(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
強磁性体からなる被吸着物が載置されて、該被吸着物を吸着、支持する支持面と、該支持面から磁束を放出する、少なくとも一つの磁気ユニットとを有すると共に、該磁気ユニットが、内周面と外周面とが互いに異なる極性を有する磁極とされた環状の永久磁石と、該環状の永久磁石にて囲繞された第一のコアと、該環状の永久磁石と同軸的に隣り合うように配置されて、通電によって磁束が発生せしめられるコイルと、該コイルにて囲繞された第二のコアとを含んで構成されて、該コイルの磁界の方向と該環状の永久磁石の磁界の方向とが同一方向とされることにより、前記被吸着物が、前記支持面から放出される磁束によって該支持面に吸着される一方、該コイルの磁極が反転するように、該コイルを流れる電流の向きが変えられて、該コイルの磁界の方向が、該環状の永久磁石の磁界の方向に対して反対の方向とされることにより、該被吸着物の該支持面への吸着が解消され得るように構成された磁気吸着装置において、
前記支持面から突き出されて、前記被吸着物の前記吸着面の一部に当接せしめられる突出部を有し、該突出部が、前記支持面から突出せしめられる方向に移動可能に配置された可動部材と、該可動部材の突出部が、該支持面から突出しない位置と該支持面から突出した位置との間で変位するように、該可動部材を移動させる移動機構とを含んで構成される縁切り手段を設けて、該支持面からの該可動部材の突出部の突出により、該被吸着物の前記吸着面が、該突出部にて突き上げられて、該被吸着物が該支持面から離間させられるようになっており、且つ該移動機構が、軸心回りに回転可能な軸部材と、該軸部材の回転運動を、前記突出部の前記支持面からの突出方向に沿った前記可動部材の直線運動に変換する変換部とを有して構成されて、該軸部材が、第一の回転位置と第二の回転位置との間で回転させられることにより、該可動部材が、該突出部を該支持面から突出させない位置と該支持面から突出させた位置との間で移動させられるようになっていると共に、
前記軸部材の先端部に、偏心カムが一体形成される一方、前記可動部材が摺動可能に収容配置される第一の摺動穴が、前記支持面において開口して、前記突出部の該支持面からの突出方向に延びるように設けられ、更に、該軸部材の偏心カムが摺動可能に突入配置される第二の摺動穴が、該可動部材に、その外周面において開口して、該突出方向に対して直角な方向に延びるように設けられて、それら偏心カムと第一の摺動穴と第二の摺動穴とにて、前記移動機構の変換部が構成されていることを特徴とする磁気吸着装置。
前記軸部材が中心軸回りに回転可能に挿通される挿通孔が、該支持面と隣り合う面において側方に開口し、且つ前記可動部材の前記第二の摺動穴と同一方向に延出して、該第二の摺動穴と連通するように設けられている請求項1に記載の磁気吸着装置。
前記支持面を有する、強磁性体からなる少なくとも一つの支持体と、該少なくとも一つの支持体が載置される載置面を備えた基台とを含んで構成されて、該支持体に、前記縁切り手段が設けられている一方、該基台の内部に、前記少なくとも一つの磁気ユニットが設けられており、該少なくとも一つの磁気ユニットにて発生させられる磁束が、該基台の該載置面に載置された該支持体内部を透過して、該支持体の該支持面から外部に放出されるようになっている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の磁気吸着装置。
前記支持面の一部を形成する支持面形成面を備えた組付用ブロックが着脱可能に組み付けられていると共に、該組付用ブロックに対して、前記縁切り手段が設けられている請求項1乃至請求項6のうちの何れか1項に記載の磁気吸着装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0025】
先ず、
図1には、本発明に従う構造を有する磁気吸着装置の一実施形態が、その斜視形態において示されている。かかる
図1から明らかなように、本実施形態の磁気吸着装置10は、基台12と、それに載置された複数(ここでは6個)の第一支持体14及び複数(ここでは3個)の第二支持体16と、コントロールユニット18とを有して、構成されている。なお、ここでは、基台12と第一及び第二支持体14,16とにて、装置本体が構成されている。また、以下からは、便宜上、磁気吸着装置10の基台12側を下側又は下方と言い、第一及び第二支持体14,16側を上側又は上方と言うこととする。
【0026】
より具体的には、
図1及び
図2に示されるように、基台12は、長手矩形状の厚肉平板からなり、鉄材等の強磁性体材料を用いて形成されている。また、この基台12は、その上面が、第一及び第二支持体14,16が載置される平坦な載置面20とされている一方、下面が、図示しない工作機械のテーブル等に取り付けられる平坦な取付面22とされている。かかる基台12の載置面20には、複数(ここでは、
16個)の浅底の円形溝24が、基台12の長さ方向と幅方向とにそれぞれ列を為して並んで位置するように形成されている。また、載置面20における各円形溝24の中心部には、雌ネジ穴26が、それぞれ設けられている。
