMには、データ中継基板3から送信された不正検知処理用のデータを一時的に記憶しておくための不正検知用の受信バッファ(図示せず)と、データ中継基板3へ送信する不正検知処理用のデータを一時的に記憶しておくための不正検知用の送信バッファ(図示せず)とが、前記した通信用データに用いる受信バッファ42と別に設けられている。
【0021】
図2(a)は、メイン制御基板1で生成される通信用データの原データ(以下、原通信用データという)のデータフォーマットを示している。ここで、本実施例にあっては、後述するように、原通信用データを暗号化した通信用データが、メイン制御基板1からサブ制御基板2までの通信に用いられる。
図2(a)に示すように、原通信用データは、1バイトの構成データが7個で1組となった7バイトのデータである。つまり、原通信用データは、複数個の構成データにより意味を成すものである。これら構成データは、通信を正常に行うための基体データと、メイン制御基板1から発する制御情報を示す制御データとから成る。具体的には、図2(b)に示すように、先頭の構成データ「ST」は、基体データであり、原通信用データの先頭を示す固定値が格納される。二番目の構成データ「LN」は、基体データであり、原通信用データの長さ(バイト数)が格納される。そして、三番目から五番目の構成データ「DATA1」,「DATA2」,「DATA3」は、制御データであり、遊技状態やイベントの種類と内容に応じた値が格納される。また、六番目の構成データ「CH」には、誤り検出符号であるチェックサムが格納される。具体的には、構成データ「CH」には、「DATA1」と「DATA2」と「DATA3」とを加算した時の下位1バイトが格納される。そして、七番目の構成データ「EN」は、基体データであり、原通信用データの終端を示す固定値が格納される。
【0022】
図2(c)は、三番目から五番目の制御データ「DATA1」,「DATA2」,「DATA3」の内容の具体例を示したものである。図2(c)に示すように、三番目の制御データ「DATA1」には、内部当選状態や特殊状態などの遊技状態や各種のエラー状態を示す値が格納される。また、四番目の制御データ「DATA2」には、イベントの種類を示す値が格納され、制御データ「DATA3」に格納された値が、イベントの具体的内容を示すよう構成される。例えば、「内部当選」のイベントは、役抽選の処理が実行されたときに送信され、「DATA3」の値によって役抽選の結果情報が特定される。また、「右リール停止」のイベントは、右リールが停止した時に送信され、「DATA3」の値によって右リールの停止位置が特定される。「中リール」や「左リール」のイベントも同様である。また、「入賞判定」のイベントは、全てのリールが停止した時に送信され、「DATA3」の値によって入賞の有無、並びに入賞の種類が特定される。
【0023】
図3は、メイン制御基板1、データ中継基板3、およびサブ制御基板2の間の通信に係る制御回路を示すブロック図である。上述したように、メイン制御基板1とデータ中継基板3とは、信号線16aを介して接続されており、メイン制御基板1が送信する通信用データは、送信回路33から信号線16aに出力される。ここで、送信回路33は、データバスを介してメイン用マイクロコンピュータ30に接続されており、このデータバスを介してメイン用マイクロコンピュータ30の送信バッファ32に格納された通信用データが転送され、転送された通信用データを信号線16aに遅滞なく出力する。
【0024】
メイン制御基板1の送信回路33から出力された通信用データは、データ中継基板3の受信回路51aに入力される。この受信回路51aは、データバスを介して中継用マイクロコンピュータ50に接続されており、受信した通信用データを、中継用マイクロコンピュータ50の受信バッファ52aに転送する。また、データ中継基板3に配設された送信回路51bは、データバスを介して中継用マイクロコンピュータ50に接続されており、このデータバスを介して中継用マイクロコンピュータ50の送信バッファ52bに格納された通信用データが転送され、転送された通信用データを信号線16bに遅滞なく出力する。
