特許第6031671号(P6031671)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031671
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】コモンモードノイズフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20161114BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20161114BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   H01F15/10 C
   H01F17/00 B
   H01F15/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-90760(P2012-90760)
(22)【出願日】2012年4月12日
(65)【公開番号】特開2013-219295(P2013-219295A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 託司
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
【審査官】 久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−72065(JP,A)
【文献】 特開2010−192643(JP,A)
【文献】 特開平8−55727(JP,A)
【文献】 特開2002−260925(JP,A)
【文献】 特開平9−205021(JP,A)
【文献】 特開平11−265823(JP,A)
【文献】 特開2006−286934(JP,A)
【文献】 特開2009−231307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 5/00−5/06、17/00−19/08
H01F 27/28−27/30、30/00−38/12
H01F 38/16、38/42、41/00−41/04、41/10
H03H 7/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の渦巻状導体と、前記第1の渦巻状導体と接続された第1の引出用導体と、前記第1の渦巻状導体と対向するように設けられた第2の渦巻状導体と、前記第2の渦巻状導体と接続された第2の引出用導体と、前記第1、第2の渦巻状導体の一端部にそれぞれ形成された第1、第2の引出電極と、前記第1、第2の渦巻状導体、第1、第2の引出用導体を備え、上下方向に積層された複数の絶縁層と、これらを有する本体部と、前記本体部の表面に設けられた第1〜第4の外部電極とを備え、前記第1、第2の引出電極を絶縁層から露出しないようにし、前記第1、第2の引出電極それぞれの上下面に形成された絶縁層を貫通する導電体を設け、かつ前記第1、第2の引出電極それぞれを前記導電体で挟むようにして前記第1、第2の引出電極と前記導電体とを接続し、前記導電体、第1、第2の引出用導体を第1〜第4の外部電極にそれぞれ接続するようにしたコモンモードノイズフィルタ。
【請求項2】
第1の渦巻状導体と、前記第1の渦巻状導体と接続された第3の渦巻状導体と、前記第1の渦巻状導体と対向するように設けられた第2の渦巻状導体と、前記第2の渦巻状導体と接続された第4の渦巻状導体と、前記第1〜第4の渦巻状導体の一端部にそれぞれ形成された第1〜第4の引出電極と、前記第1〜第4の渦巻状導体を備え、上下方向に積層された複数の絶縁層と、これらを有する本体部と、前記本体部の表面に設けられた第1〜第4の外部電極とを備え、前記第1〜第4の引出電極を絶縁層から露出しないようにし、前記
第1〜第4の引出電極それぞれの上下面に形成された絶縁層を貫通する導電体を設け、かつ前記第1〜第4の引出電極それぞれを前記導電体で挟むようにして前記第1〜第4の引出電極それぞれを前記導電体に接続させ、前記それぞれの導電体を第1〜第4の外部電極に接続するようにしたコモンモードノイズフィルタ。
【請求項3】
第1、第2の引出電極の幅を、第1、第2の渦巻状導体の幅より広くした請求項1記載のコモンモードノイズフィルタ。
【請求項4】
上面視で前記導電体が前記第1、第2の引出電極全体を覆うようにした請求項1記載のコモンモードノイズフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル機器やAV機器、情報通信端末等の各種電子機器に使用されるコモンモードノイズフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のコモンモードノイズフィルタは、図9に示すように、第1〜第4の絶縁層1a〜1dの各々の上面に第1、第2の渦巻状導体2a、3aと、第1、第2の引出用導体2b、3bとを設け、そして第1の渦巻状導体2aと第1の引出用導体2bとを接続することにより1つのコイルを形成するとともに、第2の渦巻状導体3aと第2の引出用導体3bとを接続することにより他のコイルを形成し、さらに第1、第2の渦巻状導体2a、3aの先端部にはそれぞれ引出電極4a、4bが設けられていた。そして、各引出電極4a、4b、第1、第2の引出用導体2b、3bは外部電極(図示せず)と直接接続されていた。
