(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対のガイドローラを設けているローラガイドを載置する基台と、上記対のガイドローラに光を照射する照明装置と、光が照射されている上記対のガイドローラを撮像する撮像装置と、この撮像装置による上記対のガイドローラの撮像画像を投影画像として表示すると共に予め設定されている基準線となる垂直線及び水平線を表示する表示画面を有する撮像表示装置と、この撮像表示装置及び上記撮像装置に接続しかつこれらを制御可能である制御部を有すると共に演算部及び記憶部を設けている制御装置とを備えており、
上記垂直線及び上記水平線は各1本の線を十字に交差している状態が上記表示画面に表示されるものであり、
上記表示画面は、その中央位置に上記各ガイドローラの上記投影画像が投影される目安となるように上記垂直線を挟んで目安輪郭線が表示可能であり、
上記制御装置は、上記各ガイドローラの投影画像の各位置を検出可能であって、これらの位置情報は上記記憶部に保存することができ、上記投影画像に含まれる上記対のガイドローラの各フランジ部像の位置を検出可能であって、上記投影画像に含まれる各カリバー像の中心位置を検知することができ、上記両フランジ部像間の距離である面間距離、上記対のガイドローラの投影画像の上記カリバー像の中心位置の上記水平線に対するずれである高さ寸法及び左右の各フランジ部像の上記垂直線に対するずれである片寄り寸法をそれぞれ計測し、上記面間距離の測定値、上記各片寄り寸法の測定値及び各高さ寸法の測定値並びに上記面間距離の基準値、各片寄り寸法の基準値及び各高さ寸法の基準値を上記表示画面に表示可能であり、
上記制御装置は、演算部により上記面間距離、上記片寄り寸法及び高さ寸法の各測定値がそれぞれの上記各基準値に適合しているか否かを判定可能であり、判定結果を上記表示画面に表示可能であり、
上記片寄り寸法及び上記高さ寸法の各基準値は許容範囲内に設定されており、
上記制御装置は、ガイドローラの投影画像における各位置の計測情報を上記記憶部に保存し、上記計測情報を検索可能かつ表示画面に表示可能であるガイドローラのカリバー投影システムであり、
上記対のガイドローラの上記投影画像を上記目安輪郭線上に重ねて行き、上記ローラガイドの固定位置の目安を得てから上記ローラガイドを固定し、
固定後に、上記制御装置を通じて、上記対のガイドローラの面間距離及び片寄り寸法並びに高さ寸法をそれぞれ計測して、上記面間距離の測定値及び上記各片寄り寸法の測定値並びに高さ寸法の測定値が上記面間距離の基準値及び各片寄り寸法の基準値並びに高さ寸法の基準値に適合しているか否かが判定され、判定結果が表示される上記表示画面を介して上記各測定値が上記各基準値を満たしているか否かを確認し、
上記各測定値のうち、上記対のガイドローラの上記面間距離の測定値が面間距離の上記基準値を満たしていないのであれば、上記対のガイドローラの片寄りを確認し、上記片寄り寸法の上記測定値が上記片寄り寸法の上記基準値を満たしていないのであれば、上記対のガイドローラの片寄りを確認してから、この片寄りを修正するために対のガイドローラの面間調整ねじをそれぞれ操作して調整し、上記測定値が上記基準値を満たした時点で片寄り修正の操作を終え、
上記各測定値のうち、上記対のガイドローラの高さ寸法の測定値が上記基準値を満たしていないのであれば、対のガイドローラの中心位置が上記水平線からずれていることを上記表示画面により認識してから、このずれを修正するために対のガイドローラの支点ピンを調整ナットによりそれぞれ操作して調整し、上記測定値が上記基準値を満たした時点でずれ修正の操作を終える
ことを特徴とするガイドローラのカリバー投影システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るガイドローラのカリバー投影システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜
図3に示すガイドローラのカリバー投影システムSは、対のガイドローラ9,10を設けているローラガイドRGを載置する基台1と、上記対のガイドローラに光を照射する照明装置2と、光が照射されている上記対のガイドローラを撮像する撮像装置3と、この撮像装置による上記ガイドローラの撮像画像を投影画像として表示すると共に予め設定されている基準線となる垂直線及び水平線を表示する表示画面4aを有する撮像表示装置4と、この撮像表示装置及び上記撮像装置に接続しこれらを制御可能である制御装置5とを備えている。
