(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来においては、利用後には、検知装置、つまり化学変化したセンサ及びこれと一体であるRFIDタグは、破棄しなければならない。このRFIDタグは、エッチング等でループアンテナを形成するため、高コストである。このため、従来の分析システムは、運用コストが高かった。
本発明の課題は、低コストで運用できる検出システム、検知シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
・第1の発明は、ループコイル(22)を有する検知装置(10,210,310,410,410A,410B,510)と、前記ループコイルのインピーダンスの変化を検出する検出器(40)とを備える検出システム(1)であって、前記検知装置は、前記ループコイルを有するループコイルシート(20,420)と、被着体(2)に装着され、前記ループコイルシートに剥離可能に接着する接着層(33,333,433,433B)と、前記被着体から発生する気体に反応して前記ループコイルのインピーダンスを変化させる検知層(32,232,332,432,432A,432B,532)とを有する検知シート(30,230,330,430,430A,430B,530)とを備え、前記検出器は、前記ループコイルと電磁誘導により結合して、前記ループコイルのインピーダンスの変化を検出すること、を特徴とする検出システムである。
・第2の発明は、第1の発明の検出システムにおいて、前記検知層(232,432A)は、粘着性を有しており、前記接着層を兼用すること、を特徴とする検出システムである。
・第3の発明は、第1又は第2の発明の検出システムにおいて、前記検知シート(420,420B)の表面を法線方向から見たときに、前記検知層(332,432B)は、前記ループコイルシート(20)の前記ループコイル(22)を覆う領域に配置され、前記接着層(333,433B)は、前記検知層以外の領域に配置されていること、を特徴とする検出システムである。
・第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明の検出システムにおいて、前記ループコイルシート(20)の前記ループコイル(22)は、開回路であって、その端部に第1接続部(426a,426b)を備え、前記検知層(432,432A,432B)は、開回路である検知層ループコイル(435)と、前記検知層ループコイルの端部に設けられ、前記第1接続部と電気的に接続する第2接続部(436a,436b)とを備え、
前記ループコイルシートの前記ループコイル及び前記検知層ループコイルは、前記第1接続部及び前記第2接続部によって接続されて、一体で1つのループコイルを形成すること、を特徴とする検出システムである。
・第5の発明は、第1から第3のいずれかの発明の検出システムにおいて、前記検知層(532)は、前記ループコイルとの間で、電磁誘導方式により結合する検知層ループコイル(535)を備えること、を特徴とする検出システムである。
・第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明の検出システムにおいて、前記ループコイルシート(20,420)は、前記ループコイルに接続されたICチップ(23)を備え、前記検出器(40)は、前記ループコイルと電磁誘導方式で結合して、前記ICチップとの間で通信すること、を特徴とする検出システムである。
【0006】
・第7の発明は、ループコイル(22)を有するループコイルシート(20,420)が剥離可能に装着される検知シート(30,230,330,430,430A,430B,530)であって、被着体(2)に装着され、前記ループコイルシートに剥離可能に接着する接着層(33,333,433,433B)と、前記被着体から発生する気体に反応して前記ループコイルのインピーダンスを変化させる検知層(32,232,332,432,432A,432B,532)とを備え、前記ループコイルシートがこの検知シートに装着された状態で、検出器(40)が前記ループコイルと電磁誘導により結合することにより、前記ループコイルのインピーダンスの変化を検出可能であること、を特徴とする検知シートである。
・第8の発明は、第7の発明の検知シートにおいて、前記検知層(232,432A)は、粘着性を有しており、前記接着層を兼用すること、を特徴とする検知シートである。
・第9の発明は、第7又は第8の発明の検知シートにおいて、この検知シート(430,420B)の表面を法線方向から見たときに、前記検知層は、前記ループコイルシート(20)の前記ループコイル(22)を覆う領域に配置され、前記接着層(333,433B)は、前記検知層以外の領域に配置されていること、を特徴とする検知シートである。
