特許第6031306号(P6031306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031306
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】ボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/16 20060101AFI20161114BHJP
   B65D 51/18 20060101ALI20161114BHJP
   B65D 51/22 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   B65D51/16 F
   B65D51/18 H
   B65D51/22
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-211968(P2012-211968)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-65514(P2014-65514A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
(72)【発明者】
【氏名】早川 茂
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−073321(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0000996(US,A1)
【文献】 特開2004−091001(JP,A)
【文献】 特開2006−160354(JP,A)
【文献】 特開2008−081184(JP,A)
【文献】 実開昭61−188949(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/16
B65D 51/18
B65D 51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されるボトル本体と、
前記ボトル本体の口部を閉塞するとともにボトル軸方向の貫通孔が形成された中栓本体、および前記中栓本体に固着され前記貫通孔を閉塞するシール部材を有する中栓と、
前記口部に着脱可能に外装されて前記中栓を覆い、前記中栓との間に、このボトルの外部に連通する内空間が画成されたキャップと、を備え、
前記キャップには、ボトル軸方向に沿うボトル本体の内側に向けて前記内空間内に突出し、前記シール部材のうち、前記貫通孔上に位置する部分にボトル軸方向に対向する破断部が設けられ、
前記中栓は、前記ボトル本体の内圧の上昇に伴い、前記シール部材をボトル軸方向に沿うボトル本体の外側に向けて変位または変形させることで、前記シール部材を前記破断部に押圧させるように構成され
前記中栓本体は、前記口部内に装着された装着筒部を備え、
前記シール部材は、前記中栓本体のうち、前記装着筒部の内側に位置する部分に固着されていることを特徴とするボトル。
【請求項2】
内容物が収容されるボトル本体と、
前記ボトル本体の口部を閉塞するとともにボトル軸方向の貫通孔が形成された中栓本体、および前記中栓本体に固着され前記貫通孔を閉塞するシール部材を有する中栓と、
前記口部に着脱可能に外装されて前記中栓を覆い、前記中栓との間に、このボトルの外部に連通する内空間が画成されたキャップと、を備え、
前記キャップには、ボトル軸方向に沿うボトル本体の内側に向けて前記内空間内に突出し、前記シール部材のうち、前記貫通孔上に位置する部分にボトル軸方向に対向する破断部が設けられ、
前記中栓は、前記ボトル本体の内圧の上昇に伴い、前記シール部材をボトル軸方向に沿うボトル本体の外側に向けて変位または変形させることで、前記シール部材を前記破断部に押圧させるように構成され、
前記中栓本体は、
前記口部に装着された装着筒部と、
前記装着筒部内に配置され前記貫通孔が形成された可動部と、
前記装着筒部の内周面と前記可動部の外周縁とを連結し、ボトル軸方向に沿うボトル本体の外側に向けて反転変形可能な反転連結部と、を備え、
前記中栓は、前記ボトル本体の内圧の上昇に伴い、前記反転連結部を反転変形させることで、前記シール部材をボトル軸方向に沿うボトル本体の外側に向けて変位させることを特徴とするボトル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のボトルであって、
前記内空間は、前記口部の外周面と前記キャップの内周面との間を通して前記キャップの開口端部から外部に連通していることを特徴とするボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば液状の食品や調味料等の内容物をボトル本体に収容する場合、経時変化や温度等の環境変化に伴って、内容物から揮発成分が生じたり内容物の体積が膨張したりするなどして、ボトル本体の内圧が上昇することが知られている。
