特許第6031864号(P6031864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031864
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20161114BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20161114BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20161114BHJP
   H04N 1/107 20060101ALI20161114BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20161114BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20161114BHJP
   G03B 27/54 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   H04N1/00 D
   H04N1/12 Z
   H04N1/10
   G03G15/00 550
   G03G15/04 114
   H04N1/00 108Q
   G03B27/54 A
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-161151(P2012-161151)
(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公開番号】特開2014-23005(P2014-23005A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩文
【審査官】 大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−049940(JP,A)
【文献】 特開平05−072877(JP,A)
【文献】 特開2006−157383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B13/00−13/28
G03B27/52−27/70
G03G13/00
G03G13/04
G03G13/05
G03G13/056
G03G15/00
G03G15/04−15/043
G03G15/047
G03G15/056
G03G21/16−21/18
H04N 1/00
H04N 1/04
H04N 1/06−1/19
H04N 1/203
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置されるように構成された載置面を有する載置部と、前記載置部に載置される前記原稿の画像を読み取るように構成された読取部とを有する本体ユニットと、
前記本体ユニットに対してヒンジにより第1方向に平行な揺動軸線周りに揺動可能に支持され、前記載置部を覆う閉鎖状態から前記載置部を露出させる開放状態に変位可能な樹脂製のドキュメントカバーと、
前記載置面に垂直な第2方向における前記ドキュメントカバーの一方側に設けられ、前記原稿が載置されるように構成された原稿トレイを有し、前記原稿トレイに載置される前記原稿を搬送しつつ、前記原稿の画像を読み取るように構成された搬送ユニットとを備え、
前記ヒンジは、前記本体ユニットの前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向における一方側の本体端部に接続される本体接続部と、前記ドキュメントカバーの前記第3方向における一方側のカバー端部に接続されるカバー接続部と、前記本体接続部と前記カバー接続部との間に設けられ、前記開放状態にある前記ドキュメントカバーの姿勢を保持するための付勢力を発揮するように構成された付勢部とを有し、
前記ドキュメントカバーと前記搬送ユニットとの間には、前記カバー端部と、前記搬送ユニットの前記第3方向における一方側の搬送ユニット端部とを前記第1方向と直交する直交方向において互いに離間しないように連結するように構成された連結部材が設けられ
前記連結部材には、前記直交方向に延び、かつ前記第1方向に直交する仮想面において前記直交方向に直交する延出方向に延びるリブが形成されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
原稿が載置されるように構成された載置面を有する載置部と、前記載置部に載置される前記原稿の画像を読み取るように構成された読取部とを有する本体ユニットと、
前記本体ユニットに対してヒンジにより第1方向に平行な揺動軸線周りに揺動可能に支持され、前記載置部を覆う閉鎖状態から前記載置部を露出させる開放状態に変位可能な樹脂製のドキュメントカバーと、
前記載置面に垂直な第2方向における前記ドキュメントカバーの一方側に設けられ、前記原稿が載置されるように構成された原稿トレイを有し、前記原稿トレイに載置される前記原稿を搬送しつつ、前記原稿の画像を読み取るように構成された搬送ユニットとを備え、
前記ヒンジは、前記本体ユニットの前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向における一方側の本体端部に接続される本体接続部と、前記ドキュメントカバーの前記第3方向における一方側のカバー端部に接続されるカバー接続部と、前記本体接続部と前記カバー接続部との間に設けられ、前記開放状態にある前記ドキュメントカバーの姿勢を保持するための付勢力を発揮するように構成された付勢部とを有し、
前記ドキュメントカバーと前記搬送ユニットとの間には、前記カバー端部と、前記搬送ユニットの前記第3方向における一方側の搬送ユニット端部とを前記第1方向と直交する直交方向において互いに離間しないように連結するように構成された連結部材が設けられ、
前記連結部材は、前記搬送ユニットを覆う外装カバーを兼ねていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記連結部材は、フック又はネジ止めにより、前記カバー端部と前記搬送ユニット端部とを連結している請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記ヒンジは、主ヒンジ及び副ヒンジを有し、
