特許第6031185号(P6031185)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031185
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】乗り物用座席
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/48 20060101AFI20161114BHJP
   B60N 2/44 20060101ALI20161114BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   B60N2/48
   B60N2/44
   A47C7/38
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-507803(P2015-507803)
(86)(22)【出願日】2013年3月28日
(86)【国際出願番号】JP2013059266
(87)【国際公開番号】WO2014155606
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2015年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 重行
(72)【発明者】
【氏名】飯野 政志
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−140350(JP,U)
【文献】 実開平02−071352(JP,U)
【文献】 特開2000−102444(JP,A)
【文献】 特許第3316839(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/48
A47C 7/38
B60N 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを有するシートバックと、
前記フレームに支持されたホルダーブラケットと、
ヘッドレストと、
前記ヘッドレストの下端部より垂下し、前記ホルダーブラケットに係合して支持されるヘッドレストステーであって、前記ヘッドレストステーの長手方向に直交する方向に形成された係合部を有するヘッドレストステーと、
挿入された前記ヘッドレストステーを支持するホルダーと、を備え、
前記ホルダーは、前記ヘッドレストステーの前記係合部との係合により適宜の上下位置で前記ヘッドレストステーの上下移動をロック可能なステーロック部材を含み、
前記ステーロック部材は、
下方に移動することで前記ヘッドレストステーの前記係合部に前記ヘッドレストステーの周方向から係合可能であると共に上方向に移動することで前記ヘッドレストステーの前記係合部から離脱可能な爪部を有するフレキシブルホルダーと、
前記フレキシブルホルダーを上下何れかの方向に移動可能な操作部材と、を含む
乗り物用座席。
【請求項2】
前記ホルダーは、前記フレキシブルホルダーの前記爪部を収容する円錐孔を有し、
前記円錐孔は、前記フレキシブルホルダーの下方向への移動に応じて前記爪部を前記円錐孔の中心方向に撓ませる傾斜面を有する
請求項1に記載の乗り物用座席。
【請求項3】
前記フレキシブルホルダーの前記爪部は、前記ヘッドレストステーの周面から離れる方向に常時付勢された
請求項1に記載の乗り物用座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用座席、特に、乗り物用座席のヘッドレストの支持部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
乗り物、例えば自動車に搭載される座席のヘッドレストを上下の所定位置に保持する構造として、ヘッドレスト支持装置がある。このヘッドレスト支持装置は、所定の上下位置で確実に停止可能であるが、ヘッドレストを上下何れかに動かせるようにするため、摺動抵抗が少なくなるようにしている。また、製造誤差を吸収できるように部品間に遊びを設けているものが特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3316839号公報
【発明の概要】
【0004】
このような関連技術にあっては、部品間の遊びが大きいと、ヘッドレスト支持装置が自動車の走行に伴い、部品同士のぶつかる音(ガタ音とも言う)が発生する恐れがある。また、逆に、部品間の遊びが少ないと、摺動抵抗が大きくなり、ヘッドレストの上下調整の操作性が悪くなる。
