特許第6031945号(P6031945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031945
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】蒸気回収システム
(51)【国際特許分類】
   F22D 11/06 20060101AFI20161114BHJP
   G05D 16/06 20060101ALN20161114BHJP
【FI】
   F22D11/06 A
   !G05D16/06 E
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-239544(P2012-239544)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-89001(P2014-89001A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】馬場 一高
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−198038(JP,A)
【文献】 特開2012−002384(JP,A)
【文献】 特開2004−278870(JP,A)
【文献】 特開平04−327701(JP,A)
【文献】 特開昭63−201405(JP,A)
【文献】 特開2012−017924(JP,A)
【文献】 特開平7−160341(JP,A)
【文献】 特開平3−238510(JP,A)
【文献】 特開平2−226312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D11/00−11/06
G05D16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷機器から排出されるドレンを回収し、回収した前記ドレンから発生するフラッシュ蒸気を分離する分離部と、
前記分離部に設けられ、前記分離部内の圧力を検出する圧力検出部と、
前記分離部に連結され、前記フラッシュ蒸気を前記分離部から排出する蒸気排出ラインと、
前記蒸気排出ラインに設けられ、前記蒸気排出ラインを流れる前記フラッシュ蒸気の排出量を調節する蒸気調節と、
前記圧力検出部の検出結果に基づいて前記蒸気調節を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記圧力検出部の検出圧力と設定圧力とを比較し、前記圧力検出部が前記設定圧力以上である場合には、前記検出圧力に応じて前記蒸気調整弁を開いた状態で前記蒸気調整弁の開度を調整することにより前記フラッシュ蒸気の排出量を調整し、前記検出圧力が設定圧力未満である場合には、前記蒸気調節閉じることにより前記フラッシュ蒸気の排出を停止することを特徴とする蒸気回収システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記分離部に設けられ、前記分離部内の前記ドレンの水位を検出する水位検出部と、
前記分離部に連結され、前記ドレンを前記分離部から排出する第1ドレン排出ラインと、
前記第1ドレン排出ラインに設けられ、前記第1ドレン排出ラインを流れる前記ドレンの排出量を調節する第1ドレン調節部と、
を有し、
前記制御部は、前記水位検出部の検出結果に基づいて前記第1ドレン調節部を制御し、前記ドレンの排出量を調節することを特徴とする蒸気回収システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記分離部に設けられ、前記分離部内の前記ドレンの温度を計測する温度計測部と、
前記分離部に連結され、前記ドレンを前記分離部から排出する第2ドレン排出ラインと、
前記第2ドレン排出ラインに設けられ、前記第2ドレン排出ラインを流れる前記ドレンを排出する第2ドレン調節部と、を有し、
前記制御部は、前記ドレンの温度が設定温度を下回った場合には、前記第2ドレン調節部を制御して前記第2ドレン排出ラインを通って前記ドレンを排出することを特徴とする蒸気回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラなどの蒸気供給源からの蒸気を熱源として使用する負荷機器から排出されるドレンから蒸気を回収する蒸気回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気を熱源として使用するシステムでは、負荷機器から排出されるドレンを回収してその熱を有効利用するようにしており、例えば回収したドレンを蒸気供給源へ戻したり、他の機器の熱源として利用したりしている。また、熱を有効利用する方法としては、フラッシュタンクを用いてドレンから蒸気を分離し、別の負荷機器の熱源として利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、負荷機器である複数の仕上ロールから排出されるドレンをフラッシュタンクに供給すると、フラッシュタンク内の方が仕上ロールよりも圧力が低いため、フラッシュ蒸気が発生する。このフラッシュ蒸気を負荷機器である連続洗濯機に供給して利用することにより、連続洗濯機で用いる蒸気量は節約されている。