特許第6031904号(P6031904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031904
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】マウントアダプター及びカメラシステム
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/14 20060101AFI20161114BHJP
   G03B 17/56 20060101ALI20161114BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   G03B17/14
   G03B17/56 Z
   H04N5/225 D
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-198728(P2012-198728)
(22)【出願日】2012年9月10日
(65)【公開番号】特開2014-52605(P2014-52605A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】311015207
【氏名又は名称】リコーイメージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】淵向 篤
(72)【発明者】
【氏名】鏡 和泰
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 卓
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−034824(JP,A)
【文献】 実開昭60−035681(JP,U)
【文献】 特開昭61−262727(JP,A)
【文献】 特開昭60−130273(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3068507(JP,U)
【文献】 特開2007−047289(JP,A)
【文献】 特開2003−057536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
G03B 17/56
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラボディに設けられた第1方式のレンズマウントに装着可能な第1のレンズマウント部と、第2方式のレンズマウントを有する交換レンズを装着可能な第2のレンズマウント部とを備えるマウントアダプターであって、当該マウントアダプターの内部開口を開閉動作可能なシャッター機構を備え、当該シャッター機構は、当該マウントアダプターが前記カメラボディから取り外されたときに前記内部開口の一部を開口した状態に保持することが可能であることを特徴とするマウントアダプター。
【請求項2】
前記シャッター機構は、前記内部開口を開閉するためのシャッター羽根部と、このシャッター羽根部を駆動するためのシャッター駆動部とを備え、このシャッター駆動部は前記シャッター羽根部を全閉状態から全開状態の間の任意の開口状態に駆動させるとともに、その開口状態を保持できるように構成していることを特徴とする請求項1に記載のマウントアダプター。
【請求項3】
前記シャッター駆動部は、前記シャッター羽根部を全閉状態から全開状態に駆動するチャージ手段と、前記チャージ手段のチャージ状態を解除して前記シャッター羽根部を全閉状態に復帰させるためのチャージ解除手段とを備え、前記チャージ手段はチャージ途中においてチャージ動作を停止することが可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のマウントアダプター。
【請求項4】
前記チャージ手段は、前記シャッター羽根を開閉駆動させる羽根駆動リングと、前記羽根駆動リングをシャッター全閉方向に付勢する駆動バネと、通電により回転駆動されるチャージモータと、このチャージモータの回転力によって前記羽根駆動リングをシャッター全開方向に駆動するチャージリングと、このチャージリングを全閉方向に復動させるための付勢力を有するチャージリング戻りバネと、前記羽根駆動リングをシャッター全開位置に係止するための係止手段を備え、前記チャージ解除手段は前記係止手段による前記羽根駆動リングの係止を解除してシャッター全閉方向への駆動を解除するプランジャ手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のマウントアダプター。
【請求項5】
前記チャージ手段は、前記チャージモータによって回転駆動され一部にカムを有するカムギアと、前記チャージリングに設けられ前記カムに係合して当該チャージリング自身をシャッター全開方向に駆動する従動片と、前記羽根駆動リングに設けられ前記従動片に当接されて当該羽根駆動リングをシャッター全開方向に駆動する係止軸と、シャッター全開位置において前記係止軸を係止し前記プランジャ手段によって駆動されたときに前記係止軸の係止を開放する係止爪板とを備えることを特徴とする請求項4に記載のマウントアダプター。
【請求項6】
