(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(C)溶媒として、更に(c2)(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エーテル類、ジアセテート類及びアルコキシカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の着色組成物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について説明する。
−(A)着色剤−
本発明における(A)着色剤としては特に限定されることなく使用することが可能であり、カラーフィルタ等の用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。具体的には着色剤として顔料、染料及び天然色素を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、輝度、コントラスト及び色純度の高い画素を得るという点から、顔料としては、有機顔料が好ましく、また染料としては、有機染料が好ましい。
【0017】
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物、即ち下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0018】
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー61:1、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー133、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー169、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー183、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー191:1、C.I.ピグメントイエロー206、C.I.ピグメントイエロー209、C.I.ピグメントイエロー209:1、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー212;
【0019】
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ68、C.I.ピグメントオレンジ70、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ74;
【0020】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド49:3、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド54、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58、C.I.ピグメントレッド58:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:3、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド63:3、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド237、C.I.ピグメントレッド239、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド247、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272;
【0021】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38、C.I.ピグメントバイオレット39;
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー14、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー24、C.I.ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー80;
C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
【0022】
また、有機染料としては、例えば、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0023】
C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等のアゾ系染料;
【0024】
C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等のアントラキノン系染料;
C.I.ベーシックバイオレット1、C.I.ベーシックバイオレット3、C.I.ベーシックバイオレット14、C.I.アシッドブルー7、C.I.ベーシック ブルー1、C.I.ベーシック ブルー5、C.I.ベーシック ブルー7、C.I.ベーシック ブルー11、C.I.ベーシック ブルー26、C.I.ベーシック グリーン1、C.I.ベーシック グリーン4等のトリアリールメタン系染料;
【0025】
C.I.パッドブルー5等のフタロシアニン系染料;
C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等のキノンイミン系染料;
C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等のキノリン系染料;
C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等のニトロ系染料;
ディスパースイエロー201等のメチン系染料。
【0026】
本発明においては、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用してもよい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0027】
また、本発明においては、顔料と共に、更に公知の分散剤及び分散助剤を含有せしめることもできる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等が挙げられ、また分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。
【0028】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)等、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)等を、それぞれ挙げることができる。
【0029】
また、上記顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0030】
(A)着色剤の含有割合は、輝度が高く色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。ここで固形分とは、後述する(C)溶媒以外の成分である。
【0031】
−(B)重合体−
本発明の着色組成物は、前述の(B1)特定重合体又は(B2)特定重合体を含有するが、これら重合体は、バインダー樹脂として機能すると共に硬化成分としても機能する。本明細書では、(B1)特定重合体及び(B2)特定重合体を包括的に(B)重合体と称する。
【0032】
(B2)特定重合体は、下記式(2)で表される化合物と四塩基酸二無水物とを反応させて得られる重合体(以下、「(B2’)重合体」とも称する。)に、含酸素飽和ヘテロ環基を有する(メタ)アクリレート化合物を付加させる工程を少なくとも経て得られる重合体である。
【化3】
【0033】
〔式(2)において、
環Z
1及び環Z
2は、相互に独立に、単環式又は縮合多環式炭化水素環を示す。
R
1a及びR
1bは、相互に独立に、水素原子又はアルキル基を示す。
R
2a及びR
2bは、相互に独立に、炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示す。
R
3a及びR
3bは、相互に独立に、水素原子又はメチル基を示す。
k1及びk2は、相互に独立に、0〜4の整数を示す。