また、フラッシュタンク内で蒸気が分離されたドレンは、スチームトラップを介してボイラタンクに供給され、熱水として利用される。また、水位センサによりフラッシュタンク内の水位が検出され、フラッシュタンク内の水位に応じて、フラッシュタンクから連続洗濯機に送られるフラッシュ蒸気の量は、調節されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−198038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、フラッシュタンクに供給されるドレンは、負荷機器の運転状態によって変化するため、供給されるドレンのフラッシュタンク内のドレンの状態も変動する。このため、特許文献1に記載されているように、水位に基づいてフラッシュ蒸気の回収量を調整しても、乾き度が高いフラッシュ蒸気をフラッシュタンクから安定して回収できない可能性がある。そこで、乾き度が高いフラッシュ蒸気をフラッシュタンクから安定して回収する上で更に検討する余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、分離部から乾き度の高い蒸気を安定して回収することができ、また分離部からドレンを安定して排出することができる蒸気回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る蒸気回収システムは、負荷機器から排出されるドレンを回収し、回収した前記ドレンから発生するフラッシュ蒸気を分離する分離部と、前記分離部に設けられ、前記分離部内の圧力を検出する圧力検出部と、前記分離部に連結され、前記フラッシュ蒸気を前記分離部から排出する蒸気排出ラインと、前記蒸気排出ラインに設けられ、前記蒸気排出ラインを流れる前記フラッシュ蒸気の排出量を調節する蒸気調節と、前記圧力検出部の検出結果に基づいて前記蒸気調節を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記圧力検出部の検出圧力と設定圧力とを比較し、前記圧力検出部が前記設定圧力以上である場合には、前記検出圧力に応じて前記蒸気調整弁を開いた状態で前記蒸気調整弁の開度を調整することにより前記フラッシュ蒸気の排出量を調整し、前記検出圧力が設定圧力未満である場合には、前記蒸気調節弁を閉じることにより前記フラッシュ蒸気の排出を停止することを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい態様として、前記分離部に設けられ、前記分離部内の前記ドレンの水位を検出する水位検出部と、前記分離部に連結され、前記ドレンを前記分離部から排出する第1ドレン排出ラインと、前記第1ドレン排出ラインに設けられ、前記第1ドレン排出ラインを流れる前記ドレンの排出量を調節する第1ドレン調節部と、を有し、前記制御部は、前記水位検出部の検出結果に基づいて前記第1ドレン調節部を制御し、前記ドレンの排出量を調節することが好ましい。
【0009】
本発明の好ましい態様として、前記分離部に設けられ、前記分離部内の前記ドレンの温度を計測する温度計測部と、前記分離部に連結され、前記ドレンを前記分離部から排出する第2ドレン排出ラインと、前記第2ドレン排出ラインに設けられ、前記第2ドレン排出ラインを流れる前記ドレンを排出する第2ドレン調節部と、を有し、前記制御部は、前記ドレンの温度が設定温度を下回った場合には、前記第2ドレン調節部を制御して前記第2ドレン排出ラインを通って前記ドレンを排出することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、分離部から圧力や乾き度が安定したフラッシュ蒸気を回収できると共に、分離部へのドレンの流入量に合わせて分離部から排出するドレンの量を調節することができるため、分離部から乾き度の高い蒸気を安定して回収することができ、また分離部からドレンを安定して排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る蒸気回収システムを備えた蒸気システムの概略構成を示す図である。
図2】蒸気調節弁を制御する手順の一例を示すフローチャートである。
図3】第1ドレン排出弁を制御する手順の一例を示すフローチャートである。
図4】第2ドレン排出弁を制御する手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適に実施するための形態(以下、実施形態という。)につき、詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0014】
<蒸気システム>
本発明の実施形態に係る蒸気回収システムを備える蒸気システムを説明する。図1は、本発明の実施形態に係る蒸気回収システムを備えた蒸気システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、蒸気システム10は、ボイラ(蒸気供給源)11と、スチームヘッダ12と、第1負荷機器13と、給水タンク14と、第2負荷機器15と、蒸気回収システム16とを備えている。
【0015】