前記シャッター駆動部は、前記チャージリングの駆動位置を検知する少なくとも1つの位置検知手段と、この位置検知手段の検知出力に基づいて前記チャージ手段の駆動停止位置を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項4または5に記載のマウントアダプター。
【請求項7】
前記制御手段は、前記チャージリングのチャージ途中の停止位置を制御することを特徴とする請求項6に記載のマウントアダプター。
【請求項8】
前記制御手段は、前記位置検知手段において前記チャージリングの所定位置が検知されてから所定の時間の経過後に前記チャージモータの回転を停止させる制御を行うことを特徴とする請求項7に記載のマウントアダプター。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のマウントアダプターを備え、当該マウントアダプターを前記カメラボディに装着した状態で、前記カメラボディのメインスイッチをOFFしたときに前記シャッター機構が当該マウントアダプターの内部開口の一部を開口した状態に保持することが可能であることを特徴とするカメラシステム。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のマウントアダプターを備え、当該マウントアダプターを前記カメラボディに装着し、前記カメラボディのシャッターボタンを操作したときに前記シャッター機構を当該マウントアダプターの内部開口を全開状態から全閉状態に駆動し、前記カメラボディのメインスイッチをOFFしたときに前記シャッター機構を当該マウントアダプターの内部開口の一部を開口した状態に駆動することを特徴とするカメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマウント方式の異なるレンズをカメラボディに装着するためのマウントアダプターと、当該マウントアダプターを備えるカメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズ交換式のカメラでは、マウント方式の異なるレンズをカメラボディに装着するためのマウントアダプターが設けられる。例えば、特許文献1ではイメージサークルの異なる交換レンズをカメラボディに装着して適切な撮影を行うことを可能とするために、マウントアダプターにワイドコンバージョン光学系を配置する技術が提案されている。このようなマウントアダプターを利用することにより、近年の小型化されてレンズマウントが小型化されたミラーレス方式のデジタルカメラに対しても従前の大きなレンズマウントを有する交換レンズを利用して撮影を行うことが可能になる。
【0003】
ところで、ミラーレス方式のデジタルカメラとして、交換レンズ側に設けた機械式シャッターを利用して撮影するが、シャッターを備えていない交換レンズを装着したとき、あるいは交換レンズに備えられているシャッターをカメラボディ側に連動して駆動することができないようなときにカメラボディの撮像素子における電子シャッターを利用して撮影を行う方式のものが提案されている。そのため、電子シャッターでの撮影時に高速に移動する被写体が歪曲した状態で撮像されてしまうという、いわゆるコンニャク現象が問題となっている。そこで本出願人は、マウントアダプターに遮光手段としてシャッターを内蔵し、交換レンズのシャッターを利用して撮影できないときにマウントアダプターに設けたシャッターを利用して撮影を行うことを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−28328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このシャッターとして、従来のレンズに設けられているレンズシャッターをそのまま適用することが考えられるが、この種のシャッターはその機構上の理由によって、常態で全閉または全開のいずれかの状態にある。そのため、マウントアダプターをカメラボディに装着した状態、あるいはマウントアダプターをカメラボディから取り外した状態のときにもシャッターは全閉あるいは全開の状態となる。したがって、マウントアダプターをカメラボディから取り外した状態のときにシャッターが全閉であると、露呈されているシャッターのシャッター羽根に接触したとき、あるいは風圧等によってシャッター羽根に応力が加えられると、この応力によってシャッター羽根が変形され、あるいはシャッター羽根が正常位置から移動されてしまい、その後におけるシャッターの正常動作が阻害されることがある。
【0006】
本発明の目的はこのような遮光手段としてのシャッターの損傷を未然に防止することを可能にしたマウントアダプターを提供するものである。また、本発明はかかるマウントアダプターを備えるカメラシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマウントアダプターは、カメラボディに設けられた第1方式のレンズマウントに装着可能な第1のレンズマウント部と、第2方式のレンズマウントを有する交換レンズを装着可能な第2のレンズマウント部とを備えるマウントアダプターであって、当該マウントアダプターの内部開口を開閉動作可能なシャッター機構を備え、当該シャッター機構は、マウントアダプターがカメラボディから取り外されたときに内部開口の一部を開口した状態に保持することが可能な構成である。このシャッター機構は、内部開口を開閉するためのシャッター羽根部と、このシャッター羽根部を駆動するためのシャッター駆動部とを備え、シャッター駆動部はシャッター羽根部を全閉状態から全開状態の間の任意の開口状態に駆動させるとともに、その開口状態を保持できるように構成する。また、シャッター駆動部は、シャッター羽根部を全閉状態から全開状態に駆動するチャージ手段と、チャージ手段のチャージ状態を解除してシャッター羽根部を全閉状態に復帰させるためのチャージ解除手段とを備え、チャージ手段はチャージ途中においてチャージ動作を停止することが可能に構成される。
