特許第6031928号(P6031928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱マテリアル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6031928-赤外線センサ実装部材 図000002
  • 特許6031928-赤外線センサ実装部材 図000003
  • 特許6031928-赤外線センサ実装部材 図000004
  • 特許6031928-赤外線センサ実装部材 図000005
  • 特許6031928-赤外線センサ実装部材 図000006
  • 特許6031928-赤外線センサ実装部材 図000007
  • 特許6031928-赤外線センサ実装部材 図000008
  • 特許6031928-赤外線センサ実装部材 図000009
  • 特許6031928-赤外線センサ実装部材 図000010
  • 特許6031928-赤外線センサ実装部材 図000011
  • 特許6031928-赤外線センサ実装部材 図000012
  • 特許6031928-赤外線センサ実装部材 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031928
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】赤外線センサ実装部材
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20161114BHJP
   G01J 5/02 20060101ALI20161114BHJP
   H01L 37/00 20060101ALI20161114BHJP
   H01L 37/02 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   G01J1/02 C
   G01J5/02 Z
   H01L37/00
   H01L37/02
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-218948(P2012-218948)
(22)【出願日】2012年9月29日
(65)【公開番号】特開2014-71051(P2014-71051A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】白田 敬治
(72)【発明者】
【氏名】中村 賢蔵
(72)【発明者】
【氏名】田里 和義
【審査官】 塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−036692(JP,A)
【文献】 米国特許第06666702(US,B1)
【文献】 特開2010−124337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00−1/60
G01J 5/00−5/62
H01L 37/00
H01L 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性フィルムに感熱素子及び複数の端子電極が形成された赤外線センサ本体を、上部に固定して基板へ実装可能な赤外線センサ実装部材であって、
樹脂製の実装部材本体と、
該実装部材本体に取り付けられ上端部が前記端子電極にはんだ付けされると共に下端部が基板への実装時にはんだ付けされる金属製の複数の端子部材とを備え、
前記端子部材が、側方に突出した端子ピン部を有し、
前記実装部材本体が、側部に前記端子ピン部が差し込み固定される端子部材用穴部を有し、
前記端子部材が、平板状であり、
前記端子部材の前記下端部が、前記端子ピン部に沿って突出して形成され、
前記端子部材が、前記端子ピン部と前記下端部との間に形成され前記端子ピン部の突出方向と逆に延在した端子スリット部を有し、
前記実装部材本体が、前記端子スリット部に差し込まれる端子用差し込み部を有し、
前記端子用差し込み部が、前記端子ピン部及び前記下端部との間に空隙を有して差し込まれていることを特徴とする赤外線センサ実装部材。
【請求項2】
請求項1に記載の赤外線センサ実装部材において、
前記絶縁性フィルムに前記端子電極とは別に複数のはんだ付け部が形成され、
前記実装部材本体に取り付けられ上端部が前記はんだ付け部にはんだ付けされる金属製の複数の支持部材を備え、
前記支持部材は、側方に突出した支持部材ピン部を有し、
前記実装部材本体が、側部に前記支持部材ピン部が差し込み固定される支持部材用穴部を有していることを特徴とする赤外線センサ実装部材。
【請求項3】
請求項2に記載の赤外線センサ実装部材において、
前記端子ピン部及び前記支持部材ピン部の途中に、抜け止め用の凸部が形成されていることを特徴とする赤外線センサ実装部材。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の赤外線センサ実装部材において、
