特許第6031916号(P6031916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031916
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】ラベル貼付装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/08 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   B65C9/08
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-213265(P2012-213265)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-65528(P2014-65528A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本橋 剛
【審査官】 遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−076778(JP,A)
【文献】 特開2009−113967(JP,A)
【文献】 特開平09−175525(JP,A)
【文献】 実開平02−129012(JP,U)
【文献】 特開2009−161224(JP,A)
【文献】 実開昭59−118712(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル発行部から発行される枚葉状のラベルを、吸着機能を備えた貼付部によって対象物へ貼付するラベル貼付装置であって、
前記ラベル発行部の下流側近傍に、該ラベル発行部から発行されるラベルを吸着保持して、ラベルが受け渡される位置に待機する前記貼付部に受け渡すラベル移動部が配置され、
前記ラベル発行部の発行口と前記ラベル移動部の吸着部と前記貼付部の吸着部とが略同一面上に配置され、
前記貼付部の吸着部はラベル発行方向に沿って複数配列されると共に、前記ラベル移動部の吸着部は、前記複数配列された前記貼付部の吸着部の配列間を臨む位置に配置され、
前記ラベル移動部は、前記貼付部にラベルを受け渡した後、前記ラベル発行部近傍の初期位置への復帰移動を、該貼付部のラベル貼付動作と関係なく行うことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
前記ラベル移動部は、前記ラベル発行部近傍の初期位置へ復帰移動する際、該ラベル移動部の吸着部が吸着オフになるよう制御されていることを特徴とする請求項1記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
前記ラベル移動部は、前記ラベル発行部からラベルが発行された際、該ラベルの前記ラベル発行部寄りの縁部を吸着保持して前記ラベル発行部内から外部に引き出して、該ラベルを前記貼付部に受け渡すことを特徴とする請求項1又は2記載のラベル貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は対象物にラベルを貼付するラベル貼付装置に関し、更に詳しくは台紙レスラベル用紙を吸着保持する貼付部を備えたラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベル発行口から切断発行された台紙レスのラベルを、貼付部に設けた移動機構により前記ラベル発行口から下流側へ移動し、該移動機構で移動したラベルを前記貼付部で吸引保持し、その吸引保持したラベルを対象物へ貼付する貼付装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、特許文献1に記載のラベル貼付装置では、貼付部に設けられた移動機構によりラベルがラベル発行口近傍から下流側の貼付部に水平移動され、その後、垂直下方に降下して貼付動作が行われる。そして、貼付部は貼付動作が終わると上昇して初期位置へ戻り、その後、前記移動機構が次のラベルを受け取るためにラベル発行口近傍へ移動される。