【0025】
データ中継基板3の送信回路51bから出力された通信用データは、サブ制御基板2の受信回路41に入力される。この受信回路41は、データバスを介してサブ用マイクロコンピュータ40に接続されており、受信した通信用データを、一定間隔で、サブ用マイクロコンピュータ40の受信バッファ42に転送する。
【0026】
さらに、サブ制御基板2とデータ中継基板3とは、上述したように、信号線17a,17bを介して接続されている。データ中継基板3は、信号線17aを介してデータを出力する送信回路61aと、信号線17bを介してデータを入力する受信回路61bとを備えており、これら送信回路61aと受信回路61bとが、データバスを介して中継用マイクロコンピュータ50と夫々接続されている。ここで、送信回路61aは、データバスを介して中継用マイクロコンピュータ50から不正検知用のデータ(後述のコマンドデータ)が転送されると、転送されたコマンドデータを信号線17aに出力する。一方、受信回路61bは、信号線17bを介して受信した不正検知用のデータ(後述のROMデータ)を、データバスを介して中継用マイクロコンピュータ50に転送する。
【0027】
サブ制御基板2は、信号線17aを介してデータを入力する受信回路46aと、信号線17bにデータを出力する送信回路46bとを備えており、これら受信回路46aと送信回路46bとが、データバスを介してサブ用マイクロコンピュータ40と夫々接続されている。ここで、受信回路46aは、信号線17aを介して受信した不正検知用のデータ(後述のコマンドデータ)を、データバスを介してサブ用マイクロコンピュータ40に転送する。一方、送信回路46bは、データバスを介してサブ用マイクロコンピュータ40から不正検知用のデータ(後述のROMデータ)が転送されると、転送されたデータを信号線17bに出力する。
【0028】
尚、上述した送信回路や受信回路は、一般的に利用されている構成のものを適用できることから、これらについての詳細な説明は省略する。
【0029】
次に、メイン制御基板1およびサブ制御基板2による、スロットマシンの遊技進行における制御処理について説明する。
本実施例のスロットマシンでは、一般的な構成と同様に、スタートスイッチの操作によってリールを回転させて図柄を変動表示させた後に、ストップスイッチの操作によってリールを停止させて図柄を有効ライン上に停止表示させ、有効ライン上に停止表示された図柄組合せに応じた処理を行うゲームが繰り返し実行される。
【0030】
1ゲームにおけるメイン制御基板1の一連の制御処理としては、スタートスイッチの操作を契機として、リールを始動させると共に、役抽選を実行して、複数種類の役について当選したか否かを決定する。そして、この役抽選の結果を示す制御データを含む通信用データを生成して、信号線16a,16bを介してサブ制御基板2へ送信する。次に、ストップスイッチの操作を契機として、回転中のリールを停止させると共に、リールの停止位置を示す制御データを含む通信用データを生成して、信号線16a,16bを介してサブ制御基板2へ送信する。さらに、全てのリールが停止すると、前記役抽選で決定した役に入賞したか否かを判定し、入賞した場合には、入賞した役に応じた処理を実行する。そして、この入賞判定の結果を示す制御データを含む通信用データを生成して、信号線16a,16bを介してサブ制御基板2へ送信する。
【0031】
一方、サブ制御基板2は、メイン制御基板1から通信用データを受信すると、受信した通信用データに含まれた制御データに従って演出を行う。すなわち、通信用データの制御データに従って演出パターンを選択し、選択した演出パターンに基づいて、スピーカや演出用ランプで所要の音や光を発生させる制御と、液晶表示器で所要の画像を表示させる制御とを実行する。また、本実施例のサブ制御基板2では、役抽選結果の制御データを含む通信用データを受信した場合に、この役抽選結果に応じてAT抽選を実行する。AT抽選は、AT(アシストタイム)状態とするか否かの抽選であり、サブ制御基板2は、このAT抽選に当選してAT状態となると、役抽選結果を含む通信用データを受信する毎に、ストップスイッチの操作順序を示す演出画像を液晶表示器に表示させる制御を実行する。さらに、サブ制御基板2では、AT抽選に当選した場合に、AT状態を維持する期間を管理する。