前記ドキュメントカバーは、前記本体ユニットに対して前記主ヒンジ及び前記副ヒンジにより前記揺動軸線周りに揺動可能に支持され、
前記主ヒンジは前記付勢部を有し、
前記副ヒンジは前記付勢部を有していない請求項1乃至のいずれか1項記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に画像読取装置が開示されている。この画像読取装置は、本体ユニットと、ドキュメントカバーと、搬送ユニットとを備えている。
【0003】
本体ユニットは、原稿が載置されるように構成された載置面を有する載置部と、載置部に載置される原稿の画像を読み取るように構成された読取部とを有している。
【0004】
ドキュメントカバーは樹脂製であり、本体ユニットに対してヒンジにより第1方向に平行な揺動軸線周りに揺動可能に支持されている。ドキュメントカバーは、載置部を覆う閉鎖状態から載置部を露出させる開放状態に変位可能である。
【0005】
搬送ユニットは、載置面に垂直な第2方向におけるドキュメントカバーの一方側に設けられている。搬送ユニットは、原稿が載置されるように構成された原稿トレイを有し、原稿トレイに載置される原稿を搬送しつつ、原稿の画像を読み取るように構成されている。搬送ユニットは、L型の金属部材を有している。
【0006】
ヒンジは、本体接続部と、カバー接続部と、付勢部とを有している。本体接続部は、本体ユニットの第1方向及び第2方向に垂直な第3方向における一方側の本体端部に接続されている。カバー接続部は、L型の金属部材とともに、ドキュメントカバーの第3方向における一方側のカバー端部に接続されている。付勢部は、本体接続部とカバー接続部との間に設けられ、開放状態にあるドキュメントカバーの姿勢を保持するための付勢力を発揮するように構成されている。
【0007】
特許文献1に開示されている画像読取装置では、ヒンジの付勢部によるトルクが開放状態にあるドキュメントカバーに作用する場合、カバー接続部が接続されるカバー端部の周辺に応力が発生する。なぜなら、開放状態にあるドキュメントカバーは、カバー端部がカバー接続部に支持され、第3方向における他方側に向かって片持ち状態で延びている。そして、ドキュメントカバーの上側に重い搬送ユニットが設けられていることから、ドキュメントカバーの第3方向における他方側の先端が垂れ下がるように、ドキュメントカバーが変形しようとするからである。
【0008】
この点、特許文献1に開示されている画像読取装置では、カバー接続部及びカバー端部に共締めされたL型の金属部材によってカバー端部の周辺を補強し、その応力をL型の金属部材に負担させることにより、ドキュメントカバーの耐久性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−49940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記画像読取装置について、製造コストの低廉化のため、L型の金属部材を無くすことが考えられる。そうすると、カバー端部の周辺に対するL型の金属部材の補強効果が無くなる。そして、補強効果が無くなることにより、ヒンジの付勢部によるトルクが開放状態にあるドキュメントカバーに作用する場合に、カバー接続部が接続されるカバー端部の周辺に応力が集中し易くなる。その結果、ドキュメントカバーを繰り返し開閉することによって破損するおそれがある。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、製造コストの低廉化と、ドキュメントカバーの耐久性の向上とを実現できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像読取装置は、原稿が載置されるように構成された載置面を有する載置部と、前記載置部に載置される前記原稿の画像を読み取るように構成された読取部とを有する本体ユニットと、
前記本体ユニットに対してヒンジにより第1方向に平行な揺動軸線周りに揺動可能に支持され、前記載置部を覆う閉鎖状態から前記載置部を露出させる開放状態に変位可能な樹脂製のドキュメントカバーと、
前記載置面に垂直な第2方向における前記ドキュメントカバーの一方側に設けられ、前記原稿が載置されるように構成された原稿トレイを有し、前記原稿トレイに載置される前記原稿を搬送しつつ、前記原稿の画像を読み取るように構成された搬送ユニットとを備え、
前記ヒンジは、前記本体ユニットの前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向における一方側の本体端部に接続される本体接続部と、前記ドキュメントカバーの前記第3方向における一方側のカバー端部に接続されるカバー接続部と、前記本体接続部と前記カバー接続部との間に設けられ、前記開放状態にある前記ドキュメントカバーの姿勢を保持するための付勢力を発揮するように構成された付勢部とを有し、
前記ドキュメントカバーと前記搬送ユニットとの間には、前記カバー端部と、前記搬送ユニットの前記第3方向における一方側の搬送ユニット端部とを前記第1方向と直交する直交方向において互いに離間しないように連結するように構成された連結部材が設けられ
前記連結部材には、前記直交方向に延び、かつ前記第1方向に直交する仮想面において前記直交方向に直交する延出方向に延びるリブが形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像読取装置では、カバー接続部がカバー端部に接続されており、カバー接続部及びカバー端部に共締めされるL型の金属部材を無くしている。これにより、製造コストの低廉化を実現できる。
【0014】
画像読取装置において、なんら対策を施さなければ、ヒンジの付勢部によるトルクが開放状態にあるドキュメントカバーに作用する場合、ドキュメントカバーの第3方向における他方側の先端が垂れ下がるように、ドキュメントカバーが変形しようとする。
【0015】