前記端子ピン部が、前記実装部材本体の厚さ以上の長さに設定されていることを特徴とする赤外線センサ実装部材。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の赤外線センサ実装部材において、
前記端子部材が、金属板から型抜き加工、エッチング加工又はレーザ加工によって形成された板状であることを特徴とする赤外線センサ実装部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物からの赤外線を検知して該測定対象物の温度等を測定する赤外線センサを支持して基板等に実装するための赤外線センサ実装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象物から輻射により放射される赤外線を非接触で検知して測定対象物の温度を測定する温度センサとして、赤外線センサが使用されている。
例えば、特許文献1には、絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの一方の面に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子及び第2の感熱素子と、絶縁性フィルムの一方の面に形成され第1の感熱素子に接続された導電性の第1の配線膜及び第2の感熱素子に接続された導電性の第2の配線膜と、第2の感熱素子に対向して絶縁性フィルムの他方の面に設けられた赤外線反射膜とを備えた赤外線センサが提案されている。
【0003】
このような赤外線センサを回路基板等の実装基板に実装する際に、赤外線センサを支持して実装基板上に設置すると共に導通を図る実装部材が用いられる。例えば、特許文献2には、FPC基板に形成された赤外線センサを支持する基板ホルダーが提案されている。この基板ホルダーは、箱型に絶縁性素材で成型され、上下端に平坦なはんだ付け部を有する金属製端子をその表裏部を貫いて上下方向に取り付けている。また、裏面側のはんだ付け部を、FPC基板の相応する位置にある端子部にはんだ付けするようになっていると共に、上面側のはんだ付け部を、温度上昇を監視しようとする機器の実装基板の相応する位置にある平坦な端子にはんだ付けするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−102791号公報
【特許文献2】特開2011−196960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、特許文献2の技術では、複数の金属製端子を基板ホルダーに上下方向に差し込んで固定しているが、この場合、赤外線センサを支持する金属製端子の上端位置がばらつき易く、赤外線センサのFPC基板の高さにばらつきが生じたり傾きが発生したりして、センサ特性(感度等)にばらつきが発生する原因となってしまう問題があった。また、挿入状態の金属製端子の取り付け強度が低く、外部からの衝撃等で金属製端子の位置ずれや曲がりが発生し、やはりセンサ特性のばらつきの一因になってしまう不都合があった。このため、金属製端子に不要な力が加わらないように、搬送等の取り扱い時には、専用の梱包材(エンボステープやキャリアトレイ)を必要とするなど、手間と梱包材コストとが掛かってしまっていた。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、金属製端子の高さ位置精度が高く、取り付け強度も高くすることができる赤外線センサ実装部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る赤外線センサ実装部材は、絶縁性フィルムに感熱素子及び複数の端子電極が形成された赤外線センサ本体を、上部に固定して基板へ実装可能な赤外線センサ実装部材であって、樹脂製の実装部材本体と、該実装部材本体に取り付けられ上端部が前記端子電極にはんだ付けされると共に下端部が基板への実装時にはんだ付けされる金属製の複数の端子部材とを備え、前記端子部材が、側方に突出した端子ピン部を有し、前記実装部材本体が、側部に前記端子ピン部が差し込み固定される端子部材用穴部を有していることを特徴とする。
【0008】
この赤外線センサ実装部材では、端子部材が、側方に突出した端子ピン部を有し、実装部材本体が、側部に端子ピン部が差し込み固定される端子部材用穴部を有しているので、側部に差し込まれた端子ピン部によって上下方向が規制されるピン構造としたことで、端子部材の高さばらつきが低減されると共に傾きの発生を抑制することができ、さらに上下方向に対する取り付け強度も向上する。
【0009】
第2の発明に係る赤外線センサ実装部材は、第1の発明において、前記絶縁性フィルムに前記端子電極とは別に複数のはんだ付け部が形成され、前記実装部材本体に取り付けられ上端部が前記はんだ付け部にはんだ付けされる金属製の複数の支持部材を備え、前記支持部材は、側方に突出した支持部材ピン部を有し、前記実装部材本体が、側部に前記支持部材ピン部が差し込み固定される支持部材用穴部を有していることを特徴とする。
