(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1波長の光信号を受信し、前記第1波長及び前記第1変化量に関する情報を前記制御部へ供給する受信器を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光受信装置。
第1波長の光信号に対する特性の第1変化量、前記第1波長、及び前記特性の変化量の波長特性に基づいて、前記第1波長と異なる第2波長の光信号を受信するときの前記特性の第2変化量を求め、
前記第2変化量に基づいて前記第2変化量を補償する補償量を求め、
光信号を受信するときの特性の変化量を補償する補償部に前記補償量を設定し、
前記第2波長の光信号の第2伝送区間が、前記第1波長の光信号の第1伝送区間と、前記第2波長と異なる第3波長の光信号の第3伝送区間との和または差で表される場合、
前記第1波長の光信号が前記第1伝送区間を伝搬する場合の前記特性の変化量、前記第1波長、及び前記特性の変化量の波長特性に基づいて、前記第2波長の光信号が前記第1伝送区間を伝搬する場合の前記特性の第3変化量を求め、
前記第3波長の光信号が前記第3伝送区間を伝搬する場合の前記特性の変化量、前記第3波長、及び前記特性の変化量の波長特性に基づいて、前記第2波長の光信号が前記第3伝送区間を伝搬する場合の前記特性の第4変化量を求め、
前記第3変化量と前記第4変化量との和または差に基づいて、前記第2伝送区間を伝搬する前記第2波長の光信号を受信するときの前記特性の第2変化量を求めることを特徴とする特性補償方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この光受信装置及び特性補償方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
・光受信装置の一例
図1は、実施の形態にかかる光受信装置の一例を示す図である。
図2は、
図1に示す光受信装置における信号の流れを示す図である。
図1及び
図2に示すように、光受信装置1は、制御部2、第1設定部3及び補償部4を有している。光受信装置1は、図示省略する光ファイバなどの光伝送路に接続されている。光受信装置1は、光伝送路から入力される光信号を受信する。
【0013】
補償部4は、例えば光伝送路に接続されていてもよい。また、補償部4は、第1設定部3に接続されている。補償部4は、第1設定部3により設定される補償量に基づいて、例えば光伝送路から入力する光信号を受信するときの特性の変化量を補償する。光信号が補償部4を通過することによって、光信号が光伝送路中を伝搬する間に生じる特性の変化量が補償される。補償部4からは、補償済みの光信号が出力される。特性の変化の一例として、例えば波長分散や偏波モード分散が挙げられる。
【0014】
制御部2は、例えば光受信装置1内の図示省略する他の回路から、第1波長の光信号に対する特性の第1変化量、第1波長、及び特性の変化量の波長特性の各情報を受け取ってもよい。あるいは、第1変化量、第1波長、及び特性の変化量の波長特性の各情報が、図示しない他の光受信装置などの装置から光受信装置1に通知されてもよい。
【0015】
制御部2は、第1変化量、第1波長、及び特性の変化量の波長特性に基づいて、光受信装置1が第1波長と異なる第2波長の光信号を受信するときの特性の第2変化量を求める。制御部2は、第2変化量に基づいて補償量を求める。第1設定部3は、制御部2に接続されている。第1設定部3は、補償部4に補償量を設定する。
【0016】
・特性補償方法の一例
図3は、実施の形態にかかる特性補償方法の一例を示す図である。
図3に示す特性補償方法は、
図1に示す光受信装置1により実施されてもよい。本実施例は、一例として
図1に示す光受信装置1により実施される場合について説明する。この特性補償方法は、光受信装置1の運用が開始されるときや、プロテクション制御によって信号経路の切り替えが実施されるときに実施されてもよい。また、光伝送路の特性が時間の経過とともに変動する場合には、常時、この特性補償方法が実施されてもよい。
【0017】
図3に示すように、光受信装置1において特性補償方法が開始されると、制御部2は、光受信装置1内の他の回路または他の光受信装置などの装置から、第1波長の光信号に対する特性の第1変化量、第1波長、及び特性の変化量の波長特性の各情報を受け取る。そして、制御部2は、第1波長、第1変化量及び波長特性に基づいて、第1波長と異なる第2波長の光信号を受信するときの特性の第2変化量を求める(ステップS1)。
【0018】
次いで、制御部2は、第2変化量に基づいて、第2変化量を補償する補償量を求め(ステップS2)、補償量の情報を第1設定部3へ出力する。次いで、第1設定部3は、制御部2から補償量の情報を受け取り、補償部4に補償量を設定する(ステップS3)。それによって、特性補償方法が終了する。
【0019】
図1に示す光受信装置1及び
図3に示す特性補償方法によれば、第1波長の光信号に対する特性の第1変化量に基づいて、第2波長の光信号を受信するときの補償量を求めることによって、従来よりも短い時間で好適な補償量が求まる。それによって、補償器に補償量が設定されるまでの時間が短縮される。従って、光受信装置の運用開始時における信号の疎通までの時間や、プロテクション制御によって信号経路の切り替えが実施される場合の切り替えの完了までの時間を短縮することができる。
【0020】
・光伝送システムの一例
図4は、実施の形態にかかる光伝送システムの一例を示す図である。
図4に示すように、光伝送システムは、例えば光伝送装置11,21及び光増幅中継器18を有していてもよい。例えば、光伝送装置11,21及び光増幅中継器18は、光ファイバなどの光伝送路30,31,32,33を介して連なっていてもよい。受信側の光伝送装置21は、実施の形態にかかる光受信装置の一例である。
【0021】
送信側の光伝送装置11は、1つまたは複数の送信器15,16,17を有している。各送信器15,16,17は、例えば波長は異なるが、同じ通信方式の光信号を送信してもよいし、波長も通信方式も異なる光信号を送信してもよい。
【0022】
例えば、送信器#1_15は、データ転送速度が100GbpsであるDPQPSK(Dual−Polarization Quadrature Phase Shift Keying、偏波直交4位相偏移変調)方式の光信号を送信してもよい。例えば、送信器#2_16は、データ転送速度が40GbpsであるDQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying、差動4位相偏移変調)方式の光信号を送信してもよい。
【0023】
各送信器15,16,17から送信される光信号は、マルチプレクサ14により合波され、カプラ12により、上流側の光伝送路30から送信されてくる光信号に結合され、ポストアンプ13により増幅されて下流側の光伝送路31へ送出される。図示省略するが、送信側の光伝送装置11は、上流から送信されてくる光信号を受信する受信部を有していてもよい。受信部の構成については、後述する受信側の光伝送装置21と同様であってもよい。
【0024】
光増幅中継器18は、例えばDCF(Dispersion Compensating Fiber、分散補償ファイバ)19により、上流側の光伝送路31中を伝搬してくる光信号の波長分散を補償し、アンプ20により光信号を増幅して下流側の光伝送路32へ送出する。
【0025】
受信側の光伝送装置21は、1つまたは複数の受信器27,28,29を有している。各受信器27,28,29は、例えば波長は異なるが、同じ通信方式の光信号を受信してもよいし、波長も通信方式も異なる光信号を受信してもよい。
【0026】
例えば、受信器#1_27は、データ転送速度が100GbpsであるDPQPSK方式の光信号を受信してもよい。例えば、受信器#2_28は、データ転送速度が40GbpsであるDQPSK方式の光信号を受信してもよい。
【0027】
受信側の光伝送装置21において、上流側の光伝送路32から送信されてくる光信号は、例えばDCF22により波長分散が補償され、プリアンプ23により増幅される。プリアンプ23から出力される光信号のうち、各受信器27,28,29により受信される光信号は、波長選択スイッチ24により選択され、デマルチプレクサ26により波長ごとに分波されて各受信器27,28,29により受信される。
【0028】
