(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーや環境保全の観点から、発光ダイオード(以下「LED」ともいう)を光源とする照明装置(例えば、LED電球やLED蛍光管など)が、電球や蛍光管などに代わる照明装置として使用されるようになってきた(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図1Aは、特許文献1に係る照明装置10の部分断面図であり、
図1Bは、照明装置10における光路図である。
図1Aに示されるように、特許文献1に係る照明装置10は、LEDなどの光源20(発光素子)と、光源20を実装する基板30と、光源20から出射された光を伝播する棒状の導光体40(導光部材)と、光源20の発光面21および導光体40の入射面41が対向するように、導光体20を保持する金属製のホルダ50と、導光体40に入射した光のうち、出射面42と反対側に到達した光を散乱させる光散乱領域60と、光散乱領域60を透過した光を反射させる調光部材70と、導光体40から出射した光の光路上に設けられたカバー80と、を有する。
図1Bに示されるように、光源20の光軸に対する出射角度の小さい光L1は、入射面41から導光体40に直接入射して、導光体40の内部を伝播した後、出射面42から出射する。一方、光軸LAに対する出射角度の大きい光L2は、ホルダ50の内部で反射して入射面41から入射した後、導光体40内を伝播して、出射面42から出射する。このように、導光体40に入射した光の大部分を出射面42から出射させることにより、導光体40から均一に光が出射するようになっている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明の照明装置の代表例として、蛍光管に代えて使用されうる照明装置について説明する。
【0012】
[実施の形態1]
(照明装置の構成)
図2は、実施の形態1に係る照明装置100の部分断面図である。
図2では、照明装置100の一方の端部近傍の部分の断面を示している。
【0013】
図2に示されるように、照明装置100は、発光素子110、ヒートシンク120、ホルダ130、導光ロッド150およびカバー160を有する。発光素子110、ヒートシンク120およびホルダ130は、一組の発光ユニットを構成しており、本実施の形態に係る照明装置100では、導光ロッド150を挟んで一対の発光ユニットが配置されている。
【0014】
発光素子110は、照明装置100の光源であり、ヒートシンク120に取り付けられた基板121上に配置されている。発光素子110は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。なお、以下の説明において「発光素子110の光軸LA」とは、発光素子110からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。
【0015】
ヒートシンク120は、照明装置100の両端に配置されており、発光素子110を冷却する。また、ヒートシンク120には、発光素子110と外部の電源回路とを接続するための回路が形成されている。ヒートシンク120は、例えば、アルミニウムや銅などの熱伝導性の高い金属を用いて製造される。また、基板121も、例えば、アルミニウムや銅などの熱伝導性の高い金属で形成されている。基板121に高い熱伝導性を要しない場合は、基板121として、ガラス不織布にエポキシ樹脂を含浸させた樹脂製基板などを用いてもよい。
【0016】
ホルダ130は、一端側で発光素子110を囲み、他端側で導光ロッド150を保持している。ホルダ130については、後に詳しく説明する。
【0017】
導光ロッド150は、光透過性の柱体形状の導光部材である。導光ロッド150は、発光素子110からの出射光を端面151から入射させる。すなわち、導光ロッド150の端面151は、入射面として機能する。導光ロッド150内に入射した光は、導光ロッド150内を所定の距離進んだ後、導光ロッド150の外周面(側面)から出射される。すなわち、導光ロッド150の外周面は、出射面として機能する。
【0018】
導光ロッド150の形状は、端面151および外周面を有する柱体形状であれば、特に限定されない。導光ロッド150の形状の例には、円柱形状、角柱形状が含まれる。本実施の形態では、導光ロッド150の形状は円柱形状である。また、複数の円弧状の導光部材を用いると、環状の照明装置を構成することが可能である。導光ロッド150の長さおよび太さは、用途や発光素子110から出射される光の強度などに応じて適宜設定される。
【0019】
