特許第6031603号(P6031603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6031603浮力のある可動浮き部材を内蔵したトイレ排水弁組立体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031603
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】浮力のある可動浮き部材を内蔵したトイレ排水弁組立体
(51)【国際特許分類】
   E03D 1/35 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   E03D1/35
【請求項の数】27
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-524324(P2015-524324)
(86)(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公表番号】特表2016-501994(P2016-501994A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】US2013050903
(87)【国際公開番号】WO2014018342
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2016年7月13日
(31)【優先権主張番号】61/675,642
(32)【優先日】2012年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/760,851
(32)【優先日】2013年2月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/775,398
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515021493
【氏名又は名称】フルーイドマスター, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ル、 トゥアン
(72)【発明者】
【氏名】クック、 スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】サンプソン、 アダム
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4149283(US,A)
【文献】 米国特許第3987501(US,A)
【文献】 米国特許第3662408(US,A)
【文献】 実公昭49−38591(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00− 7/00
E03D 11/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュバルブであって、
(a)トイレタンクの中の排水路の上に配置される寸法の収容部と、
(b)前記収容部の中を垂直方向に移動可能な浮き組立体であって、前記浮き組立体が降下位置にあるときに前記排水路を密閉し、前記浮き組立体が上昇位置にあるときに前記排水路を開放するように構成され、内部に空気を閉じ込めるための開放下端を有する浮き部材を備え、前記収容部の内側と前記浮き組立体の外側との間に空気室が形成される浮き組立体と、
(c)前記収容部の中前記空気室と外気とを連通する第1の空気通路と、
(d)前記第1の空気通路を選択的に開閉するアクチュエータと
(e)前記浮き部材の内側と外気とを洗浄サイクルの間にわたり連続的に連通して前記浮き部材の内側の圧力を前記洗浄サイクルの間にわたり外気圧に維持する空気通路と
を備えるフラッシュバルブ。
【請求項2】
前記浮き組立体は、開放下端を有する中空の浮き部材を備える請求項1に記載のフラッシュバルブ。
【請求項3】
前記第1の空気通路を選択的に開閉するアクチュエータは、前記トイレタンクの外側に配置された洗浄ボタンを備える請求項1に記載のフラッシュバルブ。
【請求項4】
前記第1の空気通路を選択的に開閉するアクチュエータは、トリガセンサを備える請求項1に記載のフラッシュバルブ。
【請求項5】
前記収容部の中の前記空気室と外気とを連通する第1の空気通路は、前記収容部の中の前記空気室から前記トイレタンクの外気出口まで延在する管を備える請求項1に記載のフラッシュバルブ。
【請求項6】
前記収容部の中の前記空気室と外気とを連通する第1の空気通路は、前記収容部を通過して前記トイレタンクの中の外気に至る通路を備える請求項1に記載のフラッシュバルブ。
【請求項7】
前記浮き部材の内側と外気とを連続的に連通する空気通路は、
(i)前記浮き部材のに配置された開放上端を有する通気管と、
(ii)前記通気管の下部に接続された通気基部と、
(iii)記通気基部に接続された前記外気への通気室と
備え、
前記浮き部材の内側の空気が外気圧において一定に維持されるように、前記通気管、通気基部及び通気室の間を空気が自由に流れる請求項に記載のフラッシュバルブ。
【請求項8】
フラッシュバルブであって、