一方、波長選択スイッチ24を通過する光信号は、ポストアンプ25により増幅されて下流側の光伝送路33へ送出される。図示省略するが、受信側の光伝送装置21は、下流側へ光信号を送信する送信部を有していてもよい。送信部の構成については、上述する送信側の光伝送装置11と同様であってもよい。
【0029】
・光受信装置の別の例
図5は、実施の形態にかかる光受信装置の別の例を示す図である。
図6は、
図5に示す光受信装置における信号の流れを示す図である。
図5に示す光受信装置は、
図4に示す受信側の光伝送装置21の一例である。
【0030】
図5及び
図6に示すように、光受信装置41は、受信器A42、受信器B43及び制御ユニット44を有している。受信器A42は、光信号を受信するときの特性の変化量の情報を出力する受信器の一例である。受信器A42及び受信器B43は、同一の伝送区間を伝搬してくる光信号を受信してもよい。制御ユニット44は、制御部の一例である。受信器A42及び受信器B43は、例えばデマルチプレクサ26(
図4参照)に接続されていてもよい。受信器A42、受信器B43及び制御ユニット44は、それぞれ独立したカードであり、光受信装置41の筐体に着脱可能に装着されていてもよい。
【0031】
受信器A42は、光信号を受信するときの特性の変化量の情報を出力する。本実施例においては、光信号を受信するときの特性の変化が例えば波長分散であるとして説明する。従って、受信器A42は、波長λ
1の光信号を受信するときの残留分散量の情報を出力する。
【0032】
残留分散量の情報を出力する受信器の一例として、例えばデジタルコヒーレント受信器がある。デジタルコヒーレント受信器は、光信号を受信し、光電変換により光信号から生成される電気信号に対するデジタル信号処理によって残留分散量を求め、残留分散量を補償する。本実施例においては、受信器A42が例えばデジタルコヒーレント受信器であるとして説明する。
【0033】
また、受信器A42は、波長λ
1の情報を出力する。また、受信器A42は、受信信号に対する信号消失(LOS:Loss of Signal)及びフレーム損失(LOF:Loss of Frame)の一方または両方の情報(
図6中にLOS/LOF情報と略記)を出力する。これ以降、信号消失及びフレーム損失の一方または両方の情報をLOS/LOF情報と表記する。
【0034】
受信器B43は、光信号を受信するときの特性の変化を補償するデバイスを有する。特性の変化が例えば波長分散である場合、特性の変化を補償するデバイスは、例えば可変分散補償器であってもよい。本実施例においては、受信器B43は、可変分散補償器を有するとして説明する。
【0035】
受信器B43の可変分散補償器には、制御ユニット44から供給される分散補償制御量情報に基づいて補償量が設定される。それによって、可変分散補償器は、受信器B43が波長λ
2の光信号を受信するときの波長分散を補償する。また、詳細については後述するが、受信器B43は、波長λ
2の光信号を受信するときの誤りを検出し、その検出結果に基づいて、可変分散補償器に補償量を設定することができるようになっている。
【0036】
受信器B43は、制御ユニット44から供給される選択制御信号に基づいて可変分散補償器に、分散補償制御量情報に基づいて補償量を設定するか、誤りの検出情報に基づいて補償量を設定するか、を選択する。また、受信器B43は、波長λ
2の情報を出力する。また、受信器B43は、誤りの検出結果であるエラー情報を出力する。
【0037】
制御ユニット44は、受信器A42及び受信器B43に接続されている。制御ユニット44は、受信器A42からLOS/LOF情報、波長λ
1の情報、及び残留分散量の情報を受け取る。制御ユニット44は、受信器B43から波長λ
2の情報及びエラー情報を受け取る。
【0038】
制御ユニット44は、波長λ
1の情報、波長λ
2の情報、及び波長分散の波長特性の情報に基づいて、波長λ
2の光信号に対する残留分散量を求める。制御ユニット44は、波長λ
2の光信号に対する残留分散量に基づいて、分散補償制御量情報を生成し、受信器B43に分散補償制御量情報を供給する。制御ユニット44は、LOS/LOF情報に基づいて選択制御信号を生成し、受信器B43に選択制御信号を供給する。
【0039】
・特性の変化量の情報を出力する受信器の一例
図7は、
図5に示す光受信装置の受信器Aの一例を示す図である。
図8は、
図7に示す受信器Aにおける信号の流れを示す図である。
図7及び
図8に示すように、受信器A42(
図5参照)の一例であるデジタルコヒーレント受信器51は、偏波ビームスプリッタ(
図7中にPBSと略記)52,53、局発光源(
図7中にLOと略記)54、光ハイブリッド55及びフォトダイオード群(
図7中にPDと略記)56を有している。
【0040】
第1の偏波ビームスプリッタ52は、例えばデマルチプレクサ26(
図4参照)に接続されていてもよい。第1の偏波ビームスプリッタ52は、波長λ
1の光信号を垂直偏波と水平偏波に分離する。局発光源54は、局部発振光を出力する。第2の偏波ビームスプリッタ53は、局発光源54に接続されている。第2の偏波ビームスプリッタ53は、局部発振光を垂直偏波と水平偏波に分離する。
【0041】
光ハイブリッド55は、偏波ビームスプリッタ52,53に接続されている。光ハイブリッド55は、偏波ビームスプリッタ52から出力される偏波成分の光信号と、偏波ビームスプリッタ53から出力される偏波成分の光信号とを混合し、各偏波成分の光信号について直交成分I、Qの光信号を出力する。フォトダイオード群56は、光ハイブリッド55に接続されている。フォトダイオード群56は、光ハイブリッド55から出力される各偏波成分の直交成分I、Qの光信号を光電変換してアナログ電気信号にする。
【0042】
また、デジタルコヒーレント受信器51は、アナログデジタル変換器(
図7中にADCと略記)57、デジタル信号プロセッサ(
図7中にDSPと略記)58、並びにマルチプレクサ及び出力インタフェース(
図7中にMux/出力IFと略記)60を有している。デジタル信号プロセッサ58は、分散補償ブロックA59を有している。
【0043】
アナログデジタル変換器57は、フォトダイオード群56に接続されている。アナログデジタル変換器57は、フォトダイオード群56から出力されるアナログ電気信号をデジタル電気信号に変換する。デジタル信号プロセッサ58は、アナログデジタル変換器57に接続されている。デジタル信号プロセッサ58は、アナログデジタル変換器57の出力信号に対してデジタル信号処理を行う。
【0044】
デジタル信号プロセッサ58は、デジタル信号処理によって、受信信号における波長分散などの特性の変動を補償する。分散補償ブロックA59は、デジタル信号処理によって受信信号における残留分散量を求め、残留分散量に対応する波長分散の補償量を用いて波長分散を補償する。分散補償ブロックA59は、残留分散量の情報を出力する。デジタルコヒーレント受信器において、分散制御を行う技術、及び残留分散量の情報を参照する技術については、公知である。
【0045】
マルチプレクサ及び出力インタフェース60は、デジタル信号プロセッサ58に接続されている。マルチプレクサ及び出力インタフェース60は、デジタル信号プロセッサ58の出力信号を複数のデータ信号にして出力する。デジタル信号プロセッサ58は、アナログデジタル変換器57を含んでいてもよいし、マルチプレクサ及び出力インタフェース60を含んでいてもよい。
【0046】
また、デジタルコヒーレント受信器51は、フレーマ61及びコントローラA63を有している。コントローラA63は、第1設定部の一例である。フレーマ61は、信号消失及びフレーム損失の一方または両方を検出する検出ブロック(
図7中にLOS/LOF検出ブロックと略記)62を有している。これ以降、信号消失及びフレーム損失の一方または両方を検出する検出ブロックをLOS/LOF検出ブロックと表記する。
【0047】
フレーマ61は、マルチプレクサ及び出力インタフェース60に接続されている。フレーマ61は、マルチプレクサ及び出力インタフェース60の出力信号を所定のデータフレームにマッピングする。LOS/LOF検出ブロック62は、フレーマ61によりデータフレームに信号がマッピングされる際に、信号消失やフレーム損失が発生するか否かを検出する。LOS/LOF検出ブロック62は、LOS/LOF情報を出力する。
【0048】
コントローラA63は、分散補償ブロックA59及びLOS/LOF検出ブロック62に接続されている。コントローラA63は、LOS/LOF情報、波長λ
1の情報及び残留分散量の情報を制御ユニット44(
