(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1のシート加工製品製造システムであって、第1のロール状シートから連続シートを巻き出しながら加工を施して第2のロール状シートに巻き取ることでロール状の前記シート加工製品を製造することを特徴とするシート加工製品製造システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下、本発明のシート加工製品製造システムの第1の実施形態を
図1から
図5を参照して説明する。
(シート加工製品製造システムの構成)
図1は、第1の実施形態のシート加工製品製造システムのブロック図である。シート加工製品製造システムは、ロール状のシート加工製品を製造する各工程の、印刷機、コーター機、ルーダー機、スリッター機等のシート加工製品を製造するためのシート加工装置100に、シート製造指示システムを設置する。
【0016】
このシート製造指示システムは、シート加工装置100に設置してシート加工装置100の動作状態を感知する動作センサや動作位置計測手段等の装置動作感知手段210と、シート加工装置100の停止と開始の動作の制御を行う装置制御部220と、ナビゲーションシステム制御部230と記憶手段240と操作表示部260とで構成する。
【0017】
ナビゲーションシステム制御部230は、シート加工装置100の動作シーケンスを制御する装置であり、装置動作感知手段210の出力信号(装置動作感知信号D102)を受信し、装置制御部220に制御信号を送信し、記憶手段240と操作表示部260とに接続されている。ナビゲーションシステム制御部230は、装置動作感知手段210と操作表示部260からの信号に応答して装置制御部220に制御信号を送信するようにプログラムされたシーケンサ、あるいは、記憶手段240に記憶したプログラムの手順に従って動作する演算手段(CPU)で構成する。
【0018】
記憶手段240は、
図2(a)のような、ナビゲーションシステム制御部230のシーケンサの動作モード、又は、ナビゲーションシステム制御部230の演算手段(CPU)の制御プログラム等の装置動作シーケンスデータD100を記録する。また、記憶手段240は、
図2(b)のような、操作表示部260の画面に表示画面項目D201に対応して表示すべき表示データD202を記録した表示画面データD200を記憶する。
【0019】
ナビゲーションシステム制御部230は、装置動作感知手段210の出力信号(装置動作感知信号D102)に基づいて、記憶手段240から操作表示部260に表示させる画面データを呼び出し、タッチパネル式の操作表示部260に表示させる。このとき操作者に通知するために警報ランプあるいは音声出力部を有する警報部250を用いて通知する。また、ナビゲーションシステム制御部230は、タッチパネル式の操作表示部260からの操作者の指令を受信し、それに従って、装置制御部220を制御することで、シート加工装置100の停止、開始の制御を行う。
【0020】
本実施形態における生産工程としては、例えば、第1単位工程として、例えば蒸着用シート加工装置100により、ロール状原反(生産材)等の第1のロール状シートP0を連続シートP1として、インフィードロール1(上下に対向する所定速度で回転するニップロール)にて巻き出しながら、その連続シートP1の片面又は両面に、アルミニウム等の金属の蒸着膜、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜等の薄膜を成膜して、アウトフィードロール2(上下に対向する所定速度で回転するニップロール)にて第2のロール状シートP2として巻き取る蒸着工程を備える。
【0021】
続いて第2単位工程では、例えば、塗布用シート加工装置100(コーター)や印刷用シート加工装置100(プリンター)により、先に製造したロール状シートを第1のロール状シートP0から連続シートP1として、インフィードロール1にて巻き出しながら、その連続シートP1の蒸着膜上に、塗布用シート加工装置100や印刷用シート加工装置が、樹脂液等を塗布して保護層や接着剤層をコーティング形成し、アウトフィードロール2にて、第2のロール状シートP2として巻き取るコーティング工程を備える。
【0022】
続いて第3単位工程では、例えば、パターンエンボス加工用シート加工装置100により、先に製造したロール状シートを第1のロール状シートP0から連続シートP1として、インフィードロール1にて巻き出しながら、その連続シートP1の表面をパターン状に凹凸エンボス加工して、アウトフィードロール2にて、第2のロール状シートP2として巻き取るパターンエンボス工程を備える。
【0023】
この各シート加工装置100は、連続シート巻き出し長さを、巻き出し長さ計測手段211(例えば、インフィードロール1又はアウトフィードロール2に同期して回転するパルスジェネレータ、ロータリーエンコーダなど)にて計測しながら、連続シートP1に対して加工を施す。
【0024】
このシート加工装置100は、