(a)トイレタンクの中の排水路の上方に配置される寸法の収容部と、
(b)前記収容部の中を垂直方向に移動可能な浮き組立体であって、前記浮き組立体が降下位置にあるときに前記排水路を密閉し、前記浮き組立体が上昇位置にあるときに前記排水路を開放するように構成され、内部に空気を閉じ込めるための開放下端を有する浮き部材を備え、前記収容部の内側と前記浮き組立体の外側との間に空気室が形成される浮き組立体と、
(c)前記収容部の中の前記空気室と外気とを連通する空気通路と、
(d)前記空気通路を選択的に開閉するアクチュエータと、
(e)前記浮き部材の内側と外気とを連通する空気通路であって、
(i)前記浮き部材の中に配置された開放上端を有する通気管と、
(ii)前記通気管の下部に接続された通気基部と、
(iii)前記通気基部に接続された前記外気への通気室と
を備える空気通路と
を備え、
前記浮き部材の内側の空気が外気圧において一定に維持されるように、前記通気管、通気基部及び通気室の間を空気が自由に流れ、
前記通気室は、前記収容部内を通るオーバーフロー管を通フラッシュバルブ。
【請求項9】
前記通気基部は、前記通気管に入る水を、前記通気基部を通って前記トイレタンクの排水路へと排出させる下開口部を有する請求項に記載のフラッシュバルブ。
【請求項10】
)前記収容部の中の前記空気室と外気とを連通する第2の空気通路をさらに備え、
前記第2の空気通路は、前記第1の空気通路が前記空気室に入る位置より下方の位置において前記空気室に入る請求項1に記載のフラッシュバルブ。
【請求項11】
フラッシュバルブであって、
(a)トイレタンクの中の排水路の上方に配置される寸法の収容部と、
(b)前記収容部の中を垂直方向に移動可能な浮き組立体であって、前記浮き組立体が降下位置にあるときに前記排水路を密閉し、前記浮き組立体が上昇位置にあるときに前記排水路を開放するように構成され、内部に空気を閉じ込めるための開放下端を有する浮き部材を備え、前記収容部の内側と前記浮き組立体の外側との間に空気室が形成される浮き組立体と、
(c)前記収容部の中の前記空気室と外気とを連通する第1の空気通路と、
(d)前記第1の空気通路を選択的に開閉するアクチュエータと、
(e)前記浮き部材の内側と外気とを連通する第2の空気通路であって、
(i)前記浮き部材の中に配置された開放上端を有する通気管と、
(ii)前記通気管の下部に接続された通気基部と、
(iii)前記通気基部に接続された前記外気への通気室と
を備える第2の空気通路と、
(f)前記第2の空気通路を選択的に開閉するアクチュエータ
を備え、
前記浮き部材の内側の空気が外気圧において一定に維持されるように、前記通気管、通気基部及び通気室の間を空気が自由に流れ、
前記通気基部は、前記通気管に入る水を、前記通気基部を通って前記トイレタンクの排水路へと排出させる下開口部を有するフラッシュバルブ。
【請求項12】
前記第2の空気通路を選択的に開閉するアクチュエータは、気送管又はケーブルにより作動する制御モジュールを備える請求項11に記載のフラッシュバルブ。
【請求項13】
前記制御モジュールは、充填弁から前記フラッシュバルブへと水が供給されているときに、ユーザが前記第1の空気通路を開放するのを防止するロック機構を有する請求項12に記載のフラッシュバルブ。
【請求項14】
前記制御モジュールは、充填弁から前記フラッシュバルブへと水が供給されているときに、ユーザが前記第2の空気通路を開放するのを防止するロック機構を有する請求項12に記載のフラッシュバルブ。
【請求項15】
前記収容部は、なくとも1つのフロー開口部を備え
前記浮き組立体が前記上昇位置にあるときに、タンクの水が、前記少なくとも1つのフロー開口部を通って前記収容部の下方の排水路へと流れる請求項1に記載のフラッシュバルブ。
【請求項16】
前記少なくとも1つのフロー開口部の周りに配置されたサイフォンスカートをさらに備える請求項15に記載のフラッシュバルブ。
【請求項17】
前記浮き組立体は、前記浮き部材と前記排水路との間に密閉部材を備える請求項1に記載のフラッシュバルブ。
【請求項18】
フラッシュバルブを通る流れを制御する方法であって、
(i)トイレタンクの中の排水路の上に配置される寸法の収容部と、
(ii)前記収容部の中を垂直方向に移動可能な浮き組立体であって、前記浮き組立体が降下位置にあるときに前記排水路を密閉し、前記浮き組立体が上昇位置にあるときに前記排水路を開放するように構成され、内部に空気を閉じ込めるための開放下端を有する浮き部材を備え、前記収容部の内側と前記浮き組立体の外側との間に空気室が形成される浮き組立体と、
(iii)前記収容部の中前記空気室と外気とを連通する第1の空気通路と、
(iv)前記第1の空気通路を選択的に開閉するアクチュエータと、
(v)一端が前記浮き部材の中に配置された通気管であって、洗浄サイクルの間にわたり前記浮き部材の中の空気圧が外気条件に維持されるように、前記浮き部材の内側と外気との間において前記通気管の中を空気が自由に流れる通気管と
を備えるフラッシュバルブ組立体を設けるステップ(a)と
前記第1の空気通路を開放することにより前記収容部から空気を排出させて前記浮き部材を上昇させ、それにより、水前記浮き部材の下を通って前記排水路へと流れ洗浄を引き起こすステップ(b)と
含む方法。
