特許第6031592号(P6031592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031592
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】内接歯車ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/10 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   F04C2/10 311B
   F04C2/10 341C
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-507421(P2015-507421)
(86)(22)【出願日】2013年3月7日
(65)【公表番号】特表2015-514915(P2015-514915A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】EP2013054596
(87)【国際公開番号】WO2013164111
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2014年10月27日
(31)【優先権主張番号】102012207259.4
(32)【優先日】2012年5月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】フラフィグニー,ロムアルド
(72)【発明者】
【氏名】シェップ,レーネ
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 西独国特許出願公開第01403924(DE,A)
【文献】 特表2011−501023(JP,A)
【文献】 特公昭63−009109(JP,B2)
【文献】 西独国特許出願公開第2943768(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内歯のあるリングギヤ(2)と、前記リングギヤ(2)の中で偏心的に配置され、前記リングギヤ(2)と1つの円周区域で噛み合う外歯のあるピニオン(3)とを有する内接歯車ポンプであって、前記ピニオン(3)が前記リングギヤ(2)と噛み合う円周区域の外部では前記リングギヤ(2)と前記ピニオン(3)は三日月形のポンプ室(6)を相互の間で包囲しており、該ポンプ室には前記ポンプ室(6)の中で吸込側(8)を圧力側(9)から区分する分離片(7)が配置されており、前記分離片(7)は、前記ピニオン(3)の歯の歯先に当接する湾曲した内側の脚部(13)と、前記リングギヤ(2)の歯の歯先に当接する湾曲した外側の脚部(14)と、両方の前記脚部(13,14)をつなぐヨーク(15)とを有している、そのような内接歯車ポンプにおいて、
前記分離片(7)は、前記内側の脚部(13)から前記ヨーク(15)への移行部(c)において、凸面状に湾曲した外面と凹面状に湾曲した内面を有しており、前記内面の湾曲の半径は前記外面の湾曲の半径よりも大きいことを特徴とする内接歯車ポンプ。
【請求項2】
前記分離片(7)は前記脚部(13,14)から前記ヨーク(15)への移行部(c,d)では円筒状に凸面状に湾曲した外面を有するとともに、その間では円筒状に凹面状に湾曲した外側を有し、内側の脚部(13)から前記ヨーク(15)への移行部(c)では円筒状に凹面状に湾曲した内面を有しており、その半径は内側の脚部(13)から前記ヨーク(15)への移行部(c)における外面の湾曲の半径よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の内接歯車ポンプ。
【請求項3】
前記脚部(13,14)は中央領域(a,b)で肉厚になっており、その自由端に向かって、および前記脚部(13,14)から前記ヨーク(15)への移行部(c,d)に向かって、先細になっていることを特徴とする、請求項1に記載の内接歯車ポンプ。
【請求項4】
前記分離片(7)は前記脚部(13,14)の中央領域(a,b)に最大の厚みを有していることを特徴とする、請求項1に記載の内接歯車ポンプ。