この点、本発明の画像読取装置では、ドキュメントカバーと搬送ユニットとの間に、連結部材が設けられている。そして、連結部材は、ドキュメントカバーの第3方向における一方側のカバー端部と、搬送ユニットの第3方向における一方側の搬送ユニット端部とを第1方向と直交する直交方向において互いに離間しないように連結するように構成されている。
【0016】
ここで、ドキュメントカバーの第3方向における他方側の先端が垂れ下がるような変形と、カバー端部と搬送ユニット端部とが第1方向と直交する直交方向において互いに離間することとは連動している。このため、連結部材がカバー端部と搬送ユニット端部とを直交方向において互いに離間させないことにより、ドキュメントカバーの第3方向における他方側の先端が垂れ下がるような変形を抑制できる。その結果、カバー端部の周辺の応力集中が緩和されるので、ドキュメントカバーが繰り返し開閉されても破損し難い。
【0017】
したがって、本発明の画像読取装置は、製造コストの低廉化と、ドキュメントカバーの耐久性の向上とを実現できる。
【0018】
連結部材には、直交方向に延び、かつ第1方向に直交する仮想面において直交方向に直交する延出方向に延びるリブが形成されていることが望ましい。この場合、連結部材がリブによって補強される。このため、連結部材は、カバー端部と、搬送ユニット端部とを直交方向において互いに離間しないように確実に連結することができる。
【0019】
連結部材は、フック又はネジ止めにより、カバー端部と搬送ユニット端部とを連結していることが望ましい。この場合、簡素な構成により、連結部材がカバー端部と搬送ユニット端部とを容易に連結できる。
【0020】
連結部材は、搬送ユニットを覆う外装カバーを兼ねていることが望ましい。この構成によれば、連結部材を外装カバーとは別に設ける場合と比較して、部品点数を削減できるので、製造コストの低廉化を確実に実現できる。
【0021】
ヒンジは、主ヒンジ及び副ヒンジを有していることが望ましい。そして、ドキュメントカバーは、本体ユニットに対して主ヒンジ及び副ヒンジにより揺動軸線周りに揺動可能に支持されていることが望ましい。この場合において、主ヒンジは付勢部を有し、副ヒンジは付勢部を有していないことが望ましい。
【0022】
この場合、副ヒンジが付勢部を有していないことにより、部品点数を削減でき、製造コストの低廉化を確実に実現できる。また、この場合、仮に連結部材が設けられていなければ、付勢部を有する主ヒンジと、付勢部を有しない副ヒンジとにより、ドキュメントカバーが揺動軸線周りにこじられ易いので、ドキュメントカバーの耐久性が低下し易い。しかし、本発明の画像読取装置は、連結部材を備えている。これにより、搬送ユニット、ドキュメントカバー及び連結部材が一つの重量体として機能する。したがって、ドキュメントカバーの耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の画像読取装置を具体化した一実施例の画像読取装置1の主に斜め後方を示す斜視図である。
図2】上記画像読取装置1の模式断面図である。
図3】ドキュメントカバー30、アッパーシュート34、主ヒンジ110及び副ヒンジ120等を示す斜視図である。
図4】ドキュメントカバー30及び主ヒンジ110を示す部分斜視図である。
図5】ドキュメントカバー30の本体ユニット20に対する開閉動作を説明する部分模式断面図である。
図6】連結部材としての後面カバー200を外した状態の画像読取装置1の主に斜め後方を示す部分斜視図である。
図7】アッパーシュート34を示す斜視図である。
図8】ロアーシュート36及び金属部材39を示す斜視図である。
図9】後面カバー200を示す斜視図である。
図10】後面カバー200の連結部材としての作用効果を説明する部分模式断面図である。
図11】連結部材を備えていない比較例の画像読取装置に係り、ドキュメントカバー30の変形を説明する部分模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0025】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像読取装置1は、本発明の画像読取装置の具体的態様の一例である。図1では、画像読取装置1の操作パネル3側を装置の前側と規定し、操作パネル3に向かって左を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0026】
<画像読取装置の概略構成>
図1及び図2に示すように、画像読取装置1は、本体ユニット20と、ドキュメントカバー30と、搬送ユニット10とを備えている。搬送ユニット10は、原稿を搬送しながら原稿の画像を読み取る自動原稿搬送装置(Auto Document Feeder)と呼ばれるものである。ドキュメントカバー30と搬送ユニット10との間には、搬送ユニット10の後面側を覆う後面カバー200が設けられている。後面カバー200の具体的構成については、後で図6及び図9図11を参照しながら詳しく説明する。後面カバー200は、本発明の「連結部材」の一例である。
【0027】
図1及び図2に示すように、本体ユニット20は、操作パネル3と、コンタクトガラス22と、読取部25とを備えている。
【0028】
図1に示すように、操作パネル3は、本体ユニット20の前面側に設けられている。操作パネル3は、ユーザが行う画像読取処理等の実行指令や各種パラメータの設定入力を受け付けたり、画像読取装置1の稼働状況等を表示する。
【0029】
図2に示すように、コンタクトガラス22は、本体ユニット20の上面側に設けられている。コンタクトガラス22は、左右方向及び前後方向に平板状に延びるガラス板である。コンタクトガラス22の上面22Aは、原稿が載置されるように構成されている。コンタクトガラス22は、本発明の「載置部」の一例である。
【0030】
コンタクトガラス22は、フラットベッドガラス80と、フラットベッドガラス80の左端に隣接するADFガラス79とに二分割されている。フラットベッドガラス80は、紙や書籍等の各種の原稿に対応する大きさを有する矩形状とされている。ADFガラス79は、前後方向に細長い矩形状とされている。フラットベッドガラス80とADFガラス79との間には、原稿離反部材81が設けられている。フラットベッドガラス80の上を向く水平面は、用紙や書籍等の各種の原稿が載置される載置面22Aとされている。