図6参照)へ出力する。
【0049】
・特性の変化を補償するデバイスを有する受信器の一例
図9は、
図5に示す光受信装置の受信器Bの一例を示す図である。
図10は、
図9に示す受信器Bにおける信号の流れを示す図である。
図9及び
図10に示すように、受信器B43(
図5参照)の一例である受信器71は、例えば可変分散補償器72を有している。可変分散補償器72は、補償部の一例である。
【0050】
可変分散補償器72は、例えばデマルチプレクサ26(
図4参照)に接続されていてもよい。可変分散補償器72は、後述するセレクタ80から出力される分散補償制御量情報に基づいて設定される補償量によって、受信器71が波長λ
2の光信号を受信するときの波長分散を補償する。
【0051】
また、受信器71は、遅延干渉計73及びフォトダイオード群(
図9中にPDと略記)74を有している。遅延干渉計73は、可変分散補償器72に接続されている。遅延干渉計73は、可変分散補償器72を通過する光信号と、この光信号を遅延させた光信号とを干渉させて直交成分I、Qの光信号を出力する。フォトダイオード群74は、遅延干渉計73に接続されている。フォトダイオード群74は、遅延干渉計73から出力される直交成分I、Qの光信号を光電変換してアナログ電気信号にする。
【0052】
また、受信器71は、マルチプレクサ及びデシリアライザ(
図9中にMux/DESと略記)75、フレーマ76並びにコントローラB78を有している。フレーマ76は、受信器71が受信する信号の誤りを検出する検出ブロックを有する。この検出ブロックは、前方誤り訂正(FEC:Forward Error Correction)を行うブロックであってもよい。本実施例では、この検出ブロックを、例えば前方誤り訂正を行うFECモニタブロック77とする。FECモニタブロック77は、検出部の一例である。
【0053】
マルチプレクサ及びデシリアライザ75は、フォトダイオード群74に接続されている。マルチプレクサ及びデシリアライザ75は、フォトダイオード群74から出力される信号を複数のデータ信号にして出力する。
【0054】
フレーマ76は、マルチプレクサ及びデシリアライザ75に接続されている。フレーマ76は、マルチプレクサ及びデシリアライザ75の出力信号を所定のデータフレームにマッピングする。FECモニタブロック77は、フレーマ76によりデータフレームに信号がマッピングされる際に、誤りを検出して訂正する。FECモニタブロック77は、誤りの数を表すエラー情報を出力する。
【0055】
コントローラB78は、FECモニタブロック77及び制御ユニット44(
図6参照)に接続されている。コントローラB78は、FECモニタブロック77からエラー情報を受け取り、エラー情報及び波長λ
2の情報を制御ユニット44へ出力する。コントローラB78は、デジタルコヒーレント受信器51のコントローラA63が出力する分散補償制御量情報、及び制御ユニット44において生成される選択制御信号を、制御ユニット44から受け取り、分散補償制御量情報及び選択制御信号を後述するセレクタ80へ出力する。
【0056】
また、受信器71は、分散補償ブロックB79及びセレクタ80を有している。分散補償ブロックB79は、第2設定部の一例である。セレクタ80は、選択部の一例である。分散補償ブロックB79は、FECモニタブロック77に接続されている。分散補償ブロックB79は、FECモニタブロック77からエラー情報を受け取り、エラー情報に基づいて例えば二分法などの従来方法により、分散補償制御量情報を生成する。
【0057】
セレクタ80は、コントローラB78及び分散補償ブロックB79に接続されている。セレクタ80は、コントローラB78から出力される選択制御信号に基づいて、制御ユニット44を介してデジタルコヒーレント受信器51から供給される分散補償制御量情報、及び分散補償ブロックB79から出力される分散補償制御量情報のいずれか一方を選択する。可変分散補償器72には、デジタルコヒーレント受信器51から供給される分散補償制御量情報、及び分散補償ブロックB79から出力される分散補償制御量情報のうち、セレクタ80により選択される分散補償制御量情報に基づいて補償量が設定される。
【0058】
図11は、
図9に示す受信器Bの分散補償ブロックBの動作の一例を説明する図である。
図11に示すように、可変分散補償器の補償量を少しずつ変えていくと、可変分散補償器を通過する光信号の誤りの発生数は、下に凸の二次関数的に変化していく。分散補償ブロックB79(
図9参照)は、可変分散補償器72(
図9参照)にD、[D−Δd]及び[D+Δd]の3点の補償量を設定し、それぞれのときの可変分散補償器を通過する光信号の誤りの発生数を監視する。そして、分散補償ブロックB79は、D、[D−Δd]及び[D+Δd]の3点のうち、誤りの数が小さい補償量を選択する。
【0059】
分散補償ブロックB79は、この選択動作を、可変分散補償器の制御範囲の全域に対してDを少しずつ変えながら繰り返し行うことによって、誤りの発生数が最も小さくなるときの補償量の最適点を求める。最適点における補償量の情報が、分散補償ブロックB79から出力される分散補償制御量情報である。
図11に示す例では、可変分散補償器の制御範囲は、例えばエラー発生閾値によって決められている。エラー発生閾値は、例えば前方誤り訂正の冗長ビット数によって許容される誤りの数の最大値であってもよい。
【0060】
・制御ユニットの一例
図12は、
図5に示す光受信装置の制御ユニットの一例を示す図である。
図12に示すように、制御ユニット91は、減算部92、計算処理部93及び判定処理部94を有している。減算部92、計算処理部93及び判定処理部94は、ハードウェアにより実現されてもよいし、プロセッサが減算部92、計算処理部93及び判定処理部94を実現するソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。
【0061】
減算部92は、例えばデジタルコヒーレント受信器51のコントローラA63(
図7参照)及び受信器71のコントローラB78(
図9参照)に接続されている。減算部92は、例えばコントローラA63から波長λ
1の情報及びコントローラB78からλ
2の情報を受け取り、次の(1)式で表されるように、λ
2からλ
1を減算した値Δλを求める。
【0063】
計算処理部93は、減算部92及び例えばコントローラA63(
図7参照)に接続されている。計算処理部93は、減算部92からΔλの情報を受け取り、コントローラA63から残留分散量の情報を受け取る。また、計算処理部93には、波長分散の波長特性の情報の一例として、例えば分散スロープαの情報が入力される。分散スロープαは、特性の変化量の波長特性の一例である。計算処理部93は、Δλ、残留分散量及び分散スロープαの各情報に基づいて、次の(2)式で表されるように、分散補償制御量を求める。
【0064】
図13は、
図12に示す制御ユニットの動作の一例を説明する図である。
図13に示すように、受信器Aが受信する光信号の波長λ
1、受信器Aが光信号を受信するときの残留分散量、及び受信器Bが受信する光信号の波長λ
2の各情報がわかれば、分散スロープαを用いて、受信器Bが光信号を受信するときの残留分散量がわかる。従って、計算処理部93において、受信器Bが光信号を受信するときの波長分散を補償するのに好適な分散補償制御量が求まる。
図13に示す例では、計算処理部93は、次の(2)式に示す計算を行って、分散補償制御量を求める。
【0065】
[受信器Bに対する分散補償制御量]=[受信器Aにおける残留分散量]+α×Δλ ・・・(2)
【0066】
分散スロープαは、伝送路特性により決定される係数であり、伝送路特性から一意に決定されてもよい。あるいは、分散スロープαは、予めシステムの稼働時に数波長の最適分散量を検出することによって決定されてもよい。予めシステムの稼働時に数波長の最適分散量を検出することによって分散スロープαを決定する場合、例えば受信器Aと同様に残留分散量の情報を出力する複数の受信器から、異なる波長に対する複数の残留分散量の情報を取得して、分散スロープαを求めてもよい。分散スロープαの情報は、例えば上位システムから与えられてもよい。分散スロープαの値は、例えば制御ユニット44(
図5参照)内の図示省略するメモリに格納されていてもよい。
【0067】
なお、
図13に示す例では、波長分散量の波長特性が直線によって近似されているが、高次の関数を用いて近似されていてもよい。高次の関数を用いて近似する場合には、予めシステムの運用を開始する前に、高次の関数で表される近似式の係数を求めておいてもよい。
