特許第6031373号(P6031373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6031373光学部品の固定構造、光学部品の固定方法、光ピックアップ装置の製造方法、及びRGB3原色光源モジュール装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031373
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】光学部品の固定構造、光学部品の固定方法、光ピックアップ装置の製造方法、及びRGB3原色光源モジュール装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/22 20060101AFI20161114BHJP
   G11B 7/12 20120101ALI20161114BHJP
   G11B 7/125 20120101ALI20161114BHJP
   G11B 7/08 20060101ALI20161114BHJP
   G11B 7/13 20120101ALI20161114BHJP
【FI】
   G11B7/22
   G11B7/12
   G11B7/125 A
   G11B7/08 Z
   G11B7/13
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-25391(P2013-25391)
(22)【出願日】2013年2月13日
(65)【公開番号】特開2014-154195(P2014-154195A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】509189444
【氏名又は名称】日立コンシューマエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】古市 浩朗
(72)【発明者】
【氏名】天野 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲平
(72)【発明者】
【氏名】菅原 仁
(72)【発明者】
【氏名】亀澤 征彦
【審査官】 川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−009706(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/118037(WO,A1)
【文献】 特開2005−166084(JP,A)
【文献】 特開2010−097666(JP,A)
【文献】 特開2007−184037(JP,A)
【文献】 特開2007−200503(JP,A)
【文献】 特開2012−247529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/12−7/22
G11B 7/08−7/085
G11B21/14
G02B 7/00−7/24
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置筐体に光学部品を固定する光学部品の固定構造であって、
前記光学部品が実装される装置筺体と、
その光軸がホルダ基準面に対して所定の角度に接着固定された光学部品を保持するホルダと、
前記ホルダには、前記装置筐体と接合するための第1のプレート部と、第2のプレート部と、および前記第1のプレート部、第2のプレート部とを連結する連結部とが形成され、
前記第2のプレート部には複数の接合孔が形成され、
前記装置筐体の接合部には、前記ホルダの連結部を嵌合させるU溝と、該U溝の周囲に複数の貫通孔が形成され、
前記ホルダの連結部が前記装置筐体の接合部の前記U溝に嵌合されて、前記第2のプレート部の各接合孔と、および前記装置筐体の各貫通孔とをそれぞれ連続して接続して、前記ホルダの第1のプレート部に接着した複数の硬化さた円柱状の接着剤と、
を有することを特徴とする光学部品の固定構造。
【請求項2】
装置筐体に光学部品を固定する光学部品の固定構造であって、
前記光学部品が実装される装置筺体と、
その光軸がホルダ基準面に対して所定の角度に接着固定された光学部品を保持するホルダと、
前記ホルダには、前記装置筐体と接合するための第1のプレート部と、第2のプレート部と、および前記第1のプレート部、第2のプレート部とを連結する連結部とが形成され、
前記第2のプレート部には複数の接合孔が形成され、
前記装置筐体の接合部には、前記ホルダの連結部を嵌合させる中心U溝と、該中心U溝の周囲に複数の貫通U溝が形成され、
前記ホルダの連結部が前記装置筐体の接合部の前記中心U溝に嵌合されて、前記第2のプレート部の各接合孔と、および前記装置筐体の各貫通U溝とをそれぞれ連続して接続して、前記ホルダの第1のプレート部に接着した複数の硬化さた柱状の接着剤と、
を有することを特徴とする光学部品の固定構造。
【請求項3】
装置筐体に光学部品を固定する光学部品の固定構造であって、
前記光学部品が実装される装置筺体と、
その光軸がホルダ基準面に対して所定の角度に接着固定された光学部品を保持するホルダと、
前記ホルダには、前記光学部品が接着固定されたホルダ本体部に接合プレート部が形成され、