【0027】
そして、かかる基台12においては、複数(ここでは、
16個)の収容凹所28が、取付面22において開口するように設けられている。それら複数の収容凹所28は、取付面22側に、載置面20に形成された円形溝24と同数だけ、基台12の厚さ方向において各円形溝24と対応位置するように配置されている。また、各収容凹所28は、取付面22において下方に開口する穴状の円形凹部32と、この円形凹部32の底面において開口する溝状の環状凹部34とからなっている。かかる円形凹部32は、円形溝
24の径と略同一の径と、基台12の厚さの略半分に相当する深さとを有している。環状凹部34は、円形凹部32の径と略同じ外径の円筒状内周面を有している。
【0028】
そして、そのような複数の収容凹所28内には、磁気ユニット30が、それぞれ一つずつ収容配置されている。これによって、複数(ここでは、
16個)の磁気ユニット30が、基台12の内部に、複数の円形溝
24と対応位置するように設けられている。このことから明らかなように、複数の円形溝
24は、基台12内の磁気ユニット30の位置を示す指標として、基台12の載置面20に形成されているのである。
【0029】
磁気ユニット30は、永久磁石36と極性変更装置38を有している。永久磁石36は、全体として、収容凹所28の環状凹部34の内周面形状に対応した環状乃至は円筒形状を呈している。そして、この永久磁石36においては、その内周面と外周面とが、それぞれ、互いに異なる極性を有する磁極とされている。なお、ここでは、永久磁石36が、極めて強力な磁力を有するネオジム磁石にて構成されている。勿論、永久磁石36は、ネオジム磁石以外の磁石にて構成されていても、何等差し支えない。
【0030】
極性変更装置38は、コイル40と、このコイル40にて囲繞された、第二のコアとしての磁心42とからなっている。換言すれば、極性変更装置38は、円板状の磁心42と、磁心42の外周面に導線(図示せず)が巻回されてなるコイル40とにて構成されている。この極性変更装置38のコイル40は、環状乃至は円筒状の永久磁石36の外径と同一の外径を有する環状乃至は円筒形状を呈し、円形凹部32の深さの略半分程度の高さを有している。また、磁心42は、ここでは、Al−Ni−Co合金を用いて形成されている。
【0031】
そして、複数(ここでは、
16個)の永久磁石36が、基台12に設けられた複数の収容凹所28の環状凹部34内に、それぞれ一つずつ収容配置されている。また、複数(ここでは、
16個)の極性変更装置38は、複数の収容凹所28の円形凹部32内に、それぞれ一つずつ収容配置されている。更に、そのような各収容凹所28内への永久磁石36と極性変更装置38の収容状態下で、円形凹部32の開口部が、基台12と同材質で円板形状を呈する蓋体44にて覆蓋されている。そして、そのような蓋体44の外周面と円形凹部32の開口部の内周面との間に形成される隙間内には、蓋体44の外周面と円形凹部32の開口部の内周面との間を連結する樹脂製の連結リング46が、隙間内を充填するように埋め込まれている。
【0032】
これによって、永久磁石36と極性変更装置38とが、各円形溝24に対応位置する基台12部分内に、それぞれ一つずつ、上下方向(基台12の厚さ方向)において同軸的に隣り合って位置する状態で、固定的に配置されている。また、各収容凹所28の環状凹部34の内側に位置する基台12部分が、環状乃至は円筒状の永久磁石36に囲繞された第一のコアとしてのポールピース部48とされている。
【0033】
かくして、磁気ユニット30が、上下方向において同軸的に隣り合って配置された永久磁石36と、永久磁石36にて囲繞されたポールピース部48と、極性変更装置38(コイル40と磁心42)とにて構成されている。そして、そのような磁気ユニット30の複数が、複数の収容凹所28内に、それぞれ一つずつ離脱不能に収容された状態で、基台12の内部に、各円形溝24と対応して、基台12の長さ方向と幅方向とにそれぞれ列を為して並んで位置するように配設されているのである。
【0034】
また、
図2に示されるように、ここでは、基台12の幅方向(
図2の左右方向)において隣り合って位置する二つの磁気ユニット30のうちの一方のものが有する永久磁石36の内周面(外周面)の磁極と、それらのうちの他方の磁気ユニット30が有する永久磁石36の内周面(外周面)の磁極とが、互いに異なる極性とされている。更に、図示されてはいないものの、基台12の長さ方向(
図2の紙面に直角な方向)において隣り合って位置する二つの磁気ユニット30のうちの一方のものが有する永久磁石36の内周面(外周面)の磁極と、それらのうちの他方の磁気ユニット30が有する永久磁石36の内周面(外周面)の磁極も、互いに異なる極性とされている。
【0035】
また、図示されてはいないものの、各磁気ユニット30が有する極性変更装置38のコイル40の導線は、全て、基台12の側面に設けられた図示しない電気接続部に接続されている。そして、
図1に示されるように、リード線50を介して、コントロールユニット18と電気的に接続されたソケット52が、図示されない電気接続部に対して着脱可能に接続されている。また、コントロールユニット18は、給電線54を介して、図示しない電源装置に接続されている。