m1及びm2は、相互に独立に、0〜3の整数を示す。
n1及びn2は、相互に独立に、0〜10の整数を示す。
p1及びp2は、相互に独立に、1〜4の整数を示す。〕
【0034】
まず、式(2)で表される化合物について説明する。
環Z
1及び環Z
2は、相互に独立に、単環式又は縮合多環式の炭化水素環を示すが、単環式炭化水素としては、例えば、ベンゼンなどの単環式炭化水素が挙げられる。また、縮合多環式炭化水素としては、例えば、インデン、ナフタレンなどの炭素数8〜20の縮合二環式炭化水素;アントラセン、フェナントレンなどの三環式以上の縮合多環式炭化水素等を挙げることができる。縮合多環式炭化水素としては、炭素数10〜16の縮合二環式炭化水素が好ましい。これらのうち、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンが好ましい。なお、環Z
1及び環Z
2は、同一でも異なっていてもよい。
【0035】
R
1a及びR
1bは、相互に独立に、水素原子又はアルキル基を示すが、アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。中でも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R
1a及びR
1bは、同一でも異なっていてもよい。
k1及びk2は、相互に独立に、0〜4の整数を示すが、0又は1が好ましく、0がより好ましい。また、k1、k2が2以上である場合、複数存在するR
1a、R
1bは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
R
1a及びR
1bの置換位置は特に限定されず、フルオレン骨格を構成するベンゼン環上の任意の炭素原子に置換することができる。
【0036】
R
2a及びR
2bは、相互に独立に、炭化水素基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示すが、炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等を挙げることができる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体的には、R
1a及びR
1bにおいて例示したアルキル基の他、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等を挙げることができる。これらのうち、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基が更に好ましい。
シクロアルキル基としては、炭素数5〜10のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。これらのうち、炭素数5〜8のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数5又は6のシクロアルキル基が更に好ましい。
アリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、アルキルフェニル基等が挙げられ、アルキルフェニル基としては。例えば、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基等を挙げることができる。これらのうち、炭素数6〜8のアリール基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。前記メチルフェニル基としては、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基等を挙げることができ、前記ジメチルフェニル基としては、キシリル基等を挙げることができる。
アラルキル基としては、炭素数7〜14のアラルキル基が好ましく、具体的には、炭素数6〜10のアリール基に炭素数1〜4のアルキル基が結合した基を挙げることができ、より具体的には、ベンジル基、フェネチル基等を挙げることができる。これらのうち、炭素数6〜8のアリール基に炭素数1〜2のアルキル基が結合した基がより好ましい。
【0037】
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
前記アシル基としては、炭素数1〜6のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
【0038】
これらのうち、R
2a及びR
2bとしては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜8のアリール基に炭素数1〜2のアルキル基が結合した基、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基が特に好ましい。R
2a及びR
2bは、同一でも異なっていてもよい。
m1及びm2は、相互に独立に、0〜3の整数を示すが、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。また、m1、m2が2以上である場合、複数存在するR
2a、R
2bは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
R
2a及びR
2bの置換位置は特に限定されず、環Z
1及び環Z
2上の任意の炭素原子に置換することができる。
【0039】
R
3a及びR
3bは、相互に独立に、水素原子又はメチル基である。R
3a及びR
3bが複数存在する場合、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0040】
p1及びp2は、相互に独立に、1〜4の範囲であるが、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。なお、ヒドロキシル基含有基の置換位置は特に限定されず、環Z
1、環Z
2上の任意の炭素原子に置換することができる。
【0041】
n1及びn2は、相互に独立に、0〜10の整数を示すが、0〜4の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましい。なお、n1、n2が2以上の場合、(ポリ)アルキレンオキシ基は、同一のアルコキシ基で構成されていてもよく、異種のアルコキシ基により構成されていてもよい。異種のアルコキシ基の組み合わせとして、例えば、エトキシ基とプロピレンオキシ基を挙げることができる。
【0042】
前記式(2)で表される化合物の中でも、下記式(4)及び式(5)で表される化合物を、より好適な例として例示することができる。
【0044】
〔式(4)において、R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、R
3b、k1、k2、m1、m2、n1、n2、p1及びp2は、前記と同義である。〕
【0046】
〔式(5)において、R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、R
3b、k1、k2、m1、m2、n1、n2、p1及びp2は、前記と同義である。〕
【0047】
式(4)で表される化合物としては、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシナフチル)フルオレン類が好ましい。
【0048】
9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシナフチル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−ヒドロキシプロポキシ)−1−ナフチル]フルオレン等を挙げることができる。
【0049】
9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシナフチル)フルオレン類としては、9,9−ビス(ヒドロキシジアルコキシナフチル)フルオレン類が好ましく、具体的には、9,9−ビス{6−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−2−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{6−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−2−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{5−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−1−ナフチル}フルオレン、9,9−ビス{5−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−1−ナフチル}フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシジC
2-4アルコキシナフチル)フルオレン等を挙げることができる。
【0050】
式(5)で表される化合物としては、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシジアルキルフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシアリールフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシアリールフェニル)フルオレン類が好ましい。
【0051】
9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェノキシエタノール]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェノキシエタノール]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,6−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2,6−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−2,4−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−(2−ヒドロキシプロポキシ)−2,4−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,4−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチルフェニル]フルオレン等の9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシアルキルフェニル)フルオレン類を挙げることができる。
【0052】
9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシフェニル)フルオレン類としては、9,9−ビス(ヒドロキシジアルコキシフェニル)フルオレン類が好ましい。その具体例としては、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシジエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシジプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシジエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシジプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシジエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシジエトキシ)−2,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシジプロポキシ)−2,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシジエトキシ)−3,6−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシジプロポキシ)−2,6−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシジエトキシ)−2,4−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−(2−ヒドロキシジプロポキシ)−2,4−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシジエトキシ)−3,4−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシジプロポキシ)−3,4−ジメチルフェニル]フルオレン等が挙げられる。
【0053】
9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシアリールフェニル)フルオレン類としては、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−トリルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシアリールフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(2−ヒドロキシエトキシアリールフェニル)フルオレン等が挙げられる。
【0054】
9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシアリールフェニル)フルオレン類としては、9,9−ビス(ヒドロキシジアルコキシアリールフェニル)フルオレン類が好ましく、具体的には、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシジアルコキシアリールフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシアリールフェニル]フルオレン等が挙げられる。
【0055】
本発明においては、上記式(2)で表される化合物として、常法により製造したものを使用してもよいが、BPEF、BOPPEF,BNFEO(以上、大阪ガスケミカル株式会社製)等の市販品を使用することもできる。
【0056】
次に、四塩基酸二無水物について説明する。
四塩基酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ペンタンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シクロへプタンテトラカルボン酸二無水物、ノルボルナンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、ピロメリット酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0057】
上記式(2)で表される化合物と四塩基酸二無水物の反応においては、式(2)で表される化合物1molに対して、四塩基酸二無水物を0.5mol〜1.5molの割合で反応させることが好ましく、0.65mol〜1.25molであることがより好ましい。四塩基酸二無水物の割合が0.5mol未満及び1.5molを超える場合、十分な分子量の(B2’)重合体が得られないことがある。
【0058】
式(2)で表される化合物と四塩基酸二無水物の反応にあたっては触媒を使用してもよい。使用する触媒は、反応を促進するものなら特に制限はないが、一例として、ピリジン、キノリン、イミダゾール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5等のアミン類;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム化合物;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等及びそれらの混合物が挙げられる。また、使用する触媒の量にも特に制限はないが、式(2)で表される化合物及び四塩基酸二無水物の合計100質量部に対して0.1〜2.0質量部の範囲が好ましい。触媒の量が2.0質量部よりも多すぎると(B2)特定重合体の保存安定性に悪影響が出るおそれがある。
【0059】
また、式(2)で表される化合物と四塩基酸二無水物の反応に際しては、反応原料の溶解、粘度低減等の目的で溶媒を使用してもよい。溶媒の種類は、反応を阻害しないものなら特に制限は無いが、一例としては、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;
ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールエーテルアセテート類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;
酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;
ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0060】
使用する溶媒の量にも特に制限はないが、式(2)で表される化合物及び四塩基酸二無水物の合計100質量部に対し、25〜150質量部の範囲が好ましい。25質量部未満では粘度が十分に低減されない場合がある。一方、150質量部を超える場合、反応物の濃度が下がりすぎ反応速度が低下する場合がある。
【0061】
式(2)で表される化合物及び四塩基酸二無水物に、必要に応じ溶媒や触媒を添加して反応させるが、反応にあたっては加熱することが好ましく、加熱によって原料が溶解し、反応速度も加速される。加熱温度は式(2)で表される化合物及び四塩基酸二無水物の種類や使用する装置に応じて適宜設定することができるが、おおむね60〜220℃の範囲が好ましく、90〜160℃の範囲がより好ましい。反応温度が60℃よりも低いと、反応終了までに時間がかかることがある。一方、反応温度が220℃よりも高いと、着色等の副反応が発生したり、酸無水物が閉環する平衡により反応率が低下したりする場合がある。
【0062】
次に、(B2’)重合体と、含酸素飽和ヘテロ環基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応について説明する。
含酸素飽和ヘテロ環基を有する(メタ)アクリレート化合物としては特に限定されるものではなく、分子内に含酸素飽和ヘテロ環基及び(メタ)アクリロイル基をそれぞれ1以上有する化合物であればよい。ここで、「含酸素飽和ヘテロ環基」とは、ヘテロ環を構成するヘテロ原子として酸素原子を有する飽和ヘテロ環基を意味する。なお、含酸素飽和ヘテロ環基を有する(メタ)アクリレート化合物における含酸素飽和ヘテロ環基及び(メタ)アクリロイル基の結合位置は制限を受けない。
【0063】
本発明における含酸素飽和ヘテロ環基としては、環を構成する原子数が3〜7個の環状エーテル基が好ましく、具体的には、オキシラニル基、オキセタニル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、テトラヒドロフラニル基等を挙げることができる。中でも、反応性の観点から、オキシラニル基、オキセタニル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基が好ましい。
【0064】
含酸素飽和ヘテロ環基を有する(メタ)アクリレート化合物として、例えば、下記式(3―1)、式(3−2)、式(3−3)で表される化合物を例示することができる。
【0068】
〔式(3−1)、(3−2)及び(3−3)において、
R
4は、水素原子又はメチル基を示す。
R
5は、単結合又は下記式(6)で表される基を示す。
R
6は、炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
【0070】
〔式(6)において、
q、r、sは、相互に独立に、0〜9の整数を示す。
但し、q、r、sが同時に0になることはなく、−C
2H
4O−基、−C
3H
6O−基及び−C
4H
8O−基は、任意の順序で結合していてもよい。〕
【0071】
式(6)において、−C
2H
4O−基は、エチレン基及びエタン−1,1−ジイル基を包含する連結基を意味し、−C
3H
6O−基は、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基を包含する連結基を意味する。また、−C
4H
8O−はブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−2,2−ジイル基、ブタン−2,3−ジイル基等を包含する連結基を意味する。
【0072】
R
6としては炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、その具体例は前述と同様のものを挙げることができる。
【0073】
前記式(3−1)で表される化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等を挙げることができる。
また、式(3−2)で表される化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
更に、式(3−3)で表される化合物としては、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−3−メチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン等を挙げることができる。
【0074】
(B2’)重合体と含酸素飽和ヘテロ環基を有する(メタ)アクリレート化合物との反応においては、反応促進の目的で触媒を用いてもよい。触媒は、含酸素飽和ヘテロ環基を有する(メタ)アクリレート化合物の種類により適宜選択可能であるが、一例として、ピリジン、キノリン、イミダゾール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5等のアミン類;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム化合物;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0075】
また、使用する触媒の量にも特に制限はないが、(B2’)重合体100質量部に対して0.1〜2.0質量部の範囲が好ましい。触媒の量が多すぎると、本発明の着色組成物の保存安定性に悪影響が出る場合がある。
【0076】
また、含酸素飽和ヘテロ環基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させるにあたっては、重合禁止剤を加えることが好ましい。不飽和結合の反応を抑制するものであれば重合禁止剤の種類に特に制限は無いが、一例として、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルハイドロキノン、t−ブチルカテコール、N−メチル−N−ニトロソアニリン又はN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アンモニウム塩(和光純薬工業株式会社製:Q−1300)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩(和光純薬工業株式会社製:Q−1301)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等が挙げられる。特に、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルが好ましい。重合禁止剤の量は、その種類及び反応条件によって適宜決定することが可能であるが、(B2’)重合体全体に対して通常5〜2000ppmの範囲である。この範囲よりも少ないと、製造中に不飽和結合が反応しゲル化が起こる場合があり、この範囲よりも多いと、本発明の着色組成物の感度が低下する場合があるため好ましくない。
【0077】
(B2’) 重合体と含酸素飽和ヘテロ環基を有する(メタ)アクリレート化合物とを反応させる際は、反応速度の向上を目的として加熱することが好ましい。加熱温度は含酸素飽和ヘテロ環基を有する(メタ)アクリレート化合物の種類や装置によって適宜設定することができるが、通常60〜150℃の範囲である。反応温度が60℃よりも低いと、反応終了までに時間がかかることがある。一方、反応温度が150℃よりも高いと、着色等の副反応が発生したり、不飽和結合が反応してゲル化が起きたりする場合がある。
このようにして得られた重合体をそのまま(B2)特定重合体として使用しても良いが、残存しているカルボキシル基の一部をグリシジルエーテル類等により封止した後に(B2)特定重合体として使用することもできる。カルボキシル基の一部を封止することにより、(B2)特定重合体の酸価を制御することができる。
【0078】
このようにして、(B2)特定重合体を得ることができるが、中でも、下記式(1)で表される構造単位を有する重合体が好ましい。
【0080】
〔式(1)において、環Z
1、環Z
2、R
1a、R
1b、R
2a、R
2b、R
3a、R
3b、k1、k2、m1、m2、n1及びn2は前記と同義である。