ボイラ11は、種々の熱源方式によって蒸気21を発生させる蒸気供給源である。ボイラ11は、燃焼式のボイラ、電気式のボイラなど種々の形式のものを用いることができる。ボイラ11は、燃焼式の場合、燃料を燃焼させた際の燃焼熱を熱源として、缶体内の缶水を加熱して蒸気を発生させる。ボイラ11は、燃焼式の場合、燃料としては、例えば、都市ガス、プロパンガス、バイオガスなどの気体燃料、重油、灯油などの液体燃料などが用いられる。ボイラ11は、燃焼式の場合、例えば、貫流ボイラ、炉筒煙管ボイラ、水管ボイラなどが挙げられる。ボイラ11は、電気式の場合、電気ヒータなどを熱源として缶体内の缶水を加熱して蒸気を発生させる。
【0016】
ボイラ11は、第1蒸気供給ラインL11でスチームヘッダ12と接続されている。第1蒸気供給ラインL11は、ボイラ11とスチームヘッダ12とを接続するラインである。蒸気21は、第1蒸気供給ラインL11を通ってボイラ11からスチームヘッダ12に送気される。
【0017】
スチームヘッダ12は、蒸気21を溜めるためのものである。本実施形態では、ボイラ11を1台備えているが、これに限定されるものではなく、複数台のボイラを備えていてもよい。この場合、複数のボイラから供給される蒸気はスチームヘッダ12に集められる。
【0018】
スチームヘッダ12は、第2蒸気供給ラインL12で第1負荷機器13と接続されている。第2蒸気供給ラインL12は、スチームヘッダ12と第1負荷機器13とを接続するラインである。蒸気21は、第2蒸気供給ラインL12を通って第1負荷機器13に送気される。
【0019】
また、スチームヘッダ12は、第3蒸気供給ラインL13で蒸気排出ラインL21と接続されている。第3蒸気供給ラインL13は、スチームヘッダ12と蒸気排出ラインL21とを接続するラインである。蒸気21は、スチームヘッダ12から第3蒸気供給ラインL13を通って蒸気排出ラインL21に送気され、第2負荷機器15に送気される。蒸気排出ラインL21の構成については、後述する。
【0020】
第1負荷機器13は、スチームヘッダ12から送気される蒸気21を加熱源または動力源などに使用する。本実施形態において、第1負荷機器13は、蒸気21を加熱源として使用する。蒸気21は、第1負荷機器13内の蒸気供給通路を通過する際に、潜熱を失って一部が凝縮し、高圧高温のドレン(凝縮水)22となる。第1負荷機器13は、高圧蒸気負荷機器または中圧蒸気負荷機器など1つ以上の負荷機器を含んでいる。したがって、ドレン22は、高圧蒸気負荷機器または中圧蒸気負荷機器など1つ以上の負荷機器で加熱源として用いられた蒸気21から生じる。
【0021】
第1負荷機器13は、ドレン供給ラインL14でフラッシュタンク23と接続されている。第1負荷機器13は、第2蒸気供給ラインL12から供給された蒸気21を加熱源として使用し、蒸気21を使用した際に生じたドレン22をドレン供給ラインL14に排出する。また、ドレン供給ラインL14は、ドレン供給ラインL14の途中にスチームトラップ24が設けられている。スチームトラップ24は、第1負荷機器13から排出されるドレン22のみを通過させる。ドレン22は、スチームトラップ24を通過した後、フラッシュタンク23に供給されてフラッシュタンク23内に回収される。フラッシュタンク23の構成については、後述する。
【0022】
ドレン供給ラインL14は、スチームトラップ24とフラッシュタンク23との間にバイパスラインL15が接続されている。バイパスラインL15は、ドレン供給ラインL14と第1ドレン排出ラインL22とを接続するラインである。第1ドレン排出ラインL22の構成については、後述する。バイパスラインL15は、ドレン22を給水タンク14に供給する。バイパスラインL15は、バイパスラインL15の途中に緊急排出弁V11が設けられている。緊急排出弁V11は、バイパスラインL15を流れるドレン22を排出するものである。第1ドレン排出弁V22の故障、第1ドレン排出ラインL22内の詰まりなどにより、フラッシュタンク23内の水位が通常の設定範囲よりさらに高い水位などになった場合などに、緊急排出弁V11を開いて、ドレン22をフラッシュタンク23に通さずにバイパスラインL15に通して給水タンク14に供給する。
【0023】
給水タンク14は、ドレン22を溜めるためのものである。給水タンク14内のドレン22は、蒸気21を発生させるための水25としてボイラ11に供給される。また、補給水26が給水タンク14に供給される。給水タンク14に供給されるドレン22だけではボイラ11に供給される水が不足する場合には、補給水26が給水タンク14に供給され、ボイラ11に水25として供給される。
【0024】
第3蒸気供給ラインL13は、第3蒸気供給ラインL13の途中に減圧弁V12が設けられている。スチームヘッダ12から第3蒸気供給ラインL13に送られる蒸気21は、減圧弁V12を通過した後、減圧蒸気27となる。スチームヘッダ12から第3蒸気供給ラインL13を流れる蒸気21は、減圧弁V12で減圧蒸気27となった後、蒸気排出ラインL21を通って第2負荷機器15に送気される。
【0025】
第2負荷機器15は、加熱源または動力源などとして、フラッシュタンク23から排出されるフラッシュ蒸気28と、減圧蒸気27とを使用する。第2負荷機器15は、1つ以上の低圧蒸気負荷機器を含む。本実施形態において、第2負荷機器15は、フラッシュ蒸気28を減圧蒸気27よりも加熱源として優先して使用する。第2負荷機器15は、フラッシュ蒸気28だけでは第2負荷機器15で使用する蒸気量が足りない場合などには、減圧蒸気27を不足分として使用する。
