特許第6031608号(P6031608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6031608ガイドエクステンションカテーテルおよびガイドエクステンションカテーテルシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031608
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】ガイドエクステンションカテーテルおよびガイドエクステンションカテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/088 20060101AFI20161114BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   A61M25/088
   A61M25/01 500
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-527675(P2015-527675)
(86)(22)【出願日】2013年8月16日
(65)【公表番号】特表2015-524737(P2015-524737A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】US2013055457
(87)【国際公開番号】WO2014028898
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2015年2月27日
(31)【優先権主張番号】61/684,591
(32)【優先日】2012年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン、エリック エム.
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン、スティーブン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ファルク、ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】ワスダイク、ジョエル エム.
(72)【発明者】
【氏名】ワン、フイスン
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−506170(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0301502(US,A1)
【文献】 特表2005−515797(JP,A)
【文献】 特表2005−535380(JP,A)
【文献】 特開2008−142351(JP,A)
【文献】 特表2008−536640(JP,A)
【文献】 特開2011−135989(JP,A)
【文献】 特許第3469236(JP,B2)
【文献】 特表平7−509379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/088
A61M 25/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドエクステンションカテーテルであって、
基端領域と、先端領域と、前記基端領域と前記先端領域との間に形成されたスロットと、を有している長尺状の管型部材と、
前記管型部材の基端領域が、第一の状態と潰れた状態との間で推移するように構成されており、
前記基端領域を第一の状態と潰れた状態との間で推移させる長尺状のシャフトと、
前記基端領域の外部に沿って、前記スロットを通り、さらに前記管型部材の先端領域内に延びているガイドワイヤと、
を含んでおり、
前記シャフトを前記ガイドワイヤの周囲で前進させることによって、前記基端領域が前記第一の状態から潰れた状態に推移する、
ガイドエクステンションカテーテル。
【請求項2】
前記基端領域が、前記潰れた状態にあるときにU字形を有している、請求項1に記載のガイドエクステンションカテーテル。
【請求項3】
前記シャフトが前記基端領域を前記潰れた状態のままとなるように塑性変形させる、請求項1または2に記載のガイドエクステンションカテーテル。
【請求項4】
前記基端領域が前記潰れた状態になるように付勢される、請求項1〜の何れか1項に記載のガイドエクステンションカテーテル。
【請求項5】
前記シャフトが前記基端領域内に配置され、前記シャフトを前記基端領域から基端側に引き戻すことによって、前記基端領域が前記第一の状態に推移する、請求項に記載のガイドエクステンションカテーテル。
【請求項6】
ガイドエクステンションカテーテルシステムであって、
ガイドカテーテルと、
前記ガイドカテーテルを通って延びるように構成されたガイドエクステンションカテーテルであって、
基端領域と、先端領域と、前記基端領域と前記先端領域との間に形成されたスロットと、を有している長尺状の管型部材であって、前記基端領域が、第一の状態と潰れた状態との間で推移するように構成されている管型部材と、
前記基端領域を第一の状態と潰れた状態との間で推移させる長尺状のシャフトと、を含んでいるガイドエクステンションカテーテルと、
前記ガイドカテーテルを通って、および前記長尺状の管型部材の先端領域を通って延びるように構成されている治療用カテーテルと、
前記基端領域の外部に沿って、前記スロットを通り、さらに前記管型部材の先端領域内に延びているガイドワイヤと、
を含んでおり、
前記シャフトを前記ガイドワイヤの周囲で前進させることによって、前記基端領域が前記第一の状態から潰れた状態に推移する、
イドエクステンションカテーテルシステム。
【請求項7】
前記シャフトが前記基端領域を、前記基端領域が前記潰れた状態のままとなるように塑性変形させる、請求項に記載のガイドエクステンションカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医療機器、および医療機器の製造方法に関する。より詳しくは、本開示は、ガイドエクステンションカテーテルを含む長尺状の体内医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
多様な体内医療機器が医療用、例えば血管内用に開発されている。このような機器のいくつかは、ガイドワイヤ、カテーテル、およびそれと類似のものを含んでいる。これらの機器は何種類もの製造方法の何れかによって製造され、また何種類もの方法の何れかによって使用することができる。既知の医療機器と方法は、それぞれに特定の長所と短所がある。代替的な医療機器のほか、医療機器の代替的な製造方法および使用方法が常に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、医療機器のための設計、材料、製造方法および用途の代替案を提供する。1つの例示的な医療機器は、ガイドエクステンションカテーテルを含んでいる。このガイドエクステンションカテーテルは、長尺状の管型部材を含み、これは基端領域と、先端領域と、これら基端領域と先端領域との間に形成されたスロットと、を有する。管型部材の基端領域は、第一の状態と潰れた状態との間で推移するように構成されている。このガイドエクステンションカテーテルはまた、基端領域を第一の状態と潰れた状態との間で推移させる長尺状のシャフトを含む。
【0005】
ガイドエクステンションカテーテルの使用方法も開示される。この方法は、ガイドカテーテルを提供するステップと、ガイドカテーテルを体腔内で関心対象領域の付近の位置まで前進させるステップと、ガイドエクステンションカテーテルをガイドカテーテルの中で前進させるステップと、を含む。ガイドエクステンションカテーテルは長尺状の管型部材を含み、これは基端領域と、先端領域と、基端領域と先端領域との間に形成されたスロットと、を有する。管型部材の基端領域は、第一の状態と潰れた状態との間で推移するように構成されている。ガイドエクステンションカテーテルはまた、基端領域を第一の状態と潰れた状態との間で推移させるための長尺状のシャフトを含む。この方法は、基端領域を第一の状態から潰れた状態へと推移させるステップと、管型部材の先端領域を通じて関心対象領域の付近の位置まで治療機器を前進させるステップと、を含んでいてもよい。
