(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子写真方式の画像形成装置には、発熱源となる定着器が内蔵されている。そのため、従来は、下側筐体に排気ファンを設け、この排気ファンを作動させて下側筐体内にこもった熱気を強制的に外部に排出する、といった対策が取られていた。ただし、このような排気ファンを設ければ、その分だけ電力消費量が増大し、環境負荷も増大するという問題がある。
【0006】
一方、上記のような排気ファンを設けなければ、その分だけ電力消費量を抑制することは可能である。しかし、単に排気ファンを廃止するだけでは、当然ながら下側筐体に熱がこもりやすくなる。
【0007】
そのため、特に、上述のような媒体排出空間が下側筐体と上側筐体との間に形成されている場合には、下側筐体内部の熱気が、被記録媒体の排出経路を伝って上述の媒体排出空間へと流れ込みやすくなる可能性がある。このような場合、媒体排出空間へ排出されたシートを利用者が手にする際に、手に予期しない熱気を感じる可能性があり、気温の高い環境下(例えば夏場)などにおいては、利用者が熱気で不快な思いをすることが懸念される。
【0008】
本発明は、上記のような背景のもとで完成されたものであり、その目的は、装置内の熱気を効率良く装置外へと排出可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
本発明の画像形成装置は、露光部、現像部、及び定着部を含む電子写真方式の画像形成部と、前記画像形成部によって画像が形成されたシートを外部に排出する排出部と、前記画像形成部及び前記排出部が設けられた下側筐体と、前記下側筐体の上方に配設された上側筐体とを備え、前記上側筐体の下面側には、下端から上端に向かって斜め上方へと延びる形状とされた第一傾斜面が形成され、前記第一傾斜面の下端は、前記定着部で加熱された熱気が下方から上昇してくる位置に配置されるとともに、前記第一傾斜面の上端は、前記第一傾斜面の下端から前記第一傾斜面に沿って斜め上方へと流れる熱気を前記排出部から離れる方向へと導く位置に配置されており、しかも、前記第一傾斜面の上端は、装置の外側と内側とを区画する隔壁の内側に設けられていて、前記隔壁には、前記第一傾斜面に沿って流れてくる熱気を装置の外側へと排出するための排気口が形成されている。
【0010】
このように構成された画像形成装置によれば、定着部で加熱された熱気を下側筐体の下面側に形成された第一傾斜面に沿って排出部から離れる方向へと案内し、その熱気を排気口から装置の外側へと排出することができる。したがって、上記第一傾斜面相当の構成を備えていない場合に比べ、熱気を効率良く装置外へ排出することができ、装置内の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0011】
また、第一傾斜面に沿って案内される熱気は、排出部から離れる方向へと案内されるので、排出部から熱気が排出されるのを抑制することができる。したがって、排出部から熱気が排出されやすい装置に比べ、排出部から排出されたシートを利用者が手にする際に、手に熱気を感じなくても済み、利用者が熱気で不快な思いをすることがない。
【0012】
ところで、本発明の画像形成装置は、前記定着部の上方を覆うカバー部が設けられ、前記カバー部の下面側には、下端から上端に向かって斜め上方へと延びる形状とされた第二傾斜面が形成され、前記第二傾斜面の下端は、前記定着部の上方に配置されるとともに、前記第二傾斜面の上端は、前記第一傾斜面の下端の下方に配置されていることが好ましい。
【0013】
このように構成された画像形成装置によれば、定着部で発生した熱気を第二傾斜面によって案内できるので、第一傾斜面の下端と定着部が上下方向に重ならない位置関係にある場合でも、定着部で発生した熱気を第一傾斜面へと導くことができる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置において、前記第一傾斜面の下端は、上下方向において、前記第二傾斜面の上端と同一位置、又は前記第二傾斜面と重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0015】
