特許第6031408号(P6031408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031408
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】上げ下げ窓
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/44 20060101AFI20161114BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   E06B3/44
   E06B5/16
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-110274(P2013-110274)
(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公開番号】特開2014-227780(P2014-227780A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100168228
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 達則
(72)【発明者】
【氏名】矢内 貴之
(72)【発明者】
【氏名】能登谷 肇
【審査官】 小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04996814(US,A)
【文献】 特開2006−233716(JP,A)
【文献】 特開2009−024458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/44
E06B 5/16
E06B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、内障子とを備え、枠体は、下枠と縦枠を有していて、縦枠の内周側にガイド溝を形成してあり、内障子は、縦枠のガイド溝に沿って上下動自在であって、下框と縦框を有していて、下框の左右端に縦框を取り付けてあり、下枠の室内側にタイト材ホルダを立設してあって、タイト材ホルダに取り付けたタイト材は、内障子閉鎖状態において下框の室内側部分に当接するものであり、下框は、エッジ材を有しており、エッジ材は、内障子閉鎖状態において下枠のタイト材ホルダの室外側面に対向する垂下片を有していて、左右端が縦枠のガイド溝に呑み込まれていることを特徴とする上げ下げ窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に二枚の障子を備える上げ下げ窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外障子と内障子を備え、少なくとも内障子が上下動自在な上げ下げ窓があり(外障子は上下動自在なもの(内障子と連動するものも含む)と固定されているものがある)、建築物の躯体に取り付けられる場合や、ドアに取り付けられる場合がある。図8に示すのはその一例であり、ドアの中央に開口部を形成してあって、外障子102a及び内障子102bを上下動自在に取り付けてある(外障子102aと内障子102bは連動する)。閉鎖時において、外障子102aは上側、内障子102bは下側となる。ここで内障子102bに着目すると、図7に示すように、閉鎖時において、内障子102bの下框122bは下枠112に設けたタイト材116に当接するものであって、室外側に垂下片131を有している。この垂下片131は、室外側からの雨水の浸入を防ぐものであり、左右端には樹脂製のキャップ130aを取り付けてある。この樹脂製のキャップ130aには、外障子102aと内障子102bを連動させるためのワイヤ130が接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の上げ下げ窓が火災時に炎にさらされると、下框122bの左右端の樹脂製のキャップ130aが溶け、縦枠113と下框122bの間に隙間が生じて炎が侵入する。そして、下枠112や下框122bに熱伸びやガタツキが生じ、さらにタイト材116が溶けることで、下枠112と下框122bの間に隙間が生じて室内外が連通し、延焼につながるおそれがあった。
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、内障子の下框部分における耐火性能が高い上げ下げ窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、枠体と、内障子とを備え、枠体は、下枠と縦枠を有していて、縦枠の内周側にガイド溝を形成してあり、内障子は、縦枠のガイド溝に沿って上下動自在であって、下框と縦框を有していて、下框の左右端に縦框を取り付けてあり、下枠の室内側にタイト材ホルダを立設してあって、タイト材ホルダに取り付けたタイト材は、内障子閉鎖状態において下框の室内側部分に当接するものであり、下框は、エッジ材を有しており、エッジ材は、内障子閉鎖状態において下枠のタイト材ホルダの室外側面に対向する垂下片を有していて、左右端が縦枠のガイド溝に呑み込まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、下框に取り付けたエッジ材の左右端が縦枠のガイド溝に呑み込まれているので、見込方向から見て縦枠とエッジ材の間に隙間がなく、火災時において垂下片がタイト材を炎熱から確実に保護して、室内外が連通することを防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の上げ下げ窓における内障子の下端部の室外側正面図(図2(a)のA部)である(網戸枠体は図示省略)。