【0031】
左右方向は、本発明の「第1方向」の一例である。水平な載置面22Aに垂直な上下方向は、本発明の「第2方向」の一例である。ドキュメントカバー30の上側は、本発明の「第2方向におけるドキュメントカバーの一方側」の一例である。左右方向及び上方方向に直交する方向である前後方向は、本発明の「第3方向」の一例である。本体ユニット20の後面側は、本発明の「本体ユニットの第3方向における一方側」の一例である。ドキュメントカバー30の後面側は、本発明の「ドキュメントカバーの第3方向における一方側」の一例である。搬送ユニット10の後面側は、本発明の「搬送ユニットの第3方向における一方側」の一例である。また、本実施例において、「水平」とはおおよそ水平を意味する。「垂直」等も同様である。
【0032】
読取部25は、本体ユニット20内において、コンタクトガラス22の下方に設けられている。読取部25としては、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device )等の周知の画像読取センサを採用できるが、本実施例では密着型イメージセンサを採用している。
【0033】
本体ユニット20の筐体の内側面には、左右方向に延在するスライド軸78が固定されている。読取部25は、スライド軸78にスライド自在に支持されており、待機状態では、フラットベッドガラス80の左端の下方に位置している。そして、読取部25は、図示しないプーリー・ベルト機構が制御部99からの制御信号を受けて駆動されることにより、スライド軸78に沿って左右方向にスライドするように構成されている。また、搬送ユニット10の自動原稿搬送動作の際には、読取部25は、ADFガラス79の下方である停止位置18に移動して停止する。
【0034】
また、本体ユニット20内には、操作パネル3、読取部25及び搬送ユニット10等を制御する制御部99が収容されている。
【0035】
図1図4に示すように、ドキュメントカバー30は、樹脂製のトレー形状部材であり、載置面22Aを含む本体ユニット20の上面を覆うように配設されている。ドキュメントカバー30の上面の左側は、第2搬送路28の一部を構成している。一方、ドキュメントカバー30の上面の右側は、排出トレイ14を構成している。
【0036】
図1及び図2に示すように、搬送ユニット10は、ドキュメントカバー30の上側に設けられている。搬送ユニット10は、原稿トレイ12と、排出トレイ14とを有している。原稿トレイ12は、原稿9が複数枚積層された状態で載置されるように構成されている。排出トレイ14は、原稿9が排出されるように構成されている。排出トレイ14は、ドキュメントカバー30の上面の右側に形成されている。原稿トレイ12は、排出トレイ14に対して上方に離間した状態で配設されている。
【0037】
また、搬送ユニット10は、図2及び図6等に示すように、搬送機構42を備えている。搬送機構42は、原稿トレイ12上の原稿9を搬送経路16に沿って搬送し、排出トレイ14へ排出する。本実施例では、図1及び図2に示すように、重量が比較的重い搬送機構42を有する搬送ユニット10がドキュメントカバー30の左側に偏在している。搬送機構42は、ドキュメントカバー30によってその重量を支持されている。
【0038】
図1及び図3図6に示すように、ドキュメントカバー30は、本体ユニット20に対してヒンジ100により左右方向に平行な揺動軸線X1周りに揺動可能に支持されている。
【0039】
ヒンジ100は、主ヒンジ110と副ヒンジ120とを有している。主ヒンジ110は、本体ユニット20及びドキュメントカバー30の後面側における左方に設けられている。副ヒンジ120は、本体ユニット20及びドキュメントカバー30の後面側における右方に設けられている。
【0040】
図4及び図5に示すように、主ヒンジ110は、本体接続部111と、カバー接続部112とを有している。本体接続部111は、下方に向けて柱状に突出している。カバー接続部112は、本体接続部111に対して揺動軸線X1周りに揺動可能に支持され、前方に平板状に延びている。カバー接続部112は、複数個の取付穴112Hを有している。
【0041】
図3に示すように、副ヒンジ120は、本体接続部121と、カバー接続部122とを有している。本体接続部121は、下方に向けて柱状に突出している。カバー接続部122は、本体接続部121に対して揺動軸線X1周りに揺動可能に支持されて前方に平板状に延びている。カバー接続部122も、複数個の取付穴122Hを有している。副ヒンジ120は、主ヒンジ110に対して右側に位置している。
【0042】
図3及び図5に示すように、本体ユニット20の後面側の本体後端部20Rは、左右一対のガイド穴20Aを備えている。本体後端部20Rは、本発明の「本体端部」の一例である。両ガイド穴20Aは、本体後端部20Rの上面の右側と左側とからそれぞれ下向きに凹む有底穴である。
【0043】
主ヒンジ110の本体接続部111は、本体後端部20Rの左側のガイド穴20Aに対して昇降可能に挿入されている。これにより、本体接続部111は、本体ユニット20に対する昇降が許容された状態で、本体後端部20Rに接続されている。
【0044】
副ヒンジ120の本体接続部121が挿入される右側のガイド穴20Aは、図3に示すように、左側の主ヒンジ110の本体接続部111が挿入される左側のガイド穴20Aに対して図5の紙面奥側に位置している。副ヒンジ120の本体接続部121は、図5に示した主ヒンジ110の本体接続部111が挿入される左側のガイド穴20Aと同様、本体後端部20Rの右側のガイド穴20Aに対して昇降可能に挿入されている。これにより、副ヒンジ120の本体接続部121も、本体ユニット20に対する昇降が許容された状態で、本体後端部20Rに接続されている。
【0045】