導光ロッド150は、例えば射出成形や押出成形、キャスト成形などにより形成されうる。導光ロッド150の材料は、所望の波長の光を通過させ得るものであれば特に限定されない。たとえば、導光ロッド150の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。また、上記光透過性樹脂またはガラス中にビーズなどの散乱子を分散させてもよい。導光ロッド150内に適度な濃度で散乱子を分散させることで、導光ロッド150に前方散乱特性を付与することができる。また、導光ロッド150の外周面に光拡散処理(例えば、粗面化処理)を行ってもよい。
【0020】
カバー160は、例えば円筒形状に形成されている。カバー160は、例えばその端縁がヒートシンク120の開口部に内嵌することによって、導光ロッド150の外周面を覆う。カバー160は、光透過性および光散乱性を有する。カバー160は、導光ロッド150の外周面およびホルダ130の出射面からカバー160に到達した光を拡散させつつ外部に透過させる。
【0021】
カバー160の形状は、上記のようにホルダ130および導光ロッド150を覆うことができれば、特に限定されない。カバー160の形状の例には、角筒形状、円筒形状、平板状などが含まれる。
【0022】
カバー160の材料は、光透過性を有するものであれば、特に限定されない。カバー160の材料の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂が含まれる。また、カバー160に光拡散能を付与する手段も、特に限定されない。たとえば、カバー160の内周面または外周面に光拡散処理(例えば、粗面化処理)を行ってもよいし、上記光透過性樹脂中にビーズなどの散乱子を分散させてもよい。
【0023】
(ホルダの構成)
図3は、実施の形態1に係るホルダ130の構成を示す図である。
図3Aは、ホルダ130の平面図であり、
図3Bは、
図3Aに示されるA−A線の断面図であり、
図3Cは、側面図である。
【0024】
ホルダ130は、例えば光透過性を有する略円筒形状に形成されている。ホルダ130は、例えば導光ロッド150と同じ透明材料で形成されうる。ホルダ130は、通常、散乱子などの出射手段を材料内には含有しない。
【0025】
図2および
図3に示されるように、ホルダ130は、貫通孔131および反射層132を有する。なお、以下の説明では、ホルダ130において、導光ロッド150が保持される側を「表面」とし、発光素子110を囲う側を「裏面」とする。
【0026】
貫通孔131は、裏面となる一端側に第1開口部133を有し、表面となる他端側に第2開口部134を有する。第1開口部133は、発光素子110を囲む大きさに形成されており、第2開口部134は、導光ロッド150を挿入可能な大きさに形成されている。前述したように、ホルダ130は、通常、透明材料で形成されており、発光素子110から導光ロッド150への光の入射を遮らないため、第1開口部133と第2開口部134との間に仕切り壁を形成してもよい。その場合、第1開口部133を有する第1凹部と、第2開口部134を有する第2凹部とが形成される。第1凹部および第2凹部の底面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。たとえば、第1凹部の底面および第2凹部の底面によって凸レンズを形成し、導光ロッド150への入射光を集光させてもよいし、第1凹部の底面および第2凹部の底面によって凹レンズを形成し、発光素子110近傍の明るさを補うために光を発散させてもよい。
【0027】
本実施の形態では、ホルダ130は、第1凹部135と第2凹部136とが連通した構造、すなわち貫通孔131を有している。貫通孔131は、中心軸CAを回転中心とした回転対称に形成されている。貫通孔131を有するホルダ130は、ホルダ130が仕切り壁を有する場合に比べて、界面における光のロスやホルダ130の材料による僅かな光の吸収を抑えることができ、またホルダ130の軽量化を図ることができる。
【0028】
第1凹部135は、発光素子110を囲む。第1凹部135は、貫通孔130における裏側(発光素子110側)の部分である。第1凹部135の内周面(第1内周面137)は、貫通孔130の中心軸CAを回転中心として、筒状に形成されている。貫通孔130の中心軸CAに直交する方向における第1凹部135の断面形状は、特に限定されない。断面形状の例には、円形や多角形などが含まれる。本実施の形態では、断面形状は、円形である。また、第1凹部135の内径は、発光素子110を囲むことができれば特に限定されない。発光素子110を囲むことができない径の場合、導光ロッド150に入射する光が減少してしまうおそれがある。第1凹部135の内周面(第1内周面137)には、反射層132が配置されている。