Yは、カルボキシル基を4個有する有機化合物から4個のカルボキシル基を除いた残基を示す。
R
aは、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する基を示す。
R
bは、水素原子又は(メタ)アクリロイルオキシ基を有する基を示す。
t及びuは、相互に独立に、0〜3の整数を示す。〕
【0081】
Yは、カルボキシル基を4個有する有機化合物から4個のカルボキシル基を除いた残基を示すが、具体的には、前述の四塩基酸二無水物に対応する四塩基酸から4個のカルボキシル基を除いた残基を挙げることができる。
【0082】
式(1)において、R
aは、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する基を示すが、前述の含酸素飽和ヘテロ環基を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する基を挙げることができる。
R
bは、水素原子又は(メタ)アクリロイルオキシ基を示す。
t及びuは、相互に独立に、0〜3の整数を示すが、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がより好ましい。
【0083】
本発明において、(B)重合体の分子量は特に限定されるものではないが、塗膜強度、塗布性あるいは現像性の観点から1,000〜200,000であることが好ましく、更に2,500〜50,000が好ましい。なお、本明細書において(B)重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0084】
本発明において、(B)重合体の酸価は、好ましくは30〜150mgKOH/gであるが、現像性の観点から、より好ましくは30〜130mgKOH/g、更に好ましくは50〜100mgKOH/gである。酸価が低すぎると現像速度が低下して必要なパターンが得られなくなる場合がある。一方、酸価が高すぎる場合は、現像過剰となってパターンが剥離しやすくなる場合がある。なお、本明細書において「酸価」とは、重合体溶液の溶媒を除いた不揮発分1gを中和するのに必要なKOHのmg数を表す。
【0085】
本発明においては、バインダー樹脂として(B)重合体以外の他の樹脂(以下、「(b)他の重合体」とも称する。)を含有せしめることができる。これにより、基板への結着性、アルカリ現像性、保存安定性を高めることができる。このような重合体としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b−1)」とも称する。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b−2)」とも称する。)との共重合体を挙げることができる。
【0086】
不飽和単量体(b−1)と不飽和単量体(b−2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0087】
本発明において、(b)他の重合体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0088】
本発明において(B)成分の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、特に20〜500質量部が好ましい。この場合、(B)成分の含有量が少なすぎると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、得られる着色組成物の保存安定性が低下したりするおそれがある。一方、(B)成分の含有量が多すぎると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
また、(b)他の重合体を併用する場合、(B)重合体の含有量は、バインダー樹脂の総量に対して、10質量%以上、更に15質量%以上、更に20質量%以上であることが好ましい。
【0089】
−(C)溶媒−
本発明の着色組成物は、アルコール類及びケトン類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒(以下、「溶媒(c1)」とも称する。)を全溶媒中、3〜50質量%含有する。これにより保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0090】
上記アルコール類としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、3−メトキシブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール類;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール類
等を挙げることができる。
【0091】
これらのアルコール類のうち、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、(シクロ)アルキルアルコール類が好ましく、特にエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エタノール、3−メトキシブタノールが好ましい。アルコール類は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0092】
また、上記ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等を挙げることができ、中でも、シクロヘキサノンが好ましい。ケトン類は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0093】
また、溶媒(c1)以外の溶媒(以下、「溶媒(c2)」とも称する。)」としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
【0094】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類等を挙げることができる。
【0095】
これらの溶媒(c2)のうち、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エーテル類、ジアセテート類、アルコキシカルボン酸エステル類が好ましく、特にエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルが好ましい。溶媒(c2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0096】
本発明において、溶媒(c1)の含有割合は、全溶媒中、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、15〜35質量%が更に好ましい。溶媒(c1)の含有割合が3質量%未満であると、着色組成物中又は硬化膜中に異物が生じやすくなる。一方、溶媒(c1)の含有割合が50質量%を超えると、着色組成物の粘度が経時的に上昇しやすくなる傾向にある。
【0097】
(C)溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、特に10〜40質量%となる量が好ましい。このような態様とすることにより、分散性、塗布性、安定性の良好な着色組成物を得ることができる。
【0098】
−架橋剤−
本発明においては、架橋剤を含有せしめることにより着色層の硬化性を更に高めることができる。架橋剤とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、架橋剤としては、2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(上記(B)成分を除く。)、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0099】
上記2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(上記(B)成分を除く。)の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0100】
ここで、上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、前述した四塩基酸の二無水物を挙げることができる。
【0101】