【0006】
ガイドエクステンションカテーテルシステムもまた開示される。このシステムは、ガイドカテーテルと、ガイドカテーテルを通って延びるように構成されたガイドエクステンションカテーテルと、を含む。ガイドエクステンションカテーテルは長尺状の管型部材を含み、これは基端領域と、先端領域と、基端領域と先端領域との間に形成されたスロットと、を有する。管型部材の基端領域は、第一の状態と潰れた状態との間で推移するように構成されている。ガイドエクステンションカテーテルはまた、基端領域を第一の状態と潰れた状態との間で推移させるための長尺状のシャフトを含む。このシステムはまた、ガイドカテーテルを通って、および管型部材の先端領域を通って延びるように構成された治療用カテーテルを含む。
【0007】
他の例示的なガイドエクステンションカテーテルは管型部材を含み、これは基端部分と先端部分を有する。先端部分は円周の一部にわたる弧状壁を含む。先端部分は円周の全部にわたる弧状壁を含む。
【0008】
他の例示的なガイドエクステンションカテーテルは基端シャフトを含み、これは基端外径を有する。先端シースが基端シャフトに取り付けられる。先端シースは、基端外径より大きい先端外径を有している。カラーが基端シャフトと先端シースに取り付けられる。カラーは、そこに形成された複数のスロットを有している。
【0009】
いくつかの実施形態の上記の概要は、本発明の開示された実施形態の各々または個々の実装形態を説明しようとするものではない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【0010】
本発明は、本発明の各種の実施形態に関する次の詳細な説明を以下の添付の図面と併せて考えることにより、より完全に理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】大動脈を通って冠動脈口へと進められた、ある例示的なガイドカテーテルを示す平面図である。
図2】ガイドカテーテルと共に使用される、ある例示的なガイドエクステンションカテーテルを示す平面図である。
図3】ある例示的なガイドエクステンションカテーテルの一部の側方断面図である。
図4図3に示される例示的なガイドエクステンションカテーテルの一部およびガイドカテーテルの側方断面図である。
図5】ある例示的なカラーの斜視図である。
図6】他の例示的なカラーの斜視図である。
図7】リボン部分が連結された、ある例示的なカラーの斜視図である。
図8】リボン部分が連結され、先端シースが連結された、ある例示的なカラーの斜視図である。
図9】ある例示的なカラーを通って流れる流体の略図である。
図10】他の例示的なガイドエクステンションカテーテルの一部の側面図である。
図11図10に示される例示的なガイドエクステンションカテーテルおよびガイドワイヤの一部の側面図である。
図12図10〜11に示される例示的なガイドエクステンションカテーテルと第一の状態と潰れた状態との間でガイドエクステンションカテーテルを推移させるためのシャフトの一部の側面図である。
図13】ガイドエクステンションカテーテルが潰れた状態に推移した状態の、図10〜12に示される例示的なガイドエクステンションカテーテルの一部の側面図である。
図14図13の線14−14における断面図である。
図15図13の線15−15における断面図である。
図16図10〜15に示される例示的なガイドエクステンションカテーテルの、潰れた状態の側面図である。
図17図10〜16に示される例示的なガイドエクステンションカテーテルとある例示的な治療機器の側面図である。
図18】他の例示的なガイドエクステンションカテーテルの側面図である。
図19】他の例示的なガイドエクステンションカテーテルの側面図である。
図20】他の例示的なガイドエクステンションカテーテルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は様々な改良形態や代替形態をとることができるが、その詳細を例として図面に示し、以下に詳しく説明する。しかしながら、理解すべき点として、本発明が説明されている具体的な実施形態に限定されることは意図されない。反対に、本発明の主旨と範囲に含まれるすべての改良形態、均等物、代替形態を網羅することが意図される。
【0013】
以下に定義する用語については、特許請求の範囲または本明細書の他の箇所において別の定義がなされないかぎり、これらの定義を適用するものとする。
数値はすべて、本明細書においては、その旨の明記の有無を問わず、「約」という用語に修飾されていると仮定される。「約」という用語は一般に、当業者がそこに明記されている数値と同等である(すなわち同じ機能または結果を有する)とみなすような数値の範囲を指す。多くの例において、「約」という用語は最も近い有効数字に四捨五入された数値を含んでいてもよい。
【0014】
端点による数値範囲の引用は、その範囲内のすべての数値を含む(例えば、1〜5は1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
本明細書と付属の特許請求の範囲で使用されるかぎり、単数形の不定冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」および定冠詞「その(the)」は、文脈上、明らかに他の解釈が必要な場合を除き、複数形も含む。本明細書と付属の特許請求の範囲で使用されるかぎり、「または(or)」という用語は一般に、文脈上、明らかに他の解釈が必要な場合を除き、「および/または(and/or)」を含む意味で用いられている。
【0015】
以下の詳細な説明は図面を参照しながら読むべきであり、図中、異なる図面の中の同様の要素には同じ番号が付されている。図面は必ずしも正確な縮尺で描かれているとはかぎらず、例示的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0016】
経皮的冠動脈形成術等の低侵襲性冠動脈治療介入は世界中で広く利用されている。このような処置ではガイドカテーテルを使用することができる。例えば、図1に示されるように、ガイドカテーテル10は、大動脈A等の血管を通じて(例えば左および/または右)冠動脈CAの口Oに隣接する位置まで前進させられる。そのように位置付けられると、治療用カテーテル(例えば、バルーンカテーテル、ステントデリバリシステム等)をガイドカテーテル10に通して冠動脈CAの中の標的位置へと前進させることができ、そこで治療用カテーテルを使って適切な冠動脈治療介入を施行することができる。
【0017】
治療用カテーテルを所期の標的位置に効率的に到達させるためには、冠動脈CAの口Oにおけるガイドカテーテル10の位置を維持することが望ましい。例えば、心臓が治療介入中に拍動すること(および/またはその他の要素)を考慮すると、ガイドカテーテル10はその位置決め状態を失うか、またはそれ以外に位置ずれして、治療用カテーテルを冠動脈に効率的に案内できる位置ではなくなってしまうことがある。これは、ガイドカテーテル10の先端部12が冠動脈CAの口Oからずれることが考えられる。口Oからずれたことによって、冠動脈CAへのアクセスには、ガイドカテーテル10を再び位置決めして、先端部12を冠動脈CAの口Oと係合した状態に戻す必要がある。
【0018】