【0029】
第1凹部135は、発光素子110を実装した側の基板121表面(発光素子110の廻り)に第1開口部133が当接することで、発光素子110を囲む。このとき、発光素子110の光軸LAと、貫通孔131の中心軸CAとは、一致する。
【0030】
反射層132は、発光素子110から出射された光のうち、光軸LAに対する出射角度が大きい光を反射する。反射層132は、第1内周面137の全面に配置されている。反射層132の配置方法は、特に限定されない。たとえば、第1内周面137に反射シートを貼り付けてもよいし、蒸着などで反射膜を形成してもよい。発光素子110から出射された光は、導光ロッド150の端面151に向かうように反射層132で表面反射する(詳細は、後述する)。
【0031】
第2凹部136は、発光素子110に対して導光ロッド150を位置決めするように、導光ロッド150を保持する。第2凹部136は、貫通孔131における表側(導光ロッド150側)の部分である。第2凹部136の周囲は、光透過性を有する。すなわち、少なくとも、ホルダ130における表側の部分は、光透過性の材料で形成されている。第2凹部136の内周面(第2内周面138)は、貫通孔131の中心軸CAを回転中心として、筒状に形成されている。貫通孔131の中心軸CAに直交する方向における第2凹部136の断面形状は、導光ロッド150を保持することができれば特に限定されない。当該第2凹部136の断面形状の例には、円形や多角形などが含まれる。導光ロッド150を保持する観点から、当該第2凹部136の断面形状は、導光ロッド150の断面形状と同じであることが好ましい。たとえば、導光ロッド150の断面形状が円形であった場合、当該第2凹部136の断面形状は、円形である。第2凹部136の内径は、第1凹部135の内径より大きい。これにより、第1凹部135と、第2凹部136との境界に環状段部139が形成される。
【0032】
第2凹部136には、端面151から導光ロッド150が挿入される。導光ロッド150は、第2内周面138にガイドされながら第2凹部136に挿入され、端面151の外縁部分が環状段部139に当接することで、位置決めされる。このとき、貫通孔131の中心軸CAと、導光ロッド150の中心軸とが重なるように、ホルダ130に対して導光ロッド150が位置決めされる。
【0033】
図4は、実施の形態1に係る照明装置100における光の経路を模式的に示す図である。
図4に示されるように、発光素子110から出射した光のうち、光軸LAに対する出射角度が大きい光L3は、反射層132の表面で表面反射される。反射層132の表面で表面反射された光L3は、端面151から導光ロッド150に入射する。そして、導光ロッド150に入射した光は、導光ロッド150内の伝播過程において、光拡散処理された外周面、導光ロッド150内部に分散される散乱子などによって、外周面への内部入射角が臨界角より小さくなるように方向変換されて外周面から外部に出射される。また、発光素子110から出射した光のうち、光軸LAに対する出射角度が小さい光は、直接、端面151から導光ロッド150に入射する。そして、前述の反射層132を経て導光ロッド150に入射した光と同様に、外周面への内部入射角が臨界角より小さくなるように方向変換されて導光ロッド150の外周面から外部へ出射される。ホルダ130に覆われた位置からの出射光L4は、ホルダ130を透過する。外周部への内部入射角が臨界角以上の光L5は、外周面への内部入射角が臨界角よりも小さくなるまで導光ロッド150内を伝播する。
【0034】
(効果)
以上のように、実施の形態1に係る照明装置100では、第1凹部135の第1内周面133の内側に反射層132を有しているため、発光素子110から出射された光のうち、光軸LAに対する出射角度が大きい光L3は、反射層132で表面反射して、導光ロッド150に入射する。これにより、発光素子110から出射された光を導光ロッド150にロスなく入射させることができる。すなわち、照明装置100から出射される光量を増加させることができる。また、第2凹部136の周囲が光透過性を有しているため、導光ロッド150に入射した光のうち、外側にホルダ130が配置された部分の導光ロッド150の外周面から出射した光は、ホルダ130を透過して出射する。これにより、照明装置100において、非発光領域を最小限に抑えるとともに、有効発光領域を広げることができる。
