(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記周波数分割部は、前記平均値減算信号を入力して周波数成分の分割に用いる周波数に対応した信号を生成する信号生成部及び前記周波数に対応した信号及び前記平均値減算信号を用いて減算処理により前記成分信号を生成する信号減算部を備える請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
前記信号生成部は、前記平均値減算信号から画像の急峻な変化を保持した平滑化サイズの異なる複数の信号を生成する信号生成回路を有する請求項5に記載の画像処理装置。
前記信号生成部は、前記平均値減算信号の補正対象画素の値と周辺画素の値との差分に応じて周辺画素の値を非線形変換した値を用いて画素毎に周辺領域の平滑化を行う非線形LPFを有する特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置100(実施の形態1に係る画像処理方法を実施する装置)の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、画像処理装置100は、入力画像の各画素を順に補正対象画素とする。画像処理装置100は、入力信号Yiを入力し、補正した後に出力信号Yoを出力する。ここで、入力信号Yiは、補正対象画素の信号である。また、出力信号Yoは、補正された補正対象画素の信号である。
【0011】
入力画像Yiは、可視カメラで撮影した画像の場合には、輝度信号、色差信号または3原色信号R,G,Bなどのコンポーネント信号である。赤外カメラの場合、画素信号そのものである。
【0012】
図1に示すように、実施の形態1に係る画像処理装置100は、平均値算出部1、平均値減算部2、遅延部3、周波数分割部40、ゲイン乗算部7、合成部10及びパラメータ決定部11を有する。周波数分割部40は、信号生成部4及び信号減算部5を有する。また、画像処理装置100は、絶対最大値算出部6、ノイズ除去部8及び非線形処理部9をさらに有することができる。以下、
図1を参照して、画像処理装置100の動作を説明する。
【0013】
平均値算出部1は、入力信号Yiの1画面の平均値Yavgを算出する。平均値減算部2は、平均値算出部1から出力される平均値Yavg及び入力信号Yiを入力する。平均値減算部2は、入力信号Yiから平均値Yavgを減算し、平均値減算信号Ysを算出する。平均値減算部2は、平均値減算信号Ysを遅延部3に出力する。
【0014】
遅延部3は、平均値算出部2から出力される平均値減算信号Ysを入力する。遅延部3は、平均値減算信号Ysに対して画素遅延処理を行う。遅延部3の行う画素遅延処理は、ライン遅延処理である。そして、遅延部3は、複数の画素の平均値減算信号Ysを同時に出力する。
【0015】
図2は、補正対象画素を中心とした画素空間配置を示す図である。
図2では、補正対象画素の平均値減算信号は信号P77である。例えば、
図2に示すように、遅延部3は、信号P77を中心とした垂直方向に15画素で水平方向に15画素の領域に含まれる平均減算信号P00〜PEEを同時に出力する。つまり、225画素の平均減算信号P00〜PEEが同時に出力される。信号P66は、補正対象画素の平均減算信号P77を1ラインと1画素だけ遅延させた信号である。補正対象画素の平均減算信号P77は、信号P88を1ラインと1画素だけ遅延させた信号である。
【0016】
例えば、
図3に示すように、遅延部3は、1画素分の遅延処理を行う画素遅延部PD及び1ライン分の遅延処理を行うライン遅延部LDの組み合わせにより構成される。
【0017】