【0004】
しかしながら、ラベル発行口から発行されたラベルを、ラベル発行口から貼付部上へ移動させる移動機構は、前記貼付部に一体に設けられている為、発行されたラベルを貼付部上に移動させた後も該貼付部の貼付動作に追随して一緒に移動する。従って、移動機構は、貼付部が貼付動作を終了して初期位置に戻った後でなければ、次に発行されるラベルを受け取るためにラベル発行口近傍へ移動することができない。即ち、発行されるラベルを貼付部上に移動させる移動機構の移動は、常に貼付部の動きと一緒であるため、ラベル貼付の効率は悪く、効率アップが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3763486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、ラベル発行部から発行されるラベルを対象物に効率よく機械貼りすることができるラベル貼付装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する為に本発明のラベル貼付装置は、ラベル発行部から独立されるラベルを保持して貼付部に受け渡すラベル移動部を、貼付部と分離して設け、独立して動作するように構成した。
具体的には、 ラベル発行部から発行される枚葉状のラベルを、吸着機能を備えた貼付部によって対象物へ貼付するラベル貼付装置であって、前記ラベル発行部の下流側近傍に、該ラベル発行部から発行されるラベルを吸着保持して、ラベルが受け渡される位置に待機する前記貼付部に受け渡すラベル移動部が配置され、前記ラベル発行部の発行口と前記ラベル移動部の吸着部と前記貼付部の吸着部とが略同一面上に配置され、前記貼付部の吸着部はラベル発行方向に沿って複数配列されると共に、前記ラベル移動部の吸着部は、前記複数配列された前記貼付部の吸着部の配列間を臨む位置に配置され、前記ラベル移動部は、前記貼付部にラベルを受け渡した後、前記ラベル発行部近傍の初期位置への復帰移動を、該貼付部のラベル貼付動作と関係なく行うことを特徴とする。
【0008】
前記ラベル移動部は、ラベル発行部から切断発行される枚葉状のラベルの発行方向とは反対側の後部寄り(切断縁付近)を、ラベル発行口内部からラベル発行口の外(ラベル発行方向前方)へ引き出すもので、ラベルを吸着保持する吸着部と、その吸着部を初期位置(発行されたラベルを吸着保持する位置)から、ラベルの後部寄りをラベル発行口の外に引き出し完了する位置まで移動させる移動機構を備えている。
【0009】
前記吸着部は、吸着保持するラベルが吸着部の移動中に離れたり、ずれたりしないだけの吸着力を備えていればよく、空気(負圧)による吸引、静電気による吸着等、その形態は問わない。例えば、ラベルを吸着保持するノズルを2個備える形態が挙げられる。
また、前記吸着部を移動させる移動機構としては、例えば、エアーアクチュエータ(エアーシリンダ)等の空気圧移動機構、電磁ソレノイド等が挙げられる。
【0010】
また、前記ラベル移動部によって所定位置に移動されたラベルを対象物に貼付する貼付部は、ラベルを吸引保持し且つラベルを対象物に圧着するラベル圧着部材と、該ラベル圧着部材を上下移動させる移動機構を備えている。
【0011】
前記ラベル移動部における吸着部の吸着のオフは、前記貼付部の吸着のオン動作と連係して行われる。具体的には、ラベル移動部の吸着部がラベルを吸着保持してラベルの受け渡し位置へ移動した後、前記ラベル発行部近傍へ復帰移動する際、該ラベル移動部の吸着部が吸着オフになるよう制御されている。
【0012】