【請求項19】
引き続いて前記第1の空気通路を閉鎖することにより空気が前記収容部に入らないようにて前記浮き部材が降下するのを防止し、それにより、前記洗浄を長くするステップ(c)をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(b)及び(c)間の時間間隔を制御することにより洗浄水量を選択するステップ(d)をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
長い時間間隔がフル洗浄に対応し、短い時間間隔が部分洗浄に対応する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
引き続いて前記第1の空気通路を開放することにより前記収容部に空気が入るようにし前記浮き部材を降下させ、それにより、前記洗浄を終了するステップ(d)をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の空気通路を閉鎖したまま前記収容部に空気が入るようにし前記浮き部材を降下させ、それにより、前記洗浄を終了するステップ(d)をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項24】
記収容部の中の前記空気室と前記外気とを連通する第2の空気通路を設けるステップと
前記第2の空気通路を開放することにより、前記浮き部材を降下させるステップ(c)と
をさらに含み、
前記第2の空気通路は、前記第1の空気通路の下方の位置において前記空気室に入る請求項18に記載の方法。
【請求項25】
フラッシュバルブを通る流れを制御する方法であって、
(i)トイレタンクの中の排水路の上方に配置される寸法の収容部と、
(ii)前記収容部の中を垂直方向に移動可能な浮き組立体であって、前記浮き組立体が降下位置にあるときに前記排水路を密閉し、前記浮き組立体が上昇位置にあるときに前記排水路を開放するように構成され、内部に空気を閉じ込めるための開放下端を有する浮き部材を備え、前記収容部の内側と前記浮き組立体の外側との間に空気室が形成される前記浮き組立体と、
(iii)前記収容部の中の前記空気室と外気とを連通する第1の空気通路と、
(iv)前記第1の空気通路を選択的に開閉するアクチュエータと
を備えるフラッシュバルブ組立体を設けるステップ(a)と、
前記第1の空気通路を開放することにより前記収容部から空気を排出させて前記浮き部材を上昇させ、それにより、水が前記浮き部材の下を通って前記排水路へと流れる洗浄を引き起こすステップ(b)と、
前記収容部の中の前記空気室と前記外気とを連通する第2の空気通路であって、前記第1の空気通路の下方の位置において前記空気室に入る第2の空気通路を設けるステップ(c)と、
前記第2の空気通路を開放することにより、前記浮き部材を降下させるステップ(d)と
を含み、
前記第2の空気通路を開放すること部分洗浄を行うことに対応し、
前記第2の空気通路を閉鎖したままにすることフル洗浄を行うことに対応す方法。
【請求項26】
フラッシュバルブを通る流れを制御する方法であって、
(i)トイレタンクの中の排水路の上方に配置される寸法の収容部と、
(ii)前記収容部の中を垂直方向に移動可能な浮き組立体であって、前記浮き組立体が降下位置にあるときに前記排水路を密閉し、前記浮き組立体が上昇位置にあるときに前記排水路を開放するように構成され、内部に空気を閉じ込めるための開放下端を有する浮き部材を備え、前記収容部の内側と前記浮き組立体の外側との間に空気室が形成される前記浮き組立体と、
(iii)前記収容部の中の前記空気室と外気とを連通する空気通路と、
(iv)前記空気通路を選択的に開閉するアクチュエータと
を備えるフラッシュバルブ組立体を設けるステップ(a)と、
前記空気通路を開放することにより前記収容部から空気を排出させて前記浮き部材を上昇させ、それにより、水が前記浮き部材の下を通って前記排水路へと流れる洗浄を引き起こすステップ(b)と、
引き続いて前記空気通路を閉鎖することにより空気が前記収容部に入らないようにして前記浮き部材が降下するのを防止するステップ(c)と、
前記トイレタンクに水が再充填される時間のわたりユーザが前記空気通路を開放することを防止するステップ(d)と
を含む方法。
【請求項27】
前記収容部の中のクランクが前記収容部の中のカムを回転させることによりピストンが、前記ユーザが前記空気通路を開放することを防止するように動く請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本発明は、2013年3月8日出願の米国特許仮出願番号61/775,398、名称「可動浮き部材内蔵の空気収容部を用いた排水弁(DISCHARGE VALVE USING AIR HOUSING WITH MOVEABLE FLOAT THEREIN)」と、2013年2月5日出願の米国特許仮出願番号61/760,851、名称「流体流動の位置エネルギーおよび運動エネルギーを利用した排水弁(DISCHARGE VALVE UTILIZING POTENTIAL AND KINETIC ENERGY OF FLUID FLOW)」と、2012年7月25日出願の米国特許仮出願番号61/675,642、名称「流体流動の位置エネルギーおよび運動エネルギーを利用した排水弁(DISCHARGE VALVE UTILIZING POTENTIAL AND KINETIC ENERGY OF FLUID FLOW)」に対する優先権を主張する。これらの出願全体を本願で参照することにより援用する。