ここで、このように上昇する内圧を外部に開放してボトル本体の内圧を安定させるため、例えばボトル本体に、下記特許文献1記載のキャップを適用することが考えられる。このキャップは、有頂筒状をなし、ボトル本体の口部に装着されるとともに、天壁部に内容物を注出する注出孔が形成されたキャップ本体と、キャップ本体の外周面に着脱自在に嵌合され、注出孔を開閉させるオーバーキャップと、を備えている。オーバーキャップの周壁部において、キャップ本体の外周面に嵌合する嵌合部分の少なくとも一部は、他よりも薄肉に形成されて弾性変形可能な薄肉部とされている。
この構成では、ボトル本体の内圧が高まると、薄肉部が径方向の外側に膨出変形し、薄肉部とキャップ本体の外周面との密閉状態が解除されることで内圧が外部に開放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−52820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のキャップでは、例えば内容物を温めるためにボトル本体ごと加熱する等してその内圧を上昇させたときに、薄肉部の変形の態様が安定しないことで、ボトル本体の内圧が開放されないおそれがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、ボトル本体の内圧を安定に維持し易くすることができるボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るボトルは、内容物が収容されるボトル本体と、前記ボトル本体の口部を閉塞するとともにボトル軸方向の貫通孔が形成された中栓本体、および前記中栓本体に固着され前記貫通孔を閉塞するシール部材を有する中栓と、前記口部に着脱可能に外装されて前記中栓を覆い、前記中栓との間に、このボトルの外部に連通する内空間が画成されたキャップと、を備え、前記キャップには、ボトル軸方向に沿うボトル本体の内側に向けて前記内空間内に突出し、前記シール部材のうち、前記貫通孔上に位置する部分にボトル軸方向に対向する破断部が設けられ、前記中栓は、前記ボトル本体の内圧の上昇に伴い、前記シール部材をボトル軸方向に沿うボトル本体の外側に向けて変位または変形させることで、前記シール部材を前記破断部に押圧させるように構成され、前記中栓本体は、前記口部内に装着された装着筒部を備え、前記シール部材は、前記中栓本体のうち、前記装着筒部の内側に位置する部分に固着されていることを特徴とする。
また、本発明に係るボトルは、内容物が収容されるボトル本体と、前記ボトル本体の口部を閉塞するとともにボトル軸方向の貫通孔が形成された中栓本体、および前記中栓本体に固着され前記貫通孔を閉塞するシール部材を有する中栓と、前記口部に着脱可能に外装されて前記中栓を覆い、前記中栓との間に、このボトルの外部に連通する内空間が画成されたキャップと、を備え、前記キャップには、ボトル軸方向に沿うボトル本体の内側に向けて前記内空間内に突出し、前記シール部材のうち、前記貫通孔上に位置する部分にボトル軸方向に対向する破断部が設けられ、前記中栓は、前記ボトル本体の内圧の上昇に伴い、前記シール部材をボトル軸方向に沿うボトル本体の外側に向けて変位または変形させることで、前記シール部材を前記破断部に押圧させるように構成され、前記中栓本体は、前記口部に装着された装着筒部と、前記装着筒部内に配置され前記貫通孔が形成された可動部と、前記装着筒部の内周面と前記可動部の外周縁とを連結し、ボトル軸方向に沿うボトル本体の外側に向けて反転変形可能な反転連結部と、を備え、前記中栓は、前記ボトル本体の内圧の上昇に伴い、前記反転連結部を反転変形させることで、前記シール部材をボトル軸方向に沿うボトル本体の外側に向けて変位させることを特徴とする。
【0007】
この発明では、ボトル本体の内圧が上昇すると、この内圧によりシール部材が、ボトル軸方向に沿うボトル本体の外側に向けて変位または変形させられる。シール部材が破断部に押圧させられるまで変位または変形すると、破断部によりシール部材が破断され、ボトル本体の内部と外部とが、シール部材の破断部分および内空間により形成される連通路を通して連通され、ボトル本体の内圧が、連通路を通して外部に開放される。
【0008】
以上より、このボトルによれば、シール部材が破断部により一旦、破断されると、ボトル本体の内部と外部とが、連通路を通して連通されるので、ボトル本体の内圧を、連通路を通して外部に確実に開放することが可能になり、ボトル本体の内圧を安定に維持し易くすることができる。
また、シール部材が中栓本体に固着されており、中栓本体とシール部材とが別部材により形成されているので、中栓本体およびシール部材それぞれを形成する材料についての制約を受け難くすることができる。これにより、例えば中栓本体をボトル本体の口部に確実に装着させつつ、シール部材を破断容易に形成すること等ができる。
