(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031187
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】ゲートドライバ通信方法およびゲートドライバ通信装置
(51)【国際特許分類】
H02M 1/08 20060101AFI20161114BHJP
H03K 17/56 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H03K17/56 Z
【請求項の数】26
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-512658(P2015-512658)
(86)(22)【出願日】2013年4月11日
(65)【公表番号】特表2015-524241(P2015-524241A)
(43)【公表日】2015年8月20日
(86)【国際出願番号】US2013036061
(87)【国際公開番号】WO2013173005
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2014年11月12日
(31)【優先権主張番号】13/470,973
(32)【優先日】2012年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ゾエルズ,トーマス・アロイス
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ヘンリー・トッド
(72)【発明者】
【氏名】マリ・キュベロ,アルヴァロ・ホルヘ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア・クレメンテ,ミゲル
【審査官】
鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−060793(JP,A)
【文献】
特開2009−284162(JP,A)
【文献】
特開2007−013577(JP,A)
【文献】
特開2003−304219(JP,A)
【文献】
特開昭61−120544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
H03K17/00−17/70
H04L12/28
H04L12/44−12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート駆動ユニット(401、402)で、前記ゲート駆動ユニット(401、402)のコマンドリンク(428)を介して受信されるコマンド信号(OC)の状態の変化(604)を検出することと、
前記コマンド信号(OC)の状態の前記変化(604)に対応して、前記ゲート駆動ユニット(401、402)が着信データとして前記コマンド信号(OC)の状態の少なくとも1つのさらなる変化(604)を処理するブランキング期間(602)を開始することと、
前記ブランキング期間(602)内に、前記コマンド信号(OC)の変調を処理することによって、前記ゲート駆動ユニット(401、402)で前記着信データを受信することと、
を含む、通信方法。
【請求項2】
フィードバック信号(FS)の変調によって、前記ブランキング期間(602)内に、前記コマンドリンク(428)を介して前記ゲート駆動ユニット(401、402)から発信データを送信することを、さらに含む、請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記発信データは、メモリ(426)に測定値(Vx1、Vx2・・・Vxn)を記憶することによって作成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記発信データは、前記ゲート駆動ユニット(401、402)を識別するデータを含む、請求項2または3に記載の通信方法。
【請求項5】
前記着信データは、前記発信データに含まれるべき動作データ(608)を選択するための読み出しアドレス(618)を含む、請求項2から4のいずれかに記載の通信方法。
【請求項6】
前記着信データは、前記ゲート駆動ユニット(401、402)の動作パラメータを更新するための書き込みアドレス(614)を含む、請求項1から5のいずれかに記載の通信方法。
【請求項7】
前記着信データは、ゲート駆動電圧(Vg)の更新された設定値(441)を含む、請求項1から6のいずれかに記載の通信方法。
【請求項8】
前記着信データは、前記ブランキング期間(602)の継続のための更新された値を含む、請求項1から7のいずれかに記載の通信方法。
【請求項9】
半導体電力スイッチ(220)と、
前記半導体電力スイッチ(220)に接続されているゲート駆動ユニット(401、402)と、
コントローラ(140)と通信して前記ゲート駆動ユニット(401、402)を接続するコマンドリンク(428)と、
を備える電力スイッチ装置であって、
前記ゲート駆動ユニット(401、402)は、前記コマンドリンク(428)を介して前記コントローラ(140)からコマンド信号(OC)を受信するように、前記コマンド信号(OC)の状態の変化(604)を検出するように、前記コマンドの状態の前記変化(604)に対応して、前記ゲート駆動ユニット(401、402)が着信データとして前記コマンド信号(OC)の状態の少なくとも1つのさらなる変化(604)を処理するブランキング期間(602)を開始するように、かつ、前記ブランキング期間(602)内に、前記コマンドリンク(428)を介して着信データを受信するように、構成されている、
電力スイッチ装置。
【請求項10】
前記ゲート駆動ユニット(401、402)は、さらに、前記ブランキング期間(602)内に、前記コマンドリンク(428)を介して前記コントローラ(140)に発信データを送信するように構成されている、請求項9に記載の電力スイッチ装置。
【請求項11】
前記発信データは、フィードバック信号(FS)の変調を介して送信される、請求項10に記載の電力スイッチ装置。
【請求項12】
前記半導体電力スイッチ(220)の少なくとも1つの特性の値(Vx1、Vx2・・・Vxn)を測定するように構成されているセンサ装置を、さらに備え、前記発信データは、前記測定値(Vx1、Vx2・・・Vxn)を含む、請求項10または11に記載の電力スイッチ装置。
【請求項13】
前記発信データは、前記ゲート駆動ユニット(401、402)を識別するデータを含む、請求10から12のいずれかに記載の電力スイッチ装置。
【請求項14】
前記着信データは、前記発信データに含まれるべき動作データ(608)に対する読み出しアドレス(618)を含む、請求項10から13のいずれかにに記載の電力スイッチ。
【請求項15】