【0003】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−150168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来のコモンモードノイズフィルタにおいては、製品が小型化されると、第1、第2の渦巻状導体2a、3aを形成できる場所の絶縁層全体に占める割合が大きくなるため、引出電極4a、4bの面積は必然的に小さくなり、そして、引出電極4a、4bの面積が小さいと、個片状に分割する際に引出電極4a、4bが剥がれたり、破れたりして、外部電極との接続性が劣化するという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、小型化しても外部電極との接続信頼性を向上させることができるコモンモードノイズフィルタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明は、第1の渦巻状導体と、前記第1の渦巻状導体と接続された第1の引出用導体と、前記第1の渦巻状導体と対向するように設けられた第2の渦巻状導体と、前記第2の渦巻状導体と接続された第2の引出用導体と、前記第1、第2の渦巻状導体の一端部にそれぞれ形成された第1、第2の引出電極と、前記第1、第2の渦巻状導体、第1、第2の引出用導体を備え、上下方向に積層された複数の絶縁層と、これらを有する本体部と、前記本体部の表面に設けられた第1〜第4の外部電極とを備え、前記第1、第2の引出電極を絶縁層から露出しないようにし、前記第1、第2の引出電極それぞれの上下面に形成された絶縁層を貫通する導電体を設け、かつ前記第1、第2の引出電極それぞれを前記導電体で挟むようにして前記第1、第2の引出電極と前記導電体とを接続し、前記導電体、第1、第2の引出用導体を第1〜第4の外部電極にそれぞれ接続するようにしたもので、この構成によれば、第1、第2の引出電極が絶縁層から露出していないため、第1、第2の引出電極の面積が小さくなっても、分割時に剥がれたり、破れたりすることはなく、また、第1、第2の引出電極はそれぞれの上下に形成された導電体に接続されているため、外部電極に接続される導電体と第1、第2の引出電極との接続面積を広くすることができ、これにより、第1、第2の引出電極と外部電極との接続信頼性を向上させることができるという作用効果を有するものである。
【0009】
本発明の請求項2に記載の発明は、第1の渦巻状導体と、前記第1の渦巻状導体と接続された第3の渦巻状導体と、前記第1の渦巻状導体と対向するように設けられた第2の渦巻状導体と、前記第2の渦巻状導体と接続された第4の渦巻状導体と、前記第1〜第4の渦巻状導体の一端部にそれぞれ形成された第1〜第4の引出電極と、前記第1〜第4の渦巻状導体を備え、上下方向に積層された複数の絶縁層と、これらを有する本体部と、前記本体部の表面に設けられた第1〜第4の外部電極とを備え、前記第1〜第4の引出電極を絶縁層から露出しないようにし、前記第1〜第4の引出電極それぞれの上下面に形成され
た絶縁層を貫通する導電体を設け、かつ前記第1〜第4の引出電極それぞれを前記導電体で挟むようにして前記第1〜第4の引出電極それぞれを前記導電体に接続させ、前記それぞれの導電体を第1〜第4の外部電極に接続するようにしたもので、この構成によれば、第1〜第4の引出電極が絶縁層から露出していないため、第1〜第4の引出電極の面積が小さくなっても、分割時に剥がれたり、破れたりすることはなく、また、第1〜第4の引出電極はそれぞれの上下に形成された導電体に接続されているため、外部電極に接続される導電体と第1〜第4の引出電極との接続面積を広くすることができ、これにより、第1〜第4の引出電極と外部電極との接続信頼性を向上させることができるという作用効果を有するものである。
【0010】
本発明の請求項3に記載の発明は、特に、第1、第2の引出電極の幅を、第1、第2の渦巻状導体の幅より広くしたもので、この構成によれば、第1、第2の引出電極と導電体との接続面積をより広くすることができるため、外部電極との接続信頼性をより向上させることができるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明のコモンモードノイズフィルタは、第1、第2の引出電極を絶縁層から露出しないようにしているため、第1、第2の引出電極の面積が小さくなっても、分割時に剥がれたり、破れたりすることはなく、また、第1、第2の引出電極それぞれの上下面に形成された絶縁層を貫通する導電体を設け、かつ第1、第2の引出電極それぞれを導電体で挟むようにして第1、第2の引出電極と導電体とを接続させ、導電体、第1、第2の引出用導体を第1〜第4の外部電極にそれぞれ接続するようにしているため、第1、第2の引出電極はそれぞれの上下に形成された導電体に接続され、これにより、外部電極に接続される導電体と第1、第2の引出電極との接続面積を広くすることができるため、第1、第2の引出電極と外部電極との接続信頼性を向上させることができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1におけるコモンモードノイズフィルタの分解斜視図