信号生成部4及び信号減算部5は、例えば、入力信号である平均値減算信号Ysを4つの周波数成分に分ける。信号生成部4は、第一信号生成回路41、第二信号生成回路42及び第三信号生成回路43を有する。第一信号生成回路41は、第一の周波数以下の信号を生成する。第二信号生成回路42は、第二の周波数以下の信号を生成する。第三信号生成回路43は、第三の周波数以下の信号を生成する。平均値減算信号Ysを4つの周波数成分に分ける場合には、3つの周波数を決める必要がある。第一の周波数は、それらの3つの周波数の内の一番高い周波数である。第二の周波数は、それらの3つの周波数の内の真ん中の周波数である。第三の周波数は、それらの3つの周波数の内の一番低い周波数である。なお、実施の形態1では、平均値減算信号Ysを4つの周波数成分に分けているが、4つの周波数成分に限るものではない。必要に応じて、2つ又は3つの周波数成分に分けることもできる。また5つ以上の周波数成分に分けることもできる。
【0018】
第一信号生成回路41は、遅延部3が出力する信号P66から信号P88までを入力する。つまり、第一信号生成回路41は、信号P77に対して1ラインと1画素分だけ前に入力した信号P66から信号P77に対して1ラインと1画素分だけ後に入力した信号P88までの信号を入力する。第二信号生成回路42は、遅延部3が出力する信号P44から信号PAAまでを入力する。つまり、第二信号生成回路42は、信号P77に対して3ラインと3画素分だけ前に入力した信号P44から信号P77に対して3ラインと3画素分だけ後に入力した信号PAAまでの信号を入力する。第三信号生成回路43は、遅延部3が出力する信号P00から信号PEEまでを入力する。つまり、第三信号生成回路43は、信号P77に対して7ラインと7画素分だけ前に入力した信号P00から信号P77に対して7ラインと7画素分だけ後に入力した信号PEEまでの信号を入力する。第一信号生成回路41は、補正対象画素の信号P77に対する第一信号Y21を算出する。第二信号生成回路42は、補正対象画素の信号P77に対する第二信号Y22を算出する。第三信号生成回路43は、補正対象画素の信号P77に対する第三信号Y23を算出する。
【0019】
第一信号生成回路41は、非線形LPF部411を備えている。非線形LPF回路411は、補正対象画素の信号P77と周辺画素の信号P66から信号P88までの各信号との差分値を求める。非線形LPF部411は、それらの差分値に応じて、信号P66から信号P88までの周辺画素の信号を非線形変換した値を求める。例えば、差分値が小さい場合には、信号P66から信号P88までの各信号を非線形変換した値とする。また、差分値が大きい場合には、補正対象画素の信号P77を非線形変換した値とする。非線形LPF部411は、これらの信号P66から信号P88までの周辺画素の信号に対応した非線形変換した値を用いて補正対象画素の信号P66から信号P88までの周辺領域を平滑化する。
【0020】
第二信号生成回路42は、第一信号生成回路41と同様に、非線形LPF部421を備えている。非線形LPF回路421は、補正対象画素の信号P77と周辺画素の信号P44から信号PAAまでの各信号との差分値を求める。非線形LPF部421は、それらの差分値に応じて、信号P44から信号PAAまでの周辺画素の信号を非線形変換した値を求める。例えば、差分値が小さい場合には、信号P44から信号PAAまでの各信号を非線形変換した値とする。また、差分値が大きい場合には、補正対象画素の信号P77を非線形変換した値とする。非線形LPF部421は、これらの信号P44から信号PAAまでの周辺画素の信号に対応した非線形変換した値を用いて補正対象画素の信号P44から信号PAAまでの周辺領域を平滑化する。
【0021】