前記着信データは、前記ゲート駆動ユニット(401、402)の動作パラメータを更新するための書き込みアドレス(614)を含む、請求項9から14のいずれかにに記載の電力スイッチ。
【請求項16】
前記着信データは、ゲート駆動電圧(Vg)の更新された設定値(441)を含む、請求項9から15のいずれかに記載の電力スイッチ装置。
【請求項17】
前記着信データは、前記ブランキング期間(602)の継続のための更新された値を含む、請求項9から16のいずれかに記載の電力スイッチ装置。
【請求項18】
複数の半導体電力スイッチ(220)と、
前記複数の半導体電力スイッチ(220)にゲート電圧を提供するように接続されている複数のゲート駆動ユニット(401、402)であって、各ゲート駆動ユニット(401、402)は、コントローラ(140)と通信して、そのゲート駆動ユニット(401、402)を接続するためのコマンドリンク(428)を備え、各ゲート駆動ユニット(401、402)は、前記コマンドリンク(428)を介して前記コントローラ(140)からコマンド信号(OC)を受信するように構成されている、複数のゲート駆動ユニット(401、402)と、
を備える電力コンバータ(110)であって、
前記ゲート駆動ユニット(401、402)の少なくとも1つは、前記コマンド信号(OC)の状態の変化(604)を検出するように、前記コマンド信号(OC)の状態の前記変化(604)に対応して、ブランキング期間(602)を開始するように、かつ、前記ブランキング期間(602)内に、着信データとして前記コマンド信号(OC)の状態の任意のさらなる変化(604)を処理するように、構成されている、
電力コンバータ(110)。
【請求項19】
前記ゲート駆動ユニット(401、402)の少なくとも1つは、前記ブランキング期間(602)内に前記コマンドリンク(428)を介して前記コントローラ(140)に発信データを送信するように構成されている、請求項18に記載の電力コンバータ(110)。
【請求項20】
前記発信データは、フィードバック信号(FS)の変調を介して送信される、請求項19に記載の電力コンバータ(110)。
【請求項21】
前記発信データは、前記ゲート駆動ユニット(401、402)の少なくとも1つが接続されている前記半導体電力スイッチ(220)の少なくとも1つのパラメータの測定値(Vx1、Vx2・・・Vxn)を含む、請求項19または20に記載の電力コンバータ(110)。
【請求項22】
前記発信データは、前記ゲート駆動ユニット(401、402)の少なくとも1つを識別するデータを含む、請求項19から21のいずれかに記載の電力コンバータ(110)。
【請求項23】
前記着信データは、前記発信データに含まれるべき動作データ(608)に対する読み出しアドレス(618)を含む、請求項18から22のいずれかに記載の電力コンバータ(110)。
【請求項24】
前記着信データは、前記ゲート駆動ユニット(401、402)の少なくとも1つの動作パラメータを更新するための書き込みアドレス(614)を含む、請求項18から23のいずれかに記載の電力コンバータ(110)。
【請求項25】
前記着信データは、ゲート駆動電圧(Vg)の更新された設定値(441)を含む、請求項18から24のいずれかに記載の電力コンバータ(110)。
【請求項26】
前記着信データは、前記ブランキング期間(602)の継続のための更新された値を含む、請求項18から25のいずれかに記載の電力コンバータ(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、電力コンバータに関する。他の実施形態は、電力コンバータのための通信プロトコルに関する。
【背景技術】
【0002】
列車は、通常、機関車に押されるかまたは引っ張られる多数の車両を備える。機関車は、線路に係合する牽引ホイールを有する。最新の設計では、電気ホイールモータは、牽引ホイールを駆動する。電気ホイールモータは、機関車の中に収納されている1以上のエンジン駆動発電機からの配電を経由して電力を供給される。牽引ホイールおよびホイールモータは、機関車を減速するためのブレーキとしても機能するように、可逆的に構成することができる。
【0003】
同様に、鉱業業界では、大型オフハイウェイ車両(「OHVs」)は、通常、車両を推進させるまたは遅らせるための電気モータ式のホイールを採用している。特に、OHVsは、典型的には、オルタネータ、主牽引インバータ、および車両の後タイヤ内に収納されている一対のホイール駆動組立体と共に、大馬力ディーゼルエンジンを備える。ディーゼルエンジンがオルタネータを駆動するように、ディーゼルエンジンは、オルタネータに直接に関連付けられている。オルタネータは、主牽引インバータに電力を供給しており、主牽引インバータにおいて、半導体電力スイッチは、電力を2輪駆動組立体の電気駆動モータに供給するために、オルタネータの出力電流を整流する。
【0004】
機関車およびOHVの用途の両方において、固体電力コンバータ(例えば、上記の牽引インバータ)は、発電機またはオルタネータからホイールモータに高圧電流を供給するために使用される。このような電力コンバータは、電流を整流するための半導体電力スイッチだけでなく、電圧を降圧するための誘導コイルを備える。上記の用途は典型的であるが、電力コンバータが他の多くの環境において使用され得ることが、理解されるであろう。
【0005】
概して、電力コンバータの動作は、個々の半導体電力スイッチに、対応するゲート駆動ユニットを介して、2つの異なるゲート電圧レベル(例えば、「オフ」電圧および「オン」/駆動電圧)を交互に印加することによって、達成される。電力スイッチが接続されている回路の電気的パラメータに応じてゲート電圧に対して半導体電力スイッチが異なった応答をすることは、既知の問題である。したがって、電力コンバータの効率は、半導体電力スイッチに影響を与える電気的パラメータの動作範囲にわたって変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2,302,795号公報
【発明の概要】
【0007】
