【文献】
浜本隆之,『撮像−画像処理−表示系の連携による高画質映像システム〜高ダイナミックレンジ化』,映像情報メディア学会誌,日本,(社)映像情報メディア学会,2011年10月 1日,第65巻第10号,第1369〜1372頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記再生部は前記第1映像信号を再生している時に、前記入力受付部がスロー再生指示を受け付けた場合に、前記スロー再生指示を受け付けた時に再生していた第1映像信号に対応する箇所から第2映像信号を再生する、
請求項1に記載の撮像装置。
前記再生部は前記第1映像信号を再生している時に、前記入力受付部がスロー再生指示を受け付けた場合で、前記第2映像信号が存在しない場合には第1映像信号を再生する、
請求項2に記載の撮像装置。
前記記録部は前記第1映像信号と前記第2映像信号のフレーム位置関係を示すインデックスデータを作成し、前記再生部は前記入力受付部が前記スロー再生指示を受け付けた時に、インデックスデータを参照して第2映像信号の再生位置を決定する、
請求項2に記載に撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態1]
図1の外観図に示すように、撮像装置100は第1光学系101と第2光学系102を有している。撮像装置100の上部には、シャッターボタン103が設けられ、静止画撮影時のタイミングを決定するようになっている。また動画撮影時には、このシャッターボタン103を押すことで撮影が開始され、再度シャッターボタン103を押すと撮影を終了するように構成されている。
【0010】
また、シャッターボタン103の横には、切替ボタン110が設けられている。この切替ボタン110を横にスライドして、撮像装置100の電源のON/OFFと動作モードを選択する。すなわち、電源OFFと、撮影モードと、再生モードの何れかを選択できる。
【0011】
また
図2の外観図に示すように、撮像装置100は液晶画面111を有している。液晶画面111は撮影モード時にモニタ画面として機能する。また、先の切替ボタン110をスライドして、再生モードに切り替えた場合には、再生画像を表示するように構成されている。また、液晶画面111には、ユーザによる操作を検出するタッチパネル112が一体的に設けられている。これによってユーザは、液晶画面111に表示される各種メニューやボタンを選択できる。すなわち、タッチパネル112を介して、撮像装置100の動作をコントロールできるように構成されている。
【0012】
図3に撮像装置100の構成をブロック図で示す。撮像装置100は、第1光学系101と、第2光学系102と、第1撮像素子205と、第2撮像素子206とを備えている。第1光学系101はズーム光学系である。すなわち、第1ズームレンズ201が前後に移動することによって、撮影画角が変化(変倍)する。例えば、広角側と望遠側との画角を5倍に変えることができる。また、第1光学系101は、合焦位置を調整する第1フォーカスレンズ203を有している。第1フォーカスレンズ203が前後に動くことによって、近距離から無限遠まで合焦位置を変えることができる。
【0013】
第1撮像素子205は第1光学系101が形成する光学的な像を第1電気信号231に変換する。第1映像信号処理部207は、この第1電気信号231を第1周期で第1撮像素子205から読み出す。例えば動画撮影時にはフレームレートとして一般的な1/30秒の周期で画像を読み出す。第1映像信号処理部207は、第1電気信号231のノイズの除去や増幅処理を行い、第1映像信号241を出力する。第1映像信号241は、映像信号記録部213と後述の画像合成部222に送出される。
【0014】
また第1映像信号処理部207は、第1映像信号241内の任意領域を切り出して第1コントラスト検出部209に送出する。この送出タイミングも第1周期毎に行う。第1コントラスト検出部209は、受け取った画像のコントラスト値を計算する。そしてコントラスト値の計算結果が最大となる位置に、第1光学系101の第1フォーカスレンズ203を位置決めする。すなわち、第1コントラスト検出部209の指令に基づいて、第1フォーカス駆動部211が第1フォーカスレンズ203を駆動する。 第2光学系102は第1光学系101とほぼ同じ構成を有している。第2光学系102はズーム光学系である。第2ズームレンズ202が前後に移動して撮影画角を変化(変倍)させる。また第2フォーカスレンズ204の移動によって合焦位置を調整する。
【0015】
同様に、第2撮像素子206は第2光学系102が形成する光学的な像を第2電気信号232に変換する。第2映像信号処理部208は、この第2電気信号232を第1周期とは異なる第2周期で第2撮像素子206から読み出す。例えば第1周期が1/30秒であった時に、10倍高速な1/300秒の周期で読み出す。第2映像信号処理部208は、第2電気信号232のノイズの除去や増幅処理を行い、第2映像信号242を出力する。第2映像信号242は、映像信号記録部213と後述の画像合成部222に送られる。
【0016】
また第2映像信号処理部208は、第2映像信号242の任意領域を切り出して第2コントラスト検出部210に送出する。この送出タイミングも第2周期に一致させて行う。第2コントラスト検出部210は、受け取った画像のコントラスト値を第2周期毎に計算する。そして、第2コントラスト検出部210は、第2フォーカスレンズ204を駆動する第2フォーカス駆動部212を制御する。また第2コントラスト検出部210は、第1フォーカス駆動部211も制御できるように構成されている。
【0017】
映像信号記録部213は、記憶媒体220に第1映像信号241と第2映像信号242を記録する。この際、第1映像信号241と第2映像信号242は、異なるフレームレートで記録媒体220に記録される。例えば、第1映像信号241を1秒あたり30フレームで記録し、第2映像信号242は1秒あたり300フレームで記録する。なお記憶媒体220としては、SDカードなどの半導体メモリを用いる。SDカードは可搬型半導体メモリの代表的例である。SDカードをTVやPCなどに差し替えることができる。すなわち、撮像装置100で記録した動画や静止画などを、TVやPCなどで表示できる。
【0018】
撮像装置100の上部にある切替ボタン110を再生モードに切り替える。すると、映像信号再生部221が、記憶媒体220に記録された第1映像信号241および/または第2映像信号242を読み出す。そして、画像合成部222に送出する。画像合成部222は、第1映像信号241および/または第2映像信号242を受け取る。