【0002】
本発明は、部分洗浄とフル洗浄の両方の設計を備えたトイレ排水弁組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、排水(例えば、洗浄)弁システムが多数存在する。これらのシステムはすべて、フラッシュバルブを機械的に開閉させる種々のアクチュエータを使用している。このような設計には、部分洗浄とフル洗浄のいずれかを選択的に可能にするものがある。これらの設計の多くは一般にある程度満足のいくものであるが、アクチュエータの動作に相当なエネルギーを必要とすることが多い。
【0004】
そこで、動作するのに最小限のエネルギーで済む排水フラッシュバルブシステムが望まれている。本発明は、そのようなシステムを提供する。これは、本システムが、トイレタンク内の水自体の浮力を用いて、排水弁洗浄動作を制御することによる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、洗浄のオンオフを行う空気放出機構とともに水自体の浮力を用いた排水弁組立体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、本発明は、(a)トイレタンク内の排水路の上に配置されるような寸法の収容部と、(b)収容部内を垂直に移動可能な浮き組立体であって、降下位置にあるときに排水路を密閉するとともに、上昇位置にあるときに排水路を開放するように構成され、内部に空気を閉じ込めるための開放下端を有する中空の浮き部材を備え、収容部の内側と浮き組立体の外側との間に空気室が形成される浮き組立体と、(c)収容部内の空気室と外気とを連通する空気通路と、(d)空気通路を選択的に開閉するアクチュエータと、を備えるフラッシュバルブを提供する。
【0007】
浮き部材は、カップを逆さまにしたものに類似している。動作の際、洗浄終了時に浮き部材の底部の下から空気が入り、浮き部材の内部に閉じ込められる。これにより、浮き部材が(その後、水に取り囲まれたときに)浮力を持つようになる。なお、浮き部材の上方にある収容部の室内に閉じ込められた空気は、浮き部材を「洗浄前」降下位置に維持することにより、排水路を密閉する。この「洗浄前」の時点では、浮き部材は水に取り囲まれている。収容部内の浮き部材の上方に閉じ込められた空気を放出することにより、浮力のある浮き部材が持ち上がるとともに、タンクの水が浮き部材の下に流れて排水路へと流れ、トイレを洗浄する。収容部からの空気通路は選択的に開閉することができる。空気通路を開放すると、収容部から空気が出て、浮力のある浮き部材を上昇させる。タンクの水が浮き部材の下に流れて排水路に流れる、水位が下がり、浮き部材は浮力が小さくなる。このため、浮き部材は自然に降下して排水路を密閉することになる。なお、他の態様においては、浮き部材が上昇した後、浮き部材の上方にある収容部の空間に空気が再び入るのを防止する。こうすれば、浮き部材が上昇位置に維持され、洗時時間が長くなる。
【0008】
本システムの利点は、非常に少ないエネルギーで動作するということである。適切なタイミングで通気口を開閉するだけで、便器の洗浄を作動させることができ、洗浄時間を容易に制御することができる。また、弁組立体にポンプで空気を送り込む必要がない。むしろ、洗浄の際に水がタンクから出ていくときに、弁組立体に空気がただ入るだけである。したがって、このシステムは洗浄を次々と行うための準備が常にできている。
【0009】
本発明の種々の好ましい実施形態において、室内の浮き部材の浮力(および移動)を制御できるように、空気が2箇所以上の高さから収容部に入るようなシステムが提供される。具体的には、空気が高い位置から収容部に入ることが可能なときは、浮き部材はすぐに降下するので、ハーフ洗浄を行うことになる。この空気の通路を遮断すると、空気はゆっくり収容部に入るので、フル洗浄を行うことになる。
【0010】
また、本発明の種々の好ましい実施形態において、浮き部材の内側と収容部外側の外気との間に通気路が設けられる。この通気路システムは、浮き部材の周りのタンクの水の高さが変わっても、浮き部材の浮力を一定に維持できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】洗浄時の動作がわかるように単純化した本発明の実施形態を示す断面図である。
図2】洗浄時の動作がわかるように単純化した本発明の実施形態を示す断面図である。
図3】洗浄時の動作がわかるように単純化した本発明の実施形態を示す断面図である。
図4】洗浄時の動作がわかるように単純化した本発明の実施形態を示す断面図である。
図5】洗浄時の動作がわかるように単純化した本発明の実施形態を示す断面図である。
図6】浮き部材の内側から外気へと空気を自由に通過させる通気システムを備えた、本発明の他の実施形態を示す断面図である。
図7】浮き部材の内側から外気へと空気を自由に通過させる通気システムを備えた、本発明の他の実施形態を示す断面図である。
