特許第6031704号(P6031704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6031704津波・洪水など非常事態時の避難用シェルター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031704
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】津波・洪水など非常事態時の避難用シェルター
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   E04H9/14 Z
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-120232(P2012-120232)
(22)【出願日】2012年5月8日
(65)【公開番号】特開2013-234556(P2013-234556A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】503018571
【氏名又は名称】有限会社フジカ
(72)【発明者】
【氏名】藤原 充弘
【審査官】 多田 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−120241(JP,A)
【文献】 特開2007−239452(JP,A)
【文献】 実開昭60−036407(JP,U)
【文献】 特開2010−121436(JP,A)
【文献】 特開2000−310059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/14
A62B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に避難室を有するコンクリート造のシェルター本体を本体として有し、そのシェルター本体は、設置基盤よりも下側に埋設された下側シェルター本体と、下側シェルター本体と連通する形で一体に形成され設置基盤よりも上側にも立ち上がった形とされた上側シェルター本体とを有し、上側シェルター本体は、内部の避難室に外部からの避難者を誘導可能な密閉可能型扉付き避難口、および避難口と避難室との間を連絡する避難経路を有する津波・洪水など非常事態時の避難用シェルターであって、上側シェルター本体は、左右の側壁部と前対抗壁部と上壁部と避難用背側傾斜部とを有して側面視山形で左右に一定の幅をもつ立体型をしているとともに、前記左右の側壁部は、設置基盤に沿った底辺と、底辺の上方に位置する上辺と、津波の押し波が襲来してくる側となる前辺と、避難用背側傾斜部の両側に対応して位置する後斜辺とでなり、前記前対抗壁部は、津波の押し波に対抗する側において左右の側壁部の前辺間に亘るように設置基盤から立ち上がり状に形成され、前記上壁部は、前対抗壁部の上端につながるように左右の上辺間に亘って設けられ、前記避難用背側傾斜部は、設置基盤から上向きに延びる左右に離間して配された一対の階段やスロープである登降手段と、左右の登降手段間にありそれぞれが水平面状をなし下の段から上の段へと段階状をなして形成された避難誘導路と、その避難誘導路の左右に対応して立ち上がり避難誘導路とともに凹所を形成する側面壁とを備え、上下段階状に設けられた各避難誘導路の奥まったところに前記密閉扉付きの前記避難口が設けられるとともに、前記各登降手段の左右外側端に相当する個所には側面ガードが立設されていることを特徴とする津波・洪水など非常事態時の避難用シェルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、津波・洪水など非常事態時の避難用シェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
先般の東日本大震災において発生した津波は、想定を大きく超えるものであるとともに地盤沈下もあって20mを超えるところもあった。本出願人は、そうした高い津波の襲来を想定した津波避難装置を提案している。
【0003】
【特許文献1】 特開2008−14112
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された津波避難装置によれば、鉄骨構造型の高い津波避難装置であることからそこに避難すれば津波から助かることができるのであるが、最近公表された津波襲来想定高さの見直しによれば、20mをはるかに超えた30m以上の市町村もあり、それに対応する津波避難装置を構築するとなると40m以上の装置となってしまい、そうなると高い装置では、登って避難するにも時間が掛かりしかも装置全体に津波波力が加わると構造体が浮き上がったり損傷を受けたりするおそれも想定される。そうした問題を解消するためには、避難用のシェルターを設置する提案がある。このシェルター方式は、避難の主要部であるシェルター本体部分を地下に埋設し、その本体部分に通じる避難口を地上高さに開設して密閉扉で閉止する方式とされるのが一般的なものである。こうしたシェルターであると、実際に津波の襲来警報を受けて一定の時間をリミットにして密閉扉を閉じなければ津波流からの安全は確保できないため当然閉止されるものである一方、密閉扉が一旦閉止されてしまうとそのあとに駆け込もうとしてもシェルター内に避難することさえできず残されてしまった住民は他に助かる途はなく津波流に巻き込まれてしまうという不公平さが大きな問題となってくる。
