(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態の一例を詳細に説明する。
【0011】
最初に、本実施形態の全体構成について、概略的に説明する。
【0012】
撓み噛合い式歯車装置100は、
図1に示す如く、起振体104と、起振体104の外周に配置され起振体104の回転により撓み変形される可撓性を有した筒形状の外歯歯車120(120A、120B)と、起振体104と外歯歯車120との間に配置されるころ軸受110(110A、110B)と、外歯歯車120Aが内接噛合する剛性を有した減速用内歯歯車(第1内歯歯車)130Aと、減速用内歯歯車130Aに並設され外歯歯車120Bと内接噛合する剛性を有した出力用内歯歯車(第2内歯歯車)130Bと、を備えている(なお、減速用内歯歯車130Aと出力用内歯歯車130Bを併せて、単に内歯歯車130とも称する)。そして、ころ軸受110A、110Bの軸方向Oの側方にそれぞれ配置される固定壁136、出力装置138(側方部材)ところ軸受110A、110Bとの間に、ころ軸受110A、110Bのリテーナ114A、114B(114)の軸方向Oへの移動を規制する第1規制部材150A、150B(150)が配置されている。ここで、第1規制部材150はスラスト軸受とされている。
【0013】
以下、各構成要素について詳細に説明を行う。
【0014】
起振体104は、
図1、
図2に示す如く、略柱形状である。詳しく説明すると、起振体104は、偏心(偏心量L)した位置を中心とする一定の曲率半径r1による噛合い範囲FAを備え、複数の曲率半径を組み合わせた形状とされている。そして、起振体104は、噛合い範囲FAで、外歯歯車120A、120Bと減速用内歯歯車130A、出力用内歯歯車130Bとの噛合い状態を実現するようにされている。起振体104には、中央に入力軸102が挿入される入力軸孔106が形成されている。入力軸102が挿入され回転した際に、起振体104が入力軸102と一体で回転するように、入力軸孔106にはキー溝108が設けられている。なお、入力軸102は、軸受140、142を介して固定壁136に回転可能に軸支されている。
【0015】
ころ軸受110は、
図1に示す如く、起振体104の外側と外歯歯車120の内側との間に配置される軸受である。ころ軸受110A(110B)は、内輪112、リテーナ114A(114B)、転動体としてのころ116A(116B)と、外輪118A(118B)と、から構成される。内輪112は、ころ116A、116Bを支持しており、起振体104の外周に接触配置されている。なお、ころ116A(116B)は、円柱形状であればよく、ニードル形状も含む。リテーナ114(114A、114B)は、周方向にころ116A、116Bを一定間隔で回転可能に保持している。外輪118A(118B)は、ころ116A(116B)の外側に配置される。外輪118(118A、118B)は、起振体104の回転により撓み変形し、その外側に配置される外歯歯車120をその径方向に変形させる。ころ軸受110の軸方向O外側には、第1規制部材150が配置されている(後述)。
【0016】
外歯歯車120は、
図1に示す如く、基部材122と、外歯124(124A、124B)と、から構成され筒形状とされている。基部材122は、可撓性を有した筒状部材であり、ころ軸受110の外側に配置される。
図1に示す如く、外歯124は軸方向Oに分割された形態であるが、それぞれを支持する基部材122が一体とされ共通とされている。なお、外歯124は、理論噛合を実現するようにトロコイド曲線に基づいて歯形が決定されている。外歯歯車120の軸方向O外側には、第2規制部材152が配置されている(後述)。
【0017】
減速用内歯歯車130Aは、
図1に示す如く、剛性を有した部材で形成されている。減速用内歯歯車130Aは、外歯歯車120Aの外歯124Aの歯数よりもi(i=2、4、・・・)枚だけ多い歯数の内歯128Aを備える。減速用内歯歯車130Aには、撓み噛合い式歯車装置100を固定する固定壁136がボルト孔132Aを介してボルト134Aで固定される。減速用内歯歯車130Aは、外歯歯車120Aと噛合することによって、起振体104の回転の減速に寄与する。内歯128Aは、トロコイド曲線に基づいた外歯124Aに理論噛合するように成形されている。
【0018】
一方、出力用内歯歯車130Bも、
図1に示す如く、減速用内歯歯車130Aと同様に、剛性を有した部材で形成されている。出力用内歯歯車130Bは、外歯歯車120Bの外歯124Bの歯数と同一の内歯128Bの歯数を備えている(等速伝達)。出力用内歯歯車130Bには、撓み噛合い式歯車装置100からの出力が伝達される出力装置138がボルト孔132Bを介してボルト134Bで固定される。