図3及び図4に示すように、ドキュメントカバー30の後面側のカバー後端部30Rは、左右一対の取り付け部30Aを備えている。カバー後端部30Rは、本発明の「カバー端部」の一例である。左側の取り付け部30Aは、カバー後端部30Rの底面の左側に貫設された複数個の取付穴30Hを有している。右側の取り付け部30Aは、カバー後端部30Rの底面の右側に貫設された複数個の取付穴30Hを有している。
【0046】
図4及び図5に示すように、複数個の取付穴30Hと複数個の取付穴112Hとが重ね合わされた状態で、複数個のボルト8Aが、複数個の取付穴30Hと複数個の取付穴112Hとに挿入される。複数個のボルト8Aは、ナット8Bにより固定される。このようにして、主ヒンジ110のカバー接続部112は、カバー後端部30Rの左側の取り付け部30Aに接続されている。
【0047】
副ヒンジ120のカバー接続部122も、同様に、カバー後端部30Rの底面に対して下方から当接された状態で複数組のボルト及びナットを用いて取り付けられる。副ヒンジ120のカバー接続部122は、図3に示すように、カバー後端部30Rの右側の取り付け部30Aに接続されている。
【0048】
主ヒンジ110は、図5に示すように、付勢部119を有するフリーストップヒンジである。付勢部119は、本体接続部111とカバー接続部112との間に設けられている。付勢部119は、カバー接続部112が揺動軸線X1周りに図5の紙面に向かって反時計方向に揺動するように、カバー接続部112を付勢する付勢力を発揮する。それとともに、付勢部119は、カバー接続部112の本体接続部111に対する揺動軸線X1周りの姿勢を任意の姿勢で保持する制動力を発揮するように構成されている。
【0049】
一方、副ヒンジ120は、主ヒンジ110の付勢部119のような付勢部を有しておらず、これにより、部品点数を削減している。
【0050】
このような主ヒンジ110及び副ヒンジ120により、図5に示すように、ドキュメントカバー30は揺動軸線X1周りに揺動する。ドキュメントカバー30は、揺動することにより、コンタクトガラス22を覆う状態と、コンタクトガラス22を露出させる状態との間で変位する。図1に示すドキュメントカバー30の状態は、コンタクトガラス22を覆う閉鎖状態である。ユーザがドキュメントカバー30の前部を持ち上げると、図5で示すように、ドキュメントカバー30が揺動軸線X1周りに揺動する。そのドキュメントカバー30の揺動に応じて、本体ユニット20のコンタクトガラス22が徐々に露出する。本実施例では、ドキュメントカバー30がコンタクトガラス22を露出させる状態を開放状態とする。すなわち、ドキュメントカバー30が所定の姿勢まで揺動した状態だけが開放状態ではなく、ドキュメントカバー30が閉鎖状態から少しでも上方に揺動してコンタクトガラス22を露出させれば、開放状態である。
【0051】
ユーザが開放状態のドキュメントカバー30の前部を押し下げると、ドキュメントカバー30が揺動軸線X1周りに逆方向に揺動して、閉鎖状態に戻る。この際、ユーザが載置面22Aに書籍等の厚い原稿を配置して、開放状態のドキュメントカバー30の前部を押し下げると、その原稿の厚みに応じて、主ヒンジ110の本体接続部111及び副ヒンジ120の本体接続部121が本体ユニット20の一対のガイド穴20Aに対して昇降する。このため、ドキュメントカバー30は、本体ユニット20に対して上下動し、原稿を挟んで載置面22Aと平行な姿勢に変位して、閉鎖状態に戻る。
【0052】
ここで、ユーザがドキュメントカバー30を持ち上げたり、押し下げたりする際、主ヒンジ110の付勢部119は、開放状態にあるドキュメントカバー30の姿勢を保持するための付勢力を発揮する。付勢部119は、付勢力を発揮することにより、ドキュメントカバー30及び搬送ユニット10の重量を支持する。このため、ユーザは軽い操作力でドキュメントカバー30を揺動させることができる。また、ユーザがドキュメントカバー30を任意の位置で停止させると、主ヒンジ110の付勢部119は、カバー接続部112の本体接続部111に対する変位を制動する制動力を発揮する。付勢部119は、制動力を発揮することにより、ドキュメントカバー30をその位置で保持する。これにより、ユーザはドキュメントカバー30から手を離して、載置面22Aに対して原稿を置いたり取り除いたりする作業を容易に行える。こうして、画像読取装置1は、コンタクトガラス22の露出時にドキュメントカバー30に対してトルクを作用させる主ヒンジ110により、ドキュメントカバー30を開閉する際の利便性が向上している。
【0053】
次に、搬送ユニット10について、より詳しく説明する。図2に示すように、搬送ユニット10は、アッパーシュート34、ロアーシュート36、上カバー32、搬送機構42を有している。アッパーシュート34、ロアーシュート36、上カバー32及び搬送機構42は、ドキュメントカバー30に対して直接又は間接的に組み付けられている。
【0054】
図2図3及び図7に示すように、アッパーシュート34は、その上面の右側が原稿トレイ12の一部を構成しているとともに、左方に延びて第1搬送路26の一部を形成する樹脂製の板状体である。図2及び図8に示すように、ロアーシュート36は、第2搬送路28の一部を構成し、主ローラ64の下方から、排出ローラ72近傍まで延在する樹脂製の略板状体である。図1及び図2に示すように、上カバー32は、アッパーシュート34の左側部分を上方から開閉可能に覆う樹脂製の蓋状体である。
【0055】
図2に示すように、搬送機構42は、ドキュメントカバー30上の左側に偏在して設けられている。搬送機構42は、以下の構成により、原稿トレイ12に載置される複数枚の原稿9を1枚ずつ取り出して搬送経路16に沿って自動的に搬送し、排出トレイ14へ排出する。
【0056】
搬送経路16は、第1搬送路26と、湾曲搬送路27と、第2搬送路28とを備えている。第1搬送路26は、原稿トレイ12から左方向へ延びている。湾曲搬送路27は、第1搬送路26に連続し、円弧状に下方へ向かって湾曲している。第2搬送路28は、湾曲搬送路27に連続し、排出トレイ14へ向けて右斜め上方向に延びている。
【0057】