【0019】
また、切替ボタン110が撮影モードの場合には、第1映像信号処理部207と第2映像信号処理部208から受け取る。そして画像合成部222は、第1映像信号241および/または前記第2映像信号242を、選択および/または合成して第3映像信号243を出力する。例えば、第1映像信号241をそのまま第3映像信号243として出力する場合もある。あるいは、第2映像信号242だけを時間軸方向に積算合成した画像とする場合もある。あるいは、第1映像信号241と第2映像信号242を合成してHDR画像を第3映像信号243とする場合もある。第3映像信号243の内容については、各実施の形態の動作において詳細に説明する。
【0020】
第3映像信号243は、画像出力部223に送出され、撮像装置100の裏面にある液晶画面111に表示される。すなわち、液晶画面111は撮影モード時にモニタ画面として機能する。また、再生モードに切り替えた場合には、再生画像を表示するように構成されている。
【0021】
なお画像出力部223には、図示しない出力端子も接続されており、TVやPCなどの外部表示装置に画像を表示することが可能となっている。出力端子としては、RCA端子などのアナログ系の出力端子や、HDMI規格などのデジタル出力端子を用いるのが一般的である。
【0022】
また第3映像信号243は映像信号記録部213にも送出される。映像信号記録部213は、第3映像信号243を記録媒体220に記録できるように構成されている。このようにして記録媒体220に記録した第3映像信号243も、液晶画面111に表示することも可能である。すなわち映像信号再生部221が、記憶媒体220に記録された第3映像信号243を読み出す。そして、画像合成部222に送出する。画像合成部222は、第3映像信号243を画像出力部223に送出する。こうして、液晶画面111に第3映像信号243が表示される。
【0023】
以上のように構成した実施の形態1の撮像装置100の動画撮影時の動作について、
図4のフローチャートを用いて順に説明する。以下では、第1周期を1秒あたりNフレーム(Nフレーム毎秒)、第2周期を1秒あたりMフレーム(Mフレーム毎秒)とフレームレートで表記する。また、第2周期は第1周期のK倍であると呼称する。K=M/N倍である。これは、フレームレートがK倍という意味である。例えば、第1周期が1/30秒、第2周期が1/300秒とする。この時、N=30、M=300、K=10となる。
【0024】
(ステップS100)
ユーザが切替ボタン110を操作して撮影モードを選択する。そして、シャッターボタン103を押すと、動画撮影動作が開始される。すなわち、第1光学系101が形成する光学的な像を、第1撮像素子205が第1電気信号231に変換する。同様に、第2光学系102が形成する光学像を、第2撮像素子206が第2電気信号232に変換する。第1映像信号241のフレーム番号Iはゼロを初期値として与える。
【0025】
(ステップS101)
第1映像信号241のフレーム番号Iを1進める。
【0026】
(ステップS102)
第1映像信号処理部207が、第1電気信号231を第1周期(Nフレーム毎秒)で第1撮像素子205から読み出す。そして、ノイズの除去や増幅処理を行った第1映像信号241を、映像信号記録部213と画像合成部222に送出する。この際、第1映像信号241は、1枚の画像として送出されるので、これを第1映像信号241のIフレーム目の画像と呼ぶ。
【0027】
(ステップS103)
画像合成部222は、第1映像信号241だけを選択して、第3映像信号243として画像出力部223に出力する。画像出力部223は、この第3映像信号243、すなわち第1映像信号241のIフレーム目の画像を液晶画面111に表示する。これによって、ユーザは液晶画面111に表示されたモニタ画像を見ながら撮影できる。
【0028】
(ステップS104)
ステップS102と並行して、第2映像信号処理部208が第2電気信号231を第2周期(Mフレーム毎秒)で第2撮像素子206から読み出す。そして、ノイズの除去や増幅処理を行った第2映像信号242を映像信号記録部213に送出する。第2映像信号242も、1枚の画像として送出されるので、これを第2映像信号242のJフレーム目の画像と呼ぶ。
【0029】
第2映像信号242は第2周期(Mフレーム毎秒)で読み出される。第2周期Mは、第1周期NのK倍としたので、フレームレートがK倍となる。よって、ステップS102にて第1映像信号241のIフレーム目を読み出す間に、第2映像信号242はK回読み出す。すなわち、第2映像信号242のJフレームから、J+1フレーム、J+2フレームと逐次読み出し、J+K−1フレームまでのKフレーム分の画像を読み出す。
【0030】
なお、第2映像信号242のフレーム番号Jは、K=M/Nの関係から、J=K×Iを開始値とする。また第2映像信号242は、画像合成部222に出力しなくても良い。ステップS103にて説明したように、画像合成部222は、第1映像信号241だけを選択するからである。
【0031】
(ステップS105)
映像信号記録部213は、第1映像信号241と第2映像信号242を記録媒体220に記録する。すなわち、ステップS102で取得した第1映像信号241のIフレーム目の画像と、ステップS104で取得した第2映像信号242のJ=K×Iフレーム目からJ+K−1フレーム目までのK個の画像を記録する。これらは同一ファイルとして一括して記録してもよい。あるいは、第1映像信号241の画像と、第2映像信号242の画像を、それぞれ別ファイルとして記録しても良い。
【0032】
また、第1映像信号241と第2映像信号242のフレーム位置関係を示す索引データ(インデックスデータ)を作成する。この索引データも映像信号記録部213が記憶媒体220に記録する。すなわち、第1映像信号241のIフレーム目と、第2映像信号242のJフレーム目からJ+K−1フレーム目までが、同一時刻に撮影されたフレームであることを記録する。索引データは、第1映像信号241の画像と同じファイルに記録しても良い。あるいは、独立した別ファイルとして記録してもよい。
【0033】
(ステップS106)
ユーザがシャッターボタン103を再度押した場合には、ステップS107に進んで動画撮影動作を終了する。シャッターボタン103の操作がない場合には、ステップS101に戻って動画撮影動作を継続する。