・第10の発明は、第7から第9のいずれかの発明の検知シートにおいて、前記ループコイルシート(20)の前記ループコイル(22)は、開回路であって、その端部に第1接続部(426a,426b)を備え、前記検知層(432,432A,432B)は、開回路である検知層ループコイル(435)と、前記検知層ループコイルの端部に設けられ、前記第1接続部と電気的に接続する第2接続部(436a,436b)とを備え、
前記ループコイルシートの前記ループコイル及び前記検知層ループコイルは、前記第1接続部及び前記第2接続部によって接続されて、一体で1つのループコイルを形成すること、を特徴とする検知シートである。
・第11の発明は、第7から第9のいずれかの発明の検知シートにおいて、前記検知層(532)は、前記ループコイルとの間で、電磁誘導方式により結合する検知層ループコイル(535)を備えること、を特徴とする検知シートである。
【0007】
・第12の発明は、ループコイル(622)を有する検知装置(610,610A,610B)と、前記ループコイルのインピーダンスの変化を検出する検出器(640)とを備える検出システム(601)であって、前記検知装置は、前記ループコイル(622)を有するループコイルシート(620)と、被着体(2)に装着され、前記ループコイルシートに剥離可能に接着する接着層(633,633B)と、被着体から発生する気体に反応して前記ループコイルのインピーダンスを変化させる検知層(632,632A,632B)とを有する検知シート(630,630A,630B)とを備え、前記検出器は、前記ループコイルとの間を有線により電気的に接続され、前記ループコイルのインピーダンスの変化を検出すること、を特徴とする検出システムである。
・第13の発明は、第12の発明の検出システムにおいて、前記検知層(632A)は、粘着性を有しており、前記接着層を兼用すること、を特徴とする検出システムである。
・第14の発明は、第12又は第13の発明の検出システムにおいて、前記検知シート(610B)の表面を法線方向から見たときに、前記検知層(632B)は、前記ループコイルシート(620)の前記ループコイル(622)を覆う領域に配置され、前記接着層(633B)は、前記検知層以外の領域に配置されていること、を特徴とする検出システムである。
【0008】
・第15の発明は、ループコイル(622)を有するループコイルシート(620)が剥離可能に装着される検知シート(630,630A,630B)であって、被着体(2)に装着され、前記ループコイルシートに剥離可能に接着する接着層(633,633B)と、被着体から発生する気体に反応して前記ループコイルのインピーダンスを変化させる検知層(632,632A,632B)とを備え、前記ループコイルシートがこの検知シートに装着された状態で、検出器(640)が前記ループコイルとの間を有線により電気的に接続され、前記ループコイルのインピーダンスの変化を検出可能であること、を特徴とする検知シートである。
・第16の発明は、第15の発明の検知シートにおいて、前記検知層(632A)は、粘着性を有しており、前記接着層を兼用すること、を特徴とする検知シートである。
・第17の発明は、第15又は第16の発明の検知シートにおいて、この検知シートの表面を法線方向から見たときに、前記検知層(632B)は、前記ループコイルシート(620)の前記ループコイル(622)を覆う領域に配置され、前記接着層(633B)は、前記検知層以外の領域に配置されていること、を特徴とする検知シートである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低コストで運用できる検出システム、検知シートを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の検出システム1の構成を説明する図である。
検出システム1は、検知装置10、検出器40を備え、これらを用いて被着体2の状況を解析するシステムである。検知装置10は、被着体2がその状態に応じて発生する気体に反応するものであり、検出器40は、検知装置10のこの反応の程度を計測する。これにより、検出システム1は、被着体2の状況を解析できる。
被着体2とは、検出時に検知装置10が取り付けられる物体をいい、2以上の物体から構成されていてもよい。例えば、検知装置10を装着したおむつ2aを、さらに人体である被検者2bに装着した場合には、おむつ2a、被検者2bの両方ともが被着体2という概念である。
【0012】