【0068】
図12に示すように、判定処理部94は、計算処理部93、例えばデジタルコヒーレント受信器51のコントローラA63(
図7参照)及び受信器71のコントローラB78(
図9参照)に接続されている。判定処理部94は、計算処理部93から、受信器Bに対する分散補償制御量の情報を受け取る。判定処理部94は、例えばコントローラA63からLOS/LOF情報、及び例えばコントローラB78からエラー情報を受け取る。
【0069】
判定処理部94は、例えばLOS/LOF情報が正常である場合、すなわちLOS/LOF検出ブロック62(
図7参照)において信号の消失またはフレームの損失が検出されない場合に、計算処理部93から受け取る分散補償制御量の値を更新して出力する。判定処理部94は、LOS/LOF情報が正常である場合に、判定処理部94から出力される分散補償制御量情報をセレクタ80(
図9参照)が選択するような選択制御信号をセレクタ80へ出力する。
【0070】
判定処理部94は、LOS/LOF検出ブロック62(
図7参照)において信号の消失またはフレームの損失が検出される場合、計算処理部93から受け取る分散補償制御量の値の更新を停止し、固定値を出力する。判定処理部94は、信号の消失またはフレームの損失が検出される場合、受信器71の分散補償ブロックB79(
図9参照)から出力される分散補償制御量情報をセレクタ80(
図9参照)が選択するような選択制御信号をセレクタ80へ出力する。
【0071】
判定処理部94は、計算処理部93から受け取る分散補償制御量の値を更新して出力している状態のときに、エラー情報が劣化する、すなわち誤りの数が増えると、可変分散補償器72(
図9参照)の補償量の設定値が異常であると判断する。判定処理部94は、可変分散補償器72の補償量の設定値が異常であると判断すると、出力する分散補償制御量の値を前回の値に戻す。それによって、可変分散補償器72に前回の補償量が設定される。分散補償制御量の前回の値は、例えば制御ユニット91内の図示しないメモリに格納されていてもよい。
【0072】
・制御ユニットの動作の一例
図14は、
図12に示す制御ユニットの動作の一例を説明する図である。
図14に示すように、制御ユニット91において動作が開始されると、まず、制御ユニット91は、制御ユニット91を有する光受信装置内に、例えば
図7に示すデジタルコヒーレント受信器51のような受信器Aがあるか否かを判定する(ステップS11)。受信器Aがある場合(ステップS11:Yes)、判定処理部94は、受信器AからのLOS/LOF情報に基づいて、受信器Aが正常に信号疎通しているか否かを判定する(ステップS12)。受信器Aが正常に信号疎通していれば、信号の消失またはフレームの損失が検出されないので、LOS/LOF情報が正常になる。
【0073】
受信器Aが正常に信号疎通している場合(ステップS12:Yes)、判定処理部94は、例えば
図9に示す受信器71のような受信器Bのセレクタ80が判定処理部94側を選択する選択制御信号を出力する(ステップS13)。それによって、受信器Bのセレクタ80は、判定処理部94が出力する分散補償制御量を受信器Bの可変分散補償器72へ出力するように切り替わる。
【0074】
次いで、制御ユニット91は、受信器A及び受信器Bから制御情報を取得する(ステップS14)。例えば、制御ユニット91は、受信器Aから波長λ
1の情報、残留分散量の情報、LOS/LOF情報を取得する。例えば、制御ユニット91は、受信器Bから波長λ
2の情報及びエラー情報を取得する。
【0075】
次いで、制御ユニット91は、受信器Aから取得する残留分散量の値を前回の残留分散量の値と比較するときの変化量が許容範囲以上であるか否かを判定する(ステップS15)。変化量が許容範囲未満である場合(ステップS15:No)、制御ユニット91は、分散補償制御量の計算を行わずに、動作を終了する。この場合、受信器Bの可変分散補償器72に設定される補償量は前回のままである。それに対して、変化量が許容範囲以上である場合(ステップS15:Yes)、計算処理部93は、減算部92により求まる波長の差分値Δλと分散スロープαと残留分散量に基づいて、分散補償制御量を計算する(ステップS16)。
【0076】
次いで、判定処理部94は、計算処理部93から分散補償制御量の情報を受け取り、分散補償制御量の情報を受信器Bへ出力する(ステップS17)。それによって、受信器Bの可変分散補償器72に、受信器Aの残留分散量から導かれる補償量が設定され、受信器Bにおいて波長λ
2の光信号を受信するときの波長分散が補償される。
【0077】
次いで、判定処理部94は、エラー情報に基づいて、受信器Bの受信信号において誤りの数が増加しているか否かを判定する(ステップS18)。誤りの数が増加している場合(ステップS18:Yes)、判定処理部94は、受信器Bの可変分散補償器72に設定される補償量が異常であると判断し、前回の分散補償制御量の値を出力する(ステップS19)。それによって、可変分散補償器72に前回の補償量が設定される。そして、判定処理部94は、動作を終了する。それに対して、誤りの数が増加していない場合(ステップS18:No)、判定処理部94は、そのまま動作を終了する。
【0078】
一方、制御ユニット91を有する光受信装置内に受信器Aがあるが、信号の消失またはフレームの損失が検出される場合、受信器Aが正常に信号疎通していない(ステップS12:No)。この場合には、判定処理部94は、受信器Bのセレクタ80が受信器Bの分散補償ブロックB79側を選択する選択制御信号を出力する(ステップS20)。また、制御ユニット91を有する光受信装置内に受信器Aがない場合も(ステップS11:No)、判定処理部94は、受信器Bのセレクタ80が受信器Bの分散補償ブロックB79側を選択する選択制御信号を出力する(ステップS20)。
【0079】
それによって、受信器Bのセレクタ80は、分散補償ブロックB79が出力する分散補償制御量を受信器Bの可変分散補償器72へ出力するように切り替わる。受信器Bの可変分散補償器72には、受信器Bの分散補償ブロックB79により求まる補償量が設定され、受信器Bにおいて波長λ
2の光信号を受信するときの波長分散が補償される。そして、判定処理部94は、動作を終了する。なお、ステップS15を省略してもよい。
【0080】
図5に示す光受信装置41によれば、受信器A42の残留分散量に基づいて受信器B43の可変分散補償器72に補償量が設定される。それによって、可変分散補償器72に補償量が設定されるまでの時間が、従来方法によって可変分散補償器72に補償量を設定する場合よりも短縮される。従って、光受信装置41の運用開始時における信号の疎通までの時間や、プロテクション制御によって信号経路の切り替えが実施される場合の切り替えの完了までの時間を短縮することができる。
【0081】
また、受信器A42が、デジタル信号処理によって分散補償制御を行うことによって、受信器A42における信号疎通までの時間が短縮される。それによって、光受信装置41の運用開始時における信号の疎通までの時間や、プロテクション制御によって信号経路の切り替えが実施される場合の切り替えの完了までの時間をさらに短縮することができる。
【0082】
また、従来方法によって可変分散補償器72に補償量を設定する場合には、可変分散補償器72に補償量が設定されるまでの時間が長いため、運用中における受信器B43の分散特性の経時変化に追従することが困難である。それに対して、本実施例によれば、運用中であっても、受信器B43の分散特性の経時変化に追従することができる。
【0083】
また、
図5に示す光受信装置41によれば、受信器B43は、受信器A42の制御情報を用いずに、受信器B43のエラー情報に基づいて分散補償制御量を求め、可変分散補償器72に補償量を設定することができる。従って、受信器A42が正常に信号疎通していない場合でも、受信器B43が光信号を受信するときの波長分散を補償することができる。
【0084】
また、
図5に示す光受信装置41によれば、受信器A42及び受信器B43が、同一の伝送区間を伝搬してくる光信号を受信することによって、受信器A42の残留分散量に基づいて、受信器B43の可変分散補償器72に設定する補償量を求めることができる。また、受信器A42が、波長λ
1の情報及び残留分散量の情報を制御ユニット44へ出力することによって、制御ユニット44は、受信器Bに対する分散補償制御量情報を計算して求めることができる。