【0034】
(ステップS107)
動画撮影動作を終了する。
【0035】
ステップS101〜S106の処理を第1周期で繰返し実行する。すなわち、1秒間にN回繰返し実行する。これによって、第1映像信号241はN個のフレーム画像が取得される。一方、第2映像信号242はK×Nフレームの画像が取得される。よって、第2映像信号242のフレームレートは、M=K×Nになる。すなわち、第2周期Mになる。
【0036】
また映像信号記録部213は、第1映像信号241を第1周期(Nフレーム毎秒)で記録媒体220へ記録する。また第2映像信号242を、第2周期(Mフレーム毎秒)で記録媒体220へ記録する。よって、第1映像信号241と第2映像信号242は、互いに異なるフレームレートで記録媒体220に記録される。
【0037】
なお、第1周期Nと第2周期Mの倍数Kは整数でなくても良い。例えば、第1周期は1/30秒、第2周期は1/100秒である場合には、N=30、M=100、K=3.33としても良い。
【0038】
また、上記の動画撮影動作では、第2映像信号242を連続して(途切れることなく)記録媒体220に記録したが、ユーザが指定したときだけ断続的に記録しても良い。すなわち、ユーザの指定が無い場合には、第1映像信号241だけを記録する。そして、ユーザが指定した時間帯だけ第2映像信号242を記録する。例えば、100m走を撮影する場合を考える。スタートラインに静止するまでは、被写体が高速で動くことはない。よって、第1映像信号241だけを記録する。いよいよスタートという段階で、ユーザ(撮影者)が開始を指定し、第2映像信号242の記録を開始する。被写体がゴールラインを超えた後、ユーザが終了を指定して第2映像信号242の記録を停止する。この間も第1映像寝具241は連続して途切れることなく記録する。このように、第2映像信号242を断続的に記録すれば、記憶媒体220に記録される第2映像信号242の記録容量が少なくなる。よって、より長時間の撮影が可能になるという利点がある。
【0039】
この時(断続的に第2映像信号242を記録する場合)、映像信号記録部213に所定時間のリングバッファを用意しておくとさらによい。すなわち、第2映像信号242の画像は、常にリングバッファに順次書き込む。ユーザが開始を指定した場合には、リングバッファに記録された所定時間前の画像から記録媒体220に記録する。例えば、ペット撮影などで、ペットが急に走りだした場合に、慌ててユーザが開始を指定する場合がある。このような場合でも、リングバッファに所定時間前の画像が記憶されているので、時間を遡って第2映像242を記録できるという利点がある。
【0040】
また、第1映像信号241または第2映像信号242に対して、動き検出を行い、第2映像信号242の記録を自動的に行うように構成してもよい。すなわち、動き量を監視して、動き量が激しい時だけ第2映像信号242を記録する。登録された人物やペットの位置を検出して、その位置を追尾しているような場合には、それら被写体の動き量で判断すると特に有効である。また、このような場合にリングバッファを設けると、さらに効果的である。
【0041】
さらにまた、動き量の大小に応じて第2周期を可変としてもよい。すなわち、第2映像信号242のフレームレートを変えてもよい。例えば、動き量が極端に大きい場合には、Kをさらに大きくK=20などとする。逆に動き量が大きくない場合には、K=5とする。このようにして、第2周期(Mフレーム毎秒)を可変にしてもよい。
【0042】
なお、断続的に第2映像信号242を記録する場合、索引データにも第2映像信号242の状態(記録の有無)を記録する。例えば、第1映像信号241だけを記録している時には、第1映像信号241のフレーム画像に対応する第2映像信号242は無いと記録する。一方、第2映像信号242が同時に記録されている時、第1映像信号241のI番目のフレーム画像と、第2映像信号242のJフレーム目からJ+K−1フレーム目までが、同一時刻に撮影されたフレームであると記録する。
【0043】
次に、実施の形態1の撮像装置100の動画再生時の動作について、
図5のフローチャートを用いて順に説明する。
【0044】
(ステップS200)
ユーザが切替ボタン110を操作して再生モードを選択する。さらに液晶画面111に表示されるメニューから再生ボタンにタッチすると、タッチパネル112により検出されて、再生動作を開始する。第1映像信号241のフレーム番号IはI=1を初期値として与える。
【0045】
(ステップS201)
映像信号再生部221は、記録媒体220から第1映像信号241のIフレーム目の画像を読み出す。そして、画像合成部222にIフレーム目の画像を送る。
【0046】
(ステップS202)
画像合成部222は、第1映像信号241だけを選択して、第3映像信号243として画像出力部223に出力する。画像出力部223は、この第3映像信号243、すなわち第1映像信号241のIフレーム目の画像を液晶画面111に表示する。
【0047】
(ステップS203)
第1映像信号241のフレーム番号Iを1進める。
【0048】
(ステップS204)
ユーザが液晶画面111に表示されるメニューから停止ボタンにタッチすると、S214に進み再生動作を終了する。さもなくば、ステップS205に進む。
【0049】
(ステップS205)
ユーザが液晶画面111に表示されるメニューからスロー再生ボタンにタッチすると、S206に進み、スロー再生動作を開始する。ユーザによる操作がなければ、通常の再生動作を継続するためステップS201に戻る。
【0050】
ステップS201〜S205の処理を第1周期で繰返し実行する。すなわち、1秒間にN回繰返し実行する。これによって、第1光学系101で撮影した動画を、撮影動作時と同じ速度で再生できる。すなわち、ユーザは一般的なムービーやデジタルカメラと同様の動画を、実時間で視聴できる。
【0051】
(ステップS206)
ユーザがスロー再生を指定した場合、第2映像信号242の記録状態を判定する。第2映像信号242が断続的に記録されている場合などを考慮しなくてはならないからである。そこで、映像信号再生部221は索引データを記録媒体220から読み出す。そして、再生中の第1映像信号241のIフレームに対応する第2映像信号242の記録結果が存在するかどうかを判定する。対応する第2映像信号242が存在する場合は、ステップS207に進む。存在しない場合は、「スロー再生はできません」と液晶画面111に表示して、ステップS201に戻る。