第三信号生成回路43は、第一信号生成回路41及び第二信号生成回路42と同様に、非線形LPF部431を備えている。非線形LPF部431は、補正対象画素の信号P77と周辺画素の信号P00から信号PEEまでの各信号との差分値を求める。非線形LPF部431は、それらの差分値に応じて、信号P00から信号PEEまでの周辺画素の信号を非線形変換した値を求める。例えば、差分値が小さい場合には、信号P00から信号PFFまでの各信号を非線形変換した値とする。また、差分値が大きい場合には、補正対象画素の信号P77を非線形変換した値とする。非線形LPF部431は、これらの信号P00から信号PEEまでの周辺画素の信号に対応した非線形変換した値を用いて補正対象画素の信号P00から信号PEEまでの周辺領域を平滑化する。第二信号生成回路43が出力する第三信号Y23は、補正対象画素の信号P77に対する低周波成分信号YLとなる。
【0022】
例えば、非線形LPF部411,421,431は、補正対象画素を中心とするN×N画素のウィンドウを設定する。そして、非線形LPF部411,421,431は、そのN×N画素のウィンドウ内の画素値の平均値を算出する。例えば、値DsをN×N画素のウィンドウ内の周辺画素の値とする。また、値Dcを補正対象画素の値とする。値Dsと値Dcとの差の絶対値が閾値THより小さい場合には、その周辺画素の値Dsを用いてN×N画素のウィンドウ内の平均値を算出する。一方、値Dsと値Dcとの差の絶対値が閾値TH以上である場合には、その周辺画素の値Dsを補正対象画素の値Dcとみなして、N×N画素のウィンドウ内の平均値を算出する。つまり、その周辺画素の値Dsを値Dcに入れ替えて平均値を求める。
【0023】
ここで、閾値THは予め設定しておいた値である。閾値THは、画像の急峻な変化を保持する際の変化量を調整するためのパラメータある。パラメータは、ユーザによる画質設定に応じて外部から変更できるようにしても良い。
【0024】
第一信号生成回路41、第二信号生成回路42及び第三信号生成回路43は、補正対象画素の信号P77と周辺画素の信号との差分値を基に、周辺画素の信号を非線形に変換している。そして、この非線形に変換した値を用いて補正対象画素の周辺領域を平滑化している。このため、第一信号Y21、第二信号Y22及び第三信号Y23は、遅延部3が出力する平均値減算信号Ysの急峻な変化を保持した平滑化サイズの異なる信号となる。ここで、「平滑化サイズ」とは、平滑化処理の対処とする領域の大きさである。ウィンドウサイズ又はカーネルサイズなどと呼ばれる。
【0025】
信号減算部5は、第一信号減算回路51、第二信号減算回路52及び第三信号減算回路53を備える。第一信号減算回路51は、補正対象画素の信号P77及び第一信号Y21を入力する。補正対象画素の信号P77は、遅延部3が出力する信号である。第一信号Y21は、第一信号生成回路41が出力する信号である。そして、第一信号減算回路51は、信号P77から第一信号Y21を減算する。これにより、第一信号減算回路51は、高周波成分信号YHを算出する。高周波成分信号YHは、補正対象画素の信号P77に対する高周波成分の信号である。
【0026】
第二信号減算回路52は、第一信号Y21及び第二信号Y22を入力する。第一信号Y21は、第一信号生成回路41が出力する信号である。第二信号Y22は、第二信号生成回路42が出力する信号である。そして、第二信号減算回路52は、第一信号Y21から第二信号Y22を減算する。これにより、第二信号減算回路52は、中高周波成分信号YMHを算出する。中高周波成分信号YMHは、補正対象画素の信号P77に対する中高周波成分の信号である。
【0027】
第三信号減算回路53は、第二信号Y22及び第三信号Y23を入力する。第二信号Y22は、第二信号生成回路42が出力する信号である。第二信号Y23は、第三信号生成回路43が出力する信号である。そして、第三信号減算回路53は、第二信号Y22から第三信号Y23を減算する。これにより、第三信号減算回路53は、中低周波成分信号YMLを算出する。中低周波成分信号YMLは、補正対象画素の信号P77に対する中低周波成分の信号である。
【0028】