また、上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0102】
また、上記2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N',N',N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0103】
これらの架橋剤のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N',N',N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N',N'−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、架橋剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0104】
本発明における架橋剤の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、特に20〜500質量部が好ましい。この場合、架橋剤の含有量が少なすぎると、十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、架橋剤の含有量が多すぎると、本発明の着色組成物にアルカリ現像性を付与した場合に、アルカリ現像性が低下し、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
【0105】
−光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、(B)成分及び任意に添加する架橋剤の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0106】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物、オニウム塩系化合物等を挙げることができる。
【0107】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、特にO−アシルオキシム系化合物を含有すると、(B)重合体と相溶性が良く、異物が発生し難くなる点で好ましい。
【0108】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0109】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0110】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0111】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、更に感度を改良することができる点で好ましい。
【0112】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0113】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)等を使用することもできる。これらのうち、着色組成物の感度の観点から、特にエタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、NCI−831、NCI−930が好ましい。
【0114】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。また、本発明においては、連鎖移動剤として作用する多官能チオールを含有せしめることにより、着色組成物の感度を高めることができる。このような連鎖移動剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等を挙げることができる。
【0115】
本発明において、光重合開始剤の含有量は、(B)成分及び任意に添加する架橋剤の合計100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、更に1〜100質量部が好ましく、更に7〜50質量部が好ましく、特に10〜30質量部好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0116】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0117】
本発明の着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、その調製方法としては、例えば、(A)〜(B)成分を、(C)溶媒や任意的に加えられる他の成分と共に、混合することにより調製することができる。(A)着色剤として顔料を使用する場合、顔料を(C)溶媒中、分散剤の存在下で、場合により(B)成分の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液とし、次いで、この顔料分散液に、(B)成分と、必要に応じてさらに追加の溶媒や他の成分を添加し、混合することにより調製する方法が好ましい。(A)着色剤として染料と顔料の両方を使用する場合、特開2010−132874号公報に開示されているように、染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液を、別途調製した顔料分散液等と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用することができる。また、染料と、上記(B)成分、並びに必要に応じて使用する他の成分を溶媒に溶解し、得られた溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第2のフィルタに通すことにより調製する方法を採用してもよい。また、染料溶液を第1のフィルタに通した後、第1のフィルタを通過した染料溶液と、上記(B)成分、並びに必要に応じて使用する他の成分を混合・溶解し、得られた溶液を第2のフィルタに通し、更に第2のフィルタを通過した溶液を、別途調製した顔料分散液と混合し、得られた着色組成物を第3のフィルタに通すことにより調製する方法も採用することができる。
【0118】
カラーフィルタ及びその製造方法
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層を備えるものである。
【0119】
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、赤色の顔料が分散された本発明の感放射線性着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0120】
次いで、緑色又は青色の各感放射線性着色組成物を用い、上記と同様にして、各感放射線性着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。また、カラーフィルタを製造する第一の方法においては、上記赤色、緑色、青色の画素アレイのいずれか1以上が、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層であればよい。
【0121】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の顔料が分散された感放射線性着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
【0122】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0123】
感放射線性着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0124】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0125】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
【0126】
画素及び/又はブラックマトリックスを形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0127】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m
2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0128】