また中栓が、ボトル本体の内圧の上昇に伴い、反転連結部を反転変形させることで、シール部材をボトル軸方向に沿うボトル本体の外側に向けて変位させる場合、シール部材のボトル軸方向の変位量を安定させることが可能になり、破断部によりシール部材を確実に破断させることができる。
【0009】
また、前記内空間は、前記口部の外周面と前記キャップの内周面との間を通して前記キャップの開口端部からの外部に連通していてもよい。
【0010】
この場合、内空間が、ボトル本体の口部の外周面とキャップの内周面との間を通してキャップの開口端部から外部に連通しているので、例えば内空間が、キャップをボトル軸方向に貫通する孔部を通して外部に連通している場合に比べて、内空間を清浄な状態に保持し易くすることができる。したがって、内空間を清浄な状態に保持しつつ、内空間と外部とを連通する流路の流路面積を確保することが可能になり、ボトル本体の内圧をより安定に維持し易くすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るボトルによれば、ボトル本体の内圧を安定に維持し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係るボトルの要部の縦断面図である。
図2図1に示すボトルであって、ボトル本体の内圧上昇時における要部の縦断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るボトルの要部の縦断面図である。
図4図3に示すボトルであって、ボトル本体の内圧上昇時における要部の縦断面図である。
図5】本発明の変形例に係るボトルの要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明に係る第1実施形態のボトルを説明する。
図1に示すように、ボトル10は、内容物が収容されるボトル本体11と、ボトル本体11の口部11aを閉塞する中栓12と、口部11aに着脱可能に外装されたキャップ13と、を備えている。前記内容物としては、例えば液体状の食品などが挙げられる。前記食品としては、例えば酒類などが挙げられる。
【0016】
ここで、ボトル本体11は有底筒状に形成され、キャップ13は有頂筒状に形成され、ボトル本体11およびキャップ13の各中心軸は共通軸上に位置している。以下、この共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸O方向に沿ってボトル本体11の底部側を下側といい、キャップ13側を上側という。また、ボトル軸Oに直交する方向を径方向といい、ボトル軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0017】
ボトル本体11は、例えばガラス材料や合成樹脂材料などで形成される。前記合成樹脂材料としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等が挙げられる。ボトル本体11の口部11aの外周面には、雄ねじが形成されている。
中栓12は、ボトル本体11の口部11aを閉塞するとともにボトル軸O方向の貫通孔14aが形成された中栓本体14と、中栓本体14に固着され貫通孔14aを閉塞するシール部材15と、備えている。
【0018】
中栓本体14は、口部11aに装着された装着筒部16と、装着筒部16内に配置され前記貫通孔14aが形成された可動部17と、装着筒部16の内周面と可動部17の外周縁とを連結し、上側(ボトル軸方向に沿うボトル本体の外側)に向けて反転変形可能な反転連結部18と、を備えている。
【0019】
装着筒部16は、口部11a内に着脱可能にかつ液密に嵌合されている。装着筒部16は、口部11aから上方に突出している。装着筒部16において口部11aから上方に突出する突出部分16aは、この装着筒部16において突出部分16aよりも下方(ボトル軸方向に沿うボトル本体の内側)に位置する嵌合部分16bよりも、径方向の外側に向けて張り出している。突出部分16aの外径は、口部11aの外径よりも若干大きくなっている。突出部分16aの外周面と嵌合部分16bの外周面とを連結する連結段部は、口部11aの開口端縁に、この開口端縁の上方から当接している。
【0020】
可動部17は、表裏面がボトル軸O方向を向く板状に形成されている。可動部17は、ボトル軸Oと同軸に配置され、可動部17の外周縁は、装着筒部16の内周面よりも径方向の内側に位置している。可動部17は、ボトル軸O方向に沿う縦断面視において、上方に向けて凸となるように湾曲している。可動部17は、装着筒部16よりも薄肉に形成されている。
貫通孔14aは、可動部17の径方向の中央部に形成されている。貫通孔14aは、ボトル軸O上に配置されている。
【0021】
反転連結部18は、ボトル軸Oと同軸の環板状に形成されている。反転連結部18の外周縁は、装着筒部16の内周面に連結され、反転連結部18の内周縁は、可動部17の外周縁に連結されている。反転連結部18と、装着筒部16および可動部17と、の各連結部分は、ボトル軸O方向に折曲変形可能となっている。反転連結部18は、径方向の外側から内側に向かうに従い漸次下方に向けて延在している。