上カバー32の内側には、複数本の補強リブ32A、32Bが設けられている。各補強リブ32A、32Bは、下方に向かってリブ状に突出している。各補強リブ32A、32Bは、上カバー32の右側端部から左側端部まで延在している。各補強リブ32A、32Bは、原稿トレイ12側から搬送される原稿9の上面をガイドする。つまり、各補強リブ32A、32Bは、第1搬送路26及び湾曲搬送路27の一部を構成している。
【0058】
ドキュメントカバー30の左端部、及び上カバー32の各補強リブ32A、32Bの左端部の下方には、主ローラ64が配設されている。ドキュメントカバー30の左端側内壁面及び上カバー32の各補強リブ32A、32Bの左端部と、主ローラ64の外周面とは、第1搬送路26を搬送され、さらに搬送方向下流側に向けて搬送される原稿9をガイドする。つまり、ドキュメントカバー30の左端側内壁面及び上カバー32の各補強リブ32A、32Bの左端部と、主ローラ64の外周とは、湾曲搬送路27の一部を構成している。
【0059】
ドキュメントカバー30の左端側内壁面とロアーシュート36とは、湾曲搬送路27を搬送され、排紙トレイ14に向けて搬送される原稿9をガイドする。つまり、ドキュメントカバー30の下側内壁面とロアーシュート36とは、第2搬送路28を構成している。
【0060】
図2及び図6に示すように、ドキュメントカバー30には、長尺状の開口部84が設けられている。開口部84は、第2搬送路28のうち湾曲搬送路27との境界部付近に位置している。ドキュメントカバー30が閉鎖状態にある場合、開口部84は、ADFガラス79及び停止位置18にある読取部25の上方に位置する。開口部84は、前後方向に細長い矩形状とされている。
【0061】
図2に示すように、第2搬送路28を搬送される原稿9は、この開口部84を介して、本体ユニット20のADFガラス79上を通過する。この際、その通過する原稿9は、本体ユニット20内で停止位置18にある読取部25に向けて露出し、原稿9に形成された画像が読取部25によって読み取られる。そして、ADFガラス79とフラットベッドガラス80との間に設けられた原稿離反部材81は、ADFガラス79に接しつつ搬送される原稿9をADFガラス79からすくい上げて、第2搬送路28に確実に案内する。
【0062】
図2に示すように、搬送機構42は、第1回転軸56と、分離ローラ54と、分離パッド57と、吸入ローラ52とを有している。第1回転軸56は、アッパーシュート34の上方に設けられ、前後方向に延材している。分離ローラ54は、第1回転軸56の中央に固定されている。分離パッド57は、分離ローラ54の下方に位置している。吸入ローラ52は、分離ローラ54の前方に位置して、分離ローラ54と同期回転する。
【0063】
図3では第1回転軸56の図示を省略しているが、第1回転軸56の後端は、図3及び図8に示す金属部材39に回転可能に支持されている。金属部材39は、プレス加工された平板状の鋼板である。金属部材39は、ロアーシュート36の後端に立設された後壁部36Rに隣接して設けられている。
【0064】
図6に示すように、第1回転軸56は、電動モータや多数のギヤからなる駆動源42Mに駆動されて所定の回転方向(図2において時計まわり)に回転する。駆動源42Mは、金属部材39の後面に取り付けられている。
【0065】
図2に示すように、吸入ローラ52は、原稿トレイ12に載置された複数枚の原稿9の表面に当接しつつ回転して、原稿9に搬送力を付与する。分離ローラ54は、吸入ローラ52により搬送される原稿9の表面に当接しつつ回転することにより、原稿9に搬送力を付与する。この際、分離パッド57の摩擦力により、分離ローラ54と接している最上方の1枚の原稿9のみを分離して搬送方向下流側に搬送する。こうして、原稿トレイ12に載置された複数枚の原稿9が上から順番に1枚ずつ取り出されて、第1搬送路26に沿って下流側に搬送される。
【0066】
また、搬送機構42は、第2回転軸66と、搬送ローラ61と、ピンチローラ65と、第3回転軸67と、主ローラ64と、ピンチローラ62、63とを有している。第2回転軸66は、分離ローラ54より左側、すなわち、第1搬送路26の途中において分離ローラ54よりも搬送方向下流側に設けられている。搬送ローラ61は、第2回転軸66に固定されている。ピンチローラ65は、搬送ローラ61に対向している。第3回転軸67は、湾曲搬送路27に設けられている。主ローラ64は、第3回転軸67に固定されている。ピンチローラ62、63は、主ローラ64に対向している。
【0067】
図3では第2回転軸66の図示を省略しているが、第2回転軸66の後端も、金属部材39に回転可能に支持されており、駆動源42Mに駆動されて回転する。それに伴って、搬送ローラ61も第2回転軸66と一体回転する。これにより、図2に示すように、分離ローラ54により搬送される原稿9は、搬送ローラ61及びピンチローラ65によりニップされて、第1搬送路26から湾曲搬送路27に搬送される。
【0068】
図3では第3回転軸67の図示を省略しているが、第3回転軸67の後端も、金属部材39に回転可能に支持されており、駆動源42Mに駆動されて回転する。それに伴って、主ローラ64も第3回転軸67と一体回転する。これにより、図2に示すように、搬送ローラ61により搬送される原稿9は、主ローラ64及びピンチローラ62、63によりニップされて、湾曲搬送路27から第2搬送路28に搬送される。
【0069】
また、搬送機構42は、ロアーシュート36の右側端部、すなわち、第2搬送路28の最下流側に設けられた第4回転軸71と、第4回転軸71に固定された排出ローラ72と、排出ローラ72に対向するピンチローラ74とを有している。
【0070】
図3では第4回転軸71の図示を省略しているが、第4回転軸71の後端も、金属部材39に回転可能に支持されており、駆動源42Mに駆動されて回転する。それに伴って、排出ローラ72も第4回転軸71と一体回転する。これにより、図2に示すように、第2搬送路28に沿って搬送される原稿9は、排出ローラ72及びピンチローラ74によりニップされ、排出トレイ14に排出される。
【0071】
ADFガラス79を挟んで、停止位置18に位置する読取部25と反対側には、白部材82が設けられている。白部材82は、ロアーシュート36の下面にコイルバネを介して装着されており、停止位置18に位置する読取部25側へ弾性的に付勢されている。第2搬送路28に沿って搬送される原稿9は、白部材82により、読取部25側に押し付けられながら、読取部25の上方を通過する。