【0036】
そして、コントロールユニット18が、それに設けられたプッシュボタン式のスイッチ56のON・OFF操作に基づいて、各磁気ユニット30のコイル40に給電される電流の向きを変更し得るように構成されている。
【0037】
すなわち、コントロールユニット18に対して、スイッチ56をプッシュするスイッチ56のON操作が行われると、通電によりコイル40の軸方向両側にそれぞれ発生させられる磁極のうち、コイル40の軸方向上側(永久磁石36側)の磁極が、かかる永久磁石36の内周面の磁極と同じ極性となるように、電流がコイル40内を流される。これにより、各磁気ユニット30におけるコイル40の磁界の方向と永久磁石36の磁界の方向とが同一方向とされて、コイル40と永久磁石36とにて生ずる磁束が、基台12の載置面20から放出されるようになっている(
図7参照)。そうして、磁気吸着装置10が、所定のワークを、基台12の載置面20から放出される磁束にて吸着可能なクランプ状態とされるようになっている。
【0038】
また、コントロールユニット18に対して、スイッチ56のプッシュ状態を解除するスイッチ56のOFF操作が行われると、通電によりコイル40の軸方向両側にそれぞれ発生させられる磁極のうち、コイル40の軸方向上側の磁極が、かかる永久磁石36の内周面の磁極と異なる極性となるように、電流がコイル40内を流される。これにより、各磁気ユニット30におけるコイル40の磁界の方向が、永久磁石36の磁界の方向に対して反対の方向とされ、その結果、コイル40の磁界と永久磁石36の磁界とが互いに相殺される等して、コイル40と永久磁石36とにて生ずる磁束が、基台12の載置面20から放出されないようになっている(
図8参照)。そうして、磁気吸着装置10が、基台12の載置面20から放出される磁束によるワークの吸着状態を解消するアンクランプ状態とされるようになっているのである。
【0039】
一方、
図1及び
図2から明らかなように、基台12の載置面20に載置される第一支持体14は、略円柱状のブロック体からなり、基台12と同様な鉄材等の強磁性体材料を用いて形成されている。この円柱状の第一支持体14は、その上面が、平坦な支持面58とされている。また、かかる第一支持体14の下面の中心部には、雄ネジ部60が、一体的に突設されている。
【0040】
第一支持体14と共に、基台12の載置面20に載置される第二支持体16も、鉄材等の強磁性体材料を用いて形成された円柱状のブロック体からなり、上面が、平坦な支持面58とされている。また、第二支持体16の中心部には、第二支持体16を上下方向に貫通するボルト挿通孔62が形成されている。更に、このボルト挿通孔62内には、端面に六角穴を有する固定ボルト64が、挿通配置されている。また、固定ボルト64は、ボルト挿通孔62内において、雄ネジが形成された脚部の一部を第二支持体16の下面から突出させた所定の位置からの下方への変位が阻止されている。
【0041】
そして、そのような第一支持体14の複数のものと第二支持体16の複数のものとが、基台12の載置面20上において、複数の円形溝24の内側にそれぞれ位置するように配置されて、雄ネジ部60と固定ボルト64とが、各円形溝24の中心部において載置面20に形成された雌ネジ穴26に螺入されている。これによって、それら複数の第一支持体14と複数の第二支持体16とが、基台12の載置面20上に、基台12の長さ方向と幅方向とに列を為して並んで配置された状態で、固定されている。また、複数の第一及び第二支持体14,16の各支持面58が、基台12の載置面20から一定の距離(第一支持体14と第二支持体16のそれぞれの高さに相当する距離)を隔てた位置において、載置面20と平行に広がるように配置されている。そして、第一支持体14と第二支持体16とが強磁性体材料を用いて形成されているところから、コントロールユニット18のスイッチ56がON操作されたときに、基台12の載置面20から放出される磁束が、複数の第一及び第二支持体14,16をそれぞれ透過して、それらの各支持面58から外部に放出されるようになっている(
図7参照)。なお、ここでは、6個の第一支持体14と3個の第二支持体16とが、縦横3列ずつ並んで位置するように、載置面20上に配置されて、特に、3個の第二支持体16が、縦横に3列並ぶ列のうちの外側の列にそれぞれ位置するように配置されている。
【0042】
そして、本実施形態の磁気吸着装置10にあっては、特に、基台12の載置面20上に固定された第二支持体16に対して、縁切り手段としての縁切り機構66が組み込まれている。
【0043】
より詳細には、
図2乃至
図4に示されるように、第二支持体16の中心部と外周縁部との間の部位には、第一の摺動穴としての円形の可動ピン挿入孔68が、ボルト挿通孔62と平行して、第二支持体16を上下方向に貫通するように形成されている。
【0044】
