(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水冷媒熱交換器を通過した前記冷媒を、膨張させて前記第1の冷媒導出部へ送るか、高圧のまま前記第1の冷媒導出部へ送るか、切替え可能な膨張弁機能付き開閉弁を、 さらに具備する請求項1記載の車両用ヒートポンプ装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態の車両用ヒートポンプ装置および車両用空調装置を示す構成図である。
【0018】
本発明の実施形態の車両用空調装置は、車両用ヒートポンプ装置10と、エンジン冷却器40(内燃機関冷却器に相当)と、ヒータコア44と、エバポレータ48と、圧縮機1
2と、膨張弁52と、室外熱交換器56と、開閉弁60と、これらの間を結ぶ冷却液の配管、冷媒配管、および接続部等から構成される。ヒータコア44(暖房用熱交換器に相当)、および、エバポレータ48は車室内に搭載されるHVAC70に含まれる。ここでは、ファイアーウォールより室内側を車室内と呼んでいる。
【0019】
車両用ヒートポンプ装置10は、水冷媒熱交換器14と、アキュムレータ16と、三方弁18と、逆止弁20と、オリフィス付開閉弁22と、開閉弁24と、筐体26と、冷却液導入管31と、冷却液導出管32と、2つの冷媒導出管33、35と、2つの冷媒導入管34,36と、制御部38とを備えている。
【0020】
圧縮機12は、吸入した冷媒を高温高圧に圧縮して吐出する。圧縮機12は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機構を内部に備える。この圧縮機構は、例えば、電動モータにより駆動される。圧縮機12の冷媒の吸入口は、配管および接続部19を介してエバポレータ48の冷媒通路の出口と連通している。さらに、圧縮機12の冷媒の吸入口は、配管および接続部19を介して冷媒導出管35とも連通している。接続部19は、エバポレータ48の冷媒通路の出口と、冷媒導出管35と、圧縮機12の冷媒の吸入口とを単に連通するものである。また、圧縮機12の冷媒の吐出口は、冷媒導入管36を介して水冷媒熱交換器14の冷媒通路の入口に連通している。
【0021】
水冷媒熱交換器14は、冷却液の通路と冷媒通路とを有し、これらの通路が大きな面積で熱交換可能に接触して構成される。冷媒通路の入口は圧縮機12の吐出口に連通し、冷媒通路の出口はオリフィス付開閉弁22が付設された冷媒導出管33に連通している。冷却液の通路の入口は配管を介して三方弁18に接続され、冷却液の出口は配管を介して逆止弁20に接続されている。
【0022】
水冷媒熱交換器14には、圧縮機12の駆動中、高温高圧の冷媒が流れる一方、冷却液は三方弁の切り替えによって流れ有りの状態と停止の状態とに切り替えられる。冷却液が流れれば、高温高圧冷媒から冷却液へ放熱が行われ、冷却液が停止すれば、高温高圧冷媒はほぼそのままの温度で水冷媒熱交換器14を通過する。
【0023】
三方弁18は、電気的な制御により、冷却液導入管31から導入された冷却液を、水冷媒熱交換器14側および冷却液導出管32側の何れか一方に切り替えて流す。
【0024】
逆止弁20は、水冷媒熱交換器14への冷却液の逆流を防止する。
【0025】
この実施の形態においては、三方弁18および逆止弁20が、冷却液を水冷媒熱交換器14へバイパスさせるか否かを切り替える冷却液切替弁に相当する。
【0026】
オリフィス付開閉弁22は膨張弁機能付き開閉弁に相当する。オリフィス付開閉弁22は、暖房運転時に膨張弁としての機能を有する開閉弁であり、制御部38による電気的な制御によって状態が切り替えられる。オリフィス付開閉弁22は、例えば、大径の通路と、小径の通路を有するオリフィスとを有し、大径の通路が開閉可能に構成されている。オリフィス付開閉弁22は、大径の通路が開いたときに、冷媒をそのまま通過させ、大径の通路が閉じてオリフィスの通路だけ通じているときに、高圧の冷媒を小径の通路に通して膨張させる。膨張した冷媒は、低温低圧の冷媒となる。
【0027】