本明細書においては、冠動脈CAへのアクセスを向上することができる医療機器および医療機器の製造方法および使用方法が開示される。例えば、図2はガイドカテーテル10を通り、ガイドカテーテル10の先端部12を越えて冠動脈CAの中へと延びるガイドエクステンションカテーテル14を示している。例えば、ガイドエクステンションカテーテル14がガイドカテーテル10の先端部12を越えて延びるため、ガイドエクステンションカテーテル14は冠動脈CAの口Oを越えて冠動脈CAの一部の中へと延びることができる。口Oを越えて延びることにより、エクステンションカテーテル14はガイドカテーテル10の位置決めを安定させ、多数の心臓治療介入のための冠動脈CAへのアクセスを向上させることができる。
【0019】
図3は、ガイドエクステンションカテーテル14の側方断面図である。ここで、ガイドエクステンションカテーテル14が基端シャフトまたは部材16を含むことがわかる。基端部材16は、基端部分18と先端またはリボン部分20を含む。基端部分18はその中に画定されたルーメン22を有していてもよい。いくつかの実施形態において、ルーメン22は基端部分18の全長に沿って延びる。他の実施形態において、ルーメン22は基端部分18の長さの一部のみに沿って延びる。また別の実施形態において、リボン部分20は中実の部材、すなわちルーメンを持たないリボンであってもよい。これに加えて、基端部分18は、基端側および先端側両方に開口部(例えば、基端部分18の基端部と先端部に位置付けられる)を含んでいてもよく、それによってルーメン22は両端で「開く」。あるいは、基端部分18の端の一方または両方を閉じるか、またはそうでなければ密閉してもよい。例えば、基端部分18の先端部を閉じてもよい。これらのいくつかおよびその他の実施形態において、基端部分18は開口部またはポート(図示せず)を有しており、これは基端部分18の壁に形成され、基端部分18の基端部および/または先端部から離間される。ポートはルーメン22と流体連通していても、していなくてもよい。ハブ24が基端部分18に取り付けられてもよい。
【0020】
先端シース26が基端部材16に取り付けられている。シース26は、その中に形成されたルーメン28を有する。全体として、ルーメン28(および/または先端シース26の内径)はルーメン22(および/または基端部分18の内径)より大きく、基端部材16の外径より大きい。したがって、ルーメン28は、治療用カテーテル(例えば、バルーンカテーテル、ステントデリバリシステム等)をその中に通せるようにするのに十分な大きさである。例えば、ガイドエクステンションカテーテル14をガイドカテーテル10の中に位置付けると、治療用カテーテルをガイドカテーテル10の中で、基端部材16に沿って、および先端シース26のルーメン28を通って延ばすことができる。
【0021】
先端シース26は本体部分30を含む。少なくともいくつかの実施形態において、本体部分30は、本明細書で開示した何れかを含む1つまたは複数のポリマーを含む。これは、本体部分30の長さに沿って異なる硬度を有するポリマーの使用を含む。例えば、本体部分30のより基端側の区間はより高い硬度のポリマーを含み、本体部分30のより先端側の区間はより低い硬度のポリマーを含む。本体部分の長さの全体または一部には、X線不透過材料が添加されても、または他の方法でこれを含んでいてもよい。本体部分30はまた、補強部材32を含んでいてもよい。補強部材32の形態は様々であってよい。例えば、補強部材32は編組、コイル、メッシュ、または類似のものを含んでいてもよい。
【0022】
内側ライナまたは層34が本体部分30の内面に沿って配置される。ライナ34の形態は様々であってよい。例えば、ライナ34は潤滑性ライナであっても、またはそうでなければポリテトラフルオロエチレン等の潤滑性材料を含んでいてもよい。チップ部材36が本体部分30、例えば本体部分30の先端部に取り付けられる。いくつかの実施形態において、チップ部材36は単層材料である。あるいは、チップ部材36は外側層38と内側層40を含む。少なくともいくつかの実施形態において、チップ部材36は全体として、組織を傷つけないように構成されて、比較的柔らかく、柔軟性の高い材料または構造を含み、これはポリマーまたは複合材料を含む。外側層38と内側層40は同じ材料で形成されてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、外側層38と内側層40は同じポリマー材料を含んでいてもよく、各々に同じまたは異なるX線不透過材料が添加されてもよい。例えば、内側層40は、ポリエーテルブロックアミドに約75〜95重量%(例えば、約90重量%)のタングステンを添加したものを含んでいてもよく、外側層38はポリエーテルブロックアミドに約30〜50重量%(例えば、40重量%)の次炭酸ビスマスを添加したものを含んでいてもよい。これらは例にすぎない。他の実施形態において、外側層38と内側層40は異なる材料で作製してもよい。
【0023】
先端シース26は基端部材16のリボン部分20に取り付けられる。リボン部分20と先端シース26との間の取付部分の配置および/または構成は様々であってよい。例えば、先端シース26は、その管壁に形成された開口部またはルーメンを有し、リボン部分20がその開口部の中に配置される。これは、リボン部分20をネッキング、スカイビング、またはピンチング加工することと、狭小部分を開口部に挿入することを含む。いくつかの実施形態において、リボン部分20を開口部に挿入することによって、基端部材16を先端シース26に機械的結合を介して固定することができる。これらの実施形態のいくつかおよびその他の実施形態において、追加の、および/または代替的な結合を利用してもよく、これには医療機器用に一般的に使用される結合機構(例えば、接着剤結合、溶接、熱接着、ろう付け等)が含まれる。基端部材16を先端シース26に取り付けるには、その他の取付機構もまた想定され、これには直接結合(例えば、接着剤結合、熱接着、溶接、ろう付け等)、リボン部分20と先端シース26との間に結合可能な金属またはポリマーカラー42等の第三の構成要素を援用した結合が含まれる。例えば、カラー42は溶接、熱接着、接着剤結合、または類似のものを介してリボン部分20に結合される。カラー42は、これらと同じ方法を使って先端シース26に結合されてもよい。例えば、カラー42は、カラー42をライナ34と本体部分30との間に配置することにより、先端シース26に熱接着されてもよい。
【0024】
ガイドエクステンションカテーテル14はまた、例えば摩擦を低減できる多数のコーティングを含んでいてもよい。例えば、基端部材16および/または先端シース26は、内側および/または外側コーティングを有していてもよく、これはトラッキング中の摩擦を低減することのできる親水性ポリマーを含む。ある例示的なコーティングは、バイエル(BAYER)CL−100、ビオスライド(BIOSLIDE)(商標)、NG−HPC、スリップコート(SLIP COAT)(登録商標)、MDX、パラリエン(paralyene)または類似のものを含んでいてもよい。これらは例にすぎない。本明細書において開示されているものを含めた他の材料も想定される。
【0025】
図4は、ガイドカテーテル10の中に配置された(例えば、ガイドカテーテル10の中に画定されるルーメン44の中に配置された)ガイドエクステンションカテーテル14を示す。図のように、先端シース26はガイドカテーテル10の先端部12から先端側の外へと延びるように配置される。そのように配置されると、先端シース26は口Oと係合し、および/または、冠動脈CAの一部の内部へと延びて、ガイドカテーテル10の位置を保持し、冠動脈CAへのアクセスを向上させるのに役立つ。基端部材16は、ガイドカテーテル10の内部またはルーメン44の中で比較的小さい空間しか占めないように、十分に小さく(その一方で、押し込みやすさのために十分な大きさと構成を有するように)設計されてもよい。したがって、ガイドエクステンションカテーテル14の使用により、治療用カテーテルまたは医療機器をガイドカテーテル10の中で前進させて、治療介入のための所望の標的位置に到達させることができる。いくつかの実施形態において、基端部材16はガイドカテーテル10の内壁面と接触してもよく、これによってさらにより大きな空間が提供される。