【0052】
(ステップS207)
第2映像信号242のフレーム番号Jを、索引データを参照して設定する。すなわち、第1映像信号241のIフレーム目に対して、同時に撮影された第2映像信号242の先頭フレーム画像の番号をJとして設定する。例えば、第2映像信号242が連続的に(途切れることなく)記録媒体220に記録されていた場合には、J=K×Iとなる。
【0053】
(ステップS208)
映像信号再生部221は、記録媒体220から第2映像信号242のJフレーム目の画像を読み出す。そして、画像合成部222にJフレーム目の画像を送る。
【0054】
(ステップS209)
画像合成部222は、第2映像信号241だけを選択して、第3映像信号243として画像出力部223に出力する。画像出力部223は、この第3映像信号243、すなわち第2映像信号242のJフレーム目の画像を液晶画面111に表示する。
【0055】
(ステップS210)
第2映像信号242のフレーム番号Jを1進める。
【0056】
(ステップS211)
ユーザが液晶画面111に表示されるメニューから停止ボタンにタッチすると、S214に進みスロー再生動作(および再生動作)を終了する。さもなくば、ステップS212に進む。
【0057】
(ステップS212)
ユーザが液晶画面111に表示されるメニューから通常再生ボタンにタッチすると、ステップS213に進み、通常の再生動作に戻る。また、第2映像信号242のJフレーム目が存在しない場合もステップS213に進み、通常の再生動作に戻る。さもなくば、スロー再生動作を継続するためステップS208に戻る。
【0058】
ステップS208〜S212の処理を第1周期で繰返し実行する。すなわち、1秒間にN回繰返し実行する。これによって、第2光学系102で撮影した動画を、撮影動作時の1/K倍速度でスロー再生できる。
【0059】
(ステップS213)
第1映像信号241のフレーム番号Iを、索引データを参照して設定する。すなわち、第2映像信号242のJフレーム目の画像に対して、同時に撮影された第1映像信号241のフレーム画像の番号をIとして設定する。例えば、第2映像信号242が連続的に(途切れることなく)記録媒体220に記録されていた場合には、I=(J/K)により計算すれば良い。ここで、(A)は実数Aを超えない最大の整数を示すものとする。例えば、A=10.2なら(A)=10となる。第1映像信号のフレーム番号Iを設定した後、ステップS201に戻る。
【0060】
(ステップS214)
スロー再生動作および再生動作を終了する。
【0061】
以上説明したように、実施の形態1の撮像装置100は、第1映像信号241と第2映像信号242を互いに異なるフレームレートで記録媒体220に記録する。すなわち映像信号記録部213は、第1映像信号241を第1周期(Nフレーム毎秒)で記録媒体220へ記録する。また第2映像信号242を、第2周期(Mフレーム毎秒)で記録媒体220へ記録する。これによって再生動作時には、第1映像信号241と第2映像信号242を選択して再生できる。
【0062】
また、第2映像信号242は第1周期(Nフレーム毎秒)のK倍の第2周期(Mフレーム毎秒)で記録する。よって、第2映像信号242の各フレーム画像の露光時間は1/K倍に短くなる。これにより、被写体が高速で移動している場合でも、第2映像信号242のフレーム画像では被写体ブレがほとんど無い。
【0063】
しかも第2映像信号はフレーム数がK倍の動画となる。よって、第1周期で第2映像信号242を再生するだけで、1/K倍速のスロー再生が実現できる。しかも、フレーム数がK倍となるので、第1映像信号241を用いた場合に比べて、単位時間当たりK倍のフレームを表示できる。よって、被写体の細かな動きを容易に確認できるという効果がある。
【0064】
また、第1映像信号241と第2映像信号242のフレーム位置関係を示す索引データを作成している。ユーザが第1映像信号241を再生中に、スロー再生動作を指定する。すると、索引データを参照して、直ちに対応する第2映像信号242のフレーム番号が設定される。よって、シームレスに第2映像信号242のスロー再生を開始できるという利点がある。
【0065】
なお、本実施の形態1においては、スロー再生時に第2映像信号242を第1周期(Nフレーム毎秒)で表示したが、この表示周期は任意に変えてもよい。例えば、毎秒2×Nフレーム表示してもよい。毎秒0.5フレームと固定してもよい。
【0066】
あるいは、ステップS210において、フレーム番号の更新をJ=J+2などとしてもよい。すなわち、第2映像信号242の全てのフレーム画像を表示する必要はなく、間引き表示してもよい。
【0067】
なお、本実施の形態1のステップS206においては、第2映像信号242の記録状態を判定している。ここで、対応する第2映像信号242が存在しない場合には、ステップS201に戻って通常再生を継続しているが、第1映像信号241を用いてスロー再生を行っても良い。
【0068】
[実施の形態2]
実施の形態2の撮像装置100の構成は、
図1、
図2、
図3に示す実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。また、動画撮影動作も実施の形態1(
図4)と同じであるので、説明を省略する。
【0069】
実施の形態2の撮像装置100の高画質再生時の動作について、
図6のフローチャートを用いて順に説明する。
【0070】
(ステップS300)
ユーザが切替ボタン110を操作して再生モードを選択する。さらに液晶画面111に表示されるメニューから高画質再生ボタンにタッチすると、タッチパネル112により検出されて、高画質再生動作を開始する。第1映像信号241のフレーム番号IはI=0を初期値として与える。
【0071】
(ステップS301)
第1映像信号241のフレーム番号Iを1進める。
【0072】
(ステップS302)
第2映像信号242の記録状態を判定する。映像信号再生部221が索引データを記録媒体220から読み出す。そして、第1映像信号241のIフレームに対応する第2映像信号242の記録結果が存在するかどうかを判定する。対応する第2映像信号242が存在する場合は、ステップS306に進み第2映像信号242の積算画像生成と再生動作を行う。存在しない場合は、ステップS303に進み第1映像信号241の再生を行う。
【0073】
(ステップS303)