図8】浮き部材の内側から外気へと空気を自由に通過させる通気システムを備えた、本発明の他の実施形態を示す断面図である。
図9A】サイフォンスカートを備えた本発明の一実施形態を示す図である。
図9B】サイフォンスカートを備えた本発明の一実施形態を示す図である。
図10A】本発明の斜視図である。
図10B】フルおよびハーフ通気システムの動作を示す、収容部30の内側の断面立面図である。
図11】静止時における本発明の制御システムの上面平面概略図である。
図12】フル洗浄時における本発明の制御システムの上面平面概略図である。
図13】水補充時における本発明の制御システムの上面平面概略図である。
図14A】ハーフ洗浄時における本発明の制御システムの下面平面概略図である。
図14B】フル洗浄時における本発明の制御システムの下面平面概略図である。
図15A】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
図15B】洗浄前における図15Aの洗浄制御モジュールの拡大図である。
図15C】ハーフ洗浄時における図15Aの洗浄制御モジュールの拡大図である。
図15D】フル洗浄時における図15Aの洗浄制御モジュールの拡大図である。
図16A】洗浄前における本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
図16B】洗浄モードにおける本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図5は、以下に説明する本発明の浮力のある浮き部材の利点が明確にわかるように単純化した本発明の実施形態の動作を示す。
【0013】
まず、図1は、トイレタンクT内の排水路Dの上方に配置された浮き組立体10を示す。排水路Dの下方には便器(図示せず)が配置されている。浮き組立体10は、収容部30内で上下に移動可能な浮力のある浮き部材20を備えている。洗浄前は、浮き組立体10は水に取り囲まれている。浮き部材20は、降下位置にあるとき、好ましくは図示のように浮き部材の開放下端の周囲に巻きつけられた密閉部材21により、排水路Dを密閉する(それにより、タンクT内に水を保持する)。
【0014】
浮き部材20は中空であり、その下の空気を閉じ込めるための開放下端を有している。具体的には、浮き部材20の開放下端内に空気が閉じ込められる。また、収容部30内の浮き部材20の上方に空気室25がある。作動スイッチ42を開放したときに、空気室25に閉じ込められた空気を外気側に移動させることができる空気通路40が設けられている。スイッチ42は、トイレ洗浄ハンドルが通常配置される一般的な位置にて、トイレタンク(図示せず)の外壁に取り付けられている。種々の実施形態において、空気通路40は、トイレタンクの外側に延在する管によって構成されてもよく、あるいは、外気がタンク内の空気と同じになるように、収容部30の外側で開放する空気通路によって構成されてもよい。
【0015】
図2は、洗浄の開始を示す。このとき、スイッチ42は開放されており、空気Aは空気室25から出ていくことができる(すなわち、スイッチ42の部分に、あるいは、その付近にある通路40を通って出ていく)。浮き部材20は浮力があるので、この場合、空気が空気室25から出ていくときに、浮き部材20は周囲の水の中で上方に移動する。その結果、タンクT内の水Wは、浮き部材20の下に流れ、排水路Dに流れ込み、その後、その下の便器に流れ込む。その結果、洗浄が始まる。この断面図からわかるように、収容部30の底部には、浮き組立体が上昇位置にあるときにタンクの水を通過させて収容部の下の排水路に流すためのフロー開口部32が設けられている。
【0016】
種々の好ましい実施形態において、空気通路42を選択的に開閉するスイッチ42は、トイレタンクの外側に配置された洗浄ボタン43またはレバーにより構成されてもよい。また、スイッチ42は、トイレタンクの外側に配置された近接センサ44を任意に備えてもよい。このような近接センサを使用することの利点は、ユーザがトイレタンクのスイッチ43付近に手を近づけるだけで、トイレの洗浄を行うことができる点である。
【0017】
種々の任意の実施形態において、空気通路40は、図示のように、収容部からトイレタンクの外部排出口まで延在する管を介して、収容部30内の空気室25を外気と連通してもよい。また、空気通路を単に収容部30の外表面への通路として、トイレタンク自体の中で外気にアクセスするようにしてもよい。この第2の実施形態においても、洗浄作動制御スイッチまたはレバー42は、ユーザがトイレを洗浄できるようにタンクTの外側に配置されることになる。
【0018】
洗浄開始後、空気通路40が単に開放されたままだと、浮き部材20は、タンクT内の水が空になったときに元の位置に降下して排水路Dを閉鎖するだけである。これは、通常想定される動作の一つの方法である。この方法では、トイレ洗浄を行うためにシステムに必要なことは、スイッチ42が空気通路40を開放して、開放状態を維持することだけである。タンクから水が完全に排出された後、浮き部材20は、この水位低下に従って降下し、排水路への開口部を再び密閉することになる。このとき、空気通路40は再び閉鎖され、空気室25内に空気を密閉し、その結果、図1に示す洗浄前の位置に戻る。