【0005】
本発明は、ヘッドレストの上下調整の操作性に優れ且つガタ音の発生の無い乗り物用座席を提供することを目的とする。
【0006】
実施形態に係る乗り物用座席は、フレームを有するシートバックと、前記フレームに支持されたホルダーブラケットと、ヘッドレストと、前記ヘッドレストの下端部より垂下し、前記ホルダーブラケットに係合して支持されるヘッドレストステーであって、前記ヘッドレストステーの長手方向に直交する方向に形成された係合部を有するヘッドレストステーと、挿入された前記ヘッドレストステーを支持するホルダーとを備える。前記ホルダーは、前記ヘッドレストステーの前記係合部との係合により適宜の上下位置で前記ヘッドレストステーの上下移動をロック可能なステーロック部材を含む。前記ステーロック部材は、下方に移動することで前記ヘッドレストステーの前記係合部に前記ヘッドレストステーの周方向から係合可能であると共に上方向に移動することで前記ヘッドレストステーの前記係合部から離脱可能な爪部を有するフレキシブルホルダーと、前記フレキシブルホルダーを上下何れかの方向に移動可能な操作部材とを含む。
【0007】
上記構成によれば、操作部材を解除方向に操作することで、フレキシブルホルダーが上方に移動し、爪部がヘッドレストステーの係合部から離脱する。このため、ヘッドレストステーの摺動抵抗が無くなり、ヘッドレストステーの上下調整の操作性に優れる。また、操作部材を停止方向に操作することで、フレキシブルホルダーが下方に移動し、爪部がヘッドレストステーの係合部に係合してヘッドレストステーを周面から締め付ける。このため、ヘッドレストステーの上下動が不可能になると共に部品間の遊びが無くなるので、ガタ音の発生が無くなる。よって、商品性の優れた乗り物用座席とすることができる。
【0008】
前記ホルダーは、前記フレキシブルホルダーの前記爪部を収容する円錐孔を有し、前記円錐孔は、前記フレキシブルホルダーの下方向への移動に応じて前記爪部を前記円錐孔の中心方向に撓ませる傾斜面を有してもよい。
【0009】
上記構成によれば、フレキシブルホルダーの上下方向への移動により、ヘッドレストステーの可動及び固定を切替可能としている。
【0010】
また、前記フレキシブルホルダーの前記爪部は、前記ヘッドレストステーの前記周面から離れる方向に常時付勢されてもよい。
【0011】
上記構成によれば、フレキシブルホルダーを上方向に移動させるだけで爪部がヘッドレストステーの係合部から確実に離れるので、ヘッドレストステーの上下動の操作性が優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る乗り物用座席からヘッドレストを取り外した状態と、ヘッドレストステーの係合部を示す座席のシートバックの斜視図である。
図2図2は、図1のヘッドレストステーの支持装置の分解斜視図である。
図3図3は、図2の矢視Aに係るホルダーの上面図である。
図4図4は、図3のSB−SB線に沿う断面図である。
図5図5は、図4の操作部材を押し込んだことにより、フレキシブルホルダーが上方に移動した状態を示す断面図である。
図6図6は、図3のSC−SC線に沿う断面図である。
図7図7は、図6の操作部材を押し込んだことにより、フレキシブルホルダーを上方に移動させる手段を示す断面図である。
図8図8は、図1乃至図7に示すヘッドレスト支持装置の分解斜視図である。
図9図9は、図1乃至図7に示すフレキシブルホルダーの斜視図である。
図10図10は、図9のフレキシブルホルダーを下側から見上げた斜視図である。
図11図11は、図8の操作部材の拡大斜視図である。
図12図12は、図11の操作部材を下側から見上げた拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ヘッドレストの上下調整の操作性に優れ且つガタ音の発生が無い乗り物用座席を提供する、という目的を、以下の構成により実現した。すなわち、乗り物用座席が、フレームを有するシートバックと、前記フレームに支持されたホルダーブラケットと、ヘッドレストと、前記ヘッドレストの下端部より垂下し、前記ホルダーブラケットに係合して支持されるヘッドレストステーであって、前記ヘッドレストステーの長手方向に直交する方向に形成された係合部を有するヘッドレストステーと、挿入された前記ヘッドレストステーを支持するホルダーと、を備える。前記ホルダーは、前記ヘッドレストステーの前記係合部との係合により適宜の上下位置で前記ヘッドレストステーの上下移動をロック可能なステーロック部材を含む。前記ステーロック部材は、下方に移動することで前記ヘッドレストステーの前記係合部に前記ヘッドレストステーの周方向から係合可能であると共に上方向に移動することで前記ヘッドレストステーの前記係合部から離脱可能な爪部を有するフレキシブルホルダーと、