図6に示すようなスリッター装置であっても良く、第1のロール状シートP0から巻き出した連続シートP1を、スリッター3により、2条乃至数条の各々連続シートに分割して、アウトフィードロール2にて第2のロール状シートP2に巻き取るようにしてもよい。
【0025】
以上のようにして、ロール状原反を連続シートP1として巻き出しながら加工を施してロール状シートとして巻き取るシート加工装置100、例えば、蒸着機又はコーターやプリンター又はパターンエンボス加工用シート加工装置100による複数単位工程を経て最終的にロール状のシート加工製品を生産する生産工程で、それぞれの工程を1単位工程(又は1単位加工工程)として、それぞれの単位工程毎にシート加工製品製造システムを用いる。それにより、それぞれのシート加工装置100を操作してロール状のシート加工製品を製造する作業の人為ミスを無くし、高品質にロール状のシート加工製品を製造できる効果がある。
【0026】
(シート加工製品製造システムの動作手順)
図3は、第1の実施形態のシート加工製品製造システムの動作手順を示すフローチャートである。以下、
図3を参照して本実施形態のシート加工製品製造システムの動作手順を示す。
【0027】
まず、シート加工製品製造システムのナビゲーションシステム制御部230を起動する。
(ステップS1)
ナビゲーションシステム制御部230は、最初に、タッチパネル式の操作表示部260に
図4(a)のような操作指示のメイン画面を表示し、操作者に、操作表示部260のタッチパネルの画面のボタン表示位置に接触させることで、画面に表示された項目の中から必要な項目を選択させる。
【0028】
例えば、タッチパネルに表示された
図4(a)のメイン画面の送り長さ設定ボタンB1
を操作者が押した場合は、
図4(b)のようなロールの送り長さ設定画面を操作表示部260に表示する。そして、操作者にタッチパネルから、ロールの送り長さを設定させる。ナビゲーションシステム制御部230は、その、ロールの送り長さデータを、巻き出し長さ計測手段211からの出力パルスを計数するシート製造長さカウンタのプリセットレジスタに設定する。シート製造長さカウンタは、プリセットレジスタとカウンタとから成るシート製造長さカウンタを装置信号受信部210に設置して用いることができる。または、シート製造長さカウンタを、ナビゲーションシステム制御部230によるカウンタ機能を用いて構成することもできる。このシート製造長さカウンタは、ロールから送り出すシートの長さが規定のロールの送り長さに達した場合に指定長さ到達信号を出力する。
【0029】
また、タッチパネルに表示された
図4(a)のメイン画面の作業項目選択ボタンB2を操作者が押した場合は、
図4(c)のような印刷作業の作業項目一覧を表示して、操作者に、操作表示部260のタッチパネルの画面のボタン表示位置に接触させることで、画面に表示された項目の中から必要な項目を選択させる。
【0030】
(ステップS2)
次に、ナビゲーションシステム制御部230は、選択された作業項目を、記憶手段240が記憶する装置動作シーケンスデータD100の動作選択欄D103に記録する。装置動作シーケンスデータD100は、
図2(a)のように、作業項目D101毎に、作業項目が感受する装置動作感知手段210が出力する装置動作感知信号D102が記録され、その作業項目の動作により装置制御部220に出力してシート加工装置100を制御する制御出力信号D104が記録されている。
【0031】
(ステップS3)
次に、ナビゲーションシステム制御部230は、操作者がタッチパネル式の操作表示部260の
図4(a)のようなメイン画面の開始ボタンB3に接触すること等による指令確定指令を受信することで、その指令確定指令を合図に、装置制御部220にシート加工装置100の運転を開始させる指令を送信する。ナビゲーションシステム制御部230は、シート加工装置100の運転が所定の状態に達した場合に出力される装置動作感知手段210からの装置動作感知信号D102を待つ信号の監視と待機をする動作を開始する。ナビゲーションシステム制御部230の監視・待機動作は、記憶手段240が記録している動作プログラムに従って動作させることもでき、また、所定の条件で動作する電子回路に設定された条件に従って動作させることもできる。
【0032】
(ステップS4)
シート加工装置100の運転が継続され、シート加工装置100の運転が所定の状態に達した場合に装置動作感知手段210が装置動作感知信号D102を出力する。ナビゲーションシステム制御部230は、その装置動作感知信号D102を受信した場合に、記憶手段240が記録している
図2(a)のような装置動作シーケンスデータD100に従って、その装置動作感知信号D102に応答するべき動作で、かつ、動作選択欄D103に記録されている動作の作業項目を読出し、その作業項目に従って制御出力信号D104を装置制御部220に出力させる処理を行う。
【0033】
(ステップS5)
ナビゲーションシステム制御部230は、例えば、装置動作感知信号D102として巻き出し長さ0m信号を受信した場合に、