【0022】
シール部材15は、例えばフィルム材やシート材などにより、表裏面がボトル軸Oを向く薄膜状に形成される。シール部材15は、可動部17よりも薄肉に形成されている。シール部材15は、可動部17の上面(ボトル軸方向に沿うボトル本体の外側を向く面)に固着されている。シール部材15のうち、中栓本体14に固着される固着部分15aの面積は、貫通孔14a上に位置し中栓本体14と固着されていない非固着部分15bの面積よりも大きい。
前記中栓12は、例えばシール部材15をインサート品(インモールドラベル)とした射出成形などにより形成される。
【0023】
キャップ13は、ボトル本体11の口部11aに着脱可能に外装されて中栓12を覆う。キャップ13の天壁部は、装着筒部16の上側の開口端縁に、この開口端縁の上方から当接している。キャップ13内には、中栓12が嵌合されていて、図示の例では、中栓12のうち、前記突出部分16aが、キャップ13の周壁部のうち、天壁部との連結部分内に嵌合されている。また、キャップ13の周壁部のうち、前記連結部分よりも下側に位置する開放部分の内周面には、前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成されており、キャップ13は、ボトル本体11の口部11aの外周面に螺着されている。
【0024】
なお、キャップ13の周壁部のうち、前記連結部分は、前記開放部分よりも厚肉に形成され、開放部分よりも径方向の内側に張り出している。連結部分のうち、装着筒部16の前記突出部分16aよりも下側に位置する部分には、装着筒部16の前記連結段部に、この連結段部の下方から係止可能な係止突起13aが形成されている。
【0025】
キャップ13と中栓12との間には、このボトル10の外部に連通する内空間20が画成されている。内空間20は、口部11aの外周面とキャップ13の内周面との間を通してキャップ13の開口端部から外部に連通している。口部11aの外周面とキャップ13の内周面との間には、キャップ13の開口端部内を通して外部に連通する流路部21が設けられている。中栓12およびキャップ13のうち、少なくとも一方には、内空間20と流路部21とを連通する凹溝部19が形成されている。
【0026】
凹溝部19は中栓12に限定して形成されている。凹溝部19は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。凹溝部19は、装着筒部16の上側の開口端縁に径方向に延設された横溝19aと、装着筒部16の外周面にボトル軸O方向に延設された縦溝19bと、を備えている。横溝19aは、装着筒部16の内周面および外周面の両側に開口している。縦溝19bは、横溝19aの径方向の外側の端部から下方に向けて延在し、前記連結段部に開口している。
【0027】
そして本実施形態では、キャップ13には、下方に向けて内空間20内に突出し、シール部材15の前記非固着部分15bにボトル軸O方向に対向する破断部22が設けられている。破断部22は、キャップ13と一体に形成されている。破断部22は、ボトル軸Oと同軸の錘状に形成され、下方に向かうに従い漸次縮径する先鋭形状に形成されている。破断部22の外周面は、前記縦断面視で、ボトル軸Oに対して傾斜する直線状となっている。破断部22の先端部とシール部材15とは、ボトル軸O方向に離間している。
【0028】
前記ボトル10では、例えば内容物を温めるため、湯煎や電子レンジによりボトル10ごと加熱するとき等に、ボトル本体11の内圧が上昇する。すると図2に示すように、反転連結部18が反転変形することで、シール部材15が上方に向けて変位させられる。シール部材15が破断部22に押圧させられるまで変位すると、破断部22によりシール部材15が破断され、ボトル本体11の内部と外部とが、シール部材15の破断部分、内空間20、凹溝部19および流路部21により形成される連通路23を通して連通され、ボトル本体11の内圧が、連通路23を通して外部に開放される。
なおその後、ボトル本体11内から内容物を取り出すときには、例えばボトル本体11の口部11aとキャップ13との螺着を解除し、例えば口部11aからキャップ13とともに中栓12を離脱させて口部11aを開放する。
【0029】
以上説明したように、本実施形態に係るボトル10によれば、シール部材15が破断部22により一旦、破断されると、ボトル本体11の内部と外部とが、連通路23を通して連通されるので、ボトル本体11の内圧を、連通路23を通して外部に確実に開放することが可能になり、ボトル本体11の内圧を安定に維持し易くすることができる。
【0030】