【0072】
<読取部の読取動作>
ユーザが載置面22Aに1枚の原稿又は書籍を載置して、それらの載置面22Aと対向する表面の画像を読み取る場合、すなわち、搬送ユニット10の自動原稿搬送機能を使用しない場合、制御部99に制御されて、読取部25は、載置面22Aの左端の下方から右端の下方に移動しつつ、上記原稿又は書籍の表面に形成された画像を読み取る。そして、読取部25が読み取った画像データの出力信号が制御部99に伝達される。
【0073】
<搬送ユニットの自動原稿読み取り動作>
図2に示すように、ユーザが1枚又は複数枚の原稿9を原稿トレイ12上に載置し、その表面の画像を読み取る場合、すなわち、搬送ユニット10の自動原稿搬送機能を使用する場合、制御部99に制御されて、読取部25がADFガラス79の下方である停止位置18に移動する。原稿トレイ12上の原稿9は、搬送機構42により、1枚ずつ取り出されて、搬送経路16に沿って搬送され、湾曲搬送路27を通過する際に表裏反転される。そして、第2搬送路28の途中で、原稿9の表面に形成された画像が停止位置18にある読取部25によって読み取られた後、排出トレイ14上に排出される。この一連の動作は、原稿トレイ12上の原稿9がなくなるまで、自動的に繰り返される。
【0074】
<連結部材としての後面カバーの構成>
図1図6及び図9に示すように、後面カバー200は樹脂製一体成形部材である。後面カバー200は、後壁211と、上壁212と、左壁213と、右壁214と、主ヒンジ遮蔽部215とを有している。
【0075】
後壁211は、左右方向及び上下方向に延びている。後壁211は、搬送ユニット10の後面側に位置する駆動源42M、金属部材39及びロアーシュート36の後壁部36R等を後方から覆っている。図1に示すように、後壁211の下端縁211Eは、ドキュメントカバー30におけるカバー後端部30Rの上端縁と当接している。
【0076】
上壁212、左壁213及び右壁214はそれぞれ、後壁211の上端縁、左端縁及び右端縁のそれぞれから前方に平板状に延びている。上壁212、左壁213及び右壁214の前端縁は、上カバー32の後端縁に当接している。
【0077】
図9に示すように、左壁213の下端縁と右壁214の下端縁とにはそれぞれ、下方に向けて突出する係合部207、208が形成されている。ドキュメントカバー30のカバー後端部30Rに設けられた図示しない被係合部に対して、係合部207、208が係合することにより、後面カバー200がカバー後端部30Rに取り付けられる。
【0078】
図1及び図9に示すように、主ヒンジ遮蔽部215は、後壁211における主ヒンジ110の上方から後方に膨出し、かつ下方に延び、主ヒンジ110のカバー接続部112周辺を後方から覆っている。
【0079】
図9及び図10に示すように、主ヒンジ遮蔽部215の前面の下方には、2個のフック201、202が形成されている。各フック201、202は、上下方向の高さが同じである。図10に示すように、各フック201、202は、左右方向から見た場合、主ヒンジ遮蔽部215から前方に向かって延びた後、上方に向けて直角に屈曲する断面形状を有している。
【0080】
図9及び図10に示すように、上壁212の前端縁における左右方向の中央には、下方、かつ前方に向けてクランク状に突出するクランク部216が形成されている。クランク部216の下端縁には、フック203が形成されている。フック203は、クランク部216の下端縁から角柱状をなして下方に突出した後、後方に向けて直角に屈曲する形状とされている。
【0081】
図4及び図10等に示すように、ドキュメントカバー30のカバー後端部30Rにおいて、主ヒンジ110の上方に位置して後方を向く面には、2個の被係合部301、302が形成されている。各被係合部301、302は、上下方向の高さが同じである。図10に示すように、各被係合部301、302は、左右方向から見た場合、カバー後端部30Rの後方を向く面から後方に向かって延びた後、下方に向けて直角に屈曲する断面形状を有している。
【0082】
図10に示すように、搬送ユニット10の後面側の搬送ユニット後端部10Rには、金属部材39及びロアーシュート6の後壁部36R等が位置している。搬送ユニット後端部10Rは、本発明の「搬送ユニット端部」の一例である。後壁部36Rの上端縁には、前方に向かって鍵爪状に突出する被係合部303が形成されている。
【0083】
後面カバー200がドキュメントカバー30のカバー後端部30Rに固定された状態では、フック201が被係合部301に対して下方かつ後方から嵌合している。フック202が被係合部302に対して下方かつ後方から嵌合している。フック203が被係合部303に対して下方かつ前方から嵌合している。これにより、後面カバー200は、カバー後端部30Rの被係合部301、302と、搬送ユニット後端部10Rの被係合部303とを矢印D1で示す方向において互いに離間しないように連結している。矢印D1で示す方向は、左右方向(第1方向)と直交している。矢印D1で示す方向は、本発明の「直交方向」の一例である。換言すると、直交方向D1は、カバー後端部30Rの被係合部301、302と、搬送ユニット後端部10Rの被係合部303とを互いに引き寄せる方向である。
【0084】
図9及び図10に示すように、後壁211の前方を向く面及び上壁212の下方を向く面には、1枚のリブ205が一体に形成されている。リブ205は、フック201、202の上方から直交方向D1に延びて、フック203の上方まで到達している。また、リブ205は、図9に示すように、左右方向に直交する仮想面K1において直交方向D1に直交する延出方向D2に延びて、カバー後端部30R及び搬送ユニット後端部10Rに接近した形状である。
【0085】
<作用効果>
実施例の画像読取装置1では、主ヒンジ110のカバー接続部11がカバー後端部30Rに接続されている。実施例の画像読取装置1では、上記特許文献1の画像読取装置が備えていたL型の金属部材、すなわち、カバー接続部11及びカバー後端部30Rに共締めされるL型の金属部材を無くしている。その代わりに、簡素な平板である金属部材39を採用し、その金属部材39に搬送機構42を支持させている。これにより、製造コストの低廉化を実現できる。