【0005】
この発明は、上記問題を解決しようとするものであり、シェルター内の気密性を確保しつつ避難可能な時間帯を長くとることができてできるだけ多くの住民を避難させることのできる津波・洪水など非常事態時の避難用シェルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、内部に避難室を有するコンクリート造のシェルター本体を本体として有し、そのシェルター本体は、設置基盤よりも下側に埋設された下側シェルター本体と、下側シェルター本体と連通する形で一体に形成され設置基盤よりも上側にも立ち上がった形とされた上側シェルター本体とを有し、上側シェルター本体は、内部の避難室に外部からの避難者を誘導可能な密閉可能型扉付き避難口、および避難口と避難室との間を連絡する避難経路を有する津波・洪水など非常事態時の避難用シェルターであって、上側シェルター本体は、左右の側壁部と前対抗壁部と上壁部と避難用背側傾斜部とを有して側面視山形で左右に一定の幅をもつ立体型をしているとともに、前記左右の側壁部は、設置基盤に沿った底辺と、底辺の上方に位置する上辺と、津波の押し波が襲来してくる側となる前辺と、避難用背側傾斜部の両側に対応して位置する後斜辺とでなり、前記前対抗壁部は、津波の押し波に対抗する側において左右の側壁部の前辺間に亘るように設置基盤から立ち上がり状に形成され、前記上壁部は、前対抗壁部の上端につながるように左右の上辺間に亘って設けられ、前記避難用背側傾斜部は、設置基盤から上向きに延びる左右に離間して配された一対の階段やスロープである登降手段と、左右の登降手段間にありそれぞれが水平面状をなし下の段から上の段へと段階状をなして形成された避難誘導路と、その避難誘導路の左右に対応して立ち上がり避難誘導路とともに凹所を形成する側面壁とを備え、上下段階状に設けられた各避難誘導路の奥まったところに前記密閉扉付きの前記避難口が設けられるとともに、前記各登降手段の左右外側端に相当する個所には側面ガードが立設されていることを特徴とする
【発明の効果】
【0007】
上述したようにこの発明は、内部に避難室を有するコンクリート造のシェルター本体を本体として有し、そのシェルター本体は、設置基盤よりも下側に埋設された下側シェルター本体と、下側シェルター本体と連通する形で一体に形成され設置基盤よりも上側にも立ち上がった形とされた上側シェルター本体とを有し、上側シェルター本体は、内部の避難室に外部からの避難者を誘導可能な密閉可能型扉付き避難口、および避難口と避難室との間を連絡する避難経路を有する津波・洪水など非常事態時の避難用シェルターであって、上側シェルター本体は、左右の側壁部と前対抗壁部と上壁部と避難用背側傾斜部とを有して側面視山形で左右に一定の幅をもつ立体型をしているとともに、前記左右の側壁部は、設置基盤に沿った底辺と、底辺の上方に位置する上辺と、津波の押し波が襲来してくる側となる前辺と、避難用背側傾斜部の両側に対応して位置する後斜辺とでなり、前記前対抗壁部は、津波の押し波に対抗する側において左右の側壁部の前辺間に亘るように設置基盤から立ち上がり状に形成され、前記上壁部は、前対抗壁部の上端につながるように左右の上辺間に亘って設けられ、前記避難用背側傾斜部は、設置基盤から上向きに延びる左右に離間して配された一対の階段やスロープである登降手段と、左右の登降手段間にありそれぞれが水平面状をなし下の段から上の段へと段階状をなして形成された避難誘導路と、その避難誘導路の左右に対応して立ち上がり避難誘導路とともに凹所を形成する側面壁とを備え、上下段階状に設けられた各避難誘導路の奥まったところに前記密閉扉付きの前記避難口が設けられるとともに、前記各登降手段の左右外側端に相当する個所には側面ガードが立設されていることを特徴とするので、シェルター内の気密性を確保しつつ避難可能な時間帯を長くとることができてできるだけ多くの住民を避難させることのできる津波・洪水など非常事態時の避難用シェルターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】 この発明の一実施形態を図2の上面図として示すシェルターの平面図。
図2図1のシェルターの側面図。
図3】 避難経路の他の実施形態を示すの平面模式図。
図4図3のA−A線断面図。
図5】 避難経路の他の実施形態を示す平面模式図。
図6】 避難口を津波流から護るための他の実施形態を示す斜視図。
図7】 避難経路についての他の実施形態を示す縦断面図。
図8】 外部避難階段と避難口についての他の実施形態を示す斜視図。
図9】 外部避難階段と避難口についての他の実施形態を示す正面図。
図10】 他の実施形態を図11の上面図として示すシェルターの平面図。
図11図10の側面図。
図12】 他の実施形態を示すシェルター側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を説明する。各実施形態で説明する各案は関係する他の実施形態においても適用することができる。
