(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
部品を供給する複数のパーツフィーダが配置された部品供給部と、前記部品供給部から電子部品を取り出して基板に移送搭載する部品実装機構とを備えた部品実装装置によって、前記基板に電子部品を実装して実装基板を生産する部品実装システムにおいて、生産品種切り替え時に行われる段取り替え作業を指示する部品実装システムにおける段取り替え作業の指示方法であって、
前記部品実装システムは前記部品供給部に配置された前記パーツフィーダを識別するフィーダ識別手段を備え、
前記部品供給部における現に配置されている前記パーツフィーダの配置状態に対応した現フィーダ配置情報と、生産が予定される第1の基板種を対象とする第1の配置状態に対応した第1フィーダ配置情報とに基づき、前記部品供給部におけるパーツフィーダの配置状態を現状状態から第1の配置状態に変更するために必要とされる段取り替え作業を規定する作業指示情報を導出する作業指示情報導出工程と、
前記導出された作業指示情報を表示画面に表示させる指示情報表示工程とを含み、
前記作業指示情報は、前記段取り替え作業における実行動作の種別を示す種別情報と、当該段取り替え作業において作業対象となるパーツフィーダの作業実行前および作業実行後における状態を示すフィーダ状態情報とを組み合わせた複数の単位作業情報とを含み、
前記指示情報表示工程において、前記複数の単位作業情報を実行されるべき作業順序にしたがって並べて前記表示画面に表示し、
実行された前記段取り替え作業の作業結果が前記表示された作業指示情報と異なっていることが前記フィーダ識別手段によって検出されたならば、前記作業指示情報に基づく正しい作業結果に修正するために必要な前記単位作業情報を新たに導出して追加して前記表示画面に表示させることを特徴とする部品実装システムにおける段取り替え作業の指示方法。
前記種別情報は、前記部品供給部において既配置のパーツフィーダを取り外す実行動作を示す「外し」と、前記部品供給部に新たにパーツフィーダを配置する実行動作を示す「付け」とを少なくとも含み、
前記指示情報表示工程において、前記種別情報ごとにソートされた前記単位作業情報を、前記「外し」の次に「付け」を並べる表示順序で表示することを特徴とする請求項1に記載の部品実装システムにおける段取り替え作業の指示方法。
部品を供給する複数のパーツフィーダが配置された部品供給部と、前記部品供給部から電子部品を取り出して基板に移送搭載する部品実装機構とを備えた部品実装装置によって、前記基板に電子部品を実装して実装基板を生産する部品実装システムであって、
前記部品供給部における現に配置されている前記パーツフィーダの配置状態に対応した現フィーダ配置情報と、生産が予定される第1の基板種を対象とする第1の配置状態に対応した第1フィーダ配置情報とに基づき、前記部品供給部におけるパーツフィーダの配置状態を現状状態から第1の配置状態に変更するために必要とされる段取り替え作業を規定する作業指示情報を導出する作業指示情報導出処理部と、
前記導出された作業指示情報を表示画面に表示させる指示情報表示処理部と、
前記部品供給部に配置された前記パーツフィーダを識別するフィーダ識別手段と、を備え、
前記作業指示情報は、前記段取り替え作業における実行動作の種別を示す種別情報と、当該段取り替え作業において作業対象となるパーツフィーダの作業実行前および作業実行後における状態を示すフィーダ状態情報とを組み合わせた複数の単位作業情報とを含み、
前記複数の単位作業情報は、実行されるべき作業順序にしたがって並べて表示され、
前記作業指示情報導出処理部は、実行された前記段取り替え作業の作業結果が前記表示された作業指示情報と異なっていることが前記フィーダ識別手段によって検出されたならば、前記作業指示情報に基づく正しい作業結果に修正するために必要な前記単位作業情報を新たに導出して、前記指示情報表示処理部に追加して表示させることを特徴とする部品実装システム。
前記種別情報は、前記部品供給部において既配置のパーツフィーダを取り外す実行動作を示す「外し」と、前記部品供給部に新たにパーツフィーダを配置する実行動作を示す「付け」とを少なくとも含み、
