特許第6031305号(P6031305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トミタパックス株式会社の特許一覧 ▶ タイヨ―化学工業株式会社の特許一覧 ▶ 王子コンテナー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6031305-目隠し用コート 図000002
  • 特許6031305-目隠し用コート 図000003
  • 特許6031305-目隠し用コート 図000004
  • 特許6031305-目隠し用コート 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031305
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】目隠し用コート
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/00 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   A41D1/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-210154(P2012-210154)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-65982(P2014-65982A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】502108640
【氏名又は名称】トミタパックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508137936
【氏名又は名称】タイヨ―化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502356517
【氏名又は名称】王子コンテナー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】畑中 利計
(72)【発明者】
【氏名】山本 尚男
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−189509(JP,U)
【文献】 実開昭60−004507(JP,U)
【文献】 実公昭16−007681(JP,Y1)
【文献】 実公第011443(大正12年)(JP,Y1T)
【文献】 実公昭48−004643(JP,Y1)
【文献】 特開2008−031574(JP,A)
【文献】 特開平08−218207(JP,A)
【文献】 実開昭56−156819(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3095814(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 1/00− 1/04, 1/18− 3/08,
7/00,13/00−13/12,20/00,
27/00−29/00
A47K 11/00−11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が着替えや用便を行う際に身体に装着して胴部を覆うことにより目隠しとして用いる目隠し用コートであって、
人の肩部から少なくとも臀部までの長さに対応する長さの筒状に形成されて身体に装着されるコート本体を備え、
前記コート本体は、
少なくとも人の腰回りを覆う部分が光を遮蔽する材料で構成された強遮蔽部と、
前記強遮蔽部よりも光を透過させる材料によって同強遮蔽部より上側に形成された弱遮蔽部とを有しており、人の頭部側に開口する頭部側開口部が、前記コート本体を身体に装着した状態において同コート本体の内側を視認可能な程度に開口する大きさに形成されていることを特徴とする目隠し用コート。
【請求項2】
請求項1に記載した目隠し用コートにおいて、
前記コート本体は、
人の前面を覆う部分が人の側面を覆う部分よりも長い丈で形成されていることを特徴とする目隠し用コート。
【請求項3】
人が着替えや用便を行う際に身体に装着して胴部を覆うことにより目隠しとして用いる目隠し用コートであって、
人の肩部から少なくとも臀部までの長さに対応する長さの筒状に形成されて身体に装着されるコート本体を備え、
前記コート本体は、
人の頭部側に開口する頭部側開口部が、前記コート本体を身体に装着した状態において同コート本体の内側を視認可能な程度に開口する大きさに形成されているとともに、人の前面を覆う部分が人の側面を覆う部分よりも長い丈で形成されていることを特徴とする目隠し用コート。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した目隠し用コートにおいて、
前記コート本体は、