図2】上げ下げ窓を備えるドアを示し、(a)は室外側正面図(網戸枠体は図示省略)、(b)は室内側正面図である。
図3】内障子の下端部の縦断面図である。
図4】エッジ材と接続部材の位置関係を示す説明図である。
図5】上げ下げ窓を備えるドアの縦断面図である。
図6】上げ下げ窓を備えるドアの横断面図である。
図7】従来の上げ下げ窓における内障子の下端部の室外側正面図(図8(a)のB部)である(網戸枠体は図示省略)。
図8】従来の上げ下げ窓を備えるドアを示し、(a)は室外側正面図(網戸枠体は図示省略)、(b)は室内側正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の上げ下げ窓の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、左右方向とは、上げ下げ窓を室外側から見た場合(図2(a))の左右方向を示す。この上げ下げ窓はどのような場所に取り付けられるものであってもよいが、ここでは勝手口などに設置するためのドアに取り付けた場合を示す。図2図5及び図6に示すように、ドアは、上枠11と、下枠12と、左右の縦枠13とを四周枠組みして枠体1を構成し、その内周側に、外障子2a及び内障子2bを嵌め込んである。左側が戸先側、右側が吊元側となっており、右側の縦枠13が、丁番10によって躯体に取り付けてある。丁番10は、縦枠13の上下方向中央と、その上下の3箇所に、等間隔で配置してある。そして外障子2a及び内障子2bは、何れも上框21a,21bと、下框22a,22bと、左右の縦框23a,23bとを有し、上框21a,21b及び下框22a,22bの左右端に縦框23a,23bを取り付けて四周框組みしてあって、その内周側に、ガラスパネル24a,24bを納めたものである。閉鎖時において、外障子2aは上側、内障子2bは下側となる。そして、内障子2bの上框21bの上側にクレセント錠20を設けてあり、閉鎖時に施錠可能となっている。なお、各枠及び各框は、何れも室外側のアルミ部材と室内側の樹脂部材からなる。
【0009】
より詳しくは、図6に示すように、左右の縦枠13の内周側端部の室外側には、室外側に延びる外周側面と外周側面の室外側端部から内周側に延びる室外側面からなる持出部13aを形成してあり、この持出部13aにより、縦枠13の内周側端部の見込幅が広くなっている。そして、縦枠13(及び持出部13a)の内周側には、上下に延びる2本のガイド溝14a,14bが並んで形成してある。ガイド溝14a,14bは断面略コ字形で、室外側のガイド溝14aは持出部13a部分に形成してある。そして室外側のガイド溝14aには外障子2aの左右端(縦框23a)が納まり、室内側のガイド溝14bには内障子2bの左右端(縦框23b)が納まっていて、外障子2a及び内障子2bは上下動自在となっている。なお、この外障子2aと内障子2bはワイヤ30により連結されていて連動するようになっており、一方の障子を動かすと、他方の障子が反対方向に同距離だけ動く。また、図5に示すように、上枠11の内周側(下側)端部の室外側にも、縦枠13と同様に外周側面と室外側面からなる持出部11aを形成してあり、外障子2aの閉鎖状態において、外障子2aの上端(上框21a)が納まる。さらに、下枠12の内周側(上側)端部の室外側には、室外側に延びる延出片12aを形成してある。
【0010】
さらに、図3に示すように、下枠12の内周側(上側)端部の室内側(アルミ部材部分)には、上向きに延びる立設片17を形成してあり、立設片17の上端には、タイト材ホルダ15を形成してある。タイト材ホルダ15は、上向きに開口する溝状のもので、タイト材16を嵌め込んで取り付けてある。タイト材16は、不燃性のものであって、内障子2bの閉鎖状態において、内障子2bの下端(下框22b)の室内側部分に当接して、気密性・水密性を確保するものである。
【0011】
そして、図1及び図3に示すように、内障子2bの下框22bは、エッジ材3を有している。エッジ材3は、水平片32と、水平片32の室外側端から下向きに延びる垂下片31からなる断面略L字形のもので、水平片32を下框22bの下面にネジ止めしてある。水平片32の見込幅は下框22bの見込幅より短く、下框22bの室外側寄りに取り付けてあって、内障子2bの閉鎖状態においてタイト材16とは干渉しない。そして垂下片31は、下框22bの室外側端に位置していて、下框22bの室外側面から垂下片31の見込厚さ分だけ室外側に突出しており、縦框23bの室外側面と面一になっている。また、垂下片31は、内障子2bの閉鎖状態において、下枠12のタイト材ホルダ15の室外側面に対向している。さらに、図1に示すように、エッジ材3の左右幅は、下框22bの左右幅より長く、エッジ材3の左右端は、縦枠13のガイド溝14bに呑み込まれている。