【実施例】
【0024】
以下、各種評価試験に基づき、本発明について具体的に説明する。なお、以下の内容は実施形態の一例に過ぎず、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0025】
[軟弱土改良材の準備]
先ず、道路用鉄鋼スラグJIS A5015に規定の呼び名CS-30に相当する粒度範囲を有して、エージング処理が施されていない製鋼スラグを用意して、5mmの篩目を有した篩で篩い分けし、篩下から回収した製鋼スラグを第2製鋼スラグ(粒度範囲5〜0mm)とした。一方、篩上の製鋼スラグは、水蒸気で処理する蒸気エージングを144時間施し、第1製鋼スラグとした(粒度範囲30〜5mm)。そして、これらの第1及び第2製鋼スラグを用いて、容積比で第1製鋼スラグが60%、第2製鋼スラグが40%となるように、ショベルによって混合し、実施例に係る軟弱土改良材を得た。
【0026】
ここで、篩い分け前のCS-30に相当する粒度範囲30〜0mmを有して、エージング処理が施されていない製鋼スラグについて、道路用鉄鋼スラグJIS A 5015の附属書2に規定された水浸膨張試験方法に従い、膨張比を測定した結果(サンプル数n=3)を
図2(a)に示す。また、篩い分けによる篩下を回収して粒度範囲が5〜0mmであって、エージング処理が施されていない製鋼スラグ(すなわち第2製鋼スラグ)についても同様にして、膨張比を測定した結果を
図2(b)に示す。これらの結果から分かるように、エージング処理を行う前の状態で比較して、粒度範囲30〜0mmを有する製鋼スラグは測定を開始して数日で膨張比が10%を超え、測定日数が10日では、第2製鋼スラグの膨張比よりかなり大きく、且つ、収束する傾向がうかがえない。なお、粒度範囲30〜0mmを有する製鋼スラグについて、144時間の蒸気エージングを施した後に、これらと同様の水浸膨張試験方法で膨張比を測定したところ、測定日数10日での膨張比は0.8%以下で収束の傾向がうかがえた。
【0027】
[軟弱土の改良試験]
上記で得られた軟弱土改良材を用いて、以下のようにして軟弱土の改良試験を行った。先ず、対象とする軟弱土は、土地区画整理事業用地に含まれる田んぼから回収したものを使用した。この軟弱土はシルト・粘土分を36%含有し、自然含水比は45%であった。次に、上記で得られた軟弱土改良材が1m
3あたりの容積比で20%となるように20kgの軟弱土に添加し、水平二軸小型ミキサーを用いて混合して、本発明に係る軟弱土改良材を混合した試験改良土Aを得た。
【0028】
一方、比較参照用として、CS-30に相当する粒度範囲30〜0mmを有して、144時間の蒸気エージングを施した製鋼スラグを用いて、この製鋼スラグが1m
3あたりの容積比で20%となるようにした以外は試験改良土Aの場合と同様にして、比較参照用の試験改良土Bを得た。また、第2製鋼スラグのみを用いて、第2製鋼スラグが1m
3あたりの容積比で20%となるようにした以外は試験改良土Aの場合と同様にして、比較参照用の試験改良土Cを得た。
【0029】
上記で得られた試験改良土A〜Cについて、それぞれ試験用モールドに詰めて成形したものを水の入った水槽中に全体が浸かるように沈めて、水槽中の水温を20℃にして3日間水中養生させて、φ150mm×高さ300mmの改良土供試体を得た(試験No.1、2、4)。また、試験改良土Bについては、更に、別途試験用モールドに詰めて成形したものを密封材で被覆して3日間気中養生させて、上記と同様の改良土供試体を得た(試験No.3)。そして、これら改良土供試体を「土の一軸圧縮試験方法」JIS A 1216:1998に従い、一軸圧縮強度(kN/m
2)を測定した。結果を表1にまとめて示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1に示した結果から分かるように、本発明に係る軟弱土改良材を混合して得られた試験改良土Aでは、水中養生によって70kN/m
2を超える一軸圧縮強度が得られることが確認された。一般に、土地区画整理事業用地の地盤改良では30kN/m
2以上の一軸圧縮強度が必要とされる。今回のような室内試験では、屋外現場で求められる強度と比べて、室内試験強度/現場強度≒2として捉えられることがあるが、この試験改良土Aでの強度は、強度比を2とした場合の目標強度60kN/m
2を上回る結果であった。また、水中養生を行って評価したのは、田んぼでの地盤改良を想定したものであり、CS-30に相当する製鋼スラグをエージング処理して、改良材として加えた試験改良土Bを水中養生した場合と比べて、2倍近い一軸圧縮強度が得られることが分かった。
【0032】