前記頭部開口部を形成する縁部が同縁部の周囲を構成する部分よりも高い剛性で形成されていることを特徴とする目隠し用コート。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した目隠し用コートにおいて、
前記コート本体は、
前記縁部が縫合によって剛性が高められていることを特徴とする目隠し用コート。
【請求項6】
請求項1および請求項5のうちのいずれか1つに記載した目隠し用コートにおいて、
前記コート本体は、
内側面に内ポケットを備えていることを特徴とする目隠し用コート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が屋外などの人目が気になる場所で着替えや用便を行う際に身体に装着して胴部を覆うことにより目隠しとして用いる目隠し用コートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、屋外などの人目が気になる場所で着替えや用便を行う場合に身体を隠すための道具として目隠し用コートが知られている。目隠し用コートは、柔軟なシート材を身体の胴部を覆うことができる大きさおよび形状に形成して構成されている。例えば、下記特許文献1には、使用者の首部に巻きつけて装着することにより首部より下の身体全体を覆う円錐状の目隠し用コートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3016895号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された目隠し用コートにおいては、目隠し用コートが使用者の首部に周囲に密着した状態で装着されて胴部を覆っているため、使用者が目隠し用コートの内側の衣服や身体の状態を把握することができず、用便行為に伴う一連の動作が行ない難いという問題があった。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、着替えや用便行為に伴う一連の動作を行い易くした目隠し用コートを提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、人が着替えや用便を行う際に身体に装着して胴部を覆うことにより目隠しとして用いる目隠し用コートであって、人の肩部から少なくとも臀部までの長さに対応する長さの筒状に形成されて身体に装着されるコート本体を備え、コート本体は、少なくとも人の腰回りを覆う部分が光を遮蔽する材料で構成された強遮蔽部と、強遮蔽部よりも光を透過させる材料によって同強遮蔽部より上側に形成された弱遮蔽部とを有しており、人の頭部側に開口する頭部側開口部が、コート本体を身体に装着した状態において同コート本体の内側を視認可能な程度に開口する大きさに形成されていることにある。
【0007】
この場合、前記目隠し用コートにおいて、コート本体は、人の前面を覆う部分が人の側面を覆う部分よりも長い丈で形成することができる。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明の特徴は、人が着替えや用便を行う際に身体に装着して胴部を覆うことにより目隠しとして用いる目隠し用コートであって、人の肩部から少なくとも臀部までの長さに対応する長さの筒状に形成されて身体に装着されるコート本体を備え、コート本体は、人の頭部側に開口する頭部側開口部が、コート本体を身体に装着した状態において同コート本体の内側を視認可能な程度に開口する大きさに形成されているとともに、人の前面を覆う部分が人の側面を覆う部分よりも長い丈で形成されていることにある。
【0009】
このように構成した本発明の特徴によれば、目隠し用コートは、使用者の胴部を覆うコート本体における頭部側の頭部側開口部がコート本体の内側を視認可能な程度に開口する大きさに形成されているため、使用者がコート本体を装着した状態でコート本体の内側を視認することができる。これにより、目隠し用コートは、使用者によるコート本体内での作業、例えば、着替えや用便行為に伴う一連の動作を行い易くすることができる。
【0010】
また、このように構成した本発明の特徴によれば、目隠し用コートは、コート本体が少なくとも人の腰回りを覆う部分が光を遮蔽する材料で構成された強遮蔽部と、強遮蔽部よりに光を透過させる材料によって同強遮蔽部より上側に形成された弱遮蔽部とを有して構成されているため、使用者の腰回り部分を効果的に隠しながらコート本体内に弱遮蔽部から光を導くことにより強遮蔽部の内側領域の視認性を高めることができる。このように、コート本体を強遮蔽部と弱遮蔽部とで構成することは、コート本体に使用者の頭部を覆うフードを設けた場合に特に有用である。
【0011】
また、このように構成した本発明の特徴によれば、目隠し用コートは、コート本体における使用者の前面を覆う部分が使用者の側面を覆う部分よりも長く形成されているため、使用者が着座した場合においても使用者の側面を覆うコート本体の裾が地面に接触して汚損することを防止しつつ使用者の前面の露出を防いで同使用者の前側にコート本体による内部空間を余裕を持って確保することができコート本体内での作業性を向上させることができる。
