(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定型が固定される固定盤に対して離接方向に移動可能に形成された、前記固定型と一体の金型を形成する移動型が固定された可動盤を、モータの駆動により移動させることで、前記金型を開閉させる開閉装置に取り付けられる前記金型の重量を算出する重量算出方法であって、
前記モータで出力された実動作駆動力を求め、
前記実動作動力を用い重量を算出する、ことを備え、
前記モータにより移動するクロスヘッドを有し、
前記重量は、前記クロスヘッドの加速度、前記可動盤の加速度、及び、前記モータのイナーシャを用いて算出される、
ことを特徴とする重量算出方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る型締装置1を、
図1を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る型締装置1の構成を示す説明図である。
【0016】
図1に示すように、型締装置(開閉装置)1は、固定型5a及び移動型5bを有する金型5を保持可能、且つ、金型5の型開動作及び型閉動作が可能に形成されている。型締装置1は、支持部10と、固定盤(固定物)11と、可動盤(可動物)12と、開閉機構13と、タイバー14と、押出機構15と、表示部16と、制御装置17と、を備えている。
【0017】
また、型締装置1は、構成が変化せず、重量が一定、即ち重量が固定値の固定部分18と、構成品の交換等により構成が変化することで、重量が変化、即ち重量が変動値となる変化部分19と、を備えている。このような型締装置1は、例えば、射出成形機に用いられる。
【0018】
支持部10は、固定盤11、可動盤12及び開閉機構13を支持する、所謂ベース又はフレームである。固定盤11は、所謂固定ダイプレートであって、支持部10に固定されている。固定盤11は、固定型5aを固定可能に形成されている。
【0019】
可動盤12は、所謂移動ダイプレートであって、固定盤11に対向して支持部10に配置される。可動盤12は、固定盤11に対して接近及び離間する方向に移動可能に形成されている。具体的には、可動盤12は、開閉機構13又は図示しない型厚調整機構により、タイバー14を介して、固定盤11に対して前進及び後進方向に直線的な移動(リニア移動)が可能に形成されている。可動盤12は、金型5の移動型5bを固定可能に形成されている。
【0020】
開閉機構13は、トグル機構により可動盤12をリニア移動させることで、金型5を開閉可能、換言すると、可動盤12に固定された移動型5bを固定型5aに対して離接可能に形成されている。開閉機構13は、リンクハウジング(受圧盤)21と、トグルリンク22と、クロスヘッド23と、第1ボールねじ24と、回転機構25と、を備えている。
【0021】
リンクハウジング21は、トグルリンク22、及びクロスヘッド23の支点となる。リンクハウジング21は、支持部10に支持されている。
【0022】
トグルリンク22は、可動盤12、リンクハウジング21及びクロスヘッド23に接続されている。トグルリンク22は、トグル機構を構成する複数のリンク、ブシュ及びピンにより構成される。トグルリンク22は、クロスヘッド23により操作されることで、可動盤12を固定盤11に対してリニア移動可能に形成されている。
【0023】
クロスヘッド23は、第1ボールねじ24と接続され、第1ボールねじ24の回転により、第1ボールねじ24の軸心方向に沿って移動可能に形成されている。また、クロスヘッド23は、第1ボールねじ24の軸心方向に移動することで、トグルリンク22を操作可能に形成されている。
【0024】
回転機構(駆動装置)25は、第1サーボモータ(モータ、駆動部)31と、一対の第1プーリー32と、第1タイミングベルト33と、エンコーダ(検出器)34と、を備えている。
【0025】
第1サーボモータ31は、第1回転軸31aを有し、第1回転軸31aを回転可能に形成されている。第1サーボモータ31は、信号線S等を介して、制御装置7に電気的に接続されている。第1サーボモータ31は、変化部分19を駆動する駆動源である。一対の第1プーリー32は、一方が第1サーボモータ31の第1回転軸31aに、他方が第1ボールねじ24に、それぞれ固定されている。
【0026】
第1タイミングベルト33は、一対の第1プーリー32間に設けられ、第1プーリー32、具体的には、第1サーボモータ31の第1回転軸31aに固定された第1プーリー32の回転運動を、第1ボールねじ24に固定された第1プーリー32に伝達可能に形成されている。
【0027】