【0009】
図1〜
図3に示すローラガイドRGは、基台1上にアタッチメント6を介して着脱可能に取り付けられている。アタッチメント6上には凸状のキー6aを突出してあり、ローラガイドRGのベース16の底面には上記キーと嵌合可能であるキー溝16aを形成してある(
図4)。17はストッパである。
【0010】
図1及び
図2において、ローラガイドRGのガイドボックス7には支点ピン11を中心として回転可能である対のローラホルダ8を設けてある。対のローラホルダ8の先端側には対のガイドローラ9,10がローラピンを中心として回転可能に設けてある。ガイドローラ9,10は、
図3に示す各カリバー(孔型)9a,10aが断面V字形に形成されている。ガイドローラ9,10の各カリバー9a,10aの上下両側はフランジ部9b,10bとなっている。
図1及び
図2に示す対のローラホルダ8は、支点ピン11の下端側に設けてある皿ばね(図示せず。)によって上方に向けてばね力が付与されている。支点ピン11の上端部には調整ナット12,13を取り付けてあり、各調整ナットの位置調整によって対のローラホルダ8の高さ調整が可能である。各ガイドローラ9,10の高さ調整は、それぞれの調整ナット12,13の回転操作によって高さ変更される各ローラホルダ8を介して行われる。
ローラホルダ8、支点ピン11及び調整ナット12,13は、各ガイドローラ9,10の高さ調整手段を構成している。
また、ローラガイドRGは各ガイドローラ9,10の面間調整手段を備えている。すなわち、
図1〜
図3に示す例によれば、ガイドボックス7の
図2右側には、互いに対向的に面間調整ねじ14,15を取り付けてある。面間調整ねじ14,15の各先端部は各ローラホルダ8の後端部8aに接触されている。各ローラホルダ8の後端間には、図示していない引っ張りばねが渡されているため、面間調整ねじ14,15の各先端部は各ローラホルダ8の後端部8a内面に所定の弾性力によって接触されている。ガイドボックス7に対して面間調整ねじ14,15の出し入れ量を調整することによって、ばね力に抗して各ローラホルダ8を押圧し、この押圧を通じて各ローラホルダは支点ピン11を中心として回転され、対のローラホルダの先端部間が開閉される。両ガイドローラ9,10のフランジ部9b,10bの面間調整は、それぞれの面間調整ねじ14,15の出し入れ量(回転量)に対応して各ローラホルダの先端の幅が調整されることによって行われる。
ローラホルダ8、支点ピン11及び面間調整ねじ14,15は、各ガイドローラ9,10の面間調整手段を構成している。
【0011】
図1及び
図2において、基台1上の両側には、ローラガイドRGを挟んで一側(図右側)に投影装置である照明装置2を、他側(左側)に撮像装置3をそれぞれ配置してある。
照明装置2はローラガイドRGの対のガイドローラ9,10に光を投射する装置である。撮像装置3は照明装置2から光が投影されている対のガイドローラ9,10を撮像する装置である。
【0012】
図1において、撮像装置3の図左側にはこれに隣接して撮像表示装置4を、そしてこの撮像表示装置の下部に制御装置5をそれぞれ配置してある。
撮像表示装置4の表示画面4aは
図1右側に向けられている。撮像表示装置4は基台1の底板から起立してあるスタンド18に支持されており、撮像装置3より高い位置に設置されている。
図1に示す制御装置5は撮像装置3及び撮像表示装置4と接続され、これらの装置を制御部24により制御可能である。制御装置5には入力装置19が接続されている。制御装置5はパーソナルコンピューターからなり、上記制御部24の他に、画像処理部23、記憶部25及び演算部26を有している。制御装置5には表示画面4aに表示された情報を印刷するためのプリンタ(図示せず。)が接続されている。
【0013】
撮像表示装置4と制御装置5との関係について、
図1、
図5〜
図7を参照して説明する。
図1及び