次に、上記で得られた試験改良土Aと試験改良土Cを用いて、それぞれを地面に対して厚み20cmに敷き均し、振動ローラー(酒井社製 型式TW350)を使って締固めて、試験用の路床を作製した。そして、JIS A1211規定のCBR試験に従い、CBR値を求めた(標準荷重2030kgf)。
図3には、その貫入試験による荷重−貫入量曲線が示されている。その結果、本発明に係る軟弱土改良材を用いて得られた試験改良土Aでは、貫入量5mmにおけるCBRは15.4%であり、一般的な基準である10%を超えることが確認された。一方で、第2製鋼スラグのみを加えた試験改良土Cの場合では、貫入量5mmにおけるCBRは4.8%であった。このことより、本発明に係る軟弱土改良材は、第1製鋼スラグと第2製鋼スラグとのかみ合せや締固め性の増大効果が得られて、軟弱土と混合した直後のトラフィカビリティが確保されることが確認できる。
【0033】
また、セメント改良材を用いて得られたセメント改良土と、本発明に係る軟弱土改良材を用いて得られた試験改良土Aとの一軸圧縮強度の発現状況の比較を行った。ここでは、セメント改良材として普通ポルトランドセメントを使用し、含水比80%程度の軟弱土1m
3に対して80kgの普通ポルトランドセメントを添加混合してセメント改良土を得て、「土の一軸圧縮試験方法」JIS A 1216:1998に従い、一軸圧縮強度(kN/m
2)を測定した。結果を
図4に示す。この比較試験では、対象とする軟弱土が異なるため、7日経過後の両者の一軸圧縮強度を合せるようにして相対的な一軸圧縮強度の発現状況を比較した。本発明に係る軟弱土改良材を用いた場合には、軟弱土と混合した直後から強度の発現が認められるのに対し、セメント改良材の場合には、セメント反応が進まないと強度の発現がなされないことが分かる。
【0034】
更には、上記で得られた試験改良土Aと試験改良土Bを用いて、膨張の影響を調べた。試験改良土Aと試験改良土Bを、それぞれ「道路用鉄鋼スラグ」JIS A 5015の附属書2に規定された水浸膨張試験方法に従い、膨張比を測定した。それぞれの改良土の測定結果(サンプル数n=3)を
図5に示す。また、測定を開始して13日目の膨張比の平均値を表2にまとめて示す。これらの結果から分かるように、本発明に係る軟弱土改良材を用いて得られた試験改良土Aの膨張比(13日目の平均値)は0.43%であって、「道路用鉄鋼スラグ」JIS A 5015の基準値である1.5%よりかなり小さなレベルであり、CS-30に相当する粒度範囲30〜0mmを有して蒸気エージングが施された製鋼スラグを改良材として用いた試験改良土Bの値と同等程度の抑制されていることが確認できる。
【0035】
【表2】
【0036】
また、造成地を模した場合の試験改良土Aと試験改良土Bの膨張の影響についても調べた。試験改良土Aと試験改良土Bを用いて、それぞれ造成地の改良土(A又はB)と覆土との層厚比が1:2となるように、「道路用鉄鋼スラグ」JIS A 5015の附属書2に規定された水浸膨張試験方法で使用するモールド内に詰め込み、模擬造成体を作製した。そして、当該JIS A 5015における水浸膨張試験方法に従い、膨張比を測定した。それぞれの模擬造成体の測定結果(サンプル数n=3)を
図6に示す。また、測定を開始して13日目の膨張比の平均値を表2にまとめて示す。これらの結果から分かるように、本発明に係る試験改良土Aを用いた模擬造成体の膨張比(13日目の平均値)は、0.10%であり、使用環境を考慮しての造成面への影響はほとんど無いレベルに抑制できることが分かった。
【0037】
更には、CS-30に相当する粒度範囲30〜0mmを有して、エージング処理が施されていない製鋼スラグを用いて、この製鋼スラグが1m
3あたりの容積比で20%となるようにした以外は試験改良土Aの場合と同様にして、比較参照用の試験改良土Dを作製し、この試験改良土Dの単独の場合と、覆土を行った場合とについて、それぞれ上記と同様にして膨張の影響について調べた。膨張比の測定結果を
図7に示すと共に、測定後10日目の膨張比を表2にまとめて示す。これらの結果から、エージング処理が施されていない製鋼スラグを改良材に使用すると、試験改良土単独の場合とその表面に覆土を行った場合とについて、それぞれ高い膨張比を示すことが確認された。
【0038】
上記の各種評価結果から分かるように、本発明の軟弱土改良材によれば、軟弱土と混合して短時間にトラフィカビリティが確保されると共に、軟弱土の改良をはかるのに必要な強度を得ることができる。しかも、製鋼スラグの膨張による影響が抑えられることから、軟弱土を路床材や盛土材等として好適に利用することができるほか、軟弱地盤に構造物を敷設したり、宅地として利用するような場合において、本発明の軟弱土改良材を軟弱地盤に撒き出し、軟弱地盤を掘削しながら混合することで、好適に軟弱地盤の強度を改良することができる。