前記接合プレート部には複数のホルダ貫通孔が形成され、
前記装置筐体の接合部には、前記ホルダの接合プレート部を挟み込んで接合するための第1のプレート部と、第2のプレート部とが形成され、該第1のプレート部、および該第2のプレート部には前記ホルダ本体部を嵌合させるU溝が形成され、
前記第2のプレート部には複数の接合孔が形成され、
前記ホルダ本体部が前記装置筐体の接合部の前記U溝に嵌合されて、前記第1のプレート部、および前記第2のプレート部の間に挿入された前記接合プレート部の各ホルダ貫通孔と、および前記装置筐体の前記第2のプレート部の各接合孔とをそれぞれ連続して接続して、前記第1のプレート部に接着した複数の硬化さた円柱状の接着剤と、
を有することを特徴とする光学部品の固定構造。
【請求項4】
前記ホルダの第1のプレート部の接着部と前記装置筐体の貫通孔入り口との間の接着剤長さをt1、及び前記装置筐体の貫通孔入り口と前記ホルダの前記第2のプレート部の接合孔入り口との間の接着剤長さをt2とすると
(数1) t2<t1
の条件が成立するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学部品の固定構造。
【請求項5】
前記ホルダの前記第2のプレート部の接合孔内硬化している前記接着剤に対して、前記接合孔入り口から、接合孔内の前記接着剤の開放端までの距離の接着剤長さをt3とすると、更に
(数2) t1<t2+t3
の条件が成立するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の光学部品の固定構造。
【請求項6】
前記ホルダの第1のプレート部の接着部と前記装置筐体の貫通U溝入り口との間の接着剤長さをt1、及び前記装置筐体の貫通U溝入り口と前記ホルダの前記第2のプレート部の接合孔入り口との間の接着剤長さをt2とすると
(数1) t2<t1
の条件が成立するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の光学部品の固定構造。
【請求項7】
前記ホルダの前記第2のプレート部の接合孔内硬化している前記接着剤に対して、前記接合孔入り口から、接合孔内の前記接着剤の開放端までの距離の接着剤長さをt3とすると、更に
(数2) t1<t2+t3
の条件が成立するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の光学部品の固定構造。
【請求項8】
前記ホルダに接着固定された光学部品が、レーザダイオードとレンズであり、前記ホルダのサブアセンブリが光ビームを出射するレンズ付きレーザダイオードであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの請求項に記載の光学部品の固定構造。
【請求項9】
前記ホルダに接着固定された光学部品が、受光素子とレンズであり、前記ホルダのサブアセンブリが光ビームを受光するレンズ付き受光素子であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの請求項に記載の光学部品の固定構造。
【請求項10】
装置筐体に光学部品を固定する光学部品の固定方法であって、
前記装置筐体と接合するための第1のプレート部と、第2のプレート部と、および前記第1、第2のプレート部とを連結する連結部とが形成され、前記第2のプレート部には複数の接合孔が形成されたホルダに対して、前記光学部品の光軸をホルダ基準面に対して所定の角度になるように調芯して、該光学部品を樹脂により接着固定する工程と、
前記装置筐体の接合部に形成されたU溝へ前記ホルダの連結部を挿入して、前記第2のプレート部の各接合孔と、前記装置筐体の前記U溝の周囲に形成された複数の貫通孔とを対向させて位置決めする工程と、
前記ホルダの第1のプレート部に接着して、前記貫通孔内部、および前記接合孔内部に掛けて連続してUV硬化型接着剤を塗布する工程と、
前記接合孔の外部から、前記貫通孔の中心に沿ってUV光を照射して前記UV硬化型接着剤を硬化させる工程と、
を有することを特徴とする光学部品の固定方法。
【請求項11】
前記装置筐体の前記U溝の周囲に形成された複数の貫通孔に替えて、複数の貫通U溝が形成されており、
前記装置筐体の接合部に形成された中央U溝へ前記ホルダの連結部を挿入して、前記第2のプレート部の各接合孔と、前記装置筐体の前記中央U溝の周囲に形成された複数の貫通U溝とを対向させて位置決めする工程と、
前記ホルダの第1のプレート部に接着して、前記貫通U溝内部、および前記接合孔内部に掛けて連続してUV硬化型接着剤を塗布する工程と、
前記接合孔の外部から、前記貫通U溝の中心に沿ってUV光を照射して前記UV硬化型接着剤を硬化させる工程と、
を有することを特徴とする請求項10に記載の光学部品の固定方法。
【請求項12】
光ピックアップケースに、第1のLDモジュールと、第2のLDモジュールと、プリズムと、反射ミラーと、アクチュエータと、対物レンズと、レンズと、及び受光素子モジュールを備えた光ピックアップ装置の製造方法であって
前記第1、第2のLDモジュール、および受光素子モジュールの少なくとも1つのモジュールを、前記光ピックアップケースに接着固定する工程が、