図5において、制御装置5の記憶部25には垂直線21及び水平線22に係る基準値が保存されており、上記垂直線及び水平線は撮像表示装置4の表示画面4aに表示される。そして、制御装置5は、撮像装置3によって撮像されたガイドローラ9,10の撮像画像を画像処理部23によって画像データとして取り入れると共に、この画像データに基づいて撮像表示装置4の表示画面4aに上記ガイドローラの断面形状に対応する投影画像9G,10Gを表示可能である。また、制御装置5は、制御部24を通じて上記投影画像9G,10Gの各位置を検出可能であり、これらの位置情報は記憶部25に保存される。制御装置5は、上記のように投影画像9G,10Gの各位置を検知可能であることから、上記投影画像に含まれるカリバー像9aG,10aGの中心位置及び上下のフランジ部像9bG,10bGの各位置をそれぞれ検知することができる。さらに、制御装置5は、演算部26を通じて上記フランジ部像9bG,10bGの垂直線21に対するずれ(片寄り寸法)及びカリバー像9aG,10aG中心の水平線22に対するずれ(高さ寸法)を測定可能である。
図5及び
図7において、表示画面4aには、画像表示領域の境界線を示す円20の内部にガイドローラ9,10の投影画像9G,10G(図では対のガイドローラの対向側部分の投影画像)が表示されると共に、上記円の中心は測定基準となる原点である。また、表示画面4aに表示されている垂直線21及び水平線22は上記原点で交差しており、上記垂直線の左右には目安輪郭線9PF,10PFがそれぞれ表示されている。上記目安輪郭線9PF,10PFはガイドローラ9,10の投影画像9G,10Gの案内手段であり、ローラガイドRG(
図1)のセット時は、ガイドローラの仮の位置を決めるための目安となる。
【0014】
ガイドローラ9,10のカリバー9a,10aが設定目標寸法に適合しているか否かは、左右のガイドローラにおける
図6に示す片寄り寸法AL,AR(面間距離A)の測定値と垂直線21に係る基準値との比較結果に基づいて判断し、また、左右のガイドローラの高さ寸法HL,HRの測定値と水平線22に係る基準値との比較結果に基づいて判断される。
設定目標寸法の適合基準となるガイドローラ9,10の片寄り寸法について説明する。
ガイドローラ9,10の片寄り寸法の計測結果は数値化されて表示画面4aに表示される。
図6に示すガイドローラの投影画像9G,10Gに含まれる上下左右それぞれのフランジ部像9bG,10bG間の面間距離A,Bのうち、上側の面間距離Aについて説明すると、左ガイドローラ9の投影画像9Gに含まれる上側のフランジ部像9bGと垂直線21との間の左側の距離が左側の片寄り寸法ALである。右ガイドローラ10の投影画像10Gに含まれる上側のフランジ部像10bGと垂直線21との間の右側の距離が右側の片寄り寸法ARである。両片寄り寸法AL,ARの合計値が面間距離Aである。
図6下側の面間距離Bについて説明すると、左ガイドローラ9の投影画像9Gに含まれる下側のフランジ部像9bGと垂直線21との間の左側の距離が左側の片寄り寸法BLであり、右ガイドローラ10の投影画像10Gに含まれる下側のフランジ部像10bGと垂直線21との間の右側の距離が右側の片寄り寸法BRであり、両片寄り寸法の合計値が面間距離Bである。
制御装置5の記憶部25には、
図6上側の面間距離Aの基準値及び左右各側の片寄り寸法AL,ARの基準値が登録され、同様に図下側の面間距離Bの基準値及び左右各側の片寄り寸法BL,BRの基準値が登録されている。上記上下両側の面間距離A,Bの基準値は
図7の上側に配置されている面間基準値欄27に表示される。また、
図7上下両側の左右各側の片寄り寸法AL,AR,BL,BRの基準値は、上下両側に配置されている片寄り基準値欄31,32にそれぞれ表示される。
【0015】
制御装置5は、画像処理部23から受け取る画像データに基づいて演算部26によって
図6上側左右の片寄り寸法AL,AR及び面間距離Aをそれぞれ測定することができ、また、図下側左右の片寄り寸法BL,BR及び面間距離Bをそれぞれ測定することができる。
図7の上側に配置されている表示画面4aの面間測定値欄28には面間距離A(
図6)の測定値が表示され、片寄り測定値欄29には左側の片寄り寸法AL(
図6)の測定値が表示され、片寄り測定値欄30には、右側の片寄り寸法AR(
図6)の測定値が表示される。
同様に、
図7の下側に配置されている表示画面4aの片寄り測定値欄33には、左側の片寄り寸法BL(
図6)の測定値が表示され、片寄り測定値欄34には右側の片寄り寸法BR(
図6)の測定値が表示され、面間測定値欄35には面間距離B(
図6)の測定値が表示される。