第二信号Y23は、低周波成分信号YLとなる。第二信号Y23は、第三信号生成回路43が出力する信号である。
【0029】
中高周波成分信号YMHは、第一信号Y21から第二信号Y22を減算した信号である。中高周波成分信号YMHは、第一信号Y21から第二信号Y22を減算することにより、平均値減算信号Ysに含まれた急峻な変化が相殺された信号となる。これにより、中高周波成分信号YMHは、急峻な変化のない平滑化された信号となる。中低周波成分信号YMLは、第二信号Y22から第三信号Y23を減算した信号である。中低周波成分信号YMLは、第二信号Y22から第三信号Y23を減算することにより、平均値減算信号Ysに含まれた急峻な変化が相殺された信号となる。これにより、中低周波成分信号YMLは、急峻な変化のない平滑化された信号となる。つまり、中高周波成分信号YMH及び中低周波成分信号YMLは、急峻な変化のない平滑化サイズの異なる信号となる。平均値減算信号Ysは、遅延部3が出力する信号である。以上に示したように、信号生成部4及び信号減算部5は、入力信号である平均値減算信号Ysを4つの周波数成分に分けることができる。
【0030】
絶対最大値算出部6は、高周波成分信号YHに対して入力画像の1画面内の絶対最大値YHamaxを検出する。高周波成分信号YHは、補正対象画素の信号P77の高周波成分の信号である。また、絶対最大値算出部6は、中高周波成分信号YMHに対して入力画像の1画面内の絶対最大値YMHamaxを検出する。中高周波成分信号YMHは、補正対象画素の信号P77の中高周波成分の信号である。また、絶対最大値算出部6は、中低周波成分信号YMLに対して入力画像の1画面内の絶対最大値YMLamaxを検出する。中低周波成分信号YMLは、補正対象画素の信号P77の中低周波成分の信号である。また、絶対最大値算出部6は、低周波成分信号YLに対して入力画像の1画面内の絶対最大値YLamaxを検出する。低周波成分信号YLは、補正対象画素の信号P77の低周波成分の信号である。絶対最大値算出部6では、入力画像の1画面内の絶対最大値を検出する構成とした。この構成は簡易な構成なので、絶対最大値算出部6は、小さな回路規模で実現できる。
【0031】
ゲイン乗算部7は、乗算器71,72,73,74を備える。乗算器71は、高周波成分信号YHに対して、ゲイン値GaHを乗算する。そして、乗算器71は、ゲイン乗算信号YgHを算出する。乗算器72は、中高周波成分信号YMHに対して、ゲイン値GaMHを乗算する。そして、乗算器72は、ゲイン乗算信号YgMHを算出する。乗算器73は、中低周波成分信号YMLに対して、ゲイン値GaMLを乗算する。そして、乗算器73は、ゲイン乗算信号YgMLを算出する。乗算器74は、低周波成分信号YLに対して、ゲイン値GaLを乗算する。そして、乗算器74は、ゲイン乗算信号YgLを算出する。
【0032】
つまり、ゲイン乗算部7は、高周波成分信号YHにゲイン値GaHを乗算し、ゲイン乗算信号YgHを生成する。また、ゲイン乗算部7は、中高周波成分信号YMHにゲイン値GaMHを乗算し、ゲイン乗算信号YgMHを生成する。また、ゲイン乗算部7は、中低周波成分信号YMLにゲイン値GaMLを乗算し、ゲイン乗算信号YgMLを生成する。また、ゲイン乗算部7は、低周波成分信号YLにゲイン値GaLを乗算し、ゲイン乗算信号YgLを生成する。ゲイン値GaH、ゲイン値GaMH、ゲイン値GaML及びゲイン値GaLは、互いに異なるゲイン値である。
【0033】
このような構成としたので、ゲイン乗算部7は、画像データ中の大きさの異なる小さい信号レベルの差を個別に増幅できる。例えば、画像データに壁面が含まれている場合には、可視カメラであれば壁面の先鋭な傷(高周波成分)、壁面の大きさの異なる輝度(中高周波成分又は中低周波成分)及び壁面の大きさの異なる色のムラ(中高周波成分又は中低周波成分)をそれぞれ個別に増幅して視認できる。
【0034】