前記モジュールは、前記光ピックアップケースと接合するための第1のプレート部と、第2のプレート部と、および前記第1、第2のプレート部とを連結する連結部とが形成され、前記第2のプレート部には複数の接合孔が形成されたホルダに対して、光学部品の光軸をホルダ基準面に対して所定の角度になるように調芯して、該光学部品を樹脂により接着固定した構成であり、
前記光ピックアップケースの接合部に形成されたU溝へ前記モジュールのホルダの連結部を挿入する工程と
前記第2のプレート部の各接合孔と、前記光ピックアップケースの前記U溝の周囲に形成された複数の貫通孔とを対向させて位置決める工程と
前記ホルダの第1のプレート部に接着して、前記貫通孔内部、および前記接合孔内部に掛けて連続してUV硬化型接着剤を塗布する工程と
前記貫通孔の中心に沿ってUV光を照射して前記UV硬化型接着剤を硬化させる工程とを有することを特徴とする光ピックアップ装置の製造方法
【請求項13】
RGBモジュールケースに、RGB各色のLDモジュールと、第1の合成ミラーと、第2の合成ミラーと、2方向首振りミラーを備えたRGB3原色光源モジュール装置の製造方法であって
前記RGB各色のLDモジュールの少なくとも1つのLDモジュールを、前記RGBモジュールケースに接着固定する工程が、
前記LDモジュールは、前記RGBモジュールケースと接合するための第1のプレート部と、第2のプレート部と、および前記第1、第2のプレート部とを連結する連結部とが形成され、前記第2のプレート部には複数の接合孔が形成されたホルダに対して、光学部品の光軸をホルダ基準面に対して所定の角度になるように調芯して、該光学部品を樹脂により接着固定した構成であり、
前記RGBモジュールケースの接合部に形成されたU溝へ前記モジュールのホルダの連結部を挿入する工程と
前記第2のプレート部の各接合孔と、前記RGBモジュールケースの前記U溝の周囲に形成された複数の貫通孔とを対向させて位置決める工程と
前記ホルダの第1のプレート部に接着して、前記貫通孔内部、および前記接合孔内部に掛けて連続してUV硬化型接着剤を塗布する工程と、
前記貫通孔の中心に沿ってUV光を照射して前記UV硬化型接着剤を硬化させる工程とを有することを特徴とするRGB3原色光源モジュール装置の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタルバーサタイルディスク)、BD(ブルーレイディスク)等の光ディスクの記録、再生に用いられる光ピックアップ装置及びそれを組み込んだ光ディスクドライブ装置、また、レーザディスプレイに用いられるRGB3原色光源モジュール装置及びそれを組み込んだプロジェクタ装置等に係り、特にレーザダイオード(以下、LD)や受光素子等を代表とする光学部品の接着固定技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、国際公開WO2006118037A1(特許文献1)がある。この公報には、「光源を配置する光学基台の上の面に凸部を形成し、光源を保持するホルダと光学基台上の凸部の空隙に硬化型樹脂を塗布することにより、落下衝撃などの外的要因に対して硬化型樹脂のみでも十分な固定強度を得ることができ、また、光源から生じる熱を効率的に基台へ放熱することができる特長」が開示されている。
【0003】
また、特開2005−32314号公報(特許文献2)がある。この公報には、「発光素子または受光素子を保持する保持部材と光学シャシとの間に位置調整用の隙間を空け、その隙間にUV(紫外線)硬化型の樹脂接着剤で固定する方法において、UVを透過させる無機化合物粉末が混合された接着剤を用いることにより、必要なUV照射量を与えることができ、更に、硬化時の流動変形の抑制により、位置ずれも抑制できる特長」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2006118037A1公報
【特許文献2】特開2005−32314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1には、ホルダと光学基台上の凸部の空隙に硬化型樹脂を塗布することにより、接着剤の接触面積を大きくして、接着強度を高められ、放熱性は向上する。しかし、各空隙への接着剤塗布量のわずかなばらつきにより、サブミクロンオーダの前後左右の位置ずれを抑制する特別の工夫は記載されていない。
【0006】
前記特許文献2には、UVを透過させる無機化合物粉末を混合した接着剤を用いることにより、UV照射量を確保し、接着剤自身の硬化時の位置ずれを抑制できるが、接着剤自身の温度変化時の膨張収縮による位置ずれを防止する方法に関しては、特別の工夫は記載されていない。
【0007】