【0012】
また、これらの場合、前記目隠し用コートにおいて、コート本体は、頭部開口部を形成する縁部が同縁部の周囲を構成する部分よりも高い剛性で形成することができる。
【0013】
この場合、目隠し用コートにおけるコート本体は、例えば、縁部を縫合することによって剛性を高めることができる。また、目隠し用コートは、例えば、コート本体を構成する材料よりも剛性が高い材料、撓み変形し難い材料または硬質の材料を縁部に貼り付け、縫合または包み込むなどして設けることによって剛性を高めることができる。
【0014】
これによれば、目隠し用コートは、コート本体において頭部側開口部を形成する縁部の剛性が高められているため、頭部側開口部が開口し易くなるとともに、使用者の動きや風などの外力を受けた場合であっても開口状態が潰れることを抑制して効果的に開口状態を維持することができる。
【0015】
また、これらの場合、前記目隠し用コートにおいて、コート本体は、内側面に内ポケットを備えることができる。
【0016】
これによれば、目隠し用コートは、コート本体の内側面に内ポケットを備えているため、目隠し用コートの使用時においてコート本体内で予め必要な物や同コート本体で生じた物を外部に露出させることなく収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る目隠し用コートの外観構成の概略を示す正面図である。
図2図1に示す目隠し用コートの外観構成の概略を示す背面図である。
図3図1に示す目隠し用コートの外観構成の概略を示す平面図である。
図4図1に示す目隠し用コートの使用状態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(目隠し用コート100の構成)
以下、本発明に係る目隠し用コートの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る目隠し用コート100の外観構成の概略を示す正面図である。また、図2は、図1に示す目隠し用コート100の外観構成の概略を示す背面図である。また、図3は、図1に示す目隠し用コート100の外観構成の概略を示す平面図である。また、図4は、図1に示す目隠し用コート100の使用状態の一例を示す斜視図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各図面間および各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この目隠し用コート100は、屋外、公共施設内または車内など周囲の人目が気になる場所での用便時に身体を覆って目隠しとして使用するための外套である。
【0019】
この目隠し用コート100は、コート本体101を備えている。コート本体101は、目隠し用コート100の使用者Uの身体が外部から見えないように身体を覆うための部材であり、樹脂製のシート材を筒状に形成して構成されている。より具体的には、コート本体101は、使用者Uに装着された際に使用者Uの頭部側から足部側に向かって内部空間が広がる錐状に形成されるとともに、使用者Uの前面側および背面側において対称な形状に形成されている。このコート本体101は、主として、強遮蔽部110と弱遮蔽部120とで構成されている。
【0020】
これらのうち、強遮蔽部110は、使用者Uの主として腹部から膝下部分までを覆う部分であり、使用者Uの身体を覆った際に外部から使用者Uの身体自体およびその影が視認できない程度の遮光性を有したシート状の樹脂材(例えば、ポリエチレン樹脂やポリエステル樹脂など)によって構成されている。本実施形態においては、強遮蔽部110は、青色の樹脂製シートによって構成されている。
【0021】
この強遮蔽部110は、使用者Uの身体に装着された際に使用者Uの前面および背面を覆う部分の丈が使用者Uの両側面を覆う部分の丈よりも長くなるように形成されている。この場合、強遮蔽部110は、使用者Uの身体に装着されて着座した際に使用者Uの両側面を覆う部分が床面との間に隙間が生じる丈に形成されている。また、強遮蔽部110は、使用者Uの身体に装着された際に使用者Uの両側面を覆う部分に襠(マチ)111が形成されており、使用者Uの前後方向に広がるように形成されている。なお、図1および図2においては、襠111を破線で示している。
【0022】
一方、強遮蔽部110の内側面には、内ポケット112が形成されている。内ポケット112は、使用者Uが目隠し用コート100を着用して使用する際に必要な物品を収容するための収容部である。この内ポケット112は、使用者Uの身体に装着された際に使用者Uの前面を覆う部分、換言すれば、コート本体101の左右方向における中央部に使用者Uの両手に向かってそれぞれ開口した形状に形成されている。そして、この強遮蔽部110における図示上端部には、弱遮蔽部120が縫合により連結されている。