前記指示情報表示処理部は、前記種別情報ごとにソートされた前記単位作業情報を、前記「外し」の次に「付け」を並べる表示順序で表示させることを特徴とする請求項4に記載の部品実装システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず
図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は基板に電子部品を実装して実装基板を生産する機能を有しており、実装対象の基板をそれぞれ供給・受渡し・回収する機能を有する基板供給装置M1、基板受渡装置M2と、基板回収装置M7との間に、複数の電子部品実装用装置である半田印刷装置M3、同一構成の部品実装装置M4、M5およびリフロー装置M6を直列に連結して構成された部品実装ライン1aを主体としている。
【0012】
基板供給装置M1〜基板回収装置M7の各装置は通信ネットワーク2を介して管理コンピュータを有する上位システム3に接続されている。部品実装ライン1aの各装置が備えた基板搬送機構は直列に連結されて一連の基板搬送路を形成する。部品実装作業においては、この基板搬送路に沿って搬送される基板6(
図2参照)に対して、半田印刷装置M3、部品実装装置M4、M5およびリフロー装置M6によって電子部品を実装するための部品実装用作業が行われる。
【0013】
すなわち、基板供給装置M1によって供給された基板6は基板受渡装置M2を介して半田印刷装置M3に搬入され、ここで基板6に部品接合用の半田をスクリーン印刷する半田印刷作業が行われる。半田印刷後の基板6は部品実装装置M4、M5に順次受け渡され、ここで半田印刷後の基板6に対して電子部品を実装する部品実装作業が実行される。そして部品実装後の基板6はリフロー装置M6に搬入され、ここで所定の加熱プロファイルにしたがって加熱されることにより部品接合用の半田が溶融固化する。これにより電子部品が基板6に半田接合されて基板6に電子部品を実装した実装基板が完成し、基板回収装置M7に回収される。
【0014】
次に
図2,
図3を参照して、部品実装装置M4,M5の構造を説明する。
図2において、基台4上にはX方向に基板搬送機構5が配設されている。基板搬送機構5は電子部品が実装される基板6をコンベアにより搬送し、基板搬送機構5上に設けられ実装作業位置に基板6を位置決めする。
【0015】
基板搬送機構5の手前側には部品供給部7(1)が、また基板搬送機構5の背後側には部品供給部7(2)がそれぞれ設けられている。部品供給部7(1),7(2)には部品を供給する複数のパーツフィーダが並設して装着される。部品供給部7(1),7(2)にはこれらのパーツフィーダの装着位置を特定するためのフィーダアドレス7aが設定されている。本実施の形態に示す例では、部品供給部7(1)におけるフィーダアドレス7aとして、下流側(
図2において右側)から上流側に向かって、1−1L/R、1−2L/R,1−3L/R・・が設定されている。これらのフィーダアドレス7aを指定することにより、当該部品実装装置に装着されたパーツフィーダを個別に特定することができるようになっている。
【0016】
同様に、部品供給部7(2)におけるフィーダアドレス7aとして、下流側(
図2において右側)から上流側に向かって、2−1L/R、2−2L/R,2−3L/R・・が設定されている。なお、フィーダアドレス7aにおける順序の設定方式は任意であり、部品供給部7(1),7(2)のアドレス順を逆に設定してもよい。
【0017】
ここでは、パーツフィーダとして実装対象の電子部品を保持したキャリアテープをピッチ送りする機能を有するテープフィーダ8が装着された例を示しており、テープフィーダ8を駆動することにより以下に説明する実装ヘッド12の吸着ノズル12a(
図3(b)参照)による部品吸着位置に電子部品を供給する。
【0018】