なお、縦框23bの下端部には、外障子2aと内障子2bを連動させるためのワイヤ30を接続するための接続部材30aを取り付けてあるが、図4に示すように、接続部材30aは縦框23bの室内側部分に係合しており、室外側に位置するエッジ材3とは干渉しない形状となっている。また、垂下片31の室内側面には、室内側に向けて開口する溝状の発泡材ホルダ33を形成してあって、加熱発泡材4を嵌め込んで取り付けてある。一方、下枠12の立設片17の室外側にも、室外側に向けて開口する溝状の発泡材ホルダ18を形成してあって、加熱発泡材4を嵌め込んで取り付けてある。この加熱発泡材4は、加熱されることにより発泡して厚さ方向(取付面に対して垂直方向)に膨張するものであって、火災時に発泡して下枠12と下框22bとの隙間を塞ぐ。
【0012】
このように構成した上げ下げ窓によれば、内障子2bの下框22bに取り付けたエッジ材3の左右端が縦枠13のガイド溝14bに呑み込まれているので、見込方向から見て縦枠13とエッジ材3(下框22b)の間に隙間がなく、火災時において、エッジ材3の垂下片31がタイト材16を炎熱から保護する。また、内障子2bの下框22bより左右に長いエッジ材3に加熱発泡材4を取り付けてあり、下枠12の立設片17に取り付けた加熱発泡材4と併せて、火災時に発泡して内障子2b下端部の全長を覆い、下枠12や下框22bの熱伸びやガタツキにより生じた隙間を塞ぐ。これらにより、火災時に内障子2bの下端部において室内外が連通することを確実に防ぐ。
【0013】
なお、図5及び図6に示すように、上枠11及び縦枠13に形成した持出部11a,13aには、カバー5を取り付けてある。カバー5は、見込面と見付面を有していて、持出部11a,13aの外周側面と室外側面を覆うものであり、カバー5の見込面と持出部11a,13aの外周側面及びカバー5の見付面と持出部11a,13aの室外側面の間には、空間部5aが形成されている。このカバー5により、持出部11a,13aが直接炎にさらされることはなく、さらに、空間部5aがあるので炎の熱が持出部11a,13aに伝わりにくい。これらにより、火災時において持出部11a,13aが溶け落ちることを防いでおり、外障子2aが脱落して室内外が連通してしまうことがない。また、カバー5の室外側面には、網戸枠体6を取り付けてある。網戸枠体6は、上げ下げ窓の開放時において虫の侵入を防ぐものであり、カバー5の室外側面が網戸枠体6に覆われることで、より炎の熱が持出部11a,13aに伝わりにくくなる。そして、網戸枠体6を持出部11a,13aに直接取り付けると、網戸枠体6の荷重が持出部11a,13aの先端に集中してかかるが、網戸枠体6をカバー5に取り付けると、網戸枠体6の荷重がカバー5を介して持出部11a,13aの全体に分散し、持出部11a,13aの変形が抑制される。
【0014】
また、外障子2a及び内障子2bのガラスパネル24a,24bの全周にわたって、鉄製で断面コ字形のパネル支持材7を取り付けてある。これは、サッシが炎熱にさらされて上框21a,21b、下框22a,22b及び縦框23a,23bが融解した場合にガラスパネル24a,24bが外れるのを防ぎ、上げ下げ窓の気密性を維持するためのものである。
【0015】
さらに、外障子2a及び内障子2bの、各框(上框21a,21b、下框22a,22b及び縦框23a,23b)の中空部内には、鉄製で断面コ字形の補強材8を挿入してある(外障子2aの上框21aの補強材8のみ、断面L字形である)。補強材8は各框の全長にわたるもので、外側からネジ止めしてある。これは、サッシが炎熱にさらされた際に、各框の伸びを抑えるためのものである。なお、エッジ材3は内障子2bの下框22bの補強材8にネジ止めされており、火災時に下框22bが変形・融解してもエッジ材3が脱落しない。
【0016】
また、内障子2bの下框22b部分以外にも、各ガイド溝14a,14bの内側、上枠11の持出部11aの内側、上側のカバー5の内側、各障子2a,2bの縦框23a,23bの外周側面、パネル支持材7の内側、外障子2aの下框22aの室内側面と内障子2bの上框21bの室外側面の各所に加熱発泡材4を取り付けてあり、火災時に隙間を塞ぐ。
【0017】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、外障子と内障子が連動せず独立して開閉できるものや、外障子が固定されているものであってもよい。また、網戸枠体に替えて、格子体を取り付けてもよい。さらに、ドアに取り付けるもののほか、建築物の躯体に取り付けるものであってもよい。また、エッジ材は、水平片が下框の室内側端まで延びていて、タイト材が水平片に当接するものであってもよい。さらに、エッジ材は垂下片を有していればどのような形状であってもよく、下框の室外側面にネジ止めするものであってもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 枠体
2b 内障子
3 エッジ材
12 下枠
13 縦枠
14b ガイド溝
15 タイト材ホルダ
16 タイト材
22b 下框
23b 縦框
31 垂下片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8