【0008】
本発明においてチャージ手段は、例えば、シャッター羽根を開閉駆動させる羽根駆動リングと、羽根駆動リングをシャッター全閉方向に付勢する駆動バネと、通電により回転駆動されるチャージモータと、このチャージモータの回転力によって前記羽根駆動リングをシャッター全開方向に駆動するチャージリングと、このチャージリングを全閉方向に復動させるための付勢力を有するチャージリング戻りバネと、羽根駆動リングをシャッター全開位置に係止するための係止手段を備え、チャージ解除手段は係止手段による羽根駆動リングの係止を解除してシャッター全閉方向への駆動を解除するプランジャ手段を備える構成とする。
【0009】
さらに、チャージ手段は、例えば、チャージモータによって回転駆動され一部にカムを有するカムギアと、チャージリングに設けられカムに係合して当該チャージリング自身をシャッター全開方向に駆動する従動片と、羽根駆動リングに設けられ従動片に当接されて当該羽根駆動リングをシャッター全開方向に駆動する係止軸と、シャッター全開位置において係止軸を係止しプランジャ手段によって駆動されたときに係止軸の係止を開放する係止爪板とを備える構成とする。
【0010】
また、シャッター駆動部は、例えば、チャージリングの駆動位置を検知する少なくとも1つの位置検知手段と、この位置検知手段の検知出力に基づいてチャージ手段の駆動停止位置を制御する制御手段を備える。この制御手段は、チャージリングのチャージ途中の停止位置を制御する。例えば、制御手段は、位置検知手段においてチャージリングの所定位置が検知されてから所定の時間の経過後にチャージモータの回転を停止させる制御を行う構成とする。
【0011】
本発明のカメラシステムは、前記した本発明のマウントアダプターを備え、当該マウントアダプターをカメラボディに装着した状態で、カメラボディのメインスイッチをOFFしたときにシャッター機構が当該マウントアダプターの内部開口の一部を開口した状態に保持することが可能な構成である。また、本発明のマウントアダプターをカメラボディに装着し、カメラボディのシャッターボタンを操作したときにシャッター機構を全開状態から全閉状態に駆動し、カメラボディのメインスイッチをOFFしたときにシャッター機構が内部開口の一部を開口した状態に駆動する構成とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マウントアダプターをカメラボディに装着した状態のときにシャッター機構によりマウントアダプターの内部開口を一部開口した状態にしておくことにより、交換レンズを透過した光の一部が遮光されるものの、透過した光によりカメラボディでの被写体表示が可能になるので、通常の撮影に支障が生じることはなく、その一方で、マウントアダプターをカメラボディから取り外した状態のときにマウントアダプターの内部開口をシャッター機構により一部開口した状態にしておくことにより、全閉状態に比較してシャッター羽根が内部開口内に露呈する面積が少なくなり、シャッター羽根を保持する部材との重なり面積が大きくなるので、外力や風圧がシャッター羽根に加えられた場合でもシャッター羽根の変形や正常位置からの変動は少なく、シャッター羽根の損傷が少なくなり、シャッターの正常な動作が確保される。
きる。
【0013】
また、本発明のカメラシステムによれば、カメラボディでの操作によってマウントアダプターのシャッター機構を半開状態に設定できるので、マウントアダプターをカメラボディから取り外したときにも内部開口を半開状態に保持することができ、シャッター羽根の損傷を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のマウントアダプターを備えたカメラシステムの外観斜視図。
図2図1のカメラシステムのブロック構成図。
図3図1のマウントアダプターを後方側、前方側のそれぞれから見た斜視図。
図4A図3(a)の部分分解斜視図。
図4B図3(b)の部分分解斜視図。
図5A】シャッター機構の光軸と直交する方向の断面図(シャッター全閉)
図5B】シャッター機構の光軸と直交する方向の断面図(シャッター半開)
図5C】シャッター機構の光軸と直交する方向の断面図(シャッター全開)
図6】シャッター機構の要部の動作を説明する模式的な斜視図。
図7A】シャッター全開(チャージ時)のタイミング図。
図7B】シャッター全閉(シャッター時)のタイミング図
図7C】シャッター半開のタイミング図。
図8】シャッター羽根の重なり状態を説明する光軸と直交する方向の断面図。