したがって、電力コンバータの動作中に電気パラメータを監視し、かつ、コンバータの効率を高めるようなパラメータに適応することが、望ましい。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、通信方法は、ゲート駆動ユニットで、前記ゲート駆動ユニットのコマンドリンクを介して受信されるコマンド信号の状態の変化を検出することを含む。(ゲート駆動ユニットは、例えば、電力コンバータにおいて半導体電力スイッチを駆動するように、構成されてもよい。)この方法は、前記コマンド信号の状態の前記変化に対応して、前記ゲート駆動ユニットが着信データとして前記コマンド信号の状態のさらなる任意の変化を処理するブランキング期間を開始することを、さらに含む。前記方法は、前記ブランキング期間内に、前記コマンド信号の変調を処理することによって、前記ゲート駆動ユニットで着信データを受信することを、さらに含む。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、電力スイッチ装置は、半導体電力スイッチと、前記半導体電力スイッチに接続されているゲート駆動ユニットと、コントローラと通信して前記ゲート駆動ユニットを接続するコマンドリンクと、を備える。前記ゲート駆動ユニットは、前記コマンドリンクを介して前記コントローラからのコマンド信号を受信するように、かつ前記コマンド信号の状態の変化を検出するように、構成されている。前記ゲート駆動ユニットは、前記コマンド信号の状態の前記変化に応答して、前記ゲート駆動ユニットが着信データとして前記コマンド信号の状態の少なくとも1つのさらなる変化を処理するブランキング期間を開始するように、かつ、前記ブランキング期間内に、前記コマンドリンクを介して着信データを受信するように、構成されている。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態によれば、電力コンバータは、複数の半導体電力スイッチと、複数のゲート駆動ユニットとを備える。各ゲート駆動ユニットは、前記複数の半導体電力スイッチのうちの1つにゲート電圧を供給するように接続されている。各ゲート駆動ユニットは、コントローラと通信して、そのゲート駆動ユニットを接続するためのコマンドリンクを備える。各ゲート駆動ユニットは、前記コマンドリンクを介して前記コントローラからのコマンド信号を受信するように構成されている。少なくとも1つのゲート駆動ユニットは、前記コマンド信号の状態の変化を検出するように、前記コマンド信号の状態の前記変化に対応して、前記ブランキング期間を開始するように、かつ、前記ブランキング期間内に、着信データとして、前記コマンド信号の状態の任意のさらなる変化を処理するように、構成されている。
【0011】
本発明は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことにより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】3相半導体電力コンバータを備え、本発明の実施形態に係るゲート駆動ユニットによって制御することができる、ディーゼル電気牽引システムの概略図である。
【
図2】半導体電力スイッチおよびフリーホイールダイオードを備える、
図1に示される電力コンバータのスイッチ装置の概略図である。
【
図3】
図2に示されるスイッチ装置の外観の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る、
図2に示されるスイッチ装置に接続されているゲート駆動ユニットの概略図である。
【
図5】従来のゲート駆動ユニットによって切り替えられる半導体電力スイッチの電力過渡現象の波形グラフを示している。
【
図6】概略図での、本発明の実施形態に係る、第1双方向通信プロトコルで使用可能な信号フォーマットである。
【
図7】本発明の実施形態に係る、
図6に示される対応配位信号フォーマットのための通信プロトコルのフローチャートである。
【
図8】本発明の別の実施形態に係る、双方向通信プロトコルにおける、ゲート駆動ユニットへのおよびゲート駆動ユニットからのコマンド信号およびデータ信号のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
参照が、本発明の例示的な実施形態に対して詳細に以下でなされるであろう。本発明の実施例は、添付の図面に示されている。可能な限り、図面全体を通して使用される同じ参照符号は、同一または同様の部品を指している。本発明の例示的な実施形態は、電力コンバータに関して説明されるが、本発明の実施形態は、概して、負荷に電力を供給するためのスイッチング電流に適した任意の固体デバイスを意味する、半導体電力スイッチと一緒の使用にも適用可能である。
【0014】
図1は、本発明の実施形態で使用されてもよいディーゼル電気牽引システム100の概略図である。示されるように、燃焼装置102は、3相発電機104を駆動する。発電機104によって生成されるAC電圧は、3相ダイオードアレイ106によって整流され、電圧Vdcを、コンデンサ108および電力コンバータ110にわたって接続されているDCリンク107に供給する。電力インバータは、本明細書中でスイッチ「モジュール」とも呼ばれており、出力リード120を介して牽引モータ130に3相電力を供給するために一緒に電圧Vdcを整流する、スイッチ装置111、112、113、114、115、116を備える。本発明の1つの観点によれば、各スイッチモジュールは、
図4を参照して以下でさらに説明されるように、ゲート駆動ユニット401、402、403、404、405、406によって制御されかつ監視される。ゲート駆動ユニットは、中央コントローラ140によって調整される。
【0015】
図2は、概略図で、スイッチ装置112を示しており、一方、
図3は、斜視図で、スイッチ装置112のケース320の実施形態を示している。
図2に示されるように、スイッチ装置112は、そのケース320内に、半導体電力スイッチ220およびフリーホイールダイオード221を備える。半導体電力スイッチ220は、接合部224によって接合されているコレクタ222およびエミッタ223を有する。接合部224において、ゲート225は、関連するゲート駆動ユニット402からゲート電圧Vgおよびゲート電流Igeを受信するように接続されている。フリーホイールダイオード221は、半導体電力スイッチ220と逆平行に接続されており、フリーホイールダイオードの陽極は、半導体電力スイッチエミッタ223に接続されており、一方、フリーホイールダイオードの陰極は、半導体コレクタ222に接続されている。
【0016】
コレクタ222は、スイッチ装置ケース320に備えられているコレクタ端子322を介して、出力リード120の1つおよび電気的に隣接するスイッチ装置113に、接続されている。エミッタ223は、スイッチ装置ケース320に備えられているエミッタ端子323を介して、コンデンサ108および整流器106の低圧側で、DCリンク107に接続されている。ゲート駆動ユニット402は、制御端子326を介して半導体電力スイッチゲート225に接続されている。
【0017】
図2は、特に、半導体電力スイッチが絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である例示的な実施形態を示しているが、本発明は、非限定的な実施例として、バイモード絶縁ゲート電力トランジスタ(BiGTs)、MOSFETsおよび他のJFETを含む、他の固体半導体デバイスにも適用可能である。