【0023】
弱遮蔽部120は、使用者Uの主として胸部から肩部までを覆う部分であり、強遮蔽部110よりも光を透過させるシート状の樹脂材料で構成されている。本実施形態においては、弱遮蔽部120は、黒色の樹脂材(例えば、ポリオレフィン樹脂材など)で構成された網目状の繊維を規則的に重ね合わせて接合させた不織布(例えば、製品名「ワリフ」(JX日鉱日石エネルギー株式会社の登録商標)で構成されている。また、本実施形態においては、弱遮蔽部120は、複数の不織布を重ねることにより使用者Uの身体を覆った際に外部から使用者Uの身体自体が視認できない程度の遮光性を有している。
【0024】
この弱遮蔽部120は、コート本体101における両側部から中心部に向かって図示下方に斜めに延びるV字状に形成されているとともに、図示上方に向かって開口した頭部側開口部121を備えている。頭部側開口部121は、使用者Uの頭部を通すとともに使用者Uがコート本体101を装着した際にコート本体101の内側を視認するための開口部分であり、弱遮蔽部120の上端部から図示下方中央部に向かって斜めに延びるV字状に形成されている。
【0025】
この場合、頭部側開口部121の大きさは、コート本体101を使用者Uの身体に装着した状態において同コート本体101の内側を視認可能な程度の大きさに形成されている。本実施形態においては、頭部側開口部121は、使用者Uがコート本体101を装着した状態において、使用者Uの身体の前方に少なくとも直径100mmの円形の開口領域が確保される大きさに形成されている。なお、図3においては、理解を容易にするため、頭部側開口部121が少し開口した状態を示している。
【0026】
また、この頭部開口部121の形成する弱遮蔽部120の縁部122は、弱遮蔽部120を構成する2枚の樹脂シートを互いに縫合して構成されている。そして、この弱遮蔽部120の上端部には、フード130が設けられている。フード130は、コート本体101を装着した使用者Uの頭部を覆うためのものであり、弱遮蔽部120の上端部に縫合されて同上端部から背面側に下垂して設けられている。このフード130は、使用者Uの頭部を覆った際に外部から使用者Uの頭部自体が視認できない程度の遮光性を有した樹脂材(例えば、ポリエチレン樹脂やポリエステル樹脂など)によって構成されている。本実施形態においては、フード130は、強遮蔽部110と同じ青色の樹脂製シートで構成されている。
【0027】
(目隠し用コート100の作動)
次に、上記のように構成した目隠し用コート100の作動について説明する。この目隠し用コート100は、例えば、屋外で使用される簡易トイレ90での用便時に使用される。この場合、簡易トレイ90は、ダンボール材などの紙材や樹脂製の板材を単体でまたはこれらを組み合わせた部材を互いに組付けることによって箱状に構成したレジャー用または災害などの非常時用の洋式便器である。したがって、使用者Uは、まず、簡易トイレ90とともに目隠し用コート100を用意する。この場合、目隠し用コート100は、樹脂製シート材によって構成されているため、折り畳まれた状態で保管されている。
【0028】
次に、使用者Uは、簡易トイレ90を組み立てて使用可能な状態とした後、目隠し用コート100を着用する。具体的には、使用者Uは、折り畳まれた状態の目隠し用コート100(図示せず)を広げてコート本体101の裾側である強遮蔽部110の下端部の開口部からコート本体101を被った後、頭部側開口部121から頭部を出す。この場合、使用者Uは、内ポケット112が身体の前面側に位置するようにコート本体101を着る。これにより、使用者Uは、コート本体101における頭部側開口部121の両側方に形成された弱遮蔽部120の上端部が使用者Uの肩部に掛かった状態で目隠し用コート100を着用することができる。
【0029】
次に、使用者Uは、目隠し用コート100を着用した状態で簡易トイレ90を使用して用便に移る。具体的には、使用者Uは、図4に示すように、目隠し用コート100を着用した状態で下半身の衣服を脱いで簡易トイレ90に着座する。この場合、使用者Uは、コート本体101における頭部側開口部121がコート本体101内を視認可能な程度の大きさに形成されているため、コート本体101内の状況を確認しながら用便における一連の作業を円滑に行うことができる。また、この場合、目隠し用コート100は、コート本体101における頭部側開口部121を形成する縁部122が縫合によって同縁部122の周囲を構成する部分よりも剛性が高く形成されているため、頭部開口部121が開口し易くなって使用者Uによるコート本体101内の視認を行い易くすることができる。更に、目隠し用コート100は、コート本体101の上部側が光透過性を有する弱遮蔽部120によって構成されているため、コート本体101内に光を導いて使用者Uによるコート本体101内の視認性を向上させることができる。