図2(a)の装置動作シーケンスデータD100の巻き芯カット作業項目の動作を選択して制御出力信号D104として装置停止の制御信号を装置制御部220に送信する。それによりシート加工装置100の運転が停止する。
【0034】
(ステップS6)
更に、その選択された作業項目に対応して、記憶手段240が記録している
図2(b)のような表示画面データD200を読み出し、その表示選択項目D201が巻き芯カットである表示データD202を
図5のように操作表示部260に表示させる。それにより、操作者に選択された作業項目の作業開始のタイミングが通知される。
【0035】
(ステップS7)
更に、ナビゲーションシステム制御部230は、警報部250の警報ランプを点灯させる。それにより、操作者に、選択された作業項目の作業開始のタイミングが来て、操作者の作業すべき内容が操作表示部260に表示されたことが通知される。
【0036】
(変形例1)
以上のステップS5からステップS6の動作は、以下の様に、シート製造指示システムのナビゲーションシステム制御部230が、操作者の指示を受けることでシート加工装置100を停止させるようにしても良い。
【0037】
(ステップS5’)
ナビゲーションシステム制御部230は、例えば、装置動作感知信号D102として巻き出し長さ0m信号を受信した場合に、
図2(a)の装置動作シーケンスデータD100の巻き芯カット作業項目の動作を選択して、その選択された作業項目に対応して、記憶手段240が記録している
図2(b)のような表示画面データD200を読み出し、その表示選択項目D201が巻き芯カットである表示データD202を操作表示部260に表示させる。それにより、操作者に選択された作業項目の作業開始のタイミングが通知される。
【0038】
(ステップS6’)
更に、ナビゲーションシステム制御部230は、警報部250の警報ランプを点灯させる。それにより、操作者に、選択された作業項目の作業開始のタイミングが来て、操作者の作業すべき内容が操作表示部260に表示されたことが通知される。
【0039】
(ステップS7’)
操作者は、操作表示部260に操作案内の画面が表示されたことを確認したら、シート加工装置100を停止させる操作を行い、画面の操作案内に従って作業をする。ここまでの動作を、変形例1の動作として行うことができる。
【0040】
(ステップS8)
ナビゲーションシステム制御部230は、操作者が選択された作業項目の作業を終えた後に、操作者に確認ボタン指令を入力せるために、操作表示部260に表示する
図5の表示画面データに、タッチパネルの確認ボタンBSを表示させる。操作者にタッチパネルのその確認ボタンBSの位置に接触させることで、ナビゲーションシステム制御部230は、その確認ボタン指令に従って、装置制御部220にシート加工装置100の運転を再開させる動作開始信号を送信する。それにより、装置制御部220がシート加工装置100の運転を再開させる。
【0041】
また、ナビゲーションシステム制御部230は、シート加工装置100の運転が次の所定の状態に達した場合に出力される装置動作感知手段210からの装置動作感知信号D102を待つ信号の監視と待機をする動作を開始し、ステップS4以降の処理を繰り返す。
【0042】
(変形例2)
以上で説明したステップS8の動作は以下のように変えても良い。
(ステップS8’)
シート製造指示システムのナビゲーションシステム制御部230は、シート加工装置100が停止した時点から、装置制御部220をシート加工装置100の運転の再開を防止する状態に維持し、シート加工装置を停止させ続ける。そして、確認ボタンBSが押された場合は、その確認ボタンBSによる動作指令に従って、ナビゲーションシステム制御部230が装置制御部220をシート加工装置100の運転の再開を許可する動作開始許可状態に設定し、シート加工装置100が操作者の指示に従って運転を開始できるようにする。こうして、装置制御部220が動作開始許可状態に設定されるまで、装置制御部220をシート加工装置100の運転の再開を防止する状態に維持し、シート加工装置を停止させ続ける。
【0043】
そして、ナビゲーションシステム制御部230は、確認ボタンBSが押されない状態で、操作者がシート加工装置100の運転の開始を指令すると、装置制御部220によってシート加工装置100の運転の再開を防止するとともに、警報部250の警報ランプを点灯させ、操作者に作業が完了していないことを通知する。
【0044】
確認ボタンBSが押されてシート加工装置100の運転が再開された場合は、ナビゲーションシステム制御部230は、次に行うべき待機モードに移行し、次の待機モードで装置動作感知手段210の出力信号(装置動作感知信号D102)を監視する動作を開始し、ステップS4以降の処理を繰り返す。
【0045】
このように、本実施形態は、確認ボタンBSが押されない限りシート加工装置100の運転が再開できないようにすることで、操作者が作業内容を確認することなく、シート加工装置100の運転が再開されてしまう作業の人為ミスを低減できる効果がある。
【0046】
(ステップS9)