前記フレキシブルホルダーを上下何れかの方向に移動可能な操作部材とを含む。
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る乗り物を図1図12に基づいて説明する。本発明の一実施形態に係る乗り物、例えば自動車に配された座席の構成を説明する。
【0015】
座席Sは、シートバック1と、図示しない乗員の頭部を後側より保持可能なヘッドレスト2と、円柱状で金属製のヘッドレストステー3及び4とを備える。シートバック1の頂部1aには、ヘッドレスト2が支持されている。ヘッドレスト2からは、ヘッドレストステー3及び4が垂下されている。一方のヘッドレストステー3には、適宜の上下間隔でヘッドレストステー3の長手方向に直交する方向に溝状に形成された係合部3aが複数形成されており、この係合部3aの上下間隔がヘッドレスト2の上下高さの調節代となる。他方のヘッドレストステー4には、係合部3aに相当するものは形成されていない。
【0016】
シートバック1の頂部1aには、一方のヘッドレストステー3を支持するステーロック部材であるホルダー5と、他方のヘッドレストステー4を支持するホルダー6とがそれぞれ配されている。
【0017】
一方のホルダー5は、筒部10と、フレキシブルホルダー14と、第1頭部9と、操作部材8と、コイルスプリング12と、係止ロッド13とを備える。他方のホルダー6は、筒部10と、第2頭部11とを備える。第1頭部9及び第2頭部11には、スティ挿入口7がそれぞれ形成されている。
【0018】
筒部10は、合成樹脂により一体に形成されており、シートバック1のフレームに支持されたホルダーブラケット1cに挿入可能な本体10cと、ホルダーブラケット1cの下端部1caに係合可能な係合部10aと、ヘッドレストステー3がスムーズに上下動可能な挿入口10bと、本体10cの上端部に鍔状に形成されたフランジ部10dとを備える。挿入口10bは、本体10cの上端部から下端部まで貫通している。図4、5に示すように、筒部10の挿入口10bの上端側には、上端から下端に向けて内側に広がって傾斜する傾斜面10fを有する(つまり、下端に行くに連れて径が狭くなる)円錐孔10eが設けられている。円錐孔10e内には、フレキシブルホルダー14の爪部14a(後述)が収容される。円錐孔10eの傾斜面10fは、フレキシブルホルダー14が円錐孔10e内に深く入るほど(つまり、下方向に位置するほど)爪部14aの幅を狭める(つまり、爪部14aを円錐孔10eの中心方向に撓ませる)ようになっている。
【0019】
フレキシブルホルダー14は、合成樹脂により一体に形成されている。フレキシブルホルダー14は、ヘッドレストステー3がスムーズに上下動可能なリング状をなし且つ筒部10の上端部に係止してそれ以上落ちないつば状のフランジ14dを有する。フランジ14dには、操作部材8が係合する位置決めバー14cが2個形成されており、フランジ14dから短冊状に垂下された爪部14aが12個形成されている。フランジ14dの下方の面には、斜面を有するガイド面15が形成されている。爪部14aの最下端の内側には、係止部14bが形成されている。係止部14bは、ヘッドレストステー3の周面に形成された係合部3aに係合可能である。フレキシブルホルダー14は、合成樹脂と説明したが、バネ鋼よりなっていても良い。要は、爪部14aがスプリング性能を有していればどのような材料でも良い。
【0020】
第1頭部9は、合成樹脂により一体に形成されている。第1頭部9は、ヘッドレストステー3が挿入可能なスティ挿入口7が上面に形成されており、下方と側方の一方とには開口が形成されている。下方の開口により予め操作部材8及びフレキシブルホルダー14が組み立てられた後に第1頭部9が嵌合してある。第1頭部9の側方の一方に形成された開口には、操作部材8が略水平方向に進退自在に挿入されている。操作部材8の側方の他方には、第1突起部8aが形成されている。第1頭部9に挿入した状態の操作部材8の第1突起部8aに対向する位置には、第2突起部9aが形成されている。第1突起部8a及び第2突起部9aの間には、コイルスプリング12が圧入されて、操作部材8を図4の右方向に常時付勢している。