このように構成された画像形成装置によれば、第一傾斜面と第二傾斜面は、第一傾斜面の下端が、上下方向において、第二傾斜面の上端と同一位置、又は第二傾斜面と重なる位置にあるため、下方から見たときに、第一傾斜面の下端と第二傾斜面の上端との間に隙間がないように見える配置状態となる。したがって、そのような隙間があるように見える配置状態となっているものに比べ、第二傾斜面側から第一傾斜面側へ効率良く熱気が流れ、熱気の排出効率を改善することができる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置において、前記定着部は、加熱ローラ及び加圧ローラを備え、前記カバー部には、前記第二傾斜面に沿って流れてくる熱気を前記カバー部の上方へと放出するための通気口が形成され、前記加熱ローラの軸方向について、前記通気口の寸法は、前記加熱ローラの寸法以上とされていることが好ましい。
【0017】
このように構成された画像形成装置によれば、定着部で温められた熱気を効率良く通気口から放出できる。
また、本発明の画像形成装置において、前記上側筐体には、原稿の画像を読み取る読取部が設けられていることが好ましい。
【0018】
このように構成された画像形成装置によれば、読取部を収容するために設けられた上側筐体の下面を利用して、定着部からの熱気を装置の外側へ導くことができる。
また、本発明の画像形成装置において、前記上側筐体内部の底面は、上下方向について、最も高い位置にある箇所が第一位置にある第一範囲と、最も高い位置にある箇所が前記第一位置よりも上方の第二位置にある第二範囲とを有し、前記第一傾斜面は、前記第二範囲の下方に形成されていることが好ましい。
【0019】
このように構成された画像形成装置によれば、上側筐体内部の底面が高くなっている箇所(第二範囲に対応する箇所)の下方に第一傾斜面が形成してあるので、上側筐体内部の底面が低い箇所(例えば第一範囲に対応する箇所)の下方に第一傾斜面を形成する場合に比べ、上側筐体の上下方向寸法を大きくすることなく傾斜面を形成することができ、装置全体の薄型化を図ることができる。
【0020】
また、本発明の画像形成装置において、一端が前記読取部に接続されるとともに、他端が前記読取部によって読み取られた画像を処理する処理部に接続されたフラットケーブルを備え、前記読取部は、原稿の画像を読み取る際に前記上側筐体の内部を往復移動するように構成されるとともに、前記フラットケーブルの一部が前記上側筐体の内部に配線されており、当該上側筐体の内部に配線された部分は、前記一端から前記読取部の移動方向へと延びる上側部分と、前記上側部分から下方へU字状に湾曲する湾曲部分と、前記湾曲部分から前記上側部分と並行して前記読取部の移動方向へと延びる下側部分とを有し、前記読取部が、往動方向及び復動方向のうち、いずれか一方向へ移動した際には、前記フラットケーブル上における前記湾曲部分の位置が変化することで、前記上側部分が前記下側部分よりも長くなる一方、他方向へ移動した際には、前記下側部分が前記上側部分よりも長くなるように構成され、前記上側筐体内部の底面は、前記下側部分が前記上側部分よりも長くなったときに前記下側部分の下方となる範囲が前記第一範囲とされており、前記上側部分が前記下側部分よりも長くなったときに前記上側部分の下方となる範囲かつ前記下側部分の下方とはならない範囲が前記第二範囲とされていることが好ましい。
このように構成された画像形成装置によれば、読取部の往復移動に伴って上述のようにフラットケーブルの形状が変化すると、第一範囲の上方には上述の下側部分及び上側部分の双方が到来する。ただし、第一範囲では底面の最も高い位置にある箇所が第二位置よりも下方の第一位置にあるので、最も高い位置にある箇所が第一位置よりも上方の第二位置にある第二範囲に比べ、上下方向の空間に余裕がある。そのため、このような余裕のある空間に上述の下側部分及び上側部分の双方が到来しても、湾曲部分の曲率が過度に大きくなったり上側部分と下側部分が過度に接近したりすることはない。一方、第二範囲は底面の最も高い位置にある箇所が第一位置よりも上方の第二位置にあり、この箇所では上下方向の空間が第一範囲よりも狭くなるが、この第二範囲の上方には上述の上側部分しか到来しない。そのため、第二位置にある箇所の上側となる部分に下側部分が重なることはなく、この場合も湾曲部分の曲率が過度に大きくなることはない。
【0021】
したがって、第二範囲において最も高い位置にある箇所が第一位置よりも上方の第二位置にあることが原因となって、フラットケーブルに過大なストレスをかけてしまうことはなく、上述のような第一傾斜面の形成箇所とフラットケーブルの配線領域を両立させて確保することができる。
【0022】
また、本発明の画像形成装置において、前記第一傾斜面は、傾きの異なる複数の傾斜面を組み合わせて構成されていることが好ましい。