【0086】
この画像読取装置1では、なんら対策を施さなければ、主ヒンジ110の付勢部119によるトルクが開放状態にあるドキュメントカバー30に作用する場合、ドキュメントカバー30の前端が垂れ下がるように、ドキュメントカバー30が変形してしまう。図11に、画像読取装置1からフック201、202、203、クランク部216、リブ205及び被係合部301、302、303を取り除いた比較例の画像読取装置を示して、より詳しく説明する。比較例の画像読取装置において、開放状態にあるドキュメントカバー30には、上側の搬送ユニット0の重量Wが負荷されていることにより、モーメントMが作用する。そうすると、ドキュメントカバー30の前端が垂れ下がるように、ドキュメントカバー30が変形してしまう。このため、主ヒンジ110のカバー接続部112が接続されるドキュメントカバー30のカバー後端部30Rの周辺に、より詳しくは取り付け部30Aの周辺に応力が集中し易くなる。その結果、ドキュメントカバー30を繰り返し開閉することによって取り付け部30Aの周辺等で破損するおそれがある。
【0087】
ここで、図11に示すように、ドキュメントカバー30の前端が垂れ下がるように変形すると、搬送ユニット後端部10Rは、図11に二点鎖線で示す位置から、図11に実線で示す位置に変位し、カバー後端部30Rと搬送ユニット後端部10Rとが直交方向D1において互いに離間する。すなわち、ドキュメントカバー30の前端が垂れ下がるような変形と、カバー後端部30Rと搬送ユニット後端部10Rとが直交方向D1において互いに離間することとは連動している。
【0088】
この点、この画像読取装置1では、図10に示すように、ドキュメントカバー30と搬送ユニット10との間に、連結部材としての後面カバー200が設けられている。そして、後面カバー200は、ドキュメントカバー30におけるカバー後端部30Rの被係合部301、302と、搬送ユニット10における搬送ユニット後端部10Rの被係合部303とを直交方向D1において互いに離間しないように連結している。さらに、後面カバー200は、リブ205によって補強されている。これにより、後面カバー200は、被係合部301、302と、被係合部303とを直交方向D1において互いに離間しないように確実に連結することができる。
【0089】
そして、ドキュメントカバー30の前端が垂れ下がるような変形と、カバー後端部30Rと搬送ユニット後端部10Rとが直交方向D1において互いに離間することとが連動している。後面カバー200がカバー後端部30Rと搬送ユニット後端部10Rとを直交方向D1において互いに離間させない。すわなち、連結部材としての後面カバー200により、搬送ユニット10、ドキュメントカバー30、及び後面カバー200が一つの重量体として機能する。これにより、モーメントMが作用しても、ドキュメントカバー30の前端が垂れ下がるような変形を抑制できる。その結果、カバー後端部30Rの周辺、より詳しくは取り付け部30Aの周辺の応力集中が緩和される。よって、ドキュメントカバー30が繰り返し開閉されても破損し難い。
【0090】
したがって、実施例の画像読取装置1は、製造コストの低廉化と、ドキュメントカバー30の耐久性の向上とを実現できる。
【0091】
また、この画像読取装置1では、後面カバー200に形成された簡素なフック201、202、203により、カバー後端部30Rと搬送ユニット後端部10Rとを容易に連結できる。
【0092】
さらに、この画像読取装置1では、後面カバー200は、連結部材と、搬送ユニット10を覆う外装カバーとを兼ねている。このため、この画像読取装置1では、連結部材と外装カバーとを別々に設ける場合と比較して、部品点数を削減できるので、製造コストの低廉化を確実に実現できる。
【0093】
また、この画像読取装置1では、副ヒンジ120が付勢部119を有していないことにより、部品点数を削減でき、製造コストの低廉化を確実に実現できる。また、この場合、仮に連結部材としての後面カバー200が設けられていなければ、付勢部119を有する主ヒンジ110と、付勢部119を有しない副ヒンジ120とにより、ドキュメントカバー30が揺動軸線X1周りにこじられ易い。そうすると、ドキュメントカバー30に応力集中が発生して、ドキュメントカバー30の耐久性が低下し易い。しかし、画像読取装置1は、後面カバー200を備えている。連結部材としての後面カバー200により、搬送ユニット10、ドキュメントカバー30、及び後面カバー200が一つの重量体として機能する。したがって、ドキュメントカバー30の耐久性が向上する。
【0094】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0095】
例えば、連結部材は、カバー後端部30Rと搬送ユニット後端部10Rとを直交方向D1において互いに離間しないように連結するロッドや引っ張りバネ等であってもよい。
【0096】
また、実施例のフック201、202及び203をネジ止め等の各種の取り付け手段に置き換えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は画像読取装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1…画像読取装置、20…本体ユニット、30…ドキュメントカバー
10…搬送ユニット、9…原稿、22A…載置面
22…載置部(コンタクトガラス)、25…読取部
12…原稿トレイ、X1…揺動軸線
100…ヒンジ、110…主ヒンジ、120…副ヒンジ
111、121…本体接続部、112、122…カバー接続部、119…付勢部
20R…本体端部(本体後端部)、30R…カバー端部(カバー後端部)
10R…搬送ユニット端部(搬送ユニット後端部)
200…連結部材(後面カバー)、201、202、203…フック
205…リブ、K1…仮想面、D1…直交方向、D2…延出方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11