基台4上面においてX方向の一方側の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸移動テーブル10が配設されており、Y軸移動テーブル10には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸移動テーブル11が、Y方向に移動自在に結合されている。2基のX軸移動テーブル11には、それぞれ実装ヘッド12がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド12は複数の保持ヘッドを備えた多連型ヘッドであり、それぞれの保持ヘッドの下端部には、電子部品を吸着して保持し個別に昇降可能な吸着ノズル12aが装着されている。
【0019】
Y軸移動テーブル10、X軸移動テーブル11を駆動することにより、実装ヘッド12はX方向、Y方向に移動する。これにより2つの実装ヘッド12は、それぞれ対応した部品供給部7(1),7(2)のテープフィーダ8の部品吸着位置から電子部品を吸着ノズル12aによって取り出して、基板搬送機構5に位置決めされた基板6の実装点に移送搭載する。Y軸移動テーブル10、X軸移動テーブル11および実装ヘッド12は、電子部品を保持した実装ヘッド12を移動させることにより、電子部品を部品供給部7(1),7(2)から取り出して基板6に移送搭載する部品実装機構13を構成する。
【0020】
部品供給部7(1),7(2)と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ9が配設されている。部品供給部7(1),7(2)から電子部品を取り出した実装ヘッド12が部品認識カメラ9の上方を移動する際に、部品認識カメラ9は実装ヘッド12に保持された状態の電子部品を撮像して認識する。実装ヘッド12にはX軸移動テーブル11の下面側に位置して、それぞれ実装ヘッド12と一体的に移動する基板認識カメラ14が装着されている。実装ヘッド12が移動することにより、基板認識カメラ14は基板搬送機構5に位置決めされた基板6の上方に移動し、基板6を撮像して認識する。実装ヘッド12による基板6への部品実装動作においては、部品認識カメラ9による電子部品の認識結果と、基板認識カメラ14による基板認識結果とを加味して搭載位置補正が行われる。
【0021】
図3(a)は、部品実装装置M4、M5において部品供給部7(1),7(2)が露呈した装置操作面を示している。部品供給部7(1),7(2)にはフィーダベース18に予め複数のテープフィーダ8が装着された状態の台車15がセットされ、フィーダベース18をクランプ機構(図示省略)によってクランプすることにより、部品供給部7(1),7(2)において台車15の位置が固定される。台車15には、電子部品を保持したキャリアテープ17を巻回状態で収納する複数の供給リール16が保持されている。
【0022】
装置操作面には、表示部20および操作・入力部21を備えた操作部19が設けられており、操作・入力部21には各種の操作入力を行うための操作釦21aが配置されている。表示部20は液晶パネルなどの表示装置であり、操作・入力部21によって操作入力を行うための案内画面など、各種の画面が表示される。この画面には、生産品種の切り替えに伴う段取り替え作業の指示に用いられる作業指示情報が含まれる。
【0023】
図3(b)を参照してテープフィーダ8の構成および機能を説明する。テープフィーダ8は本体部8aおよび本体部8aの下面から下方に凸設された装着部8bを備えた構成となっている。本体部8aの下面をフィーダベース18に沿わせて、テープフィーダ8を矢印a方向にスライドさせることにより、テープフィーダ8をフィーダベース18に取り付けるいわゆる「付け」動作が行われる。またこの状態からテープフィーダ8を矢印b方向にスライドさせることにより、テープフィーダ8をフィーダベース18から取り外すいわゆる「外し」動作が行われる。
【0024】
テープフィーダ8を装着した状態では、装着部8bに設けられたコネクタ部がフィーダベース18に嵌合する。これにより、テープフィーダ8は部品供給部7(1)、7(2)に固定装着されるとともに、テープフィーダ8は部品実装装置M4,M5の制御部24(
図4参照)と電気的に接続される。
【0025】