【0019】
なお、本実施形態では、
図1に示す如く、内歯歯車130の径方向内側にくる起振体104、ころ軸受110、及び外歯歯車120の軸方向O長さが、内歯歯車130の軸方向O長さよりも短くされて、内歯歯車130の径方向内側に第1、第2規制部材150、152(後述)が配置されている。しかしこれに限らず、起振体、ころ軸受、及び外歯歯車と内歯歯車が軸方向O長さで同一とされていてもよい。
【0020】
次に、第1規制部材150(150A、150B)、第2規制部材152(152A、152B)について
図1、
図3〜
図5を用いて詳細に説明する。
【0021】
第1規制部材150A、150Bはそれぞれ、ころ軸受110A、110Bの軸方向Oの側方に配置される固定壁136、出力装置138ところ軸受110A、110Bとの間に配置され、リテーナ114A、114Bの軸方向Oへの移動を規制している。そして、第1規制部材150は、
図1に示す如く、第2規制部材152の径方向内側に配置されている。第1規制部材150は、前述の如く、リング形状のスラスト軸受であり、2つの軌道輪と2つの軌道輪に挟まれる転動体とを有している(転動体は玉でもよいがころ(ニードル)でもよい)。
【0022】
図1に示すように、一方の軌道輪の外側端面150AA(150BA)は、もう一方の軌道輪の内側端面150AB(150BB)が軸方向Oでリテーナ114A(114B)の端面114AC(114BC)に隣接する(隙間があってもなくてもよい)ように、固定壁136の側面136A(出力装置138の側面138A)に固定される。即ち、本実施形態は、リテーナ114Aの端面114AC(リテーナ114Bの端面114BC)と固定壁136(出力装置138)との間の摩擦係数μ0よりも、第1規制部材150A(150B)とリテーナ114Aの端面114ACとの間の摩擦係数μ2が小さくされている構成といえる(μ2<μ0)。
【0023】
第2規制部材152A、152Bは、第1規制部材150とは別体とされ、固定壁136、出力装置138と外歯歯車120との間に配置され、外歯歯車120の軸方向Oへの移動を規制している。そして、第2規制部材152A、152Bはそれぞれ、
図1に示す如く、第1規制部材150A、150Bの径方向外側且つ減速用内歯歯車130A、出力用内歯歯車130Bの径方向内側に配置されている。第2規制部材152A、152Bは、樹脂(摺動抵抗が低く耐熱性高分子樹脂のPEEK材、ナイロン、フッ素系樹脂など)でできた低摩擦部材であり、リング形状とされている。即ち、第1規制部材150と第2規制部材152の素材は異なるようにされている。
【0024】
図1に示すように、第2規制部材152A(152B)の外側端面152AA(152BA)は、第2規制部材152A(152B)の内側端面152AB(152BB)が軸方向Oで外歯歯車120A(120B)の端面120AC(120BC)と外輪118A(118B)の端面118AC(118BC)とに隣接する(隙間があってもなくてもよい)ように、固定壁136の側面136A(出力装置138の側面138A)に固定される。そして、外歯歯車120A、120Bの端面120AC、120BCと固定壁136、出力装置138との間の摩擦係数μ3よりも、外歯歯車120A、120Bの端面120AC、120BCと第2規制部材152A、152Bとの間の摩擦係数μ4が小さくされている(μ4<μ3)。
【0025】
なお、第2規制部材152A、152Bは固定壁136、出力装置138に固定されていなくてもよく、その際には外歯歯車120A、120Bの端面120AC、120BCと固定壁136、出力装置138との間の摩擦係数μ3よりも第2規制部材152A、152Bと固定壁136、出力装置138との間の摩擦係数μ5が小さくされていてもよい(μ5<μ3)。
【0026】
図3には、起振体104、ころ軸受110、外歯歯車120、及び第1、第2規制部材150、152の位置関係の一例を示す。基本的に、軸方向Oから見たときに、第1規制部材150は短軸Yの位置でリテーナ114と重なり、第2規制部材152は長軸Xの位置で外歯歯車120および外輪118と重なるように配置されている。
図4、
図5を用いて、以下に各構成要素の位置関係についてより具体的に説明する。
【0027】