オリフィス付開閉弁22に替えて、開閉弁とこの開閉弁をバイパスした経路を設け、このバイパスした経路にオリフィスを設置する事で、オリフィス付開閉弁22と同様の機能を持たせることも可能である。また電子膨張弁を設定し、全開時に冷媒をそのまま通過させ、この電子膨張弁の開度を調整して膨張弁の役目を果たしても良い。いずれも、膨張弁
機能付き開閉弁に相当するものである。
【0028】
冷媒導入管34は、開閉弁24を介してアキュムレータ16の入力口に連通している。アキュムレータ16の出力口は冷媒導出管35に連通している。開閉弁24は、制御部38による電気的な制御によって、冷媒導入管34とアキュムレータ16の入力口との間の通路を開閉する。
【0029】
アキュムレータ16は、気相および液相の冷媒を分離して気相の冷媒のみを冷媒導出管35を介して圧縮機12へ送る。
【0030】
上記の三方弁18、オリフィス付開閉弁22、開閉弁24は、例えば、車両用空調装置の制御装置から電気信号が送られて、状態が切り替えられる。或いは、三方弁18、オリフィス付開閉弁22、開閉弁24は、車両用空調装置の制御装置の指令を受けて、車両用ヒートポンプ装置10の制御部38が信号を出力して、状態が切り替わる構成としてもよい。
【0031】
筐体26は、水冷媒熱交換器14、アキュムレータ16、三方弁18、逆止弁20、オリフィス付開閉弁22、および、開閉弁24を収容し、これらの構成を一体的にパッケージングする。筐体26の周囲は断熱されていてもよい。
【0032】
冷媒導出管33、および、冷媒導出管35は、車両用ヒートポンプ装置10の第1の冷媒導出部、第2の冷媒導出部にそれぞれ相当する。また、冷媒導入管36、および、冷媒導入管34は、車両用ヒートポンプ装置10の第1の冷媒導入部、および、第2の冷媒導入部にそれぞれ相当する。冷媒導出管33、35および冷媒導入管34,36は、筐体26の外部に一端が露出し、車両用空調装置の冷媒配管と連結される。冷媒導出管33、35および冷媒導入管34,36の一端には、配管連結用のコネクタまたはソケットが設けられていてもよい。
【0033】
エンジン冷却器40およびヒータコア44が、冷却液導出管32および冷却液導入管31の間に直列に接続されている。また、室外熱交換器56およびエバポレータ48が、この順で冷媒導出管33と圧縮機12の吸入口との間に直列に接続されている。
【0034】
また、エバポレータ48と圧縮機12の吸入口とを接続する冷媒通路は、冷媒導出管35とも接続されている。さらに、室外熱交換器56およびエバポレータ48との間の冷媒通路が分岐して冷媒導入管34と接続されている。以下、詳細に説明する。
【0035】
冷却液導入管31と冷却液導出管32とは、車両用ヒートポンプ装置10の冷却液の導入部および導出部にそれぞれ相当する。冷却液導入管31および冷却液導出管32は、筐体26の外部に一端が露出し、車両用空調装置の冷却液の配管と連結される。冷却液導入管31および冷却液導出管32の一端には、配管連結用のコネクタまたはソケットが設けられていてもよい。
【0036】
エンジン冷却器40は、内燃機関の周囲に冷却液を流すウォータジャケットと、ウォータジャケットに冷却液を流すポンプとを具備し、ウォータジャケットに流れる冷却液へ内燃機関から熱を放出させる。ウォータジャケットの冷却液の通路の入口および出口は、ヒータコア44と車両用ヒートポンプ装置10の冷却液導入管31とにそれぞれ連通する。
【0037】
ヒータコア44は、冷却液と空気との熱交換を行う機器であり、車室内へ空気を供給するHVAC70の吸気通路B内に配置される。ヒータコア44の冷却液の通路は、エンジン冷却器40と、車両用ヒートポンプ装置10の冷却液導出管32に連通する。HVAC
70の吸気通路Bには、ファンF2によって外気等が導入される。
【0038】
エバポレータ48は、低温低圧に膨張された冷媒と、空気との熱交換を行う機器であり、HVAC70の吸気通路B内に配置される。低温低圧に膨張された冷媒は、エバポレータ48を通過する際に、空気から熱を吸収して気化する。エバポレータ48の冷媒通路の入口は、膨張弁52と開閉弁60とを間に挟んで、配管を介して室外熱交換器56に連通している。エバポレータ48の冷媒通路の出口は、配管および接続部19を介して圧縮機12の吸入口に連通している。