ノイズ除去部8は、ノイズ除去回路81,82,83,84を備えている。ノイズ除去回路81は、ゲイン乗算信号YgHに対してノイズ除去を行う。そして、ノイズ除去回路81は、ノイズ除去信号YnHを算出する。ノイズ除去回路82は、ゲイン乗算信号YgMHに対してノイズ除去を行う。そして、ノイズ除去回路82は、ノイズ除去信号YnMHを算出する。ノイズ除去回路83は、ゲイン乗算信号YgMLに対してノイズ除去を行う。そして、ノイズ除去回路83は、ノイズ除去信号YnMLを算出する。ノイズ除去回路84は、ゲイン乗算信号YgLに対してノイズ除去を行う。そして、ノイズ除去回路84は、ノイズ除去信号YnLを算出する。
【0035】
図3は、遅延部3の一例を示すブロック構成図である。遅延部3は、ライン遅延回路LD及び画素遅延回路PDを有する。
図3のライン遅延回路LDは、ライン遅延回路LDへの入力信号を1ライン遅延して出力する。画素遅延回路PDは、画素遅延回路PDへの入力信号を1画素遅延して出力する。例えば、遅延部3への入力信号を信号P00とすると、信号P00は、画素遅延回路PDとライン遅延回路LDとへ入力される。画素遅延回路PDへ入力された信号P00は、1画素遅延して信号P01となり、次の画素遅延回路PDに入力される。ライン遅延回路LDへ入力された信号P00は、1ライン遅延して信号P10となり、画素遅延回路PDとライン遅延回路LDとへ入力される。
図3のブロック構成では、信号P00は、最大で(15ライン+15画素)の遅延をして、信号PEEとなって出力される。
【0036】
図4は、ノイズ除去回路81,82,83,84の具体的な処理の一例を説明するための特性図である。ノイズ除去部8は、ノイズ除去回路81,82,83,84を有する。
図4の横軸は、ノイズ除去回路81,82,83,84の入力信号YgXである。ここで、符号XはL、ML、MH又はHである。
図4の縦軸は、ノイズ除去回路81,82,83,84の出力信号YnXである。ここで、符号XはL、ML、MH又はHである。ノイズ除去回路81,82,83,84は、クリップ処理部を備える。クリップ処理部は、入力信号YgXの絶対値がノイズ除去閾値NcX未満の値の場合には、出力信号YnXとして0(ゼロ)を出力する。ここで、入力信号YgXの符号X、ノイズ除去閾値NcXの符号X及び出力信号YnXの符号Xは、H、MH、ML又はLである。
【0037】
ノイズ除去回路81,82,83,84は、ゲイン乗算信号YgH,YgMH,YgML,YgLのそれぞれに対して、ノイズ除去を行う構成とした。このため、ノイズ除去回路81,82,83,84は、画像データに含まれる大きさの異なるノイズを除去することができる。
【0038】
非線形処理部9は、非線形処理回路91,92,93,94を備える。非線形処理回路91は、ノイズ除去信号YnHに対して階調圧縮を行う。そして、非線形処理回路91は、非線形処理信号YcHを算出する。非線形処理回路92は、ノイズ除去信号YnMHに対して階調圧縮を行う。そして、非線形処理回路92は、非線形処理信号YcMHを算出する。非線形処理回路93は、ノイズ除去信号YnMLに対して階調圧縮を行う。そして、非線形処理回路93は、非線形処理信号YcMLを算出する。非線形処理回路94は、ノイズ除去信号YnLに対して階調圧縮を行う。そして、非線形処理回路93は、非線形処理信号YcLを算出する。ノイズ除去信号YnH,YnMH,YnML,YnLは、ノイズ除去部8の出力信号である。
【0039】
非線形処理部9は、階調圧縮を行う非線形処理回路91,92,93,94を備える構成とした。非線形処理回路91,92,93,94は、ゲイン乗算部7によって増幅された信号階調を越える信号を、階調圧縮処理により完全には潰さない。このため、非線形処理回路91,92,93,94は、非線形処理信号YcH,YcMH,YcML,YcLの信号階調を残すことが可能となる。