【0019】
なお、図3および図4は、通常想定される他の動作方法を示す。具体的には、空気室25から空気が出た後、スイッチ42を閉鎖することにより、空気が外気環境から空気室25へと自由に戻るのを防止する。その結果、空気室25内に不完全真空が形成され、収容部30の周囲の水位が低下しても浮き部材20が上昇(または部分上昇)位置に保持される。浮き部材の周囲の水位が低下しても浮き部材20を上方に維持することにより、洗浄時間を長くすることができる。そして、図5に示すように、空気Aが空気室25の下端から入ることにより、空気室25内の(不完全)真空を解除する水位までタンク内の水位が低下する。このとき、浮き部材20は急激に降下し、洗浄を停止させる。
【0020】
言い換えれば、スイッチ42を再び開放して、空気を空気室に入れ、真空を解除することによっても、長時間の洗浄を行うことができ、その後、浮き部材20は降下して、洗浄を停止させる。スイッチ42の第1の開放動作とスイッチ42の第2の開放動作との間で継続時間を変えることにより、洗浄水量を調整することができる。時間間隔が長いほど、多くの水量が排出される。時間間隔が短いほど、水量は少なくなる。この方法は、フル洗浄と部分洗浄を制御するのに用いることができる。
【0021】
説明からわかるように、空気通路40が開放される時間を制御することにより、洗浄時間自体を制御することができる。その結果、空気通路40を最初に開放した後(図2に示すように)、所望時間、空気通路40を閉鎖状態に維持すること(図3および図4に示すように)により、洗浄水量を制御することができる。例えば、図5に示すように空気室25の底から空気が入るまで浮き部材20を上昇位置に保持することにより、フル洗浄を行うことができる。なお、部分洗浄は、この時点より前に空気室25に空気を入れるだけで、(あるいは、図3に示すように、空気を収容部に連続的に入れることによっても、)行うことができる。したがって、スイッチ42の2種類の開放動作の間で時間間隔を制御することにより、空気が空気通路40を自由に流れることができない時間の長さを制御する。こうして洗浄時間を制御し、それにより洗浄水量を制御する。時間間隔が長いとフル洗浄に対応し、時間間隔が短いと部分洗浄に対応する。
【0022】
図6は、やはり収容部30内の空気室25と外気とを連通する第2の空気通路41を備えた本発明の他の実施形態を示す。図からわかるように、第2の空気通路41は、第1の空気通路40が空気室25に入る位置より下方の管の端部位置47で空気室25に入る。本発明のいくつかの実施形態で示すように、スイッチまたは他のアクチュエータを用いて、第2の空気通路41の開閉を選択的に制御することができる。また、図示のように、空気室25に入る(異なる高さの)複数の空気路を用いて、浮き部材の動きを制御することもできる。
【0023】
動作の際、本実施形態は、図5に示したような空気室25への入り方とほぼ同様である。しかし、図6においては、図5に示したよりも水位が高いときに空気が空気室25に入る。具体的には、周囲の水位が位置47より低くなると、空気は第2の空気通路41を介して空気室25に入る。これにより、空気室25内の真空が解除され、浮き部材20は直ちに降下する。その結果、浮き部材20は図5よりも図6の方が早く降下する(いずれの場合も空気通路40が閉鎖されたままであると仮定する)。説明からわかるように、空気Aは、図5に示す低水位線(すなわち、低いフロー開口部32)よりも高い水位線(すなわち、47の位置)にて空気室25に入る。その結果、空気通路41が選択的に開放されると短い洗浄(すなわち、「部分」洗浄)が行われ、一方、閉鎖されたままだと長い洗浄(すなわち、「フル」洗浄)が行われる。なお、本発明によれば、さらに空気開口部を追加して空気室25と外気とを連通してもよい。これらの開口部/空気通路は、それぞれ異なる高さにしてもよく、異なるタイミングで選択的に開閉してもよい。上記の構成により、浮き部材の浮力と洗浄時間を制御するための、さらなるシステムおよび手法が得られる。
【0024】
図7および図8は、以下のように、浮き部材の内側から外気へと空気を自由に流れさせる通気システムを備えた本発明の他の実施形態を示す。種々の実施形態において、浮き部材20の内側と外気との間の空気通路50が設けられる。この空気通路50により、タンクT内の水位に関わらず、浮き部材20内の気圧が確実に外気条件に維持される。これにより、以下に説明するように、一連の洗浄動作を較正することが容易になる。
【0025】
一実施形態において、空気通路50は、中空の浮き部材20の内部に配置された開放上端を有する通気管52と、通気管52の下部に接続された通気基部54と、外気につながる通気室56とにより構成されている。通気室56は、通気基部54に接続されている。洗浄中に中空の浮き部材20の内側の空気が外気圧を維持するように、通気管52と基部54と通気室56との間を空気が自由に流れる。なお、構造体52、54、56は、それぞれ別々の構造体であってもよく、また、1本の長い管状流路構造体の各部分であってもよい。例えば、空気通路50は、単一のJ字形構造体(J字の下端が浮き部材内部に配置され、J字の上端が収容部30の外側または上部に配置されたもの)としてもよい。また、通気管52は、上述の第2の空気通路41とは異なる(すなわち、図6図7とは、本発明の異なる例示的実施形態を示すように、互いに対して若干回転した状態である)。