【請求項5】
前記分離片(7)の内側の脚部(13)はその中央領域(a)にほぼ一定の厚みを有していることを特徴とする、請求項1に記載の内接歯車ポンプ。
【請求項6】
前記分離片(7)の内側の脚部(13)の内側は前記ヨーク(15)から内側の脚部(13)への移行部(c)と内側の脚部(13)の中央領域との間で、および内側の脚部(13)の自由端から中央領域(a)との間で、凹面状に湾曲していることを特徴とする、請求項1に記載の内接歯車ポンプ。
【請求項7】
前記分離片(7)の外側の脚部(14)の内側の凹面状の湾曲は、その外側の凸面状の円筒状の湾曲と少なくとも同じ大きさであり、好ましくはこれよりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の内接歯車ポンプ。
【請求項8】
前記分離片(7)の外側の脚部(14)の内側の凹面状の湾曲は前記脚部(14)の中央領域(b)で小さくなっており、自由端および前記ヨーク(15)への移行部(d)に向かって増大していくことを特徴とする、請求項5に記載の内接歯車ポンプ。
【請求項9】
内側の脚部(13)と外側の脚部(14)の間の前記分離片(7)の内部空間(16)は前記ポンプ室(6)の圧力側(9)と連通していることを特徴とする、請求項1に記載の内接歯車ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文の構成要件を備える内接歯車ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、内歯のあるリングギヤと、リングギヤと1つの円周区域で噛み合うようにリングギヤの中に偏心的に配置された外歯のあるピニオンとを有する、液圧式の車両ブレーキ設備のための内接歯車ポンプを開示している。リングギヤは内歯のある歯車であり、ピニオンは外歯のある歯車であり、ピニオン、リングギヤという名称は区別のために選択されたものである。リングギヤとピニオンを合わせて、内接歯車ポンプの歯車と呼ぶこともできる。ピニオンとリングギヤが相互に噛み合う円周区域の外部で、ピニオンとリングギヤは三日月形のポンプ室を相互の間で区切っており、このポンプ室には、内接歯車ポンプの吸込側を圧力側からポンプ室の中で互いに区分する分離片が配置されている。公知の内接歯車ポンプの分離片は、内接歯車ポンプの各歯車と等しい幅のレッグスプリングである。分離片の内側と外側の脚部は、内接歯車ポンプの各歯車に準じて湾曲しており、ピニオンの歯の歯先は内側の脚部に当接し、リングギヤの歯の歯先は、レッグスプリングとして構成された分離片の外側の脚部に当接し、それにより、液体が各歯車の歯の中間スペースで包囲されており、各歯車の回転駆動により、それ自体公知の仕方で吸込側から圧力側へと送出される。分離片の両方の脚部は一体的であり、ヨークによって弾性作用をもつように相互に結合されている。
【0003】
呼称について:分離片の脚部の内側と呼ぶのは、各脚部の互いに向かい合っている側のことである。脚部の外側は、各歯車の歯先に当接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102007049704A1号明細書
【発明の概要】
【0005】
請求項1の構成要件を備える本発明の内接歯車ポンプの分離片も、同じく、ピニオンおよびリングギヤの歯の歯先に当接する脚部を備えるレッグスプリングとして構成されている。各脚部はそれぞれの中央領域で、それぞれの自由端よりも、および分離片のヨークへの移行部よりも肉厚になっている。各脚部は肉厚の中央領域から自由端に向かって、およびヨークへの移行部に向かって先細になっていく。分離片の各脚部の中央領域は脚部の長手方向に延びており、すなわち、内接歯車ポンプおよびその各歯車の円周方向に延びている。脚部の中央領域は脚部の自由端から間隔をおいて終わっており、また、ヨークから脚部への移行部から間隔をおいて終わっている。中央領域は、脚部の長手方向中央に存在しなければならないわけではなく、自由端またはヨークへの移行部の近くに存在していてもよい。分離片の脚部の厚み分布により、脚部のばね剛性がその長さにわたって変化する。