【0026】
(蒸気回収システム16)
蒸気回収システム16は、フラッシュタンク(分離部)23と、圧力センサ(圧力検出部)31と、水位検出器(水位検出部)32と、温度センサ(温度計測部)33と、制御装置(制御部)34と、蒸気排出ラインL21と、第1ドレン排出ラインL22と、第2ドレン排出ラインL23と、蒸気調節弁(蒸気調節部)V21と、第1ドレン排出弁(第1ドレン調節部)V22と、第2ドレン排出弁(第2ドレン調節部)V23とを備えている。
【0027】
フラッシュタンク23は、ドレン22を回収し、回収したドレン22からフラッシュ蒸気28が発生する。フラッシュタンク23内の方がドレン供給ラインL14内よりも圧力が低いため、フラッシュタンク23に供給されたドレン22からフラッシュ蒸気28が発生する。また、フラッシュタンク23は、安全弁V24を備えている。フラッシュタンク23内が異常高圧となったときなどには、安全弁V24が開かれてフラッシュタンク23内を減圧するようにしている。
【0028】
蒸気排出ラインL21は、一端がフラッシュタンク23に接続され、他端が第2負荷機器15に接続されている。蒸気排出ラインL21は、フラッシュ蒸気28をフラッシュタンク23から排出するラインである。蒸気排出ラインL21は、蒸気排出ラインL21の途中に減圧弁V25が設けられている。フラッシュ蒸気28は、フラッシュタンク23から蒸気排出ラインL21を通って、減圧弁V25で減圧された後、第2負荷機器15に送気される。第2負荷機器15は、加熱源または動力源などとしてフラッシュ蒸気28と共に低圧蒸気27を使用する。第2負荷機器15は、フラッシュ蒸気28を優先して使用し、フラッシュ蒸気28だけでは足りない分の蒸気として減圧蒸気27を使用している。なお、蒸気調節弁V21が閉じられ、フラッシュ蒸気28が第2負荷機器15に送気されない場合には、減圧蒸気27のみが第2負荷機器15の加熱源または動力源として使用される。
【0029】
蒸気調節弁V21は、蒸気排出ラインL21に設けられている。蒸気調節弁V21は、蒸気排出ラインL21を通るフラッシュ蒸気28の流量を調節するものである。蒸気調節弁V21の開度は、制御装置34から送られる制御信号に基づいて調整される。
【0030】
蒸気排出ラインL21は、蒸気調節弁V21と減圧弁V25との間に逆止弁V26が設けられている。逆止弁V26は、減圧蒸気27がフラッシュタンク23側へ流れるのを防止する。
【0031】
蒸気排出ラインL21は、フラッシュタンク23と蒸気調節弁V21との間に内圧調節用ラインL24が接続されている。内圧調節用ラインL24は、フラッシュ蒸気28の一部を蒸気排出ラインL21から外部に排出する。内圧調節用ラインL24は、内圧調節用ラインL24の途中に内圧調節弁V28が設けられている。内圧調節弁V28は、蒸気排出ラインL21内の圧力が所定圧力以上になった場合には、内圧調節弁V28を開いて圧力を外部に逃がし、蒸気排出ラインL21内の圧力が所定圧力以上の高圧にならないように調節するために用いられる。
【0032】
第1ドレン排出ラインL22は、給水タンク14と接続されている。第1ドレン排出ラインL22は、ドレン22をフラッシュタンク23から排出するラインである。ドレン22は、第1ドレン排出ラインL22を通ってフラッシュタンク23から給水タンク14に流入する。
【0033】
第1ドレン排出弁V22は、第1ドレン排出ラインL22に設けられている。第1ドレン排出弁V22は、第1ドレン排出ラインL22を流れるドレン22の排出量を調節するものである。第1ドレン排出弁V22の開度は、制御装置34から送られる制御信号に基づいて調節される。
【0034】
第1ドレン排出ラインL22は、第1ドレン排出弁V22と、第1ドレン排出ラインL22がバイパスラインL15と接続する位置との間に逆止弁V27が設けられている。逆止弁V27は、ドレン22をバイパスラインL15に流した場合に、フラッシュタンク23側へ流れるのを防止する。
【0035】
第2ドレン排出ラインL23は、第1ドレン排出ラインL22の途中、具体的にはフラッシュタンク23と第1ドレン排出弁V22との間から分岐して設けられている。第2ドレン排出ラインL23は、ドレン22をフラッシュタンク23から外部に排出するラインである。
【0036】
第2ドレン排出弁V23は、第2ドレン排出ラインL23に設けられている。第2ドレン排出弁V23は、第2ドレン排出ラインL23を流れるドレン22を排出するものである。第2ドレン排出弁V23の開閉は、制御装置34から送られる制御信号に基づいて制御される。
【0037】
圧力センサ31は、フラッシュタンク23に設けられている。圧力センサ31は、フラッシュタンク23内の圧力を検出する。
【0038】