【0085】
・光受信装置の別の例
図15は、実施の形態にかかる光受信装置の別の例を示す図である。
図16は、
図15に示す光受信装置における信号の流れを示す図である。
図15に示す光受信装置は、
図4に示す受信側の光伝送装置21の一例である。
【0086】
図15及び
図16に示すように、光受信装置101は、1個以上の受信器A102,103、1個以上の受信器B104,105及び制御ユニット106を有している。本実施例では、受信器A及び受信器Bが複数個あることを明示する場合には、
図15に示すように、受信器A及び受信器Bに添字を付す。
【0087】
図15に示す例には、受信器Aも受信器Bも2個ずつ示されているが、受信器Aの数は1個でもよいし3個以上でもよい。受信器Bの数も1個でもよいし3個以上でもよい。ただし、受信器A及び受信器Bの数がともに1個ずつである場合は、
図5に示す光受信装置41と同様であるので、本実施例では、受信器A及び受信器Bのいずれか一方は2個以上あるとする。
【0088】
受信器A
1102及び受信器A
m103は、光信号を受信するときの特性の変化量の情報を出力する受信器の一例である。制御ユニット106は、制御部の一例である。受信器A
1102、受信器A
m103、受信器B
n104及び受信器B
z105は、例えばデマルチプレクサ26(
図4参照)に接続されていてもよい。受信器A
1102、受信器A
m103、受信器B
n104、受信器B
z105及び制御ユニット106は、それぞれ独立したカードであり、光受信装置101の筐体に着脱可能に装着されていてもよい。
【0089】
受信器A
1102及び受信器A
m103は、光信号を受信するときの特性の変化量の情報を出力する。本実施例においては、光信号を受信するときの特性の変化が例えば波長分散であるとして説明する。従って、受信器A
1102は、波長λ
1の光信号を受信するときの残留分散量の情報を出力する。受信器A
m103は、波長λ
mの光信号を受信するときの残留分散量の情報を出力する。
【0090】
残留分散量の情報を出力する受信器の一例として、例えばデジタルコヒーレント受信器がある。本実施例においては、受信器A
1102及び受信器A
m103が例えばデジタルコヒーレント受信器であるとして説明する。
【0091】
また、受信器A
1102は、波長λ
1の情報、及び波長λ
1の光信号を受信するときのLOS/LOF情報を出力する。受信器A
m103は、波長λ
mの情報、及び波長λ
mの光信号を受信するときのLOS/LOF情報を出力する。受信器A
1102及び受信器A
m103の一例として、例えば
図7に示すデジタルコヒーレント受信器51が挙げられる。
【0092】
受信器B
n104及び受信器B
z105は、光信号を受信するときの特性の変化を補償するデバイスを有する。特性の変化が例えば波長分散である場合、特性の変化を補償するデバイスは、例えば可変分散補償器であってもよい。本実施例においては、受信器B
n104及び受信器B
z105は、可変分散補償器を有するとして説明する。
【0093】
受信器B
n104の可変分散補償器には、制御ユニット106から供給される分散補償制御量情報に基づいて補償量が設定される。それによって、受信器B
n104の可変分散補償器は、受信器B
n104が波長λ
nの光信号を受信するときの波長分散を補償する。また、受信器B
n104は、波長λ
nの光信号を受信するときの誤りを検出し、その検出結果に基づいて、受信器B
n104の可変分散補償器に補償量を設定することができるようになっている。
【0094】
受信器B
n104は、制御ユニット106から供給される選択制御信号に基づいて受信器B
n104の可変分散補償器に、分散補償制御量情報に基づいて補償量を設定するか、誤りの検出情報に基づいて補償量を設定するか、を選択する。また、受信器B
n104は、波長λ
nの情報を出力する。また、受信器B
n104は、誤りの検出結果であるエラー情報を出力する。
【0095】
受信器B
z105の可変分散補償器には、制御ユニット106から供給される分散補償制御量情報に基づいて補償量が設定される。それによって、受信器B
z105の可変分散補償器は、受信器B
z105が波長λ
zの光信号を受信するときの波長分散を補償する。また、受信器B
z105は、波長λ
zの光信号を受信するときの誤りを検出し、その検出結果に基づいて、受信器B
z105の可変分散補償器に補償量を設定することができるようになっている。
【0096】
受信器B
z105は、制御ユニット106から供給される選択制御信号に基づいて受信器B
z105の可変分散補償器に、分散補償制御量情報に基づいて補償量を設定するか、誤りの検出情報に基づいて補償量を設定するか、を選択する。また、受信器B
z105は、波長λ
zの情報を出力する。また、受信器B
z105は、誤りの検出結果であるエラー情報を出力する。受信器B
n104及び受信器B
z105の一例として、例えば
図9に示す受信器71が挙げられる。
【0097】
制御ユニット106は、受信器A
1102、受信器A
m103、受信器B
n104及び受信器B
z105に接続されている。制御ユニット106は、受信器A
1102から、受信器A
1102が波長λ
1の光信号を受信するときのLOS/LOF情報及び残留分散量の情報、並びに波長λ
1の情報を受け取る。制御ユニット106は、受信器A
m103から、受信器A
m103が波長λ
mの光信号を受信するときのLOS/LOF情報及び残留分散量の情報、並びに波長λ
mの情報を受け取る。
【0098】
制御ユニット106は、受信器B
n104から、受信器B
n104が波長λ
nの光信号を受信するときのエラー情報、及び波長λ
nの情報を受け取る。制御ユニット106は、受信器B
z105から、受信器B
z105が波長λ
zの光信号を受信するときのエラー情報、及び波長λ
zの情報を受け取る。
【0099】
制御ユニット106は、複数ある受信器A
1102及び受信器A
m103のうち、正常に信号が疎通しているいずれか一つの受信器Aを選択する。制御ユニット106は、この選択される受信器Aの波長の情報及び残留分散量に基づいて、受信器B
n104及び受信器B
z105のそれぞれに対する分散補償制御量情報を生成する。制御ユニット106は、受信器B
n104及び受信器B
z105のそれぞれからのLOS/LOF情報に基づいて、受信器B
n104及び受信器B
z105のそれぞれに対する選択制御信号を生成する。
【0100】
・制御ユニットの一例
図17は、
図15に示す光受信装置の制御ユニットの一例を示す図である。
図17に示すように、制御ユニット111は、第1判定処理部112、計算処理部113及び第2判定処理部114を有している。第1判定処理部112、計算処理部113及び第2判定処理部114は、ハードウェアにより実現されてもよいし、プロセッサが第1判定処理部112、計算処理部113及び第2判定処理部114を実現するソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。
【0101】
第1判定処理部112は、各受信器Aの例えばデジタルコヒーレント受信器51のコントローラA63(
図7参照)に接続されている。第1判定処理部112は、各受信器Aの例えばコントローラA63から各受信器Aの波長λの情報、LOS/LOF情報及び残留分散量の情報を受け取る。第1判定処理部112は、各受信器Aに対して正常に信号が疎通しているか否かを判定し、正常に信号が疎通している受信器Aが1個以上あれば、正常に信号が疎通しているいずれか一つの受信器Aを選択する。第1判定処理部112は、選択される受信器Aが受信する光信号の波長λの情報、並びに選択される受信器Aが波長λの光信号を受信するときのLOS/LOF情報及び残留分散量の情報を出力する。
【0102】
計算処理部113は、第1判定処理部112及び各受信器Bの例えば受信器71のコントローラB78(
図9参照)に接続されている。計算処理部113は、第1判定処理部112から、選択される受信器Aの波長λの情報及び残留分散量の情報を受け取る。計算処理部113は、各受信器Bの例えばコントローラB78から、各受信器Bが受信する光信号の波長λの情報を受け取る。計算処理部113は、各受信器Bの波長λ及び分散スロープαを用いて、
図12に示す制御ユニット91において減算部92及び計算処理部93により実行される計算と同様の計算を行い、各受信器Bに対する分散補償制御量を求める。
【0103】