【0039】
膨張弁52は、高圧の冷媒を低温低圧に膨張して、エバポレータ48に吐出する。膨張弁52は、車両用ヒートポンプ装置10の外部で、エバポレータ48に近接する位置に連結されている。
【0040】
室外熱交換器56は、冷媒を流す通路と、空気を流す通路とを有し、例えばエンジンルーム内の車両の先頭付近に配置されて、各通路を流れる冷媒と外気との間で熱交換を行う。室外熱交換器56の冷媒通路の入口は、配管を介して車両用ヒートポンプ装置10の冷媒導出管33に連通する。また、冷媒通路の出口は、途中で2本の配管に分岐して、エバポレータ48および車両用ヒートポンプ装置10の一つの冷媒導入管34にそれぞれ連通する。
【0041】
室外熱交換器56には、暖房運転時には低温低圧の冷媒が流れて外気から熱を吸収し、冷房運転時には高温高圧の冷媒が流れて外気へ熱を放出する。室外熱交換器56には、例えば、ファンF1により外気が吹き付けられる。
【0042】
開閉弁60は、室外熱交換器56からエバポレータ48へ冷媒を流す配管の途中に設けられ、電気的な制御によって、この通路の開閉を行う。
[冷房運転動作]
図2は、実施形態の車両用空調装置における冷房運転時の動作を説明する図である。図の配管の網掛け部分は、冷媒または冷却液の流れがないことを示す。
【0043】
冷房運転時には、開閉弁24が閉、開閉弁60が開、オリフィス付開閉弁22が開、三方弁18の水冷媒熱交換器14側が閉に切り替えられる。
【0044】
この切替により、冷却液は、エンジン冷却器40とヒータコア44とを循環する一方、冷却液は水冷媒熱交換器14に流れない。HVAC70内の吸気通路Bにおいては、ヒータコア44に風が流れないようにエアミックスダンパが切り替えられることで、車室内へ供給される送風への加熱は行われない。
【0045】
冷媒は、圧縮機12により高温高圧に圧縮されたのち、水冷媒熱交換器14を高温のまま通過して室外熱交換器56へ送られる。その後、冷媒は、室外熱交換器56で冷却された後、膨張弁52を通過して低温低圧に膨張し、続いてエバポレータ48へ送られる。エバポレータ48では、車室内へ送られる空気から冷媒へ吸熱が行われて、空気の冷却と冷媒の気化とが行われる。気化した冷媒は圧縮機12へと戻される。
【0046】
このようなヒートポンプサイクルによって、車室内へ冷たい空気を送ることができる。
【0047】
[暖房運転動作]
図3は、実施形態の車両用空調装置における暖房運転時の動作を説明する図である。図の配管の網掛け部分は、冷媒または冷却液の流れがないことを示す。
【0048】
暖房運転時には、開閉弁24が開、開閉弁60が閉、オリフィス付開閉弁22が閉、三方弁18の冷却液導出管32側が閉に切り替えられる。
【0049】
この切替により、冷却液は、エンジン冷却器40と、水冷媒熱交換器14と、ヒータコア44とを循環する。この間、冷却液は、エンジン冷却器40と、水冷媒熱交換器14とで加熱され、ヒータコア44でHVAC70内の吸気通路Bを流れる空気へと放熱を行う。
【0050】
さらに、車両用ヒートポンプ装置10では、圧縮機12で発生した熱が水冷媒熱交換器14で冷却水へ伝えられる。
【0051】
吸気通路Bにおいては、ヒータコア44に風が流れるようにエアミックスダンパ等が切り替えられて、車室内へ送られる空気が温められる。
【0052】
冷媒は、圧縮機12により高温高圧に圧縮されたのち、水冷媒熱交換器14を通過して冷却液へ放熱を行う。放熱後の高圧の冷媒は、オリフィス付開閉弁22を通過して低温低圧に膨張し、室外熱交換器56へ送られる。室外熱交換器56では、外気から冷媒へ吸熱が行われて、冷媒が気化する。気化した冷媒は、アキュムレータ16を介して圧縮機12へ戻される。エバポレータ48には、冷媒が流れず、そこでは熱交換も行われない。
【0053】