図9】シャッターを半開するためのマニュアル機構の光軸と直交する方向の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明のカメラシステムの外観斜視図であり、図2はそのブロック構成図である。このカメラシステムは、レンズ交換が可能なカメラボディ2と、このカメラボディ2のレンズマウントに取着されるマウントアダプター1と、このマウントアダプター1に取着される交換レンズ3とで構成されている。カメラボディ2はミラーレス方式のカメラとして構成されており、内部には撮像装置21およびCPU等で構成される制御回路部20が内装されている。また、カメラボディ2の外面上部には電源ボタン(メインスイッチ)22、シャッターボタン23、その他の操作部が配設され、外面の裏側にはモニター表示装置24が配設されている。また、カメラボディの前面には径寸法の小さいバヨネット型のレンズマウント、ここではLQ方式のレンズマウントであるLQマウント25が配設されている。このLQマウント25には前記マウントアダプター1に電気接続される複数の電気接点部26が配設されている。一方、前記交換レンズ3は前記カメラボディ2のLQマウント25よりも大径のバヨネット型のLK方式のレンズマウントであるLKマウント35を有するレンズであり、結像光学系を構成するレンズ群31、絞り32を駆動制御する絞り機構33、レンズ群31を駆動制御するフォーカス機構34が内装されている。これらカメラボディ2と交換レンズ3の構成は本発明との関係が少ないので詳細な説明については省略する。
【0016】
前記マウントアダプター1は、前記カメラボディ2のLQマウント25に装着されるLQマウント部13と、前記交換レンズ3のLKマウント35が装着されるLKマウント部14を備えており、このマウントアダプター1を介して前記交換レンズ3を前記カメラボディ2に装着・離脱することが可能とされている。このマウントアダプター1には、当該マウントアダプターの内部開口を開閉することが可能な詳細を後述するシャッター機構11と、このシャッター機構11を制御するための制御手段としてのシャッター回路部12が内装されている。
【0017】
図3はこのマウントアダプターの外観斜視図であり、図3(a)はカメラボディに装着するLQマウント部13側から見た図、図3(b)は反対のLKマウント部14側から見た図である。マウントアダプター1は、短円筒状をした筒体10を備えており、この筒体10の後側(カメラボディ側、以下同じ)の端部に前記LQマウント部13が設けられ、前側(交換レンズ側、以下同じ)の端部に前記LKマウント部14が設けられている。前記LQマウント部13には前記カメラボディ2の電気接点部26に電気接続される複数の電気パッド部15が設けられている。また、前記筒体10の外周には交換レンズ3の絞り32を操作する際に利用するローレット環からなる操作部16と操作ボタン17が配設されている。さらに、図3(b)に示すように、前記筒体10の内部にはシャッター機構11が内装されており、前記筒体10の筒軸方向に向けられた内部開口10aを当該シャッター機構11によって開放ないし閉塞することが可能とされている。
【0018】
図4A図4Bは当該シャッター機構11の部分分解斜視図であり、図4A図3(a)と同様に後端部、すなわちLQマウント部側からみた図であり、図4B図3(b)と同様に前端部、すなわちLKマウント部側から見た図である。これら図4Aおよび図4Bにおいて、シャッター機構11は、前記筒体10の内部開口10aを開閉するシャッター羽根部4と、このシャッター羽根部4を開閉駆動するシャッター駆動部5とで構成されている。そして、シャッター駆動部5に設けられている制御手段としての前記シャッター回路部12での制御によって前記シャッター羽根部4のシャッター羽根を開閉駆動させ、マウントアダプター1の内部開口10aを通過する光線を通過・遮光するシャッターとして機能するようになっている。
【0019】
前記シャッター機構11について、図4Bおよび筒軸と直交方向の断面図である図5Aを主に参照して詳細に説明すると、前記シャッター駆動部5は前記マウントアダプター1の筒体10に一体的に固定されている親板6を備えており、この親板6を主体に構築されている。この親板6は中心部に前記内部開口10aにつながる開口6aを有する円環の板部材として構成されており、その周縁において前記筒体10の内周面に固定されている。この親板6には当該開口6aの内縁に沿って円環状のチャージリング61が嵌装され、親板6に対して軸芯回りに回動可能とされている。このチャージリング61は円周一部に外形方向に突出した扇型の従動片61aが一体形成されるとともに、チャージリング61と親板6との間にはコイルバネからなるチャージリング戻りバネ62が掛装されており、このチャージリング戻りバネ62の付勢力によってチャージリング61は図4Bの反時計方向に回動する習性が与えられている。
【0020】