第2判定処理部114は、第1判定処理部112、計算処理部113及び各受信器Bの例えば受信器71のコントローラB78(
図9参照)に接続されている。第2判定処理部114は、第1判定処理部112から、選択される受信器AのLOS/LOF情報を受け取る。第2判定処理部114は、計算処理部113から、各受信器Bに対する分散補償制御量の情報を受け取る。第2判定処理部114は、各受信器Bの例えばコントローラB78からエラー情報を受け取る。
【0104】
第2判定処理部114は、例えばLOS/LOF情報が正常である場合、すなわちLOS/LOF検出ブロック62(
図7参照)において信号の消失またはフレームの損失が検出されない場合に、計算処理部113から受け取る各受信器Bに対する分散補償制御量の値を更新して出力する。第2判定処理部114は、LOS/LOF情報が正常である場合に、第2判定処理部114から出力される分散補償制御量情報を各受信器にBのセレクタ80(
図9参照)が選択するような選択制御信号をセレクタ80へ出力する。
【0105】
第2判定処理部114は、LOS/LOF検出ブロック62(
図7参照)において信号の消失またはフレームの損失が検出される場合、計算処理部113から受け取る分散補償制御量の値の更新を停止し、各受信器Bに対して固定値を出力する。第2判定処理部114は、信号の消失またはフレームの損失が検出される場合、各受信器Bにおいて受信器71の分散補償ブロックB79(
図9参照)から出力される分散補償制御量情報をセレクタ80(
図9参照)が選択するような選択制御信号をセレクタ80へ出力する。
【0106】
第2判定処理部114は、計算処理部113から受け取る各受信器Bに対する分散補償制御量の値を更新して出力している状態のときに、エラー情報が劣化する、すなわち誤りの数が増えると、各受信器Bの可変分散補償器72(
図9参照)の補償量の設定値が異常であると判断する。第2判定処理部114は、各受信器Bの可変分散補償器72の補償量の設定値が異常であると判断すると、各受信器Bに対して出力する分散補償制御量の値を前回の値に戻す。それによって、各受信器Bの可変分散補償器72に前回の補償量が設定される。分散補償制御量の前回の値は、例えば制御ユニット111内の図示しないメモリに格納されていてもよい。
【0107】
・制御ユニットの動作の一例
図18は、
図17に示す制御ユニットの動作の一例を説明する図である。
図18に示すように、制御ユニット111において動作が開始されると、まず、制御ユニット111は、制御ユニット111を有する光受信装置内に、例えば
図7に示すデジタルコヒーレント受信器51のような受信器Aが1個以上あるか否かを判定する(ステップS31)。1個以上の受信器Aがある場合(ステップS31:Yes)、第1判定処理部112は、各受信器AからのLOS/LOF情報に基づいて、正常に信号疎通している受信器Aがあるか否かを判定する(ステップS32)。受信器Aが正常に信号疎通していれば、信号の消失またはフレームの損失が検出されないので、LOS/LOF情報が正常になる。
【0108】
正常に信号疎通している受信器Aがある場合(ステップS32:Yes)、第1判定処理部112は、この正常に信号疎通している受信器Aを選択する。正常に信号疎通している受信器Aが複数個ある場合には、第1判定処理部112は、正常に信号疎通している複数の受信器Aの中から任意に一つを選択する。そして、第1判定処理部112により選択される受信器AのLOS/LOF情報に基づいて、第2判定処理部114は、例えば
図9に示す受信器71のような各受信器Bのセレクタ80が第2判定処理部114側を選択する選択制御信号を各受信器Bへ出力する(ステップS33)。それによって、各受信器Bにおいて、セレクタ80は、第2判定処理部114が出力する分散補償制御量を可変分散補償器72へ出力するように切り替わる。
【0109】
次いで、制御ユニット111は、第1判定処理部112により選択される受信器A及び各受信器Bの制御情報を取得する(ステップS34)。例えば、計算処理部113は、第1判定処理部112から、第1判定処理部112により選択される受信器Aの波長λの情報及び残留分散量の情報を取得する。例えば、計算処理部113は、各受信器Bから、各受信器Bが受信する光信号の波長λ
n及びλ
zの情報を取得する。また、例えば、第2判定処理部114は、第1判定処理部112から、第1判定処理部112により選択される受信器AのLOS/LOF情報を取得する。第2判定処理部114は、各受信器Bからエラー情報を取得する。
【0110】
次いで、計算処理部113は、第1判定処理部112により選択される受信器Aの残留分散量の値を前回の残留分散量の値と比較するときの変化量が許容範囲以上であるか否かを判定する(ステップS35)。変化量が許容範囲未満である場合(ステップS35:No)、制御ユニット111は、分散補償制御量の計算を行わずに、動作を終了する。この場合、各受信器Bの可変分散補償器72に設定される補償量は前回のままである。変化量が許容範囲以上である場合(ステップS35:Yes)、計算処理部113は、各受信器Bが受信する光信号の波長、第1判定処理部112により選択される受信器Aの波長及び残留分散量、並びに分散スロープαに基づいて、各受信器Bの分散補償制御量を計算する(ステップS36)。
【0111】
次いで、第2判定処理部114は、計算処理部113から各受信器Bの分散補償制御量の情報を受け取り、各分散補償制御量の情報を対応する受信器Bへ出力する(ステップS37)。それによって、各受信器Bの可変分散補償器72に、第1判定処理部112により選択される受信器Aの残留分散量から導かれる補償量が設定され、各受信器Bにおいて波長分散が補償される。
【0112】
次いで、第2判定処理部114は、各受信器Bのエラー情報に基づいて、各受信器Bの受信信号において誤りの数が増加しているか否かを判定する(ステップS38)。誤りの数が増加している場合(ステップS38:Yes)、第2判定処理部114は、誤りが増加する受信器Bの可変分散補償器72に設定される補償量が異常であると判断し、誤りが増加する受信器Bへ前回の分散補償制御量の値を出力する(ステップS39)。それによって、誤りが増加する受信器Bの可変分散補償器72に前回の補償量が設定される。そして、第2判定処理部114は、動作を終了する。それに対して、誤りの数が増加していない場合(ステップS38:No)、第2判定処理部114は、そのまま動作を終了する。
【0113】
一方、制御ユニット111を有する光受信装置内に1個以上の受信器Aがあるが、いずれの受信器Aでも信号の消失またはフレームの損失が検出される場合、いずれの受信器Aも正常に信号疎通していない(ステップS32:No)。この場合には、第2判定処理部114は、各受信器Bのセレクタ80が分散補償ブロックB79側を選択する選択制御信号を各受信器Bへ出力する(ステップS40)。また、制御ユニット111を有する光受信装置内に受信器Aがない場合も(ステップS31:No)、第2判定処理部114は、各受信器Bのセレクタ80が分散補償ブロックB79側を選択する選択制御信号を各受信器Bへ出力する(ステップS40)。
【0114】
それによって、各受信器Bにおいて、セレクタ80は、分散補償ブロックB79が出力する分散補償制御量を可変分散補償器72へ出力するように切り替わる。各受信器Bにおいて、可変分散補償器72には、分散補償ブロックB79により求まる補償量が設定され、各受信器Bにおいて波長分散が補償される。そして、第2判定処理部114は、動作を終了する。なお、ステップS35を省略してもよい。
【0115】
図15に示す光受信装置101によれば、受信器Bが複数個ある場合でも、正常に信号が疎通している受信器Aの残留分散量に基づいて各受信器Bの可変分散補償器72に補償量が設定される。それによって、各受信器Bの可変分散補償器72に補償量が設定されるまでの時間が、従来方法によって可変分散補償器72に補償量を設定する場合よりも短縮される。従って、光受信装置の運用開始時における信号の疎通までの時間や、プロテクション制御によって信号経路の切り替えが実施される場合の切り替えの完了までの時間を短縮することができる。
【0116】
なお、
図5に示す光受信装置41または
図15に示す光受信装置101において、受信器Aはデジタルコヒーレント受信器に限らず、光信号を受信するときの特性の変化量の情報を出力する受信器であればよい。例えば、受信器Aは、EDC(Electronic Dispersion Compensation)によって残留分散量の情報を出力可能な受信器であってもよい。