【0026】
カラー42等の構造を使って基端部材16を先端シース26に取り付けてもよいが、その他の構造も想定される。例えば、図5は他の例示的なカラー142を示しており、これは形態と機能の点において本明細書で開示される他のカラーと同様であってもよい。カラー142は、基端部材16と先端シース26との間の比較的容易な接続点を提供するように設計される。これに加えて、カラー142は構造的支持機能を持ち(例えば、潰れおよび/またはよじれ防止)、その一方で所望のレベルの柔軟性を有するように設計されるため、カラー142によって、補強編組、補強コイルまたはその両方等の補強部材(例えば、補強部材32)を含まないガイドエクステンションカテーテルを製造することができる。これは、ガイドエクステンションカテーテルの製造に対して望ましい影響を与える。
【0027】
カラー142は、基端、すなわちベース部分144を含む。少なくともいくつかの実施形態において、ベース部分144はその中に形成されたノッチまたは切欠き146を有する。ノッチ146は、レーザカット等の適当な手順を使ってベース部分144に形成される。他の工程も想定される。レーザカット工程の使用は多くの理由で望ましい。例えば、レーザカットは、ノッチ146への様々な構造、形状、構成の使用を可能にする。例えば、図6が示すカラー142’のベース部分144’は、隆起部またはポケット領域152’を有し、そこではベース部分144’の壁厚の一部が除去されている。ベース部分144/144’のための他の構成も想定される。
【0028】
ベース部分144(および/またはベース部分144’)は、図7に示されるように、基端部材16のリボン部分20に固定されてもよい。例えば、リボン部分20がノッチ146に挿入され、その後、適当な結合技術(例えば、溶接、熱接着、接着剤結合、および類似のもの)を使ってベース部分144(および/またはベース部分144’)に固定される。リボン部分20をベース部分144’に固定することは、リボン部分20に印圧加工またはその他の機械加工を施し、それがポケット領域152’に対応する形状を持ち、リボン部分20とベース部分144’が対応または嵌合する関係を有するようにすることを含む。これは結合を容易にする。
【0029】
カラー142はまた、先端部分148を含む。少なくともいくつかの実施形態において、先端部分148は、そこに形成された複数のスロット150を有する。スロット150の正確な形態、配置、および/または構成は様々であってよい。スロット150について想定される構成の少なくともいくつかが本明細書において開示される。全体として、スロット150は先端部分148に沿って所望のレベルの柔軟性を提供するように構成される。これは例えば、先端部分148に沿ったスロット150の配置および/または構成を変化させることを含む。例えば、スロット150の数を先端部分148の長さに沿って変化させて、柔軟性が、先端部分148の基端部におけるより低柔軟性(例えば、単位長さ当たりのスロット150がより少ない)から先端部におけるより高柔軟性(例えば、単位長さ当たりのスロット150がより多い)へと推移するようにすることができる。スロット150の配置および/または構成のその他の変化(例えば、スロットの深さ、スロットの形状、スロット配置等の変化)も利用して、先端部分148の柔軟性をその長さに沿って変化させてもよい(例えば、基端部付近で柔軟性が低く、先端部付近で柔軟性が高い)。ノッチ146と同様に、スロット150はレーザカット工程を使って先端部分148に形成されてもよい。先端部分148はそこに形成されたスロット150を有するように描かれているが、その他の構成も想定される。例えば、先端部分148はステント様の構造またはメッシュ構造を有していてもよく、1つまたは複数の螺旋スロットまたは溝を含んでいてもよく、またはこれに類似するものであってもよい。
【0030】
先端部分148は、図8に示されるように先端シース26に固定される。これは、先端部分148をライナ34と外側層38との間に配置し、その後、熱接着等の適当な結合技術を使って先端部分148を先端シース26に固定することを含む。
【0031】
スロット150は、望ましい柔軟性の特性を提供することに加えて、他の多くの理由により望ましい。例えば、スロット150は、図9に示されるようにその中の潅流を可能にする。潅流しやすくするために、先端シースの一部(例えば、ライナ34および/または外側層38)に開口部が形成され、それによって流体がカラー142の内側に沿った位置とカラー142の外側に沿った位置との間で通過できるようになる。これは、望ましくは、細い血管内の治療介入を含む多数の治療介入にとって有利となる。
【0032】
カラー142の内面、外面、または両方は1つまたは複数のコーティングを含んでいてもよく、これには本明細書で開示されるコーティング(例えば、バイエル(BAYER)CL−100、ビオスライド(BIOSLIDE)(商標)、NG−HPC、スリップコート(SLIP COAT)(登録商標)、MDX、パラリエンまたは類似するもの)が含まれる。このようなコーティングは、化学気相成長法または類似するもの等の適当な工程を使ってカラー142の表面に配置されてもよい。少なくともいくつかの実施形態において、コーティングは本体部分30のライナ34および/または外側層38の一部または全部の代わりとなる。例えば、パラリエンコーティングがカラー142の内部に沿って配置されてもよい。このコーティングはライナ34の代わりに使用されてもよい。パラリエンライナの使用は、多くの理由によって望ましい。例えば、パラリエンライナは、一般的な内側ライナ(例えば、PTFEライナ)より薄く、これはガイドエクステンションカテーテルの輪郭形状に好ましい影響を与える。
【0033】
図10は、ガイドエクステンションカテーテル214の一部の側面図である。ここで、ガイドエクステンションカテーテル214が長尺状の管型部材254を含むか、そうでなければそのような形態をとる。全体として、管型部材254の使用は多くの理由によって望ましい。例えば、管型部材254は押しやすさを向上することができ、これによってガイドエクステンションカテーテル214をガイドカテーテル10内でより位置決めしやすくなる。これに加えて、管型部材254は耐よじれ性を高め、またはそうでなければ制御しやすさを提供する。全体として、これらおよびその他の望ましい特徴により、使用者はガイドエクステンションカテーテル214を血管系内で希望通りに位置付けることが可能となる。
【0034】
管型部材254は、基端領域216と先端領域226を有する。スロットまたはスリット256が管型部材に形成されてもよく、全体として基端領域216と先端領域226との間に位置付けられる。いくつかの実施形態において、スロット256は管型部材254の長さの約半分の位置(例えば、基端領域216と先端領域226が略同じ長さになる)またはそこから先端側に位置付けられ、またはスロット256は管型部材の長さの約3分の1の位置(例えば、基端領域216が管型部材254の長さの約3分の2を占める)またはそこから先端側に位置付けられ、またはスロット256は管型部材の長さの約4分の1の位置(例えば、基端領域216が管型部材254の長さの約4分の3を占める)またはそこから先端側に、またはその他の適当な位置に位置付けられる。これに加えて、スロット256は管型部材254の直径の約10〜85%、または管型部材254の直径の約25〜75%、または管型部材254の直径の約35〜65%、または管型部材254の直径の約50%にわたって延びている。これらは例にすぎない。
【0035】