【0032】
尚、こうした1ゲーム毎に実行される制御処理は、従前のスロットマシンと同様の制御処理を適用できることから、その詳細については省略する。
【0033】
次に、データ中継基板3による不正検知処理について説明する。
本実施例の不正検知処理は、サブ制御基板2のサブ用マイクロコンピュータ40を構成するROMの改ざん又は交換という不正を検知するための処理である。この不正検知処理は、予め設定されたタイミングで、サブ制御基板2に、サブ用マイクロコンピュータ40のROMに格納された全てのデータ(以下、ROMデータという)を要求するコマンドデータを送信する。その後、サブ制御基板2からROMデータを受信すると、受信したROMデータが正しいか否かを判定し、正しくない場合に不正と判定する。
【0034】
具体的には、データ中継基板3は、中継用マイクロコンピュータ50のROMに、サブ用マイクロコンピュータ40のROMに格納されているROMデータと同じ内容のデータ(以下、判定用データ)が予め記憶されている。不正検知処理は、予め設定されたタイミングとなると、ROMデータを要求するコマンドデータを送信回路61aから送信する。一方、サブ制御基板2は、データ中継基板3から送信されたコマンドデータを受信回路46aで受信すると、このコマンドデータに従って、サブ用マイクロコンピュータ40のROMに格納された全データをコピーし、このコピーしたROMデータを送信回路46bから送信する。データ中継基板3でサブ制御基板2からROMデータを受信すると、不正検知処理は、受信したROMデータが、判定用データと一致するか否かを判定する。この判定の結果が一致の場合には、正常と判定し、不一致の場合には、不正と判定する。さらに、不正検知処理により不正判定した場合には、中継用マイクロコンピュータ50が送信停止処理を実行する。この送信停止処理は、メイン制御基板1とサブ制御基板2との間で中継する通信用データの、サブ制御基板2への送信を停止する処理である。
【0035】
このようにデータ中継基板3は、不正検知処理と送信停止処理とにより、サブ制御基板2のROMに対する不正を検知した場合に、サブ制御基板2への通信用データの送信を停止することで、この不正により利益が発生することを防止できる。例えば、サブ制御基板2のROMが、不正にAT状態とするように改ざんや交換された場合にあっても、この不正な改ざんや交換を検知でき、通信用データの送信が停止することから、不正なAT状態による利益の発生を防ぐことができる。尚、本実施例にあって、本発明にかかる通信停止条件として、サブ制御基板2から送信されたROMデータを正しくないと判定することが設定されている。
【0036】
次に、本発明の要部について説明する。
メイン制御基板1のメイン用マイクロコンピュータ30は、そのROMに、役抽選結果や入賞判定結果などを示す通信用データを生成するためのプログラムやデータが格納されており、これらプログラムやデータによる通信データ生成処理を実行して、通信用データを生成する。ここで、通信データ生成処理では、上述したように、基体データと制御データとを含む7バイトのデータを列ねた原通信用データを生成し、さらに、生成した原通信用データを暗号化して、送信する通信用データを生成する。本実施例にあって、通信データ生成処理では、原通信用データの全体を暗号化するようにしている。そして、この暗号化にはRSA暗号方式を用いており、予め設定された第一暗号鍵により原通信用データを暗号化する。
【0037】