エンコーダ34は、第1回転軸31aの回転数等を検出可能に形成された検出手段である。エンコーダ34は、制御装置7に信号線Sを介して接続され、検出した第1回転軸31aの回転数及び回転位置等の情報を、制御装置7に送信可能に形成されている。
【0028】
このような開閉機構13は、第1回転軸31aの回転運動を、一対の第1プーリー32及び第1タイミングベルト33を介して第1ボールねじ24に伝達し、当該第1ボールねじ24の回転運動を、クロスヘッド23のリニア移動に変換する。また、開閉機構13は、当該クロスヘッド23のリニア移動を、トグルリンク22を介して可動盤12に伝達させる。これにより、開閉機構13は、可動盤12を固定盤11に対してリニア移動させることが可能に形成されている。
【0029】
タイバー14は、例えば、固定盤11及びリンクハウジング21に固定して複数設けられる。タイバー14は、固定盤11及びリンクハウジング21を連結して形成され、可動盤12の移動を案内可能に形成されている。タイバー14は、例えば、4本が、固定盤11及びリンクハウジング21の四隅に配置される。
【0030】
押出機構15は、可動盤12に接続され、押出盤45を移動させることで、押出ピン46を移動型5bから突出させ、成形品を押し出す。また、押出機構15は、可動盤12に接続されているため、型開閉時においては、可動盤12や移動型5bと同様に、変化部分19の変化に影響を与える。例えば、押出機構15は、第2サーボモータ41と、一対の第2プーリー42と、第2タイミングベルト43と、第2ボールねじ44と、押出盤45と、押出ピン46と、を備えている。
【0031】
図1において二点鎖線で示すように、固定部分18は、例えば、クロスヘッド23、第1ボールねじ24、第1サーボモータ31、一対の第1プーリー32、第1タイミングベルト33、及び、エンコーダ34によって構成される。
【0032】
図1において二点鎖線で示すように、変化部分19は、例えば、移動型5b、可動盤12、押出機構15、及び、クロスヘッド23の移動に伴って可動盤12のスライド方向に、可動盤12と共に移動するトグルリンク22の一部によって構成される。変化部分19は、同一機種においても、用いる移動型5bに応じて、重量が変化する。
【0033】
表示部16は、制御装置17に接続された、液晶ディスプレイ等である。表示部16は、制御装置17の指令に基づいて、型締装置1の状態を表示可能に形成されている。例えば、表示部16は、可動盤12の位置及び可動盤12の動作トルクを、それぞれ横軸及び縦軸としたグラフ表示が可能に形成されている。また、表示部16は、制御装置17の指令に基づいて、可動盤12に固定されている移動型5bの重量を表示可能に形成されている。なお、トルクとは、推力及び駆動力を示し、可動盤12の動作トルクとは、後述する実動作トルクTである。
【0034】
制御装置17は、第1サーボモータ31及びエンコーダ34と、信号線Sを介して電気的に接続される。制御装置17は、型締装置1の各構成品の情報を記憶する記憶部51を備えている。
【0035】
記憶部51は、固定部分18の重量及び形状等に基づく、固定部分18のイナーシャ、即ち第1イナーシャ(第1慣性モーメント)Jfが記憶されている。また、記憶部51は、可動盤12の最大速度時の摩擦係数umax、クロスヘッド23の位置から可動盤12の位置を導出可能なメモリーテーブル、並びに、可動盤12、押出機構15、及び、クロスヘッド23の移動に伴って可動盤12のスライド方向に可動盤12と共に移動するトグルリンク22の一部の重量FMP、即ち、移動型5b以外の変化部分19の重量FMPが記憶されている。
【0036】
摩擦係数umaxは、可動盤12の最大速度時の粘性摩擦であり、可動盤12、開閉機構13及びタイバー14の構成から、予め求めて記憶部51に記憶しておく。
【0037】
また、制御装置17は、以下の機能を有している。
(1)実動作トルクTを求める機能。
【0038】
(2)実動作トルクTから、変化部分19の重量FMを算出する機能。
【0039】
(3)変化部分19の重量FMから、移動型5bの重量FMDを算出する機能。
【0040】
(4)移動型5bの重量FMDから、金型5の重量Wを算出する機能。
【0041】
次に、これら制御装置17が有する機能(1)乃至機能(4)について説明する。
【0042】
機能(1)は、可動盤12の動作トルクである、第1サーボモータ31の構成及び第1サーボモータ31に流す電流により求めることができる第1サーボモータ31で実際に出力された実動作トルクTを求める機能である。なお、例えば、金型5を固定盤11及び可動盤12に固定した後に、可動盤12を移動させて型閉動作又は型開動作を行い、当該型閉動作又は型開動作時に第1サーボモータ31に流れた電流から、実動作トルクTを求める。このように、制御装置17の機能(1)は、第1サーボモータ31から出力された実動作トルクTを求める導出手段をなす。