そして、そのような可動ピン挿入孔68内には、可動部材としての可動ピン70が、挿入配置されている。この可動ピン70は、可動ピン挿入孔68の内径よりも僅かに小さな外径を有する円柱形状を呈している。また、かかる可動ピン70にあっては、その上端面が、平面からなる突出部72とされており、外周面の軸方向中間部には、軸直角方向に延びる第二の摺動穴としての横穴74が形成されている。そして、そのような可動ピン70が、可動ピン挿入孔68内への挿入状態下で、可動ピン挿入孔68の内周面に摺接しつつ、上下方向に移動可能に配置されて、その上方への移動時に、突出部72が、支持面58から上方に突出させられるようになっている。
【0045】
なお、可動ピン挿通孔68の支持面58への開口部には、ダストシール78が配設されている。このダストシール78は、弾性変形可能な薄肉円環状のシールリップ部80を有するおり、このシールリップ部80が、可動ピン挿通孔68内に挿通された可動ピン70の外周面に対して、弾性変形下で押圧接触している。これにより、可動ピン70の上下方向の移動を阻害することなく、可動ピン挿通孔68の内周面と可動ピン70の外周面との間に形成される隙間内への切屑や水、或いはゴミや塵等の異物の侵入が阻止されるようになっている。
【0046】
また、第二支持体16においては、その外周面の周上の一箇所に、平面部84が形成されており、かかる平面部84には、側方に向かって開口する挿通孔としての軸部材挿通孔86が形成されている。この軸部材挿通孔86は、平面部84側とは反対側の開口部が、可動ピン挿通孔68内に向かって開口している。これにより、可動ピン挿通孔68が、軸部材挿通孔86を通じて、側方に開口している。そして、そのような軸部材挿通孔86内には、軸部材88が挿通配置されている。
【0047】
図5及び
図6に示されるように、軸部材88は、全体として、T字形状を呈し、大径円柱状の頭部90と、かかる頭部90の軸方向一方側の端面に対して、その同軸上で一体的に突設された小径の円柱状の脚部92とを有している。軸部材88の頭部90には、脚部92側とは反対側の端面に、六角穴94が形成されている。この六角穴94は、
第二支持体16の中心部に挿通配置される固定ボルト64に設けられる六角穴と同一のサイズとされている。一方、脚部92の軸方向中間部には、周溝96が設けられており、また、脚部92の先端には、偏心カム98が、一体的に突設されている。
【0048】
この偏心カム98は、脚部92よりも小径で且つ軸方向長さが短い円柱状乃至は丸棒形状を呈している。そして、かかる偏心カム98が、軸部材88の脚部92の円形の先端面に対して、その中心から径方向一方側に偏倚した位置に、一体形成されている。なお、ここでは、脚部92の先端面の中心からの偏心カム98の偏心量、つまり、脚部92(軸部材88)の中心軸:P
1 と偏心カム98の中心軸:P
2 との間の距離:Lが、偏心カム98の外周面の周上の一箇所を、脚部92の外周面の周上の一箇所に対して、軸部材88の軸方向に対応位置させ得る量、換言すれば、偏心カム98の外周面の一部と脚部92の外周面の一部とを、軸部材88の軸方向において段差なく連続する面と為し得る量とされている。また、ここでは、そのように、脚部92の外周面の一部と連続面とされる偏心カム98の外周面の一部が、基準面部100とされている。
【0049】
そして、
図2に示されるように、かくの如き構造を有する軸部材88が、第二支持体16に設けられた軸部材挿通孔86内に、脚部92を、第二支持体16の外周面上の一箇所に形成された平面部84での開口部側から軸部材88の中心軸:P
1 回りに回転可能に挿入して、配置されている。また、かかる挿入状態下で、脚部92の先端に設けられた偏心カム98が、可動ピン挿通孔68内に突入配置されている。更に、かかる偏心カム98は、可動ピン挿通孔68内に摺動可能に配置された可動ピン70の横穴74内に突入して、軸部材88の中心軸:P
1 回りに回転可能とされている。なお、
図2中、102は、軸部材挿通孔86内への異物の侵入を阻止するために、脚部92の周溝96内に嵌め込まれたOリングである。
【0050】
かくして、ここでは、軸部材挿通孔86内に挿通配置された軸部材88の中心軸:P
1 回りの回転に伴って、偏心カム98が、軸部材88の中心軸:P
1 回りに回転しつつ、
図2及び
図6に実線で示される下側限度位置と、
図2及び
図6に二点鎖線で示される上側限度位置との間で、上下方向に変位するようになっている。また、そのような偏心カム98の上下方向の変位によって、可動ピン70も、可動ピン挿通孔68内を上下方向に移動させられるようになっている。
【0051】
すなわち、
図2及び
図6に実線で示されるように、ここでは、偏心カム98の中心軸:P
2 と前記基準面部100とが軸部材88の中心軸:P
1 の鉛直下方に配置される偏心カム98の位置が、下側限度位置とされている。また、偏心カム98が下側限度位置とされているときの軸部材88の軸部材挿通孔86内での回動位置が、第一の回動位置とされている。一方、
図2及び
図6に二点差線で示されるように、偏心カム98の中心軸:P
2 と前記基準面部100とが軸部材88の中心軸:P
1 の鉛直上方に配置される偏心カム98の位置が、上側限度位置とされている。また、偏心カム98が上側限度位置とされているときの軸部材88の軸部材挿通孔86内での回動位置が、第二の回動位置とされている。