このように構成された画像形成装置によれば、上側筐体側の構造上の都合で所定の傾きを持つ単一の傾斜面を設けることが困難な場合でも、上側筐体側の構造上の都合に応じて傾きの異なる複数の傾斜面を組み合わせて、所期の性能を発揮する第一傾斜面を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。本実施形態において例示する画像形成装置は、画像形成装置としての機能(プリント機能)に加え、その他の機能(例えば、イメージスキャン機能、コピー機能、ファクシミリ送受信機能など)を兼ね備えた複合機として構成されたものである。なお、以下の説明においては、複合機の各部について、それらの相対的な位置関係を簡潔に説明するため、図中に併記した上下左右前後の各方向を利用して説明を行う。
【0025】
[複合機の構造]
図1に示すように、複合機1は、下部ユニット2と、下部ユニット2の上側に搭載された上部ユニット3とを備える。上部ユニット3は、下部ユニット2に対して開閉可能に取り付けられている。上部ユニット3を閉じると、下部ユニット2の上面側は上部ユニット3に覆われる。上部ユニット3を開くと、下部ユニット2の上面側は外部に露出する。
【0026】
下部ユニット2は、下側筐体2Aを備える。下側筐体2Aの内部には、周知のCPU,ROM,RAMなどを備える制御基板によって構成される処理部11と、被記録媒体に対して電子写真方式で画像を形成する画像形成部12などが収容されている。
【0027】
上部ユニット3は、上側筐体3Aと、上側筐体3Aの上面側を覆う原稿カバー3Bとを備える。原稿カバー3Bは、上側筐体3Aに対して開閉可能に取り付けられる。原稿カバー3Bを開放すると、原稿カバー3Bによって覆われていた上側筐体3Aの上面側が外部に露出する。
【0028】
上側筐体3Aの内部には、原稿の画像を読み取る読取部13(
図2参照。)などが収容されている。原稿カバー3Bには、ADF(Automatic Document Feeder;自動原稿送り装置)によって構成される原稿搬送部(図示略)が設けられている。上部ユニット3の前側上部には、利用者によって操作される操作部15が設けられている。
【0029】
[下部ユニットの詳細]
下部ユニット2には、
図1に示すように、シート供給部21が設けられ、このシート供給部21から画像形成部12へ被記録媒体が供給される。画像形成部12は、プロセスカートリッジ22、露光部23、定着部24などを備える。画像形成部12において画像が形成された被記録媒体は、画像形成部12から排出部25へと搬送されて装置外へ排出される。
【0030】
シート供給部21は、シート供給トレイ30、シート供給ローラ31、分離ローラ32、分離パッド33、レジストローラ対34などを備える。プロセスカートリッジ22は、感光体35、帯電器36、現像剤供給ローラ37、現像ローラ38、転写ローラ39などを備える。定着部24は、加熱ローラ41、加圧ローラ42などを備える。排出部25は、排出ローラ対45、シート排出トレイ46などを備える。
【0031】
シート供給トレイ30に載置された被記録媒体は、シート供給ローラ31によってシート供給トレイ30から引き出されて、搬送経路(
図1中に破線で示す経路。)の下流側へと送り出される。その際、被記録媒体は、分離ローラ32及び分離パッド33によって1枚ずつに分離されてから、搬送経路下流側へと送られる。被記録媒体がレジストローラ対34に当接すると、被記録媒体の先端位置が位置決めされるとともに、搬送方向に対する傾きが矯正される。
【0032】
プロセスカートリッジ22及び露光部23は、協働して被記録媒体に対して画像を形成する。具体的には、プロセスカートリッジ22は、搬送経路に沿って搬送される被記録媒体を表裏から挟み込む位置に、感光体35及び転写ローラ39を備えている。画像を形成する際には、感光体35の表面を帯電器36で帯電させた後、露光部23が備えるレーザースキャナから照射されるレーザー光(
図1中に二点鎖線で示す矢印参照。)で感光体35を走査することにより、感光体35の表面に静電潜像が描かれる。現像ローラ38の表面には、現像剤供給ローラ37から供給される現像剤が担持され、この現像剤を担持した表面で現像ローラ38が感光体35の表面に接触することで、感光体35の表面には現像剤によって顕像が形成される。こうして形成された顕像は、感光体35と転写ローラ39との間に被記録媒体が挟み込まれた際に、被記録媒体側へと転写される。
【0033】