【0043】
機能(2)は、機能(1)で求められた実動作トルクTから、変化部分19の重量FMを算出する機能である。なお、変化部分19の重量FMとは、例えば、移動型5b、可動盤12、押出機構15、及び、クロスヘッド23の移動に伴って可動盤12のスライド方向に、可動盤12と共に移動するトグルリンク22の一部の総重量である。
【0044】
具体的には、機能(2)は、
FM=Jr
Tt=αf×Jf+αr×Jr (1)
を用いて、変化部分19の重量FMを算出する機能である。
【0045】
即ち、変化部分19の重量FMは、上記の式を展開した
FM=(Tt−(αf×Jf))/αr
の式から求められる。
【0046】
ここで、理論動作トルクTtは、機能(1)で求められた実動作トルクTとする。また、αfは、クロスヘッド23の加速度である。このクロスヘッド23の加速度αfは、エンコーダ34で検出された第1回転軸31aの回転数から算出する。具体的には、クロスヘッド23の加速度αfは、クロスヘッド23の移動量と移動時間から求められる。
【0047】
αrは、可動盤12の加速度である。可動盤12の加速度αrは、機能(1)で実動作トルクTを求めるために可動盤12を移動させたときの可動盤12の移動量から、可動盤12の加速度αrを算出する。具体的には、可動盤12の加速度αrは、可動盤12の移動量と移動時間から求められる。なお、可動盤12の移動量は、クロスヘッド23の移動量、及び、記憶部51に記憶されたメモリーテーブルから求められる。
【0048】
また、第1イナーシャJfは、予め記憶部51に記憶されている。Jrは、変化部分19のイナーシャ、即ち第2イナーシャ(第2慣性モーメント)である。また、トグル機構等の回転運動から並進運動への変換を伴う機構の負荷側のイナーシャの算出においては、その機構の負荷側のイナーシャは、並進運動を行う対象物の重量に影響され、金型等の比較的大きな重量物が並進運動を行う対象物となる場合には、その機構の負荷側のイナーシャは、並進運動を行う対象物の重量と等しいと考えることができるということが知られている。よって、第2イナーシャJrは、変化部分19の重量FMと等しいと考えることができる。
【0049】
即ち、第2イナーシャJrは、変化部分19の重量FMであり、このため、理論動作トルクTtを求める式である式(1)に、これら実動作トルクT、クロスヘッド23の加速度αf、可動盤12の加速度αr及び第1イナーシャJfを代入することで第2イナーシャJrである変化部分19の重量FMが算出される。なお、第2イナーシャJrは、記憶部51に記憶される。
【0050】
また、第1サーボモータ31の駆動により型締装置1に発生するイナーシャ(慣性モーメント)Jは、第1イナーシャJf及び第2イナーシャJrの積算により算出される。このため、構成の違いから、固定部分18のイナーシャである第1イナーシャJfをモータのイナーシャ(駆動部のイナーシャ、モータの慣性モーメント、駆動部の慣性モーメント)、変化部分19のイナーシャである第2イナーシャJrを負荷のイナーシャ(負荷の慣性モーメント)、と呼ぶこともある。
【0051】
機能(3)は、機能(2)で求められた変化部分19の重量FM、記憶部51に記憶された移動型5b以外の変化部分19の重量FMP、摩擦係数umax、及び、クロスヘッド23と可動盤12との速度比rから、移動型5bの重量FMDを算出する機能である。
【0052】
具体的には、機能(3)は、まず、記憶部51に記憶された摩擦係数umaxが可動盤12の最大速度時の摩擦力であることから、機能(1)で移動させた可動盤12の移動量及び移動時間から実際に動作した可動盤12の速度を求め、当該可動盤12の速度に基づいて摩擦係数uを算出する。
【0053】
また、機能(1)で移動させたクロスヘッド23の移動量、及び、可動盤12の移動量から速度比rを算出する。なお、速度比rは、r=(クロスヘッド23の移動量/可動盤12の移動量)から求められる。
【0054】
また、移動型5b以外の変化部分19の重量FMPは、上述より可動盤12、押出機構15、及び、クロスヘッド23の移動に伴って可動盤12のスライド方向に可動盤12と共に移動するトグルリンク22の一部である。可動盤12の重量、押出機構15の重量、及び、クロスヘッド23の移動に伴って可動盤12のスライド方向に可動盤12と共に移動するトグルリンク22の一部の重量は、各々型締装置1の製造時に、予め求められ、記憶部51に記憶されている。このため、移動型5b以外の変化部分19の重量FMPは、記憶部51に記憶されている可動盤12の重量値、押出機構15の重量値、及び、クロスヘッド23の移動に伴って可動盤12のスライド方向に可動盤12とともに移動するトグルリンク22の一部の重量値を積算することで求めることができる。