図6に示す左右の各フランジ部像9bG,10bGが垂直線21から等距離に位置していれば、左右の片寄り寸法はAL=AR、BL=BRとなる。この時に、ガイドローラ9,10の片寄り寸法の測定値は、片寄り寸法の基準値A/2,B/2に一致している。
【0016】
設定目標寸法の適合基準となるガイドローラ9,10の高さ寸法について説明する。
ガイドローラ9,10の高さ寸法の計測結果は数値化されて表示画面4aに表示される。
ガイドローラ9,10における
図6に示す高さ寸法HL,HRにおいて、左ガイドローラ9の高さ寸法HLは左側のカリバー像9aGの中心C1と水平線22との距離である。同様に、右ガイドローラ10の高さ寸法HRは、右ガイドローラ10の投影画像10Gのカリバー像10aGの中心C2と水平線22との距離である。
制御装置5は、画像処理部23から受け取る画像データに基づいて演算部26によって上記左右の高さ寸法HL,HRを測定することができる。上記高さ寸法の各測定値は、
図7に示す表示画面4aの各高さ測定値欄36,37にそれぞれ表示される。図左側に位置している高さ測定値欄36には左ガイドローラ9の高さ寸法の測定値が表示され、図右側に位置している高さ測定値欄37には右ガイドローラ10の高さ寸法の測定値が表示される。
左右のカリバー像9aG,10aGの中心C1が水平線22上に位置すれば、高さ寸法はHL=HR=0となる。この時、高さ寸法HL,HRの各測定値は水平線22の基準値0に一致している。
【0017】
図5及び
図7における表示画面4aにおいて、円20の外側であって図下右側にはローラガイドRG(
図1)を識別するためのガイド番号表示欄38が表示されている。ガイド番号表示欄38には、計測時に使用するローラガイドRGの識別番号が表示される。
また、円20の外側であって
図5左側には、上方から下方に向けて間隔を置いて系列スタンド表示欄39、ローラの配置番号表示欄40、許容範囲表示欄41及び判定表示欄42が表示されている。系列スタンド表示欄39には、ローラガイドRGの設置対象となるスタンドの識別番号及び仕上げサイズが表示される。ローラの配置番号表示欄40には、対象となるスタンド中のローラガイドの配置番号及び面間基準値が表示される。許容範囲表示欄41には、片寄り寸法の測定値が許容される上限値及び下限値が表示される。判定表示欄42には判定結果が表示される。片寄り寸法及び高さ寸法がそれぞれ許容される測定値の範囲内であれば、合格を意味する例えば「OK」又は「合」等の文字が表示され、反対に、測定値の範囲外であれば、不合格を意味する「NG」又は「否」等の文字が表示される。
制御装置5は、記憶部25に片寄り寸法及び高さ寸法の測定値の許容範囲が保存されている。制御装置5は、片寄り寸法及び高さ寸法の計測時に演算部26により各測定値が上記許容範囲内にあるか否か算出し、その算出結果に基づいて上記片寄り寸法及び高さ寸法が許容すべき値であるか否かを判定可能である。
許容範囲の上限及び下限は任意に設定可能であり、後述するが、許容範囲が
図7に示すように上限+0.05、下限−0.05であれば、左右の片寄り寸法及び高さ寸法の許容される測定値は下記の式となる。
−0.05≦左側の片寄り寸法の測定値(AL−A/2)≦+0.05
−0.05≦左側の片寄り寸法の測定値(BL−B/2)≦+0.05
−0.05≦右側の片寄り寸法の測定値(AR−A/2)≦+0.05
−0.05≦右側の片寄り寸法の測定値(BR−B/2)≦+0.05
−0.05≦左側の高さ寸法の測定値(HL−0)≦+0.05
−0.05≦右側の高さ寸法の測定値(HR−0)≦+0.05
【0018】
本発明に係るガイドローラのカリバー投影システムSの使用方法について説明する。
主に
図5〜
図7に示す計測例に基づいて説明する。
予め下記の準備作業をする。
図1及び
図4に示すように、吊り上げたローラガイドRGを基台1のアタッチメント6の上方に移動させ、ベース16のキー溝16aをキー6aの真上に位置させると共に、ガイドローラ9,10の向きを撮像装置3のレンズ方向と一致させた状態にしてから、このローラガイドを降下させ、基台上に設置し、仮止めする。
この時、撮像表示装置4の表示画面4aは、
図5に示すようにガイドローラの目安輪郭線9PF,10PFが表示されているが、ガイドローラ9,10の投影画像9G,10Gは表示されていない。また、各測定値欄28〜30,33〜35には測定値が表示されておらず、そして基準値欄27,31,32にも数値が表示されていない。