上記顕像が転写された被記録媒体は、更に搬送経路下流側へと送り出されて定着部24に至る。定着部24では、被記録媒体が加熱ローラ41と加圧ローラ42の間に挟み込まれて加熱及び加圧を受け、被記録媒体に転写された顕像が被記録媒体に定着する。定着部24から送り出された被記録媒体が排出部25に至ると、排出ローラ対45によってシート排出トレイ46の上面側へと排出される。なお、シート排出トレイ46は、上部ユニット3と下部ユニット2の間に形成される媒体排出空間48内に配置されている。
【0034】
[上部ユニットの詳細]
上部ユニット3は、
図1に示すように、上側筐体3Aの上面側に配設されたプラテンガラス51を備える。プラテンガラス51の下方には、
図2に示すように、イメージセンサによって構成される読取部13、キャリッジ54、ガイド部55、FFC(Flexible Flat Cable)56(本発明でいうフラットケーブルの一例に相当。)などが設けられている。
【0035】
読取部13は、本実施形態の場合、密着イメージセンサ(CIS;Contact Image Sensor)とされている。読取部13が有する複数の読取素子は、複合機1における前後方向に配列されている。以下、この読取素子の配列方向である前後方向のことを主走査方向とも称する。
【0036】
読取部13は、キャリッジ54上に搭載されている。読取部13とキャリッジ54との間には図示しない圧縮ばねが介装され、読取部13とプラテンガラス51との間には図示しないスペーサが介装されている。これらの構成により、読取部13は、プラテンガラス51との間に所定の間隙をなす状態でプラテンガラス51側(上方)に向かって押圧されている。
【0037】
キャリッジ54は、図示しないモーターによって駆動されるタイミングベルト(図示略)に連結されており、タイミングベルトが駆動された際には、ガイド部55に沿って読取部13とともに左右方向へ往復移動する。以下、読取部13及びキャリッジ54の移動方向である左右方向のことを副走査方向とも称する。ガイド部55は、樹脂材料によって上側筐体3Aと一体成形されたもので、上側筐体3Aの底部内面から上方へ突出する部分が左右方向に延在する形状とされている。そして、
図2における左側が読取部13の待機位置であり、読取部13は、この位置から右側に移動しながら(往動)、プラテンガラス51に支持されている原稿の画像を読み取る。また、読取部13は、原稿の読取が終了すると、左側の待機位置に戻る(復動)。
【0038】
FFC56は、一部が上側筐体3Aの内部に配線され、残りの部分は上側筐体3Aの外部へと導出されて処理部11に接続されている。このFFC56のうち、上側筐体3Aの内部に配線された部分は、
図3(a)〜
図3(c)に示すように、一端56Aが読取部13に接続され、他端56Bが上側筐体3Aの底部に固定されている。
【0039】
また、上記一端56Aから他端56Bに至る部分は、一端56Aから副走査方向(読取部13の移動方向)へと延びる上側部分56Cと、上側部分56Cから下方へU字状に湾曲する湾曲部分56Dと、湾曲部分56Dから上側部分56Cと並行して副走査方向へと延びる下側部分56Eとを有する。
【0040】
読取部13が、復動方向へ移動した際には(
図3(a)参照。)、FFC56上における湾曲部分56Dの位置が変化することで、上側部分56Cは下側部分56Eよりも長くなる。一方、読取部13が、往動方向へ移動した際には(
図3(c)参照。)、下側部分56Eは上側部分56Cよりも長くなる。
【0041】
以下、下側部分56Eが上側部分56Cよりも長くなったときに下側部分56Eの下方となる範囲を第一範囲S1、上側部分56Cが下側部分56Eよりも長くなったときに上側部分56Cの下方となる範囲かつ下側部分56Eの下方とはならない範囲を第二範囲S2と称する。
【0042】
[定着部からの排熱構造]
上側筐体3Aの下面側には、
図4に示すように、下端61Aから上端61Bに向かって斜め上方へと延びる形状とされた第一傾斜面61が形成されている。また、下部ユニット2の上部には、定着部24の上方を覆うカバー部2Bが設けられ、カバー部2Bの下面側には、下端62Aから上端62Bに向かって斜め上方へと延びる形状とされた第二傾斜面62が形成されている。
【0043】
これら第一傾斜面61及び第二傾斜面62は、定着部24で加熱された空気(熱気)を、複合機1の背面側(後方)へと導くための通気経路を構成している(
図4中の白抜き矢印参照。)。
【0044】