水位検出器32は、フラッシュタンク23の外部に設けられている。水位検出器32は、フラッシュタンク23内のドレン22の水位を検出する。水位検出器32は、水位検出筒41とフロート42と水位センサ43とを含む。水位検出筒41は、フラッシュタンク23の外部の側面側に設けられている。水位検出筒41は、その下部側の側面でフラッシュタンク23の底部と連絡管45で連通されている。また、水位検出筒41は、その上部側の側面でフラッシュタンク23の上部側と連絡管46で連通されている。水位センサ43は、水位検出筒41内に設けられたフロート42の高さを検知して水位検出筒41内のドレン22の水位を検知する。水位検出筒41は、その内部に連絡管45を通じてフラッシュタンク23からドレン22が流れることで、フラッシュタンク23のドレン22の水位と水位検出筒41内のドレン22の水位とが略同等になる。このため、水位センサ43は、水位検出筒41内のフロート42の高さを検出することで、水位検出筒41内のドレン22の水位を検出することができる。
【0039】
温度センサ33は、フラッシュタンク23に設けられている。温度センサ33はフラッシュタンク23内のドレン22の温度を検出する。
【0040】
圧力センサ31、水位検出器32および温度センサ33は、それぞれ検出結果に対応した電気信号を制御装置34に送信する。
【0041】
制御装置34は、蒸気回収システム16の各部を制御する。制御装置34は、CPU((Central Processing Unit)とメモリとを含むマイクロコンピュータである。制御装置34は、圧力センサ31、水位検出器32及び温度センサ33など蒸気回収システム16の各所に取り付けられた各種のセンサが電気的に接続されている。これら各種のセンサの検出結果に対応した電気信号は、外部入力回路を介して制御装置34に入力される。制御装置34は、各種のセンサから入力された各種電気信号に基づいて、緊急排出弁V11、蒸気調節弁V21、第1ドレン排出弁V22および第2ドレン排出弁V23などの各種の弁に制御信号を出力し、これらを制御する。
【0042】
また、制御装置34は、圧力センサ31、水位検出器32および温度センサ33などの各種のセンサの検出結果から、フラッシュタンク23内の圧力が設定圧力よりも高いこと、ドレン22の水位が設定範囲内であること、ドレン22の温度が設定温度よりも低いことなどを検出する。本実施形態において、設定圧力とは、フラッシュタンク23から排出されるフラッシュ蒸気28の圧力が安定し、フラッシュタンク23からドレン22を排出する際に十分な排出圧を得られることとなるフラッシュタンク23内の圧力の値である。また、設定温度とは、第1負荷機器13の運転が起動初期であることを判別でき、かつドレン22における利用可能温度の下限値である。また、設定範囲とは、フラッシュ蒸気28が所定の乾き度以上に維持することができる上限の水位以下であり、かつ、ドレン22の出口が液封されて、ドレン22がフラッシュタンク23から排出される際にフラッシュ蒸気28がドレン22と共に排出されない下限の水位以上の範囲である。また、設定温度は、例えば60℃程度である。制御装置34は、各種センサから入力された各種電気信号に基づいて、検出結果を出力部47に送信する。
【0043】
出力部47は、制御装置34から送信された検出結果に基づき蒸気回収システム16などの運転情報を出力する。出力部47は、制御装置34から送信された検出結果に基づく運転情報を出力することで、蒸気回収システム16などの運転状態に異常があるか否かを知らせる。出力部47は、例えばランプの点灯もしくは点滅、または警報音などにより、運転情報を出力することができる。
【0044】
(蒸気調節弁V21の制御)
制御装置34は、圧力センサ31で検出されたフラッシュタンク23内の圧力の値に基づいて蒸気調節弁V21に制御信号を出力して蒸気調節弁V21を制御し、蒸気排出ラインL21を流れるフラッシュ蒸気28の排出量を調節する。
【0045】
図2は、蒸気調節弁V21を制御する手順の一例を示すフローチャートである。図2に示すように、ステップS11で、制御装置34は、圧力センサ31で検出された圧力に応じた電気信号からフラッシュタンク23内の圧力を検出する。制御装置34は、フラッシュタンク23内の圧力を検出した後、処理をステップS12に移行させる。ステップS12で、制御装置34は、圧力センサ31で検出された検出値と設定圧力とを比較し、検出圧力が設定圧力以上か否か判定する。ステップS12での比較の結果、制御装置34は、圧力センサ31で検出された検出値が設定圧力以上である場合(ステップS12:Yes)には、処理をステップS13に移行させる。ステップS13で、制御装置34は、蒸気調節弁V21を開き、フラッシュ蒸気28をフラッシュタンク23から排出する。また、蒸気調節弁V21がすでに開いている場合には、その開度をそのまま維持するかフラッシュタンク23内の圧力に応じて開度を調整して蒸気調節弁V21が開いている状態を維持する。
【0046】
また、ステップS12での比較の結果、圧力センサ31で検出された検出値が設定圧力未満である場合(ステップS12:No)には、制御装置34は、処理をステップS14に移行させる。ステップS14では、制御装置34は、蒸気調節弁V21を閉じて、フラッシュ蒸気28がフラッシュタンク23から排出されるのを停止する。
【0047】
このように、蒸気回収システム16は、フラッシュタンク23内の圧力に応じて蒸気調節弁V21の開度を調整している。このため、蒸気回収システム16は、フラッシュ蒸気28およびドレン22をフラッシュタンク23から所定圧以上の安定した圧力で排出することができる。この結果、蒸気回収システム16は、圧力の安定したフラッシュ蒸気28を第2負荷機器15に供給することができる。