本体部8aには、キャリアテープ17をピッチ送りするテープ送り機構を備えたテープ送り部22が内蔵されており、テープ送り部22は、テープ走行路の先端部に設けられたテープ送り用のスプロケットを回転駆動する駆動機構およびこの駆動機構を制御するフィーダ制御部23を備えている。供給リール16から引き出されたキャリアテープ17は、テープ送り部22によって実装ヘッド12の吸着ノズル12aによるピックアップ位置までピッチ送りされる。フィーダ制御部23に内蔵された記憶装置には、当該テープフィーダ8を他から識別して特定するためのフィーダIDコードが記憶されており、テープフィーダ8がフィーダベース18に装着されることにより、制御部24はそれぞれのテープフィーダ8を個別に識別することができるようになっている。
【0026】
すなわち本実施の形態に示す部品実装システム1は、部品供給部7(1)、7(2)に配置されたテープフィーダ8を識別するフィーダ識別手段を備えた構成となっている。本実施の形態では、作業者によって実行された段取り替え作業の作業結果の正否をフィーダ識別手段の識別結果に基づいて判定するようにしている。なお、フィーダ識別手段の構成としては、個々のテープフィーダ8に記憶されたフィーダIDを検出する構成に代えて、供給リール16に設けられたバーコード,ICタグなどの識別情報を作業者がリーダ端末機器によって手動で読み取る構成を用いてもよい。
【0027】
次に
図4を参照して、制御系の構成について説明する。上位システム3は管理コンピュータとしての機能を有する主制御部31、主記憶部32を備えており、通信部33を介して部品実装システム1を構成する各装置との間で制御信号の授受を行う。通信部25を介して通信ネットワーク2に接続された部品実装装置M4,M5は、制御部24、記憶部26および照合処理部28を備えている。制御部24は演算処理装置であり、記憶部26に記憶された生産データ26a、すなわち生産対象の基板種ごとに記憶された実装データやフィーダ配置データに基づいて、基板搬送機構5、部品実装機構13、部品供給部7(1)、7(2)を制御する。これにより、部品供給部7(1)、7(2)の各テープフィーダ8から取り出した電子部品を基板6に実装する部品実装作業が実行される。
【0028】
フィーダ検出部27はフィーダ制御部23に記憶されたフィーダIDを制御部24によって読み取ることによって実現されるフィーダ検出機能である。照合処理部28は、フィーダ検出部27によって各フィーダアドレス7aについて検出されたフィーダ識別結果を、生産データ26aにて規定されたフィーダデータと比較し、各フィーダアドレス7aに取り付けられたテープフィーダ8が当該フィーダアドレス7aに本来取り付けられるべき正しいテープフィーダ8であるか否かを照合する機能を有している。操作・入力部21および表示部20は、
図3に示す装置操作面の操作部19に設けられており、それぞれ操作稼働時に必要な操作・データ入力や、各種の操作・案内画面の表示を行う。
【0029】
段取り替え支援装置40は、生産対象品種の切り替えに伴って部品供給部7(1)、7(2)において必要とされる、テープフィーダ8の交換や配置代えなどの段取り替え作業を効率よく容易に実行するために参照される各種の表示画面や報知を行う機能を有するものである。段取り替え支援装置40は、作業指示情報導出処理部41、フィーダ配置情報記憶部42、作業指示情報記憶部43、指示情報表示処理部44および表示画面45の処理機能部を備えている。フィーダ配置情報記憶部42は、部品供給部7(1)、7(2)に配置されているテープフィーダ8の配置状態に対応したフィーダ配置情報を記憶する。
【0030】
フィーダ配置情報には、部品供給部7(1)、7(2)において現に配置されているテープフィーダ8の配置状態に対応した現フィーダ配置情報42aと、次に生産が予定される次生産基板種(第1の基板種)を対象とする第1の配置状態に対応した第1フィーダ配置情報42bとが含まれる。作業指示情報導出処理部41は、現フィーダ配置情報42aと第1フィーダ配置情報42bとに基づき、部品供給部7(1)、7(2)におけるテープフィーダ8の配置状態を現状状態から第1の配置状態に変更するために必要とされる段取り替え作業を規定する作業指示情報を導出する。