ナビゲーションシステム制御部230は、ステップS4以降の動作を繰り返し、すべての作業が完了した段階で生産が終了し、シート加工装置100の運転を終了する。
【0047】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態を
図6から
図10を参照して説明する。第2の実施形態は、ロール状のシート加工製品を製造する工程の1つのスリッター工程に本発明を適用する。スリッター工程では、スリッター工程以前の工程で発生した品質不良部を手作業で除去するために、多種の複雑な工程の手作業が必要である。その手作業を行う工程には以下のものがある。
(A)巻芯カット工程。
(B)巻芯テープ止工程。
(C)紙管止めテープ切り込み工程。
(D)エンドテープ貼付け工程。
(E)継目への耳付け工程。
(F)巻外カット工程。
(G)巻外のテープ止め工程。
(H)サンプル採取工程。
第2の実施形態のシート加工製品製造システムは、これらの工程の手作業を誤り無く行わせるように支援できる効果が大きい。
【0048】
(シート加工製品製造システムの構成)
図6は、第2の実施形態のシート加工製品製造システムのブロック図である。第2の実施形態のシート加工製品製造システムは、スリッター工程におけるスリッター装置であるシート加工装置100に第1の実施形態と同様にシート製造指示システムを設置する。第2の実施形態では、特に、シート製造指示システムの装置動作感知手段210として、シ
ート加工装置100の連続シートP1の巻き出し長さを計測する巻き出し長さ計測手段211と、連続シートP1の継目を検出する継目センサ212と、シャフト設置確認センサ213を設置する。これらの装置動作感知手段210が感知した装置の状態を示す信号をナビゲーションシステム制御部230に出力する。そして、第1の実施形態と同様に、シート加工装置100の停止、開始の制御を行う装置制御部220を設置する。
【0049】
装置動作感知手段210の1つである継目センサ212は、ウェブ状で製造される印刷物の継ぎ目や切れを検出する機器である。シャフト設置確認センサ213は、シャフトが挿入されているかを検出する装置である。また、装置動作感知手段210の1つである巻き出し長さ計測手段211は、第1のロール状シートP0から連続シートP1が巻き出されて印刷物の製造がどれくらい進んだかを計測する機器である。この巻き出し長さ計測手段211には、その出力パルスを計数するシート製造長さカウンタを設け、そのシート製造長さカウンタのプリセットレジスタにロールの送り長さデータを設定することができる。このシート製造長さカウンタは、ロールから送り出すシートの長さが規定のロールの送り長さに達した場合に指定長さ到達信号を出力する。
【0050】
第1の実施形態と同様に、シート製造指示システムのナビゲーションシステム制御部230は、装置動作感知手段210が出力した信号に基づいて、記憶手段240から操作表示部260に表示させる画面データを呼び出し、タッチパネル式の操作表示部260に表示させる。このとき操作者に通知するために警報ランプあるいは音声出力部を有する警報部250を用いて通知する。また、ナビゲーションシステム制御部230は、タッチパネル式の操作表示部260からの操作者の指令を受信し、それに従って、装置制御部220を制御することで、シート加工装置100の停止、開始の制御を行う。
【0051】
(シート加工製品製造システムの動作手順)
図7と
図8は、第2の実施形態のシート加工製品製造システムの動作手順を示すフローチャートである。以下、
図7と
図8を参照して本実施形態のシート加工製品製造システムの動作手順を示す。
【0052】
まず、シート加工製品製造システムのナビゲーションシステム制御部230を起動する。
(ステップS1)
ナビゲーションシステム制御部230は、最初に、タッチパネル式の操作表示部260に
図4(c)のような印刷作業の作業項目一覧を表示して、操作者に、操作表示部260のタッチパネルの画面のボタン表示位置に接触させることで、画面に表示された項目の中から必要な項目を選択させる。
【0053】
(ステップS2)
ナビゲーションシステム制御部230は、操作者が、タッチパネルに
図4(c)のように表示されている作業項目の中から必要な作業項目を選択する指令を読み込む。作業項目の選択方法は、作業者が
図4(c)の画面のタッチパネルの所定の作業項目に指を接触させることで作業項目が選択される。仮に操作者が「巻き芯カット位置」「巻き芯止めテープ使用」「紙管止めテープ切り込み」「継ぎ目耳だし」「巻き外止めテープ使用」「巻き外カット位置」の7項目を選択するものとする。
【0054】
ナビゲーションシステム制御部230は、この選択された7項目の作業項目を記憶手段240の装置動作シーケンスデータD100の動作選択欄D103に記録する。記憶手段240の装置動作シーケンスデータD100は、
図2(a)のように、作業項目D101毎に、作業項目が感受する装置動作感知手段210の出力信号である装置動作感知信号D102が記録され、その作業項目の動作により装置制御部220に出力してシート加工装
置100を制御する制御出力信号D104が記録されている。