そこで、本発明では、近年の位置ずれ許容量が厳しい製品にも耐えうるように、接着剤自身の温度変化による膨張収縮を利用し、組立時及び信頼性試験を通して常に筐体と部品が特定の面で接触するようにして、サブミクロンオーダの位置ずれを防止し、放熱性も向上した光学部品の固定構造、及び光学部品の固定方法を提供する。更に、バネ等による押付部品が不要となる光学部品の固定構造、及び光学部品の固定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明では、装置筐体に光学部品を固定する光学部品の固定構造を、前記光学部品が実装される装置筺体と、その光軸がホルダ基準面に対して所定の角度に接着固定された光学部品を保持するホルダと、前記ホルダには、前記装置筐体と接合するための第1のプレート部と、第2のプレート部と、および前記第1のプレート部、第2のプレート部とを連結する連結部とが形成され、前記第2のプレート部には複数の接合孔が形成され、前記装置筐体の接合部には、前記ホルダの連結部を嵌合させるU溝と、該U溝の周囲に複数の貫通孔が形成され、前記ホルダの連結部が前記装置筐体の接合部の前記U溝に嵌合されて、前記第2のプレート部の各接合孔と、および前記装置筐体の各貫通孔とをそれぞれ連続して接続して、前記ホルダの第1のプレート部に接着した複数の硬化さた円柱状の接着剤とを備えて構成した。
【0009】
また、上記課題を解決するために本発明では、装置筐体に光学部品を固定する光学部品の固定構造を、前記光学部品が実装される装置筺体と、その光軸がホルダ基準面に対して所定の角度に接着固定された光学部品を保持するホルダと、前記ホルダには、前記装置筐体と接合するための第1のプレート部と、第2のプレート部と、および前記第1のプレート部、第2のプレート部とを連結する連結部とが形成され、前記第2のプレート部には複数の接合孔が形成され、前記装置筐体の接合部には、前記ホルダの連結部を嵌合させる中心U溝と、該中心U溝の周囲に複数の貫通U溝が形成され、前記ホルダの連結部が前記装置筐体の接合部の前記中心U溝に嵌合されて、前記第2のプレート部の各接合孔と、および前記装置筐体の各貫通U溝とをそれぞれ連続して接続して、前記ホルダの第1のプレート部に接着した複数の硬化さた柱状の接着剤とを備えて構成した。
【0010】
また、上記課題を解決するために本発明では、装置筐体に光学部品を固定する光学部品の固定方法において、前記装置筐体と接合するための第1のプレート部と、第2のプレート部と、および前記第1、第2のプレート部とを連結する連結部とが形成され、前記第2のプレート部には複数の接合孔が形成されたホルダに対して、前記光学部品の光軸をホルダ基準面に対して所定の角度になるように調芯して、該光学部品を樹脂により接着固定する工程と、前記装置筐体の接合部に形成されたU溝へ前記ホルダの連結部を挿入して、前記第2のプレート部の各接合孔と、前記装置筐体の前記U溝の周囲に形成された複数の貫通孔とを対向させて位置決めする工程と、前記ホルダの第1のプレート部に接着して、前記貫通孔内部、および前記接合孔内部に掛けて連続してUV硬化型接着剤を塗布する工程と、前記接合孔の外部から、前記貫通孔の中心に沿ってUV光を照射して前記UV硬化型接着剤を硬化させる工程とを有するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、LDや受光素子とレンズを保持するホルダを、UV硬化型接着剤を介在して筐体に接着固定する場合、ホルダの接合プレート部の貫通孔から、筐体の貫通孔を通して、ホルダの光軸に垂直な接合プレート面まで、UV硬化型接着剤を充填し、ホルダの接合プレート部の貫通孔を通してUV照射し、UV硬化型接着剤を硬化接着する構造とした。このため、UV硬化する組立時には、UV光源に近いホルダの貫通孔側からUV硬化収縮力が発生し、筐体とホルダが密着する。また、信頼性試験の高温低温時には、UV硬化型接着剤の熱膨張収縮を利用して、筐体とホルダの密着を維持することができ、前述の組立時に加えて、温度サイクル試験でも、サブミクロンオーダの位置ずれを防止できる効果がある。
【0012】
また、組立時及び信頼性試験(温度サイクル)を通して常に筐体と部品が特定の面で接触することができるため、位置ずれ防止に加え、放熱性も向上できる。更に、筐体と部品以外には接着剤だけを用いているので、バネ等による押付部品が不要となり、部品点数を減らし、材料費、組立費用等を低減する効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施例の光学部品の固定構造を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施例の光学部品の固定構造の組立手順を説明する展開斜視図である。
図3】本発明の第1実施例の光学部品の固定構造の組立手順を説明する断面図である。
図4】本発明の第1実施例の光学部品の固定構造の温度変化時の状態を説明する断面図である。
図5】本発明の第2実施例の光学部品の固定構造の組立手順を説明する展開斜視図である。
図6(a)】本発明の第3実施例の光学部品の固定構造の組立手順を説明する展開斜視図である。
図6(b)】本発明の第3実施例の光学部品の固定構造を説明する断面図である。
図7】本発明の第1実施例の適用された光ピックアップ装置を示す展開斜視図である。