【0030】
また、使用者Uは、用便行為の過程において、コート本体101の内側に形成されている内ポケット112を適宜使用することができる。この場合、使用者Uは、用便行為に直接的または間接的に必要な物または生じる物(例えば、紙、下着、生理用品、袋、ゴミなど)の他に、用便行為に直接的に必要のない物(例えば、懐中電灯、携帯電話、筆記用具、ペットボトル飲料など)を内ポケット112に収容することができる。なお、図4においては、目隠し用シート100によって覆われて隠される部分を二点鎖線で示している。
【0031】
また、使用者Uは、内ポケット112内に何らかの重量物(例えば、ペットボトル飲料)を収容することにより、コート本体101が不意に捲れ上がることを防止することができる。すなわち、内ポケット112は、小物入れとして機能させることに加えてまたは代えてウエイト収容部として機能させることができる。また、使用者Uは、内ポケット112内に何らかの発熱体(例えば、懐炉)または吸熱体(例えば、保冷剤や氷など)を収容することにより、コート本体101内を加温や保温または冷却や保冷をすることができる。すなわち、内ポケット112は、小物入れとして機能させることに加えてまたは代えて温度調節体収容部として機能させることができる。
【0032】
また、使用者Uは、目隠し用コート100を使用する過程において必要に応じてフード130を頭部に被せて使用することができる。この場合、目隠し用コート100は、コート本体101に設けた弱遮蔽部120によってコート本体101内に光を導くことができるため、フード130の使用によるコート本体101内の明るさの低下を抑制することができる。
【0033】
次に、使用者Uは、用便を済ませた場合には、目隠し用コート100を脱衣するとともに次回の使用に備えて目隠し用コート100を畳んで保管することができる。この場合、使用者Uは、頭部をコート本体101における頭部開口部121に通した後、コート本体101における下端部から頭部を抜くことによって目隠し用コート100を脱ぐことができる。なお、この目隠し用コート100の着衣時および脱衣時においても、コート本体101における縁部122の剛性が高められていることにより頭部用開口部121が開口状態を維持するため、コート本体101の着衣および脱衣が容易となっている。
【0034】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、目隠し用コート100は、使用者Uの胴部を覆うコート本体101における頭部側の頭部側開口部121がコート本体101の内側を視認可能な程度に開口する大きさに形成されているため、使用者Uがコート本体101を装着した状態でコート本体101の内側を視認することができる。これにより、目隠し用コート101は、使用者Uによるコート本体101内での作業、例えば、着替えや用便行為に伴う一連の動作を行い易くすることができる。
【0035】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、上記実施形態においては、目隠し用コート100は、コート本体101を筒状の所謂ポンチョ型に形成して構成されている。しかし、目隠し用コート100は、コート本体101を前開きの所謂マント型に形成して構成することができるとともにコート本体101の両側部に使用者Uの両腕をそれぞれ通すためのスリーブを設けて構成することもできる。なお、目隠し用コート100は、コート本体101を前開きで構成した場合には、コート本体101における前開き部分を面ファスナな歯を噛み合わせて開閉するファスナで構成することができる。
【0037】
また、上記実施形態においては、目隠し用コート100は、コート本体101において頭部開口部121を形成する縁部122を縫合して構成した。これにより、目隠し用コート100は、コート本体101における縁部122が縁部122の周囲を構成する部分よりも剛性が高まって頭部側開口部121の開口状態を維持し易くなる。しかし、目隠し用コート100は、コート本体101における縁部122が縁部122の周囲を構成する部分よりも剛性を高めることができれば、換言すれば、撓み難くい構成とすれば縫合以外の方法を用いて構成することができる。例えば、目隠し用コート100は、コート本体101における縁部122に縁部122を構成する素材よりも剛性が高い材料、例えば、樹脂プレートやワイヤーを貼り付け、縫合または包み込むことによって取り付けて構成することができる。なお、目隠し用コート100は、コート本体101の頭部側開口部121を積極的に開口状態とする必要がない場合には、縁部122を縁部122の周囲を構成する部分よりも剛性を高く構成する必要はない。
【0038】