【0048】
また、蒸気回収システム16は、フラッシュタンク23内の圧力が設定圧力よりも低下した場合には、蒸気調節弁V21を閉じてフラッシュタンク23からフラッシュ蒸気28を排出することを停止している。このため、蒸気回収システム16は、フラッシュ蒸気28がフラッシュタンク23から排出される際にフラッシュ蒸気28にドレン22が同伴して排出され、フラッシュ蒸気28の乾き度が低下することを抑制することができる。この結果、蒸気回収システム16は、乾き度が高いフラッシュ蒸気28を安定してフラッシュタンク23から排出し、第2負荷機器15に供給することができる。また、蒸気回収システム16は、フラッシュタンク23内にドレン22の排出圧として所定圧以上の安定した圧力を得ることができるため、ドレン22をフラッシュタンク23から排出する際、ドレン22をフラッシュタンク23から安定して排出することができる。
【0049】
第2負荷機器15の負荷が増大すると、通常よりも大量のフラッシュ蒸気28がフラッシュタンク23から第2負荷機器15へ送られるため、フラッシュタンク23の圧力が通常よりも大きく低下し、フラッシュ蒸気28がフラッシュタンク23から排出される際の流速も増大する。そのため、フラッシュタンク23内のドレン22がフラッシュ蒸気28に含まれやすくなり、ドレン22がフラッシュ蒸気28に同伴してフラッシュタンク23から排出され易くなる。その結果、フラッシュタンク23から排出されるドレン22の乾き度が低下する可能性がある。
【0050】
これに対し、蒸気回収システム16は、フラッシュタンク23内の圧力が設定圧力以上の場合、フラッシュタンク23内の圧力に応じて蒸気調節弁V21の開度を調整しながらフラッシュ蒸気28をフラッシュタンク23から排出するようにしている。このため、蒸気回収システム16は、第2負荷機器15における負荷が増大して、フラッシュタンク23から第2負荷機器15へ送られるフラッシュ蒸気28の供給量が変動しても、フラッシュタンク23の圧力が大きく低下し、フラッシュ蒸気28がフラッシュタンク23から排出される際の流速が増大することを抑制することができる。このため、蒸気回収システム16は、フラッシュ蒸気28がフラッシュタンク23から排出される際に、ドレン22がフラッシュ蒸気28に含まれてフラッシュ蒸気28と同伴して排出されることを抑制することができる。この結果、蒸気回収システム16は、乾き度が高いフラッシュ蒸気28をフラッシュタンク23から回収することができるため、蒸気回収システム16は、圧力の安定したフラッシュ蒸気28を第2負荷機器15に供給しつつ、乾き度の高いフラッシュ蒸気28を安定して第2負荷機器15に供給することができる。
【0051】
更に、一般に乾き度が低いフラッシュ蒸気が第2負荷機器15に供給されると、第2負荷機器15へ供給される熱量が低下する可能性がある。そのため、乾き度が低いフラッシュ蒸気を第2負荷機器15に供給する前に乾き度が低いフラッシュ蒸気に同伴するドレン22を除去するための装置を新たに設ける必要がある。これに対し、蒸気回収システム16は、乾き度の高いフラッシュ蒸気28をフラッシュタンク23から回収することができるため、フラッシュ蒸気28に同伴するドレン22を除去するための装置などを別途設けずに、乾き度の高いフラッシュ蒸気28をフラッシュタンク23から第2負荷機器15に安定して供給することができる。
【0052】
(第1ドレン排出弁V22の制御)
制御装置34は、水位検出器32で検出されたフラッシュタンク23内のドレン22の水位の値に基づいて第1ドレン排出弁V22に信号を出力する。そして、制御装置34は、第1ドレン排出弁V22を制御して第1ドレン排出弁V22の開度を調節し、第1ドレン排出ラインL22を流れるドレン22の排出量を調節させる。
【0053】
図3は、第1ドレン排出弁V22を制御する手順の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、ステップS21で、制御装置34は、水位検出器32の検出結果に応じた電気信号からフラッシュタンク23内のドレン22の水位を検出する。制御装置34は、フラッシュタンク23内のドレン22の水位を検出した後、処理をステップS22に移行させる。ステップS22で、制御装置34は、水位検出器32で検出された検出値と設定範囲とを比較する。ステップS22での比較の結果、水位検出器32で検出された検出値が、設定範囲内である場合(ステップS22:Yes)には、制御装置34は、処理をステップS23に移行させる。ステップS23では、制御装置34は、第1ドレン排出弁V22を開き、ドレン22をフラッシュタンク23から排出する。また、第1ドレン排出弁V22がすでに開いている場合には、制御装置34は第1ドレン排出弁V22の開度をそのまま維持するか第1ドレン排出弁V22の開度を調整して第1ドレン排出弁V22が開いている状態を維持する。
【0054】