【0019】
仮止め後に、照明装置2、撮像装置3、撮像表示装置4及び制御装置5を始動させ、照明装置によってローラガイドRGの対のガイドローラ9,10に光を投射して、撮像装置によりガイドローラ9,10を撮像すると、撮像画像が撮像表示装置4の表示画面4a上に投影画像9G,10Gとして表示される。
投影画像9G,10Gを表示画面4aの中央位置に投影させる目安として、実際のガイドローラ9,10の投影画像9G,10Gが目安輪郭線9PF,10PF上にほぼ重なるようにセットし、ローラガイドRGの位置を固定する。セット時に目安輪郭線9PF,10PFを利用すれば、確実かつ容易に表示画面4aの最適な位置に投影画像9G,10Gが表示されるので、投影画像の位置出し作業がし易くなる。
その後、制御装置5に入力装置19を利用してローラガイドRGの識別番号を打ち込み、ついで、このローラガイドが使用される系列スタンドの識別番号を打ち込み、引き続いて特定した系列スタンドにおけるローラガイドの設置番号を打ち込む。これらの打ち込みに伴って、
図7に示すように、表示画面4aのガイド番号表示欄38に識別番号(図示の例では0025)が表示され、面間基準値欄27に基準値(図示の例では4.58)が表示され、片寄り基準値欄31,32に基準値(図示の例では上下共に2.29)が表示される。同時に、系列スタンド表示欄39に識別番号及び仕上げサイズ{図示の例ではA−20(5.5Φ)}が表示され、ローラの配置番号表示欄40に配置番号及び面間基準値(図示の例では34 4.58)が表示され、許容範囲表示欄41に上限及び下限の各数値(図示の例では上限+0.05 下限−0.05)が表示される。
【0020】
制御装置5は、画像処理部23から入力された画像データに基づいて制御部24及び演算部26が
図6の上下2個所における面間距離A,B及び左右の片寄り寸法AL,AR,BL,BR並びに高さ寸法HL,HRを計測するので、
図7に示す面間測定値欄28,35、片寄り測定値欄29,30,33,34にそれぞれ測定値が表示される。
図7の例では、上側の面間測定値欄28には測定値4.11、下側の面間測定値欄35には測定値4.43、上側の片寄り測定値欄29,30には測定値2.39、測定値1.72、下側の片寄り測定値欄33,34には測定値1.54、測定値2.89がそれぞれ表示される。
同時に、上記測定によって判定表示欄42に判定結果が表示され、
図7に示す例によれば「NG」の文字が表示される。この判定により、片寄り寸法AL,AR,BL,BR及び高さ寸法HL,HRの測定値が許容範囲外であることを意味する。
【0021】
図7に示す表示画面4aに表示されたガイドローラ9,10の片寄り寸法の測定値と上記判定結果との関係について説明する。
面間距離に関して、
図7中央上側の面間基準値欄27には基準値4.58が表示されているのに対して、上側の面間測定値欄28には測定値4.11が、下側の面間測定値欄35には測定値4.43がそれぞれ表示されている。測定結果として、上側で差0.47(4.11−4.58)だけ面間距離の基準値を満たさず、下側で差0.15(4.43−4.58)だけ面間距離の基準値を満たしていないから、結局、測定者はガイドローラ9,10が片寄っていることが分かり、その上、上記各差が許容範囲表示欄41の上限及び下限の各数値を満たしていないことも確認できる。
片寄り寸法に関して、上下両側の片寄り基準値欄31,32には基準値2.29と表示されているのに対して、上左側の片寄り寸法が2.39、下左側の片寄り寸法が1.54であり、また、上右側の片寄り寸法が1.72、下右側の片寄り寸法が2.89である。測定結果として、上左側で差0.10(2.39−2.29)だけ基準値を越え、下左側で差0.75(1.54−2.29)だけ基準値を満たしていないので、結局、測定者は左ガイドローラ9が片寄っていることを確認でき、上記各差が許容範囲表示欄41の上限及び下限の各数値を満たしていないことも確認できる。また、上右側で差0.57(1.72−2.29)だけ基準値を満たさず、下右側で差0.60(2.89−2.29)だけ基準値を越えているから、結局、測定者は右ガイドローラ10が片寄っていることを確認でき、上記各差が許容範囲表示欄41の上限及び下限の各数値を満たしていないことも確認できる。
このように、測定者は、