【0006】
本発明は、レッグスプリングとして構成された分離片の脚部の、内接歯車ポンプの歯車の歯先への当接を改善し、それに伴って、歯の中間スペースの封止を改善する。本発明による内接歯車ポンプの分離片の脚部はその長さ全体にわたって、歯車の歯先により良く当接する。従来技術では分離片の脚部は分離片のばね力に基づき、実質的に、内接歯車ポンプの歯車の歯の歯先に対してヨークの近傍で押圧されるのに対して、本発明による内接歯車ポンプでは、分離片のばね力がその自由端の領域でも、脚部を歯先に対して押圧する。好都合なケースでは、脚部はその長さ全体にわたって歯先に対して均等に押圧される。レッグスプリングとして構成された分離片のばね力に基づく、内接歯車ポンプの歯車の歯先に対する分離片の脚部の圧着力とは、それ自体として把握したときのものであり、または、内接歯車ポンプの作動時における各脚部の間での液圧による内圧を考慮したときのものであり、この内圧は脚部の長さにわたって一定であり、したがって脚部の長さにわたって一定の力を、内側の脚部に対して半径方向で内方に向かって惹起するとともに、外側の脚部に対して外方に向かって惹起する。
【0007】
内接歯車ポンプの歯車の歯先に対する脚部の圧着力が脚部の自由端の方向で増大していく、分離片の脚部の厚み分布と形状付与も可能である。このケースでは、分離片の脚部の圧着力は内接歯車ポンプの圧力側に向かう方向で増大していき、それにより、歯先への脚部の当接を妨げるように作用する、歯の中間スペースにおける液圧が大きいところで大きくなる。それによって封止作用を改善することができる。
【0008】
従属請求項は、請求項1に記載された本発明の好ましい実施形態と発展例を対象としている。
【0009】
請求項7の対象物は、ヨークの領域、およびヨークからヨークと一体的である脚部への移行部の領域での、分離片の外側と内側ないし外面と内面における湾曲形状である。ヨークから脚部への移行部では、分離片の外側は凸面状に円弧状になっており、すなわち、外面は凸面状の円筒状の面である。それぞれの脚部への移行部の間では、分離片のヨークの外面は凹面状に円筒状に湾曲している。ヨークから内側の脚部への移行部では、分離片の内面は凹面状に円筒状に湾曲しており、この曲率半径は、ヨークから内側の脚部への移行部の外側における湾曲の半径よりも大きい。厳密な円筒形状が重要なのではない。本発明のこの実施形態は、ヨーク領域を、およびヨークから分離片の脚部への移行部を、分離片で作用する機械的な応力に関して改良するものであり、機械的な応力がより良く分散されるとともに、局所的に高い応力が回避され、ないしは機械的な応力ピークが低減される。
【0010】
請求項7の構成要件は、本発明の実施形態において、主請求項の特徴部の構成要件なしに具体化されていてもよい。
【0011】
次に、図面に示されている実施形態を参照しながら、本発明について詳しく説明する。図面は次のものを示している:
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による内接歯車ポンプを示す側面図である。
図2】本発明による図1の内接歯車ポンプの部分片を単独部品として示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面は、本発明の理解と説明のための模式的かつ簡略化された図として理解されるべきものである。
【0014】
図1に示す本発明による内接歯車ポンプ1は2つの歯車2,3を有しており、すなわち、内歯のあるリングギヤ2と、ここではピニオン3と呼ぶ、外歯のある歯車とを有している。ピニオン3は偏心的にリングギヤ2の中に配置されており、両方の歯車2,3は互いに平行な軸を有しており、相互に噛み合っている。リングギヤ2は軸受リング4で回転可能に滑り支承されており、ピニオン3はポンプシャフト5に回転不能に配置されている。図面を明瞭にするために、内接歯車ポンプ1のハウジングは図示していない。内接歯車ポンプ1を作動させるために、ポンプシャフト5が回転駆動され、ポンプシャフト5で回転不能となっているピニオン3がこれとともに回転して、噛み合っているリングギヤ2を回転駆動する。回転方向は矢印Pで示されている。