【0055】
(ステップS3)
次に、ナビゲーションシステム制御部230は、操作者がタッチパネル式の操作表示部260の
図4(a)のようなメイン画面の開始ボタンB3に接触することで、シート加工装置運転開始指令を操作者から受ける。それにより、ナビゲーションシステム制御部230は、シート加工装置100の運転を開始させる指令を装置制御部220に送信する。そして、ナビゲーションシステム制御部230は、シート加工装置100の運転が所定の状態に達した場合に出力される装置動作感知手段210からの装置動作感知信号D102を待つ信号の監視と待機をする動作を開始する。
【0056】
(ステップS4)
シート加工装置100の運転を開始すると、最初に、装置動作感知手段210の1つの巻き出し長さ計測手段211が、巻き出し長さ0m信号を出力する。また、シート製造長さカウンタがリセット信号を出力する。その際に、シート製造長さカウンタのプリセットレジスタにロールの送り長さデータを記憶させる。シート製造長さカウンタは、それ以降にロールがシートを送り出す都度、カウントダウンし、規定のロールの送り長さに達した場合に指定長さ到達信号を出力する。
【0057】
(ステップS5)
ナビゲーションシステム制御部230は、巻き出し長さ0m信号とシート製造長さカウンタのリセット信号とを受信すると、
図2(a)の装置動作シーケンスデータD100の巻き芯カット作業項目の動作を選択して制御出力信号D104として装置停止の制御信号を装置制御部220に送信する。それによりシート加工装置100の運転が停止する。
【0058】
装置動作シーケンスデータD100には、巻き出し長さ0m信号に応答する動作として、複数の作業項目を設定する。そして、その複数の作業項目に優先順位を設定しておき、優先順位の高い作業項目から順に実施する。この最初の作業項目は、「巻き芯カット」であり、2番目が「巻き芯止めテープ使用」で、3番目が「紙管止めテープ切込み」で、4番目が「エンドテープ」の作業項目である。
【0059】
(ステップS6)
すなわち、先ず、選択された作業項目に対応して、記憶手段240が記録している
図2(b)のような表示画面データD200を読み出し、その表示選択項目D201が巻き芯カットである表示データD202を読み出し、その表示画面データD200に従って、
図5のように、操作表示部260のタッチパネルに、「巻き芯指定位置でカットしてください」という画像を表示させる。ナビゲーションシステム制御部230は、その画像の表示と共に警報部250の警報ランプを点灯させ、操作者に巻き芯カット作業項目の作業開始のタイミングを操作者に通知する。
【0060】
それにより、操作者はタッチパネル式の操作表示部260に表示されている操作案内画面を確認し、操作案内に基づいて、巻き芯を指定位置でカットする作業を行う。カットした後はタッチパネルの
図5の画面の確認ボタンBSに接触する(ボタンを押す)。
【0061】
(ステップS7)
ナビゲーションシステム制御部230は、その確認ボタンBSが押されるまで待機し、その確認ボタンBSが押されたことを確認した場合に、それに応じて操作表示部260に表示させるべく記憶手段240に記憶した
図9(a)のような巻き芯テープ止め指示画面の表示画面データを記憶手段240から呼び出し、その表示画面データを
図9(a)のように、操作表示部260のタッチパネルに、「巻き芯指定テープで止めて下さい」という
画像を表示させる。
【0062】
それにより、操作者は、タッチパネル式の操作表示部260に表示されている操作案内画面を確認し、操作案内に基づいて、巻き芯指定テープで止める。止めた後はタッチパネルの
図9(a)の画面の確認ボタンBSに接触することでボタンを押す。
【0063】
(ステップS8)
ナビゲーションシステム制御部230は、その確認ボタンBSが押されるまで待機し、その確認ボタンBSが押されたことを確認した場合に、それに応じて操作表示部260に表示させるべく記憶手段240に記憶した
図9(b)のような紙管止めテープ切れ込み作業指示画面の表示画面データを記憶手段240から呼び出し、その表示画面データを
図9(b)のように、操作表示部260のタッチパネルに、「紙管止めテープに切込を入れて下さい」という画像を表示させる。
【0064】
それにより、操作者は、タッチパネル式の操作表示部260に表示されている操作案内画面を確認し、操作案内に基づいて、紙管止めテープに切れ込みを入れる。切れ込みを入れた後はタッチパネルの
図9(b)の画面の確認ボタンBSを押す。
【0065】
(ステップS9)
ナビゲーションシステム制御部230は、その確認ボタンBSが押されるまで待機し、その確認ボタンBSが押されたことを確認した場合に、それに応じて操作表示部260に表示させるべく記憶手段240に記憶した
図9(c)のようなエンドテープ貼付け指示画面の表示画面データを記憶手段240から呼び出し、その表示画面データを
図9(c)のように、操作表示部260のタッチパネルに、「エンドテープを貼って下さい」という画像を表示させる。
【0066】