【0055】
また、制御装置17は、記憶部51に記憶されている可動盤12の重量値、押出機構15の重量値、及び、クロスヘッド23の移動に伴って可動盤12のスライド方向に可動盤12と共に移動するトグルリンク22の一部の重量値を予め積算し、その積算値を記憶部51に記憶させる。よって、移動型5b以外の変化部分19の重量FMPは、その積算値を記憶部51から呼び出して利用してもよい。
【0056】
次に、移動型5bの重量FMDを、
FM=(FMP+FMD)×(1+u)×r
の式と、算出した摩擦係数u、速度比r、変化部分19の重量FM、及び、記憶部51に記憶された移動型5b以外の変化部分19の重量FMPから算出する。
【0057】
即ち、移動型5bの重量FMDは、変化部分19の重量FMを求める式を展開した、
FMD=(FM/((1+u)×r))−FMP
の式から算出される。
【0058】
このように、機能(3)は、摩擦係数u、速度比r、変化部分19の重量FM及び移動型5b以外の変化部分19の重量FMPから、移動型5bの重量FMDを算出する機能である。
【0059】
また、機能(3)として、制御装置17は、算出した移動型5bの重量FMDを、記憶部51に記憶させる。
【0060】
機能(4)は、移動型5bの重量FMDから、金型5の重量Wを算出する機能である。ここで、金型5は、例えば、固定型5a及び移動型5bが同等の形状重量に形成されているとして、
W=FMD×2
の式から求められる。また、機能(4)として、制御装置17は、この記憶された金型5の重量Wを、記憶部51に記憶させる。
【0061】
これらのように、制御装置17の機能(2)乃至機能(4)は、実動作トルクTから、変化部分19の重量FMを、変化部分19の重量FMから、移動型5bの重量FMDを、及び、移動型5bの重量FMDから、金型5の重量Wを、それぞれ算出する算出手段を成す。
【0062】
また、制御装置17は、これら機能(1)乃至機能(4)から求められた移動型5bの重量FMD又は金型5の重量Wに基づいて、次回以降の型閉動作又は型開動作を制御する。
【0063】
このように構成された型締装置1によれば、制御装置17により、金型5を固定盤11及び可動盤12に固定した場合に、移動型5bの重量FMD及び金型5の重量Wが算出される。
【0064】
具体的には、型締装置1の金型5が交換された場合には、制御装置17は、先ず、金型5の型閉動作又は型開動作を行う。次に、制御装置17は、機能(1)として、当該型閉動作又は型開動作による、第1サーボモータ31に流した電流から、第1サーボモータ31の実動作トルクTを求める。
【0065】
制御装置17は、当該型閉動作又は型開動作による、クロスヘッド23の移動量及び可動盤12の移動量を、エンコーダ34で検出された第1回転軸31aの回転数、及び、記憶部51に記憶されたメモリーテーブルから算出する。制御装置17は、これらクロスヘッド23の移動量、可動盤12の移動量及び移動時間から、クロスヘッド23の加速度αf及び可動盤12の加速度αrを算出する。
【0066】
次に、制御装置17は、機能(2)として、クロスヘッド23の加速度αf、可動盤12の加速度αr、実動作トルクT、記憶部51に記憶された第1イナーシャJfから、第2イナーシャJrである変化部分19の重量FMを算出する。
【0067】
次に、制御装置17は、機能(3)として、可動盤12の移動量及び移動時間から実際に動作した可動盤12の速度を求め、当該可動盤12の速度に基づいて摩擦係数uを算出する。また、クロスヘッド23の移動量及び可動盤12の移動量から速度比rを算出する。次に、制御装置17は、機能(2)で求められた変化部分19の重量FM、算出した摩擦係数u、クロスヘッド23と可動盤12との速度比r、及び、移動型5b以外の変化部分19の重量FMPから、移動型5bの重量FMDを算出する。次に、制御装置17は、算出した移動型5bの重量FMDを、記憶部51に記憶させる。
【0068】
制御装置17は、機能(4)として、機能(3)で算出された移動型5bの重量FMDから、金型5の重量Wを算出し、記憶部51に記憶させる。
【0069】
これらのように、制御装置17は、機能(1)乃至機能(4)により、移動型5bの重量FMD及び金型5の重量Wを算出する。また、制御装置17は、記憶部51に記憶させた移動型5bの重量FMD又は金型5の重量Wに基づいて、型閉動作又は型開動作を行う。