すなわち、この赤外線センサ実装部材では、支持部材は、側方に突出した支持部材ピン部を有し、実装部材本体が、側部に支持部材ピン部が差し込み固定される支持部材用穴部を有しているので、端子部材だけでなく、端子部材と同様に高さ位置精度が高い複数の支持部材によっても赤外線センサ本体を支持することで、より高精度に赤外線センサ本体を支持することができる。
【0010】
第3の発明に係る赤外線センサ実装部材は、第2の発明において、前記端子ピン部及び前記支持部材ピン部の途中に、抜け止め用の凸部が形成されていることを特徴とする。
すなわち、この赤外線センサ実装部材では、端子ピン部及び支持部材ピン部の途中に、抜け止め用の凸部が形成されているので、端子ピン部及び支持部材ピン部が差し込まれた際に凸部が端子部材用穴部又は支持部材用穴部に押し付けられて抜け難くなる。これにより、上下方向だけでなく横方向に対する取り付け強度も向上する。
【0011】
第4の発明に係る赤外線センサ実装部材は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記端子ピン部が、前記実装部材本体の厚さ以上の長さに設定されていることを特徴とする。
すなわち、この赤外線センサ実装部材では、端子ピン部が、実装部材本体の厚さ以上の長さに設定されているので、上下方向に差し込む場合に比べて挿入部分の接触面積を増やすことが可能になり、より挿入時の取り付け強度が高くなる。
【0012】
第5の発明に係る赤外線センサ実装部材は、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記端子部材が、前記端子ピン部の上下の一方に前記端子ピン部の突出方向と逆に延在した端子スリット部を有し、前記実装部材本体が、前記端子スリット部に差し込まれる端子用差し込み部を有していることを特徴とする。
すなわち、この赤外線センサ実装部材では、実装部材本体が、端子スリット部に差し込まれる端子用差し込み部を有しているので、端子ピン部と端子用差し込み部との相互の固定力によってさらに高い取り付け強度を得ることができる。
【0013】
第6の発明に係る赤外線センサ実装部材は、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記端子部材が、金属板から型抜き加工、エッチング加工又はレーザ加工によって形成された板状であることを特徴とする。
すなわち、この赤外線センサ実装部材では、端子部材が、金属板から型抜き加工、エッチング加工又はレーザ加工によって形成された板状であるので、曲げ加工を用いないため製造コストを軽減可能であると共に、端子ピン部の曲がり等も発生し難く、高い寸法精度を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る赤外線センサ実装部材によれば、端子部材が、側方に突出した端子ピン部を有し、実装部材本体が、側部に端子ピン部が差し込み固定される端子部材用穴部を有しているので、端子部材の高さばらつきが低減されると共に傾きの発生を抑制することができ、さらに上下方向に対する取り付け強度も向上する。これにより、赤外線センサ本体の絶縁性フィルムの平面性が向上し、センサ特性のばらつきが大幅に抑制されると共に、専用の梱包材が不要になり、汎用品が使用可能になって手間や梱包材コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る赤外線センサ実装部材の一実施形態を示す斜視図である。
図2】本実施形態において、取り付け状態の端子部材を示す一部を破断して要部を拡大した斜視図である。
図3】本実施形態において、赤外線センサ本体を設置した状態を示す赤外線センサ実装部材の正面図である。
図4】本実施形態において、赤外線センサ本体を示す斜視図である。
図5図1のA−A線矢視断面図である。
図6図1のB−B線矢視断面図である。
図7】本実施形態において、取り付け状態の端子部材を示す要部を拡大した斜視図である。
図8】本実施形態において、取り付け状態の端子部材を示す要部を拡大した平面図である。
図9】本実施形態において、赤外線センサ実装部材を示す平面図である。
図10】本実施形態において、赤外線センサ実装部材を示す底面図である。
図11】本実施形態において、赤外線センサ実装部材を示す正面図である。
図12】本実施形態において、赤外線センサ実装部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る赤外線センサ実装部材の一実施形態を、図1から図12を参照しながら説明する。
【0017】
本実施形態の赤外線センサ実装部材1は、図1から図4に示すように、絶縁性フィルム2に第1の感熱素子3A,第2の感熱素子3B及び複数の端子電極4が形成された赤外線センサ本体5を、上部に固定して基板へ実装可能な赤外線センサ実装部材であって、樹脂製の実装部材本体6と、該実装部材本体6に取り付けられ上端部が端子電極4にはんだ付けされると共に下端部が基板への実装時にはんだ付けされる金属製の複数の端子部材7とを備えている。
【0018】