また、上記実施形態においては、目隠し用コート100は、コート本体101が強遮蔽部110と弱遮蔽部120とで構成されている。これにより、目隠し用コート100は、使用者Uの身体における見られては困る領域を隠しながらコート本体101内の視認性を確保することができる。この場合、コート本体101を構成する強遮蔽部110は、コート本体101において少なくとも使用者Uの腰回りを覆う部分であって外部から使用者Uの身体や身体の影を視認できない程度に光を遮蔽する材料で構成される。また、弱遮蔽部120は、強遮蔽部110よりも光を透過させる材料によって同強遮蔽部110より上側に形成される。したがって、弱遮蔽部120は、使用者Uの腹部または胸部よりも上側を覆うように構成することができる。さらに、弱遮蔽部120は、使用者Uの前面または背面にのみ構成することもできる。なお、目隠し用コート100は、コート本体101内に積極的に光を導く必要がない場合には、コート本体101を強遮蔽部110のみで構成することもできる。
【0039】
また、上記実施形態においては、目隠し用コート100は、コート本体101における前面部および背面部の丈を側面部の丈よりも長く形成した。これにより、目隠し用コート100は、使用者Uが着座した際における使用者Uの前面部および背面部をそれぞれ余裕を持って覆いながら、使用者Uの側面部でのコート本体101の地面への接触を防止してコート本体101の汚損を防止できるとともにコート本体101内への採光性および通風性を高めることができる。しかし、目隠し用コート100は、コート本体101における前面部および背面部の丈と側面部の丈とを互いに同じ長さに形成して構成できることは当然である。
【0040】
また、上記実施形態においては、目隠し用コート100は、コート本体101の側面部に襠111を設けて構成した。これにより、目隠し用コート100は、コート本体101の周囲に延び代が確保されて使用者Uによる着衣作業、脱衣作業およびコート本体101内での作業性を向上させることができる。しかし、目隠し用コート100は、コート本体101の側面部に代えてまたは加えて例えば、コート本体101における前面部または背面部に襠111を設けることができるとともに襠111を設けることなく構成できることは当然である。
【0041】
また、上記実施形態においては、頭部側開口部121は、コート本体101の前面部および背面部における各上端部をV字状に切り欠いた所謂Vネック状に形成した。しかし、頭部側開口部121は、使用者Uの頭部を通すことができるとともに使用者Uが着用した状態でコート本体101の内側を視認することができる大きさに形成されていれば、上記実施形態に限定されるものではない。したがって、例えば、頭部側開口部121は、コート本体101の前面部および/または背面部における各上端部を円弧状に切り欠いた所謂丸首状に形成することもできる。これらの場合、頭部側開口部121の大きさは、使用者Uがコート本体101を装着した状態において、使用者Uの身体の前方に直径100mm以上かつ200mm以内の範囲の円形の開口領域が確保される大きさに形成されることが好適である。
【0042】
また、上記実施形態においては、目隠し用コート100は、コート本体101を樹脂シート材で構成した。しかし、コート本体101は、使用者Uが脱ぎ着でき、コート本体101内の身体を隠すことができる材料で構成されていれば、上記実施形態に限定されることはない。例えば、コート本体101は、樹脂材に代えてまたは加えて紙材や布材を単体でまたはこれらを組み合わせて構成することができる。この場合、コート本体101は、網目状(メッシュ状)の生地で構成することにより、光透過性に加えて通気性を確保することができる。また、コート本体101の表面に撥水剤や防汚剤などを塗布することによって目隠し用コート100の雨天での使用を確保できるとともに汚れの付着を防止して付着した汚れを容易に除去することができる。
【0043】
また、上記実施形態においては、目隠し用コート100は、コート本体101の前面側の内側面に内ポケット112を設けて構成した。しかし、この内ポケット112は、必要性に応じて設けられるものであり、省略することも可能である。また、内ポケット112の形状、数および形成位置についても必要性に応じて適宜決定されるものであり、必ずしも上記実施形態に限定されるものはない。例えば、内ポケット112は、コート本体101の前面側の内側面に代えてまたは加えてコート本体101の背面側の内側面に設けることもできる。この場合、使用者Uは、コート本体101の背面側の内側面に設けた内ポケット112に懐炉などの発熱体を収容することにより、目隠し用コート100の使用時において使用者Uの背面(肩、背、腰など)を温めることができる。なお。目隠し用コート100は、内ポケット112に代えてまたは加えてコート本体101の外表面に物品を収容可能な外ポケットを設けて構成することもできる。
【0044】
U…使用者、
90…簡易トイレ、
100…目隠し用コート100、101…コート本体、
110…強遮蔽部、111…襠(マチ)、112…内ポケット、
120…弱遮蔽部、121…頭部側開口部、122…縁部、
130…フード。
図1
図2
図3
図4