データ中継基板3の中継用マイクロコンピュータ50は、そのROMに、メイン制御基板1から送信された通信用データを復号するプログラムやデータ、および復号した原通信用データを暗号化するプログラムやデータが格納されており、これらプログラムやデータによる第一復号処理と暗号化処理とを実行する。ここで、第一復号処理では、メイン制御基板1から送信された通信用データを、第一暗号鍵を用いて復号して、原通信用データ(基体データと制御データとからなる7バイトのデータ)を取得する。この第一復号処理は、メイン用マイクロコンピュータ30の通信データ生成処理と同一の第一暗号鍵が予め設定されていること、および暗号化方式(RSA暗号化方式)が予め設定されていることによって、通信用データを正確に復号できる。一方、暗号化処理では、第一復号処理で取得した原通信用データを、予め設定された第二暗号鍵によりRSA暗号方式で暗号化して、サブ制御基板2へ送信する別の通信用データを生成する。ここで、第二暗号鍵は、メイン制御基板1での暗号化に用いる第一暗号鍵と相互に異なるように設定されていることから、同一の原通信用データを暗号化しても、メイン制御基板1で暗号化した通信用データと相互に異なる別の通信用データが生成される。尚、本実施例にあって、暗号化処理では、原通信用データの全体を暗号化するようにしている。また、本実施例にあって、第二暗号鍵を用いたRSA暗号化方式が、本発明の暗号化規則に相当する。
【0038】
サブ制御基板2のサブ用マイクロコンピュータ40は、そのROMに、データ中継基板3から送信された通信用データを復号するプログラムやデータが格納されており、これらプログラムやデータによる第二復号処理を実行する。ここで、第二復号処理では、データ中継基板3から送信された通信用データを、第二暗号鍵を用いて復号して、原通信用データを取得する。この第二復号処理は、中継用マイクロコンピュータ50の暗号処理と同一の第二暗号鍵が予め設定されていること、および暗号化方式(RSA暗号化方式)が予め設定されていることによって、通信用データを正確に復号できる。
【0039】
尚、上記した通信データ生成処理および暗号化処理におけるRSA暗号化方式の暗号化と、第一復号処理および第二復号処理における復号とは、公知の暗号化方法と復号方法とを適用できることから、その詳細については省略する。
【0040】
こうしたメイン制御基板1からデータ中継基板3を介してサブ制御基板2へ通信用データを送信する一連の送信態様について説明する。
メイン用マイクロコンピュータ30のCPUは、一ゲーム毎で役抽選や入賞判定の実行等に伴って、通信データ生成処理を実行し、原通信用データを第一暗号鍵により暗号化した通信用データを生成する。そして、生成した通信用データを送信回路33に転送する。この送信回路33は、転送された通信用データを、信号線16aを介してデータ中継基板3へ送信する。
【0041】
メイン制御基板1から送信された通信用データは、信号線16aに接続されたデータ中継基板3の受信回路51aに入力される。この受信回路51aは、受信した通信用データを中継用マイクロコンピュータ50の受信バッファ52aに転送する。中継用マイクロコンピュータ50のCPUは、受信回路51aから通信用データを入力すると、第一復号処理を実行し、第一暗号鍵により通信用データを復号して原通信用データを取得する。さらに、第一復号処理により原通信用データを取得すると、暗号化処理を実行し、復号した原通信用データを第二暗号鍵により暗号化した別の通信用データを生成する。そして、暗号化処理で生成した別の通信用データを、送信回路51bに転送する。送信回路51bは、転送された別の通信用データを、信号線16bを介してサブ制御基板2へ送信する。
【0042】
データ中継基板3から送信された通信用データは、信号線16bに接続されたサブ制御基板2の受信回路41に入力される。この受信回路41は、受信した通信用データをサブ用マイクロコンピュータ40の受信バッファ42に転送する。サブ用マイクロコンピュータ40のCPUは、受信回路41から通信用データを入力すると、第二復号処理を実行し、第二暗号鍵により通信用データを復号して原通信用データを取得する。そして、サブ用マイクロコンピュータ40は、取得した原通信用データの制御データに従って、所定の制御を実行する。
【0043】