また、この赤外線センサ実装部材1は、絶縁性フィルム2に端子電極4とは別に複数のはんだ付け部8が形成され、実装部材本体6に取り付けられ上端部がはんだ付け部8にはんだ付けされる金属製の複数の支持部材9を備えている。
本実施形態では、図9から図12に示すように、実装部材本体6が平面視略長方形状に形成された薄板状のブロック形状であり、4つの端子部材7が4つの角部の近傍に設置され、両側にそれぞれ2つずつ端子部材7が配されている。また、実装部材本体6の長辺側に設置した2つの端子部材7の間に、2つずつ支持部材9が設置されている。すなわち、実装部材本体6の両側にそれぞれ赤外線センサ本体5を支持する部分が4つずつ互いに間隔を空けて設けられ、全部で8箇所で赤外線センサ本体5が支持、固定される。
【0019】
上記端子部材7は、図5に示すように、側方に突出した端子ピン部7aを有し、実装部材本体6は、側部に端子ピン部7aが差し込み固定される端子部材用穴部6aを有している。すなわち、長く突出した端子ピン部7aは、長穴形状の端子部材用穴部6aに差し込まれて嵌め込まれることで固定される。
【0020】
また、上記支持部材9は、図6に示すように、側方に突出した支持部材ピン部9aを有し、実装部材本体6は、側部に支持部材ピン部9aが差し込み固定される支持部材用穴部6bを有している。すなわち、支持部材ピン部9aは、支持部材用穴部6bに差し込まれて嵌め込まれることで固定される。
上記端子ピン部7aの途中には、抜け止め用の凸部7bが2つずつ形成されている。また、支持部材ピン部9aの途中には、抜け止め用の凸部9bが2つずつ形成されている。なお、基端側の凸部7b,9bは、より抜け難くするために返しのついた鈎形状とされ、実装部材本体6に食い込んだ状態とされる。
【0021】
端子部材7は、端子ピン部7aの下に該端子ピン部7aの突出方向と逆に延在した端子スリット部7cを有し、実装部材本体6は、端子スリット部7cに差し込まれる端子用差し込み部6cを有している。
なお、上記端子スリット部7cの基端から端子ピン部7aの先端までを端子ピン部7aの長さと規定すると、端子ピン部7aは、実装部材本体6の厚さ以上の長さに設定されている。
また、支持部材9は、支持部材ピン部9aの上に支持部材ピン部9aの突出方向と逆に延在した支持部材スリット部9cを有し、実装部材本体6は、支持部材スリット部9cに差し込まれる支持部材用差し込み部6dを有している。
【0022】
上記端子スリット部7c及び支持部材スリット部9cは、横方向に切り込まれて断面コ字状に形成されている。
端子部材7の下端部は、実装部材本体6に取り付けられた状態で実装部材本体6の両側よりも内側に配されており、全体として傾きが生じ難く設定されている。なお、支持部材9の下端部は、実装部材本体6の下面から突出しないように設定されている。これにより、支持部材9を介して熱が実装基板側に伝えられないようになっている。
【0023】
端子部材7の上端部及び下端部と支持部材9の上端部とは、はんだ付け用に平坦部とされている。
なお、上記端子部材7及び支持部材9は、金属板から型抜き加工、エッチング加工又はレーザ加工によって形成された板状である。なお、エッチング液によって金属板から所定形状の端子部材7及び支持部材9を得るエッチング加工や、レーザ光照射によって金属板から所定形状の端子部材7及び支持部材9を切り抜くレーザ加工では、型抜き加工よりも微細な形状を高精度に形成可能である。
【0024】
上記赤外線センサ本体5は、図4に示すように、絶縁性フィルム2と、該絶縁性フィルム2の一方の面(下面)に互いに離間させて設けられた第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bと、絶縁性フィルム2の一方の面に形成され第1の感熱素子3Aに接続された導電性金属膜である一対の第1の配線膜11A及び第2の感熱素子3Bに接続された導電性金属膜である一対の第2の配線膜11Bと、第2の感熱素子3Bに対向して絶縁性フィルム2の他方の面に設けられた赤外線反射膜12とを備えている。
【0025】
また、第1の配線膜11A及び第2の配線膜11Bには、その一端部にそれぞれ絶縁性フィルム2に形成された一対の接着電極13が接続されていると共に、他端部にそれぞれ絶縁性フィルム2に形成された端子電極4が接続されている。
なお、上記接着電極13には、それぞれ対応する第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bの端子部14が半田等の導電性接着剤で接着される。
【0026】
上記絶縁性フィルム2は、ポリイミド樹脂シートで形成され、赤外線反射膜12、第1の配線膜11A及び第2の配線膜11Bが銅箔で形成されている。すなわち、これらは、絶縁性フィルム2とされるポリイミド基板の両面に、赤外線反射膜12、第1の配線膜11A及び第2の配線膜11Bとされる銅箔のフロート電極がパターン形成された両面フレキシブル基板によって作製されたものである。
【0027】
上記赤外線反射膜12は、第2の感熱素子3Bの直上に略四角形状で配されている。