上記手段によれば、ラベル発行部から切断発行される枚葉状のラベルは、発行方向とは反対側の後部寄り(切断縁付近)がラベル発行口内部に位置するが、ラベル発行部の下流側近傍に配置されたラベル移動部の吸着部の吸着により前記ラベルの印字面が吸着保持され、該ラベル移動部の移動によって下流側に配置された貼付部への受け渡し位置へ移動される。そして、前記貼付部の吸着オン(吸着することでラベルが貼付部に付く状態)によって前記ラベルを貼付部に受け渡した後、前記ラベル移動部はラベルを吸着保持した貼付部の貼付動作(対象物に向けて降下→対象物にラベル貼付→対象物から離れて上昇)に関係なく、吸着部の吸着をオフ(吸着解除)にしてラベル発行口近傍の初期位置に移動し、次に発行されるラベルの吸着保持のために待機する。
従って、発行されたラベルを吸着保持して貼付部に受け渡すラベル移動部は、貼付部にラベルを受け渡した後は、前記貼付部とは関係なく独立して初期位置に移動復帰する為、貼付部へのラベルの受け渡しを効率よく行うことができる。
また、ラベル移動部が、貼付部にラベルを受け渡す受け渡し位置へ移動した後、ラベル発行部近傍へ復帰移動する際、ラベル移動部の吸着部が吸着オフになるよう制御されるので、ラベル移動部がラベル発行部近傍へ復帰移動する際に、貼付部に渡されたラベルがラベル移動部の移動に引きずられて移動することや、ラベル貼付部でのラベル位置や向きがずれることがなく、安定したラベル貼付をすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のラベル貼付装置は、ラベル発行部から切断発行されるラベルを貼付部に受け渡すラベル移動部が、前記貼付部と独立して移動する為、ラベル移動部が貼付部にラベルを受け渡した後は、該貼付部の貼付動作に関係なく初期位置に戻って次に発行されるラベルを移動するのに待機する。従って、貼付部に対して効率よくラベルを受け渡すことができ、効率のよいラベル貼付を可能とするラベル貼付装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るラベル貼付装置の実施の形態の一例を示す正面図。
図2】要部の一部切欠拡大正面図。
図3】同側面図
図4】ラベル発行部下流のラベル移動部及び貼付部の構成を示し、(a)はラベル移動部が初期位置で発行されるラベルを吸着する状態、(b)はラベルを吸着保持したラベル移動部が貼付部側に移動した状態を示す。
図5図4(a)の横断平面図。
図6】同装置の電気的構成を示すブロック図。
図7】ラベル貼付動作の流れを示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るラベル貼付装置の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は、ラベル貼付装置の外観図で、商品a(ラベル貼付対象物)を搬送するコンベア1を備えた搬送テーブル1’の側部に支柱2が起立され、その支柱2にブラケットを介してラベル貼付装置Aがラベル発行装置Bに併設して前記コンベア1の上方に配置され、更に前記支柱2の上部には表示操作部3が配置されている。
【0016】
ラベル発行装置Bは、図2に示すように、ケース4内にロール装填部5が設けられ、そのロール装填部5にセットされる台紙レスラベルロール6のラベル用紙6’の繰出し方向前方位置に、ラベル用紙6’の送出手段7と、印字部8と、印字されたラベル用紙6”を所定長さに切断する切断手段9が配置され、前記切断手段9より前方には切断送出された印字ラベルLを一時的に保持するラベル保持面板が、併設のラベル貼付装置Aに設けられている。
【0017】
また、前記ロール装填部5にセットされる台紙レスラベルロール6から印字部8に至るラベル用紙6’の移動経路には、ラベル用紙6’に接触して移動の正逆方向に弾発揺動する押圧部材10が配置されている。そして、前記ロール装填部5には台紙レスラベルロール6が回転可能に支持されている。尚、ラベル用紙6’の裏面(印字面と反対の面)には予め粘着層が形成されており、繰出されたラベル用紙6’が切断手段9によりカットされることで、商品aに貼付可能な枚葉状のラベルが生成される。
また、前記押圧部材10は、ラベル用紙が繰出される順方向へは、該押圧部材に力を蓄えながらラベル用紙を移動するので、台紙レスラベルロールからラベル用紙が引き出される際に、必要以上の力が印字部に加わることを防ぐことができる。