【0052】
そして、
図2に実線で示されるように、軸部材88が第一の回転位置に配置されて、偏心カム98が下側限度位置に位置しているときに、可動ピン70の横穴74の内周面が、偏心カム98の基準面部100とは中心軸:P
2 を間に挟んで径方向の反対側に位置する外周面部分にて支持されて、可動ピン70が、可動ピン挿通孔68内において、突出部72を第二支持体16の支持面58から突出させることなく、可動ピン挿通孔68内に引き込ませた位置に配置されるようになっている。
【0053】
一方、
図2に二点鎖線で示されるように、軸部材88が、第二の回転位置に配置されて、偏心カム98が上側限度位置に位置しているときには、可動ピン70の横穴74の内周面が、偏心カム98の基準面部100にて支持されて、可動ピン70が、突出部72を第二支持体16の支持面58から突出させた状態で、可動ピン挿通孔68内に配置されるようになっている。
【0054】
そして、第一の回動位置と第二の回転位置との間での軸部材88の回転によって、可動ピン70が、可動ピン挿通孔68内を上下動するようになっているのである。これらのことから明らかなように、本実施形態では、軸部材88、偏心カム98、可動ピン挿通孔68、可動ピン70、横穴74とにて、後述するように、支持面58に支持されるワーク106を支持面58から突き上げて縁切りする縁切り機構66が構成されている。また、偏心カム98と軸部材88と可動ピン挿通孔68と横穴74とにて、変換部が構成され、更に、そのような変
換部と軸部材88とにて、移動機構が構成されている。
【0055】
ところで、かくの如き構造とされた本実施形態の磁気吸着装置10を用いて、ワークに対する機械加工等を行う際には、例えば、以下のようにして、その作業が進められることとなる。
【0056】
すなわち、先ず、
図7に示されるように、基台12を取付面22において、所定の工作機械のテーブル104上に載置し、必要に応じて、図示しないクランプ装置等を用いて固定する。その後、基台12の載置面20に固定された複数の第一の支持体14と複数の第二支持体16の各支持面58上に、ワーク106を、吸着面108において各支持面58に重ね合わせるように載置して、セットする。なお、このようなワーク106の各支持面58へのセット状態下では、第一及び第二支持体14,16の各軸部材88の偏心カム98が、第一の回動位置とされて、可動ピン70が、突出部72を各支持面58から突出させない下側限度位置とされる。これにより、第一及び第二支持体14,16の各支持面58に支持されるワーク106の吸着面108と可動ピン70の突出部72とが接触しないようになっている。
【0057】
次に、コントロールユニット18のスイッチ56をON操作することで、第一及び第二支持体14,16の各コイル40における永久磁石36の内周面側に位置する磁極の極性を、永久磁石36の内周面の磁極の極性と一致させる。そうして、
図7に矢印で示されるように、各磁気ユニット30にて生ずる磁束を、第一及び第二支持体14,16を透過させて、それら第一及び第二支持体14,16の支持面58,58から放出させる。これにより、磁気吸着装置10をクランプ状態として、ワーク106の吸着面108を第一及び第二支持体14,16の支持面58,58に吸着させる。また、それと同時に、磁気ユニット30の取付面22から放出される磁束によって、基台12を工作機械のテーブル104に吸着させる。
【0058】
そして、そのようにして磁気吸着装置10に吸着されたワーク106の吸着面108を除く面の幾つかに対して、図示しない所定の工作機械にて所望の機械加工を実施する。
【0059】
その後、コントロールユニット18のスイッチ56をOFF操作することで、
図8に示されるように、第一及び第二支持体14,16の各コイル40における永久磁石36の内周面側に位置する磁極の極性を反転させて、かかる磁極を、永久磁石36の内周面の磁極と異なる極性とする。そうして、
図8に矢印で示されるように、各磁気ユニット30にて生ずる磁束を、基台12の載置面20(第一及び第第二支持体14,16の支持面58,58)から放出されないように為す。これにより、磁気吸着装置10をアンクランプ状態として、第一及び第二支持体14,16の支持面58,58に対するワーク106の吸着面108の吸着を解除する。
【0060】
このとき、ワーク106が既に熱処理されたものであると、ワーク106に残留磁気が残り、そのために、コントロールユニット18のスイッチ
56のOFF操作後も、第一及び第二支持体14,16の支持面58,58に対するワーク106の吸着面108の吸着状態が維持される。
【0061】
そこで、
図8に示されるように、六角レンチ110の先端部を、第
二支持体16の軸部材挿通孔86に挿通される軸部材88の六角穴94内に側方から挿入して、六角レンチ110によって軸部材88を軸心回りに略180°回転させて、軸部材88の回動位置を第二の回動位置とする。そうして、そのような軸部材88の回転に伴って、偏心カム98を軸部材88の中心軸回りに180°回転させて、可動ピン70を上側限度位置まで上方に移動させる。
【0062】