このように本実施例では、メイン制御基板1からデータ中継基板3へ送信する通信用データと、データ中継基板3からサブ制御基板2へ送信する通信用データとが、互いに異なる暗号鍵により暗号化されており、データ中継基板3の前後で相互に異なるデータ形式の通信用データを用いている。
【0044】
一方、上述したように、サブ制御基板2のROMが不正に改ざん又は交換された場合には、データ中継基板3が不正検知処理と送信停止処理とによりサブ制御基板2への通信用データの送信を停止する。ここで、本実施例にあって、送信停止処理は、不正検知処理により不正と判定された場合に、メイン制御基板1から送信された通信用データを受信すると、第一復号処理と暗号化処理とを実行しないようにする。これにより、サブ制御基板2へ送信する通信用データが生成されず、サブ制御基板2への通信用データの送信を停止する。
【0045】
こうしたデータ中継基板3による不正検知と通信用データの送信停止とは、上述した特許文献1によって公知である。そのため、不正をする者は、サブ制御基板2のROMの改ざんや交換で不正な利益を獲得できるように、メイン制御基板1とサブ制御基板2とで直接通信可能なバイパス経路をさらに構築し、前記の不正検知と送信停止とを無力化することがあり得る。
本実施例の構成は、こうしたバイパス経路が不正に構築された場合にあっても、これに伴う不正な利益の発生を防止できる。詳述すると、不正なバイパス経路が構築された場合に、このバイパス経路を介してサブ制御基板2で受信する通信用データは、メイン用マイクロコンピュータ30の通信データ生成処理により第一暗号鍵で暗号化されたものであることから、サブ用マイクロコンピュータ40の第二復号処理で復号できない。これは、第二復号処理が第一暗号鍵と異なる第二暗号鍵により復号するものであることに因る。このようにサブ制御基板2では、バイパス経路を介して受信した通信用データを復号できないことから、原通信用データを取得できず、この原通信用データに含まれる制御データを用いた制御を実行できない。具体例として、不正にAT状態とするために、サブ制御基板2のROMが不正に改ざんや交換され且つデータ中継基板3を迂回する不正なバイパス経路が形成された場合にあっても、本実施例の構成では、メイン制御基板1から送信される制御データ(役抽選結果など)を取得できないことから、サブ制御基板2がストップスイッチの操作順を報知する制御を実行できない。これにより、不正にAT状態とすることによる利益の発生を、確実に防止できる。
【0046】
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。
例えば、上述の実施例は、メイン制御基板から送信する通信用データとデータ中継基板から送信する通信用データとの両方を暗号化するようにした構成であるが、一方のみを暗号化する構成とすることもできる。具体的には、メイン制御基板からは、原通信用データを通信用データとしてデータ中継基板へ送信し、データ中継基板で、原通信用データを暗号化して、暗号化した通信用データをサブ制御基板へ送信するようにしても良い。
【0047】
また、上述の実施例は、原通信用データの暗号化にRSA暗号化方式を用いているが、これに限らず、他の暗号化方式を適用することも可能である。例えば、AES暗号化方式やDES暗号化方式などを用いることができる。さらに、上述した実施例では、メイン制御基板での暗号化とデータ中継基板での暗号化とに同じ暗号化方式を用いているが、これに限らず、相互に異なる暗号化方式を用いることもできる。ここで、異なる暗号化方式を用いる場合には、相互に異なる暗号鍵を設定しても良いし、同一の暗号鍵を設定しても良い。
【0048】
また、上述の実施例は、メイン制御基板とデータ中継基板とで、原通信用データの全体を暗号鍵で暗号化することによって、通信用データを生成するようにしているが、これに限らず、原通信用データの構成データの、少なくとも一のデータを暗号鍵で暗号化することによって、通信用データを生成するようにしても良い。例えば、原通信用データの制御データのみを暗号鍵で暗号化する。さらに、メイン制御基板とデータ中継基板とで、異なる制御データを暗号鍵で暗号化するようにしても良い。
【0049】