図2は、第1実施形態の検知装置10(ループコイルシート20、検知シート30)の断面図である。
図3は、第1実施形態のループコイルシート20の平面図(
図2に示す上側Z2から見た図)である。
図2に示すように、検知装置10は、ループコイルシート20、検知シート30を備える。
ループコイルシート20は、RFIDタグである。
図2、
図3に示すように、ループコイルシート20は、基材21、ループコイル22、ICチップ23を備える。
ループコイル22は、ループアンテナとして機能するものである。ループコイルシート20は、基材21に、エッチング加工等により設けられている。
ICチップ23は、ループコイル22に接続されている。ICチップ23は、CPU等を備える制御部(図示せず)と、ループコイルシート20の識別情報を記憶する記憶装置(図示せず)等を備える。制御部は、検出器40との間の通信を制御する。
【0013】
図2に示すように、検知シート30は、被着体2に装着されるシートである。
検知シート30は、基材31、検知層32、接着層33、剥離シート34を有する。検知層32、接着層33、剥離シート34は、基材31の下面にこの順で積層されている。
基材31は、PET等の樹脂シートである。基材31は、水分等の検知層32への浸透を抑制する。
基材31は、複数の通気孔31aを有する。
通気孔31aは、被着体2から発生する気体を、検知層32に通気させる貫通孔である。
図2(a)は、ループコイルシート20を検知シート30に接着する前の状態を示し、
図2(b)は、ループコイルシート20を検知シート30に接着して積層した状態を示す。なお、本実施形態では、気体とは、水蒸気を含む概念である。
【0014】
検知層32は、被着体2から発生する気体に反応してループコイル22のインピーダンスを変化させる。検知層32は、例えば、特表2010−510523号公報のセンサと同様な部材を用いる。
検知層32は、気体の種類によって、ループコイル22のインピーダンス変化の程度が異なるという性質を有する。このため、ループコイル22の共振周波数の特性は、ピーク値の減少、ピーク値の周波数のズレ等が、気体の種類によって異なる。このような、ピーク値の減少、ピーク値の周波数のズレ等を、適宜、共振周波数の特性変化という。特に、水蒸気と、その他の気体(硫化水素等)とでは、インピーダンス変化が顕著に異なるために、共振周波数の特性変化も顕著に異なる。
接着層33は、ループコイルシート20に剥離可能に接着する層である。
剥離シート34は、検知シート30の使用前において、接着層33を保護するシートである。
【0015】
検出器40は、ループコイル22と電磁誘導方式で結合して、ICチップ23との間で通信する。検出器40は、アンチコリジョン機能を備えており、複数のICチップ23との間で、同時に通信できる。
検出器40は、被着体2及び検知装置10の近傍に配置された測定装置である。
検出器40は、ループコイル42、制御部43を備える。
【0016】
ループコイル42は、電磁誘導方式で通信を行うループコイル式のアンテナである。ループコイル42は、制御部43に接続されている。ループコイル42は、検出器40に内蔵されている。
ループコイル42は、電流を流されて磁界が発生し、そして、ループコイル22に近接配置されて(例えば、ループコイル間が数十mm〜1m程度)、ループコイル22に磁気結合される。
制御部43は、検出器40を統括的に制御する制御部43であり、例えばCPU等から構成される。制御部43は、記憶装置(図示せず)に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行する。
制御部43は、ループコイル42を駆動して、検知装置10のループコイル22と電磁誘導により結合させ、ループコイル22のインピーダンスの変化、つまりループコイル22の共振周波数の特性変化があるか否かを判定する。検出器40は、ループコイル22の共振周波数の特性変化が発生したと判定した場合には、ブザー(音声出力部)、ランプ(発光部)等の報知部を駆動して、測定者に報知する。
また、制御部43は、共振周波数の特性変化を解析して、被着体2から発生する気体の種類を判定し、モニタ等の表示部装置(図示せず)に表示する。
【0017】
(使用方法)
検出システム1の使用方法、処理について説明する。
ここでは、検出システム1を病院で使用する場合を説明する。
被着体2は、おむつ2a及び被検者2b(入院患者等)であり、測定者は、病院の看護士等である。
検知シート30は、予め接着材等によっておむつに一体的に装着されており、剥離できない状態で病院に納入される。
検出器40は、被検者2bが横になるベッド及びその周辺が検出範囲になるように予め設置されている。
【0018】