このような動作により、車室内へ温かい空気を送ることができる。温風には、エンジンの熱が有効活用され、エンジン熱で足りない分がヒートポンプサイクルによって補われる。また、圧縮機12の排熱も空気を温めるのに有効活用されている。空気の加熱はヒートポンプサイクルを利用しているので、加熱量に対する消費電力は低く抑えられている。
【0054】
[配管経路の比較]
図4は、従前の車両用空調装置からの冷媒配管の変更点を説明する図である。図中、実線で従前の車両用空調装置の配管を示している。
【0055】
[従前の車両用空調装置の場合]
冷房運転時のみヒートポンプサイクルを用いる従前の車両用空調装置では、室外熱交換器56がエンジンルーム内の車両先頭付近に配置され、吸気通路B、ヒータコア44およびエバポレータ48が車室内のHVAC70に配置される。さらに、圧縮機12がエンジンルームに配置される。
【0056】
この構成において、冷媒の配管は、
図4の実線に示すものとなる。すなわち、エンジンルーム内の車両先頭の室外熱交換器56から膨張弁52を介して車室内のエバポレータ48へつながる配管P1、圧縮機12から室外熱交換器56へつながる配管P2、ならびに、車室内のエバポレータ48から圧縮機12へ連なる配管P3のみとなる。
【0057】
各配管P1〜P3は、車両の各構成を避けつつ、冷媒の圧力損失が大きくならないよう、なるだけ直線的な経路となるようにレイアウトされる。特に、長い区間に渡って施設される配管P1は、優先的に直線的な経路にできるようにレイアウト設計されることがある。
【0058】
冷却液の配管W1,W2は、エンジンルームのエンジン冷却器40とHVAC70内のヒータコア44との間に施設される。
【0059】
次に、冷房運転時のみヒートポンプサイクルを利用する従前の車両用空調装置を、車両用ヒートポンプ装置10を用いることで、ヒートポンプサイクルを利用した暖房運転も行
えるように変更する場合について説明する。
【0060】
従前の配管からの変更点としては、2本の冷媒配管P21、P22が追加される。冷媒配管P21は車両用ヒートポンプ装置10の冷媒導出管35と、冷媒配管P22は車両用ヒートポンプ装置10の冷媒導入管34と接続する。
【0061】
また、エンジンルームを渡って設けられる長い配管P2の一部分P2bが除去される。配管P2bが除去された後の、配管P2の圧縮機12の冷媒の吐出口の側を配管P2aと、配管P2の室外熱交換器56の側を配管P2cと称する。
【0062】
冷媒配管P2aは車両用ヒートポンプ装置10の冷媒導入管36と、冷媒配管P2cは車両用ヒートポンプ装置10の冷媒導出管33と接続する。
【0063】
車両用ヒートポンプ装置10とヒータコア44との間には、熱せられた冷却液を循環させる配管W21,W22が設けられる。これらの配管W21,W22は、例えばエンジン冷却器40に連通する配管W1の一部W1aを分断してバイパスするように接続される。配管W21は冷却液導入管31と接続し、配管W22は冷却液導出管32と接続する。
【0064】
車両用ヒートポンプ装置10内の水冷媒熱交換器14にて、圧縮機12で圧縮された高温高圧冷媒から冷却液へ放熱される。この熱は、HVAC70内の吸気通路Bで空気を温めるヒータコア44に伝達される。
【0065】
例えば、特許文献1に開示される圧縮機、および、水冷媒熱交換器を同一筐体内に収納したもの(特許文献1の
図21〜
図24を参照)を用いて、冷房運転時のみヒートポンプサイクルを利用する従前の車両用空調装置を、ヒートポンプサイクルを利用した暖房運転も行えるように変更する場合を検討する。
【0066】
この場合、従前の車両用空調装が備える圧縮機を、圧縮機および水冷媒熱交換器を同一筐体内に収納した装置に置換する必要がある。このため、圧縮機周辺の配管パターンを大きく変更する必要がある。
【0067】
[本実施の形態の場合]
一方、本実施の形態の構成では、
図1と
図4との比較から分かるように、従前の車両用空調装置からの冷媒配管の変更点は、冷媒配管P21、P22の追加と、配管P2の一部分の配管P2bを除去した部分に車両用ヒートポンプ装置10を配置するだけで済む。