図7に示す表示画面4aに表示された測定値及び基準値からガイドローラ9,10の片寄りを確認できるが、
図7に示す計測例では、判定表示欄42に判定結果として「NG」の文字が表示されるので、ガイドローラ9,10に片寄りが存在していることを瞬時に知ることができる。
【0022】
上記片寄り寸法を修正するために、測定者は、
図7上側の左右の片寄り寸法(測定値2.39と1.72)が、図下側左右の片寄り寸法(測定値1.54と2.89)がそれぞれ互いに同一(基準値2.29)になるよう、又は片寄り寸法が許容範囲内に収まるようにローラガイドRGの面間調整ねじ14,15を調整し、調整後ロックナット(図示せず。)で固定する。
【0023】
ガイドローラ9,10の測定結果と高さ寸法について説明する。
高さ寸法に関して、
図7の左側の高さ測定値欄36には測定値−0.21が、右側の高さ測定値欄37には測定値−0.14がそれぞれ表示されており、上記各測定値が許容範囲表示欄41の上限及び下限の各数値を満たしていないことによって、測定者はカリバー像9aG,10aGの中心位置が基準となる水平線22から下方に上記測定値だけずれていることを認識できる。
そこで、上記ずれを修正するため、
図6に示す左ガイドローラ9の投影画像9Gの高さ寸法(
図7では左高さ寸法の測定値−0.21)が高さの基準値0になるように、また右ガイドローラ10の投影画像10Gの高さ寸法(
図7では右高さ寸法の測定値−0.14)が0になるように又は高さ寸法が許容範囲内に収まるようにする。
そのためには、
図1に示すガイドローラ9,10の支点ピン11を調整ナット12,13をそれぞれ上方又は下方に操作調整し、各測定値が0になった時点で又は許容範囲内に収まった時点で、ロックナット(図示せず。)で固定する。
固定後の
図7に示す表示画面4aの判定表示欄42には判定結果として「OK」の文字が表示されるので、測定者は、ガイドローラ9,10の面間及び高さ調整終了を確認できる。
上記調整によって、基準となる垂直線21及び水平線22の交点(センター)である原点(
図5)とパスライン(圧延ライン)とが一致することになる。
【0024】
図8(ア−1)及び
図9(ア−2),(ア−3)の各計測例について説明する。
なお、各図において、各測定値並びに面間距離の基準値及び片寄り寸法の基準値の画面表示を省略する。
図8(ア−1)に示す例について説明する。
計測後の表示画面4aには、ガイドローラの投影画像9G,10Gのうち、投影画像10Gが垂直線21より片寄った状態で表示されており、測定者は上記表示状態を片寄り寸法の測定値及び片寄り寸法の基準値の画面表示により認識できる。すなわち、
図6に示す上下2個所の左の片寄り寸法AL,BL及び右の片寄り寸法AR,BRがそれぞれ計測され、それらの測定値は表示画面4aに表示される。この表示から、判定者は上下の左右の片寄り寸法はAL≠AR、BL≠BRであることを知り、ガイドローラの片寄り状態を認識するが、図示していない判定表示欄の判定結果によって上記片寄りを確実に確認できる。
そこで、上記片寄りを修正するため、ガイドローラの面間距離A,Bが面間距離の基準値になると共に、上側の左右の片寄り寸法AL,ARが、下側の左右の片寄り寸法BL,BRがそれぞれ互いに同一になるように又は許容範囲内に設定されるように、ローラガイドRGの面間調整ねじ14,15(
図2)を調整し、調整後ロックナット(図示せず。)で固定する。
このようなガイドローラ9,10の面間調整によって、
図8(ア)に示すように表示画面4aには、片寄り寸法はAL=AR(=A/2)となっているガイドローラの投影画像9G,10Gが表示され、片寄りが修正された。
なお、この例におけるガイドローラの高さ寸法に関しては、表示画面4aの高さ寸法の測定値の表示から、高さ寸法はHL=HR=0が成立しているので、高さ調整は不要である。
この結果、垂直線21及び水平線22の交点である原点(
図8)とパスラインとが一致する。
【0025】
図9(ア−2)に示す例では、表示画面4aに左ガイドローラの投影画像9Gは水平線22より上側にずれている状態が表示され、右ガイドローラの投影画像10Gは水平線22より下側にずれている状態が表示されており、測定者は上記表示状態を高さ寸法の測定値の画面表示により認識できる。すなわち、