映像信号再生部221は、記録媒体220から第1映像信号241のIフレーム目の画像を読み出す。そして、画像合成部222にIフレーム目の画像を送る。
【0074】
(ステップS304)
画像合成部222は、第1映像信号241だけを選択して、第3映像信号243として画像出力部223に出力する。画像出力部223は、この第3映像信号243、すなわち第1映像信号241のIフレーム目の画像を液晶画面111に表示する。この際、液晶画面111に「通常再生」とオーバーラップ表示させるとよい。
【0075】
(ステップS305)
ユーザが液晶画面111に表示されるメニューから停止ボタンなどにタッチすると、S311に進み高画質再生動作を終了する。ユーザの操作がない場合にはステップS301に戻って再生動作を継続する。
【0076】
以上のステップS301〜S305の処理を第1周期で繰返し実行する。すなわち、1秒間にN回繰返し実行する。
【0077】
(ステップS306)
第2映像信号242のフレーム番号Jを、索引データを参照して設定する。すなわち、第1映像信号241のIフレーム目に対して、同時に撮影された第2映像信号242の先頭フレーム画像の番号をJとして設定する。例えば、第2映像信号242が連続的に(途切れることなく)記録媒体220に記録されていた場合には、J=K×Iとなる。
【0078】
(ステップS307)
映像信号再生部221は、記録媒体220から第2映像信号242のJフレーム目からJ+K−1フレーム目までのK個のフレーム画像を読み出す。そして、画像合成部222へ、読み出したK個のフレーム画像を送る。
【0079】
(ステップS308)
画像合成部222は、読み出したK個のフレーム画像を積算合成する。
【0080】
(ステップS309)
画像合成部222は、積算合成した画像を第3映像信号243(のIフレーム目)の画像として画像出力部223に出力する。画像出力部223は、この第3映像信号243(のIフレーム目)の画像を液晶画面111に表示する。
【0081】
(ステップS310)
ユーザが液晶画面111に表示されるメニューから停止ボタンなどにタッチすると、S311に進み高画質再生動作を終了する。ユーザの操作がない場合にはステップS301に戻って再生動作を継続する。
【0082】
以上のステップS301〜S310の処理も第1周期で繰返し実行する。すなわち、1秒間にN回繰返し実行する。
【0083】
(ステップS311)
高画質再生動作を終了する。
【0084】
このようにして、第2映像信号242の積算画像を第3映像信号243として表示する。第2映像信号は第1周期(Nフレーム毎秒)のK倍の第2周期(Mフレーム毎秒)で記録する。第2映像信号242の各フレーム画像の露光時間は1/K倍に短くなる。よって、被写体が高速で移動している場合でも、第2映像信号242のフレーム画像では被写体ブレがほとんど無い。そこで、ステップS308においては、第2映像信号242の各フレーム間の動き検出を行い、動き量に応じた積算を行う。個々のフレーム画像の動きが少ない領域は、そのまま加算すればよい。被写体の動きが大きい部分は、動き量を考慮して被写体位置を修正しながら加算してもよい。あるいは、動き量に応じて重み付け加算してもよい。こうして、第1映像信号241に比べて、被写体ブレの小さい鮮明な画像を合成できる。
【0085】
あるいは、ステップS308においては、動き検出結果に応じて、積算する画像を選択することも可能である。例えば、第2映像信号242のJフレーム目からK個のフレームのうち、先行するK1個のフレームでは動きが小さく、後続のK2個のフレームでは動きが大きい場合には、先行するK1個のフレームだけを積算しても良い。全フレームで動きが小さい場合には、K個全てのフレームを積算すればよい。全フレームで動きが大きいと判定した場合には、最もノイズの少ない画像を選択して、積算動作は行わずに第3映像信号243としてもよい。
【0086】
また積算画像は、ランダムノイズを消去できるという特徴がある。個々のフレーム画像には、ランダムに発生するノイズが含まれる。しかし、発生位置がランダムであるので、複数の画像を積算合成することでこれをキャンセルできる。また、フレーム間の画像比較からノイズと思われる画素を検出して、周りの画素の輝度や色情報を用いて補間することも可能である。こうすれば、固定的なノイズを減らすことも可能である。
【0087】
また、上述のような各種の積算方法から、最も高画質になる手法を逐次選びながら実施してもよい。あるいは、各積算方法を全て行って候補画像を複数作成してから最も高画質となる(すなわち被写体ブレが無く、ノイズが少ない)画像を選んでもよい。
【0088】
このように、ステップS308において各種の積算方法を選択可能となるのは、再生時に積算処理を行うからである。一般に、記録媒体220として用いるSDカードなどの半導体メモリでは、記録時と再生時の速度が大きく異なることが知られている。すなわち、一定量のデジタルデータを書き込む速度(記録速度)は、それを読み出す速度(再生速度)の2〜10倍程度遅い。高フレームレートの第2周期(Mフレーム毎秒)で第2映像信号242を記録する場合、記録するだけで大半の時間を要することになる。しかし、実施の形態2では再生時に第2映像信号242を積算しているので、記録媒体220から高速に読み出すことができる。よって、十分な処理時間を確保することができるという利点がある。
【0089】
また第3映像信号243の再生フレームレートは、第1映像信号241と同じ第1周期(Nフレーム毎秒)に一致させているので、視聴対象を液晶画面111に限定する必要がない。通常、第1周期としては30フレーム毎秒のフレームレートなどが常用される。この時、画像出力部223からの出力をTVやPCなどの外部機器に接続だけでよい。すると、第1映像信号241だけでなく第3映像信号243も視聴できる。すなわち、被写体ブレの小さい鮮明な画像を、多種多様な機器で視聴できるという利点がある。
【0090】
次に、実施の形態2の撮像装置100の待機状態における動作について、
図7のフローチャートを用いて順に説明する。
【0091】
(ステップS400)
ユーザが切替ボタン110を操作して再生モードや撮影モードを選択した後、待機状態を長時間継続した場合、撮像装置100は、待機時高画質記録動作を開始する。第1映像信号241のフレーム番号IはI=0を初期値として与える。
【0092】
(ステップS401)
第1映像信号241のフレーム番号Iを1進める。