図2は、単一の半導体電力スイッチ220および単一のフリーホイールダイオード221のみを示しているが、他の実施形態では、多数の電力スイッチおよびダイオードが、単一のスイッチ装置内に収容されてもよい。
【0018】
電力コンバータ110の最適な利用および安全な動作のために、実施形態では、個々の半導体電力スイッチ220の動作は、電力コンバータの動作パラメータにおける変化に応じて、調整されている。例えば、ある実施形態では、個々の電力スイッチの「スイッチオン」(活性化)中の電流スルーレートが、調整されている。本発明の観点では、このような調整が、中央コントローラ140と各ゲート駆動ユニット401との間の通信を介して、達成されている。
【0019】
したがって、
図4は、概略図で、本発明の実施形態に係るスイッチ装置112に接続されているゲート駆動ユニット402を示している。ゲート駆動ユニット402は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)420を備え、1つの実施形態におけるプログラマブルロジックコントローラ(PLC)420は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)であることが可能である。(他の実施形態では、コントローラ420は、別の種類のコントローラである。)ゲート駆動ユニット402は、また、DC電源421、コマンドリンクコネクタ422、メモリ426、およびいくつかの信号接続を備える。具体的には、コマンドリンクコネクタ422は、コマンドリンク428を介して中央コントローラ140に接続されている。コマンドリンク428およびコマンドリンクコネクタ422を通じて、中央コントローラ140は、PLC420に、コマンド(オペレータ制御)信号OCを提供することができる。
【0020】
メモリ426は、「不揮発性」であることができ、言い換えれば、ゲート駆動ユニット402が電力を供給されていない場合に、記憶されたデータを維持することができる。他の実施形態において、メモリ426は、「揮発性」であり、すなわち、ゲート駆動ユニット402が電力を供給されている間、記憶されたデータを維持する。
【0021】
特定の実施形態では、典型的には、高電圧(>1200V)半導体電力スイッチと一緒の使用のために、コマンドリンク428は、対になった光ファイバであり、コマンドリンクコネクタ422は、2チャンネル光コンバータである。コマンドリンクコネクタ422は、また、双方向(単繊維)コマンドリンクと一緒の使用のために、構成されてもよい。さらに他の実施形態では、典型的には、低電圧(<1200V)半導体電力スイッチと一緒の使用のために、コマンドリンクコネクタは、例えば、1以上のねじ羽子板、同軸プラグ、USBソケット、RJ−45ジャック、RJ−25、RJ−14、またはRJ−11のジャック、または同様のもののような、電気コネクタであってもよい。コマンドリンクコネクタは、また、無線(ラジオまたは近接場効果)受信機または送受信機であってもよく、その上、コマンドリンクは、無線のover−the−airであってもよい。
【0022】
図4をさらに参照すると、コマンド信号OCに応じて、PLC420は、制御端子326を介して、半導体電力スイッチにゲート駆動電圧Vgを供給するように、出力段440を調整する。(ゲート駆動電圧は、負荷に電流を供給するように電力スイッチを作動させるための電圧を意味する。)PLC420は、メモリ426内の参照テーブル442に記憶されている(ゲート駆動電圧のための)複数の所定値または設定値441の1つを選択し、かつ設定値にVgを一致させるように、出力段440を調整する。本発明の特定の観点では、所定の設定値441は、時間系列配列または時間関数を含み、それぞれ、複数の基準値の1つに対応している。
【0023】
ゲート駆動ユニットは、ADC(アナログ−デジタルコンバータ)424を備えてもよい。ADC424は、ゲート駆動ユニット402により駆動される半導体電力スイッチ220に関連している、様々な測定値Vx1、Vx2・・・Vxnを収集する。PLC420は、中央コントローラ140に対するこの収集されたデータの送信を待つ間、メモリ426に測定値を記憶する。本発明の観点によれば、半導体電力スイッチ220に関連する測定値Vxnは、PLC420およびコマンドリンク428を介して、ゲート駆動ユニット402からまた中央コントローラ140に、通知され得る。
【0024】
しかし、コマンドリンク428を介する、制御およびデータ信号送信の以前の議論は、従来のゲート駆動ユニットの欠陥を見落としている。すなわち、それらは、データを送信するように、受信するように、または転送するようにではなく、オンまたはオフ信号に応じて半導体電力スイッチにゲート電圧を提供するようにのみ、設計されている。この点に関して、
図5は、従来の「通常オフ」ゲート駆動ユニットおよび半導体電力スイッチの典型的な動作を示している。特に、
図5は、ゲート駆動ユニットが、コマンド信号OCのHIGH状態を受信している間、正のゲート電圧Vg_onを送信し、コマンド信号OCのLOW状態を受信している間、負のゲート電圧Vg_offを送信することを、示している。これに応答して、ゲート駆動ユニットによってバイアスをかけられる半導体電力スイッチは、スルー電圧Vceおよびスルー電力電流Ice(through voltage Vce and power current Ice)の典型的な過渡現象を示す。(図示せぬ)他の従来のゲート駆動ユニットは、「通常オン」である。従来のゲート駆動ユニットは、コマンド信号OCの特定の継続HIGHパルスの受信時に状態を切り替え、コマンド信号OCのLOW状態の間に定常状態を維持する。このような設計では、切り替えコマンド以外の信号を処理するための準備はない。しかし、ゲート駆動ユニットにとって、コマンド信号OCの状態の変化を認識するかまたはゲート駆動ユニットの状態の変化を報告するフィードバック信号FSを、送信することは、典型的である。
【0025】
コマンドリンクを介して従来のゲート駆動ユニットに送信され、
図5に示されるように、状態を変化させることにより、コマンド信号における状態の変化を処理するように構成されているデジタルデータは、付随する電気的過渡現象、熱応力、およびシステムの寿命における全体的な有害な影響を伴う、そのゲート駆動ユニットによって制御される半導体電力スイッチの急速切り替えを引き起こす可能性がある。したがって、実施形態では、(所定量の時間の)所定の「ブランキング期間」は、コマンド信号OCの状態の変化に続いて、与えられる。有限のブランキング期間の間、ゲート駆動ユニットは、コマンド信号OCの初期変化によって設定される定常状態を維持し、コマンド信号の状態のさらなる変化を処理する。「処理する」は、状態のさらなる変化を検出することと、ブランキング期間が有効でなかった場合に、ゲート駆動ユニットが動作しないという方法で、状態の変化に対応して動作することとを、含む。例えば、ブランキング期間中に、ゲート駆動ユニットは、通常、負荷に電流を供給するための電力スイッチの活性化または不活性化を引き起こす状態の変化を、検出してもよい。ブランキング期間中に、状態の変化に応答して、電力スイッチを活性化または非活性化する代わりに、ゲート駆動ユニットは、通信データとして、コマンド信号の変調を処理する。