撓み噛合い式歯車装置100において、起振体104(内輪112を含む)の回転速度ω1ところ軸受110のリテーナ114の回転速度ω2と外歯歯車120(外輪118を含む)の回転速度ω3とを比較すると、起振体104の回転速度ω1が一番早く、外歯歯車120の回転速度ω3が一番遅い(ω1>ω2>ω3)。このため、軸方向Oでリテーナ114に隣接する第1規制部材150は、全周方向に亘り、軸方向Oで起振体104及び外歯歯車120に重ならないように配置することが最も望ましい。同時に、軸方向Oで外歯歯車120に隣接する第2規制部材152は、全周方向に亘り、軸方向Oでリテーナ114及び内歯歯車130に重ならないように配置することが最も望ましい。なお、減速比などの設計によっては起振体104の長軸Xと短軸Yとの長さの関係は適宜変更される。このため、本実施形態では、ころ軸受110のリテーナ114の回転速度ω2と外歯歯車120の回転速度ω3とが互いに干渉しないようにするため、第1規制部材150の外径R2はころ軸受110の外輪118の最小内周径Roiよりも小さく(R2<Roi)、第2規制部材152の内径R3はリテーナ114の端面114AC、114BCの最大外径Rroよりも大きく(R3>Rro)されている。なお、
図4に示す如く、ころ軸受110の外輪118の最小内周径Roiは短軸Yの位置で得られ、リテーナ114の端面114AC、114BCの最大外径Rroは長軸Xの位置で得られる。
【0028】
また、長軸Xの位置で第1規制部材150は、
図3に示す如く、起振体104と重なる箇所が最も大きくなり得る。このため、第1規制部材150の内径R1は、最低限スキューで生じる荷重を支持するスラスト軸受を構成可能とする径とされている。
【0029】
次に、撓み噛合い式歯車装置100の動作について、
図1を用いて説明する。
【0030】
入力軸102の回転により、起振体104が回転すると、その回転状態に応じて、外歯歯車120がころ軸受110を介して撓み変形する(即ち、外歯歯車120Bは外歯歯車120Aと同位相で撓み変形する)。
【0031】
外歯歯車120が起振体104で撓み変形されることにより、噛合い範囲FAで、外歯124が径方向で外側に移動して、内歯歯車130の内歯128に噛合する。
【0032】
外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとの噛合位置は、起振体104の回転に伴い回転移動する。ここで、起振体104が1回転すると、外歯歯車120Aは減速用内歯歯車130Aとの歯数差だけ、回転位相が遅れる。つまり、固定壁136に固定された減速用内歯歯車130Aによる外歯歯車120Aの減速比は((外歯歯車120Aの歯数―減速用内歯歯車130Aの歯数)/外歯歯車120Aの歯数)として求めることができる。
【0033】
外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとは共に歯数が同一であるので、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとは互いに噛合する部分が移動することなく、同一の歯同士で噛合することとなる。このため、出力用内歯歯車130Bから外歯歯車120B(外歯歯車120A)の自転と同一の回転が出力される。結果として、出力用内歯歯車130Bに接続された出力装置138は、入力軸102の回転を減速用内歯歯車130Aによる減速比に基づいて減速した出力を取り出すことができる。
【0034】
このように、本実施形態においては、固定壁136、出力装置138ところ軸受110との間に、第1規制部材150が配置されている。ここで、第1規制部材150は、スラスト軸受とされている。このため、本実施形態は、リテーナ114Aの端面114AC(リテーナ114Bの端面114BC)と固定壁136(出力装置138)との直接的な摺動を防止できる。そして、リテーナ114Aの端面114AC(リテーナ114Bの端面114BC)と固定壁136(出力装置138)とによるすべり摩擦をころ軸受110の転がり摩擦とすることができる。つまり、本実施形態は、ころ軸受110A、110Bのリテーナ114A、114Bの端面114AC、114BCと固定壁136、出力装置138との間のすべり摩擦による摩擦係数μ0よりも、第1規制部材150自身による転がり摩擦によって、第1規制部材150A、150Bとリテーナ114A、114Bの端面114AC、114BCとの間の摩擦係数μ2が小さくされている構成といえる。即ち、スキューによりころ軸受110が軸方向Oに移動しリテーナ114が第1規制部材150を介して固定壁136、出力装置138とぶつかっても、摩擦係数μ2の小さい第1規制部材150とリテーナ114との間で摺動がなされることとなる。つまり、摩擦係数μ0の大きいリテーナ114A、114Bの端面114AC、114BCと固定壁136、出力装置138との直接的な摺動によって生じる端面ロスに比べ、端面ロスを小さくすることができる。
【0035】