上記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0129】
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1〜3μmである。
【0130】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、赤色の顔料が分散された本発明の熱硬化性着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、赤色の画素パターンを形成する。
【0131】
次いで、緑色又は青色の各熱硬化性着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び青色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。また、カラーフィルタを製造する第二の方法においても、上記赤色、緑色、青色の画素アレイのいずれか1以上が、本発明の着色組成物を用いて形成された着色層であればよい。
【0132】
なお、上記隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
【0133】
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。
【0134】
表示素子
本発明の表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができ、更に薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【0135】
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
【0136】
本発明のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
【0137】
また、本発明のカラーフィルタを具備する有機EL表示素子は、適宜の構造をとることができ、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造をとることができる。
【0138】
また、本発明のカラーフィルタを具備する電子ペーパーは、適宜の構造をとることができ、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造をとることができる。
【実施例】
【0139】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0140】
<酸価の測定>
以下各合成例で得た(B)重合体の酸価を下記の要領で測定した。重合体溶液0.5gを1mgの単位まで精密に秤量し、硝子容器に取り分けた。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートにより50mLに希釈した後、フェノールフタレインを添加し、0.1Nエタノール性水酸化カリウム水溶液で滴定を行い、ピンク色に着色した点を終点とした。同様に空試験を行なった。(B)重合体と空試験の0.1Nエタノール性水酸化カリウム水溶液滴下量から酸価(単位:mgKOH/g)を算出した。
【0141】
<重合体の合成>
合成例1((B)重合体の合成)
攪拌機と冷却管を備えた1000mLのフラスコに、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(宇部興産社製品:商品名BPDA)90g、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル社製:商品名BPEF)110g、4−ジメチルアミノピリジン1g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート134gを入れ、窒素気流下で攪拌しながら155℃のオイルバスで4時間加熱した。続けて、120℃まで冷却した後、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(ADEKA社製品:商品名アデカスタブLA−7RD)0.04g、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(日本化成社製品:商品名4HBAGE)80gを加え、120℃で4時間攪拌した。次に室温まで冷却し、不揮発分が50質量%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて淡黄色透明粘稠性の重合体溶液を得た。得られた重合体のGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は4920、酸価は61mgKOH/gであった。この重合体を「重合体(B−1)」とする。
【0142】
合成例2((b)他の重合体の合成)
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸15質量部、スチレン12質量部、ベンジルメタクリレート41質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、n−ブチルメタクリレート2質量部、N−フェニルマレイミド15質量部、及び2,2'−アゾビスブチロニトリル0.5質量部、ジペンタエリスリトールテトラキス−2−メルカプトプロピオネート2質量部の混合溶液を80℃にて保持して4時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、更に1時間重合することにより、重合体溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた重合体は、Mw=24,000、Mn=14800、Mw/Mn=1.60、酸価は98mgKOH/gあった。この重合体を「重合体(B−2)」とする。
【0143】
合成例3((b)他の重合体の合成)
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、更に1時間重合することにより、重合体溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた重合体は、Mw=11,000、Mn=6000、Mw/Mn=1.83、酸価は130mgKOH/gあった。この重合体を「重合体(B−3)」とする。
【0144】
<顔料分散液の調製>
調製例1
(A)着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58/C.I.ピグメントイエロー138=60/40(質量比)混合物15.0質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製、溶媒比率(質量%):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル/エタノール=48.7/50/1.3)を11.1重量部(固形分濃度40質量%)、(b)他の重合体として重合体(B−3)溶液13.8質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを固形分濃度が25%となるよう用いて、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液(A−1)を調製した。
【0145】
調製例2
(A)着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177=60/40(質量比)混合物15.0質量部、分散剤としてBYK−LPN21116を11.1重量部(固形分濃度40質量%)、(b)他の重合体として重合体(B−3)溶液を13.8質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを固形分濃度が25%となるよう用いて、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液(A−2)を調製した。
【0146】
調製例3
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:6/C.I.ベーシックブルー7=60/40(質量比)混合物15.0質量部、分散剤としてBYK−LPN21116を11.1質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノエチルエーテルを用い、全溶剤中のプロピレングリコールモノエチルエーテルの含有比率が20%、固形分濃度25%となる調製した後にビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料染料混合液(A−3)を調製した。