【0093】
(ステップS402)
第2映像信号242の記録状態を判定する。映像信号再生部221が索引データを記録媒体220から読み出す。そして、第1映像信号241のIフレームに対応する第2映像信号242の記録結果が存在するかどうかを判定する。対応する第2映像信号242が存在する場合は、ステップS404に進み第2映像信号242の積算画像生成と記録動作を行う。存在しない場合は、ステップS403に進む。
【0094】
(ステップS403)
ユーザがシャッターボタン103や切替ボタン110を操作した場合、あるいはタッチパネル112を操作した場合には、もはや待機状態ではない。S409に進み待機時高画質記録動作を停止する。ユーザの操作がない場合にはステップS401に戻る。
【0095】
(ステップS404)
第2映像信号242のフレーム番号Jを、索引データを参照して設定する。すなわち、第1映像信号241のIフレーム目に対して、同時に撮影された第2映像信号242の先頭フレーム画像の番号をJとして設定する。例えば、第2映像信号242が連続的に(途切れることなく)記録媒体220に記録されていた場合には、J=K×Iとなる。
【0096】
(ステップS405)
映像信号再生部221は、記録媒体220から第2映像信号242のJフレーム目からJ+K−1フレーム目までのK個のフレーム画像を読み出す。そして、画像合成部222へ、読み出したK個のフレーム画像を送る。
【0097】
(ステップS406)
画像合成部222は、読み出したK個のフレーム画像を積算合成する。積算方法はステップS308と同じ処理がよい。
【0098】
(ステップS407)
画像合成部222は、積算合成した画像を第3映像信号243の画像として映像信号記録部213に出力する。映像信号記録部213は、受け取った第3映像信号243を記録媒体220に記録する。
【0099】
また、第1映像信号241と第3映像信号243のフレーム位置関係を示す索引データ(インデックスデータ)を作成し、記憶媒体220に記録してもよい。すなわち、第1映像信号241のIフレーム目と、第3映像信号243のLフレーム目が同一時刻に撮影されたフレームであることを記録する。
【0100】
(ステップS408)
ユーザがシャッターボタン103や切替ボタン110を操作した場合、あるいはタッチパネル112を操作した場合には、もはや待機状態ではない。S409に進み待機時高画質記録動作を停止する。ユーザの操作がない場合にはステップS401に戻る。
【0101】
以上のステップS401〜S408の処理は、任意の時間をかけて実施すればよい。すなわち、「1秒間にN回繰返し実行する」といった制約はない。
【0102】
(ステップS409)
待機時高画質記録動作を終了する。
【0103】
このようにして、待機時に第2映像信号242の積算画像を合成し、第3映像信号243として記録媒体220に記録する。待機時には再生時よりさらに時間的な余裕があるので、より高画質な(被写体ブレがなく鮮明な)画像を記録できる。
【0104】
なお再生時には、索引データを参照して、記録済みの第3映像信号243の存在をまず確認し、存在する場合には映像信号再生部221がこれを読み出す。画像合成部222は読み出した第3映像信号243を選択して、画像出力部223に出力する。
【0105】
なお、本実施の形態2においては、K個のフレーム画像から1個の積算画像を合成したが、複数の積算画像を合成することも可能である。例えばKフレームのうち、3フレームずつをシフトしながら積算してもよい。すなわち、JとJ+1とJ+2フレームを積算した画像、J+1とJ+2とJ+3フレームを積算した画像、J+K−3とJ+K−2とJ+K−1フレームを積算した画像、と順次合成してもよい。こうして、K個の画像からK−2個の積算画像を合成する。このようにすれば、被写体ブレが無く、しかもランダムノイズなどを消去した鮮明な複数の画像を合成できる。このK−2個の(複数の)積算画像を第3映像信号243として、記録媒体220に記録する。すると、実施の形態1と同様のスロー再生も可能になる。すなわち、スロー再生が選択された時には、第3映像信号243を、実施の形態1の第2映像信号242として取り扱えばよい。より鮮明でノイズの少ない画像を用いたスロー再生が実現できる。
【0106】
また、本実施の形態2では、動画撮影後の再生動作などについて説明を行ったが、本発明はそれに限られるものではない。静止画撮影や連写撮影時にも適用可能である。個々のフレーム画像を1枚の静止画とみなせばよい。
【0107】
[実施の形態3]
実施の形態3の撮像装置100の構成は、
図1、
図2、
図3に示す実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。また、動画撮影動作も実施の形態1(
図4)と同じであるので、説明を省略する。
【0108】
実施の形態3の撮像装置100のHDR再生時の動作について、
図8のフローチャートを用いて順に説明する。
【0109】
(ステップS500)
ユーザが切替ボタン110を操作して再生モードを選択する。さらに液晶画面111に表示されるメニューからHDR再生ボタンにタッチすると、タッチパネル112により検出されて、HDR再生動作を開始する。第1映像信号241のフレーム番号IはI=0を初期値として与える。
【0110】
(ステップS501)
第1映像信号241のフレーム番号Iを1進める。
【0111】
(ステップS502)
映像信号再生部221は、記録媒体220から第1映像信号241のIフレーム目の画像を読み出す。そして、画像合成部222にIフレーム目の画像を送る。
【0112】
(ステップS503)
第2映像信号242の記録状態を判定する。映像信号再生部221が索引データを記録媒体220から読み出す。そして、第1映像信号241のIフレームに対応する第2映像信号242の記録結果が存在するかどうかを判定する。対応する第2映像信号242が存在する場合は、ステップS506に進みHDR画像生成と再生動作を行う。存在しない場合は、ステップS504に進み第1映像信号241の再生を行う。
【0113】
(ステップS504)
画像合成部222は、第1映像信号241だけを選択して、第3映像信号243として画像出力部223に出力する。画像出力部223は、この第3映像信号243、すなわち第1映像信号241のIフレーム目の画像を液晶画面111に表示する。
【0114】
(ステップS505)