この例の表示画面4aでは、高さ寸法HL,HRが基準となる水平線22に合致しておらず、高さ寸法はHL≠0、HR≠0であり、カリバー像9aG,10aGの中心が水平線22に対して上下にずれている数値が表示され、換言すれば、表示画面に表示された測定値によって、ガイドローラ9,10の高さに違い(ずれ)があることがわかる。当然のことながら、図示していない判定表示欄の判定結果によって上記ずれを確実に確認できる。
そこで、このずれを修正するため、
図1及び
図2に示すガイドローラ9,10の高さを支点ピン11の調整ナット12,13をそれぞれ上方又は下方に操作調整し、各測定値がほぼゼロになった時点でロックナット(図示せず。)で固定する。
調整後の表示画面4aには、
図8(ア)に示すように面間距離A,B及び高さ寸法HL,HRが垂直線21及び水平線22の基準値0に合致しているガイドローラの投影画像9G,10Gが表示される。
なお、この例におけるガイドローラの片寄りに関して、表示画面4aには、表示していない測定値欄の測定値から片寄り寸法はAL=AR、BL=BRとなっているガイドローラの投影画像9G,10Gが表示され、面間距離A,Bが基準値に合致しているから、面間調整は不要である。
【0026】
図9(ア−3)に示す例では、表示画面4aに、ガイドローラの投影画像9G,10Gが垂直線21より左側に片寄った状態で表示され、いずれの投影画像も水平線22より下側にずれている状態が表示されており、測定者は、上記表示状態を片寄り寸法の測定値及び片寄り寸法の基準値並びに高さ寸法の測定値が画面表示によって認識できる。すなわち、
この例では、面間距離A,Bの測定値と基準値とが合致しておらず、また高さ寸法HL,HRが基準となる水平線22の基準値に合致しておらず、図下方にずれがあり、測定者は表示された測定値により又は図示していない判定表示欄の結果表示によって上記ずれを確認可能である。
面間距離の調整は、
図8(ア−1)に示す例と同様な操作で行い、高さ調整は
図9(ア−2)に示す例と同様な操作で行う。
この結果、
図8(ア)に示す表示画面4aには、面間距離、片寄り寸法及び高さ寸法が調整されたガイドローラの投影画像9G,10Gが表示される。
【0027】
ローラガイドにおける対のガイドローラのカリバーがオーバル形である場合について
図10及び
図11を参照して説明する。
図10に示す表示画面4aには計測前の対のガイドローラの投影画像の表示状態を示すものであるが、対のガイドローラの投影画像、この投影画像に含まれるカリバー像及びフランジ部像並びにガイドローラの目安輪郭線を示すそれぞれの符号については、
図6に示す投影画像の符号9G,10G、カリバー像9aG,10aG及びフランジ部像9bG,10bG並びに目安輪郭線の符号9PF,10PFをそのまま使用し、その他の構成部分についても共通部分を示す符号を一致させてある。
また、
図11の表示画面4aにおける表示構成は
図6のそれと共通しているので、共通する部分を示す符号には
図6の表示構成の各部分に使用した符号をそのまま使用し、構成の詳細な説明を省略する。
図11の表示構成において、高さ寸法HL,HRについて説明する。
投影された左ガイドローラにおける投影画像9Gのカリバー像9aGは円弧であり、この円弧状のカリバー像の中心C1と水平線22との距離は、左ガイドローラの高さ寸法HLである。また、投影された右ガイドローラにおける投影画像10Gのカリバー像10aGは円弧であり、この円弧状のカリバー像の中心C2と水平線22との距離は、右ガイドローラの高さ寸法HRである。
【0028】
ガイドローラのカリバーがオーバル形である場合の計測例として、
図12(カ−1)及び
図13(カ−2),(カ−3)の3例について説明する。
なお、各図において、各測定値並びに面間距離の基準値及び片寄り寸法の基準値の画面表示を省略する。
図12(カ−1)に示す例において、計測後における表示画面4aには、ガイドローラの投影画像9G,10Gのうち、投影画像10Gが垂直線21より右側に片寄った状態で表示されている。この表示状態は、表示画面4aに表示された片寄り寸法AL,AR,BL,BRの測定値及び基準値によって確認することができる。すなわち、
左右の片寄り寸法AL,AR,BL,BRがそれぞれ上下2個所で計測され、それらの測定値及び基準値が表示画面4aに表示される。このため、表示画面4aを通じて上下測定個所ではいずれも片寄り寸法はAL≠AR、BL≠BRである片寄り状態を確認することができ、最終的に判定表示欄の判定結果によって確実に知ることになる。