【0018】
ロール装填部5にセットされた台紙レスラベルロール6からラベル用紙6’を引き出す送出手段7は、ケース4の周壁に開設したラベル送出口11の上流側近傍に配置した上下一対のローラからなる下流側の用紙送出手段7bと、その用紙送出手段7bより上流側に所定間隔をおいて配置した印字部8を兼ねた上流側の用紙送出手段7aとからなる。
【0019】
印字部8を兼ねた上流側の用紙送出手段7aは、ラベル用紙6’の下方(粘着層側)に位置するプラテンローラ8aと、ラベル用紙6’の上方(印字面側)に位置するサーマルヘッド8bとで構成され、前記プラテンローラ8aと下流側の用紙送出手段7bにおける下側のローラはモータによって駆動回転するように構成されている。そして、ラベル用紙6’の上方に位置するサーマルヘッド8bと下流側の用紙送出手段7bにおける上側のローラはそれぞれラベル用紙6’を下側のローラ(用紙送出手段7bにおける下側のローラ、プラテンローラ8a)とで挾着するように下方に付勢され、それにより前記ラベル用紙6’を安定して送出し得るように構成されている。
【0020】
前記印字部8のサーマルヘッド8bは、プラテンローラ8aとの間にラベル用紙6’を挾着して該ラベル用紙に印字するが、印字時、最後の印字から無印字が一定時間経過すると、サーマルヘッド上下移動用電磁弁34が作動し、エアーシリンダ(図示省略)が動作して、サーマルヘッド8bがプラテンローラ8aから離れるように構成されている。それにより、ラベル用紙6’の粘着層がプラテンローラ8aの外周面に長い時間圧接されるのを防止し、プラテンローラ8aの回転でラベル用紙6’が巻き付かないようにしてある。
【0021】
前記印字部8で商品情報が印字され、ラベル送出口11に向けて送出されるラベル用紙6’を所定長さの枚葉状に切断する切断手段9は、ラベル送出口11より水平状に送出されるラベル用紙6’を挟むように配置した上下一対の可動刃9aと固定刃9bとで構成され、その可動刃9aと固定刃9bはケース9cに収容されて前記ラベル送出口11の下流側に配置固定されている。そして、前記可動刃9aが固定刃9bに向けて進退することによりラベル用紙6’がせん断作用によって切断されるようになっている。そして、切断手段9により切断されたラベル用紙6’の台紙レスラベルロール6と繋がる先端は、次のラベル発行の指示を受けると、サーマルヘッド8bから僅かに突出した位置までバックフィードされる。これにより、次の印字の際には、ラベル用紙6’の略先端位置から印字をすることができる。また、前記ケース9cには切断送出される印字ラベルLの発行口35が開設されている。
切断手段9で枚葉状に切断発行された印字ラベルLは、ラベル発行装置Bのケース4に併設配置されたラベル貼付装置Aによって、搬送テーブル1’上を移動する商品aに貼付される。
【0022】
以下、そのラベル貼付装置Aの構成を説明する。
ラベル貼付装置Aは、ラベル発行装置Bの側部に取り付けられた函状のケース12内に、吸着機能を備えた貼付部13と、前記ラベル発行装置Bから発行される印字ラベルLを前記貼付部13に受け渡すラベル移動部14とを備えて構成されている。
貼付部13は、エアーシリンダ15と、該エアーシリンダ15の駆動力によって前記ケース12内を上下動される支持部材16と、該支持部材16から吊り下げられた複数本のロッド状のラベル圧着部材17と、前記ケース12の底部に配置されたラベル保持面板12’とで構成されている。
【0023】
ケース12には、図2及び図3に示すように、該ケース12内の空気を吸い出す排気装置(送風ファン)18が取り付けられ、これによって該ケース12の底面に配置した前記ラベル保持面板12’に開設する透孔19に吸着力が作用するように構成されている。コの吸着力は、後述する貼付部13のラベル圧着部材17に設けた吸引手段に加えて、印字ラベルLをラベル保持面板12’の下面に吸着保持するための補助吸着力として作用する。
【0024】