全体として般に、ガイドエクステンションカテーテル214は、基端領域216が第一の状態と第二の、または潰れた状態との間で推移できるように構成されている。これは、多くの理由により望ましい。例えば基端領域216を潰すことによって、他の機器(例えば、カテーテル等の治療機器)をガイドカテーテル10の中で基端領域216に沿って前進させることができる。先端領域226は全体としてその管状の形状を保ち、それによってガイドカテーテル10の内部に、その一部がガイドカテーテル10の先端部12から先端側に延びるように位置付けることができる(例えば、図2に示されるとおり)。したがって、治療機器は先端領域226の中で関心対象領域付近の位置(例えば冠動脈CA内)へと前進させることができる。
【0036】
基端領域216の第一の状態から潰れた状態への推移は、様々な方法で行うことができる。基端領域216を潰れた状態に推移させる1つの方法が図11〜13に示されている。例えば、図11はガイドエクステンションカテーテル214とそれに沿ったガイドワイヤ258を示している。この例では、ガイドワイヤ258が管型部材254の外側または外面に沿って(例えば、基端領域216の外面に沿って)、スロット256を通り、先端領域226の内面またはルーメンに沿って延びる。このような位置付けは、例えば先端領域226にガイドワイヤ258を通し、ガイドワイヤ258をスロット256から引き出すことによって実現される。
【0037】
図12は、ガイドワイヤ258の周囲で前進させているシャフトまたは、全体として剛性の部材260を示している。少なくともいくつかの実施板において、シャフト260は、ガイドワイヤ258の周囲で前進させられ、基端領域216と実質的に係合し、またはそうでなければこれを歪めることのできる、カテーテル、チューブ、長尺状のバルーン、またはマンドレルの形態をとる。例えば、シャフト260をガイドワイヤ258の周囲で前進させると、シャフト260がスロット256と係合する。シャフト260をガイドワイヤ258の周囲でさらに前進させると、シャフト260が基端領域216に力を加えることができ、これが基端領域216を図13に示されるように第一の状態から潰れた状態に推移させる。基端領域216に加えられる力は、シャフト260が先端領域226(これは、少なくともいつくかの実施形態において、基端領域216より剛性の材料を含んでいてもよい)の中へと向けられた結果として生じる。あるいは、基端領域216に加えられる力は、「能動的」であってもよい。例えば、シャフト260はバルーン(例えば、長尺状のバルーン)を含んでいてもよく、これが膨張すると基端領域216を歪める。基端領域216は、潰れた状態にあるとき、内側に潰れ込み、図14に示されるように全体として湾曲した、すなわち「U字形」を有してもよい。反対に、シャフト260は先端領域226を通って延び、先端領域226は図15に示されるように全体として管状の形状に保たれる。
【0038】
少なくともいくつかの実施形態において、基端領域216はシャフト260によって潰されたときに塑性変形する材料から形成されるか、またはそうでなければこれを含んでいてもよい。それゆえ、シャフト260をガイドワイヤ258の周囲で前進させることにより、基端領域を塑性変形させ、または「永久的に」潰してもよい。その結果として得られる状態で、ガイドエクステンションカテーテル214は図16に示されるように、管状の先端領域226と潰れた基端領域216を有する。そのような状態になると、図17に示されるように、治療機器262をガイドワイヤ258の周囲で前進させることができる。これは、治療機器262を基端領域216に沿って、先端領域226を通って、関心対象領域付近の位置まで進めることを含む。治療機器の形態は様々であってよく、例えば、これらに限定されないが、カテーテル、血管形成用バルーンおよび/またはカテーテル、ステントまたはステントデリバリシステム、アブレーションカテーテル、または類似のもの、またはその他の適当な機器が含まれるが、これらに限定されない機器を含む。
【0039】
図18は、他の例示的なガイドエクステンションカテーテル314を示しており、これは形態と機能において本明細書で開示されている他のガイドエクステンションカテーテルと同様である。ガイドエクステンションカテーテル314は管型部材354を含んでいてもよく、これは基端領域316と、先端領域326と、スロット356と、を有する。この実施形態によれば、基端領域316は潰れた状態へと付勢されるように構成される。シャフト360が基端領域316、先端領域326、またはそれら両方の中に配置されてもよい。そのようにする際、シャフト360はこの付勢に打ち勝ち、基端領域316を「拡張」させるか、またはそうでなければ拡張した状態に保つ。シャフト360を基端側に引き戻すことによって、基端領域316は潰れ、図16に示されるガイドエクステンションカテーテル214のそれと同様の状態となることができる。その後、治療機器が基端領域316に沿って、および先端領域326を通り、関心対象領域付近の位置へと前進されてもよい。
【0040】
図19は、他の例示的なガイドエクステンションカテーテル414を示しており、これは形態と機能において本明細書で開示されている他のガイドエクステンションカテーテルと同様である。ガイドエクステンションカテーテル414は管型部材454を含み、これは基端部分416と先端部分426とを有する。全体として、管型部材454は、部分的に円形の(および/または円周の一部にわたる)、または半円形の基端部分416を有する連続的な管型部材であると説明することができる。基端部分416はまた、弧状である、湾曲している、および/またはリボン様であると説明してもよい。管型部材454はまた、円筒形および/または円周の全部にわたる先端部分426を含んでいてもよい。管型部材454の連続的な壁面により、その長さに沿って、および基端部分416と先端部分426との間に配置されているポートまたは開口部464を通る、比較的平滑な移行が可能となる。ポート464により、治療用の医療機器をその中から先端部分426に、そして関心対象領域付近の位置へと通すことができる。管型部材454の連続した性質は、柔軟性の滑らかな移行部を形成することができるとともに、よじれる可能性を低下させる。これに加えて、壁面が連続的であるため、でこぼこ面や隆起面を減少させるとともに、引っ掛かる可能性を低下させる。
【0041】
ガイドエクステンションカテーテル414は、円周の一部にわたる基端部分416と略円筒形の先端部分426を有するように示されているが、他の構成も想定される。例えば、基端部分416は略円筒形であってもよく、先端部分426は円周の一部にわたっていてもよい。これに加えて、1つまたは複数の追加の、円周の一部にわたる、および/または、略円筒形の部分がガイドエクステンションカテーテル414の長さに沿って配置されてもよい。
【0042】
図20は、他の例示的なガイドエクステンションカテーテル514を示しており、これは形態と機能において本明細書で開示されている他のガイドエクステンションカテーテルと同様である。ガイドエクステンションカテーテル514は管型部材554を含んでおり、これは基端部分516を含む。少なくともいつくかの実施形態において、基端部分516は円周の一部のみにわたっており、管型部材554の長さの実質的に大部分に沿って延びている。テーパのついたチップ526が基端部分516の先端部に形成されてもよい。少なくともいくつかの実施形態において、テーパのついたチップ526の少なくとも一部は円周の全部にわたっている。ポートまたは開口部564が基端部分516とテーパのついたチップ526との間に配置される。
【0043】