図8】本発明の第1実施例の適用されたRGB3原色光源モジュール装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態が適用された光学部品3,4をホルダ2に事前にモジュール単位に組立をしたサブアセンブリ2を、前記光学部品を使用する装置の筺体1の該当部分へ組付け・接着固定した状態を示す斜視図である。図2は、図1の光学部品を保持したサブアセンブリ2を、前記光学部品を使用する装置の筺体1へ組付ける概略の組立手順を示す斜視図である。図3(a),(b),(c)は、図2の組立手順毎の断面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の光学部品の固定構造は、主に、筐体1と、LD3とレンズ4が固定されたホルダ(サブアセンブリ)2と、それらをホルダ側光軸6の位置を調整して接着固定するUV硬化型接着剤5a、5bから構成される。ここで、筐体1は、光ディスクの記録、再生に用いられる光ピックアップ装置やレーザディスプレイに用いられるRGB3原色光源モジュール装置のレーザダイオードや受光素子等を接着固定する筐体の一部分を図示したもので、上記装置全体の構成を図7図8に示す。
【0017】
図7は、本発明の第1の実施形態が適用された光ピックアップ装置701の構成部品と組立方法を説明する展開斜視図である。本実施形態の光ピックアップ装置701は、光ピックアップケース(筐体)702と、第1のLDモジュール703(図1の光学部品3,4を保持したサブアセンブリ2に該当)と、第2のLDモジュール704(図1の光学部品3,4を保持したサブアセンブリ2に該当)と、プリズム705と、反射ミラー706と、アクチュエータ707と、対物レンズ708と、レンズ709と、受光素子モジュール710と、を有する。
【0018】
上記構成の光ピックアップ装置701において、第1のLDモジュール703、第2のLDモジュール704からの出射光は、プリズム705で合成または反射され、反射ミラー706を介して、アクチュエータ707上に配置された対物レンズ708に導き、光ディスク711上でスポットを収束させる。光ディスク711からの反射光は、対物レンズ708及び反射ミラー706、プリズム705、レンズ709を介して受光素子710に結像される。
【0019】
以上の光学系を実現するために、光ピックアップケース702に対し、アクチュエータ707、反射ミラー706、プリズム705、レンズ709等の内部部品は組立方向714で実装され、その後、第1のLDモジュール703は組立方向715で、第2のLDモジュール704は組立方向716で、受光素子モジュール710は組立方向717で位置調整後、接着固定される。また、光ピックアップ装置701自身は、主軸712と副軸713により、回転している光ディスクの半径方向に移動し、光信号の読み書き可能な構成としている。
【0020】
図8は、本発明の第1の実施形態が適用されたRGB3原色光源モジュール装置801の構成部品と組立方法を説明する斜視図である。本実施形態のRGB3原色光源モジュール装置801は、RGBモジュールケース(筐体)802と、緑色のLDモジュール803(図1の光学部品3,4を保持したサブアセンブリ2に該当)と、赤色のLDモジュール804(図1の光学部品3,4を保持したサブアセンブリ2に該当)と、青色のLDモジュール805(図1の光学部品3,4を保持したサブアセンブリ2に該当)と、第1の合成ミラー806と、第2の合成ミラー807と、2方向首振りミラー808と、を有する。
【0021】
上記構成のRGB3原色光源モジュール装置801において、LDモジュール803からの緑色出射光813、LDモジュール804からの赤色出射光814は、第1の合成ミラー806で合成され、その合成光とLDモジュール805からの青色出射光815とが第2の合成ミラー807で合成されたビームとなり、2方向首振りミラー808で、スクリーン809上に、3色RGB合成ビーム816を2次元走査して、画像を投射する。
以上の光学系を実現するために、RGBモジュールケース802に対し、緑色のLDモジュール803と、赤色のLDモジュール804と、青色のLDモジュール805と、第1の合成ミラー806と、第2の合成ミラー807と、2方向首振りミラー808が、位置調整後、接着固定される。
【0022】
これらの装置に使用される、図1の光学部品の固定構造は、図2に示すように、LD3とレンズ4が、ホルダ2に、ホルダ側光軸6の方向(Z軸−方向)にレーザ光が出射するようにサブ組立されている。次に、ホルダ連結部23が、筐体1の筐体中心U溝12に対して挿入されるように、ホルダY軸移動101でY軸−方向に降下される。更に、筐体基準面13に対し、ホルダ基準面25が接触するように、ホルダZ軸移動102でZ軸−方向に水平移動する。そして、ホルダ孔21a、21bから、接着剤塗布装置のニードル(図示無し)を挿入し、筐体貫通孔11a、11bを通して、UV硬化型接着剤5a、5bを塗布する。最後に、UV光源201a、201bを用いて、筐体貫通孔中心8a、8bに沿ってUV光を照射し、UV硬化型接着剤5a、5bを硬化固定する。
【0023】
更に、図3を用いて光軸の調整方法と光学部品の固定構造を詳細に説明する。図3は、図1の光学部品の固定構造の斜視図において、ホルダ側光軸6を面内に含むA-A’切断面で切断して示した光学部品の固定構造を組立てる手順毎の断面図である。
【0024】
まず、図3(a)で、レンズ付LDのサブアセンブリ2を説明する。ホルダ2は、ホルダ前プレート22とホルダ後プレート24とを円筒状のホルダ連結部23で連結した構造をしており、ホルダ連結部23には、LD3の発光部を挿入して、発光されたレーザビームを通すためのホルダ中心孔27が開けられている。