【0117】
また、
図5に示す光受信装置41または
図15に示す光受信装置101において、受信器Bの特性の変化を補償するデバイスは、可変分散補償器に限らない。特性の変化を補償するデバイスの一例として、例えばPMDC(Polarization Mode Dispersion Compensator)などの偏波モード分散特性を補償するデバイスが挙げられる。受信器Bが、偏波モード分散特性を補償するデバイスを有する場合には、受信器Aが、偏波モード分散の情報を出力すればよい。偏波モード分散を補償する場合の制御内容は、上述する各実施例と同様である。
【0118】
・光伝送システムの別の例
図19は、実施の形態にかかる光伝送システムの別の例を示す図である。
図19に示すように、光伝送システムは、例えば光伝送装置W121、光伝送装置X122、光伝送装置Y123及び光伝送装置Z124を有していてもよい。光伝送装置X122は、図示省略する光ファイバなどの光伝送路を介して光伝送装置W121に接続されている。光伝送装置Y123は、図示省略する光ファイバなどの光伝送路を介して光伝送装置X122に接続されている。光伝送装置Z124は、図示省略する光ファイバなどの光伝送路を介して光伝送装置Y123に接続されている。
【0119】
光伝送装置W121は、例えば送信器125,126及び制御ユニット127を有していてもよい。いずれの送信器125,126も、例えばデータ転送速度が100GbpsであるDPQPSK方式の光信号を送信してもよい。制御ユニット127は、送信器125,126を制御する。光伝送装置X122は、例えば光信号を受信する受信器128、光信号を送信する送信器129、並びに受信器128及び送信器129を制御する制御ユニット130を有していてもよい。
【0120】
光伝送装置Y123は、受信器A131、送信器132及び制御ユニット133を有していてもよい。受信器A131は、光信号を受信するときの特性の変化量の情報を出力する受信器の一例であり、例えば残留分散量の情報を出力するデジタルコヒーレント受信器であってもよい。受信器A131の一例として、例えば
図7に示すデジタルコヒーレント受信器51が挙げられる。受信器A131は、光伝送装置W121の一方の送信器126から送信される光信号を受信する。
【0121】
送信器132は、例えばデータ転送速度が40GbpsであるDQPSK方式の光信号を送信してもよい。制御ユニット133は、受信器A131及び送信器132を制御する。制御ユニット133は、制御部の一例であり、例えば
図12または
図17に示す制御ユニット91,111が挙げられる。
【0122】
光伝送装置Z124は、受信器B134、受信器A135及び制御ユニット136を有していてもよい。受信器A135は、光信号を受信するときの特性の変化量の情報を出力する受信器の一例であり、例えば残留分散量の情報を出力するデジタルコヒーレント受信器であってもよい。受信器A135の一例として、例えば
図7に示すデジタルコヒーレント受信器51が挙げられる。受信器A135は、光伝送装置W121の他方の送信器125から送信される光信号を受信する。
【0123】
受信器B134は、光信号を受信するときの特性の変化を補償するデバイス、例えば可変分散補償器を有する。受信器B134の一例として、例えば
図9に示す受信器71が挙げられる。受信器B134は、光伝送装置Y123の送信器132から送信される光信号を受信する。制御ユニット136は、受信器B134及び受信器A135を制御する。制御ユニット136は、制御部の一例であり、例えば
図12または
図17に示す制御ユニット91,111が挙げられる。
【0124】
光伝送装置W121、光伝送装置X122、光伝送装置Y123及び光伝送装置Z124は、OSC(Optical Supervisory Channel)信号によって、装置間で種々の情報を伝達することができるようになっている。OSC信号によって装置間で伝達される情報の一例として、例えば各光伝送装置が受信する光信号の波長の情報、及び各光伝送装置が光信号を受信するときの特性の変化量の情報が挙げられる。
【0125】
光伝送装置Z124の受信器B134は、光伝送装置Z124の受信器A135及び光伝送装置Y123の受信器A131からそれぞれ出力される波長及び残留分散量の各情報に基づいて、光伝送装置Y123の送信器132からの光信号を受信するときの波長分散を補償してもよい。光伝送装置Y123の受信器A131から出力される波長及び残留分散量の各情報は、OSC信号によって光伝送装置Z124へ伝達される。
【0126】
光伝送装置Z124の受信器A135からは、受信器A135が受信する光信号の波長の情報、及び受信器A135が光伝送装置W121の送信器125からの光信号を受信するときの残留分散量の情報が出力される。光伝送装置Y123の受信器A131からは、受信器A131が受信する光信号の波長の情報、及び受信器A131が光伝送装置W121の送信器126からの光信号を受信するときの残留分散量の情報が出力される。
【0127】
・信号疎通区間管理テーブル
図20は、
図19に示す光伝送システムの信号疎通区間テーブルの一例を示す図である。光伝送装置Z124において、制御ユニット136は、
図20に示すような信号疎通区間テーブル141を作成してもよい。
図20に示すように、信号疎通区間テーブル141によって、送信ノードとなる光伝送装置と受信ノードとなる光伝送装置との組み合わせに対して、受信器が、特性の変化量の情報を出力する受信器Aであるか、特性の変化を補償するデバイスを有する受信器Bであるか、ということが管理される。
図20に示す信号疎通区間テーブル141によれば、例えば送信ノードが光伝送装置W121であり、受信ノードが光伝送装置Y123である伝送区間に対して、受信器は受信器Aである。
【0128】
・制御ユニットの動作の一例
図21は、
図19に示す光伝送装置Zの制御ユニットの動作の一例を説明する図である。
図21に示すように、光伝送装置Z124の制御ユニット136において動作が開始されると、まず、制御ユニット136は、自装置である光伝送装置Z124内に、受信器A及び受信器Bが存在するか否かを判定する(ステップS51)。受信器Aは、特性の変化量の情報を出力する受信器である。受信器Bは、特性の変化を補償するデバイスを有する受信器である。
【0129】
受信器A135及び受信器B134が存在する場合(ステップS51:Yes)、制御ユニット136は、上流の光伝送装置Y123から送信されるOSC信号によって伝達される情報を用いて、受信器B134の信号疎通区間を確認する(ステップS52)。
図19に示す例では、受信器B134の信号疎通区間は、光伝送装置Y123−光伝送装置Z124である。
【0130】
次いで、制御ユニット136は、OSC信号によって伝達される情報を用いて、自装置である光伝送装置Z124を含む上流側において全ての受信器Aの信号疎通区間を取得する(ステップS53)。
図19に示す例では、受信器Aの信号疎通区間は、光伝送装置W121−光伝送装置Z124と、光伝送装置W121−光伝送装置Y123とである。なお、ステップS52とステップS53とは、いずれが先であってもよい。そして、制御ユニット136は、例えば
図20に示す信号疎通区間テーブル141を作成してもよい。
【0131】
次いで、制御ユニット136は、例えば信号疎通区間テーブル141に基づいて、ステップS53で取得される全ての受信器Aの信号疎通区間のうち、ステップS52で確認される受信器B134の信号疎通区間と同じ区間の受信器Aがあるか否かを判定する(ステップS54)。受信器B134の信号疎通区間と同じ区間の受信器Aがある場合(ステップS54:Yes)、制御ユニット136は、例えば
図14または
図18に示すフローチャートに従って、受信器B134の特性補償制御を実施し(ステップS55)、動作を終了する。
【0132】
受信器B134の信号疎通区間と同じ区間の受信器Aがない場合(ステップS54:No)、制御ユニット136は、ステップS52で確認される受信器B134の信号疎通区間を、ステップS53で取得される各受信器Aの信号疎通区間により表すことができるか否かを判定する(ステップS56)。
図19に示す例では、光伝送装置Z124の受信器A135の信号疎通区間は光伝送装置W121−光伝送装置Z124であり、光伝送装置Y123の受信器A131の信号疎通区間は光伝送装置W121−光伝送装置Y123である。
【0133】