【0015】
歯車2,3は、互いに噛み合っていない円周区域では、三日月形のポンプ室6を相互の間で包囲している。このポンプ室6には、部分三日月形または半三日月形として把握することもでき、その形状からしばしばクレセントあるいはクレセント体とも呼ばれる三日月形の分離片7が配置されている。分離片7は、内接歯車ポンプ1のポンプ室6で、吸込側8を圧力側9から分離している。吸込側8には取込穴10が連通しており、圧力側9からは吐出穴11が通じている。内接歯車ポンプ1の歯車2,3の歯先は、分離片7の外側ないし内側に当接しており、歯車2,3が回転駆動されると、分離片7の外側ないし内側に沿って摺動する。分離片7は歯車2,3と等しい幅であり、これらの歯車も両方とも等しい幅を有している。分離片7は歯車2,3の歯の中間スペースで液体容積を包囲しており、それにより、歯車2,3の回転駆動は吸込側8から圧力側9への液体の送出を引き起こす。分離片7は吸込側の端部のところで、ポンプ室6を横向きに貫く、ここでは受け部12と呼ぶボルトに支持されている。
【0016】
本実施例では、三日月形の分離片7はレッグスプリングである。レッグスプリングは、同一方向へ円弧状に湾曲する2つの脚部13,14を備えたU字型の板ばねであり、これらの脚部に、すでに述べたとおり、歯車2,3の歯の歯先が当接する。歯先は脚部13,14の外側に当接し、分離片7の内側の脚部13の外側は、内接歯車ポンプ1に関して内方を向いており、分離片7の内側を形成する。分離片7の脚部13,14の内側は、互いに向き合っている。ヨーク15が両方の脚部13,14をつないでおり、受け部12に当接する。分離片7を形成するレッグスプリングは圧力側の端部で開いており、それにより、レッグスプリングの脚部13,14の間の内部空間16は圧力側9で生成される圧力によって付勢され、この圧力は、脚部13,14を離れるように、すなわち外側の脚部14を外方へリングギヤ2の歯の歯先に向かって付勢するとともに、内側の脚部13を内方へピニオン3の歯の歯先に向かって付勢する。それにより、内接歯車ポンプ1の分離片7を形成するレッグスプリングの脚部13,14は、圧力状況が変化しているときでも、内接歯車ポンプ1の歯車2,3の歯の歯先に常に封止をするように当接する。これに加えて脚部13,14は、レッグスプリングとして構成された分離片7のばね力に基づき、歯車2,3の歯の歯先に初期応力をもって当接し、すなわち、たとえば内接歯車ポンプ1が無圧のときにも当接する。
【0017】
分離片7の脚部はその長さにわたって変化する厚みを有しており、したがって、長さにわたって変化するばね剛性を有している。分離片7の形状と厚み推移は、分離片7を単独部品として示す図2に良く見ることができる。内側の脚部13は中央領域aで、ヨーク15から遠いほうの自由端よりも肉厚になっており、また、ヨーク15への移行部cよりも肉厚になっている。中央領域aは自由端から間隔をおいて終わっており、また、ヨーク15から内側の脚部13への移行部cから間隔をおいて終わっている。本実施例では、内側の脚部の肉厚の中央領域aは、内側の脚部13の長手中心に対して対称なのではなく、自由端のほうに近くなっている。しかしながら、このことは本発明にとって強制的なものではない。内側の脚部13は中央領域aから、自由端に向かってだけでなく、ヨーク15との移行部cに向かっても先細になっている。比較的大きい厚みによって、分離片7の内側の脚部13はその中央領域aで、比較的高いばね剛性を有している。本実施例では、内側の脚部の中央領域aにおける厚みおよびこれに伴うばね剛性はほぼ一定であるが、このことは本発明にとって強制的なものではない。内側の脚部13の中央領域aは、プラトー状であると把握することができる。外側の脚部14のほうを向いている内側の脚部13の内側は、中央領域aの両方の端部のところで、内側の脚部13の自由端に向かってだけでなく分離片7のヨーク15への移行部cの方向でも、まず最初に凸面状になっており、次いで凹面状なっている。
【0018】