図2】同コモンモードノイズフィルタの斜視図
図3】同コモンモードノイズフィルタの生産途中の状態を示す上面図
図4】同コモンモードノイズフィルタの生産途中の状態を示す斜視上面図
図5】同コモンモードノイズフィルタの主要部の断面斜視図
図6】同コモンモードノイズフィルタの生産途中の状態を示す上面図
図7】同コモンモードノイズフィルタの生産途中の状態を示す斜視上面図
図8】本発明の実施の形態2におけるコモンモードノイズフィルタの分解斜視図
図9】従来のコモンモードノイズフィルタの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1、3に記載の発明について説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態1におけるコモンモードノイズフィルタの分解斜視図、図2は同コモンモードノイズフィルタの斜視図である。
【0015】
本発明の実施の形態1におけるコモンモードノイズフィルタは、図1図2に示すように、第1の渦巻状導体11と、前記第1の渦巻状導体11と接続された第1の引出用導体12と、前記第1の渦巻状導体11と対向するように設けられた第2の渦巻状導体13と、前記第2の渦巻状導体13と接続された第2の引出用導体14と、前記第1、第2の渦巻状導体11、13の一端部にそれぞれ形成された第1、第2の引出電極15、16と、前記第1、第2の渦巻状導体11、13、第1、第2の引出用導体12、14を備えた第1〜第5の絶縁層17a〜17eと、これらを有する本体部18と、前記本体部18の表面に設けられた第1〜第4の外部電極19〜22とを備えた構成としている。
【0016】
また、第1、第2の引出電極15、16を第1〜第5の絶縁層17a〜17eから露出しないようにし、前記第1、第2の引出電極15、16それぞれの上下に形成された第1〜第5の絶縁層17a〜17eを貫通する導電体23を設け、かつ前記第1、第2の引出電極15、16と前記導電体23とを接続させ、前記導電体23、第1、第2の引出用導体12、14を第1〜第4の外部電極19〜22のそれぞれと接続するようにしている。
【0017】
上記構成において、前記第1の渦巻状導体11は、第2の絶縁層17bの上面に、銀等の導電材料を渦巻状にめっきすることにより形成されている。さらに、第1の渦巻状導体11の一端部には、第1の引出電極15が形成されている。
【0018】
また、前記第1の引出用導体12は、第1の絶縁層17aの上面に、銀等の導電材料を直線状にめっきすることにより形成されている。そして、第2の絶縁層17bに形成された第1のビア24aを介して第1の渦巻状導体11の他端部と第1の引出用導体12の他端部が接続され、一つのコイルが構成される。なお、第1の引出用導体12の一端部は第3の引出電極25が形成されている。
【0019】
さらに、前記第2の渦巻状導体13は、第3の絶縁層17cの上面に、銀等の導電材料を渦巻状にめっきすることにより形成されている。さらに、第2の渦巻状導体13の一端部には、第2の引出電極16が形成されている。
【0020】
そして、第1の渦巻状導体11と第2の渦巻状導体13は第3の絶縁層17cを介して上下方向に隣り合うように形成され、かつ第2の渦巻状導体13は、その大部分が第1の渦巻状導体11と第3の絶縁層17cを介して上面視にて重なるように対向している。これにより、第1の渦巻状導体11と第2の渦巻状導体13は、互いに磁気的な影響を及ぼし合うため、第1の渦巻状導体11と第2の渦巻状導体13との間で磁気結合することになり、これにより、コモンモード成分のインピーダンスを大きくすることができる。
【0021】
さらに、前記第2の引出用導体14は、第4の絶縁層17dの上面に、銀等の導電材料を直線状にめっきすることにより形成されている。そして、第4の絶縁層17dに形成された第2のビア24bを介して第2の渦巻状導体13の他端部と第2の引出用導体14の他端部が接続され、他のコイルが構成される。なお、第2の引出用導体14の一端部には第4の引出電極26が形成されている。
【0022】
そしてまた、第1〜第4の引出電極15、16、25、26は、第1〜第5の絶縁層17a〜17eから露出せず、それぞれ第1、第2の渦巻状導体11、13、第1、第2の引出用導体12、14の幅より広くなっている。
【0023】
また、前記第1〜第5の絶縁層17a〜17eは、Cu−Znフェライト、ガラスセラミックス等の非磁性材料によりシート状に構成されているもので、絶縁性を有している。さらに、この第1〜第5の絶縁層17a〜17eは、下から順に積層され、その端面の所定箇所には第1〜第5の絶縁層17a〜17eの側面に露出し、かつ第1〜第5の絶縁層17a〜17eを貫通する導電体23が形成されている。