(1)測定者(又は被検者2b)は、検知シート30の剥離シート34を剥がして接着層33を露出して、ループコイルシート20を接着層33に接着して積層する。これにより、ループコイルシート20がおむつに装着され、また、ループコイルシート20及び検知シート30が積層され検知装置10が形成された形態になる。なお、ループコイルシート20が装着されたおむつを、ループコイル付おむつという。
この、ループコイル付おむつは、複数組み予め作製しておく。
(2)被検者2bは、ループコイル付おむつを身に付ける(装着する)。
なお、上記(1),(2)の工程は、入れ替えてもよいが、被検者2bのおむつの装着(上記(2))の前に、ループコイルシート20を検知シート30に装着(上記(1))をした方が、作業性がよく好適である。
【0019】
(3)被検者2bは、就寝時等に、ベッドに横になる。これにより、検知装置10が検出器40の検出領域内に配置される。
(4)測定者は、検出器40を操作して、検出器40及び検知装置10間で通信する。検出器40は、ICチップ23から識別番号を読み出して、モニタに表示する。
【0020】
この場合、検出器40は、複数のICチップ23と通信したときには、複数の識別番号をモニタに表示する。つまり、検出器40は、ループコイルシート20を探知できる。
被検者2bの人数よりも多い識別番号がモニタに表示された場合には、ループコイルシート20単体やループコイル付おむつが置き忘れていたり、布団やベッドの下等に隠れている可能性がある。測定者は、これらの数を照合して一致しなかった場合には、例えば使用後のループコイル付おむつ等を片付けて、清潔に保つことができる。
【0021】
さらに、測定者は、識別番号により、検知装置10及び被着体2の組み合わせが正しいか等を検証できる。例えば、測定者は、おむつの大きさ(サイズ)を管理したい場合には、サイズ毎に識別番号を割り当てておき(例えば、識別番号1〜100が小さいサイズ、識別番号101〜200が大きいサイズ)、上記(1)の工程で、おむつの大きさに応じて、ループコイルシート20を装着すればよい。
これにより、モニタに表示される識別番号を確認して、被検者2bの体の大きさと、身に付けているおむつの大きさの適合(体の小さい被検者2bに誤って大きいおむつが装着されていないか等)を確認できる。
【0022】
(5)検出器40は、検知装置10のループコイル22と電磁誘導により結合して、共振周波数の特性変化を監視する。検出器40は、ループコイル22の共振周波数の特性変化が発生したと判定した場合には、報知部を駆動して、測定者に報知する。
検出器40は、共振周波数特性を解析して、被着体2から発生する気体の種類を判定して、モニタに表示する。
【0023】
例えば、被検者2bが小便をした場合には、水蒸気がおむつから通気孔31aを通って、検知シート30に到達する。この場合には、ループコイル22の共振周波数は、水蒸気に対応した周波数特性を示す。検出器40は、この特性に基づいて被検者2bが小便をしたと判定して、モニタに表示して、測定者に知らせる。
一方、被検者2bが大便をした場合には、主に硫化水素の成分がおむつから通気孔31aを通って、検知シート30に到達する。この場合には、ループコイル22の共振周波数は、硫化水素に対応した周波数特性を示す。検出器40は、この特性に基づいて被検者2bが大便をしたと判定して、モニタに表示して、測定者に知らせる。
このように、検出器40は、被着体2から発生する気体を検出して、被着体2の汚れを検出できる。
【0024】
(6)測定者は、上記(1)で作成した別のループコイル付おむつに交換するように被検者2bに促し、被検者2bは、別のループコイル付おむつを身に付ける。
(7)測定者は、使用後のループコイル付おむつからループコイルシート20を剥離する。汚れたおむつには、検知シート30のみが残存する形態となる。測定者は、このおむつを破棄する。おむつは、再利用できないからである。
(8)測定者は、(7)で剥離したループコイルシート20を保管しておく。そして、上記(1)の工程を繰り返して、新たなおむつに装着して、新たなループコイル付おむつを作製する。つまり、ループコイルシート20は、再利用されるわけである。
【0025】
なお、上記(1)において、予め、ループコイルシート20をおむつに装着して、ループコイル付おむつを複数組み作製しておく例を示したが、これに限定されない。ループコイルシート20は、おむつ使用時におむつに装着して、おむつ交換時におむつから取り外して交換する別のおむつに装着してもよい。この場合には、1人の被検者当り1つのループコイルシート20を用意すればよい。
【0026】