それにより、操作者は、タッチパネル式の操作表示部260に表示されている操作案内画面を確認し、操作案内に基づいて、エンドテープを貼る。貼った後はタッチパネルの
図9(c)の画面の確認ボタンBSを押す。
【0067】
(ステップS10)
ナビゲーションシステム制御部230は、その確認ボタンBSが押されるまで待機し、その確認ボタンBSが押されたことを確認した場合に、それに応じて装置制御部220にシート加工装置100の運転を開始させる指令を送信する。それと同時に、設定された待機モードで装置動作感知手段210の出力信号(装置動作感知信号D102)を監視する動作を開始する。
【0068】
(変形例3)
以上で説明したステップS10の動作は以下のように変えても良い。
(ステップS10’)
ナビゲーションシステム制御部230は、シート加工装置100が停止した時点から、装置制御部220をシート加工装置100の運転の再開を防止する状態に維持し、シート加工装置を停止させ続ける。そして、タッチパネルの
図9(c)の画面の確認ボタンBSが押された場合は、その確認ボタンBSによる動作指令に従って、ナビゲーションシステム制御部230が装置制御部220をシート加工装置100の運転の再開を許可する動作開始許可状態に設定し、シート加工装置100が操作者の指示に従って運転を開始できるようにする。こうして、装置制御部220が動作開始許可状態に設定されるまで、装置制御部220をシート加工装置100の運転の再開を防止する状態に維持し、シート加工装置を停止させ続ける。
【0069】
そして、ナビゲーションシステム制御部230は、確認ボタンBSが押されない状態で、操作者がシート加工装置100の運転の開始を指令すると、装置制御部220によってシート加工装置100の運転の再開を防止するとともに、警報部250の警報ランプを点灯させ、操作者に作業が完了していないことを通知する。
【0070】
タッチパネルの
図9(c)の画面の確認ボタンBSが押されてシート加工装置100の運転が再開された場合は、設定された待機モードで装置動作感知手段210の信号を監視する動作を開始する。
【0071】
このように、本実施形態は、タッチパネルの
図9(c)の画面の確認ボタンBSが押されない限りシート加工装置100の運転が再開できないようにすることで、操作者が作業内容を確認することなく、シート加工装置100の運転が再開されてしまう作業の人為ミスを低減できる効果がある。
【0072】
(ステップS11)
シート加工装置100の運転を開始し、次に、ロール状のシート加工製品の継目が継目センサ212で検出されると、継目センサ212が、継目検出信号を出力する。ナビゲーションシステム制御部230は、この継目検出信号を受信すると、受信した信号と、記憶手段240の記録している装置動作シーケンスデータD100に従って、継目耳出し作業項目の動作を実行する。
【0073】
(ステップS12)
ナビゲーションシステム制御部230は、継目耳出し作業項目に対応して操作表示部260に表示させるべく記憶手段240に記憶した
図10(a)のような継目耳出し指示画面の表示画面データを記憶手段240から呼び出し、その表示画面データを
図10(a)のように、操作表示部260のタッチパネルに、「継目部分に耳出しテープを貼って下さい」という画像を表示させる。ナビゲーションシステム制御部230は、その画像の表示と共に警報部250の警報ランプを点灯させ、操作者に継目耳出し作業項目の作業開始のタイミングが通知される。
【0074】
それにより、操作者は、タッチパネル式の操作表示部260に表示されている操作案内画面を確認し、操作案内に基づいて、継ぎ目部分に耳だしテープを貼る。貼った後はタッチパネルの
図10(a)の画面の確認ボタンBSを押す。
【0075】
(ステップS13)
ナビゲーションシステム制御部230は、タッチパネルの
図10(a)の画面の確認ボタンBSが押されるまで待機し、その確認ボタンBSが押されたことを確認した場合に、それに応じて装置制御部220にシート加工装置100の運転を開始させる指令を送信する。それと同時に、設定された待機モードで装置動作感知手段210の出力信号(装置動作感知信号D102)を監視する動作を開始する。
【0076】
(ステップS14)
シート加工装置100の運転を開始し、次に、連続シートP1が所定のロールの送り長さに達した場合に、シート製造長さカウンタが指定長さ到達信号を出力する。
(ステップS15)
ナビゲーションシステム制御部230は、シート製造長さカウンタから指定長さ到達信号を受信すると、
図2(a)の装置動作シーケンスデータD100に従って、巻き外止めテープ項目の動作を選択して制御出力信号D104として装置停止の制御信号を装置制御部220に送信する。それによりシート加工装置100の運転が停止する。
【0077】
(ステップS16)
ナビゲーションシステム制御部230は、巻き外止めテープ項目に対応して操作表示部260に表示させるべく記憶手段240に記憶した
図10(b)のような巻き外止めテープ指示画面の表示画面データを記憶手段240から呼び出し、その表示画面データを