そこで、上記片寄りを修正するため、前記
図8(ア−1)の場合と同様にガイドローラの面間調整をする。
ガイドローラの面間調整によって、
図12(カ)に示す表示画面4aには、片寄り寸法はAL=AR(面間距離A/2)となっているガイドローラの投影画像9G,10Gが表示される。
ガイドローラの高さに関しては、表示画面4aの測定値から高さ寸法はHL=HR=0であるから、高さの修正は不要である。
【0029】
図13(カ−2)に示す例では、表示画面4aには左ガイドローラの投影画像9Gのカリバー像9aGの中心が水平線22より上側に高さ寸法HLずれている状態が表示されており、右ガイドローラの投影画像10Gのカリバー像10aGの中心が水平線22より下側に高さ寸法HRずれている状態で表示されている。これらの表示状態は、表示画面4aに表示された高さ寸法HL,HRの測定値によって確認することができる。すなわち、
この例では、表示画面4aに表示された測定値によって、高さ寸法HL,HRが基準となる水平線22の基準値0に合致しておらず(高さ寸法である距離はHL≠0、HR≠0)、上下にずれていることを確認することができ、最終的に判定表示欄の判定結果によって知ることになる。
そこで、高さ寸法HL,HRのずれを修正するため、前記
図9(ア−2)の場合と同様にガイドローラの高さ寸法の調整をする。
ガイドローラの高さ寸法の調整によって、
図12(カ)に示すように表示画面4aには、高さ寸法はHL=HR=0となっているガイドローラの投影画像9G,10Gが表示される。
【0030】
図13(カ−3)に示す例では、表示画面4aにはフランジ部像9bG,10bGのうち、フランジ部像9bGが垂直線21より図左側に、フランジ部像10bGが垂直線21より図右側にそれぞれ片寄っている状態のガイドローラの投影画像9G,10Gが表示され、またカリバー像9aG,10aGの中心が水平線22より下側に高さ寸法HR,HLずれている状態が表示される。この表示状態は、測定結果として、上記表示画面4aに示す片寄り寸法の測定値及び基準値によって、高さのずれを示す高さ寸法の測定値によって片寄り及び高さのずれを確認することができる。図示していないが、判定表示欄にも「NG」が表示されるので、片寄り等の調整の必要性を認識できる。
片寄り寸法の調整は
図8(ア−1)に示す例における面間調整と同様の調整をし、高さのずれの調整は
図9(ア−3)に示す例における高さ寸法の調整と同様の調整をすれば良い。
ガイドローラ9,10の面間調整及び高さ寸法の調整により、
図12(カ)に示すように表示画面4aには、修正された測定値の表示を通じて片寄り寸法はAL=ARであり、高さ寸法はHL=HR=0であるガイドローラの投影画像9G,10Gが表示され、修正された状態を確認することができる。
【0031】
本発明に係るガイドローラのカリバー投影システムSにあっては、基準となる垂直線及び水平線に対してガイドローラ9,10の片寄り寸法及び高さ寸法について投影画像9G,10Gを通じて、それぞれ測定し、片寄り寸法にあってはその測定値と基準値が、高さ寸法にあっては測定値がそれぞれ表示画面4aに数値として表示される。
上記数値表示により、ガイドローラの片寄りやずれの判定が判定者によってバラツキが生じにくく、その後の調整作業が効率的かつ正確に行え、圧延材の片寄りや食い違いの発生を抑制することができる。
また、本発明に係るガイドローラのカリバー投影システムSにおいて、線材ラインの仕上圧延機にセットする所で、調整も可能ではあるが、対のガイドローラを予めセットする事(プリセット)は非常に好ましい。それは、セットする時間を短縮すると共に、同一条件で対のガイドローラのフランジ部の距離(面間)が、圧鋼寸法に投影した寸法になっている事はもちろん、基準となる垂直線に対して左右の距離が同じになるように調整ができ、非常に効率的である。これにより、調整が非常に精密に行われ、ローラガイドのセットも容易である。
【0032】
図7及び
図10に示す表示画面4aには判定表示欄42が表示されているが、判定表示欄があれば測定後のガイドローラのカリバーが設定目標寸法通りに設定されているか否か瞬時に判断できる利点があるが、判定表示欄は必要不可欠なものではない。同様に、許容範囲表示欄41があれば、調整操作がし易い利点があるが、許容範囲表示欄は必要不可欠なものではない。