上記エアーシリンダ15は、ケース12の内壁上部に、進退自在のピストンロッド15’を鉛直下方に向けて固定され、そのピストンロッド15’の先端(下端)に支持部材16が水平に連結固定されている。そして、このエアーシリンダ15にはエアーの入出ポートが設けられ、電磁弁の作動で前記入出ポートへのエアーの供給が切り替わることで、ピストンロッド15’が進退何れの方向に対しても高速で移動するように構成されている。
【0025】
支持部材16は、矩形ブロック状に構成されて前記エアーシリンダ15のピストンロッド15’の先端に片持ち状態で水平に固着され、ケース12内をピストンロッド15’と一体的に上下動するように構成されている。
そして、この支持部材16にはラベル圧着部材17が挿通される挿通孔20が上下方向に貫通して複数個開設され、その各挿通孔20にはブッシュが嵌合装着され、そのブッシュ内側にラベル圧着部材17のパイプシャフト17aが上下動自在に挿通されている。これにより、挿通孔20に挿通したラベル圧着部材17は、パイプシャフト17aがブッシュによって支持されることにより、鉛直軸線上を上下動自在であり、しかも上下動する際の摺動抵抗は極めて低くなっている。そして、この支持部材16に開設する挿通孔20は、図5に示すように2個の列が3列配置されて、合計6個開設されている。尚、挿通孔20の開設個数、及び開設位置(配列)は、図示の形態に限定されるものではなく、貼着するラベルのサイズ等に応じて適宜変更し得るものである。
【0026】
また、ラベル圧着部材17におけるパイプシャフト17aの支持部材16より上方に突出させた上端部には、前記ブッシュの内径より少なくとも大径なストッパ21が固着されている。これにより、支持部材16の上面にストッパ21が当接係合し、ラベル圧着部材17は支持部材16から吊り下げ状態に支持される。尚、前記ストッパ21はラベル圧着部材17を支持部材16に引掛けて吊り下げるストッパとしての役目の他に、ラベル圧着部材17の重量を増すための重りの役割を果たし、それにより前記エアーシリンダ15の作動による支持部材16の下降動と一緒に下降するようにしてある。
【0027】
ラベル圧着部材17におけるパイプシャフト17aの下端部には、先部が漏斗状に拡開した弾性部材からなる先端部材17bが接続取り付けられている。
先端部材17bは、ラベル圧着部材17を降下した時に、その下面であるラベル圧着面により印字ラベルLを水平に吸着保持しつつ押圧して、コンベアによってラベル貼付装置Aの下方に送り込まれた商品a上に押し付ける。
また、ラベル圧着部材17の長さは、エアーシリンダ15のピストンロッド15’が原点位置にある時、ラベル圧着部材17の先端(先端部材17bの先端)がラベル保持面板12’に開設した透孔19内に嵌入し、該ラベル保持面板12’の下面と略面一となる長さに設定されている
【0028】
ラベル保持面板12’は平板にして、これに前記ラベル圧着部材17が貫通突出する複数個(図示例は3個)の透孔19が開設されている。そして、その透孔19の大きさは、ラベル圧着部材17の先端部材17b外周面との間に隙間が存在する大きさとし、その隙間によりラベル保持面板12’の透孔19部分に前記排気装置18の排気作用により吸着力が発生し、ラベル保持面板12’の下面に沿って発行される印字ラベルLが吸着保持される。尚、前記透孔19は図示した3個の略矩形孔に限定されず、各ラベル圧着部材17毎に独立した孔を開設してもよいものである。
【0029】
更に、支持部材16に対して上下動自在に吊り下げ支持した合計6本のラベル圧着部材17のうち、併設のラベル発行装置Bのラベル発行口35寄りに位置するラベル圧着部材17−1(図5における真ん中の列の2本のうち、右端のラベル圧着部材)は、エアーの負圧で印字ラベルLを吸着する吸着手段が設けられている。ラベル圧着部材17‐1の吸着手段については後段で説明する。
【0030】
また、前記ラベル保持面板12’には、該ラベル保持面板12’の下面に沿って発行される印字ラベルLを、ラベル保持面板12’の面板内の所定位置に移動させるラベル移動部14が水平往復移動可能に配置されている。
【0031】