以上説明したように、本実施形態の検出システム1は、検出器40がループコイル22のインピーダンスの変化を検出するので、被着体2の汚れ等を検出できる。また、検出システム1は、ループコイルシート20を再利用できるので、運用コストを低減できる。
【0027】
なお、本実施形態では、ループコイル22は、ICチップ23を備えていなくてもよい。この場合には、ループコイルシート20等の探知や、検知装置10及び被着体2の組み合わせの管理はできない。しかし、前述したように、検出器40は、ループコイル42がループコイルシート20のループコイル22と電磁誘導方式で結合して、ループコイル22の共振周波数の特性変化を検出することにより、被着体2の汚れを検出できる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾(下一桁)に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0029】
図4は、第2実施形態の検知装置210(ループコイルシート20、検知シート230)の断面図である(
図2に相当する図)。
検知シート230の粘着性検知層232は、検知層を形成する材料に粘着性材料を混入されて形成されている。つまり、粘着性検知層232は、第1実施形態の検知層32、接着層33を兼用する。
図4(b)に示すように、このため、ループコイル22を検知層である粘着性検知層232自体に重ねて配置できる。そのため、粘着性検知層232がループコイル22に対しえ与えるインピーダンス変化の影響を大きくでき、共振周波数の特性変化が顕著になる。検知層及びループコイル22間の距離が短い方向が、粘着性検知層232がループコイル22に与える影響が大きくなるからである。これにより、本実施形態の検出システムは、検出器(
図1参照)による被着体2の汚れ検出の精度を向上できる。
【0030】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図5は、第3実施形態の検知装置310(ループコイルシート20、検知シート330)の断面図である(
図2に相当する図)。
図6は、第3実施形態の検知装置310(ループコイルシート20、検知シート330)の平面図である(検知シート330の表面を法線方向から見た図)。
図5に示すように、検知シート330の検知層332、接着層333は、同じ階層に積層されている。
図6に示すように、検知層332は、ループコイルシート20のループコイル22を覆う領域に配置されている。一方、接着層333は、検知層332以外の領域に配置されている。つまり、ループコイルシート20は、ループコイル22以外の領域が接着層333によって検知シート330に接着され、ループコイル22の設置領域が検知層332に接する形態になる。
これにより、本実施形態の検出システムは、第2実施形態と同様に、ループコイル22を検知層332自体に重ねて配置でき、被着体2の汚れ検出の精度を向上できる。
【0031】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図7は、第4実施形態の検知装置410(ループコイルシート420、検知シート430)の断面図である(
図2に相当する図)。
図8は、第4実施形態のループコイルシート420のループコイル22と、検知層432のループコイル435との位置関係を説明する図である。
図7、
図8に示すように、ループコイルシート420のループコイル22は、開回路である。ループコイル22の開回路の両端部には、バンプ426a,426b(第1接続部)が設けられている。
バンプ426a,426bは、ループコイルシート420の上面に露出している。
【0032】
検知シート430の検知層432は、ループコイル435(検知層ループコイル)、バンプ436a,436bを備える。
ループコイル435は、基材31の下面に、エッチング加工等により形成される。なお、検知層432のループコイル435の巻き数は、限定されないが、コストを考慮すると、一重であることが望ましい。検知層432は、第1実施形態と同様に、使用後には廃棄されるため、低コストが要求されるからである。
ループコイル435は、開回路である。ループコイル435の開回路の両端部には、バンプ436a,436b(第2接続部)が設けられている。
バンプ436a,436bは、剥離シート34を剥離した状態で、検知シート430の下面に露出している。検知シート430、ループコイルシート420を重ねた状態において、バンプ426a,436aは、重なるような位置に配置され、かつ、バンプ426b,436bは、重なるような位置に配置されている。