【0026】
本発明の実施形態によれば、ゲート駆動ユニットへのおよびゲート駆動ユニットからのデータ転送は、
図6および
図7に示されるように、信号フォーマットおよび通信プロトコルを使用して提供される。
図6は、担体としてコマンド信号OCを使用する、中央コントローラ140からゲート駆動ユニット402へのデータ転送のためのフォーマット600を示している。
図6は、また、担体としてフィードバック信号FSを使用する、ゲート駆動ユニットから中央コントローラ140へのデータ転送のためのフォーマット601を示している。
図6において、略語「S/N」は、各ユニットに固有であってもよい、または、本発明の特定のモデルまたは実施形態にわたって共通であってもよい、シリアル番号または他の識別子を指している。
【0027】
実施形態では、信号フォーマット600、601は、10μs(10マイクロ秒)内に、ゲート駆動ユニットがコマンド信号OCの状態の変化に関係なく定常状態(一定のゲート電圧Vg)を維持するブランキング期間602を、収めるように設計されている。このようなブランキング期間は、例としては、コマンド信号OCにおける状態の「ステップ変化」604の後で、約10μs間続いてもよい。特定の実施形態では、「ステップ変化」は、約1μs(マイクロ秒)の期間内に、設計のHIGHおよびLOWの電圧レベルの間の差の特定の割合よりも大きい変化があるとして、説明されてもよい。特定の実施形態では、「ステップ変化」は、HIGHからLOWへの差の約60パーセント(60%)以上であってもよい。概して、「ステップ変化」は、期待ノイズ値と区別することができる信号における変化であり、いくつかの定義済みの信号レベル間の変化を含んでもよい。したがって、コマンド信号OCが異常にノイズを含む場合であっても、最悪の場合でも、ブランキング期間に対して設定されているゲート駆動ユニットは、10μsに1回以下で切り替えないであろう。
【0028】
本発明の観点によれば、ブランキング期間は、コマンドを切り替えること以外のデータの交換に使用される。そうするために、ゲート駆動ユニット402は、指定されたブランキング期間内に収まるように設計されている通信プロトコルにしたがって、データを送信するようにかつ受信するように構成されている。
【0029】
図7は、例示的な通信プロトコル700を形成するフローチャートを示しており、通信プロトコル700は、コマンド信号OCの「ステップ変化」604を送信する中央コントローラ140によって開始され得る。ステップ701では、ゲート駆動ユニット402は、また中央コントローラ140に「ノッチ」606を送信することによって、通信プロトコル700を継続することができる。「ノッチ」606は、フィードバック信号FSの簡単な反転(HIGH、LOW、HIGHに、または、LOW、HIGH、LOWに)である。ノッチ606は、中央コントローラ140に、双方向データ送信がコマンド信号OCのステップ変化に続くブランキング期間内にゲート駆動ユニット402によって有効にされることを、示している。ノッチ606を送信した直ぐ後に、ゲート駆動ユニット402は、ステップ702で、動作データ608を送信する。
【0030】
図6に示される実施形態では、動作データ608は、ゲート駆動シリアル番号、半導体電力スイッチシリアル番号、電力スイッチ電圧降下Vce、電力切り替え電流Ice、およびスイッチ装置ケース温度Tcまたは電力スイッチ接合部推定温度のうちの少なくとも1つを、含む。ゲート駆動シリアル番号および半導体電力シリアル番号は、例えば、Vg設定値441の適切な値を決定するための(図示せぬ)中央コントローラで使用することができる。
【0031】
「ステップ変化」604がコマンド信号OCに加えられたときに開始する遅延605の間に、中央コントローラ140は、ノッチ606のためのフィードバック信号FSを確認する方法ステップ703を実行する。特定の実施形態では、
図6に示されるように、遅延は、約3(3)μsの継続であってもよい。ノッチ606が検出される場合には、その後、方法ステップ704で、中央コントローラ140は、ゲート駆動ユニット402によって送信される動作データ608を読み取ることを、直ぐに開始する。遅延605の終わりに、中央コントローラ140は、方法ステップ705で、ゲート駆動ユニット402に認識ノッチ610を送信し、続いて、方法ステップ706で、再構成データ612を送信する。ゲート駆動ユニットは、ノッチを受信する並列な方法ステップ707を実行し、その後、方法ステップ708で、再構成データを受信する。例えば、再構成データ612は、ゲート電圧Vgの更新された目標値、ならびに正常性監視目的のために使用される選択動作パラメータの更新された閾値を、含むことができる。
【0032】
同6に示されるように、プロトコル700は、ブランキング期間602内のコマンド信号OCの変調を介して、中央コントローラ140からゲート駆動ユニット402への再構成データ612の送信を提供する。例えば、信号フォーマット601は、調整される動作パラメータの書き込みアドレス614(例えば、ゲート電圧Vgの順序付けられたレベルを記憶するゲート駆動ユニットメモリ426内のアドレス)、ならびに動作パラメータを調整するための新しい値616を、を送信することを提供する。これは、着信再構成データ612の受信、処理、および記憶に基づいて、フィールド変化または同様なものとして、ゲート駆動ユニット402の動作中の再プログラミングを可能にする。一例として、書き込みアドレス614は、
図4を参照して上述したように、複数の設定値441のうちの1つに対応してもよく、一方、新しい値616は、電力コンバータ110の動作パラメータに応じて、その設定値を調整してもよい。別の例として、書き込みアドレス614は、ブランキング期間602の継続に対応してもよく、新しい値616は、その継続を調整してもよい。
【0033】