これにより、可動ピン70の突出部72を第二支持体16の支持面58から突出させつつ、かかる支持面58上に支持されたワーク106の吸着面108を第二支持体16の支持面58から突き上げる。かくして、ワーク106の吸着面108を第二支持体16の支持面58から離間させる。その後、
図8に二点鎖線で示されるように、ワーク106を持ち上げ、磁気吸着装置10から取り外して、ワーク106に対する機械加工を終了するのである。
【0063】
このように、本実施形態の磁気吸着装置10にあっては、単に、六角レンチ110を用いた軸部材88の回転操作を行うだけで、ワーク106の吸着面108の支持面58からの縁切りを行うことができる。しかも、そのような縁切り操作が、偏心カム98を含むカム機構を利用して実施されるため、かかる縁切り操作において、十分に小さな操作トルクにより、大きな力を発生させることができる。
【0064】
従って、かくの如き本実施形態の磁気吸着装置10を用いれば、コントロールユニット18のスイッチ56のOFF操作にてアンクランプ状態とされたときに、ワーク106が、残留磁気によって各支持面58に吸着された状態が維持されていても、ワーク106を、十分に小さな労力で、各支持面58から容易に取り外すことが可能となるのである。
【0065】
また、かかる磁気吸着装置10にあっては、軸部材88が、第二支持体16の側方に開口する軸部材挿通孔86内に挿通されているため、六角レンチ110を用いた軸部材88の回転操作を側方(横)から行うことができる。それ故、例えば、ワーク106が、各支持面58から側方に突出した状態で、各支持面58上に支持、吸着されていても、そのようなワーク106に邪魔されることなしに、軸部材88の回転操作、即ち、ワーク106の各支持面58からの縁切り操作を容易に且つ確実に実施することが可能となる。
【0066】
さらに、ワーク106の各支持面58からの縁切り操作が、偏心カム98を含むカム機構を利用して実施されるため、軸部材88の回転量を可及的に小さくすることができ、これによって、ワーク106の各支持面58からの縁切り操作における操作性の向上が、有利に図られ得る。
【0067】
更にまた、本実施形態では、ワーク106を支持、吸着する複数の第一及び第二支持体14,16のうち、第二の支持体16の支持面58だけに、可動ピン70が突出/引込移動可能に挿通される可動ピン挿通孔68が設けられている。このため、第一及び第二支持体
14,16の各支持面58の全体の面積から減らされる可動ピン70の設置面積が、十分に小さくされ得る。そして、それにより、縁切り機構66の設置に伴うワーク106の吸着面積の減少量が効果的に小さくされ、その結果として、ワーク106の吸着力が、確実且つ安定的に確保され得るのである。
【0068】
ところで、第二支持体16に設けられて、ワーク106の吸着面108の支持面58からの縁切りを行うための縁切り手段の構造は、前記第一の実施形態に係る磁気吸着装置10が有する縁切り機構66の構造に、何等限定されるものではなく、突出部にて、ワーク106の吸着面108の一部を、支持面58から突き上げて、ワーク106を各支持面58から離間させるものであれば良い。従って、例えば、
図9及び
図10に示される構造も採用可能である。なお、
図9及び
図10に示される本実施形態に関しては、また、後述する
図11乃至
図16に示される更に別の幾つかの実施形態に関しては、前記第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、
図1乃至
図8と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0069】
図9及び
図10に示されるように、本実施形態の磁気吸着装置111では、第二支持体16に対して、支持面58の一部を含む上部部位を切り欠いてなる切欠部112が、形成されている。また、この切欠部112の底面の中心部には、軸部材としての軸体114が立設されている。この軸体114は、全体として、略六角柱形状を呈する、可動部材としての可動部116と、可動部116の先端部に一体形成された雄ネジ部118とを有している。可動部116は、切欠部112の深さよりも僅かに小さな高さを有しており、雄ネジ部118側とは反対側の端面が、平面状の突出部72とされている。このような軸体114の雄ネジ部118が、切欠部112の底面の中心部に設けられた雌ネジ穴120に螺合されている。それによって、軸体114が、第二支持体16の切欠部112の底面上に、上下方向に延びるように配置されているのである。
【0070】
そして、
図9に実線で示されるように(
図10に二点鎖線で示されるように)、軸体114が、雄ネジ部118を雌ネジ穴120に完全に螺入させた第一の回転位置に配置されているときに、軸体114の突出部72が、第二支持体16の支持面58よりも所定寸法だけ低い高さ位置に配置されるようになっている。また、
図9に二点鎖線で示されるように(