【0040】
合成部10は、非線形処理信号YcH,YcMH,YcML,YcL及び平均値Yavgを入力する。非線形処理信号YcH,YcMH,YcML,YcLは、非線形処理部9が出力する信号である。平均値Yavgは、平均値算出部1が出力する信号である。合成部10は、非線形処理信号YcH,YcMH,YcML,YcL及び平均値Yavgを合成して出力信号Yoを生成する。例えば、合成部10は、非線形処理信号YcH,YcMH,YcML,YcLに平均値Yavgを加算して出力信号Yoを生成する。合成部10は、出力信号Yoを算出する。
【0041】
パラメータ決定部11は、絶対最大値YHamax,YMHamax,YMLamax,YLamaxを入力する。絶対最大値YHamax,YMHamax,YMLamax,YLamaxは、絶対最大値算出部6が出力する高周波成分信号YH、中高周波成分YMH、中低周波成分YML、低周波成分YLの入力画像の1画面内の絶対最大値である。つまり、絶対最大値YHamaxは、絶対最大値算出部6が出力する高周波成分信号YHの入力画像の1画面内の絶対最大値である。絶対最大値YMHamaxは、絶対最大値算出部6が出力する中高周波成分YMHの入力画像の1画面内の絶対最大値である。絶対最大値YMLamaxは、絶対最大値算出部6が出力する中低周波成分YMLの入力画像の1画面内の絶対最大値である。絶対最大値YLamaxは、絶対最大値算出部6が出力する低周波成分YLの入力画像の1画面内の絶対最大値である。パラメータ決定部11は、ゲイン乗算値GaH,GaMH,GaML,GaL及びノイズ除去閾値NcH,NcMH,NcML,NcLを算出する。
【0042】
パラメータ決定部11は、高周波成分信号YHの絶対最大値YHamax、中高周波成分信号YMHの絶対最大値YMHamax、中低周波成分信号YMLの絶対最大値YMLamax及び低周波成分信号YLの絶対最大値YLamaxを入力する。そして、パラメータ決定部11は、ゲイン乗算値GaH,GaMH,GaML,GaLを算出する。例えば、ゲイン乗算値GaH,GaMH,GaML,GaLは、階調の最大値を超えないように設定される。また、パラメータ決定部11は、ノイズ除去閾値NcH,NcMH,NcML,NcLを算出する。絶対最大値YHamax,YMHamax,YMLamax,YLamaxは、絶対最大値算出部6が出力する。入力画像の全体のコントラストが高い場合には、ゲイン乗算値GaLを1未満とし、ゲイン乗算信号YgH,YgMH,YgMLの値を十分に大きくする。これにより、画像の中の局所領域のコントラストの改善を重視した処理を行うこともできる。そして、入力画像全体のコントラストが低い場合には、ゲイン乗算値GaLを1以上とし、ゲイン乗算信号YgH,YgMH,YgMLの値は適度に大きくする。これにより、画像全体のコントラストと画像の中の局所領域のコントラストとを改善できる。以上の構成により、パラメータ決定部11は、入力画像の全体のコントラストに関わりなく、画像データに含まれる高周波成分信号YH、中高周波成分信号YMH及び中低周波成分信号YMLのゲイン乗算値GaH,GaMH,GaMLを個別に増幅できる。また、パラメータ決定部11は、画像の高周波成分信号YH、中高周波成分信号YMH、中低周波成分信号YML及び低周波成分信号YLの振幅比率に応じて、4つの成分信号に対するノイズ除去閾値NcH,NcMH,NcML,NcLを決定することができる。
【0043】
実施の形態1では、周波数分割部40が、高周波成分信号YH、中高周波成分信号YMH、中低周波成分信号YML、低周波成分信号YLの4つ信号を生成するように構成した。しかし、周波数分割部40が、4つ以上の信号を生成するように構成してもよい。この場合、画像の局所領域の特性をより多く分解して扱うことが可能となる。
【0044】