特定の実施形態では、書き込みアドレス614および新しい値616は、「バルクデータ」に対して送信を許可するために、ゲート駆動ユニット402に、ブランキング期間602の継続を延長させてもよい。「バルクデータ」は、スイッチ作動データまたは起動データのような例示的な信号フォーマット600、601を越えるデータのパケットを説明することを意味している。したがって、「バルクデータ」は、ゲート電圧レベルの変化なしに、ブランキング期間602のデフォルトの継続を著しく超える期間の間、連続的なデータ送信を必要とする。このように、ブランキング期間は10μsである場合、バルクデータ送信は、10μs以上を必要とする。例えば、いくつかの観点では、バルクデータ送信は、ブランキング期間602が、20μs以上に対してリセットされることを必要とする。選択された観点では、バルクデータ送信は、ブランキング期間602が、50μs以上に対してリセットされることを必要とする。したがって、バルクデータ送信は、例えば、ゲート駆動ユニットまたは電力コンバータの作動、始動、またはメンテナンス中に、任意の時間間隔の間、ゲート駆動ユニットがオンまたはオフに保持され得る特殊な条件下で、行われるべきである。「バルクデータ」パケットは、典型的には、書き込みアドレス614と、ブランキング期間602をそのデフォルト(動作)継続にリセットする新しい値616とで、終了する。それにもかかわらず、方法ステップ709で、ブランキング期間が時間切れになる。
【0034】
さらに、プロトコル700は、ゲート駆動ユニット402の動作データ608のランダム読み出しアクセスを提供する。例えば、コマンド信号OCのための例示的な構造601は、(ゲート駆動ユニットメモリ426内の特定の測定値の記憶位置に対応する)読み出しアドレス618を送信することを提供している。読み出しアドレス618に応じて、ゲート駆動ユニット402は、コマンド信号OCのステップ変化604で、読み出しデータ620として、中央コントローラ140に測定値を送信する。
【0035】
ゲート駆動ユニットシリアル番号622および半導体電力スイッチシリアル番号623のデータ構造601内に含めることは、電力コンバータ110によるコマンド信号OCへの信頼性の高い応答性を確保するように、中央コントローラ140に電力コンバータ部品を認証させることを可能にする。一方、スルー電圧Vceおよびスルー電流Iceは、半導体電力スイッチ接合部温度Tjと並んで、中央コントローラ140に、適切なゲート駆動電圧Vgを提供するようにゲート駆動ユニット402を設定するための再構成データ612を、計算させかつ送信させることを、可能にする。
【0036】
図8は、本発明の代替の実施形態のためのゲート駆動ユニットフィードバック信号FSのコマンド信号OCの波形を示しており、通信プロトコル700の変形例において、ゲート駆動ユニット402は、3μsの遅延605の後しばらくするまで、送信しない。「8b」、「12b」のような
図8のラベルは、データビットの番号に関連している。ゲート駆動ユニット402は、例えば、いくつかの実施形態では、μs毎に1ビット(大凡1Mbs)の周期で、特定の周期性でのデータビットを期待するように構成されている。また、
図8において、ラベル「S/N」は、ゲート駆動ユニットシリアル番号または他の識別子を指している。略語「Tx」は、ゲート駆動ユニットと離散コントローラとの間のデータの送信を指している。ラベルVCEsctおよびVCEHVは、それぞれ、ゲート駆動ユニットによって駆動されるスイッチ(複数可)を越えたエミッタ電圧に対する導電性コレクタおよび非導電性コレクタの記憶された測定値を指している。
【0037】
したがって、1つの実施形態では、ゲート駆動ユニットへの通信は、ゲート駆動ユニットでコマンドリンクを介して受信されるコマンド信号の状態の変化を検出することにより、ゲート駆動ユニットのコマンドリンクを介して、達成される。コマンド信号の状態の変化に応じて、ゲート駆動ユニットは、ゲート駆動ユニットが着信データとしてコマンド信号の状態のさらなる変更を処理するブランキング期間を開始する。したがって、ブランキング期間内に、ゲート駆動ユニットは、コマンド信号の変調を介して、着信データを受信することができる。実施形態では、通信は、また、フィードバック信号の変調によって、ブランキング期間内に、コマンドリンクを介してゲート駆動ユニットからの発信データを送信することによって、達成される。選択された実施形態では、発信データは、メモリに測定値を記憶することによって作成される。発信データは、例えば、ゲート駆動ユニットを識別するデータを含んでもよい。いくつかの実施形態では、発信データは、定期的な正常性監視および/またはスイッチ状態のデータを含んでもよい。特定の観点においては、着信データは、発信データに含まれるべき動作データに対する読み出しアドレスを含んでもよい。着信データは、ゲート駆動ユニットの動作パラメータを更新するための書き込みアドレスを含んでもよい。例えば、着信データは、ゲート電圧の更新された設定値を含んでもよい。別の例として、着信データは、ブランキング期間の継続に対する更新された値を含んでもよい。いくつかの実施形態では、着信データは、ゲート駆動ユニットを識別するデータの期待値を含んでもよい。特定の実施形態では、着信データは、「バルクデータ」を含んでもよい。
【0038】
実施形態では、電力スイッチ装置は、半導体電力スイッチと、半導体電力スイッチに接続されているゲート駆動ユニットと、コントローラと通信してゲート駆動ユニットを接続するコマンドリンクとを、備える。ゲート駆動ユニットは、コマンド・リンクを介して、コントローラからのコマンド信号を受信するように、コマンド信号の状態の変化に対応して、ゲート駆動ユニットが着信データとしてコマンド信号の状態のうちの少なくとも1つのさらなる変化を処理するブランキング期間を開始するように、かつ、ブランキング期間内に、コマンドリンクを介して着信データを受信するように、構成されている。実施形態では、通信は、また、フィードバック信号の変調によって、ブランキング期間内に、コマンドリンクを介するゲート駆動ユニットからの発信データを送信することによって達成される。電力スイッチ装置の選択された実施形態は、さらに、半導体電力スイッチの少なくとも1つの特性の値を測定するように構成されているセンサ装置を備える。このような実施形態では、発信データは、測定値を含む。実施形態では、発信データは、ゲート駆動ユニットを識別するデータを含む。いくつかの実施形態では、着信データは、発信データに含まれるべき動作データに対する読み出しアドレスを含む。着信データは、また、ゲート駆動ユニットの動作パラメータを更新するための書き込みアドレスを含んでもよい。着信データは、ゲート電圧の更新された設定値を含んでもよい。着信データは、ブランキング期間の継続期間に対する更新された値を含んでもよい。いくつかの実施形態では、着信データは、ゲート駆動ユニットを識別するデータの期待値を含んでもよい。
【0039】
別の実施形態では、電力コンバータは、複数の半導体電力スイッチと、複数の半導体電力スイッチにゲート電圧を供給するように接続されている複数のゲート駆動ユニットとを備える。各ゲート駆動ユニットは、コントローラと通信して、ゲート駆動ユニットを接続するためのコマンドリンクを備える。各ゲート駆動ユニットは、コマンドリンクを介してコントローラからのコマンド信号を受信するように構成されている。少なくとも1つのゲート駆動ユニットは、コマンド信号の状態の変化を検出するように、コマンド信号の状態の変化に対応して、ブランキング期間を開始するように、かつ、ブランキング期間内に、着信データとしてコマンド信号の状態の任意のさらなる変化を処理するように、構成されている。