【0024】
そして、第1の絶縁層17aの端面には第3の引出電極25と接続する導電体23、第2の絶縁層17bの端面には第1の引出電極15、第3の引出電極25と接続する導電体23、第3の絶縁層17cの端面には第1の引出電極15、第2の引出電極16と接続する導電体23、第4の絶縁層17dの端面には第2の引出電極16、第4の引出電極26と接続する導電体23、第5の絶縁層17eの端面には第4の引出電極26と接続する導電体23がそれぞれ形成されている。
【0025】
この導電体23は、図3のように、個片状に分割する前に切断線27を跨ぐように貫通孔を形成し、この貫通孔にAg等の導電物を充填した後に切断線27で個片状に分割することで形成する。なお、貫通孔にAg等の導電物を充填した後個片状に分割する前に第2の渦巻状導体13を形成する。そして、図4に示すように、第2の渦巻状導体13に接続された第2の引出電極16は、第2の渦巻状導体13が形成された第3の絶縁層17cに形成された導電体23と、第2の渦巻状導体13の上面の第4の絶縁層17dに形成された導電体23とで挟まれた構成となり、導電体23が第2の引出電極16の上下面の一部または全部を覆うようになっている。なお、図3図4では、第2の渦巻状導体13、第4の引出用導体14について説明したが、第1の渦巻状導体11、第2の引出用導体12についても同様である。また、図3では第4の引出用導体14を同時に示しているが、図4では第4の引出用導体14を省略している。
【0026】
そして、第2、第4の絶縁層17b、17dの所定位置にはそれぞれ第1、第2のビア24a、24bが形成されている。なお、この第1、第2のビア24a、24bは、第2の絶縁層17b、第4の絶縁層17dに貫通する孔をそれぞれ形成し、そして、この孔に銀等の導電体を充填することにより構成する。
【0027】
さらに第1の絶縁層17aの下面、第5の絶縁層17eの上面に、Ni−Cu−Znフェライト等の絶縁性の磁性材料をシート状に構成した磁性層28が形成されている。
【0028】
上記のように積層することにより、コモンモードノイズフィルタの本体部18が形成される。
【0029】
なお、第1〜第5の絶縁層17a〜17eの一部または全部を磁性体で構成してもよい。また、第1〜第5の絶縁層17a〜17e、磁性層28の枚数は、図1に記載された枚数に限定されるものではない。
【0030】
さらに、前記本体部18には、その両端面に、図2に示すように、第1〜第4の外部電極19〜22が設けられ、そしてこの第1〜第4の外部電極19〜22は、第1の渦巻状導体11の一端部に形成された第1の引出電極15、第2の渦巻状導体13の一端部に形成された第2の引出電極16、第1の引出用導体12の一端部に形成された第3の引出電極25、第2の引出用導体14の一端部に形成された第4の引出電極26と、それぞれ導電体23を介して接続されている。なお、第1〜第4の外部電極19〜22は、本体部18の端面に銀を印刷することにより形成され、またこれらの表面にめっきによってニッケルめっき層を形成するとともに、このニッケルめっき層の表面にめっきによってすずやはんだ等の低融点金属めっき層を形成する。
【0031】
上記したように本発明の実施の形態1におけるコモンモードノイズフィルタにおいては、第1、第2の引出電極15、16を第2、第3の絶縁層17b、17cから露出しないようにしているため、第1、第2の引出電極15、16の面積が小さくなっても、分割時に剥がれたり、破れたりすることはなく、また、第1、第2の引出電極15、16それぞれの上下に形成された第1〜第4の絶縁層17a〜17dを貫通する導電体23を設け、かつ第1、第2の引出電極15、16と導電体23とを接続させ、2つの導電体23、第1、第2の引出用導体12、14を第1〜第4の外部電極19〜22にそれぞれ接続するようにしているため、第1、第2の引出電極15、16はそれぞれの上下に形成された導電体23に接続され、これにより、外部電極19、20に接続される導電体23と第1、第2の引出電極15、16との接続面積を広くすることができるため、外部電極との接続信頼性を向上させることができるという効果が得られるものである。
【0032】
すなわち、製品が小型化された場合に、導体が渦巻状だと、この渦巻状導体を形成できる場所の絶縁層全体に占める割合が大きくなるため、外部電極に接続される引出電極を形成できる範囲は必然的に小さくなり、これにより、引出電極の面積が小さくなるため、個片状に分割する際に引出電極が剥がれたり、破れたりするが、本発明のように、第1、第2の引出電極15、16を第2、第3の絶縁層17b、17cから露出しないようにすれば、第1、第2の引出電極15、16の面積が小さくても、第1、第2の引出電極15、16は切断されることはないため、個片状に分割する際に引出電極がダメージを受けることはない。また、第1、第2の引出電極15、16の上下の絶縁層17a〜17dに導電体23を形成し、図5に示すように、この2つの導電体23で第1、第2の引出電極15、16それぞれを挟み、第1、第2の引出電極15、16の上下面の一部または全部とその先端部を導電体23が覆うようになっているため、導電体23と第1、第2の引出電極15、16との接続面積を大きくすることができる。そして、外部電極19、20は、2層の絶縁層の厚みと同じ厚みの導電体23と接続されるため、外部電極19、20と導電体23との接続面積も大きくすることができる。これらの結果、第1、第2の引出電極15、16と外部電極19、20との接続信頼性が向上する。