チップ526は、ガイドワイヤの周囲でガイドエクステンションカテーテル514をトラッキングするために使用される。少なくともいくつかの実施形態において、チップ526はその中に治療用機器を通過させるのに適した内径を有している。あるいは、チップ526は一般的なガイドワイヤの外径に近似した内径を有している。これらの実施形態によれば、ガイドエクステンションカテーテル514は、治療用機器を基端部分516に沿って通し、ガイドカテーテル10の先端部12から出ることができるようにする(例えば、基端部分516および/またはチップ526の一部がわずかにさらに先端側の冠動脈CAの中に位置付けられているとき)のに十分な長さを有している。
【0044】
基端部分516(および/または基端部分416)の構造は、多くの理由によって望ましい。例えば、基端部分516によってガイドカテーテル10内の空間の量が増大する(例えば、ガイドエクステンションカテーテル414/514の輪郭形状を小さくする)。これによって、より大きな機器をガイドカテーテル10に通すことができ、および/または、そうでなければ、基端部分516(および/または基端部分416)に沿ったトラッキングに必要な力を軽減させて、その中に通した機器をより送達しやすくできる。
【0045】
本明細書で開示されるガイドエクステンションカテーテルの各種の構成要素に使用可能な材料は様々である。簡素化するために、以下の説明は基端部材16と先端シース26について行う。しかしながら、これは本明細書で説明されている機器と方法を限定しようとするものではなく、それは、説明が本明細書で開示されている他の同様の管型部材および/または管型部材または機器の構成要素にもあてはまるためである。
【0046】
ガイドエクステンションカテーテル14の基端部材16と先端シース26および/またはその他の構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例を以下に開示する)、形状記憶ポリマー、金属ポリマー複合材、セラミック、その他の複合材、これらの組み合わせ、および類似のもの、またはその他の適当な材料で作製されてもよい。適当な金属と金属合金のいくつかの例には、304V、304L、316LVステンレススチール等のステンレススチール、軟鋼、線形弾性および/または超弾性ニチノール等のニッケルチタン合金、例えばニッケルクロムモリブデン合金(例えば、インコネル(INCONEL)(登録商標)625等のUNS:N06625、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C−22(登録商標)等のUNS:N06022、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C276(登録商標)等のUNS:N10276、その他のハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金、および類似のもの)、ニッケル銅合金(例えば、モネル(MONEL)(登録商標)400、ニッケルヴァック(NICKELVAC)(登録商標)400、ニコロス(NICORROS)(登録商標)400、および類似のもの等のUNS:N04400)、ニッケルコバルトクロムモリブデン合金(例えば、MP35−N(登録商標)および類似のもの等のUNS:R30035)、ニッケルモリブデン合金(例えば、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)ALLOY B2(登録商標)等のUNS:N10665)、その他のニッケルクロム合金、その他のニッケルモリブデン合金、その他のニッケルコバルト合金、その他のニッケル鉄合金、その他のニッケル銅合金、その他のニッケルタングステンまたはタングステン合金、および類似のもの等のその他のニッケル合金、コバルトクロム合金、コバルトクロムモリブデン合金(例えば、エルギロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)および類似のもの等のUNS:R30003)、プラチナ富化ステンレススチール、チタン、これらの組み合わせ、および類似のもの、または他のあらゆる適当な材料が含まれる。
【0047】
本明細書で示唆するように、市販されているニッケルチタンまたはニチノール合金のファミリの中には、「線形弾性」または「非超弾性」に指定されるカテゴリがあり、これは化学的性質においては従来の形状記憶および超弾性型と同様でありうるが、特異で有益な機械的特性を示す。線形弾性および/または非超弾性ニチノールを超弾性ニチノールと区別できるのは、線形弾性および/または非超弾性ニチノールが超弾性ニチノールの示すような、応力/歪み曲線状の実質的な「超弾性プラトー」または「フラッグ領域」を示さないという点である。その代わりに、線形弾性および/または非超弾性ニチノールにおいては、回復ひずみが大きくなると、応力は塑性変形が始まるまで実質的に線形に増大するか、または、必ずしも完全にではないが幾分線形な関係で、または少なくとも超弾性ニチノールの場合に見られる超弾性プラトーおよび/またはフラッグ領域より線形な関係で増大する。それゆえ、本開示の目的上、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、「実質的な」線形弾性および/または非超弾性ニチノールと呼ぶこともできる。
【0048】
場合により、線形弾性および/または非超弾性ニチノールはまた、超弾性ニチノールとは、線形弾性および/または非超弾性ニチノールが(例えば、塑性変形を起こすまでに)実質的な弾性を保ちながら、受け入れられるひずみが最高約2〜5%であるのに対し、超弾性ニチノールは塑性変形を起こすまでに最高約8%のひずみを受け入れる点でも異なる。これらの材料はどちらも、塑性変形を起こすまでに約0.2〜0.44パーセントのひずみしか受け入れられないステンレススチール等の他の線形弾性材料から区別できる(これらはその組成に基づいても区別できる)。
【0049】
いくつかの実施形態において、線形弾性および/または非超弾性ニッケルチタン合金は、広い温度範囲において示差走査熱量測定法(DSC)および動的金属熱分析法(DMTA)による分析で検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を起こさない合金である。例えば、いくつかの実施形態において、線形弾性および/または非超弾性ニッケルチタン合金においては、摂氏約−60度(℃)〜約120℃の範囲でDSCとDMTA分析により検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化が起こらないこともある。したがって、そのような材料の機械的曲げ弾性は全体として、このように非常に広い温度範囲で温度の影響に対して不活性である。いくつかの実施形態において、気温または室温での線形弾性および/または非超弾性ニッケルチタン合金の機械的曲げ弾性は、体温での機械的特性と、例えばこれらが超弾性プラトーおよび/またはフラッグ領域を示さないという点で、実質的に同じである。換言すれば、広い温度範囲にわたり、線形弾性および/または非超弾性ニッケルチタン合金はその線形弾性および/または非超弾性の特性および/または特徴を保持する。
【0050】
いくつかの実施形態において、線形弾性および/または非超弾性ニッケルチタン合金は、ニッケルを約50〜約60重量パーセントの範囲で含んでいてもよく、残りは基本的にチタンである。いくつかの実施形態において、組成はニッケルが約54〜約57重量パーセントの範囲である。適当なニッケルチタン合金の一例は、日本、神奈川県の株式会社古河テクノマテリアルが販売するFHP−NT合金である。ニッケルチタン合金のいくつかの例は、米国特許第5,238,004号明細書および同第6,508,803号明細書の中で開示されており、両特許を参照によって本明細書に援用する。その他の適当な材料には、ウルタニウム(ULTANIUM)(商標)(ネオメトリクス(Neo−Metrics)が販売)、およびガムメタル(GUM METAL)(商標)(トヨタが販売)が含まれていてもよい。いくつかの他の実施形態において、所望の特性を実現するために、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用できる。形状記憶ポリマー材料もまた、基端部材16および/または先端シース26(およびガイドエクステンションカテーテル14のその他の構成要素)に使用してよい。