【0021】
係止ロッド13は、ヘッドレストステー3の係合部3aに係合可能に操作部材8に支持されている。フレキシブルホルダー14の爪部14a及び係止ロッド13が、共にヘッドレストステー3の係合部3aに係合可能としている。但し、フレキシブルホルダー14の爪部14aが、ヘッドレストステー3の周面に圧接可能で有り且つ係止ロッド13が、ヘッドレストステー3の係合部3aに係合可能としていても良い。
【0022】
第1頭部9と操作部材8とは、図6に示すように、寸法Lだけ常時コイルスプリング12により押圧されて操作部材8が第1頭部9から突出するように支持されている。図5及び図7に示すように、操作部材8を黒矢印Fに示すように押圧することで、寸法Lがゼロになる位置まで操作部材8を押圧して移動可能となっている。
【0023】
操作部材8は、ヘッドレストステー3が貫通可能であると共に操作部材8の移動代分ヘッドレストステー3から逃げた貫通穴8cを備える。操作部材8は、操作部材8を押圧するボタン8eを備える。
【0024】
本発明の実施形態の作用を次に説明する。
【0025】
操作部材8を、図5及び図7に示す黒色矢印Fのように解除方向に操作することで、操作部材8の第1押圧部材8b及び第2押圧部材8dがフレキシブルホルダー14のガイド面15を持ち上げ可能としている。これにより、フレキシブルホルダー14が、図4の位置から図5の白抜き矢印のように、距離H上方に移動する。フレキシブルホルダー14が上方に移動すると、フレキシブルホルダー14の爪部14aが、円錐孔10eの傾斜面10fによる内側への矯正が徐々に解除されて外側に内径が広くなっていく。すると、フレキシブルホルダー14の爪部14aとヘッドレストステー3の周面との摺動抵抗が低くなっていく。最終的には、フレキシブルホルダー14の爪部14aがヘッドレストステー3の周面から離れ、フレキシブルホルダー14の爪部14aとヘッドレストステー3との間に遊びができて摺動抵抗がなくなる。このとき、フレキシブルホルダー14の爪部14aがヘッドレストステー3の係合部3aから離脱する。これにより、ヘッドレストステー3の摺動抵抗が低く、或いは無くなり、操作力が軽くなって、ヘッドレストステー3の上下動が可能になる。このようにフレキシブルホルダー14を上方に移動させるだけで爪部14aがヘッドレストステー3の係合部3aから確実に離れるので、ヘッドレストステー3の上下調整の操作性に優れる。ヘッドレストステー4とホルダー6とは元々摺動抵抗がない。
【0026】
また、係止ロッド13が係合部3aから離脱し、フレキシブルホルダー14とヘッドレストステー3とが当接している状態(ハーフロック状態)では、フレキシブルホルダー14とヘッドレストステー3との摺動抵抗は低いので、ヘッドレスト2は、ヘッドレストステー3の係合部3aの位置まで上下移動可能である。
【0027】
また、操作部材8を停止方向に操作する、即ち、黒色矢印Fの方向の操作をしないことで、コイルスプリング12の付勢力により、フレキシブルホルダー14が下方に移動する。フレキシブルホルダー14が下方に移動すると、フレキシブルホルダー14の爪部14aが、円錐孔10eの傾斜面10fに矯正されて内側に倒れて内径が小さくなっていく。すると、フレキシブルホルダー14の爪部14aがヘッドレストステー3の周面に当接し、フレキシブルホルダー14の爪部14aとヘッドレストステー3の周面との摺動抵抗が高くなっていく。最終的には、フレキシブルホルダー14の爪部14aがヘッドレストステー3の係合部3aに係合して、フレキシブルホルダー14の爪部14aとヘッドレストステー3との間に遊びがなくなる。このとき、爪部14aがヘッドレストステー3の係合部3aに係合してヘッドレストステー3を周面から締め付ける。これにより、ヘッドレストステー3の上下動が不可能になると共に部品間の遊びが無くなるので、ガタ音の発生が無くなる。
【0028】
また、フレキシブルホルダー14を上方向に移動させるだけで爪部14aがヘッドレストステー3の係合部3aから確実に離れるので、ヘッドレストステー3の上下動の操作性が優れる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12