【0033】
さらに、上面視で導電体23が第1、第2の引出電極15、16全体を覆うように構成すれば、導電体23と第1、第2の引出電極15、16との接続面積をより大きくすることができ、これにより、第1、第2の引出電極15、16と外部電極19、20との接続信頼性をより向上させることができる。
【0034】
一方、導体を螺旋状にすると、導体を設ける面積を小さく(絶縁層のより内側に)形成すれば、引出電極の面積を大きくすることはできるが、高インピーダンスを得ようとすると、積層数が増えて、小型化に適さない。
【0035】
また、上述したように、第1、第2の引出用導体12、14の一端部に、絶縁層17a、17dに露出しない引出電極25、26を形成することによって、第1、第2の引出用導体12、14と外部電極21、22との接続信頼性も向上する。なお、第1、第2の引出用導体12、14の一端部に、絶縁層17a、17dに露出しない引出電極25、26を必ずしも形成する必要はなく、この場合は、第1、第2の引出用導体12、14または絶縁層17a、17dに露出した引出電極25、26が外部電極21、22と直接接続される。
【0036】
また、図6図7に示すように、縦横の切断線27の交点付近に引出電極を形成してもよく、この場合、導電体23は絶縁層の4隅に形成される。
【0037】
さらに、第1、第2の引出電極15、16の幅を第1、第2の渦巻状導体11、13の幅より広くしなくてもよい。なお、上記本発明の実施の形態1で説明したように幅を広くすれば、第1、第2の引出電極15、16と導電体23との接続面積をより広くすることができるため、外部電極19、20との接続信頼性をより向上させることができ、好ましい。
【0038】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項2に記載の発明について説明する。
【0039】
図8は本発明の実施の形態2におけるコモンモードノイズフィルタの分解斜視図である。なお、この本発明の実施の形態2においては、上記した本発明の実施の形態1と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。
【0040】
本発明の実施の形態2が上記した本発明の実施の形態1と相違する点は、図8に示すように、第1の引出用導体12を渦巻状にして第3の渦巻状導体29を構成し、第2の引出用導体14を渦巻状にして第4の渦巻状導体30を構成した点である。
【0041】
また、第3の渦巻状導体29を第2の渦巻状導体13より上方に形成するとともに、第4の渦巻状導体30を第1の渦巻状導体11の下方に形成し、さらに、第1の渦巻状導体11と第3の渦巻状導体29との間に第2の渦巻状導体13を配置し、第2の渦巻状導体13と第4の渦巻状導体30との間に第1の渦巻状導体11を配置している。
【0042】
このような構成により、上記した本発明の実施の形態1と同様に、第1〜第4の外部電極19〜22との接続信頼性を向上させることができ、さらに、第1の渦巻状導体11と第2の渦巻状導体13だけでなく、第1の渦巻状導体11と第4の渦巻状導体30、第2の渦巻状導体13と第3の渦巻状導体29についても磁気結合させることができるため、コモンモードノイズの除去特性を向上させることができる。
【0043】
なお、上記した本発明の実施の形態1、2におけるコモンモードノイズフィルタでは、第1〜第4の渦巻状導体11、13、29、30、第1、第2の引出用導体12、14をめっきで形成するようにしたが、印刷、蒸着等の他の方法で形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係るコモンモードノイズフィルタは、小型化しても外部電極との接続信頼性を向上させることができるという効果を有するものであり、特にデジタル機器やAV機器、情報通信端末等の各種電子機器のノイズ対策として使用されるコモンモードノイズフィルタ等において有用となるものである。
【符号の説明】
【0045】
11 第1の渦巻状導体
12 第1の引出用導体
13 第2の渦巻状導体
14 第2の引出用導体
15 第1の引出電極
16 第2の引出電極
17a〜17e 第1〜第5の絶縁層
18 本体部
19〜22 第1〜第4の外部電極
23 導電体
29 第3の渦巻状導体
30 第4の渦巻状導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9