また、前記親板6の前面の円周一部にはチャージモータ63が支持されており、このチャージモータ63は駆動されたときに回転出力軸に取着されているウォーム63aを回転し、当該ウォーム63aに歯合する中継ギア64を介してカムギア65を図4Bの反時計回りに減速回転させる。このカムギア65の後面の一部にはカム65aが後方に向けて突出形成されており、カムギア65の回転に伴って当該カム65aは前記チャージリング61の従動片61aの反時計方向側の縁部に当接されるようになっている。さらに、前記親板6の前面の他の円周一部には係止爪板66とソレノイドプランジャ67がそれぞれ支持されている。係止爪板66は先端にフック部66aを有しており、親板6の前面に立設された支軸66bの回りに小角度で回動可能に支持されている。この係止爪板66は捩じりバネ66cによって図4Bの反時計方向に付勢されるとともに、基端は前記ソレノイドプランジャ67に連結されている。前記ソレノイドプランジャ67は非通電のときにはプランジャ67aが埋没された状態にあり、前記捩じりバネ66cの付勢力に抗して前記係止爪板66を図4Bの時計方向に回動した位置に保持している。ソレノイドプランジャ67は通電されたときにプランジャ67aが突出動作され、捩じりバネ66cの付勢力に基づいて係止爪板66を図4Bの反時計方向に回動させる。
【0021】
さらに、前記親板61の円周方向の異なる2箇所には、それぞれ第1と第2の検知スイッチ68,69が配設されている。図5Aの右側位置に配設された第1検知スイッチ68はフィラー68aが左右に傾動してON,OFF動作する2つのスイッチ、すなわちaスイッチとbスイッチを有する複合スイッチとして構成され、当該フィラー68aが前記チャージリング61の円周一部に設けた一対の検出用突起61bと係合し、この検出用突起61bの回動位置に応じてaスイッチとbスイッチが独立してON,OFFするようになっている。図5Aの上側位置に配設された第2検知スイッチ69は後述する羽根駆動リング7に設けた係止軸71に係合してスイッチ動作される単一のスイッチとして構成されており、羽根駆動リング7の回動に伴ってON,OFF動作される。なお、前記シャッター回路部12は前記チャージモータ63、ソレノイドプランジャ67、第1及び第2の検知スイッチ68,69に接続されるとともに、前記LQマウント部13の電気パッド部15に電気接続されて所定のシャッター動作を行う回路構成として構成されており、当該回路を構成する各種電子部品は概ね扇型をした回路基板12aに構築され、この回路基板12aが前記親板6の一部に支持されている。
【0022】
前記親板6の後面側には円環板状をした羽根駆動リング7が親板6と同軸に配設されるとともに、当該親板6に対して筒軸回りに回動可能に支持されている。この羽根駆動リング7と親板6との間にはコイルバネからなる羽根駆動リングバネ72が掛装されており、この羽根駆動リングバネ72の付勢力によって羽根駆動リング7は図4Bの反時計方向に回動する習性が与えられている。羽根駆動リング7の前面の円周一部には細い円柱状をした係止軸71が筒軸方向に立設されており、この係止軸71は前記親板6を筒軸方向に貫通して親板6の前面側にまで進出され、前記チャージリング61に設けた従動片61aの時計方向側の縁部に当接するように配置されている。
【0023】
以上のシャッター駆動部5において、前記チャージリング61、チャージモータ63、カムギア65、および羽根駆動リング7は本発明におけるチャージ手段を構成することになる。また、係止爪板66、ソレノイドプランジャ67、および羽根駆動リング7は本発明におけるチャージ解除手段を構成することになる。
【0024】
前記シャッター羽根部4は前記羽根駆動リング7の後面側に配設され、前記筒体10の内部に固定されている。このシャッター羽根部4は、中央に円形の開口8aを有して円環板状に形成された羽根ベース8と、この羽根ベース8の後面側に対向配置されて開口9aを有する円環板状をした羽根押さえ9を有しており、これら羽根ベース8と羽根押さえ9とは両者間に筒軸方向の微小間隙を有して一体化されている。前記羽根ベース8の開口8aには短円筒状の袖部81が設けられており、この袖部81において前記親板6に連結されている。また、前記羽根押さえ9の後面には前記したLQマウント部13が一体に設けられている。また、これら羽根ベース8と羽根押さえ9との間の微小間隙内には複数のシャッター羽根91が内装されている。これら複数のシャッター羽根91はここでは6枚の薄い羽根板で構成されており、各シャッター羽根91の一部に開けた小穴91aを前記羽根ベース8の支持ピン83に挿通させ、かつ各シャッター羽根91に立設した駆動ピン93を前記羽根ベース8に開けた円弧穴82を挿通させて前記羽根駆動リング7に係合させている。この構成により6枚のシャッター羽根91は羽根駆動リング7を筒軸回りに回動して駆動ピン93を円周方向に移動させることによってそれぞれが支持ピン92を支点にして回動され、前記内部開口10aに対する各シャッター羽根の位置が変化される。これにより、羽根駆動リング7を図4Bの反時計方向に回動したときに、各シャッター羽根91は内部開口10a内に進出して当該内部開口10aを閉塞する。また、羽根駆動リング7を図4Bの時計方向に回動したときに、各シャッター羽根91は内部開口10aから後退して当該内部開口10aを開放する。
【0025】
以上の構成のマウントアダプター1は、図1および図2に示したようにLKマウント部14にLKマウント35を有する交換レンズ3が取着され、マウントアダプター1はLQマウント部13がカメラボディ2のLQマウント25に取着される。特に、マウントアダプター1がカメラボディ2に取着されることにより、LQマウント部13の電気パッド部15はカメラボディ2の電気接点部26に電気接続され、この電気パッド部15を介してマウントアダプター1内のシャッター回路部12がカメラボディ2内の制御回路20に電気接続されるとともに、前記したチャージモータ63、ソレノイドプランジャ67、第1および第2の検知スイッチ68,69が当該制御回路20に電気接続され、当該マウントアダプター1のシャッター機構11はカメラボディ2側での操作によってシャッター開閉駆動が制御されることになる。