【0031】
導出された作業指示情報は、作業指示情報記憶部43に記憶され、指示情報表示処理部44は作業指示情報記憶部43から作業指示情報を読み出して、所定の表示フォーマットにしたがって表示画面45に表示させる処理を行う。これにより、表示画面45には
図5に示す作業指示情報50が表示され、作業者は作業指示情報50の表示内容に従って段取り替え作業を順次実行する。
【0032】
なお、ここではパーソナルコンピュータなど、独立した処理演算機能および記憶装置を有する単独装置を段取り替え支援装置40として用いた例を示したが、本発明の具体実施形態はこのような構成には限定されず、各種のバリエーションが可能である。例えば、段取り替え支援装置40の機能を上位システム3に包含して、段取り替え支援処理部34として機能させてもよい。
【0033】
さらに、段取り替え支援装置40の機能を個々の部品実装装置M4、M5に付属させて、段取り替え支援処理部29として機能させてもよい。この場合には、表示画面45として装置操作面に設けられた表示部20を用いることができる。もちろん、単独装置としての段取り替え支援装置40を用いる場合にあっても、作業指示情報50を表示するための表示画面45として表示部20を用いるようにすれば、部品供給部7(1)、7(2)の直近位置で作業指示情報50を参照することができ、作業性を向上させることができる。
【0034】
次に
図5を参照して、作業指示情報50のデータ構成を説明する。
図5において、作業指示情報50は、生産対象の基板種の切り替えに伴う段取り替え作業の都度準備されるものであり、作業者が作業対象となる個々のテープフィーダ8について実行すべき作業内容を規定する単位作業情報50aを、作業を実行すべき「作業順序」51の順に表示して構成される。すなわち、単位作業情報50aは、「作業順序」51、「動作種別」52、「現状」53、「次生産」54、「部品名」55、「リール」56、「必要部品数」57、「コメント」58の諸項目を含んでいる。
【0035】
「動作種別」52は、段取り替え作業において当該単位作業情報50aにて行われる実行動作の種別を示す種別情報である。本実施の形態では、動作情報として、部品供給部7(1)、7(2)において既配置のテープフィーダ8を取り外す実行動作を示す「外し」(
図3(b)に示す矢印b参照)と、部品供給部7(1)、7(2)に新たにテープフィーダ8を配置する実行動作を示す「付け」(
図3(b)に示す矢印a参照)および、一旦部品供給部7(1)、7(2)から取り外した後にそのまま他のフィーダアドレス7aに再配置する「移動」が規定されている。
【0036】
図5に示す例では、「作業順序」51が1,3,4、5の単位作業情報50aが「外し」を実行動作とし、「作業順序」51が2の単位作業情報50aが「移動」を実行動作としている。そしてこれら「外し」を実行動作に含む単位作業情報50aが終了した後に、「付け」を実行動作とする単位作業情報50aが、6〜以降の「作業順序」51で規定されている。このように、「外し」を必ず含む実行動作をまず先行順位として表示させるのは、合理的な作業手順を作業者に対して明確に指示して、錯誤や取り違えによる作業手順の混乱を防止することを目的としている。
【0037】
すなわち本実施の形態では、「動作種別」52を規定する種別情報は、部品供給部7(1)、7(2)において既配置のテープフィーダ8を取り外す実行動作を示す「外し」と、部品供給部7(1)、7(2)に新たにテープフィーダ8を配置する実行動作を示す「付け」とを少なくとも含み、作業指示情報導出処理部4
1は「動作種別」52ごとにソートされた単位作業情報50aを、「外し」の次に「付け」を並べる表示順序で表示させるようにしている。
【0038】