図10に実線で示されるように)、例えば、スパナ122等を用いて、軸体114が、第一の回転位置から反時計回りに回転させられて、雄ネジ部118の雌ネジ穴120に対する螺合が徐々に緩められるのに伴って、次第に上方に移動するようになっている。そして、それにより、軸体114が、第二支持体16の支持面58から突出部72を上方に所定寸法だけ突出させた第二の回転位置に配置されるようになっている。即ち、ここでは、軸体114の雄ネジ部118と雌ネジ穴120とにて、変換部が構成されると共に、移動機構が構成されている。
【0071】
かくして、かくの如き構造を有する本実施形態の磁気吸着装置111においては、
図10に示されるように、第二支持体16と図示しない第一支持体14の各支持面58に支持されたワーク106に対する所定の機械加工の終了後に、それら各支持面58(載置面20)がアンクランプとされた状態下で、軸体114が、第一の回転位置(
図10に二点鎖線で示される位置)から第二の回転位置(
図10に実線で示される位置)にまで回転させられることにより、ワーク106の吸着面108が、軸体114の突出部72にて突き上げられ、第二支持体16の支持面58から離間させられて、縁切りされるようになっているのである。
【0072】
このような本実施形態の磁気吸着装置111にあっても、前記第一の磁気吸着装置10において奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、有効に享受され得る。
【0073】
次に、
図11及び
図12には、本発明に従う構造を有する磁気吸着装置の更に別の実施形態が、示されている。それら
図11及び
図12から明らかなように、本実施形態の磁気吸着装置124は、基台12と1個の支持体126とコントロールユニット18とを有している。そして、この磁気吸着装置124においては、基台12とコントロールユニット18が、前記第一の実施形態に係る磁気吸着装置10が有するものと同様な構造を有しているものの、支持体126が、かかる磁気吸着装置10が有するものとは異なる構造を有している。
【0074】
すなわち、支持体126は、基台12よりも一回り小さな長手矩形の平板形状を有している。この支持体126においては、その上面となる一方の板面の全体が、支持面58とされており、この支持面58には、複数の円形溝128が、基台12の載置面20に設けられた複数の円形溝24と同一の大きさ及び同一の配置間隔をもって形成されている。また、支持体126は、基台12の載置面20上において、複数の円形溝128に跨って、つまり、基台12内に配置された磁気ユニット30の複数のものに跨って、配置されている。
【0075】
そして、支持体126には、第一の実施形態に係る磁気吸着装置10の第二支持体16に設けられた縁切り機構66と同様な構造を有する縁切り機構130が形成されている。即ち、支持体126の外周部には、支持面58において開口して、上下方向(厚さ方向)に貫通する可動ピン挿通孔68が形成されており、また、支持体126の一つの側面132には、可動ピン挿通孔68に連通する軸部材挿通孔86が、側方に開口するように設けられている。そして、可動ピン挿通孔68内に、可動ピン70が、上下方向に摺動可能に挿通配置されている。また、軸部材挿通孔86内には、軸部材88が、その中心軸回りに回転可能に挿通配置されて、かかる軸部材88の先端に設けられた偏心カム98が、可動ピン挿通孔68内に挿通配置された可動ピン70の横穴74内に突入している。
【0076】
かくして、本実施形態の磁気吸着装置124においては、
図12に示されるように、支持体126の支持面58に支持されたワーク106に対する所定の機械加工の終了後に、支持面58(載置面20)がアンクランプとされた状態下で、軸部材88が、第一の回転位置(
図12に二点鎖線で示される位置)から第二の回転位置(
図12に実線で示される位置)にまで回転させられることにより、ワーク106の吸着面108が、可動ピン70の突出部72にて突き上げられ、支持体126の支持面58から離間させられて、縁切りされるようになっているのである。
【0077】
このような本実施形態の磁気吸着装置124にあっても、前記第一の磁気吸着装置10において奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、有効に享受され得る。
【0078】
さらに、
図13及び
図14には、本発明に従う構造を有する磁気吸着装置の更に別の実施形態が、示されている。それら
図13及び
図14から明らかなように、本実施形態の磁気吸着装置134は、装置本体としての基台12と、コントロールユニット18とを有している。そして、この磁気吸着装置134においては、基台12に対して、縁切り手段としての縁切り機構135が設けられている。この縁切り機構135は、第一の実施形態に係る磁気吸着装置10の第二支持体16に設けられた縁切り機構66と同様な構造とされている。
【0079】
すなわち、ここでは、基台12の外周部に、支持面としての載置面20において開口する可動ピン挿入穴136が形成されており、また、四つの側面のうちの一つの側面132には、可動ピン挿通穴136に連通する軸部材挿通孔86が、側方に開口するように設けられている。そして、可動ピン挿入穴136内に、可動ピン70が、上下方向に摺動可能に挿入配置されている。また、軸部材挿通孔86内には、軸部材88が、その中心軸回りに回転可能に挿通配置されて、かかる軸部材88の先端に設けられた偏心カム98が、可動ピン挿入穴136内に挿入配置された可動ピン70の横穴74内に突入している。