【0051】
少なくともいくつかの実施形態において、基端部材16および/または先端シース26の一部または全部は、X線不透過材料が添加されていても、これにより作製しても、またはそうでなければこれを含んでいてもよい。例えば、チップ部材36もまた、X線不透過材料を含んでいてよい。X線不等材料は、医療処置中に、蛍光透視スクリーン上に、またはその他のイメージング技術で比較的明るい画像を生成できる材料と理解される。この比較的明るい画像は、ガイドエクステンションカテーテル14の使用者がその位置を判断するのに役立つ。X線不透過材料のいくつかの例は、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、X線不透過充填材(例えば、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス等)を添加したポリマー材料、および類似のものを含むことができるが、これらに限定されない。これに加えて、他のX線不透過マーカバンドおよび/またはコイルをガイドエクステンションカテーテル14の設計に組み込み、同じ結果を実現してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、ある程度の核磁気共鳴画像法(MRI:Magnetic Resonance Imaging)適合性がガイドエクステンションカテーテル14に付与される。例えば、基端部材16と先端シース26、またはそれらの一部は、画像を実質的に歪めず、実質的なアーチファクト(例えば、画像内のギャップ)を生成しないような材料で作製されてもよい。例えば、特定の強磁性材料は、これらがMRI画像アーチファクトを生成しうるため、適当ではないこともある。基端部材16と先端シース26、またはそれらの一部はまた、MRI装置で画像化できる材料で作製されてもよい。このような特性を示すいくつかの材料には、例えばタングステン、コバルトクロムモリブデン合金(例えば、エルギロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)および類似のもの等のUNS:R30003)、ニッケルコバルトクロムモリブデン合金(例えば、MP35−N(登録商標)および類似のもの等のUNS:R30035)、ニチノール、および類似のもの、およびその他が含まれる。
【0053】
シースまたはカバー(図示せず)が基端部材16と先端シース26の一部または全部の周囲に配置されてもよく、これはガイドエクステンションカテーテル14の概して平滑な外面を画定できる。しかしながら、他の実施形態においては、このようなシースまたはカバーはガイドエクステンションカテーテル14の全体または一部になくてもよく、これによって基端部材16と先端シース26が外面を形成してもよい。シースは、ポリマーまたはその他の適当な材料で作製されてもよい。適当なポリマーのいくつかの例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン(DuPont)が販売するデルリン(DELRIN)(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン(Polyurethane 85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチックス(DSM Engineering Plastics)が販売するアーニテル(ARNITEL)(登録商標))、エーテルおよびエステル系コポリマー(例えばデュポン(DuPont)が販売するハイトレル(HYTREL)(登録商標)等のブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートおよび/またはその他のポリエステルエラストマ)、ポリアミド(例えば、バイエル(Bayer)が販売するデュレタン(DURETHAN)(登録商標)またはエルフアトケム(Elf Atochem)が販売するクリスタミド(CRISTAMID)(登録商標))、エラストマポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えばペバックス(PEBAX)(登録商標)の商品名で販売)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(Marlex)高密度ポリエチレン、マーレックス(Marlex)低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えば、レクセル(REXELL)(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、ケブラ(KEVLAR)(登録商標))、ポリスルフォン、ナイロン、ナイロン−12(例えば、EMSアリカングリロン(EMS American Grilon)が販売するグリラミド(GRILAMID)(登録商標))、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)(例えば、SIBSおよび/またはSIBS 50A)、ポリカーボネート、イオノマ、生体適合性ポリマー、その他の適当な材料、またはそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材、および類似のものが含まれていてもよい。いくつかの実施形態において、シースの材料に液晶ポリマー(LCP:liquid crystal polymer)を混和させることができる。例えば、混合物は最高約6パーセントのLCPを含むことができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、ガイドエクステンションカテーテル14の外面(例えば、基端部材16と先端シース26の外面を含む)には、サンドブラスト、ビードブラスト、炭酸水素ナトリウムブラスト、電解研磨等が施されてもよい。これらおよびいくつかの他の実施形態において、コーティング、例えば潤滑性、親水性、保護、またはその他の種類のコーティングが、シースの一部または全部に、またはシースを持たない実施形態では基端部材16と先端シース26の一部に、またはガイドエクステンションカテーテル14のその他の部分に塗布されてもよい。あるいは、シースが潤滑性、親水性、保護、またはその他の種類のコーティングを含んでいてもよい。フッ素重合体等の疎水性コーティングは乾燥状態での潤滑性を提供し、これによってガイドワイヤを取り扱いやすく、また機器を交換しやすくなる。潤滑性コーティングは、操縦性を改善し、創傷通過能力(lesion crossing capability)を向上させる。適当な潤滑ポリマーは当技術分野でよく知られており、シリコーンおよび類似のもの、疎水性ポリマー、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリーレンオキシド(polyarylene oxides)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、アルギン、サッカライド、カプロラクトン、および類似のもの、およびこれらの混合物と組み合わせが含まれていてもよい。親水性ポリマーを、それら同士で、または水溶性組成物(いくつかのポリマーを含む)の調合量と混和して、適当な潤滑性、結合性、および可溶性を有するコーティングを得てもよい。このようなコーティングおよびこのようなコーティングの作製に使用可能な材料と方法のいくつかのその他の例は、米国特許第6,139,510号明細書および同第5,772,609号明細書に記載されており、両特許を参照によって本明細書に援用する。