また、ステップS22での比較の結果、水位検出器32で検出された検出値が、設定範囲外である場合(ステップS22:No)には、制御装置34は、処理をステップS24に移行させる。そして、ステップS24では、制御装置34は、水位検出器32で検出された検出値と設定範囲の上限値とを比較する。水位検出器32での比較の結果、水位検出器32で検出された検出値が設定範囲の上限値よりも高い場合(ステップS24:Yes)には、制御装置34は、処理をステップS25に移行させる。ステップS25では、制御装置34は、第1ドレン排出弁V22の開度を現在の開度よりも大きくする。また、第1ドレン排出弁V22が閉じている場合には、制御装置34は、第1ドレン排出弁V22を開く。
【0055】
ステップS24での比較の結果、水位検出器32で検出された検出値が、設定範囲の上限値よりも高くない場合(ステップS24:No)、すなわちフラッシュタンク23内のドレン22の水位が設定範囲の下限値よりも低い場合には、制御装置34は、処理をステップS26に移行させる。そして、ステップS26では、制御装置34は、第1ドレン排出弁V22の開度を小さくするか第1ドレン排出弁V22を閉じる。
【0056】
このように、蒸気回収システム16は、フラッシュタンク23内のドレン22の水位に応じて第1ドレン排出弁V22の開度を調節する。これにより、蒸気回収システム16は、第1負荷機器13の負荷変動に伴い、フラッシュタンク23内の水位の変動に合わせながらドレン22をフラッシュタンク23から排出することができる。この結果、蒸気回収システム16は、フラッシュタンク23内のドレン22の水位を設定範囲内に維持することができる。また、蒸気回収システム16は、フラッシュタンク23へのドレン22の供給量に応じてフラッシュタンク23から排出するドレン22の量を調節することができる。第1負荷機器13の負荷の変動により第1負荷機器13の蒸気使用量が変動して第1負荷機器13から排出されるドレン22の流量が多くなると、フラッシュタンク23内のドレン22の量が多くなりフラッシュタンク23内の水位が上昇する。そこで、蒸気回収システム16は、フラッシュタンク23内のドレン22の水位が設定範囲外となった場合には、制御装置34は、第1ドレン排出弁V22の開度を大きくすることで、フラッシュタンク23内のドレン22を、第1ドレン排出ラインL22を通過させて排出することができる。
【0057】
(第2ドレン排出弁V23の制御)
制御装置34は、温度センサ33の検出結果に基づいて、第2ドレン排出弁V23に信号を出力し、フラッシュタンク23からドレン22を排出する。
【0058】
図4は、第2ドレン排出弁V23を制御する手順の一例を示すフローチャートである。次の説明では、蒸気システム10の運転の起動初期の状態であって、第1ドレン排出弁V22および第2ドレン排出弁V23が閉じている状態とし、フラッシュタンク23内にドレン22がある程度溜まっている状態を前提とする。図4に示すように、ステップS31では、制御装置34は、温度センサ33の検出結果に応じた電気信号からフラッシュタンク23内のドレン22の温度を検出する。制御装置34は、フラッシュタンク23内のドレン22の温度を取得した後、処理をステップS32に移行させる。そして、ステップS32で、制御装置34は、温度センサ33で検出された検出値と設定温度とを比較し、温度センサ33で検出された検出値が設定温度よりも低いか否か判定する。
【0059】
第1負荷機器13の運転が初期の時に排出されるドレン22は、低温であって、スラッジ、錆などの不純物、空気などを大量に含んでいる場合が多い。そのため、第1負荷機器13の運転初期に排出されるドレン22をフラッシュタンク23で回収して給水タンク14に供給しても、ボイラ11で使用することは困難である。そのため、設定温度は、ドレン22における利用可能温度の下限値よりも高いことが必要である。
【0060】
ステップS32の比較の結果、温度センサ33で検出された検出値が設定温度よりも低い場合(ステップS32:Yes)には、制御装置34は、処理をステップS33に移行させる。ステップS33では、制御装置34は、第1ドレン排出弁V22が閉じている状態を維持したまま第2ドレン排出弁V23を開いて、ドレン22をフラッシュタンク23から第2ドレン排出ラインL23を通過させて排出する。制御装置34は、ドレン22をフラッシュタンク23から排出させた後、処理をステップS31に移行させる。ステップS31で、制御装置34は、温度センサ33の検出結果からフラッシュタンク23内のドレン22の温度を検出する。
【0061】
また、ステップS32での比較の結果、ドレン22の温度が設定温度よりも高い場合(ステップS32:No)には、制御装置34は、処理をステップS34に移行させる。ステップS34で、制御装置34は、第2ドレン排出弁V23を閉じて、ドレン22がフラッシュタンク23から第2ドレン排出ラインL23を通って排出されるのを停止する。また、制御装置34は、第1ドレン排出弁V22を開き、ドレン22をフラッシュタンク23から第1ドレン排出ラインL22を通して排出し、給水タンク14に供給する。
【0062】