【0026】
任意の好ましい実施形態において、通気管52は開放上端部53を有し、この開放上端部は図示のように外側に縦溝付きであってもよい。通気基部54は、好ましくは、下開口部55を有している。このため、浮き部材20内の水が開放上端部53に入ったとしても、開口部55を介して、その下の排水路に排出されるだけである。同様に、通気室56の上部に(誤って)タンクの水が入っても、下開口部55を介して排出される。その結果、空気通路50には水が入らず、空気の自由な流れが可能となる。任意の一実施形態において、通気室56は、収容部30を通る標準的なオーバーフロー管31の中を通っている(図10参照)。
【0027】
図8は、洗浄開始時の水位を示す。具体的には、空気通路40が開放されると、空気が空気室25から出て、浮き部材20が上昇する。このとき、水は浮き部材20の開放下端の下に流れ、排水路へと流れていく。空気通路50を介して浮き部材20の内部から外気へと空気が自由に流れることができるので、図示のように、浮き部材の下部に水が入り、部分的に浮き部材内部に上昇してくる。なお、浮き部材20内で水位が上がりすぎることがあっても、開放上端部53に水が流れて、その後、下開口部55を介して排水路に流れるだけである。
【0028】
図9Aは、洗浄前の、サイフォンスカート34を備えた本発明の一実施形態の断面図を示す。サイフォンスカート34は、少なくとも1つのフロー開口部32の周りに配置されている。図9Bは、洗浄中のサイフォンスカート34の動作を示す。サイフォンスカート34は、洗浄中、タンクの水を排水路に引き込むように動作することで、タンクTの水をほとんどすべて排出する。具体的には、タンク内の水位がサイフォンスカートの下縁の位置になるまで排水されることになる。
【0029】
図10Aは、充填弁100に隣接して配置された浮き組立体10の斜視図を示す。浮き組立体10の動作は、制御モジュール60によって制御される。制御モジュール60は、トイレタンク(図示せず)の外側に取り付けられた作動ボタンパネル62を備えている。作動ボタンパネル62は、フル洗浄ボタン63とハーフ洗浄ボタン65とを備えている。ボタン63、65は、ライン64、66を介して(気送管またはケーブルにより)接続され、モジュール60を制御する。充填弁100は、浮き部材102と水補充ライン104とを備えている。タンク内の水位が低下すると、以下に説明するように、浮き部材102が降下することにより、充填弁100をオンにし、建物の本管からライン104を介してタンクT内に水を供給して(タンクに補充し)、さらに、(ライン104を介して)収容部30に水を供給する(制御モジュール60内の油圧式シリンダー106を作動させる)。
【0030】
制御モジュール60は、第2の空気通路41の上開口部を開放または閉鎖するように通気カバー61を回転させるように動作する。図6を参照して説明したように、第2の空気通路41が閉鎖されると、フル洗浄が行われる。しかし、第2の空気通路41が開放されると、空気が管端位置47にて空気室25に入ることができ、ハーフ洗浄が行われる。孔部48はフル洗浄通気孔であり、以下のように図10Bを参照すると最もよく理解できる。
【0031】
図6を参照して既に説明したように、第2の空気通路41は、(水が管の端部位置47まで低下すると)ハーフ洗浄を可能にする。このとき、水位が管の端部位置47まで低下すると、空気が空気室25に急激に流れ込み、真空を解除して、浮き部材20を降下させ、洗浄を停止する。図10Bに示すように、孔部48により、もうひとつの空気通路が設けられ、この空気通路は開放下端49を有する管へと下方に延在している。第2の空気通路41が閉鎖されると、空気室25への空気の急激な流入、真空解除、浮き部材20の降下、洗浄停止が行われる前に、水位が管の端部位置49まで低下することになる。管の端部位置49は管の端部位置47より低い位置であることから、空気が管の端部位置49を通る前に大量の水がタンクから排出されることになる。この大量の水が「フル洗浄」となる。
【0032】
制御機構60の動作について、以下に図11図14Bにさらに詳細に示す。図11は、静止時における本発明の制御システムの上面平面概略図である。収容部30の上部に空気弁70が配置されている。空気弁70は、空気室25に接続され、開放されたときに収容部30の上部から(タンク内の外気に)直接通気を行うように作用する。したがって、空気弁70は、図1図9Bの本発明の実施形態におけるスイッチ42と同じように動作する。簡単に言えば、空気弁70を開放することで、空気室25から空気が出る。以下に説明するように、制御機構60は、作動スイッチ42が空気通路40の開閉を制御したのと同じように、空気弁70の開閉を制御する(すなわち、空気弁70とスイッチ42はいずれも、開放時に空気室25から空気を排出させる)。ボタン63を押すと、気送管65によってピストン90が移動する。同様に、ボタン65を押すと、送気管66によってピストン92が移動する。ピストン90、92の移動によって、空気弁70が開く。
【0033】