【0040】
容易に理解されるように、実施形態では、少なくとも1つのゲート駆動ユニットは、ブランキング期間内にコマンドリンクを介してコントローラに発信データを送信するように構成されてもよい。実施形態では、発信データは、フィードバック信号の変調を介して送信される。実施形態では、発信データは、ゲート駆動ユニットの少なくとも1つが接続されている半導体電力スイッチの少なくとも1つのパラメータの測定値を含んでもよい。特定の実施形態では、発信データは、ゲート駆動ユニットを識別するデータを含んでもよい。いくつかの実施形態では、着信データは、発信データに含まれるべき動作データに対する読み出しアドレスを含んでもよい。着信データは、ゲート駆動ユニットの動作パラメータを更新するための書き込みアドレスを含んでもよい。特定の実施形態では、着信データは、ゲート電圧の更新された設定値を含んでもよい。着信データは、ブランキング期間の継続に対する更新された値を含んでもよい。選択された実施形態では、着信データは、ゲート駆動ユニットを識別するデータの期待値を含んでもよい。
【0041】
したがって、本発明の実施形態によれば、オン−オフコマンド信号のために使用されるのと同じリンクに加えてかつ同じリンク上で、ゲート駆動ユニットからおよびゲート駆動ユニットに、データ信号を送信することができる。コマンドのために使用されるのと同じリンク上のデータ送信は、光学的または電気的な接続を追加することによって費用を増加させることなく、ゲート駆動ユニットが動作している間に、ゲート駆動ユニットのリアルタイム監視を可能にする。コマンドと並んで、データの複合送信は、また、ゲート駆動ユニットのリアルタイム再構成を、それらが動作している間に、可能にする。本発明の通信プロトコル、通信方法、および通信装置は、作動している電力コンバータ内で個々のゲート駆動ユニットのリアルタイムの正常性監視および再構成を可能にしているので、本発明は、それによって、動作の可用性を増強する。その結果、動作の全体的なコストが低減される。さらに、リアルタイムの正常性監視を可能にすることによって、通信プロトコルは、メンテナンス測定値を獲得するための、または、設計寿命に基づいて装置/モジュールを変更するための、予定した休止時間に対する従来の必要性を軽減する。その代わりに、本発明の通信プロトコルは、その全体が本明細書に参照により組み込まれている、同時に係属しかつ共通に割り当てられた事件番号256525を有する出願において、さらに議論されているように、さらに、正常性のリアルタイム監視に基づいて、スイッチ装置/モジュールの変更を可能にしている。
【0042】
別の実施形態は、通信方法に関する。本方法は、ゲート駆動ユニットで、ゲート駆動ユニットのコマンドリンクを介して受信されるコマンド信号の状態の変化を検出することを含む。ゲート駆動ユニットは、インバータまたは他の電力コンバータにおいて、例えば、半導体電力スイッチに、接続されていてもよい。コマンド信号の状態の変化は、負荷(例えば、牽引モータ)に電流を供給するために、電力スイッチを活性化および/または不活性化するために指定された方法で構成されている電気信号の波形である。本方法は、コマンド信号の状態の変化に対応して、ゲート駆動ユニットが着信データとしてコマンド信号の状態のさらなる変更を処理するブランキング期間を開始することを、含む。(ブランキング期間は、時間継続、例えば、静的な継続、または動作条件に基づいて決定される継続、またはその他を有する。)本方法は、さらに、ブランキング期間内に、ゲート駆動ユニットで着信データを受信することを含む。1つの実施形態では、データは、コマンド信号の変調を処理することによって受信される。別の実施形態では、ゲート駆動ユニットは、ブランキング期間中のゲート駆動ユニットで受信される他の信号を介して着信データを取得する。実施形態では、ブランキング期間中にのみ、データは、ゲート駆動ユニットで受信される、および/またはゲート駆動ユニットから送信される。(他の実施形態では、データは、他の時点で、ゲート駆動ユニットで受信されるが、ブランキング期間は、負荷に電流を供給するための電力スイッチを受信されたデータが活性化および/または非活動化しない可能性がある場合のみの時間間隔である。)他の実施形態において、追加的または代替的に、ブランキング期間の時間継続が一旦終了すると、ゲート駆動ユニットは、次のブランキング期間まで、(牽引モータまたは他の負荷に電流を供給するための電力スイッチを活性化および/または不活性化するために、)コマンド信号の状態の変化に対応することに戻る。
【0043】
別の実施形態は、電力スイッチ装置に関する。電力スイッチ装置は、半導体電力スイッチと、半導体電力スイッチに接続されているゲート駆動ユニットと、コントローラと通信して、ゲート駆動ユニットを接続するコマンドリンク(通信経路)とを備える。ゲート駆動ユニットは、コマンドリンクを介してコントローラからのコマンド信号を受信するように構成されている。ゲート駆動ユニットは、さらに、コマンド信号の状態の指定された変化を検出するように構成されている。ゲート駆動ユニットは、さらに、コマンド信号の状態の指定された変化に対応して、ブランキング期間を開始するように構成されている。ゲート駆動ユニットは、さらに、ブランキング期間内に、コマンドリンクを介して着信データを受信するように構成されている。概して、コマンド信号の状態の変化は、負荷(例えば、牽引モータ)に電流を供給するために電力スイッチを活性化および/または不活性化するために指定された方法で構成されている電気信号の波形である。状態の指定された変更は、例えば、指定されたHIGH電圧レベルから指定されたLOW電圧レベル(またはその逆)に遷移するコマンド信号であってもよい。別の例として、状態の指定された変化は、指定されたHIGH電圧レベルの指定された第1閾値内から、指定されたLOW電圧レベル(またはその逆)の指定された第2閾値内に、遷移するコマンド信号であってもよい。いずれの場合も、状態の指定された変更は、特定の時間間隔の間、遷移された電圧レベル(transitioned−to voltage level)に留まっているコマンド信号の予め指定された条件に基づいてもよい。すなわち、ゲート駆動ユニットは、コマンド信号波形が、第1レベルから異なる第2レベルに遷移し、時間間隔の間、第2レベルに留まっており、ブランキング期間中にゲート駆動ユニットへの/ゲート駆動ユニットからのデータの送信を受け入れるのに十分な継続であることを、認識している。ブランキング期間は、他の指定された動作条件の間、状態の指定された変更のすべての検出時、または状態の指定された変化の検出時に、開始されてもよい。実施形態では、データは、ブランキング期間中にのみ、ゲート駆動ユニットで受信される、および/またはゲート駆動ユニットから送信される。(他の実施形態では、データは、ブランキング期間中以外のときにゲート駆動ユニットで受信されるが、ブランキング期間は、受信されたデータが、負荷に電流を供給するための電力スイッチを活性化および/または非活動化しない可能性がある場合のみの時間間隔である。他の実施形態では、追加的または代替的に、ブランキング期間の時間が一旦終了すると、次のブランキング期間まで、ゲート駆動ユニットは、コマンド信号の状態の変化に対応することに戻る。