また、本実施形態においては、固定壁136、出力装置138と外歯歯車120A、120Bとの間に、外歯歯車120の軸方向Oへの移動を規制する第2規制部材152が配置されている。そして、外歯歯車120A、120Bの端面120AC、120BCと固定壁136、出力装置138との間の摩擦係数μ3よりも、外歯歯車120A、120Bの端面120AC、120BCと第2規制部材152A、152Bとの間の摩擦係数μ4が小さくされている(μ4<μ3)。このため、外歯歯車120の軸方向Oへの移動が生じた際には、外歯歯車120が固定壁136、出力装置138に直接的にぶつかり摺動することなく、外歯歯車120は第2規制部材152との間で摺動する。つまり、外歯歯車120による端面ロスを低減することが可能となる。なお、外輪118は外歯歯車120と一体となり撓み変形する。このため、第2規制部材152により、外輪118A、118Bの端面118AC、118BCによる端面ロスも同時に防止されている。
【0036】
そして、第1規制部材150と第2規制部材152とは別体とされ、第1規制部材150と第2規制部材152の素材は異なるようにされている。このため、外歯歯車120の回転速度ω3に影響されることなく、第1規制部材150でリテーナ114による端面ロスを低減することができる。同時に、ころ軸受110の回転速度ω2に影響されることなく、第2規制部材152で外歯歯車120による端面ロスを低減することができる。また、第1規制部材150と第2規制部材152とにかかる力は互いに影響を与えないので、第1、第2規制部材150、152を長寿命化することも可能である。
【0037】
なお、本実施形態では、上述の如く、第2規制部材152A、152Bが固定壁136、出力装置138に固定されずに、固定壁136、出力装置138に対しても摺動するように構成されていてもよい。その際には、固定壁136、出力装置138がそれぞれ、第2規制部材152A、152Bを位置決め可能な凹部(図示せず)を備えていてもよい。もちろん、第2規制部材が外歯歯車に固定されていてもよい。
【0038】
また、本実施形態においては、第1規制部材150の外径R2はころ軸受110の外輪118の最小内周径Roiよりも小さく、第2規制部材152の内径R3はリテーナ114の端面114AC、114BCの最大外径Rroよりも大きくされている。このため、第1規制部材150では、ころ軸受110からの力を受け、外歯歯車120からの力を受けない。逆に、第2規制部材152では、外歯歯車120からの力を受け、ころ軸受110からの力を受けない。即ち、このような構成により、第1、第2規制部材150、152を介してのころ軸受110及び外歯歯車120の回転速度ω2、ω3の互いの干渉を確実に回避することが可能である。なお、これに限らず、第1規制部材と第2規制部材の形状は適宜定めることができる。
【0039】
即ち、本実施形態においては、ころ軸受110のリテーナ114の軸方向O移動で生じるころ軸受110による端面ロスを低減することが可能となる。
【0040】
なお、本実施形態においては、ころ軸受110A、110Bが、軸方向Oでそれぞれ、外歯124Aを支持する部分と、外歯124Bを支持する部分とされている。このため、本実施形態の撓み噛合い式歯車装置100は、減速用内歯歯車130Aと外歯124Aとの噛合を原因とするころ116Bのスキュー、及び出力用内歯歯車130Bと外歯124Bとの噛合を原因とするころ116Aのスキュー、のそれぞれの発生が低減可能な構成となっている。
【0041】
本発明について第1実施形態を挙げて説明したが、本発明は第1実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでも無い。
【0042】
例えば第1実施形態においては、第1規制部材150がスラスト軸受とされ、第2規制部材152が第1規制部材150とは異なる素材の低摩擦部材とされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1規制部材と第2規制部材が同一の素材とされていてもよい。例えば、第2規制部材もスラスト軸受とされて、固定壁、出力装置に一方の軌道輪が固定されている構成であってもよい。あるいは、
図6に示す第2実施形態の如くであってもよい。なお、第1規制部材250以外はすべて第1実施形態と同じなので、第1規制部材250以外については符号の下2桁を同一として重複する説明は省略する。
【0043】
第2実施形態では、