【0026】
このシャッター動作について説明する。図5Aに示すように、シャッターチャージが行われる初期状態では、チャージモータ63は所定の初期回動位置にあり、これによりカムギア65のカム65aはチャージリング61の従動片61aの反時計方向側の縁部の位置にある。そのため、チャージリング61はチャージリング戻りバネ62の付勢力によって反時計方向に回動された位置にあり、羽根駆動リング7も羽根駆動リングバネ72の付勢力によって反時計方向に回動された位置ある。したがって、この羽根駆動リング72の初期位置に対応してシャッター羽根部4の各シャッター羽根91は内部開口10a内に移動された位置にあって内部開口10aを閉塞し、シャッター全閉状態にある。
【0027】
チャージモータ63が通電されて駆動すると、図6(a)に模式図を示すように、カムギア65は反時計方向に回動されるため、カム65aは鎖線で示す初期位置から反時計方向に回動して従動片61aの反時計方向側の縁部に当接し、さらに当該従動片61aの縁部を押圧するのでチャージリング61は従動片61aによってチャージリング戻りバネ62の付勢力に抗して時計方向に回動される。このチャージリング61の回動に伴い、従動片61aの時計方向側の縁部に当接している羽根駆動リング7の係止軸71が従動片61aと共に、すなわちチャージリング61と共に一体的に時計方向に回動される。この羽根駆動リング7の回動によりシャッター羽根91は内部開口10aを徐々に開放して行く。その途中でシャッターは図5Bのように半開となる。
【0028】
そして、図5Cに示すように、係止軸71が最大位置まで時計方向に回動された時点でシャッター羽根は内部開口を全開し、これと同時に図6(b)のように係止軸71は係止爪板66のフック部66aに係止される。このとき係止軸71は係止爪板66を捩じりバネ66cのバネ力によって反時計方向に微小回動させることでフック部66aを乗り越えて係止状態となる。そして、カムギア65がさらに回動されて鎖線のようにカム65aが従動片61aの反時計方向側の縁部との当接から外れると、チャージリング61はチャージリング戻りバネ62の付勢力によって破線矢印のように反時計方向に回動され、初期位置に戻される。しかし、羽根駆動リング7は、係止軸71が係止爪板66のフック部66aでの係止によって反時計方向への移動が係止されるので、その係止位置に保持される。すなわち、シャッター羽根91による内部開口10aの全開状態が保持される。以上でチャージが完了される。
【0029】
このときのタイミングを図7Aに示すと、第2検知スイッチ69はOFFであり、第1検知スイッチ68はaスイッチがONである。例えば、カメラボディ2のメインスイッチ22のONに伴ってチャージモータ63が駆動を開始され、チャージリング61が時計方向に回動され始めると第1検知スイッチ68のaスイッチがOFFされる。さらにチャージリング61が回動されると、第1検知スイッチ68のbスイッチがONされる。そして、かかるチャージモータ63の回動によって前記したように係止軸71が係止爪板66に係止され、シャッターは全開となる。この状態は第2検知スイッチ69のONにより検出される。チャージリング61はさらに回動が継続されるので第1検知スイッチ68のbスイッチは再びOFFとなる。このbスイッチのOFFを受けてチャージモータ63への給電が停止され、チャージモータ63は初期位置において停止される。また、これと共に前記したようにチャージリング61は初期位置に戻されるのでその際には第1検知スイッチ68のaスイッチとbスイッチは以上と逆の動作が行われるが、ここではその際の図示は省略している。
【0030】
この状態においてソレノイドプランジャ67に通電されると、図5Aに示したと同様に、プランジャ67aは突出動作され係止爪板66は捩じりバネ66cのバネ力によって反時計方向に小角度だけ回動される。これによりフック部66aによる係止軸71の係止が解除され、羽根駆動リング7は羽根駆動リングバネ72のバネ力によって反時計方向に回動され、初期位置にまで復帰される。これにより、シャッター羽根91は内部開口10aを全閉状態とする。このときのタイミングは図7Bに示すように、カメラボディ2のシャッターボタン23が押下されることによってソレノイドプランジャ67に通電され、前記したように係止軸71の係止が解除されて羽根駆動リング7が反時計方向に回動されると第2検知スイッチ69はOFFになる。チャージリング61は初期位置に戻されているので、第1検知スイッチ68のaスイッチとbスイッチは動作されることはなく、それぞれ初期状態のON状態、OFF状態にある。
【0031】