ループコイル435の端部は、パターンを迂回させ、バンプ426a,426bが、左右逆側になるように配置される。つまり、左側X1からのパターン端部のバンプ426bが、右側X2に配置され、一方、右側X2からのパターン端部のバンプ426aが、左側X1に配置される。
【0033】
上記構成により、検知シート430の剥離シート34を剥離して、検知シート430にループコイルシート420を接着すると、バンプ426a,436a間が電気的に接続され、かつ、バンプ426b,436b間が電気的に接続される。これにより、ループコイル22,435は、一体で1つのループコイルを形成する。
【0034】
一体となったループコイルは、ループコイル435のパターン端部が迂回しているので、ループコイル22,435の周回方向は、同じになる。
図8に示すように、このため、ループコイル22に例えば右回りの電流が流れると、ループコイル435にも右回りの電流が流れる(矢印A参照)。これにより、ループコイル22,435によって形成される磁界は、相互に打ち消すことなく、検出器(
図1参照)の検出精度を向上できる。
また、検知シート430のループコイル435は、検知層432に接して配置される。このため、ループコイル435は、検知層432の影響を受けやすく、検出精度を一層向上できる。
【0035】
本実施形態の構成は、第2、第3実施形態にも適用できる。
図9は、第4実施形態の検知装置410A(ループコイルシート420、検知シート430A)の断面図である(
図2に相当する図)。
図10は、第4実施形態の検知装置410B(ループコイルシート420、検知シート430B)の断面図である(
図2に相当する図)。
図9に示すように、検知装置410Aは、第4実施形態のループコイル435、バンプ436a,436b等を、第2実施形態に適用した形態である。
図10に示すように、検知装置410Bは、第4実施形態のループコイル435、バンプ436a,436b等を、第3実施形態に適用した形態である。
これらの形態では、第2、第3実施形態に対して、本実施形態のループコイル435及び検知層432が接するという構成を適用できるので、検出精度をより一層向上できる。
【0036】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図11は、第5実施形態のループコイルシート20のループコイル22と、検知シート530のループコイル535との位置関係を説明する図である。
本実施形態の検出システムは、第4実施形態から構成を変更した。
ループコイルシート20のループコイル22と、検知シート530の検知層532のループコイル535とは、バンプ等の接続部を備えていない。
ループコイルシート20は、第1実施形態と同様な構成であり、ループコイル22は、閉回路である。
同様に、検知層532のループコイル535は、閉回路である。
つまり、ループコイルシート20のループコイル22と、検知層532のループコイル535とは、独立した閉ループのコイルである。
【0037】
この場合であっても、ループコイルシート20のループコイル22に電流が流れると、電磁誘導により、検知層532のループコイル535にも電流が流れる。つまり、ループコイル22,535は、電磁誘導方式により結合する。
【0038】
これにより、被着体から発生した気体に検知層532が反応すれば、電磁誘導方式により結合したループコイルは、共振周波数の特性変化が生じる。このため、検出器(
図1参照)は、この共振周波数の特性変化を検出して、被着体2の汚れを検出できる。
また、ループコイル535が検知層532自体に設けられているので、第4実施形態と同様に、検出精度を向上できる。
さらに、本実施形態の検出システムは、バンプ等の接続部を設けていないので、接続部の接触不良や、接触抵抗の影響を受けない。これにより、本実施形態の検出システムは、被着体の汚れを安定して検出できる。
【0039】
なお、詳細な説明は省略するが、前述した第2、第3実施形態の構成を、本実施形態の検出システムに適用してもよい。この場合にも、第2、第3実施形態と同様な効果を奏する。
【0040】
(第6実施形態)
図12は、第6実施形態の検出システム601の構成を説明する図である(
図1に相当する図)。
図13は、第6実施形態の検知装置610(ループコイルシート620、検知シート630)の断面図である(
図2に相当する図)。
図12に示すように、検知装置610は、ループコイルシート620、検知シート630を備える。
図12、
図13に示すように、検出システム601は、検知装置610及び検出器640間が、ケーブル660a,660b、コネクタ661a,661bによって、有線により電気的に接続されている。検出システム601は、前述した実施形態とは異なり、電磁誘導方式の結合を利用せず、ループコイルシート620の共振周波数の特性変化を直接検出して、被着体2の汚れを検出する。