【0044】
なお、上記の説明は例示であって制限的なものではないことを意図されていることが、理解されるべきである。例えば、上述の実施形態(および/またはその観点)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。さらに、多くの修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の教示に対して特定の状況または材料を採用するように、なされてもよい。本明細書に記載されている材料の寸法および種類は、本発明のパラメータを定義することを意図しているが、それらは決して限定的なものではなく、例示的な実施形態である。他の多くの実施形態は、上記説明を検討すれば、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、ならびにそのような特許請求の範囲が権利を与える均等物の全範囲を参照して、決定されるべきである。添付の請求項において、用語「備える、含む(including)」および「in which」は、それぞれの用語「備える(comprising)」および「wherein」の平易な英語として使用されている。しかし、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、「第3」、「上側」、「下側」、「下部」、「上部」などは、単にラベルとして使用されており、それらの対象物における数的または位置的な要件を課すことを意図されていない。さらに、以下の特許請求の範囲の限定は、ミーンズプラスファンクション形式で書かれておらず、そのような特許請求の範囲の限定が、明示的に「するための手段(means for)」を使用し、さらなる構造の機能の無効の陳述が続くことがない限り、米国特許法第122条第6段落に基づいて解釈されることを意図していない。
【0045】
本明細書は、最良の形態を含む、本発明のいくつかの実施形態を開示するために、かつ、任意の装置またはシステムを製作することかつ使用すること、および任意の組み込まれた方法を実行することを含む、本発明の実施形態を、当業者に実施させるのを可能にするために、実施例を用いている。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者の一人が想到する他の実施例を含んでもよい。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有する場合、または、それらが特許請求の範囲の文字通りの文言と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあることが意図されている。
【0046】
本明細書で使用されているように、単数形で記載されるかまたは単語「a」または「an」を用いて進められる要素またはステップは、前記要素またはステップの複数形を除外しないと理解されるべきである、そのような除外が明示的に述べられていない限りは。さらに、本発明の「1つの実施形態」への言及は、記載された特徴をも組み入れる追加的な実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではない。さらに、明確に反対の記載がない限り、特別な特性を有する要素または複数の要素を「(備える)comprising」、「(備える、含む)including」または「(有する)having」実施形態は、その特性を有しないような追加的な要素を含んでもよい。
【0047】
特定の変更は、本明細書に関わる本発明の精神および範囲から逸脱することなく、上述したデータ転送の通信プロトコルおよび通信方法においてなされてもよく、上述の記載のまたは添付の図面に示されるすべての主題は、本明細書において本発明の概念を説明するための例としてのみ解釈されるべきであり、本発明を限定するものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0048】
100 ディーゼル電気牽引システム
102 燃焼装置
104 発電機
106 整流器、3相ダイオードアレイ
107 DCリンク
108 コンデンサ
110 電力コンバータ
111、112、113、114、115、116 スイッチ装置
120 出力リード
130 牽引モータ
140 中央コントローラ
220 半導体電力スイッチ
221 フリーホイールダイオード
222 半導体コレクタ、コレクタ
223 半導体電力スイッチエミッタ、エミッタ
224 接合部
225 半導体電力スイッチゲート、ゲート
320 スイッチ装置ケース、ケース
322 コレクタ端子
323 エミッタ端子
326 制御端子
401、402、403、404、405、406 ゲート駆動ユニット
420 コントローラ
421 DC電源
422 コマンドリンクコネクタ
424 ADC(アナログ−デジタルコンバータ)
426 ゲート駆動ユニットメモリ、メモリ
428 コマンドリンク
440 出力段
441 Vg設定値、設定値
442 参照テーブル
600 信号フォーマット、フォーマット
601 データ構造、構造、信号フォーマット、フォーマット
602 ブランキング期間
604 ステップ変化
605 遅延
606 ノッチ
608 動作データ
610 認識ノッチ
612 再構成データ
614 書き込みアドレス
616 新しい値
618 読み出しアドレス
620 読み出しデータ
622 ゲート駆動ユニットシリアル番号
623 半導体電力スイッチシリアル番号
700 通信プロトコル、プロトコル
701、702 ステップ
703、704、705、706、707、708、709 方法ステップ
FS ゲート駆動ユニットフィードバック信号、フィードバック信号
Ice スルー電力電流、スルー電流、電力切り替え電流
Ige ゲート電流
OC コマンド信号、信号
Tc スイッチ装置ケース温度
Tj 半導体電力スイッチ接合部温度
VCEsct ラベル
Vce スルー電圧、電力スイッチ電圧降下
Vdc 電圧
Vg ゲート駆動電圧、ゲート電圧
Vg_off 負のゲート電圧
Vg_on 正のゲート電圧
Vx1、Vx2・・・Vxn 測定値