【0035】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る照明装置200は、ヒートシンク220、基板221およびホルダ230の形状が実施の形態1の照明装置100と異なる。そこで、実施の形態1に係る照明装置100と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
(照明装置の構成)
図5は、実施の形態2に係る照明装置200の構成を示す図である。
【0037】
図5に示されるように、照明装置200は、発光素子110、ヒートシンク220、ホルダ230、導光ロッド150およびカバー160を有する。
【0038】
ヒートシンク220は、照明装置200の両端に配置されており、発光素子110を冷却する。また、ヒートシンク220の基板221が固定される面には、ホルダ130を固定するための一対のネジ穴222が形成されている。
【0039】
基板221は、ホルダ230を支持する。基板221は、略板状の部材である。基板221は、一対の基板ネジ孔224を有する。
【0040】
基板ネジ孔224は、基板221を貫通して形成されている。基板ネジ孔224は、ヒートシンク220の一対のネジ穴222に対応する位置に、ネジ穴222とほぼ同じ大きさに形成されている。
【0041】
(ホルダの構成)
図6〜8は、実施の形態2に係るホルダ230の構成を示す図である。
図6Aは、実施の形態2に係るホルダ230を表側から見た斜視図であり、
図6Bは、裏側から見た斜視図である。
図7Aは、実施の形態2に係るホルダ230の平面図であり、
図7Bは、底面図であり、
図7Cは、
図7Aに示されるB−B線の断面図である。
図8Aは、実施の形態2に係るホルダ230の左側面図であり、
図8Bは、右側面図であり、
図8Cは、正面図であり、
図8Dは、背面図である。
【0042】
実施の形態2に係るホルダ230は、貫通孔131および反射層132に加え、取付け部241および固定部242を有する。
【0043】
取付け部241は、ホルダ230を基板221に取り付けるために機能する。取付け部241は、中心軸CAを含む断面において、両側に配置されている。取付け部241は、板状に形成されており、ホルダネジ孔244を有する。取付け部241の表面は、平面である。一方、取付け部241の裏面には、一対のホルダ段部245が形成されている。ホルダネジ孔244を介してネジ穴222にネジ止めすることで、基板221に対してホルダ230を固定する。ホルダ段部245により形成されるホルダ230と基板221との間の空間は、例えば、配線などに利用することができる。
【0044】
固定部242は、ホルダ230に導光ロッド150を固定するために機能する。固定部242は、ホルダ230の側面に配置されている。第2凹部136に導光ロッド150を挿入した状態で、ネジ225をネジ孔243に通して導光ロッド150に突き当てるようにネジ止めすることで、ホルダ230に導光ロッド150を固定する。
【0045】
実施の形態2に係る照明装置200でも、発光素子110から出射した光のうち、光軸LAに対する出射角度が大きい光は、反射層132の表面で表面反射され、端面151から導光ロッド150に入射する。そして、導光ロッド150に入射した光は、外周面から外部に透過する。また、発光素子110から出射した光のうち、光軸LAに対する出射角度がやや小さい光L4は、直接、端面151から導光ロッド150に入射し、導光ロッド150およびホルダ130を透過する。さらに、発光素子110から出射した光のうち、光軸LAに対する出射角度が小さい光L5は、直接、端面151から導光ロッド150に入射し、導光ロッド150内を進んだ後、外周面から外部に出射する。
【0046】
(効果)
以上のように、実施の形態2に係る照明装置200は、実施の形態1と同様の効果を有する。また、実施の形態2に係る照明装置200は、ホルダ230が基板221を介してヒートシンク220にネジ止めされているため、簡単に着脱することができる。これにより、発光素子110を定期的に交換することができる。また、ホルダ230をネジ止めすることで、光軸LA方向の位置を規定することができる。すなわち、ホルダ230を発光素子110に対して簡単に位置決めすることができるとともに、発光素子110に対して導光ロッド150を簡単に位置決めすることができる。
【0047】
なお、実施の形態1および実施の形態2では、一組の発光ユニット(発光素子110、ヒートシンク120,220およびホルダ130,230)を有する照明装置100,200について説明したが、発光ユニットは1つであってもよい。この場合、発光ユニットを有さない側の端部には、導光ロッド150を保持する保持部材と、保持部材を固定し、保持部材が固定された面に反射層を有する固定板と、を有する。そして、固定板にカバー160が取り付けられるようになっている。