実施の形態1では、ノイズ除去部8は、ノイズ除去回路84を備える構成とした。ノイズ除去回路84は、低周波成分信号YLのゲイン乗算信号YgLに対してもノイズ除去を行う。しかし、低周波成分信号YLに低周波ノイズが含まれない場合には、ノイズ除去回路84を備えない構成としてもよい。この場合、回路規模を小さくすることができる。低周波成分信号YLは、第3信号生成回路において生成される信号である。なお、ノイズ除去部8は、不必要と判断される場合には、省くことができる。
【0045】
実施の形態1では、非線形処理部9は、階調圧縮を行う非線形処理回路91,92,93,94を備える構成とした。しかし、上限値及び下限値でクリップする処理部を備える構成としてもよい。この場合、回路規模を小さくすることができる。なお、非線形処理部9は、不必要と判断される場合には、省くことができる。
【0046】
次に、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置100の動作を説明する。
図5は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置100の動作を示すフローチャートである。
【0047】
まず、平均値算出部1が、入力信号Yiの平均値Yavgを算出する(S1)。次に、平均値減算部2が、平均値Yavgを入力信号Yiから減算して平均値減算信号Ysを生成する(S2)。
【0048】
次に、遅延部3が、タイミングを揃えて補正対象画素及び補正対象画素の周辺画素の平均値減算信号Ysを出力する。つまり、遅延部3は、複数の画素の平均値減算信号Ysを同時に出力する。次に、信号生成部4が、第一信号Y21、第二信号Y22及び第三信号Y23を生成する(S3)。具体的には、非線形LPF部が、入力信号Yiの補正対象画素毎に、補正対象画素の周辺画素の値を非線形変換して補正対象画素の周辺領域の平滑化する。
【0049】
次に、信号減算部5が、平均値減算信号Ys及び第一信号Y21から高周波成分信号YHを生成し、第一信号Y21及び第二信号Y22から中高周波成分信号YMHを生成し、第二信号Y22及び第三信号Y23から、中低周波成分信号YMLを生成する。(S4)。
【0050】
次に、絶対最大値算出部6が、高周波成分信号YH、中高周波成分信号YMH、中低周波成分信号YML及び低周波成分信号YLの各々の信号に対する1画面内の絶対最大値を算出する(S5)。低周波成分信号YLは、第三信号Y23である。
【0051】
次に、パラメータ決定部11が、絶対最大値算出部6が出力する4つの絶対最大値YHamax,YMHamax,YMLamax,YLamaxの情報から、4つのゲイン乗算値GaH,GaMH,GaML,GaL及び4つのノイズ除去閾値NcH,NcMH,NcML,NcLを決定する(S6)。ゲイン乗算値GaH,GaMH,GaML,GaLは、ゲイン乗算部7で使用される。ノイズ除去閾値NcH,NcMH,NcML,NcLは、ノイズ除去部8で使用される。
【0052】
次に、ゲイン乗算部7が、高周波成分信号YHにゲイン値GaHを乗算してゲイン乗算信号YgHを算出し、中高周波成分信号YMHにゲイン値GaMHを乗算してゲイン乗算信号YgMHを算出し、中低周波成分信号YMLにゲイン値GaMLを乗算してゲイン乗算信号YgMLを算出し、低周波成分信号YLにゲイン値GaLを乗算してゲイン乗算信号YgLを算出する(S7)。
【0053】
次に、ノイズ除去部8が、ゲイン乗算信号YgHについてのノイズ除去信号YnHを算出し、ゲイン乗算信号YgMHについてのノイズ除去信号YnMHを算出し、ゲイン乗算信号YgMLについてのノイズ除去信号YnMLを算出し、ゲイン乗算信号YgLについてのノイズ除去信号YnLを算出する(S8)。具体的には、
図4に示すように、入力信号YgXの絶対値がノイズ除去閾値NcX未満の値の場合には、出力信号YnXとして0(ゼロ)を出力する。ここで、入力信号YgXの符号X、ノイズ除去閾値NcXの符号X及び出力信号YnXの符号Xは、H、MH、ML又はLである。