以上のシャッター動作は、マウントアダプター1をカメラボディ2に装着した状態のときに、カメラボディ2の電源スイッチ(メインスイッチ)22が最初にONされたとき、あるいは前回撮影時でのシャッター動作が完了したときに前記したチャージ動作が行われる。すなわち、シャッター羽根は全開状態であり、交換レンズ3で結像する被写体像はマウントアダプター1の内部開口10aを透過されてカメラボディ2内の撮像装置21により撮像される。そして、カメラボディ2のレリーズボタン23が操作されると撮像装置21により撮像が開始され、所定の時間が経過した時点でマウントアダプター1のシャッター機構11に信号を送出してソレノイドプランジャ67を動作させ、シャッターを全閉にする。これにより適正な露出での撮影が完了する。
【0032】
ところで、このように撮影を行わない初期状態においてシャッターを全開にしておくと、前記したように交換レンズ3を透してカメラボディ2内に入射される外光が大光量でカメラボディ2内の撮像装置21及びその近傍に集光され、撮像装置21ないしその近傍領域に焼けつきや焦げつき等の焼損を生じさせてしまうおそれがある。また、マウントアダプター1をカメラボディ2から取り外した状態のときには、シャッター機構11には動作のための電気信号が入力されずにチャージモータ63は初期位置にありシャッターが全閉の状態にある。そのため、前記したように全閉状態にあってマウントアダプター1の内部開口10aから露呈されているシャッター羽根91に接触したとき、あるいは風圧等によってシャッター羽根91に応力が加えられると、この応力によってシャッター羽根91が変形され、あるいはシャッター羽根91が正常位置から移動されてしまい、その後におけるシャッターの正常動作が阻害されることがある。
【0033】
本発明では、マウントアダプター1をカメラボディ2に装着した状態、およびカメラボディ2から取り外したときにはシャッターを部分開放、すなわち半開することが可能である。ここではマウントアダプター1をカメラボディ2に装着した状態でメインスイッチ22をOFFすると、カメラボディ1からは所定時間だけシャッター機構11のチャージモータ63に信号を送出する。チャージモータ63は当該所定時間だけ回転駆動するが、このときカムギア65の回転量はチャージリング61がフルチャージしない回転量である。すなわち、カム65aがチャージリング61の従動片61aを押圧して移動させるが係止軸71が係止爪板66のフック部66aに係止されることがない回転量である。これにより、シャッター機構11はシャッター羽根91が内部開口10aの全面積の一部のみを部分開放して半開とされる。
【0034】
シャッターを半開にする動作のタイミングは図7Cに示すように、マウントアダプター1をカメラボディ2に装着した状態のときにカメラボディ2のメインスイッチ22をOFFすると、強制的にソレノイドプランジャ67への通電が行われる。これにより、係止爪板66による係止軸71の係止が解除され、羽根駆動リング7は初期位置に戻され、シャッターは全閉状態となる。次いで、チャージモータ63に対して強制的に通電が開始され、チャージリング61が時計方向に回動が開始される。すなわち、図5A図6を参照して説明したようにシャッター羽根を開く動作が開始される。チャージリング61の当該回動により第1検知スイッチ68のaスイッチがOFFとなると、この時点から時間を計測し、所定の時間を経過した時点でチャージモータ63への通電を停止する。そのため、チャージリング61がチャージを完了する前の時点、すなわち係止軸71が係止爪板66に係止されてシャッターが全開となる前の時点で回動が停止され、シャッター羽根91は半開の状態で停止されることになる。この状態はカムギア65のカム65aと従動片61aとの当接と、チャージリング戻りバネ62のバネ力との均衡によって保持されるので、チャージモータ63への通電が停止されても維持されることになる。
【0035】
このようにシャッターが半開して内部開口10aの一部を絞った状態にしたときには、交換レンズ3を透過した光の一部が遮光されるものの、透過した光が撮像装置21において受光されるのでモニター24において被写体を視認することができ、カメラボディ2における通常の撮影に支障が生じることは少ない。その一方で、仮に交換レンズ3を透過した光がカメラボディ2内の撮像装置21やその近傍に集光されても、内部開口10aが全開されている場合に比較して透過光量は抑制されるので、当該集光による焼けつきや焦げつきを抑制することができ、撮像装置21等の焼損が防止される。また、シャッターが半開した状態は全閉状態に比較してシャッター羽根91が羽根ベース8や羽根押さえ9との重なり面積が大きくなるので、マウントアダプター1をカメラボディ2から取り外した状態のときに外力や風圧がシャッター羽根91に加えられた場合でもシャッター羽根91の変形や正常位置からの変動は少なく、シャッター羽根91の損傷が少なくなる。すなわち、シャッターが全閉のときにはシャッター羽根91が羽根ベース8や羽根押さえ9に対して筒軸方向に重なっている面積は図8(a)に斜線で示すように少ないため、外力や風圧によって変形されてシャッター羽根91の先端部が羽根ベース8や羽根押さえ9の外側にはみ出るように変形されることがあるが、シャッターが半開のときには図8(b)に斜線で示すように重なっている面積が大きくなるため、外力や風圧によってシャッター羽根91の先端部が羽根ベース8や羽根押さえ9の外側にはみ出ることが防止され、シャッター羽根91の損傷が防止されるとともに、シャッターの正常な動作が確保される。
【0036】