【0055】
コーティングおよび/またはシースは、例えばコーティング、押出、共押出、断続層共押出(ILC:interrupted layer co−extrusion)、またはいくつかのセグメントの端−端結合によって形成されてもよい。層の硬さは均一であっても、硬さがその基端部から先端部へと徐々に低下してもよい。硬さの漸減は、ILCによる場合のように連続的であっても、または別々に押出成形した管状セグメントを融合することによる場合のように段階的であってもよい。外側層にはX線不透過充填材材料を含有させて、X線による視覚化を容易にしてもよい。当業者であれば、これらの材料が広い範囲で様々であってよく、これも本発明の範囲から逸脱しないことがわかるであろう。
【0056】
材料の違いに加えて、スロット150(および/または本明細書で開示されているその他のスロット)の配置と構成にも様々な実施形態が想定される。例えば、いくつかの実施形態において、スロット150のうち、全部ではないとしても少なくともいくつかは、先端部分148の長手方向軸に関して同じまたは同様の角度で配置される。図のように、スロット150は垂直または実質的に垂直の角度で配置でき、および/または先端部分148の長手方向軸に垂直な平面内への配置で特徴付けることができる。しかしながら、他の実施形態においては、スロット150を垂直以外の角度で配置でき、および/または先端部分148の長手方向軸に対して垂直でない平面内への配置で特徴付けることができる。これに加えて、1つまたは複数のスロット150の群が1つまたは複数のスロット150の他の群に関して異なる角度で配置されてもよい。スロット150の分布および/または構成はまた、可能なかぎり、米国特許出願公開第2004/0181174号明細書に開示されている何れも含むことができ、その開示全体を参照によって本明細書に援用する。
【0057】
スロット150は先端部分148の柔軟性を高めながら、その一方で適当なトルク伝達特性を持たせるために提供されてもよい。スロット150は、1つまたは複数のリングおよび/またはチューブセグメントが、先端部分148に形成された1つまたは複数のセグメントおよび/またはビームにより相互接続されるように形成されてもよく、このようなチューブセグメントおよびビームは先端部分148のうち、スロット150が先端部分148に形成された後に残る部分を含んでいてもよい。このような相互接続された構造は、比較的高い程度のねじり剛性を保持し、その一方で所望のレベルの横方向柔軟性も維持する役割を果たしてもよい。いくつかの実施形態において、いくつかの隣接するスロット150は、これらが先端部分148の円周に沿って相互に重複する部分を含むように形成できる。他の実施形態においては、いくつかの隣接するスロット150は、これらが必ずしも相互に重複せず、所望の程度の横方向柔軟性を提供するパターンで配置されるように配置できる。
【0058】
これに加えて、スロット150は、先端部分148の長さに沿って、またはその円周に沿って、所望の特性を実現するように配置できる。例えば、隣接するスロット150またはスロット150の群は、例えば先端部分148の円周に沿って反対側に基本的に均等に配置する等、対称パターンで配置でき、または先端部分148の軸の周囲で相互に関してある角度だけ回転させることができる。これに加えて、隣接するスロット150またはスロット150の群は、先端部分148の長さに沿って均等に離間されてもよく、または密度が増大または減少するようなパターンで配置でき、または非対称または不規則パターンで配置できる。その他の特性、例えばスロットの大きさ、スロットの形状、および/または先端部分148の長手方向軸に関するスロットの角度もまた、先端部分148の長さに沿って変え、柔軟性またはその他の特性を変化させることができる。さらに、他の実施形態においては、管型部材の一部、例えば基端区間、または先端区間、または先端部分148全体がこのようなスロット150を全く持たないことも想定される。
【0059】
本明細書で提案するように、スロット150は2、3、4、5またはそれ以上のスロット150の群で形成されてもよく、これらは先端部分148の軸に沿って実質的に同じ位置に配置されてもよい。あるいは、1つのスロット150がこれらの位置のいくつかまたは全部に配置されてもよい。スロット150の群の中に、大きさが等しい(すなわち、先端部分148の周囲の同じ円周距離にわたる)スロット150が含まれていてもよい。これらおよびその他の実施形態のいくつかにおいて、ある群のうちの少なくともいくつかのスロット150は大きさが不均等である(すなわち、先端部分148の周囲の異なる円周距離にわたる)。長手方向に隣接するスロット150の複数の群は、構成が同じでも異なっていてもよい。例えば、先端部分148のいくつかの実施形態は、第一の群は大きさが等しく、隣接する群では大きさが等しくないスロット150を含む。大きさが等しく、管の円周に沿って対称に配置された2つのスロット150を有する群では、ビーム対(すなわち、先端部分148のうち、スロット150がそこに形成された後に残る部分)の図心は先端部分148の中心軸と一致することは理解されうる。反対に、大きさが等しくなく、その図心が管の円周上の正反対にある2つのスロット150を有する群では、ビーム対の図心を先端部分148の中心軸からずらすことができる。先端部分148のいくつかの実施形態は、先端部分148の中心軸と一致する図心を有するスロット群だけ、または図心が先端部分148の中心軸からずれたスロット群だけ、またはその図心が第一の群では先端部分148の中心軸と一致し、他の群では先端部分148の中心軸からずれるスロット群を含む。ずれの量はスロット150の深さ(または長さ)に応じて異なっていてもよく、他の適当な距離を含むことができる。
【0060】
スロット150は、マイクロマシニング、ソーカット(例えば、ダイヤモンドグリットが埋め込まれた半導体ダイシングブレードを使用する)、放電加工、研磨、旋盤、鋳造、成形、化学的エッチングまたは処理、またはその他の周知の方法および類似のもの等の方法で形成できる。いくつかのこのような実施形態において、先端部分148の構造は、チューブの一部を切断および/または除去してスロット150を形成することによって形成される。適当なマイクロマシニング方法およびその他の切断方法のいくかの例示的な実施形態と、スロットを含む管型部材と管型部材を含む医療機器の構造は、米国特許出願公開第2003/0069522号明細書、同第2004/0181174−A2号明細書、米国特許第6,766,720号明細書、同第6,579,246号明細書において開示されており、これらの開示全体を参照によって本明細書に援用する。エッチング工程のいくつかの例示的実施形態は、米国特許第5,106,455号明細書に記載されており、その開示全体を参照によって本明細書に援用する。留意すべき点として、カテーテル14の製造方法は、これらおよびその他の製造ステップを使って先端部分148にスロット150を形成するステップを含んでいてもよい。
【0061】
少なくともいつくかの実施形態において、スロット150はレーザカット工程を使って管型部材に形成されてもよい。レーザカット工程は、適当なレーザおよび/またはレーザカット装置を含んでいてもよい。例えば、レーザカット工程は、ファイバレーザを利用してもよい。
【0062】
当然のことながら、本開示は多く点において例示にすぎない。特に形状、大きさ、ステップの配置における詳細には、本発明の範囲から逸脱せずに変更を加えることができる。これは、それが適当であるかぎり、例示的な一実施形態の特徴を他の実施形態で使用することを含んでいてもよい。本発明の範囲はもちろん、付属の特許請求の範囲が表現されている文言で定義される。
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