より詳しく説明すると、第二傾斜面62の下端62Aは、定着部24の上方に配置され、定着部24から上昇する熱気が第二傾斜面62に当たるようになっている。第二傾斜面62に当たった熱気は、第二傾斜面62に沿って上端62B側へと流れる。
【0045】
カバー部2Bには、第二傾斜面62に沿って流れてくる熱気をカバー部2Bの上方へと放出するための通気口63が形成されている。この通気口63は、
図5に示すように、幅方向(前後方向)の寸法W1が加熱ローラ41の寸法W2以上とされる範囲に形成されている。なお、通気口63の形状及び数は、
図5に示されるものに限らず、他の形態であってもよい。
【0046】
第二傾斜面62の上端62B及び通気口63は、第一傾斜面61の下端61Aの下方に配置されている。より詳しくは、第一傾斜面61の下端61Aは、下方から見た場合に、第二傾斜面62の上下端間となる位置(又は第二傾斜面62の上端62Bと同一位置)に配置されている。
【0047】
これにより、通気口63から上昇する熱気が第一傾斜面61に当たるようになっている。すなわち、第一傾斜面61の下端61Aは、定着部24で加熱された熱気が下方から上昇してくる位置に配置されているのであり、本明細書でいう「定着部24で加熱された熱気」は、定着部24そのものから上昇する熱気には限定されない。
【0048】
第一傾斜面61に当たった熱気は、第一傾斜面61に沿って上端61B側へと流れる。第一傾斜面61の上端61Bは、第一傾斜面61の下端61Aよりも装置後方にあり、排出部25は、第一傾斜面61の下端61Aよりも装置前方にある。そのため、第一傾斜面61は、下端61Aから第一傾斜面61に沿って斜め上方へと流れる熱気を、排出部25から離れる方向へと導くことになる。
【0049】
第一傾斜面61の上端61Bは、上側筐体3Aの一部として形成された隔壁65の内側に設けられている。隔壁65には、
図3(a)〜
図3(c)及び
図4に示すように、第一傾斜面61に沿って流れてくる熱気を複合機1の外側へと排出するための排気口66が形成されている。そのため、隔壁65へと流れた熱気は、排気口66を介して装置の外部へと排出されることになる。
【0050】
ところで、
図1及び
図4に示す縦断面図は、
図2中にA−A線で示した切断面における断面図であり、
図3(a)〜
図3(c)に示す断面図は、
図2中にB−B線で示した切断面における断面図である。これらの図面から明らかなように、第一傾斜面61は、上述した第二範囲S2の範囲内の下方に形成されている。
【0051】
また、このような位置に第一傾斜面61を形成したことにより、上側筐体3A内部の底面は、第一範囲S1と第二範囲S2とで高さ位置が変わっている。具体的には、上側筐体3A内部の底面のうち、第一範囲S1において最も高い位置にある箇所67と、第二範囲S2において最も高い位置にある箇所68とでは、第二範囲S2の方が高い位置(上方)にある(
図3(a)〜
図3(c)参照。)。そして、その高い位置にある箇所68が設けられ、その部分の下面側に上述の第一傾斜面61が形成されている。
【0052】
このような位置に第一傾斜面61を形成すれば、上述したFFC56の動きを妨げることなく、第一傾斜面61をより上方に形成することができ、これにより、上部ユニット3の高さ方向寸法の薄型化を図ることができる。
【0053】
より詳しく説明すると、キャリッジ54の作動に伴ってFFC56が変位した際に、第一範囲S1においては、湾曲部分56Dが往復移動するとともに、下側部分56Eの長短が変動する。そのため、このようなFFC56の動きを妨げない範囲内で、第一傾斜面61を形成しようとすると、下側部分56Eの配線位置よりも下方に第一傾斜面61を形成せざるを得ない。
【0054】
一方、第二範囲S2においては、キャリッジ54の作動に伴ってFFC56が変位しても、上側部分56Cの長短が変動するだけで、湾曲部分56Dや下側部分56Eが第二範囲S2に到来することはない。そのため、第二範囲S2の下方に第一傾斜面61を形成するに当たっては、上側部分56Cの配線位置よりも下方であれば第一傾斜面61を形成することができ、その位置を下側部分56Eの配線位置よりも上方とすることも可能となる。したがって、第一傾斜面61をより上方に形成して十分な角度の傾斜を確保しつつ、上部ユニット3の薄型化を図ることが可能となるのである。
【0055】
[効果]