【0147】
<着色組成物の調製及び評価>
実施例1
着色感放射線性着色組成物の調製
(A)着色剤として顔料分散液(A―1)210質量部、(B)重合体として重合体(B―1)溶液11.1質量部(固形分濃度=50質量%)、架橋剤として日本化薬株式会社製KAYARAD MAX−3510(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)36質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オンを5.3質量部とエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)2.0質量部、フッ素系界面活性剤としてDIC株式会社製メガファックF−554を0.2質量部、及び溶媒(C−1)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、溶媒(C−4)としてプロピレングリコールモノエチルエーテルを選択し、全溶剤中の溶媒(C−4)の含有割合が30質量%となるよう混合して、固形分濃度15質量%の緑色感放射線性着色組成物(S−1)を調製した。
【0148】
感度評価
着色組成物(S−1)を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が形成されたソーダガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレートで4分間プレベークを行って、プレベーク後の膜厚が2.5μmとなる6枚の塗膜を形成した。
次いで、これらの基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を100、200、300、500、800又は1,000J/m
2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することによりシャワー現像を行ったのち、更に220℃で30分間ポストベークを行って、基板上に200μm×200μmのドットパターンを形成した。
【0149】
各露光量でパターンを形成した各基板上のドットパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、パターンが良好に形成され、現像前後での膜厚比として算出される残膜率(現像後の膜厚×100/現像前の膜厚)が90%以上であった場合を「○」、パターンが良好に形成されたが、残膜率が90%未満であったか、又はパターンの一部に欠けが認められた場合を「△」、パターンが形成されなかった場合を「×」として、評価した。評価結果を表3に示す。
【0150】
耐熱性の評価
着色組成物(S−1)を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が形成されたソーダガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレートで4分間プレベークを行って、プレベーク後の膜厚が2.5μmとなる2枚の塗膜を形成した。
次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を1,000J/m2 の露光量で露光した。その後、この基板に対して23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することによりシャワー現像を行ったのち、更に220℃で30分間ポストベークを行って、基板上に200μm×200μmのドットパターンを形成した。
【0151】
得られた基板2枚を、230℃、250℃でそれぞれ60分間追加ベークを行い、追加ベーク後のパターンを光学顕微鏡で観察し、230℃、250℃追加ベークのいずれでも異物の発生が観察されなければ「○」、230℃追加ベークでの異物発生が無く250℃追加ベークで異物の発生が観察されれば「△」、230℃追加ベークで異物の発生が観察されれば「×」とした。評価結果を表3に示す。
【0152】
また、着色組成物(S−1)の保存安定性評価として、下記の異物評価及び粘度安定性評価を実施した。
【0153】
異物評価
5℃で3日間静置した着色組成物(S−1)を表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO2 膜が形成された10cm×10cmのソーダガラス基板上に、スリットダイコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレートで4分間プレベークを行って、プレベーク後の膜厚が2.5μmとなる塗膜を形成した。得られた基板を光学顕微鏡で観察し、塗膜上に異物の発生が観察されなければ「○」、塗膜上の異物の発生数が1個以上10個以下であれば「△」、塗膜上の異物の発生数が11個以上観察されれば「×」とした。評価結果を表3に示す。
【0154】
粘度安定性評価
着色組成物(S−1)の調製直後の粘度をE型粘度計(東京計器製)を用いて測定した。次に着色組成物(S−1)を遮光ガラス容器に充填し、密封状態で23℃にて14日間静置した後、E型粘度計(東京計器製)を用いて再度粘度を測定した。そして調製直後の粘度に対する14日間保存後の粘度の増加率を算出し、増加率が5%未満の場合を「○」、5%以上10%未満の場合を「△」、10%以上の場合を「×」として評価した。評価結果を表3に示す。
【0155】
実施例2〜30及び比較例1〜14
実施例1において、顔料分散液、重合体溶液、架橋剤及び光重合開始剤の種類及び配合量を表1に示すように変更し、また着色組成物中の全溶媒に対するアルコール類及びケトン類の含有割合(単位:質量%)が表2に示すようになるよう溶媒の種類及び配合量を変更して、着色組成物(S−2)〜(S−44)を調製した。次いで、着色組成物(S−2)〜(S−44)について、実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表3に示す。
なお表2において、溶媒(C−12)及び(C−13)は、顔料分散液(A−1)〜(A−2)及び顔料染料混合液(A−3)を調製する際に使用したBYK−LPN21116中の成分である。
【0156】
【表1】
【0157】
表1において各成分は以下の通りである。
D−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(商品名MAX−3510、日本化薬株式会社製)
E−1:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
E−2:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(商品名IRGACURE OXE02、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
E−3:NCI−930(商品名:NCI−930、ADEKA社製)
【0158】
【表2】
【0159】
表2において各成分は以下の通りである。なお、溶媒(C−1)〜(C−3)は溶媒(c2)に該当し、溶媒(C−4)〜(C−13)は溶媒(c1)に該当する。
C−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C−2:3−エトキシプロピオン酸エチル
C−3:3−メトキシブチルアセテート
C−4:プロピレングリコールモノエチルエーテル
C−5:プロピレングリコールモノメチルエーテル
C−6:3−メトキシブタノール
C−7:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
C−8:ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル
C−9:プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル
C−10:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
C−11:シクロヘキサノン
C−12:エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル
C−13:エタノール
【0160】
【表3】