ここで、シャッターを半開状態にする際の開口寸法を決定する際にはシャッターを全閉から全開する際の照度とシャッター羽根重なりのそれぞれの特性を計測する。照度はマウントアダプター1を透過してカメラボディ2内に入射される光の明るさであり、シャッター羽根重なりは図8に斜線で示した領域の面積である。前者はシャッター開口の開口寸法のほぼ二乗に比例する特性であり、後者は同じく開口寸法にほぼ比例する特性である。これら両者の特性からシャッターが全開のほぼ半分(1/2)程度開口している状態が好ましいと考えられ、このように半開時の開口寸法となるように設定することで、前記した焼損防止効果と破損防止効果の両方をそれぞれ得ることが可能になる。
【0037】
以上の実施形態では、チャージモータ63への通電制御によってシャッターの半開を制御するように構成しているが、手動操作によって半開に設定するように構成してもよい。図9(a)はその一例を示す光軸と直交する断面図であり、前記実施形態の羽根ベースを固定ベース8Aと可動ベース8Bの2つの部材で構成し、可動ベース8Bを固定ベース8Aに対して光軸回りに微小角度範囲で相対回動可能に構成している。その上で、羽根押さえ9の円周複数箇所にガイドピン95を立設し、可動ベース8Bの内縁に設けた切欠85を当該ガイドピン95に係合させることによって可動ベース8Bの回動を可能にしている。この可動ベース8Aの外周2箇所にはマウントアダプター1の外周面から突出される操作部86を設けており、この操作部86を手操作することによって任意の角度位置に回動できるように構成している。また、この可動ベース8Bには前記シャッター羽根91の駆動ピン93を係合させており、可動ベース8Bの回動によって複数のシャッター羽根91を開閉動作させることが可能とされている。
【0038】
この構成によれば、マウントアダプター1をカメラボディ2に装着した状態、あるいはカメラボディ2から取り外した状態のいずれの場合でも、図9(b)に示すように、可動ベース8Bを手操作によって適宜に回動操作することにより、シャッター羽根91の開閉状態を任意に操作でき、シャッターを所望の開放状態に設定することができる。したがって、シャッターを半開に設定しておくことにより、前記したようなカメラボディ2に装着したときの撮像装置等の焼損が防止でき、カメラボディ2から取り外したときのシャッター羽根91の損傷が防止できる。また、このように構成することで可動ベース8Bの操作によりシャッターを任意の開口径に設定できるので、光束の狭い交換レンズをしようした際の必要最小限のシャッター開口状態が構成でき、シャッター全開から全閉までのシャッター羽根の羽根移動距離を低減でき、高速のシャッターが実現できる。また、シャッターをマニュアル絞りとして利用することも可能となり、例えばピンホール撮影に利用することも可能となる。
【0039】
したがって、本発明のマウントアダプター1を用いれば、LKマウントの交換レンズ3をLQマウントのカメラボディ2に装着してカメラシステムを構築した上で、当該交換レンズ3とカメラボディ2を用いて撮影を行うことができるのは勿論のこと、撮像装置21での撮影時に所謂電子シャッターでの撮影しかできないカメラボディの場合でもマウントアダプター1に設けたシャッター機構11を利用しての撮影が可能になり、撮影した被写体像が歪曲する等の不具合を防止することができる。また、交換レンズ3を装着しない場合に、マウントアダプター1をカメラボディ2に装着しておき、その上でメインスイッチ22をOFFすることでシャッター機構11を半開状態に設定でき、当該カメラボディにおける焼損が防止できる。さらに、その後にマウントアダプター1をカメラボディ2から取り外したときでもシャッター機構11の半開状態が保持できるので、シャッター羽根部の損傷を未然に防止することができる。これにより、マウントアダプター1ないしはカメラボディ2における事故を防止して信頼性の高いカメラシステムとして構築することができる。
【0040】
また、本発明のカメラシステムにおいては、カメラボディの電源ON時にシャッター制御できるように構成し、静止画像の撮影以外、例えばスルー画像表示時においてはシャッターを半開に制御するように構成してもよい。さらに、本発明のカメラシステムでは、マウントアダプターを介して交換レンズとカメラボディを電気通信できるように構成し、交換レンズの着脱を検出してシャッターを半開に制御するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は撮像装置を備えるレンズ交換式デジタルカメラに採用でき、特にカメラボディに設けられたレンズマウントと異なるレンズマウントを有する交換レンズを用いて撮影を行うためのマウントアダプターおよびカメラシステムに採用して有効である。
【符号の説明】
【0042】
1 マウントアダプター
2 カメラボディ
3 交換レンズ
4 シャッター羽根部
5 シャッター駆動部
6 親板
7 羽根駆動リング
8 羽根ベース
9 羽根押さえ
10 筒体
10a 内部開口
11 シャッター機構
61 チャージリング
63 チャージモータ
65 カムギア
66 係止爪板
67 ソレノイドプランジャ
68 第1検知スイッチ
69 第2検知スイッチ
71 係止軸
91 シャッター羽根


図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9