【0070】
例えば、制御装置17は、移動型5bの重量FMDに基づいて、変化部分19の重量FMを求め、当該変化部分19の重量FMを第2イナーシャJrとして、型閉動作の制御を行う。具体的には、機能(2)で用いた理論動作トルクTtの式から、理論動作トルクTtを求め、理論動作トルクTtと第1サーボモータ31の実動作トルクTとの差(偏差トルク)が、所定の閾値よりも大きいか否か、又は、所定の閾値以上であるか否かを判断する。
【0071】
制御装置17は、当該理論動作トルクTtと実動作トルクTとの差が所定の閾値よりも大きい場合、又は、所定の閾値以上である場合には、金型5又は他の構成何らかの負荷が加わっているものとして、表示部16に異常である旨を表示させ、第1サーボモータ31を停止させる。
【0072】
また、金型5を交換した場合には、制御装置17は、上述にあるように、機能(1)乃至機能(4)に基づいて、金型5の重量Wを再度算出し、算出した重量Wに基づいて、型閉動作又は型開動作を行う。また、例えば、一度重量Wを算出し、当該重量Wを記憶部51に記憶した金型5を、再度型締装置1に取り付けた場合には、制御装置17は、記憶部51に記憶された重量Wに基づいて、型閉動作又は型開動作を行ってもよい。
【0073】
このように構成された型締装置1によれば、金型5を交換し、新たな金型5を固定盤11及び可動盤12に固定した場合に、予め金型5の重量を計測しなくても、金型5の重量を算出することが可能となる。このため、金型5の重量を予め把握しておく必要がなく、重量計等により、金型5の重量を計測することを省略することが可能となる。また、金型5の重量が分からなくなってしまった場合においても、重量計等により再度金型5を計測する時間を省略することが可能となる。
【0074】
また、金型5の重量を計測する設備が不要となることから、設備コストを低減することが可能となり、結果、生産コストを低減することが可能となる。
【0075】
上述したように本発明の一実施の形態に係る型締装置1によれば、金型の重量を算出することが可能となる。
【0076】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、型締装置1は、射出成形機に用いられる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、型締装置1は、ダイキャスト成形機及びトランスファ成形機等に用いられる構成であってもよい。即ち、異なる複数の金型5が用いられる型締装置1であれば、その具体的な構成は適宜設定可能である。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 固定型を取り付けるための固定盤と、
前記固定盤に対向して配置され、移動型を取り付けるための可動盤と、
前記可動盤を移動可能にするための開閉機構と、
前記開閉機構を制御する制御装置と、を備える開閉装置において、
前記開閉機構は、前記可動盤を移動可能にするための駆動力を生じさせる駆動部を有し、
前記制御装置は、前記駆動部で出力された実動作駆動力を用いて前記金型の重量を算出する算出手段を有する、
ことを特徴とする開閉装置。
[2] 前記開閉機構は、前記駆動部の駆動により移動するクロスヘッドを有し、
前記算出手段は、前記クロスヘッドの加速度、前記可動盤の加速度、及び、前記駆動部のイナーシャを用いて前記金型の重量を算出する、
ことを特徴とする[1]に記載の開閉装置。
[3] 固定型を取り付けるための固定盤と、
前記固定盤に対向して配置され、移動型を取り付けるための可動盤と、
前記可動盤を移動可能にするための開閉機構と、
前記開閉機構を制御する制御装置と、を備える型締装置において、
前記開閉機構は、前記可動盤を移動可能にするための駆動力を生じさせる駆動部を有し、
前記制御装置は、前記駆動部で出力された実動作駆動力を用いて前記金型の重量を算出する算出手段を有する、
ことを特徴とする型締装置。
[4] 固定型が固定される固定盤に対して離接方向に移動可能に形成された、前記固定型と一体の金型を形成する移動型が固定された可動盤を、モータの駆動により移動させることで、前記金型を開閉させる開閉装置に取り付けられる金型の重量を算出する重量算出方法であって、
前記モータで出力された実動作駆動力を求め、
前記実動作動力を用い重量を算出する、
ことを特徴とする重量算出方法。
[5] 前記モータにより移動するクロスヘッドを有し、
前記重量は、前記クロスヘッドの加速度、前記可動盤の加速度、及び、前記モータのイナーシャを用いて算出される、
ことを特徴とする[4]に記載の重量算出方法。