ユーザが液晶画面111に表示されるメニューから停止ボタンなどにタッチすると、ステップS512に進み再生動作を終了する。ユーザの操作がなければ、ステップS501に戻って再生動作を継続する。
【0115】
以上のステップS501〜S505の処理を第1周期で繰返し実行する。すなわち、1秒間にN回繰返し実行する。
【0116】
(ステップS506)
第2映像信号242のフレーム番号Jを、索引データを参照して設定する。すなわち、第1映像信号241のIフレーム目に対して、同時に撮影された第2映像信号242の先頭フレーム画像の番号をJとして設定する。例えば、第2映像信号242が連続的に(途切れることなく)記録媒体220に記録されていた場合には、J=K×Iとなる。
【0117】
(ステップS507)
映像信号再生部221は、記録媒体220から第2映像信号242のJフレーム目からJ+K−1フレーム目までのK個のフレーム画像を読み出す。そして、画像合成部222へ、読み出したK個のフレーム画像を送る。
【0118】
(ステップS508)
画像合成部222は、読み出したK個のフレーム画像を積算合成する。積算方法は実施の形態2のステップS308と同じ処理がよい。
【0119】
(ステップS509)
画像合成部222は、第2映像信号242を積算合成した画像と、第1映像信号241のIフレーム目の画像から、HDR画像を合成する。
【0120】
(ステップS510)
合成したHDR画像を、第3映像信号243(のIフレーム目)として画像出力部223に出力する。画像出力部223は、この第3映像信号243(のIフレーム目)の画像を液晶画面111に表示する。
【0121】
(ステップS511)
ユーザが液晶画面111に表示されるメニューから停止ボタンなどにタッチすると、ステップS512に進みHDR再生動作を終了する。ユーザの操作がない場合にはステップS501に戻ってHDR再生動作を継続する。
【0122】
以上のステップS501〜S511の処理も第1周期で繰返し実行する。すなわち、1秒間にN回繰返し実行する。
【0123】
(ステップS512)
高画質再生動作を終了する。
【0124】
ステップS509におけるHDR画像(広ダイナミックレンジ画像)の合成は、例えば以下のように行う。第1映像信号241のIフレーム目の画像は、長時間露光画像である。第2映像信号242のJフレーム目からK個の画像を積算合成した画像は、短時間露光画像である。両画像を輝度信号と色差信号に分離して、各画像の適正露出領域を求める。次に、各適正露出領域に対して諧調補正を行う。そして、適正露出領域だけを使って、両画像を合成する。このようにして、長時間露光画像の適正露出領域と、短時間露光画像の適正露出領域を合成して広ダイナミックレンジな画像、HDR画像が合成できる。
【0125】
第1映像信号241と第2映像信号242は同時に撮影した画像であるので、被写体が高速で移動する場合であっても、被写体ブレの無いHDR画像を合成できる。しかもHDR動画として連続的に表示することも可能である。
【0126】
また、一般に露光時間が短い画像ではノイズ成分が残りやすく、特にランダムノイズが目立つ場合が多い。しかし本実施の形態3では、短時間露出画像として、第2映像信号242の積算合成画像を用いているので、積載合成時にノイズを消去できる。これによって、HDR合成画像のノイズも少なくできる。
【0127】
また上記HDR画像合成の処理過程においてもノイズが悪影響を及ぼす。ノイズ成分が顕著な画像では、適正露出範囲を誤る場合が多い。また、ノイズの輝度に誘引されて諧調補正を失敗する場合がある。しかし本実施の形態3では短時間露出画像のノイズが少ないので、適正露出範囲や諧調補正を精度良く実施でき、より鮮明なHDR合成画像が得られる。
【0128】
なお実施の形態2と同様に、待機時にHDR画像合成処理を行っても良い。この場合には、画像合成部222がHDR画像を生成し、第3映像信号243として映像信号記録部213に出力する。映像信号記録部213は、受け取った第3映像信号243を記録媒体220に記録する。
【0129】
さらに、実施の形態2において説明したように、例えば3フレームずつシフトしながら積算してもよい。これによって、K−2個の積算合成画像が生成できるので、それらを第1映像信号241のIフレーム目の画像と個別に合成してもよい。すると、実施の形態1と同様のスロー再生も可能になる。すなわち、HDR画像のスロー再生が可能になる。
【0130】
また、本実施の形態3では、動画撮影後の再生動作などについて説明を行ったが、本発明はそれに限られるものではない。静止画撮影や連写撮影時にも適用可能である。個々のフレーム画像を1枚の静止画とみなせばよい。
【0131】
[実施の形態4]
実施の形態4の撮像装置100の構成は、
図1、
図2、
図3に示す実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0132】
実施の形態4の撮像装置100のHDR撮影動作時の動作について、
図9のフローチャートを用いて順に説明する。
【0133】
(ステップS600)
ユーザが切替ボタン110を操作して撮影モードを選択する。さらに液晶画面111に表示されるメニューからHDR撮影ボタンにタッチすると、HDR撮影モードに切り変わる。そして、シャッターボタン103を押すと、HDR撮影動作が開始される。すなわち、第1光学系101が形成する光学的な像を、第1撮像素子205が第1電気信号231に変換する。同様に、第2光学系102が形成する光学像は、第2撮像素子206が第2電気信号232に変換する。第1映像信号241のフレーム番号Iはゼロを初期値として与える。
【0134】
(ステップS601)
第1映像信号241のフレーム番号Iを1進める。
【0135】
(ステップS602)
第1映像信号処理部207が、第1電気信号231を第1周期(Nフレーム毎秒)で第1撮像素子205から読み出す。そして、ノイズの除去や増幅処理を行い、第1映像信号241のIフレーム目の画像を、画像合成部222に送出する。
【0136】
(ステップS603)
ステップS602と並行して、第2映像信号処理部208が第2電気信号231を第2周期(Mフレーム毎秒)で第2撮像素子206から読み出す。そして、ノイズの除去や増幅処理を行い、第2映像信号242のJフレームからJ+K−1フレームまでのKフレーム分の画像を画像合成部222に送出する。なお、J=K×Iである。
【0137】
(ステップS604)