ラベル移動部14は、図4(a)、(b)に示すように、併設のラベル発行装置Bで切断発行される印字ラベルLの切断手段9寄りの縁部を該切断手段9のケース9c内からケース9c外に引き出し移動させるもので、印字ラベルLを吸着保持する2個の吸着部14aと、その吸着部14aを、切断手段9のケース9cに開設された発行口35下流側の近傍位置から下流側方向に移動させるエアーシリンダ(移動機構)14bとで構成されている。
【0032】
吸着部14aの移動距離は、印字ラベルLの発行時、切断手段9のケース9c内に位置する該印字ラベルLの発行方向と反対側の縁部をケース9c外に引き出すことができる距離であればよく、その水平移動を可能とする案内溝36が前記ラベル保持面板12’に切欠き形成されている。これにより、前記吸着部14aの下端面(印字ラベルを吸着保持する面)はラベル保持面板12’の下端面と略面一の状態を保持して水平移動される。
【0033】
また、前記ラベル移動部14の初期位置(移動開始の原点位置)の下方には前記ラベル発行装置Bから発行される印字ラベルLを、ラベル保持面板12’の下面側に押し上げ付勢するエアー吹き付け手段22が配置されている。これにより、ラベル発行装置Bから発行される印字ラベルLは繰り出されるに伴い該印字ラベルLの先部は下方に垂れ下がるが、前記エアー吹き付け手段22からのエアーの吹き付けで垂れ下がるのが抑えられ、ラベル保持面板12’の下面に沿って繰出されるようになる。エアー吹き付け手段22のエアーの吹き出し方向は、ラベル発行方向に向けて前方斜め上向きに形成されている。
【0034】
次に、前記貼付部13(ラベル圧着部材170−1)の吸着手段、ラベル移動部14の吸着部14a、及びエアー吹き付け手段22について説明する。
貼付部13のラベル圧着部材17‐1の先端部材17bに吸着力を生じさせる構造は、前記支持部材16に該ラベル圧着部材17‐1のパイプシャフト17aを支持するブッシュを収容する凹所を形成し、その凹所と前記パイプシャフトの内部とを連通する通気孔が前記ブッシュ、パイプシャフトの周壁に開設されている。そして、その凹所の上面は蓋板で閉鎖され、凹所は密閉された空間を構成する。また、前記蓋体には前記凹所を介してパイプシャフト17a内を負圧にする吸気装置(図示省略)が取り付けられている。そして、吸気装置の作動は電磁弁によって制御されている。
【0035】
また、ラベル移動部14の吸着部14aに吸着力を生じさせる構造は、前記ラベル圧着部材17‐1の吸着手段と同様、吸着部14aを負圧にする吸気装置(図示省略)がチューブを介して取り付けられ、吸気装置の作動は電磁弁によって制御されている。
【0036】
また、エアー吹き付け手段22からエアーを噴射する構造は、切断手段9のケース9cに開設されたラベル発行口35より下流側で、該発行口から繰り出される印字ラベルLの下方に、前記ラベル発行口の横幅と同幅かそれより幅広(長い)の噴射パイプ22aが取付枠23を介して横架配置され、その噴射パイプ22aの一側端に給気パイプが接続され、噴射パイプ22aからのエアーの噴射/停止は電磁弁によって制御されている。
【0037】
図6はラベル貼付装置Aの作動を制御する制御部24と、該制御部24に対して接続されるラベル発行装置Bを含めたラベル貼付装置の電気的駆動部の構成について示したブロック図である。
制御部24は、CPU(中央処理装置)25と、該CPU25に双方向性バスを介して接続されるROM26、RAM27、表示操作部3とで構成され、前記双方向性バスを介してラベル発行部(印字部8)、切断手段9(可動刃駆動部)、貼付部移動用電磁弁29(貼付部を上下させるエアーシリンダへのエアーの供給を切り替える電磁弁)、ラベル移動部用電磁弁30(ラベル移動部を往復動させるエアーシリンダへのエアーの供給を切り替える電磁弁)、ラベル移動部吸引用電磁弁31(ラベル移動部の吸着部に負圧を発生させる吸気装置用の電磁弁)、貼付部吸引用電磁弁32(貼付部の吸着手段に負圧を発生させる吸気装置用の電磁弁)、エアー吹き付け手段用電磁弁33(エアー吹き付け手段のエアーの噴射/停止を切り替える電磁弁)、サーマルヘッド上下移動用電磁弁34(サーマルヘッドをプラテンローラから離反させるエアーシリンダへのエアーの供給を制御する電磁弁)が電気的に接続されている。