このように、制御装置34は、ドレン22の温度に応じて第1ドレン排出弁V22の開度を調節すると共に第2ドレン排出弁V23の開閉を制御している。一般に、第1負荷機器13の起動時のように、第1負荷機器13の運転が初期の場合には、第1負荷機器13から排出されるドレン22は低温であり、第1負荷機器13から低温のドレン22が大量に排出される。そのため、低温のドレン22がフラッシュタンク23から大量に排出される。フラッシュタンク23から排出された低温のドレン22が給水タンク14に回収されると、給水タンク14内に溜められていたドレン22の温度の低下を招く可能性がある。また、第1負荷機器13の運転初期に排出されるドレン22は、スラッジ、錆などの不純物または空気などを大量に含んでいる場合が多い。そのため、フラッシュタンク23で回収したドレン22が給水タンク14に供給してしまうと、ボイラ11で使用することが困難となる。
【0063】
蒸気回収システム16は、ドレン22の温度が設定温度を下回っている場合には、制御装置34は、第1ドレン排出弁V22および第2ドレン排出弁V23を制御して、フラッシュタンク23のドレン22を、フラッシュタンク23から第1ドレン排出ラインL22を通さず、第2ドレン排出ラインL23を通して排出している。これにより、蒸気回収システム16は、低温であって、不純物または空気などを大量に含むドレン22が給水タンク14に供給されるのを抑制することができる。これにより、蒸気回収システム16は、利用可能なドレン22を安定して給水タンク14に供給することができる。この結果、蒸気回収システム16は、給水タンク14に供給されたドレン22を安定して使用することができる。
【0064】
さらに、蒸気システム10が第1負荷機器13を複数備えている場合、蒸気回収システム16が第1負荷機器13に接続されているドレン供給ラインL14ごとに設けられると、それぞれのドレン供給ラインL14ごとに対応することができる。
【0065】
また、蒸気回収システム16は、出力部47を備えている。出力部47は、制御装置34で算出された検出結果に基づく運転情報を出力することで、例えばランプの点灯、警報などにより蒸気回収システム16の運転状態に異常があるか否かを知らせる。これにより、蒸気回収システム16は、蒸気回収システム16の運転状態に異常が生じている可能性があることを作業員などに知らせることができるため、作業員などは蒸気回収システム16の異常を容易に認識することができる。
【0066】
このように、蒸気回収システム16は、制御装置34が、圧力センサ31、水位検出器32および温度センサ33の検出結果に基づいて、蒸気調節弁V21、第1ドレン排出弁V22および第2ドレン排出弁V23を制御する。これにより、蒸気回収システム16は、乾き度の高いフラッシュ蒸気28をフラッシュタンク23で安定して回収することができると共に、給水タンク14に利用可能なドレン22を安定して供給することができる。この結果、信頼性の高い蒸気システム10を提供することができる。
【0067】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。例えば、本実施形態では、水位検出器32は、フロート方式を採用しているが、これに限定されるものではなく、電極棒を用いる電極棒方式、水圧検出方式など公知の水位検出方法を採用した装置を用いてもよい。
【0068】
また、本実施形態においては、第2ドレン排出ラインL23が第1ドレン排出ラインL22から分岐して設けられているが、これに限定されるものではなく、第1ドレン排出ラインL22が第2ドレン排出ラインL23から分岐して設けられてもよいし、第1ドレン排出ラインL22および第2ドレン排出ラインL23がフラッシュタンク23にそれぞれ接続されていてもよい。
【0069】
また、本実施形態においては、フラッシュタンク23から排出されるドレン22またはバイパスラインL15を通るドレン22は、給水タンク14に供給して、給水タンク14のみでドレン22を溜めるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、第1ドレン排出ラインL22は、給水タンク14の上流側であって、具体的には、バイパスラインL15との接続箇所と給水タンク14との間に、給水タンク14とは別にドレンタンクを設けて、このドレンタンクにドレン22を溜めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 蒸気システム
11 ボイラ(蒸気供給源)
12 スチームヘッダ
13 第1負荷機器
14 給水タンク
15 第2負荷機器
16 蒸気回収システム
21 蒸気
22 ドレン
23 フラッシュタンク(分離部)
24 スチームトラップ
25 水
26 補給水
27 減圧蒸気
28 フラッシュ蒸気
31 圧力センサ(圧力検出部)
32 水位検出器(水位検出部)
33 温度センサ(温度計測部)
34 制御装置(制御部)
41 水位検出筒
42 フロート
43 水位センサ
45、46 連絡管
47 出力部
L11 第1蒸気供給ライン
L12 第2蒸気供給ライン
L13 第3蒸気供給ライン
L14 ドレン供給ライン
L15 バイパスライン
L21 蒸気排出ライン
L22 第1ドレン排出ライン
L23 第2ドレン排出ライン
L24 内圧調節用ライン
V11 緊急排出弁
V12、V25 減圧弁
V21 蒸気調節弁(蒸気調節部)
V22 第1ドレン排出弁(第1ドレン調節部)
V23 第2ドレン排出弁(第2ドレン調節部)
V24 安全弁
V26、V27 逆止弁
V28 内圧調節弁
図1
図2
図3
図4