この赤外線反射膜12は、絶縁性フィルム2よりも高い赤外線反射率を有する材料で形成され、銅箔上に金メッキ膜が施されて形成されている。なお、金メッキ膜の他に、例えば鏡面のアルミニウム蒸着膜やアルミニウム箔等で形成しても構わない。この赤外線反射膜12は、第2の感熱素子3Bよりも大きなサイズでこれを覆うように形成されている。
【0028】
上記第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bは、両端部に端子部14が形成されたチップサーミスタである。このサーミスタとしては、NTC型、PTC型、CTR型等のサーミスタがあるが、本実施形態では、第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bとして、例えばNTC型サーミスタを採用している。このサーミスタは、Mn−Co−Cu系材料、Mn−Co−Fe系材料等のサーミスタ材料で形成されている。
【0029】
上記実装部材本体6には、第1の感熱素子3A及び第2の感熱素子3Bを収納可能な凹部状の空間であり、上面側に開口して一部が底面まで貫通した収納部6e,6fが形成されている。
端子部材7と支持部材9とは、その上部が実装部材本体6の上面から一定量だけ突出しており、図3に示すように、これらの上端部にはんだ付けされた赤外線センサ本体5を実装部材本体6から浮かせた状態で支持している。
【0030】
また、実装部材本体6の端子部材7が挿入される部分には、端子部材7との接触面積を小さくするために、図7及び図8に示すように、端子部材7の端子ピン部7a以外の部分であって取り付け強度等の機能的に問題のない箇所に対してクリアランスとして隙間部6gを設けている。これによって、端子部材7を介した実装部材本体6への熱の逃げを抑え、赤外線センサ本体5の感度が低下することを抑制している。
また、実装部材本体6の端子部材7が挿入される部分の両側は、端子部材7の外端部よりも突出して形成されている。
【0031】
このように本実施形態の赤外線センサ実装部材1は、端子部材7が、側方に突出した端子ピン部7aを有し、実装部材本体6が、側部に端子ピン部7aが差し込み固定される端子部材用穴部6aを有しているので、側部に差し込まれた端子ピン部7aによって上下方向が規制されるピン構造としたことで、端子部材7の高さばらつきが低減されると共に傾きの発生を抑制することができ、さらに上下方向に対する取り付け強度も向上する。
【0032】
また、支持部材9は、側方に突出した支持部材ピン部9aを有し、実装部材本体6が、側部に支持部材ピン部9aが差し込み固定される支持部材用穴部6bを有しているので、端子部材7だけでなく、端子部材7と同様に高さ位置精度が高い複数の支持部材9によっても赤外線センサ本体5を支持することで、より高精度に赤外線センサ本体5を支持することができる。
【0033】
また、端子ピン部7a及び支持部材ピン部9aの途中に、抜け止め用の凸部7b,9bが形成されているので、端子ピン部7a及び支持部材ピン部9aが差し込まれた際に凸部7b,9bが端子部材用穴部6a又は支持部材用穴部6bに押し付けられて抜け難くなる。これにより、上下方向だけでなく横方向に対する取り付け強度も向上する。
さらに、端子ピン部7aが、実装部材本体6の厚さ以上の長さに設定されているので、上下方向に差し込む場合に比べて挿入部分の接触面積を増やすことが可能になり、より挿入時の取り付け強度が高くなる。
【0034】
また、実装部材本体6が、端子スリット部7cに差し込まれる端子用差し込み部6cを有しているので、端子ピン部7aと端子用差し込み部6cとの相互の固定力によってさらに高い取り付け強度を得ることができる。
また、端子部材7が、金属板から型抜き加工、エッチング加工又はレーザ加工によって形成された板状であるので、曲げ加工を用いないため製造コストを軽減可能であると共に、端子ピン部7aの曲がり等も発生し難く、高い寸法精度を得ることができる。
【0035】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0036】
例えば、上記実施形態では、チップサーミスタの第1の感熱素子及び第2の感熱素子を採用しているが、薄膜サーミスタで形成された第1の感熱素子及び第2の感熱素子を採用しても構わない。
なお、感熱素子としては、上述したように薄膜サーミスタやチップサーミスタが用いられるが、サーミスタ以外に焦電素子等も採用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…赤外線センサ実装部材、2…絶縁性フィルム、3A…第1の感熱素子、3B…第2の感熱素子、4…端子電極、5…赤外線センサ本体、6…実装部材本体、6a…端子部材用穴部、6b…支持部材用穴部、6c…端子用差し込み部、7…端子部材、7a…端子ピン部、7b,9b…凸部、7c…端子スリット部、8…はんだ付け部、9…支持部材、9a…支持部材ピン部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12