【0041】
図13に示すように、検知シート630の構成は、第1実施形態と同様である。
ループコイルシート620は、ループコイル622、ケーブル660a、コネクタ661aを備える。
ループコイル622は、スルーホール622aによって、基材21下面に導通している。
ケーブル660aは、2本の電気ケーブルである。ケーブル660aの一端は、基材21下面に接続され、それぞれ、ループコイル622に電気的に接続している。ケーブル660aの他端は、コネクタ661aが設けられている。
コネクタ661aは、検出器640側のコネクタ661bに着脱可能に接続される。
【0042】
図12に示すように、検出器640は、大きさが、例えば30mm×30mm×10mm程度の小型の箱形状の装置である。
検出器640は、ケーブル660b、コネクタ661b、制御部643を備える。
ケーブル660bは、2本の電気ケーブルである。ケーブル660bは、それぞれ、一端が制御部643に接続され、他端には、コネクタ661bが設けられている。
制御部643は、検出器640を統括的に制御する制御部643であり、例えばCPU等から構成される。制御部643は、記憶装置(図示せず)に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行する。
制御部643は、例えば、検出器640の内蔵電池等の電源により、電力が供給されて駆動する。
制御部643は、ループコイル622のインピーダンスの変化、つまりループコイル622の共振周波数の特性変化があるか否かを判定する。気体の種類毎に汚れ検出する方法等は、第1実施形態と同様である。
【0043】
なお、詳細な説明は省略するが、検出器640の判定結果は、無線又は有線によって、判定結果を総括して管理する管理装置(パーソナルコンピュータ等)に送信される。測定者は、管理装置のモニタ等を確認することにより、測定結果を確認することができる。
また、検出器640自体に、ブザー(音声出力部)、ランプ(発光部)等の報知部を設け、これらを駆動して、測定者に報知してもよい。
【0044】
(使用方法)
検出システム601の使用方法、処理について説明する。
ここでは、第1実施形態と同様に、検出システム601を病院で使用する場合を説明する。
【0045】
(1)第1実施形態の(1),(2)と同様に、ループコイル付おむつを作製し、被検者2bが、ループコイル付おむつを身に付ける。
(2)被検者2b又は測定者は、コネクタ661a,661bを接続する。
(3)被検者2bは、就寝時等にベッドに横になる。この場合、検出器640は、被検者がお腹の上や、ベッドの脇に置いておく。検出器640は、小型であるので、被検者2bの近傍に配置しても、被検者2bにとって邪魔になることはない。
【0046】
(4)検出器640は、ループコイル622の共振周波数の特性変化を監視する。検出器640は、ループコイル622の共振周波数の特性変化が発生したと判定した場合には、判定結果を管理装置に情報を送信したり、報知部を駆動して、測定者に報知する。
この場合、第1実施形態と同様に、検出器640は、被着体2から発生する気体を検出して、被着体2の汚れの種類を検出し、報知できる。
【0047】
(5)測定者は、コネクタ661a,661bを取り外し、上記(1)で作成した別のループコイル付おむつに交換するように被検者2bに促す。そして、検出器640のコネクタ661bを、別のループコイル付おむつのコネクタ661aに接続する。被検者2bは、別のループコイル付おむつを身に付ける。
(6)測定者は、第1実施形態(7),(8)と同様に、使用後のループコイル付おむつからループコイルシート620を剥離し、このおむつを破棄し、剥離したループコイルシート620を保管する。そして、新たなおむつに装着して、新たなループコイル付おむつを作製し、ループコイルシート620を再利用する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の検出システム601は、検知装置610、検出器640間を有線により電気的に接続するので、無線に比較すると、安定したループコイル622の共振周波数の特性変化を、安定して検出できる。
【0049】
なお、前述した第2、第3実施形態の構成は、本実施形態の構成にも適用できる。
図14は、第6実施形態の検知装置610A(ループコイルシート620、検知シート630A)の断面図である(
図2に相当する図)。
図15は、第6実施形態の検知装置610B(ループコイルシート620、検知シート630B)の断面図である(
図2に相当する図)。