また、シール部材15が中栓本体14に固着されており、中栓本体14とシール部材15とが別部材により形成されているので、中栓本体14およびシール部材15それぞれを形成する材料についての制約を受け難くすることができる。これにより、例えば中栓本体14をボトル本体11の口部11aに確実に装着させつつ、シール部材15を破断容易に形成すること等ができる。
【0031】
また内空間20が、ボトル本体11の口部11aの外周面とキャップ13の内周面との間を通してキャップ13の開口端部から外部に連通しているので、例えば内空間が、キャップをボトル軸方向に貫通する孔部を通して外部に連通している場合に比べて、内空間20を清浄な状態に保持し易くすることができる。したがって、内空間20を清浄な状態に保持しつつ、内空間20と外部とを連通する流路の流路面積を確保することが可能になり、ボトル本体11の内圧をより安定に維持し易くすることができる。
【0032】
また中栓12が、ボトル本体11の内圧の上昇に伴い、反転連結部18を反転変形させることで、シール部材15をボトル軸O方向に沿うボトル本体11の外側に向けて変位させるので、シール部材15のボトル軸O方向の変位量を安定させることが可能になり、破断部22によりシール部材15を確実に破断させることができる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態のボトルを、図3および図4を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0034】
図3に示すように、本実施形態に係るボトル30では、中栓12は、前記可動部17および前記反転連結部18に代えて、装着筒部16から径方向の内側に向けて突出するフランジ部31を備えている。フランジ部31は、装着筒部16に直結されている。フランジ部31は、表裏面がボトル軸O方向を向く環板状に形成されている。フランジ部31は、ボトル軸Oと同軸に配置されている。
【0035】
そして貫通孔14aは、フランジ部31内に設けられており、シール部材15は、フランジ部31の上面に固着されている。シール部材15は、ボトル本体11の内圧上昇に伴い上方に向けて膨出変形する程度の可撓性を具備している。
なお破断部22の外周面は、前記縦断面視で、ボトル軸Oに対して径方向の内側に向けて凸となる曲線状となっている。破断部22の先端部とシール部材15とは、ボトル軸O方向に近接している。
【0036】
前記ボトル30では、ボトル本体11の内圧が上昇すると、図4に示すように、この内圧により、シール部材15が上方に向けて変形させられる。シール部材15が破断部22に押圧させられるまで変形すると、破断部22によりシール部材15が破断され、ボトル本体11の内圧が、前記連通路23を通して外部に開放される。
以上説明したように、本実施形態に係るボトル30によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0037】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、凹溝部19は前記実施形態に示したものに限られず、図5に示すような構成を採用してもよい。図5に示すボトル40には、凹溝部41、42、43として、中栓12に形成された第1凹溝部41および第2凹溝部42と、キャップ13に形成された第3凹溝部43と、が設けられている。
第1凹溝部41は、装着筒部16の上側の開口端縁にボトル軸Oと同軸に形成された環状溝により構成されている。第1凹溝部41は、装着筒部16の上側の開口端縁の外周縁部に形成され、径方向の外側に向けて開口している。第2凹溝部42は、前記横溝19aにより構成され、周方向に間隔をあけて複数配置されている。第2凹溝部42の径方向の外側の端部は、第1凹溝部41内に開口している。第3凹溝部43は、キャップ13の周壁部の内周面にボトル軸O方向に延設された縦溝により構成され、周方向に間隔をあけて複数配置されている。第3凹溝部43の上側の端部は、第1凹溝部41内に開口している。第3凹溝部43の下側の端部は、流路部21に開口している。
【0038】
また、前記実施形態では、内空間20は、ボトル本体11の口部11aの外周面とキャップ13の内周面との間を通してキャップ13の開口端部から外部に連通しているものとしたが、これに限られない。例えば、キャップをボトル軸方向に貫通する孔部を形成してもよい。
【0039】
また中栓12は前記実施形態に示したものに限られない。例えば中栓を、ボトル本体の内圧の上昇に伴い、シール部材をボトル軸方向に沿うボトル本体の外側に向けて変位または変形させることで、シール部材を破断部に押圧させる他の構成に適宜変更してもよい。
【0040】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10、30、40 ボトル
11 ボトル本体
11a 口部
12 中栓
13 キャップ
14 中栓本体
14a 貫通孔
15 シール部材
16 装着筒部
17 可動部
18 反転連結部
20 内空間
22 破断部
図1
図2
図3
図4
図5