「現状」53は当該段取り替え作業において作業対象となるテープフィーダ8の作業実行前のフィーダ状態(現状のステイタス)を、また「次生産」54は作業実行後のフィーダ状態(次生産におけるステイタス)をそれぞれ示している。例えば、「作業順序」51が1,2の単位作業情報50aでは、現状で1−13Rのフィーダアドレス7aに配置されているテープフィーダ8を対象として部品供給部7からの「外し」を実行し、次生産以降の再使用(リユース)のために、供給リール16およびキャリアテープ17を取り外すことなく、当該部品実装ライン1a近傍の作業棚などに供給リール16と一体のまま一時保管すべきことを示している。
【0039】
また「作業順序」51が2の単位作業情報50aでは、現状で1−14Lのフィーダアドレス7aに装着されているテープフィーダ8を一旦取り外し、次生産用として1−2Lのフィーダアドレス7aに再装着する「移動」を実行すべきことを示している。そして「作業順序」51が6以降の単位作業情報50aはいずれも「動作種別」52が「付け」であり、ここでは「現状」53が「新規」、すなわち材料保管庫などに保管されたテープフィーダ8を新たに取り出して、「次生産」54に規定されたフィーダアドレス7aに新たに取り付けて配置すべきであることを示している。
【0040】
各単位作業情報50aに付記された「部品名」55は、当該テープフィーダ8によって供給される電子部品の部品名を示しており、「リール」56は当該テープフィーダ8にて使用される供給リールの種別を示す。そして「必要部品数」57は、次生産以降の生産で必要とされる部品数の見込み数量を示している。「コメント」58は、段取り替え作業において補助的に必要とされる各種の指示情報、例えば「次生産」54にて「リユース」が指定されている場合において、取り外したテープフィーダ8を一時的に保管する位置を特定する棚番号などが表示される。
【0041】
次に、上述構成の部品実装システム1において、生産品種切り替え時に行われる段取り替え作業を指示する段取り替え作業の指示方法について説明する。まず、実装作業開始に先立って、作業指示情報の作成を目的として、フィーダ配置情報記憶部42に現フィーダ配置情報42a、第1フィーダ配置情報42bを記憶させる。
【0042】
次いで、作業指示情報導出処理部41によって、現フィーダ配置情報42a、第1フィーダ配置情報42bとに基づき、部品供給部7(1)、7(2)におけるテープフィーダ8の配置状態を、現状状態から第1の配置状態に変更するために必要とされる段取り替え作業を規定する作業指示情報を導出し(作業指示情報導出工程)、導出された作業指示情報は作業指示情報記憶部43に記憶される。次いで指示情報表示処理部44により、
図5に示す作業指示情報を表示画面45に表示させる(指示情報表示工程)。
【0043】
ここで作業指示情報50は、前述の実行動作の種別を示す種別情報である「動作種別」52と、当該段取り替え作業において作業対象となるテープフィーダ8の作業実行前および作業実行後における状態を示すフィーダ状態情報である「現状」53、「次生産」54とを組み合わせた複数の単位作業情報50aとを含んだ構成となっている。そして指示情報表示工程において、複数の単位作業情報50aを実行されるべき作業順序にしたがって並べて表示画面45に表示するようにしている。
【0044】
また「動作種別」52には、部品供給部7において既配置のテープフィーダ8を取り外す実行動作を示す「外し」と、部品供給部7に新たにテープフィーダ8を配置する実行動作を示す「付け」とが含まれている。そして指示情報表示工程において、種別情報ごとにソートされた単位作業情報50aを、動作種別が「外し」の次に「付け」を並べる表示順序で表示する形態となっている。
【0045】
なお前述のように、部品実装ライン1aの部品実装装置M4、M5は、部品供給部7(1)、7(2)に配置されたテープフィーダ8を識別するフィーダ識別手段を備えている。本実施の形態においては、この機能を用いて、実行された段取り替え作業の作業結果が表示された作業指示情報50と異なっていることがフィーダ識別手段によって検出されたならば、作業指示情報50に基づく正しい作業結果に修正するために必要な単位作業情報50aを新たに導出して、追加して表示画面45に表示させるようにしている。
【0046】
次に、段取り替え作業の実行過程における作業指示情報50の表示形態および作用効果について、