以上説明したように、上記複合機1によれば、定着部24で加熱された熱気を下側筐体2Aの下面側に形成された第一傾斜面61に沿って案内し、その熱気を排気口66から複合機1の外部へと排出することができる。したがって、上記第一傾斜面61相当の構成を備えていない場合に比べ、熱気を効率良く装置外へ排出することができ、装置内の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0056】
また、第一傾斜面61に沿って案内される熱気は、排出部25から離れる方向へと案内されるので、排出部25から熱気が排出されるのを抑制することができる。したがって、排出部25に相当する箇所から熱気が排出されやすい装置に比べ、排出部25から排出されたシートを利用者が手にする際に、手に熱気を感じなくても済み、利用者が熱気で不快な思いをすることがない。
【0057】
また、上記複合機1では、定着部24で発生した熱気を第二傾斜面62によって第一傾斜面61へと案内している。そのため、第一傾斜面61の下端61Aと定着部24が直接的には上下方向に重ならない位置関係にあるにもかかわらず、定着部24で発生した熱気を第一傾斜面61へと導くことができる。
【0058】
また、上記複合機1によれば、第一傾斜面61と第二傾斜面62は、下方から見て両者間に隙間がないように見える配置状態となっているので、両者間に隙間があるように見える配置状態となっているものに比べ、第二傾斜面62側から第一傾斜面61側へ効率良く熱気が流れ、熱気の排出効率を改善することができる。
【0059】
また、上記複合機1では、通気口63の前後方向寸法が、加熱ローラ41の前後方向寸法(軸方向寸法)以上とされているので、定着部24で温められた熱気を効率良く通気口63から放出することができる。
【0060】
上記複合機1によれば、上側筐体3A内部の底面が高くなっている箇所(第二範囲S2に対応する箇所)の下方に第一傾斜面61が形成してあるので、上側筐体3Aの上下方向寸法を大きくすることなく傾斜面を形成することができ、装置全体の薄型化を図ることができる。また、このような第二範囲S2は、FFC56が変位しても上側部分56Cしか到来しない範囲なので、FFC56に過大なストレスがかかることがなく、上述のような第一傾斜面61の形成箇所とFFC56の配線領域を両立させて確保することができる。
【0061】
なお、上述のように、第一傾斜面61を第二範囲S2に対応する箇所の下方に形成するに当たって、装置の薄型化を妨げない範囲内であれば、第一傾斜面61の一部が第一範囲S1に対応する箇所の下方にまで達することは問題ない。換言すれば、ここでいう、第二範囲S2に対応する箇所の下方に形成されるとは、第二範囲S2に対応する箇所の下方のみに形成されるという意味ではなく、少なくとも第二範囲S2に対応する箇所の下方に形成されるが、それ以外の箇所にまで形成されるか否かは問わないという意味である。
【0062】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
【0063】
例えば、上記実施形態においては、第一傾斜面61として単一の傾斜面を設ける例を示したが、第一傾斜面61は複数の傾斜面を組み合わせて構成されていてもよい。
より具体的な例を挙げれば、例えば、上記実施形態では、
図2中に概略の範囲を示す領域A1において、後方へ向かって上り勾配となる傾斜面を上側筐体3Aの下面に設けて第一傾斜面61としてあった。これに加えて、更に前方の領域A2にも、上側筐体3Aの下面に後方へ向かって上り勾配となる傾斜面を設けて、それら二つの傾斜面で第一傾斜面61を構成してもよい。この場合、二つの傾斜面は傾斜角度を変えてもよく、これにより、他の構造に与える影響が最小限で済むように、第一傾斜面61の形状を最適化することができる。
【0064】
また、領域A1の右方にある領域A3や領域A1の左方にある領域A4においても、上側筐体3Aの下面に傾斜面を設け、それら複数の傾斜面で第一傾斜面61を構成してもよい。この場合、領域A3では左方に向かって上り勾配となる傾斜面とし、領域A4では右方に向かって上り勾配となる傾斜面とすることで、通気口63から排出される熱気を領域A1側へと集めることができ、領域A1において熱気をまとめて後方へと排気することができる。
【0065】
また、上記実施形態の複合機1の場合、第一傾斜面61を利用して熱気を効率良く排出することができるので、下側筐体2Aの空気を強制的に排出する排気ファンを設けていないが、排気ファンを併用するか否かは任意である。このような場合でも、第一傾斜面61による排気・排熱効果は期待できるので、より小型の排気ファンでも十分な排気・排熱性能を確保できる、という利点がある。