図14に示すように、検知装置610Aは、第2実施形態と同様な粘着性接着材632Aを、第6実施形態に適用した形態である。
図15に示すように、検知装置610Bは、第3実施形態と同様な同じ階層の検知層632B、接着層633Bを、第6実施形態に適用した形態である。
これらの形態では、第2、第3実施形態と同様に、ループコイルシート620のループコイル622を粘着性接着材632又は検知層632Bに接触させることができるので、検出精度をより一層向上できる。
【0050】
(第7実施形態)
図16は、第7実施形態の検出システム701の構成を説明する図である(
図1に相当する図)。
図17は、第7実施形態の検知装置710の断面図、下面図(下側Z1から見た図)である。
図16に示すように、検出システム701は、第6実施形態と同様に、検知装置710及び検出器740間が、ケーブル760a,760b、コネクタ761a,761bによって、有線により電気的に接続されている。検出システム701は、前述した実施形態とは異なり、共振周波数の特性変化を検出するのではなく、導電線である銅線771,772間のインピーダンスの変化を利用して、被着体2の汚れを検出する。
【0051】
図17に示すように、検知装置710は、基材731、検知層732、カバーフィルム724、銅線771,772、ケーブル760a、コネクタ761aを備える。
カバーフィルム724は、検知層732が露出しないように、保護するフィルムである。
銅線771,772は、それぞれ、検知層732内に一定間隔離間して、平行に配線されている。検知層732が気体に反応することにより、銅線771,772間のインピーダンスは、変化する。検出器740は、この銅線771,772間のインピーダンスの変化を検出して、被着体2の汚れを検出する。
ケーブル760aは、2本の電気ケーブルである。ケーブル760aの一端は、それぞれ、銅線771,772の一端は、それぞれ、2本の銅線771,772に接続されている。ケーブル760aの他端は、コネクタ761aが設けられている。
【0052】
図16に示すように、検出器740は、ケーブル760b、コネクタ761b、制御部743を備える。
制御部743は、検出器740を統括的に制御する制御部743であり、例えばCPU等から構成される。制御部743は、記憶装置(図示せず)に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行する。
制御部743は、駆動回路(図示せず)を駆動して、ケーブル760bに一定電圧を印加し、銅線771,772間のインピーダンスの変化があるか否かを判定する。
【0053】
(使用方法)
検出システム701の使用方法、処理について説明する。
ここでは、第1実施形態と同様に、検出システム701を病院で使用する場合を説明する。
検知装置710は、予め接着材等によっておむつに一体的に装着された検知装置付おむつに加工され、剥離できない状態で病院に納入される。
【0054】
(1)被検者2bが、検知装置付おむつを身に付ける。
(2)被検者2b又は測定者は、コネクタ761a,761bを接続する。
(3)検出器740は、ケーブル760bに一定電圧を印加し、銅線771,772間のインピーダンスの変化があるか否かを監視する。検出器740は、銅線771,772間のインピーダンスの変化が発生したと判定した場合には、判定結果を管理装置に情報を送信したり、報知部を駆動して、測定者に報知する。
【0055】
(4)測定者は、コネクタ761a,761bを分離し、上記(1)で作成した別の検知装置付おむつに交換するように被検者2bに促す。そして、検出器740のコネクタ761bを、別の検知装置付おむつのコネクタ761aに接続する。被検者2bは、別の検知装置付おむつを身に付ける。
(5)測定者は、使用後の検知装置付おむつを破棄する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の検出システム701は、エッチング加工等でループコイルを設けることなく、2つの平行な銅線771,772を設ければよいので、低コストでシステムを運用できる。銅線771,772は、当然、導電性の物質であれば任意の材料を選択することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0058】
(変形形態)
本実施形態において、検出システムは、被検体の汚れを検出する例を示したが、これに限定されない。検出システムは、被検体の状態変化に応じて発生する気体を検出できればいいので、例えば、食料の腐敗に応じて発生する気体を検出して、食料の腐敗を検出してもよい。この場合には、食料を収容する容器に、検知装置を装着すればよい。