外側の脚部14も同じく中央領域bを有しており、この領域で外側の脚部14は肉厚になっており、これに伴ってそのばね剛性も、その自由端やヨーク15への移行部dに比べて高くなっている。ただし、外側の脚部14はその中央領域bで一定の厚みを有しているのではなく、その厚みはヨーク15への移行部dから中央領域bにかけて連続的に増大し、その後自由端に向かって再び減少している。外側の脚部14のもっとも肉厚の個所はほぼ脚部14の長手中央部にあってよく、本実施例では、もっとも肉厚の個所はヨーク15よりも自由端の近くにある。外側の脚部14の厚み分布は、内側の凹面状の湾曲よりも強力な、外側の凸面状の湾曲によって実現される。外側はリングギヤ2の歯先に当接するので円形になっており、すなわち外面は円筒状である。外側の脚部14の内側は中央領域bに、自由端およびヨーク15に向かうよりも弱い湾曲を有している。外側の脚部14の内側の凹面状の湾曲は、その外側の凸面状の湾曲よりも弱い。脚部14の中央領域における比較的大きい厚みは、円形の外側に対する内側の形状と位置によって実現され、円形の内側によっても可能であり、内側の湾曲の半径は、外側の湾曲の半径よりも小さくないのが好ましい。
【0019】
内側および外側の脚部13,14のもっとも厚い個所は、本実施例では、分離片7のもっとも厚い個所となっている。
【0020】
比較的厚い中央領域a,bを有している分離片7の脚部13,14の形状付与、特に厚み分布は、脚部13,14がその長さ全体にわたってほぼ一定の初期応力で、歯車2,3の歯の歯先に当接するという帰結をもたらす。肉厚の中央領域a,bにより、脚部13,14がヨーク15から遠いほうの自由端の近くでも、なおも比較的高い初期応力で歯車2,3の歯の歯先に当接することが実現され、すなわち、歯車2,3の歯の中間スペースにおける圧力が高くなっている圧力側9でも、分離片7の脚部13,14が初期応力をもって歯先に当接し、歯の中間スペースで作動液を包囲する。
【0021】
ヨーク15から脚部13,14への移行部c,dでは、分離片7は外側で円弧状に凸面状に湾曲しており、移行部c,dの間では円弧状に凹面状に湾曲している。すなわち分離片7の外面は、ヨークから脚部13,14への移行部c,dのところで凸面状の円筒状の面となっており、移行部c,dの間では、ヨーク15の外面が凹面状の円筒状の面となっている。分離片7の内側では、ヨーク15から内側の脚部13への移行部cは凹面状に円弧状であり、すなわち内面は、ヨーク15から内側の脚部13への移行部cのところで凹面状の円筒状の面となっている。その半径は、ヨーク15から脚部13,14への移行部c,dの外側における半径よりも大きい。ヨーク15から内側の脚部13への移行部cの内側における半径は、両方の脚部13,14の間の最大間隔の半分よりも大きい。ヨーク15の領域およびヨーク15から脚部13,14への移行部c,dの領域における分離片7のこのような形状付与により、ヨーク15の領域およびヨーク15から脚部13,14への移行部c,dの領域における機械的な応力が低減され、均等に配分され、もしくは少なくとも比較的均等に配分される。この機械的な応力は、脚部13,14が内接歯車ポンプ1の歯車2,3の歯の歯先に当接する初期応力によって惹起され、および、外部と内部からの作動液による圧力付勢によって惹起される。ヨーク15では、および脚部13,14への移行部c,dでは、分離片7における機械的な応力がもっとも高くなり、したがってこれらの個所では、機械的な応力をできる限り均等に配分し、局所的に高い応力を回避する分離片7のジオメトリーが重要であり、もしくは少なくとも好ましい。
【0022】
内接歯車ポンプ1は、液圧式の車両ブレーキ設備のためのハイドロポンプとして意図されており、特に、液圧式の車両ブレーキ設備のスリップコントロールのための、および/または液圧式の外力式車両ブレーキ設備で圧力生成をするための、いわゆるリターンポンプとして意図されている。
【符号の説明】
【0023】
1 内接歯車ポンプ
2 リングギヤ
3 ピニオン
6 ポンプ室
7 分離片
8 吸込側
9 圧力側
13 内側の脚部
14 外側の脚部
15 ヨーク
16 内部空間
図1
図2