【0038】
上記制御部24のROM26には、CPU25が実行する制御プログラムが記憶されている。RAM27には、制御プログラムが実行される際に必要な各種データやラベル発行装置Bのプリセットデータ等が記憶されている。このRAM27に記憶されるデータとしては、例えば商品ファイルデータで、品番(商品番号)毎に、品名、単価、商品の高さデータ等が設定されている。
【0039】
次に、ラベル貼付動作の制御の概要を図7のフローチャートに基づいて説明する。尚、以下に示す印字ラベルの貼付動作の流れは、表示操作部より必要な操作がされてラベル発行の指示がされ、ラベル用紙への印字が行われた後のところからスタートする流れを示す。
(ST1)…表示操作部から入力した品番の商品情報が印字部でラベル用紙6’に印字される。印字開始と同時に、ラベル移動部14の吸着部14aの吸着、及びエアー吹き付け手段22からのエアーの噴射が開始される。
(ST2)…所定の商品情報の印字が終了すると、切断手段9が作動してラベル用紙6’から印字ラベルLが切り離される。切り離された印字ラベルLの先部(発行方向前側)は切断手段9のケース9cのラベル発行口35から下流のラベル貼付装置Aに向けて繰出される。この時、エアー吹き付け手段22からのエアーの噴射によって、印字ラベルLはラベル保持面板12’の下面と当接する方向に押し上げられ、且つ、ラベル移動部14の吸着部14aの負圧による吸着力で吸着保持されながら前方に繰出される。
【0040】
(ST3)…ラベル移動部14のエアーシリンダ14cが駆動して吸着部14aを初期位置から下流側の所定位置(貼付部)に移動させる。この吸着部14aの移動によって前記印字ラベルLの後部は切断手段9のケース9c内からケース9c外に引き出され、印字ラベルLはラベル保持面板12’の下面の所定位置に移動される(図4(a)、(b)参照)。
(ST4)…ラベル貼付装置Aの貼付部13の吸着手段がONされ、ラベル保持面板12’下面の所定位置に移動された印字ラベルLを、ラベル圧着部材17−1の吸着手段とラベル保持面板12’の透孔19に生じる吸着力によって吸着保持する。
(ST5)…ラベル移動部14の吸着部14aの吸着がOFFされる。これにより、印字ラベルLを貼付部13への受け渡しが完了する。
(ST6)…吸着部14aの吸着をOFFした後、ラベル移動部14はエアーシリンダ14cが駆動して初期位置(ラベル発行口35側)へ戻り、次に発行される印字ラベルLを吸着移動するのに待機する。このラベル移動部14の復帰動作は、貼付部13の動作と関係なく行われる。
【0041】
(ST7)…印字ラベルLを吸着保持した貼付部13(ラベル圧着部材17−1)はエアーシリンダ15の作動で貼付位置に向けて下降される。これにより、ラベル保持面板12’の下面に吸着保持されていた印字ラベルLはラベル圧着部材17の下降によってラベル保持面板12’下面から剥離される。
(ST8)…ラベル圧着部材17に吸着保持された印字ラベルLは商品の上面に押し付け貼付される。
(ST9)…ラベル貼付後、貼付部13はエアーシリンダ15の作動で初期位置(待機位置)まで上昇し停止する。これでラベル貼付の1サイクルが終了する。
(ST10)…次のラベル用紙の発行があるか判断され、次のラベル用紙の発行がある場合(YES)はST1に戻って前記動作を繰り返し、次のラベル用紙の発行が無い場合(NO)は貼付動作を終了する。そして、次のラベル用紙の発行がある場合、貼付部13のラベル貼付と関係なくそれより前に初期位置に復帰したラベル移動部14は次に発行される印字ラベルLを吸着保持して、初期位置より下流の受け渡し位置への移動の準備が行われる。貼付部13がラベル保持面板12’の下面より上方に上昇したことが確認されると、前記ラベル移動部14の受け渡し位置への移動は可能となる。
【0042】