ホルダ2のホルダ中心孔27にLD3の発光部を挿入し、同時にレンズ4をホルダ前プレート22の前面に位置決めステージ等(図示無し)を用いて位置決め・調整可能とする。LD3の電極に電気接続(図示無し)して発光状態となったLD3をZ調芯104でZ軸+−方向に前後に調整して、レンズ4から出射されるビームが、平行ビーム、又は所望の焦点距離となるように決定して、LD3にUV硬化型接着剤31を塗布し、UV照射(図示無し)して硬化固定する。その後、レンズ4をXY調芯103でX軸Y軸の+−方向に調芯・位置決めして、レンズ4から出射されるビームがホルダ基準面25に対して垂直となるホルダ側光軸6と一致するようにビーム角度を調整する。そして、レンズ4にUV硬化型接着剤41を塗布し、UV照射(図示無し)して硬化固定し、LD3とレンズ4が接着されたホルダ2のサブアセンブリが完了する。ちなみに、ここでは、ホルダ2にLDとレンズが接着された構成を明示したが、ホルダに受光素子とレンズを接着させた構成でも同様に適用できる。
【0025】
次に、図3(b)で、レンズ付LDのサブアセンブリ2の筐体1への組立を説明する。図3(b)は、図2でホルダ連結部23が筐体1の筐体中心U溝12に対して、ホルダY軸移動101で垂直に降下挿入された状態の断面図である。まず、ホルダ孔21a、21bが、筐体貫通孔11a、11bにそれぞれ対向するように配置する。次に、ホルダ前プレート22のホルダ前プレート面26と筐体1の筐体外面15が接触しないように、また、筐体1の筐体基準面13と、ホルダ後プレート24のホルダ基準面25が接触しないようにして、筐体1の筐体側光軸7に対し、組立られたホルダ2のサブアセンブリをXY調芯105でX軸Y軸の+−方向に調芯・位置決めして、レンズ4から出射されるビーム位置を調整する。ここで、筐体側光軸7とは、筐体上で光学部品を搭載すべき理想的な光軸のことである。これは、筐体だけを見ても筐体側光軸7は決められず、実際にLDを光らせて筐体上に仮位置決めして、その他の光学部品も筐体上に仮位置決めして、光の入出力関係が成り立つように位置決めを調整して決定された光軸のことである。
【0026】
最後に、図3(b),(c)で、接着剤の塗布、硬化を説明する。まず、筐体基準面13に対し、ホルダ基準面25が接触するように、ホルダZ軸移動102でZ軸−方向に移動する。筐体の筐体貫通孔11a、11bが開けられている面(筐体内面14)は、筐体基準面13より段差を設けてZ軸−方向に掘り下げて形成されていて、筐体基準面13へホルダ基準面25を接触させた際に、筐体貫通孔11a、11bとホルダ孔21a、21bとの間には、図4(a)に示すように厚さがt2の隙間が形成されるようになっている。
【0027】
そして、ホルダ後プレート24に設けられたホルダ孔21a、21bから、筐体1に設けられた筐体貫通孔11a、11bを通して、ホルダ前プレート22のホルダ前プレート面26付近まで、接着剤塗布装置のニードル(図示無し)の先端をZ軸−方向に挿入する。そして、ニードルをZ軸+方向に引抜きながら、UV硬化型接着剤5a、5bを塗布し、ホルダ後プレート24に設けられたホルダ孔21a、21bの半分程度まで塗布した時点で、塗布を完了する。
【0028】
接着剤塗布装置のニードル先端から塗布されたUV硬化型接着剤5a、5bは、最初にホルダ前プレート22のホルダ前プレート面26に当ることになる。また、ホルダ前プレート面26と筐体1の筐体外面との間には隙間を形成している。しかし、UV硬化型接着剤は粘性があり、液体状というよりゲル状に近いため、ニードルをZ軸+方向に引抜きながらUV硬化型接着剤5a、5bを塗布する速度を適切に調整することにより、前記隙間へ漏れ出る接着剤の量はほとんど無く、前記ホルダ前プレート面26に接着した円柱状のUV硬化型接着剤5a、5bが形成される。
最後に、UV光源201a、201bを用いて、筐体貫通孔中心8a、8bに沿ってUV光を照射し、UV硬化型接着剤5a、5bを硬化固定する。
【0029】
ここで、UV硬化時、筐体1とホルダ2の関係を説明する。一般にUV硬化型接着剤は液体から固体へUV硬化する際に、%オーダで体積が収縮する。ホルダ後プレート24に設けられたホルダ孔21a、21b内に充填されたUV硬化型接着剤5a、5bは、UV光源201a、201bに近い、開放端Cから先にUV硬化を始め、筐体貫通孔中心8a、8bに沿って、筐体貫通孔11a、11b内がUV硬化し、ホルダ前プレート22のホルダ前プレート面26上の固定端B側が最後にUV硬化する。このため、開放端C側からUV硬化収縮により、UV硬化収縮力51が発生し、筐体1はホルダ後プレート24側へ筐体押付力52が作用し、筐体基準面13とホルダ基準面25が接触面Dで密着する。以上より、組立時に、UV硬化型接着剤5a、5bのUV硬化収縮を利用して、筐体1とホルダ2を密着して組み立てることができ、組立初期には、サブミクロンオーダの位置ずれを防止できる効果がある。
【0030】
次に、本実施形態の光学部品の固定構造が、温度サイクルのある使用環境においてもサブミクロンオーダの位置ずれを防止できる効果があると想定される理由を、信頼性試験時を想定して、筐体1とホルダ2の関係を図4を用いて説明する。一般に接着剤は熱膨張係数が金属やガラス等の部品に比べて大きく、これにより部品の位置ずれが発生しやすいため、接着剤自身の熱膨張収縮が繰り返し発生する、温度サイクル試験での状況を想定する。