図12は、フル洗浄時における本発明の制御システムの上面平面概略図である(空気送りボタン63を押したとき)。ボタン63を押すと、空気が管65内を移動し、ピストン92を移動させ、これにより弁70を開放する。このとき、空気が内部の空気室25から(収容部30上部の開放弁70を介して)出てくる。図示のように、制御機構60は、カム109を回転させるクランク108を回転させる(図14Aおよび図14B)。カム109の回転によって、通気カバー61が第2の空気通路41を閉鎖する位置に移動する。これにより、フル洗浄が行われる。同時に、補充ライン104を介して水が供給され、収容部30につながる孔部105を通って収容部30に流れ込み、タンクに補充される。
【0034】
図13は、充填弁の一方の出口から油圧式ピストンへと水が送られてピストンに動力を与えるときの、本発明の制御システムの上面平面概略図である。このとき、カム109の突起110がピストン90または92の移動を防止する位置までカム109が回転した状態を維持するように、補充水の力によってピストン107が押し戻される。その結果、操作者は、タンクへの補充中はピストン90または92を押すことができないため、空気放出弁70を開くことができない。
【0035】
ハーフ洗浄の場合、空気が(収容部30の上部の開放弁70を介して)内部の空気室25から出るように、ボタン65を押す。なお、ハーフ洗浄の場合、制御機構60は第2の空気通路41の上の通気カバー61を移動させない。その結果、水位が図6の管の端部位置47まで低下すると、空気が第2の空気通路41を介して空気室25に入ることができるので、ハーフ洗浄が行われる。
【0036】
図14Aは、ハーフ洗浄時の制御システム60の下面平面図であり、図14Bは、フル洗浄時の制御システム60の下面平面図であり、以下のように構造をさらに詳細に示している。図示のように、補充ライン104を通る補充水の力によって、ピストン107が後退位置まで移動する(図14A)。これにより、クランク108およびカム109が回転し、ピストン90、92をロックして、充填弁100からフラッシュバルブ10に水が供給されているときに空気弁70の開放を防止する(すなわち、ボタン63または65を押すことによる)。これは、浮き部材20が降下する(そして洗浄を停止する)所望のタイミングの前に、空気室25内の不完全真空を維持するために必要である。ピストン107にかかる油圧力が停止すると、カム109はロック解除位置に回転して戻るので、ユーザはボタン63または65のいずれかを自由に押すことができるようになる。
【0037】
図15Aは、本発明の他の実施形態の斜視図である。本実施形態は、図10Aの実施形態と同様の動作であるが、スイッチ42により空気が通路40および41を戻り出る。スイッチ42は、フル洗浄ボタン63とハーフ洗浄ボタン65とを備えている。ボタン63、65のいずれかを押すと、空気室25から通路40を介して空気が出る(図1図5で説明したとおり)。ボタン63を押すと、フル洗浄が選択され、第2の空気通路41を通る空気の移動が遮断される。一方、ボタン65を押すと、ハーフ洗浄が選択され、空気が第2の空気通路41を流れる(図10Aで説明したとおり)。
【0038】
図15Bは、洗浄前における、図15Aの洗浄制御モジュール42の三方向の拡大図である。このとき、通路41は空気が流れるように開放されている。洗浄制御モジュール42は、バルブピン70と、閉じた状態の逆止弁72とを備えている。
【0039】
図15Cは、ボタン65を押したときのハーフ洗浄時における、図15Aの洗浄制御モジュール42の拡大図である。このとき、バネ73が屈曲して、ピン70を押し下げ、逆止弁72を開放する(通路40から空気を流れ出させ、空気室25から空気を排出する)。同時に、部分洗浄ボタン65を押すと、シャトル弁74が開き、空気が通路41を通ることができる(図10Aで説明したとおり)。
【0040】
図15Dは、ボタン63を押したときのフル洗浄時の間の、図15Aの洗浄制御モジュール42の拡大図である。このとき、バネ73が屈曲して、ピン70を押し下げ、逆止弁72を開放する(通路40から空気を流れ出させ、空気室25から空気を排出する)。同時に、ボタン63を押すと、シャトル弁74が閉じ、第2の空気通路41内の空気の移動を遮断する。
【0041】
図16Aは、ハーフ洗浄モードにおける本発明の他の実施形態の斜視図であり、図16Bは、フル洗浄モードにおける本発明の当該他の実施形態の斜視図である。本実施形態も、図10Aで説明した実施形態と同様の動作である。なお、主な違いは、油圧ピンチ弁100が設けられている点である。油圧ピンチ弁100の動作は、図14Aおよび図14Bで説明したロックカム機構の動作と同様である。具体的には、補充水が補充管104を介して収容部30に入るとき、水の力が油圧ピンチ弁130のプンランジャーを押し下げて(図16B参照)、空気通路管132を通る空気流をせきとめる。その結果、タンクへの補充中はボタン63および65が使用不可能となる。これにより、操作者は、タンクへの補充時は空気室25から空気を排出できない(図14Aおよび図14Bの突起110の機能と同様)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B