画像合成部222は、受け取ったK個のフレーム画像を積算合成する。積算方法は実施の形態2のステップS308と同じ処理がよい。
【0138】
(ステップS605)
画像合成部222は、第2映像信号242のK個のフレーム画像を積算合成した画像と、第1映像信号241のIフレーム目の画像から、HDR画像を合成する。そして、合成したHDR画像を、第3映像信号243(のIフレーム目)として画像出力部223と映像信号記録部213に出力する。HDR画像の合成方法は、実施の形態3のステップS509と同じ処理がよい。
【0139】
(ステップS606)
画像出力部223は、受け取った第3映像信号243(のIフレーム目)の画像を液晶画面111に表示する。
【0140】
(ステップS607)
映像信号記録部213は、受け取った第3映像信号243を記録媒体220に記録する。 また、第1映像信号241と第3映像信号243のフレーム位置関係を示す索引データ(インデックスデータ)を作成し、記憶媒体220に記録してもよい。すなわち、第1映像信号241のIフレーム目と、第3映像信号243のLフレーム目が同一時刻に撮影されたフレームであることを記録する。
【0141】
(ステップS608)
ユーザがシャッターボタン103を再度押した場合には、ステップS609に進んでHDR撮影動作を終了する。シャッターボタン103の操作がない場合には、ステップS601に戻ってHDR撮影動作を継続する。
【0142】
(ステップS609)
HDR撮影動作を終了する。
【0143】
以上のように本実施の形態4においては、撮影時に積算画像の合成とHDR画像合成処理を実施し、その結果を液晶画面111に表示している。よって、ユーザがHDR画像の合成結果を確認しながら撮影を継続できるという利点がある。
【0144】
また、合成したHDR画像を第3映像信号243として記録媒体220に記録する。この第3映像信号243は、第1映像信号241と同じ第1周期のフレームレート(Nフレーム毎秒)で記録する。よって、記憶媒体220の容量を圧迫することなく長時間のHDR録画が可能になる。
【0145】
なお、ステップS605をスキップして(実施しないで)、第2映像信号242の積算画像による高画質動画を、第3映像信号243として表示および記録してもよい。
【0146】
また、本実施の形態4では、動画撮影時の動作などについて説明を行ったが、本発明はそれに限られるものではない。静止画撮影や連写撮影時にも適用可能である。個々のフレーム画像を1枚の静止画とみなせばよい。
【0147】
[実施の形態5]
実施の形態5の撮像装置100の構成は、
図1、
図2、
図3に示す実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0148】
実施の形態5の撮像装置100のAF(オートフォーカス)動作について、
図10のフローチャートを用いて順に説明する。
【0149】
(ステップS700)
ユーザが切替ボタン110を操作して撮影モードを選択すると、AF動作を開始する。
【0150】
(ステップS701)
第2撮像素子206は第2光学系102が形成する光学的な像を第2電気信号232に変換する。第2映像信号処理部208は、この第2電気信号232を第2周期で第2撮像素子206から読み出す。
【0151】
(ステップS702)
第2映像信号処理部208は、第2映像信号242の任意領域を切り出して第2コントラスト検出部210に送出する。第2コントラスト検出部210は、受け取った画像のコントラスト値を計算する。
【0152】
(ステップS703)
第2コントラスト検出部210が計算したコントラスト値などから、第2光学系102の合焦状態を判定する。合焦していると判定した場合は、ステップS705へ進む。合焦状態が確定していなければ、ステップS704に進む。
【0153】
(ステップS704)
第2フォーカス駆動部212を制御して、第2フォーカスレンズ204を移動させる。そして、ステップS701に戻る。
【0154】
以上のようにして、ステップS701〜S704の処理を第2周期で繰返し実行する。すなわち、1秒間にM回繰返し実行する。こうして、合焦サーチ動作を実行する。なお、合焦サーチ動作のアルゴリズムとしては、ウォブリング(微小振幅の振動)を使って、逐次コントラスト値を比較する山登り方式がよい。あるいは、一定区間をサーチして複数のコントラスト値を求めた後、コントラスト値のピーク位置を予測する方法でもよい。
【0155】
(ステップS705)
合焦サーチ動作が完了したら、第2フォーカス駆動部212を制御して、第2フォーカスレンズ204を合焦位置に移動させる。同時に、第1フォーカス駆動部211を制御して、第1フォーカスレンズ203も合焦位置に移動させる。
【0156】
(ステップS706)
ユーザが切替ボタン110を操作して電源OFFまたは再生モードを選択すると、ステップS707に進みAF動作を終了する。ユーザの操作がない場合には、ステップS701に戻ってAF動作を継続する。
【0157】
(ステップS707)
AF動作を終了する。
【0158】
以上のように本実施の形態5においては、第2光学系102のAF動作を第2周期(Mフレーム毎秒)で行っているので、被写体の高速移動による合焦位置変化にも瞬時に対応できる。しかも第1周期(Nフレーム毎秒)で撮影している第1光学系101についても被写体の高速移動に伴う合焦ずれを解消できるという効果がある。すなわち、第1映像信号241のIフレーム目の画像を露光中に、第2光学系102のAF動作はK倍高速な第2周期で実施される。よって、第1映像信号241のIフレーム目の露光が完了する前に、AFサーチ動作を完了させて、第1フォーカス駆動部211を制御し、第1フォーカスレンズ203も第1光学系101の合焦位置に移動できる。
【0159】
なお、第1周期と第2周期の関係は、必ずしもM>Nとする必要はなく、M<Nでもよい。例えば、太陽などの強い光源によって、背景の一部が非常に明るい場合に、光源と反対向きの被写体(例えば顔)が暗くなる場合がある。このような場合に被写体の顔に合焦させたい場合には、M<Nとして第2光学系を長時間露光としてもよい。AFの動作速度は遅くなるが、露光時間を長くできるので暗い顔にも正確に合焦することができる。
【0160】
なお、第1コントラスト検出部209は、通常の動作を行えばよい。第1フォーカス駆動部211は、第1コントラスト検出部209の指令に従う。そして、第2コントラスト検出部210からの指令があった時だけ、これを優先すればよい。