【0054】
次に、非線形処理部9がノイズ除去信号YnLに対して非線形処理の階調圧縮を行って非線形処理信号YcLを算出し、ノイズ除去信号YnMLに対して非線形処理の階調圧縮を行って非線形処理信号YcMLを算出し、ノイズ除去信号YnMHに対して非線形処理の階調圧縮を行って非線形処理信号YcMHを算出し、ノイズ除去信号YnHに対して非線形処理の階調圧縮を行って非線形処理信号YcHを算出する(S9)。
【0055】
次に、合成部10が、非線形処理信号YcH,YcMH,YcML,YcL及びYavgを合成して出力信号Yoを算出する(S10)。平均値Yavgは、平均値算出部1が出力する値である。
【0056】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置110の構成を示すブロック図である。本実施の形態2に係る画像処理装置110は、下記の2点において実施の形態1と相違する。第1の相違点は、平均値算出部1の出力である平均値Yavgをパラメータ決定部11の入力信号としている点である。第2の相違点は、合成部10において平均値算出部1の出力である平均値Yavgの代わりに、パラメータ決定部11の出力である目標値Ytgtを入力信号としている点である。パラメータ決定部11及び合成部10以外の各部の内部構成は実施の形態1と同様であるのでその詳細な説明は省略する。実施の形態1と同様の構成要素は、平均値減算部2、遅延部3、信号生成部4、信号減算部5、絶対最大値算出部6、ゲイン乗算部7、ノイズ除去部8、非線形処理部9及び周波数分割部40である。
【0057】
パラメータ決定部11は、平均値算出部1が出力する平均値Yavgを入力する。平均値Yavgが出力信号Yoの階調の中間値を基に決定した閾値を超える場合には、パラメータ決定部11は、閾値でクリップした値を目標値Ytgtとして出力する。平均値Yavgが出力信号Yoの階調の中間値を基に決定した閾値を越えない場合には、パラメータ決定部11は、平均値Yavgを目標値Ytgtとして出力する。なお、「超える」とは、平均値Yavgが閾値と等しい場合を含まない。また、「超えない」とは、平均値Yavgが閾値と等しい場合を含む。
【0058】
合成部10は、非線形処理部9が出力する非線形処理信号YcH,YcMH,YcML,YcL及び目標値Ytgtを合成して出力信号Yoを算出する。目標値Ytgtは、パラメータ決定部11が出力する値である。
【0059】
合成部10は、平均値Yavgではなく、目標値Ytgtを非線形処理信号YcH,YcMH,YcML,YcLと合成するように構成した。平均値Yavgは、平均値算出部1が出力する入力信号Yiの平均値である。目標値Ytgtは、パラメータ決定部11が出力する値である。このため、平均値Yavgが出力信号Yoの階調の中間値と離れている場合には、目標値Ytgtを階調の中間値とする。これにより、入力信号Yiの平均値に関わりなく、出力信号Yoの階調全体を使って、出力信号Yoを生成することができる。
【0060】
実施の形態1および2では、外付けフレームメモリを用いることなく画素単位で、入力信号Yiに対してコントラスト補正信号を生成することができる。また、複雑な演算を行う必要が無いので、構成の簡素化を実現できる。また、その結果、コスト低減を図ることができる。
【0061】
また、上述の画像処理装置100,110は、特に、赤外線カメラなどで撮影したコントラストの低い画像の全体或いは画像の局所領域の視認性を向上させるために画像のコントラスト、鮮鋭度を改善する処理、及びそれに伴って強調されるノイズを低減する処理に適している。
【0062】
なお、以上のように本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限るものではない。