【0080】
かくして、本実施形態の磁気吸着装置134においては、
図14に示されるように、
載置面20に支持されたワーク106に対する所定の機械加工の終了後に、載置面20がアンクランプとされた状態下で、軸部材88が、第一の回転位置(
図14に二点鎖線で示される位置で、可動ピン70の突出部72が載置面20から突出しない位置)から第二の回転位置(
図14に実線で示される位置で、可動ピン70の突出部72が載置面20から突出した位置)にまで回転させられることにより、ワーク106の吸着面108が、可動ピン70の突出部72にて突き上げられ、
載置面20から離間させられて、縁切りされるようになっているのである。
【0081】
このような本実施形態の磁気吸着装置134にあっても、前記第一の磁気吸着装置10において奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、有効に享受され得る。
【0082】
また、
図15及び
図16には、本発明に従う構造を有する磁気吸着装置の他の実施形態が、示されている。それら
図15及び
図16から明らかなように、本実施形態の磁気吸着装置137では、基台12の外周部に、支持面としての載置面20において開口するT溝138が、複数(ここでは4個)設けられている。それら各T溝138は、載置面20の開口側部分が狭幅溝部139とされている一方、底部側部分が、狭幅溝部139よりも広幅の広幅溝部140とされている。また、かかるT溝138は、基台12の四つの側面のうちの互いに対向する二つの側面132a,132bにおいて側方に開口する挿入口142をそれぞれ有している。そして、それら複数のT溝138のうちの1個には、組付用ブロック144が挿入されている。
【0083】
組付用ブロック144は、横断面T字形状を呈し、T溝138の狭幅溝部139に対応した幅を有する狭幅部146と、広幅溝部140に対応した幅を有する広幅部148とを一体的に有している。また、かかる狭幅部146は、広幅部148側とは反対側の端面(上面)が支持面形成面149とされている。更に、組付用ブロック144には、縁切り機構150が、
図14に示される磁気吸着装置134が有する縁切り機構135と同様な構造をもって設けられている。そして、そのような組付用ブロック144が、狭幅部146をT溝138の狭幅溝部139内に、また、広幅部148をT溝138の広幅溝部140内にそれぞれ位置させるように、基台12の側面132aに設けられた挿入口142を通じて、1個のT溝138内に挿入されることにより、基台12に対して、着脱可能に組み付けられている。これにより、組付用ブロック144の支持面形成面149にて、支持面としての載置面20の一部が形成されていると共に、縁切り機構150が、基台12に対して着脱可能に設けられている。
【0084】
このような構造とされた磁気吸着装置137にあっては、基台12の外周部に設けられた4個のT溝138のうちから任意に選択された1個のものに、組付用ブロック144を挿入することで、縁切り機構150を、基台12の外周部の予め定められた4箇所のうちの任意の1箇所に対して選択的に設けることができる。これによって、基台12の載置面20に支持されて、吸着されるワークの大きさや支持位置等に応じて、縁切り機構150を基台12の任意の位置に設けることが可能となる。
【0085】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0086】
例えば、突出部を支持面から突出させるための操作は、必ずしも軸部材等の操作部材や可動部材に対する回転操作だけによって実現されるものではない。例えば、所定の操作部材や可動部材に対して、その移動方向に力を加えることにより、梃子の原理等を利用して、突出部の突出操作を行うことも可能である。
【0087】
また、所定の回転操作によって突出部を支持面から突出させる場合にも、カム機構の他に、設計が可能であれば、リンク機構やクランク機構、或いはピニオンとラック等を用いたギヤ機構等を利用しても良い。
【0088】
さらに、基台12内に設けられる磁気ユニット30の数も、支持面58や載置面20の大きさ、或いは磁気ユニット30の大きさ等に応じて、適宜に変更可能である。そして、必ずしも複数個である必要はなく、1個であっても良い。
【0089】
更にまた、組付用ブロック144は、支持体126等に設けることもできる。なお、組付用ブロック144の基台12や支持体126に対する組付構造も、例示のものに何等限定されるものでないことは、勿論である。
【0090】
また、前記した幾つかの実施形態では、第一のコアとしてのポールピース部
48が、基台12の一部にて構成されていたが、かかるポールピース部
48が、基台12とは別部材にて構成されていても、何等差し支えない。
【0091】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。