図1および図2は津波(あるいは洪水)用シェルターの一実施形態を示すもので、1は設置基盤、2はシェルターで、同シェルター2はRC構造の一体物からなり、下側シェルター本体3と上側シェルター本体4とでなる。矢印Xは津波の押し波、−Xは津波の引き波を示すもので、これらの設置地域において少なくとも公的に認定されるいわゆる襲来想定方向である。
【0010】
下側シェルター本体3は、X方向を前側とする場合、前後に長く幅を前後長よりも短くした矩形平面上の六面立体であり、その内部は、一体の上下仕切壁5を介して上下2階造りの下避難室6が形成されている。この下側シェルター本体3の内部には、空調装置7が上下階に連通するものとして設置されている他、食糧や飲料水などの備蓄倉庫8も数個所に配備されている。9は避難椅子で、他にトイレや寝室も完備される。下側シェルター本体3は、2階造りであるが1階造りや3階以上の造りにしてもよい。また、図2の右下欄に示すように、本体3の外周は耐震層10で覆ったり免震層で囲んで地震対策用としてもよい。また、下避難質6内には、適数本の支柱を配備して補強を図ることができる。
【0011】
上側シェルター本体4は、下側シェルター本体3よりも幅狭状で前部が面取り型で垂直な面とされる一方、後部は後方から階段状に立ち上がる特殊形状のRC造りとされ前記下側シェルター本体3と一体構造をなすものになっている。階段状に立ち上がる部分を押し波Xに対しその背方へ位置させたのは上側シェルター本体4が押し波Xを左右分流にして寄せ付けないようにすることでその間避難しやすいようにするためである。
【0012】
上側シェルター本体4は、1階・2階・3階部分を有し、その各後端には、1階避難口13・2階避難口14・3階避難口15が設けられ、それぞれに密閉扉16…が内部より密閉操作可能に設けられているとともに、各階避難口13〜15の内部には、安全扉17を介して上下3階層をなす第1・第2・第3避難路(避難経路)18,19,20が床壁21により形成されている。
23は外部避難階段で、上側シェルター本体4の後部両側(あるいは片側のみ)に沿って立ち上がり、設置基盤1から2階・3階避難口14,15へ避難者を誘導できるようにしてある。24は2階および3階の踊り場である。25は天壁である。
【0013】
27は避難スロープ(避難経路)で、第3避難路20から第2避難路19へ、また第2避難路19から下避難室6の仕切り壁5上へ誘導するための折り返し式スロープであり、さらに第1避難路18から下避難室6の仕切り壁5上へ誘導する直線式スロープとでなる。28は地下2階スロープ(避難経路)である。これら避難スロープ27,28は階段式とすることができる。
尚、上側シェルター本体4は、図2の仮想線のようにさらに4階建てそれ以上にすることもできる。
また、シェルター2の前後には、緩衝杭29を立設固定してもよい。この場合、緩衝杭29の上端にはローラー30を付けておいてアンカー31間に渡したワイヤ32の上端を掛け回して津波流X,−Xがワイヤ32に作用した際に垂直押下げ力が緩衝杭29に作用して押し倒されないようにすることができる。
さらに、緩衝杭29をパイプ製とした場合、その上端を酸素取り入れおよびガス排出用として利用し、空調装置7に接続することで避難室6内の空調を可能にすることができる。その場合の空調装置7の駆動は、図示しない太陽光発電・充電装置により行うことができる。
また、34は前後の防護壁で、湾曲状あるいはくの字形などのRC壁によりなるもので、津波流X、−Xを受け留めながら左右に分流化してシェルター2に直接津波流が流れないようにするものである。この防護壁34は、シェルター2の後方での避難をより安全確実なものとする。
【0014】
図1に示すように避難スロープ27は折り返し式であってその途中が平坦面となっていたが、図3および図4に示すように、半円状で下がり傾斜するように連続したものになっていてもよい。避難が早く滞りなく行われるようになるし、シェルター2の前端部の形状が丸くなるので分流化もあって津波流Xに強く対抗することができるようになる。尚、図4に示すように避難スロープ27のぶつかるであろう面には安全クッション36を設置することが安全である。
【0015】
図1および図2に示すようなシェルター2は、平時には演奏会や地域集会所などに利用可能である。その場合、図5のようにスロープ27に平行に階段38を備えておくと、スロープ27を使って滑ることにより衣服を傷めるおそれがなく、また階段38を使って物資を確実に運ぶことも可能になる。
【0016】
図1および図2に示す実施形態では、避難口13,14,15が上側シェルター本体4のコンクリート開口端部近くに開設されていたので、押し波Xの水位が高くなってくると回り込んできて浸水のおそれも出てくるが、図6に示すように、上側シェルター本体4を密閉扉16が充分奥まった位置に隠れるように突き出し状にしておけば、押し波Xによる浸水被害を未然に防止することができる。
【0017】
図7は、図2の実施形態における避難スロープ27や他のタイプのシェルターに設けられるスロープにおいて緊急時に滑りこけて後頭部を打ったりしないように、スロープ27の水平路面端とそれに続く斜面上端部とに跨るようにしてやや滑りにくくクッション効果のあるゴム製や樹脂製の緩衝マット40を貼り付けた実施形態である。このマット40は左下欄にも示すように凹凸表面をもつものにして、より安全なものにしてもよい。