図10(b)のように、操作表示部260のタッチパネルに、「巻外指定テープで止めてください」という画像を表示させる。ナビゲーションシステム制御部230は、その画像の表示と共に警報部250の警報ランプを点灯させ、操作者に巻き外止めテープ作業項目の作業開始のタイミングが通知される。
【0078】
それにより、操作者は、タッチパネル式の操作表示部260に表示されている操作案内画面を確認し、操作案内に基づいて、巻外指定テープを貼る。貼った後はタッチパネルの
図10(b)の画面の確認ボタンBSを押す。
【0079】
(ステップS17)
ナビゲーションシステム制御部230は、タッチパネルの
図10(b)の画面の確認ボタンBSが押されるまで待機し、その確認ボタンBSが押されたことを確認した場合に、それに応じて操作表示部260に表示させるべく記憶手段240に記憶した
図10(c)のような巻外カット指示画面の表示画面データを記憶手段240から呼び出し、その表示画面データを
図10(c)のように、操作表示部260のタッチパネルに、「巻外指定位置でカットしてくだい」という画像を表示させる。
【0080】
それにより、操作者は、タッチパネル式の操作表示部260に表示されている操作案内画面を確認し、操作案内に基づいて、巻外指定位置でカットする。カットした後はタッチパネルの
図10(c)の画面の確認ボタンBSを押す。
【0081】
(ステップS18)
ナビゲーションシステム制御部230は、タッチパネルの
図10(c)の画面の確認ボタンBSが押されるまで待機し、その確認ボタンBSが押されたことを確認した場合に、それに応じて装置制御部220に、シート加工装置100を停止させる制御を行わせ、それによってロール状のシート加工製品の生産を終了する。
【0082】
本実施形態のシート加工製品製造システムによると、タッチパネル式の操作表示部260に表示される案内に基づいて操作者が作業を行うので、操作者の手作業において、操作に慣れていない操作者であっても操作を間違えることなくロール状のシート加工製品を製造する作業を行うことができる効果がある。
【0083】
<第3の実施形態>
以下、
図11から
図15を参照して第3の実施形態を説明する。第3の実施形態では、シート加工製品製造システムに、自動的に作業項目を選択する機能を加えた。
【0084】
(シート加工製品製造システムの構成)
図11は、第3の実施形態のシート加工製品製造システムのブロック図である。第3の実施形態のシート加工製品製造システムは、第1の実施形態(及び第2の実施形態)のシート製造指示システムに入稿システム270を加える。第3の実施形態では、その入稿システム270にナビゲーションシステム制御部230を接続し、入稿システム270から仕様書データを受信する。それ以外の構成は第1の実施形態(及び第2の実施形態)と同様であり、シート加工装置100の動作状態を感知する装置動作感知手段210と、シート加工装置100の停止、開始の制御を行う装置制御部220を設置する。そして、装置動作感知手段210が感知した装置の状態をナビゲーションシステム制御部230に出力する。
【0085】
入稿システム270は入稿情報入力部271、入稿情報記憶手段272、仕様書情報送信部273を少なくとも備えている。この入稿システム270とシート製造指示システムとは一体の装置で構成しても良く、あるいは、入稿システム270とシート製造指示システムは、互いに独立した演算装置及び入出力手段と記憶手段を備えた装置で構成して互いを通信手段で結んで構成しても良い。
【0086】
入稿情報入力部271は、装置動作シーケンスデータD100と表示画面データD200、及び、仕様書情報のデータD300を入力する手段である。装置動作シーケンスデータD100の情報と表示画面データD200の情報と仕様書情報のデータD300を一体としたものを入稿情報と定義する。入稿情報記憶手段272は、入稿情報のデータを記録しておく手段である。仕様書情報送信部273は、ナビゲーションシステム制御部230の要求に応じて、仕様書情報を送信する手段である。
【0087】
また、第1の実施形態と同様に、ナビゲーションシステム制御部230は、装置動作感知手段210が出力した信号に基づいて、記憶手段240から操作表示部260に表示させる表示画面データD200を呼び出し、タッチパネル式の操作表示部260に表示させる。このとき操作者に通知するために警報ランプあるいは音声出力部を有する警報部250を用いて通知する。また、ナビゲーションシステム制御部230は、タッチパネル式の操作表示部260からの操作者の指令を受信し、その指令に従って装置制御部220を制御することで、シート加工装置100の停止と開始の制御を行う。
【0088】
(シート加工製品製造システムの動作手順)
図12と
図13は、第3の実施形態のシート加工製品製造システムの動作手順を示すフローチャートである。以下、
図12と
図13を参照して本実施形態のシート加工製品製造システムの動作手順を示す。
【0089】
(ステップS101)
まず、入稿システム270の入稿情報入力部271から装置動作シーケンスデータD100と表示画面データD200、及び、仕様書情報のデータD300が入力される。装置動作シーケンスデータD100には、