【0068】
さらに、圧縮機の配置は変更しないため、冷媒の配管パターンの変更点が少なくしつつ、容易にヒートポンプサイクルを利用した暖房運転を行うことができる。
【0069】
以上のように、本実施の形態の車両用ヒートポンプ装置10および車両用空調装置によれば、冷房運転時のみヒートポンプサイクルを用いる従前の車両用空調装置の配管に2本の配管追加、一部配管の除去を行うだけでヒートポンプサイクルを用いて暖房運転を行うことができるようになる。
【0070】
従って、従前の車両用空調装置が採用されている車両に対して、マイナーチェンジまたはオプション変更により、ヒートポンプサイクルによる暖房運転が可能な車両用空調装置を搭載する場合に、本実施の形態は特に有効になる。すなわち、車両用ヒートポンプ装置10および追加の冷媒配管P21、P22のスペースだけを設ければ、車両の他の構成のレイアウトに影響を及ぼすことなく、本実施の形態の車両用空調装置を適用することが可能となる。車両用ヒートポンプ装置10は後述するように、比較的小さな装置として構成
可能であり、従前の車両用空調装置の構成要素の間に容易に配置可能である。
【0071】
[変形例1]
図5は、本発明の実施の形態の車両用ヒートポンプ装置および車両用空調装置の変形例を説明する構成図である。
【0072】
本発明の実施形態の車両用ヒートポンプ装置10としては、
図5に示すように、開閉弁24、オリフィス付開閉弁22、三方弁18および逆止弁20の全部または何れかを、筐体26の外側に設けるようにしてもよい。
【0073】
また、2つの開閉弁24、60は、冷媒配管の分岐箇所d1,d2に三方弁を設けて代替することも可能である。
【0074】
さらに、冷却液を水冷媒熱交換器14へバイパスさせるか否かを切り替えるための構成は、三方弁18および逆止弁20に限られず、複数の開閉弁を用いて構成することもできる。
【0075】
[変形例2]
図6は、本発明の実施形態の車両用ヒートポンプ装置および車両用空調装置の変形例を説明する構成図である。
図5との相違点は、
図5とにおける2つの開閉弁24、60を、1つの三方弁21で代替している点である。
【0076】
三方弁21は、電気的に制御される。三方弁21は、冷房運転時には室外熱交換器56を通過した冷媒をエバポレータ48の側へのみ送るようにする。また、三方弁21は、暖房運転時には室外熱交換器56を通過した冷媒を車両用ヒートポンプ装置10の冷媒導入管34に接続された側へのみ送るようにする。
【0077】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0078】
なお、上記実施の形態における圧縮機12は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機構を駆動するための電動モータを備えてもよい。また、上記実施の形態における圧縮機12は、内燃機関の駆動力等、圧縮機12の外部の駆動力をベルト等で伝達することで圧縮機構を駆動するようにしてもよい。
【0079】
なお、上記実施の形態では、車両用ヒートポンプ装置10の冷媒導入部または冷媒導出部として、管状の構成を例にとって説明したが、冷媒導入部または冷媒導出部は、例えば、配管接続用のコネクタまたはソケットを筐体26の壁体に埋設した構成としてもよい。冷却液の導入部または導出部も同様である。
【0080】
また、上記実施の形態では、ヒータコアに内燃機関から熱をもらった冷却液を供給する構成を例にとって説明したが、ヒータコア44には車両用ヒートポンプ装置10の冷却液だけが流れる構成を採用してもよい。
【0081】
また、上記実施の形態の車両用空調装置および車両用ヒートポンプ装置は、自動車に新規に搭載される構成としても良い。また、上記実施の形態の車両用ヒートポンプは、
図4に示したような、冷房運転時のみヒートポンプサイクルを用いる従前の車両用空調装置の一部と交換される構成としても良い。この交換により、本実施形態の車両用空調装置が実現されて、ヒートポンプサイクルによる暖房運転が可能となる。