図6を参照して説明する。部品供給部7においてテープフィーダ8の交換・配置換えを行う段取り替え作業では、前述のように、作業者は表示された作業指示情報50を参照して、「作業順序」51に規定された順序にしたがって、各単位作業情報50aに規定された作業を順次実行する。
【0047】
この作業実行過程では、各部品実装装置M4,M5の制御・検出機能により、部品供給部7(1)、7(2)の各フィーダアドレス7aにおけるテープフィーダ8の着脱検出および識別がリアルタイムで実行される。そしてこの着脱検出および識別結果は段取り替え支援装置40に伝達され、段取り替え支援装置40は段取り替え作業の作業進行状況を、作業指示情報50上で
図6(a)に示す方法でリアルタイムで表示する。
【0048】
すなわち
図6(a)に示す例では、複数の単位作業情報50aのうち、「外し」を伴う単位作業情報50aを包括する包括枠50A(カラー、網掛けなどによって表示)内の作業については、すでに実行済みであることを示している。そしてこれら実行済みの単位作業情報50aについては、当該テープフィーダ8は部品供給部7から取り外されるため、「リール」56、「必要部品数」57、「コメント」58の表示が省略されている。
【0049】
また
図6(a)に示す例において、破線の包括枠50Bに示す複数の単位作業情報50aは、現基板種を対象とする部品実装作業に使用中であって、当該段取り替え作業の対象となるテープフィーダ8が装着されたフィーダアドレス7a(ここでは1−10L、1−13L、1−14L)については、現基板種についての部品実装作業が実行中は段取り替え作業を開始できないことを示している。これらの単位作業情報50aについては、当該部品実装作業の自動運転が終了した後に、段取り替え作業可能となる。このような表示を行うことにより、錯誤による作業ミスを防止するとともに、次生産のための段取り替えの準備が可能となり、作業効率化を図ることが可能となっている。
【0050】
また本実施の形態に示す作業指示情報50には、
図6(b)に示すように、「現状」53、「次生産」54として「リユース」を表示するようにしている。すなわち、「外し」の指示において、今後の生産で再度使用する部品に関して「リユース」と表示する(破線枠54A参照)ことにより、当該「外し」の対象となるテープフィーダ8については、テープフィーダ8から供給リール16を取り外して部品倉庫に戻し入れすることなく、一時保管するなどの対処が可能となる。
【0051】
さらに、「付け」の指示において、上述の仮保管されたテープフィーダ8を再度取り付ける場合において、「現状」53に「リユース」と表示する(破線枠53A参照)ことにより、既保管のテープフィーダ8を再利用すればよいことが作業者に容易に判り、テープフィーダ8と供給リール16とを新たに探す労力を削減することが可能となっている。
【0052】
また、「付け」を「動作種別」52とする単位作業情報50aについて、「必要部品数」57を付記(破線枠57A参照)することにより、当該部品種について必要とされる部品数、あるいはリール数を予測することができ、部品準備作業を容易に行うことができる。
【0053】
上記説明したように、本実施の形態に示す部品実装システムにおける段取り替え作業の指示においては、現に配置されているテープフィーダ8の配置状態に対応した現フィーダ配置情報と、次生産の第1の基板種を対象とする第1の配置状態に対応した第1フィーダ配置情報とに基づき、部品供給部7におけるテープフィーダ8の配置状態を現状状態から第1の配置状態に変更するために必要とされる段取り替え作業を規定する作業指示情報50を導出し、導出された作業指示情報50を表示画面45に表示させるに際し、段取り替え作業における実行動作の種別を示す種別情報と当該段取り替え作業において作業対象となるテープフィーダ8の作業実行前および作業実行後における状態を示すフィーダ状態情報とを組み合わせた複数の単位作業情報50aを、実行されるべき作業順序51にしたがって並べて表示画面に表示させるようにしている。これにより、生産品種切り替え時の段取り替え作業を効率的かつ容易に実行することができる。