図6に示す如く、第1規制部材250が、第2規制部材252と同じ素材の低摩擦部材とされている。そして、固定壁236、出力装置238が第1規制部材250を位置決め可能な凹部(図示せず)を備え、第1規制部材250はリテーナ214に対しても、固定壁236、出力装置238に対しても摺動可能とされている。そして、リテーナ214の端面214AC、214BCと固定壁236、出力装置238との間の摩擦係数μ0よりも、リテーナ214の端面214AC、214BCと第1規制部材250A、250Bとの間の摩擦係数μ2、及び第1規制部材250A、250Bと固定壁236、出力装置238との間の摩擦係数μ1が小さくされている(μ1<μ0、μ2<μ0)。このため、本実施形態は、第1実施形態で得られる効果を相応に奏しながら、第1実施形態よりも、第1規制部材250の組み込みが容易で、且つより低コストとすることができる。なお、これに限らず、第1規制部材250A、250Bがそれぞれ、固定壁236、出力装置238に固定されていてもよい。また、第1規制部材250がリテーナ214に固定されていてもよい。この場合には、リテーナ214A、214Bの端面214AC、214BCと固定壁236、出力装置238との摩擦係数μ0よりも、第1規制部材250と固定壁236、出力装置238との間の摩擦係数μ1が小さくされている。
【0044】
また、上記実施形態においては、第1規制部材及び第2規制部材が固定壁側及び出力装置側の両側に設けられていたが、第1規制部材だけが固定壁側及び出力装置側の両側に設けられていてもよい。或いは、第1規制部材と第2規制部材とが固定壁側と出力装置側のうちの片側にだけ設けられていてもよい。或いは、固定壁側及び出力装置側の両側に設けられている第1規制部材(或いは第2規制部材)は互いに異なる構成(形状や素材)とされていてもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、固定壁、出力装置、及び外歯歯車が金属で第2規制部材(と第2実施形態の第1規制部材250)が樹脂とされていることで摩擦係数の大小を変えていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、固定壁、出力装置、及び外歯歯車が鉄系の金属であれば、第1、第2規制部材が銅やアルミなどを主成分とする摺動性の高い金属としてもよい。或いは、第1、第2規制部材が固定壁、出力装置、及び外歯歯車と同一の素材であっても、互いに表面処理、仕上げが異なるようにされているだけでもよい。このような構成の違いによっても摩擦係数の大小を変えることができる。
【0046】
また、上記実施形態においては、撓み噛合い式歯車装置が内輪、リテーナ、転動体、及び外輪を有するころ軸受を備えていたが、本発明はこれに限定されず、ころ軸受は必ずしも起振体と別体の内輪、及び外歯歯車と別体の外輪を有する必要はない。例えば、内輪が起振体と一体とされていてもよいし、外輪が外歯歯車と一体とされていてもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、第1、第2規制部材が連続したリング形状とされていたが、本発明はこれに限定されず、断続して周方向に配置される形状とされていてもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、外歯にトロコイド曲線に基づいた歯形としたが、本発明はこれに限定されない。外歯は、円弧歯形でもよいし、その他の歯形を用いてもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、側方部材が内歯歯車に固定された固定壁及び出力装置とされていたが、本発明はこれに限定されず、側方部材が内歯歯車に固定されている必要はなく、外歯歯車の軸方向Oの側方に配置される部材を広く側方部材としてよい。
【符号の説明】
【0051】
100、200…撓み噛合い式歯車装置
104、204…起振体
110、110A、110B、210、210A、210B…ころ軸受
112、212…内輪
114、114A、114B、214、214A、214B…リテーナ
118、118A、118B、218、218A、218B…外輪
120、120A、120B、220、220A、220B…外歯歯車
114AC、114BC、118AC、118BC、120AC、120BC、214AC、214BC、218AC、218BC、220AC、220BC…端面
124、124A、124B、224、224A、224B…外歯
128、128A、128B、228、228A、228B…内歯
130、230…内歯歯車
130A、230A…減速用内歯歯車
130B、230B…出力用内歯歯車
136、236…固定壁
136A、138A、236A、238A…側面
138、238…出力装置
150、150A、150B、250、250A、250B…第1規制部材
152、152A、152B、252、252A、252B…第2規制部材
150AA、150BA、152AA、152BA、250AA、250BA、252AA、252BA…外側端面
150AB、150BB、152AB、152BB、250AB、250BB、252AB、252BB…内側端面