図示実施例のラベル貼付装置は、ラベル用紙から切断されて発行される枚葉状のラベル用紙を、貼付部と関係なく独立して移動可能なラベル移動部が吸着保持して前記貼付部への受け渡し位置(発行された印字ラベルの後部が切断手段のケース外に引き出される位置)に移動し、貼付部が移動後の印字ラベルを吸着保持した後、前記ラベル移動部は貼付部のラベル貼付動作の完了(貼付部が初期位置へ戻る)を待つことなく、前記吸着部を吸引オフにしてラベル発行口寄りの初期位置に復帰し、次に発行される印字ラベルを吸着保持して、下流側の受け渡し位置への移動の準備を行う。これにより、貼付部がラベル貼付を完了して初期位置へ戻ると直ぐに前記ラベル移動部は受け渡し位置に移動する為、ラベル貼付の処理速度を前記従来装置に比べて向上することができる。
【0043】
本発明のラベル貼付装置は、図示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、貼付部のラベル圧着部材を上下往復させる移動機構の動力としてエアーシリンダを用いているが、これに限定されず、例えば、デジタル制御に適したパルスモータを用いてもよい。
(2)実施の形態では、貼付部を6本のラベル圧着部材で構成し、且つ、この内のラベル発行側寄りの中央の1本のみが吸着手段を備えた例を示したが、これに限定されない。
(3)実施の形態では、ラベル移動部の吸着部が2個設けられた例を示したが、吸着部の数は特に限定されない。
(4)実施の形態では、ラベル送出口11の上流側近傍に、上下一対のローラからなる下流側の用紙送出手段7bを設ける例を示したがこれに限らない。つまり、プラテンローラ8aとサーマルヘッド8bとを、ラベル送出口近傍に位置させ、その代わりに前記上下一対のローラからなる用紙送出手段7bを、プラテンローラ8aとサーマルヘッド8bの上流側に設けるようにしてもよい。
(5)実施の形態では、ラベル移動部の吸着部の吸着動作として空気を吸引する方法について説明したがこれに限らず、例えば特開2000−23768号公報に開示されているような静電気によりラベルを吸着部に吸着する方法でもよい。つまり、吸着部に対してラベルが吸着、吸着の解除が可能であれば他の方法であってもよい。
【0044】
前記実施の形態で示したラベル貼付装置に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)
ラベル移動部の吸着部の吸着動作は、ラベル発行中に開始されることを特徴とするラベル貼付装置。
付記1では、吸着部の吸着力で、発行されるラベルをラベル保持面板側に吸着でき、ラベル垂れ下がりを防止できる。
(付記2)
ラベル発行部の下流側近傍で、発行されるラベルを境にラベル移動部と反対位置に、発行されるラベルの下面に向けてエアーを吹き付けるエアー吹き付け手段が配置され、該エアー吹き付け手段のエアーの吹き付けは、ラベル発行中行われ、ラベル移動部の吸着部の吸着ONで、前記エアーの吹き出しを停止することを特徴とするラベル貼付装置。
付記2では、発行されたラベルが、ラベルの上に位置するラベル移動部の吸着部によって吸着された状態下で、更にラベル下方のエアー吹き付け手段からエアーを吹き付けた場合、ラベルは水平面内で回転し、ラベルの向きが変わる可能性がある。そのため、ラベル移動部の吸着部の吸着が開始された後は、エアー吹き付け手段のエアーの吹き付けを停止することで、前記ラベルが回転するのを防止できる。
(付記3)
ラベル保持面板の下面に対するラベルの吸着保持は、貼付部のラベル圧着部材が備える吸着手段の吸着作用と、貼付部を収容する前記ラベル保持面板を備えたケース内の負圧の両方で行うことを特徴とするラベル貼付装置。
付記3では、ラベルを吸着保持する範囲が広くなる為、ラベルを安定して保持することができる。
【符号の説明】
【0045】
A…ラベル貼付装置 L…印字ラベル
8…印字部 9…切断手段
13…貼付部 14…ラベル移動部
14a…ラベル移動部の吸着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7