【0018】
図8は他の実施形態を示す。同実施形態は、RC製上側シェルター本体42を右下欄(全体側面図)のように山形に形成してその一側面に全幅型の階段(あるいは登りスロープ)43を一体形成し、その階段43の高さ方向に複数の避難誘導路44を設けてその奥まったところに密閉扉45を配置したものである。46は津波流の回り込みを防ぐ側面ガードで手摺も兼ねている。47は安全ガードで手摺としての機能や避難誘導路44内への落ち込み防止を図るものである。48は下側シェルター本体で、上側シェルター本体42と一体式である。避難口49より内部の避難経路は、図1ないし図5に示すような実施形態を採用できる。
【0019】
図9の実施形態は、避難誘導路44を上側シェルター本体42の一側に配置したものである。
【0020】
図10および図11は、図1および図2に示す実施形態のシェルター2を本体としその前側に津波想定高さを超えるラセン型避難誘導タワー52を追加構築してシェルター2の外部避難階段23によっても避難できない状況の人をも含めてできるだけ多くの人をシェルター内に安全確実に避難誘導させ得るようにした実施形態である。
【0021】
53は主筒で、丸形あるいは角形の金属あるいはRC造りのもので、その上下端は閉止したものになっている。この主筒53は、設置基盤1に埋設固定された固定基礎54によりその基部が固定されてその地域に想定された津波想定高さを充分超える高さまで高く垂直に立設されている。この主筒53の外周には複数本の周ガード55が建てられるとともにラセン型の外登降手段56が取り付けられている。外登降手段56は、階段あるいはスロープ、もしくは階段とスロープの併設型でもよく上端まで伸びていて設置基盤1上の避難者をその上端から主筒53の上面まで誘導できるようになっている。一方、主筒53の上面は閉止されているが、その一部には通穴が明けられており、その通穴に設けられたハッチ57を開くことで中に設けたスロープあるいは階段式の内登降手段58に乗り移ることができるようになっている。内登降手段58は、シェルター2の最上階の床面高さ程度に対応するように設けられ、シェルター2の最上階と主筒53の対応個所との間を強く結ぶ連絡筒橋59を通じて避難口60からシェルター2内に避難できるようになっている。61は中心パイプで、タワー52の中心に固定して貫通されており、その下端は空調装置7に接続される一方上端には酸素吸入パイプ62と内ガス排出パイプ63を備えてシェルター2内への酸素の補給と発生ガスの排出を可能にしている。空調装置7その他を駆動するため、タワー上にはソーラーパネル64を設置したり津波の襲来状況を確認するための映写装置も設置される。
【0022】
津波の襲来が警告されると、周辺住民はこのシェルター2を利用して次々に避難する。ある人は外部避難階段23を利用して避難するが、避難が遅れたりした人は付設のラセン型避難誘導タワー52を利用して避難することができる。避難者は外登降手段56により上端まで登り、開いたハッチ57の通穴を通じて内登降手段58に乗り移り、同手段58を利用して降りて連絡筒橋59を通じてシェルター2内に避難し、上・下避難室に避難する。
尚、図11に仮想線で示すように主筒53の地下部分と下側シェルター本体3とを地下連通橋65で接続してもよい。この場合、上側シェルター本体4および連絡筒橋59は省略することができる。内登降手段58は地下連通橋65のある高さまで低く伸ばすものとする。
【0023】
図12は他の実施形態を示す。同実施形態は、RC製地下シェルター69上に避難誘導構造体70を一体形成して高さ方向に複数の避難口を開けてその避難口に密閉ドア67を装備するとともに内部には避難経路(階段あるいはスロープ)72を設けて地下シェルター69内の避難スロープ27に接続して避難室6内に最終避難可能としてある。また、同構造体70の津波流Xに対する後側となる箇所にラセン型避難誘導タワー71を立設して、構造体70の避難口と同タワー71の異なる高さとの間を第1〜第5連絡橋68を結んでおいて、例えば、津波警報後に1階の避難口を利用して避難がなされたあと当該密閉ドア67が時間リミットで閉じられたあとも、タワー71を登れば2階、3階…の連絡橋68と避難口選んで構造体70内に避難可能としてある。
尚、設置基盤73の津波襲来想定側Xおよび引き波襲来想定側−Xには、防護堤74を配し、これらに各端部を結んだワイヤ75を、構造体70およびタワー71の上端に備えたシーブ76を経由するように掛け渡して津波流により構造体70やタワー71などが下向き力を得て安定するように構成してもよい。ワイヤ75は右上欄のように複数本張設しておいてその間に津波流Xを受ける面材77を設けておくことによりこの面材77がワイヤ75の張力を大きく発生し前記下向き力を強力に発生することから構造体70やタワー71の安定性をより向上させ得るものとなる。
【符号の説明】
【0024】
2…シェルター 3…下側シェルター本体 4…上側シェルター本体 13,14,15…避難口 16…密閉扉 23…外部避難階段。
図1
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図3
図4
図5
図6
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