従って、光伝送装置Z124の受信器A135の信号疎通区間と光伝送装置Y123の受信器A131の信号疎通区間との差分は、光伝送装置Z124の受信器B134の信号疎通区間と同じである。つまり、受信器B134の信号疎通区間は、受信器A135の信号疎通区間と受信器A131の信号疎通区間との差分により表される。
【0134】
また、図示しないが、受信器Bの信号疎通区間が光伝送装置W121−光伝送装置Z124であり、受信器Aの信号疎通区間が光伝送装置W121−光伝送装置X122と光伝送装置X122−光伝送装置Z124とである場合がある。この場合には、受信器Bの信号疎通区間は、二つの受信器Aの信号疎通区間の和で表される。
【0135】
受信器B134の信号疎通区間を各受信器Aの信号疎通区間により表すことができる場合(ステップS56:Yes)、制御ユニット136は、受信器B134の信号疎通区間を表すのに用いられる各受信器Aの波長及び残留分散量の各情報を取得する(ステップS57)。各受信器Aの波長及び残留分散量の各情報は、OSC信号によって伝達される情報に含まれている。ステップS56がNoの場合、ステップS60を行う。
【0136】
次いで、制御ユニット136は、受信器B134の信号疎通区間を表すのに用いられる各受信器Aの波長及び残留分散量の各情報、受信器B134が受信する光信号の波長の情報、並びに分散スロープαの情報に基づいて、受信器B134の分散補償制御量を計算して求める(ステップS58)。
図19に示す例では、光伝送装置Z124の受信器A135が受信する光信号の波長及び残留分散量、受信器B134が受信する光信号の波長、並びに分散スロープαの各情報に基づいて、光伝送装置W121−光伝送装置Z124の信号疎通区間に対する分散補償制御量が求まる。
【0137】
また、光伝送装置Y123の受信器A131が受信する光信号の波長及び残留分散量、受信器B134が受信する光信号の波長、並びに分散スロープαの各情報に基づいて、光伝送装置W121−光伝送装置Y123の信号疎通区間に対する分散補償制御量が求まる。光伝送装置W121−光伝送装置Z124の信号疎通区間に対する分散補償制御量から光伝送装置W121−光伝送装置Y123の信号疎通区間に対する分散補償制御量を減算することによって、光伝送装置Y123−光伝送装置Z124の信号疎通区間に対する分散補償制御量が求まる。
【0138】
次いで、制御ユニット136は、光伝送装置Y123−光伝送装置Z124の信号疎通区間に対する分散補償制御量の情報を受信器B134へ出力する(ステップS59)。それによって、受信器B134の可変分散補償器に補償量が設定され、受信器B134が光伝送装置Y123の送信器132から光信号を受信するときの波長分散が補償される。そして、制御ユニット136は、動作を終了する。
【0139】
一方、光伝送装置Z124内に受信器Aが存在しない場合(ステップS51:No)、制御ユニット136は、受信器B134が分散補償制御量を導出するように切り替える(ステップS60)。受信器B134は、例えば可変分散補償器の制御範囲の全域に対して補償量を少しずつ変えながら、誤りの発生数が最も小さくなるときの分散補償制御量を求める。それによって、受信器B134の可変分散補償器に補償量が設定され、受信器B134が光伝送装置Y123の送信器132から光信号を受信するときの波長分散が補償される。そして、制御ユニット136は、動作を終了する。
【0140】
なお、例えば
図14に示すフローチャートのステップS18〜ステップS19のように、受信器B134の受信信号の誤り数が増加する場合に前回の分散補償制御量に戻すようにしてもよい。
【0141】
図19に示す光伝送システムによれば、光伝送装置Z124の受信器B134の信号疎通区間が複数の受信器Aの信号疎通区間の差や和で表されることがある。このような場合、受信器B134の信号疎通区間を表すのに用いられる各受信器Aの残留分散量の差や和によって受信器B134の可変分散補償器に補償量が設定される。それによって、受信器B134の可変分散補償器に補償量が設定されるまでの時間が、従来方法によって可変分散補償器に補償量を設定する場合よりも短縮される。従って、光受信装置の運用開始時における信号の疎通までの時間や、プロテクション制御によって信号経路の切り替えが実施される場合の切り替えの完了までの時間を短縮することができる。
【0142】
上述した各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0143】
(付記1)光信号を受信するときの特性の変化量を補償する補償部と、第1波長の光信号に対する前記特性の第1変化量、前記第1波長、及び前記特性の変化量の波長特性に基づいて、前記第1波長と異なる第2波長の光信号を受信するときの前記特性の第2変化量を求め、前記第2変化量に基づいて補償量を求める制御部と、前記補償部に前記補償量を設定する第1設定部と、を備えることを特徴とする光受信装置。
【0144】
(付記2)前記第1変化量及び前記第2変化量は、同一の伝送区間に対する前記特性の変化量であることを特徴とする付記1に記載の光受信装置。
【0145】
(付記3)前記第1波長の光信号を受信し、前記第1波長及び前記第1変化量に関する情報を前記制御部へ供給する受信器を備えることを特徴とする付記1または2に記載の光受信装置。
【0146】
(付記4)前記受信器は、デジタル信号処理によって前記特性の変化量を求めて補償することを特徴とする付記3に記載の光受信装置。
【0147】
(付記5)前記第2波長の光信号の第2伝送区間が、前記第1波長の光信号の第1伝送区間と、前記第2波長と異なる第3波長の光信号の第3伝送区間との和または差で表される場合、前記制御部は、前記第1波長の光信号が前記第1伝送区間を伝搬する場合の前記特性の変化量、前記第1波長、及び前記特性の変化量の波長特性に基づいて、前記第2波長の光信号が前記第1伝送区間を伝搬する場合の前記特性の第3変化量を求め、前記第3波長の光信号が前記第3伝送区間を伝搬する場合の前記特性の変化量、前記第3波長、及び前記特性の変化量の波長特性に基づいて、前記第2波長の光信号が前記第3伝送区間を伝搬する場合の前記特性の第4変化量を求め、前記第3変化量と前記第4変化量との和または差に基づいて、前記第2伝送区間を伝搬する前記第2波長の光信号を受信するときの前記特性の第2変化量を求めることを特徴とする付記1に記載の光受信装置。
【0148】
(付記6)前記第2波長の光信号に対して誤りを検出する検出部と、前記補償部の補償量を変えながら前記誤りの変化を監視し、前記誤りの監視結果に基づいて、前記第2波長の光信号を受信するときの前記特性の第5変化量を求め、前記第5変化量に基づいて前記補償部に補償量を設定する第2設定部と、前記誤りの検出結果に基づいて、前記第1設定部による補償量の設定及び前記第2設定部による補償量の設定のいずれかを選択する選択部と、を備えることを特徴とする付記1乃至5のいずれか一項に記載の光受信装置。
【0149】
(付記7)前記特性の変化量は、波長分散量であることを特徴とする付記1乃至6のいずれか一項に記載の光受信装置。
【0150】
(付記8)第1波長の光信号に対する特性の第1変化量、前記第1波長、及び前記特性の変化量の波長特性に基づいて、前記第1波長と異なる第2波長の光信号を受信するときの前記特性の第2変化量を求め、前記第2変化量に基づいて前記第2変化量を補償する補償量を求め、光信号を受信するときの特性の変化量を補償する補償部に前記補償量を設定することを特徴とする特性補償方法。
【0151】
(付記9)前記第1変化量及び前記第2変化量は、同一の伝送区間に対する前記特性の変化量であることを特徴とする付記8に記載の特性補償方法。
【0152】
(付記10)前記第2波長の光信号の第2伝送区間が、前記第1波長の光信号の第1伝送区間と、前記第2波長と異なる第3波長の光信号の第3伝送区間との和または差で表される場合、前記第1波長の光信号が前記第1伝送区間を伝搬する場合の前記特性の変化量、前記第1波長、及び前記特性の変化量の波長特性に基づいて、前記第2波長の光信号が前記第1伝送区間を伝搬する場合の前記特性の第3変化量を求め、前記第3波長の光信号が前記第3伝送区間を伝搬する場合の前記特性の変化量、前記第3波長、及び前記特性の変化量の波長特性に基づいて、前記第2波長の光信号が前記第3伝送区間を伝搬する場合の前記特性の第4変化量を求め、前記第3変化量と前記第4変化量との和または差に基づいて、前記第2伝送区間を伝搬する前記第2波長の光信号を受信するときの前記特性の第2変化量を求めることを特徴とする付記8に記載の特性補償方法。