図2(a)のように、作業項目D101毎に、作業項目が感受する装置動作感知手段210の出力信号である装置動作感知信号D102を記録し、その作業項目の動作により装置制御部220に出力してシート加工装置100を制御する制御出力信号D104を記録する。表示画面データD200には、
図2(b)のように、操作表示部260の画面に表示する表示画面項目D201に対応して表示すべき表示データD202を記録する。仕様書情報のデータD300は、
図15のように、製品情報データD301と、選択作業項目データD302のデータと、その他のデータから成る。製品情報データD301は、製品名や製品種別名のデータである。
【0090】
(ステップS102)
入力された装置動作シーケンスデータD100と表示画面データD200、及び、仕様書情報のデータD300が入稿情報として入稿情報記憶手段272に保存される。入稿情報記憶手段272は、装置動作シーケンスデータD100と表示画面データD200をナビゲーションシステム制御部230に送信して記憶手段240に記憶させる。
【0091】
次に、シート加工製品製造システムのナビゲーションシステム制御部230を起動する。
(ステップS1)
ナビゲーションシステム制御部230は、最初に、タッチパネル式の操作表示部260に
図14(a)のような操作指示のメイン画面を表示し、操作者に、操作表示部260の
タッチパネルの画面のボタン表示位置に接触させることで、画面に表示された項目の中から必要な項目を選択させる。
【0092】
タッチパネルの
図14(a)の画面に表示された送り長さ設定ボタンB1を操作者が押した場合は、
図4(b)のようなロールの送り長さ設定画面を表示して、操作者に、操作表示部260のタッチパネルの画面の数値増加ボタンB4と数値減少ボタンB5に接触させて、ロールの送り長さを設定させる。ナビゲーションシステム制御部230は、設定されたロールの送り長さのデータを、シート製造長さカウンタのプリセットレジスタに設定する。
【0093】
(ステップS104)
また、タッチパネルの
図14(a)の画面に表示された製品情報入力ボタンB101を操作者が押した場合は、
図14(b)の製品情報入力画面を表示して、操作者に、操作表示部260のタッチパネルの画面の画面切替ボタンB102に接触させることで、画面を
図14(b)の画面と
図14(c)の画面を切り替えて、操作者に数字入力ボタンB103及び文字入力ボタンB104に接触させることで製品情報データD301の数字と文字をタッチパネルから入力させる。
【0094】
(ステップS105)
ナビゲーションシステム制御部230は、操作者に製品情報データD301を入力させた後は、操作者に、タッチパネルの
図14(b)または
図14(c)の画面の確認ボタンBSを押させる。ナビゲーションシステム制御部230は、その画面の確認ボタンBSが押されるまで待機し、その確認ボタンBSが押された場合に、その製品情報データD30
1を入稿システム270の
仕様書情報送信部273に送信に送信して、その製品情報データD301に対応した仕様書情報のデータD300を要求する。
【0095】
(ステップS106)
入稿システム270は、ナビゲーションシステム制御部230からその製品情報データD301を受信した場合は、それに応じて、入稿情報記憶手段272のデータを読み出して、製品情報データD301に対応する仕様書情報のデータD300を抽出し、ナビゲーションシステム制御部230へ送信する。
【0096】
(ステップS107)
ナビゲーションシステム制御部230は、仕様書情報のデータD300を受信すると、仕様書情報のデータD300の中から選択作業項目データD302を抽出する。その結果、例えば選択作業項目データD302として、「巻き芯カット位置」「巻き芯止めテープ使用」「紙管止めテープ切り込み」「継ぎ目耳だし」「巻き外止めテープ使用」「巻き外カット位置」の7項目の作業項目が選択される。その場合に、ナビゲーションシステム制御部230は、記憶手段240の記録する、選択された7項目の作業項目に対応する装置動作シーケンスデータD100の動作選択欄D103に、作業項目が選択されたことを記録する。
【0097】
(ステップS3)
次に、ナビゲーションシステム制御部230は、装置制御部220にシート加工装置100の運転を開始させる指令を送信する。それと同時に、設定された待機モードで装置動作感知手段210の出力信号(装置動作感知信号D102)を監視する動作を開始する。
【0098】
ナビゲーションシステム制御部230は、それ以降は、第1の実施形態の場合と同様にして、
図13のフローチャートに従って動作する。
【0099】
本実施形態は、このように、ナビゲーションシステム制御部230が入稿システム270の仕様書情報のデータを取得することで、ナビゲーションシステム制御部230が作業項目を自動的に選択して動作する。これにより、操作者が仕様書を確認しながら項目を選択する必要が無いので、操作者の手作業において、作業項目の選択ミスによるミスが発生しない効果がある。