【0031】
まず、図4(a)は、例えば70℃から90℃程度の高温の状態を示す。高温時には、UV硬化型接着剤5a、5b全体が体積膨張するが、Z軸−方向には、ホルダ前プレート面26上の固定端Bで拘束され、更に筐体貫通孔11a、11b及びホルダ孔21a、21bでも拘束されるため、Z軸+方向に膨張する。更に一般に接着剤は高温で軟化し、弾性率(ヤング率)は低下するため、固定端B側から膨張し、開放端C側の軟化した接着剤表面もZ軸+方向へ変形する。このため、固定端B側から開放端C側に向けて、接着剤自身は体積膨張し膨張力53を発生し、Z軸+方向に筐体押付力54が発生する。この結果、図3(c)の組立時から引き続いて、筐体1はホルダ後プレート24側へ筐体押付力52が作用し、筐体基準面13とホルダ基準面25が接触面Dで密着する。ここで、筐体1の筐体貫通孔11a、11bを挟んで、Z軸−方向でホルダ前プレート面26上の固定端Bと筐体外面15で挟まれる接着剤長さをt1とし、Z軸+方向で筐体内面14とホルダ後プレート24のホルダ基準面25とで挟まれる接着剤長さをt2とする。例えば、t1=0.8mm、t2=0.5mmを想定する。
(数1) t2<t1
が成立する場合、Z軸+方向に確実に密着させることができるので、この関係の配置とすることがより望ましい。
【0032】
一方、図4(b)は、例えば−40℃から−20℃程度の低温の状態を示す。低温時には、UV硬化型接着剤5a、5b全体が体積収縮する。ここで、筐体1の筐体貫通孔11a、11bを挟んで、Z軸−方向でホルダ前プレート面26上の固定端Bと筐体外面15で挟まれる接着剤長さをt1とし、Z軸+方向で筐体内面14とホルダ後プレート24のホルダ孔21a、21b内の開放端Cとで挟まれる接着剤長さをt2+t3とする。
(数2) t1<t2+t3
が成立する場合、t1で発生するB側収縮力55より、t2+t3で発生するC側収縮力56が大きくなり、Z軸+方向に筐体押付力57が発生する。この結果、図3(c)の組立時から引き続いて、筐体1はホルダ後プレート24側へ筐体押付力52が作用し、筐体基準面13とホルダ基準面25が接触面Dで密着する。
【0033】
以上より、高温及び低温時に、UV硬化型接着剤5a、5bの熱膨張収縮を利用して、筐体1とホルダ2の密着を維持することができ、前述の組立初期に加えて、温度サイクル試験でも、サブミクロンオーダの位置ずれを防止できる効果がある。また、60℃90%等の高温高湿試験では、一般に接着剤は吸湿して膨潤するので、上記高温時の挙動と同等の効果が期待できる。
【実施例2】
【0034】
次に、本発明の第2の実施形態を図5を用いて説明する。図5は実施例1の図2同様に、光学部品の固定構造の概略の組立手順を示す斜視図である。まず、図2同様に、LD3とレンズ4付のホルダ2のサブアセンブリが先に組立られている。次に、ホルダ連結部23が、筐体71の筐体中心U溝12に対して挿入されるように、ホルダY軸移動101でY軸−方向に降下される。更に、筐体基準面13に対し、ホルダ基準面25が接触するように、ホルダZ軸移動102でZ軸−方向に水平移動する。ここで、筐体71には、筐体貫通U溝61a、61bが設けてあるため、Y軸+方向から、接着剤塗布装置のニードル(図示無し)をホルダ前プレート22のホルダ前プレート面26に近づけ塗布を始める。筐体貫通U溝61a、61bを経由し、ホルダ後プレート24に設けられたホルダ孔21a、21bの中へZ軸+方向に半分程度まで塗布した時点で、塗布を完了する。最後に、UV光源201a、201bを用いて、筐体貫通U溝中心72a、72bに沿ってUV光を照射し、UV硬化型接着剤を硬化固定する。
【0035】
本実施例では、筐体71に筐体貫通U溝61a、61bを設けたので、図2のように、接着剤塗布装置のニードルをホルダ孔21a、21bからホルダ前プレート面26付近まで挿入する必要がなくなり、ニードルを筐体貫通U溝61a、61bの上部の空間へ挿入して、筐体貫通U溝内に接着剤を塗布することで柱状の接着剤を形成することに代えられるので、UV硬化型接着剤の塗布が簡単になる効果がある。
【実施例3】
【0036】
次に、本発明の第3の実施形態を図6(a)の展開斜視図、図6(b)の断面図を用いて説明する。本実施形態の筐体301と、ホルダ302の接合部の関係は、第1の実施形態の図2の展開斜視図、図3(c)の断面図と比較すると明らかなように、ホルダ前プレート22とホルダ後プレート24に相当する筐体301の筐体前プレート322と筐体後プレート324を構成し、筐体1の筐体貫通孔11a、11bが形成された接合部14に相当するホルダ302の接合プレート312を構成している。筺体側の接合部とホルダ側の接合部とを、柱状に塗布して硬化させた接着剤によって接着固定する原理は、実施形態1と同じである。
【0037】
まず、図2同様に、LD3とレンズ4付のホルダ302のサブアセンブリ2が先に組立られている。本実施形態のホルダ302は、LD3とレンズ4の光軸を調芯して接着固定するための円筒形のホルダ本体302と、筐体301との接合部を構成するフランジ状の接合プレート312が形成されている。接合プレート312には、ホルダ貫通孔311a、311bが開けられている。