また、上述した実施例は、暗号鍵で暗号化することにより通信用データを生成した構成であるが、これに限らず、他の暗号規則に従って通信用データを生成するようにしても良い。例えば、原通信用データを構成する複数の制御データの順番を変更することよって、通信用データを生成するようにしても良いし、原通信用データに、カムフラージュ用のダミーデータを構成データとして追加することによって、通信用データを生成するようにしても良い。さらに、こうした制御データの順番変更、ダミーデータの追加、暗号鍵の暗号化とを組み合わせたり、これらのいずれか一をメイン制御基板で用い、他をデータ中継基板で用いるようにしても良い。
【0050】
また、上述した実施例は、データ中継基板による不正検知が、サブ制御基板のROMの改ざんや交換を対象としたものであるが、これに限定されず、他の不正行為を検知するものであっても良い。例えば、データ中継基板に不正なデータが送信された場合に、この不正を検知するものとしても良い。この場合、データ中継基板は、メイン制御基板から送信される可能性があるデータを予め全て記憶しており、記憶されたデータと異なるデータを受信すると、不正として検知する。この他にも、不正電波の検知や前扉の不正開放などを検知するようにしても良い。さらに、上述した実施例では、データ中継基板が不正検知すると、サブ制御基板への通信用データの送信を停止するようにしているが、これに加えて、不正検知した場合に、不正検知に伴って、不正の発生を液晶表示器やスピーカなどで報知するようにしても良い。又は、不正検知すると、サブ制御基板の他の制御基板へ、不正の発生を通知するようにしても良い。
【0051】
また、上述した実施例は、AT抽選をサブ制御基板で実行する構成であるが、他の構成として、メイン制御基板でAT抽選を実行するようにしても良い。かかる構成にあっても、サブ制御基板のROMの改ざんや交換により、不正にAT状態とすることが可能であることから、本実施例と同様の作用効果を奏し得る。
【0052】
上述した実施例では、メイン制御基板1とサブ制御基板2との通信経路に、データ中継基板を配設した構成であるが、これに限らず、通信用データを送信する送信側の制御基板(第一制御基板)と、通信用データを受信する受信側の制御基板(第二制御基板)との通信経路に、データ中継基板を配設した構成であれば、本実施例と同様の作用効果を奏する。例えば、メイン制御基板を送信側の制御基板とし、コイン等の遊技媒体の払い出し制御を実行する払出制御基板を受信側の制御基板とし、その間に本発明のデータ中継基板を配設しても良い。この構成の場合にあっても、払出制御基板による遊技媒体の払出制御を不正に行うことによる利益獲得を、本発明によれば、上述の実施例と同様に防止できる。又は、メイン制御基板を送信側の制御基板とし、出玉数等の遊技履歴を管理する管理制御基板を受信側の制御基板とし、その間に本発明のデータ中継基板を配設する構成としても良い。
【0053】
上述の実施例は、本発明をスロットマシンに適用したものであるが、本発明は、パチンコ機等の遊技機にも同様にして適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 メイン制御基板(第一制御基板)
2 サブ制御基板(第二制御基板)
3 データ中継基板
【要約】
【課題】不正なバイパス経路が構築された場合に、不正な利益が発生することを防止し得る遊技機を提供する。
【解決手段】第一制御基板1と第二制御基板2の通信経路に配設され、通信停止条件の成立に伴って第二制御基板2への通信用データの送信を停止するデータ中継基板3を備え、データ中継基板3は、第一制御基板1から送信された通信用データを、暗号化規則に従って、当該通信用データと相互にデータ形式が異なる別の通信用データに変換して、第二制御基板2へ送信する。かかる構成によれば、第一制御基板1から第二制御基板2へ通信用データを直接送るバイパス経路が不正に構築された場合に、該バイパス経路を介した通信用データとデータ中継基板3を介した通信用データとでデータ形式が異なるため、この不正行為を防止できる。
【選択図】図3
図1
図2
図3