【0038】
前記ホルダ302のサブアセンブリ2を、筐体前プレート322と筐体後プレート324に形成された筐体中心U溝323に挿入(ホルダY軸移動106)して、ホルダ貫通孔311a、311bが、筐体後プレート324に形成された筐体孔321a、321bにそれぞれ対向するように配置する。続いて、筐体301の筐体側光軸7に対し、組立られたホルダ302のサブアセンブリ2をXY調芯して位置決めして、レンズ4から出射されるビーム位置を調整する。
【0039】
次に、筐体基準面325に対し、ホルダ基準面313が接触するように、ホルダ302のサブアセンブリ2をZ軸+方向に移動107する。そして、筐体後プレート324に設けられた筐体孔321a、321bから、ホルダ302の接合プレート312に設けられたホルダ貫通孔311a、311bを通して、筐体前プレート322の筐体前プレート面326付近まで、接着剤塗布装置のニードル(図示無し)の先端をZ軸−方向に挿入する。そして、ニードルをZ軸+方向に引抜きながら、UV硬化型接着剤5a、5bを塗布し、筐体後プレート324に設けられた筐体孔321a、321b内の奥行き方向の半分程度まで塗布した時点で、塗布を完了する。最後に、UV光源201a、201bを用いて、筐体貫通孔中心308a、308bに沿ってUV光を照射し、UV硬化型接着剤5a、5bを硬化固定する。
【0040】
UV硬化型接着剤5a、5bを塗布するために、接着剤塗布装置のニードルを挿入する開放端C側の孔を、前述の図1から図5ではホルダ側に設けたが、同様に図6(b)では筐体側に筐体孔321a、321bを設けて開放端Cを構成することができる。従って、図6(b)の構成でも、図3(c)と同様に、組立時に、UV硬化型接着剤5a、5bのUV硬化収縮を利用して、筐体301とホルダ302を密着して組み立てることができる。また、図4(a),(b)と同様に、高温及び低温時に、UV硬化型接着剤5a、5bの熱膨張収縮を利用して、筐体301とホルダ302の密着を維持することができ、実施形態1の構成と同様に、組立初期と温度サイクル試験でも、サブミクロンオーダの位置ずれを防止できる効果がある。また、組立時及び信頼性試験(温度サイクル)を通して常に筐体と部品が特定の面で接触するようにしているため、位置ずれ防止に加え、放熱性も向上した光学部品の固定構造を提供できる。更に、筐体と部品以外には接着剤だけを用いているので、バネ等による押付部品が不要となり、部品点数を減らし、材料費、組立費用等を低減する効果もある。
【0041】
以上、説明した本発明の実施形態1〜3において、光学部品はLD(レーザダイオード)の例で説明したが、同様の構成にて、受光素子等の他の光学部品にも適用が可能である。
また、筐体、ホルダの材質としては、Zn,Mg,Alなどの金属のダイキャスト品が主に考えられるが、受光素子のように放熱性をそれ程必要としない場合には、樹脂製とすることも考えられる。
【0042】
また、UV硬化型接着剤は、アクリル系接着剤でも、エポキシ系接着剤でも同様に効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 筐体
2 ホルダのサブアセンブリ
3 LD
4 レンズ
5a、5b UV硬化型接着剤
6 ホルダ側光軸
7 筐体側光軸
8a、8b 筐体貫通孔中心
11a、11b 筐体貫通孔
12 筐体中心U溝
13 筐体基準面
14 筐体内面
15 筐体外面
21a、21b ホルダ孔
22 ホルダ前プレート
23 ホルダ連結部
24 ホルダ後プレート
25 ホルダ基準面
26 ホルダ前プレート面
27 ホルダ中心孔
31、41 UV硬化型接着剤
51 UV硬化収縮力
52、54、57 筐体押付力
53 膨張力
55 B側収縮力
56 C側収縮力
61a、61b 筐体貫通U溝
71 筐体
72a、72b 筐体貫通U溝中心
101,106 ホルダY軸移動
102、107 ホルダZ軸移動
103 XY調芯
104 Z調芯
105 XY調芯
201a、201b UV光源
301 筐体
302 ホルダ
308a、308b 筐体貫通孔中心
311a、311b ホルダ貫通孔
312 ホルダ接合プレート
313 ホルダ基準面
321a、321b 筐体孔
322 筐体前プレート
323 筐体中心U溝
324 筐体後プレート
325 筐体基準面
326 筐体前プレート面
701 光ピックアップ装置
702 光ピックアップケース
703、704 LDモジュール
705 プリズム
706 反射ミラー
707 アクチュエータ
708 対物レンズ
709 レンズ
710 受光素子モジュール
711 光ディスク
712 主軸
713 副軸
714、715、716、717 組立方向
801 RGB3原色光源モジュール装置
802 RGBモジュールケース
803 緑色のLDモジュール
804 赤色のLDモジュール
805 青色のLDモジュール
806、807 合成ミラー
808 2方向首振りミラー
809 スクリーン
813 緑色出射光
814 赤色出射光
815 青色出射光
816 3色RGB合成ビーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8