(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ワイヤガイドは、前記コア体とは異なる非磁性材料で構成してあり、前記第1コア端から前記軸方向に沿って所定距離離れた位置に、前記ワイヤの第1リードと第2リードとが各々接続される端子が具備してある請求項1に記載の電子ペン用コイル装置。
前記係止段差は、前記第2コア端の近くに位置する前記コア体の外周の一部に、切り欠き面または切り欠き溝を形成することにより形成してある請求項1〜3のいずれかに記載の電子ペン用コイル装置。
前記コア体の外周には、前記第1コア端から前記第2コア端の近くまで前記軸方向に沿って延在するワイヤ通し溝が形成してある請求項1〜4のいずれかに記載の電子ペン用コイル装置。
前記ワイヤ通路は、周方向に沿って少なくとも2つ形成してあり、隣り合うワイヤ通路の間には、分離用凸部が前記第1ワイヤガイドに一体に形成してある請求項1〜6のいずれかに記載の電子ペン用コイル装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、ワイヤの自動巻作業が容易であり、電子ペンの小径化を図ることができるコイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子ペン用コイル装置は、
電子ペンの内部に配置され、軸方向の反対側にそれぞれ位置する第1コア端と第2コア端とを持つコア体と、
前記コア体の外周に巻回されてコイル部を形成するワイヤとを有する電子ペン用コイル装置であって、
前記コア体の外周で前記第1コア端の近くには、第1ワイヤガイドが具備してあり、前記コア体の外周で前記第2コア端の近くには、第2ワイヤガイドが具備してあり、
前記第1ワイヤガイドは、前記コア体の外周から径方向外方に突出し、周方向に沿って少なくとも1つの凹状のワイヤ通路を有し、
前記第2ワイヤガイドは、前記コア体の外周に形成され、前記第2コア端の近くに位置する前記ワイヤを係止することが可能な係止段差である。
【0007】
本発明に係る電子ペン用コイル装置において、コア体の外周にワイヤを巻き付けてコイル部を形成する方法は、特に限定されないが、たとえば、まず、ワイヤの第1リードを、コア体の第1コア端に固定する。次に、ワイヤを、第1ワイヤガイドのワイヤ通路を通して、コイル部を形成することなく、第2ワイヤガイドとしての係止段差に向かわせる。その後に、係止段差にワイヤを係止させて、自動作業により、第2ワイヤガイドと第1ワイヤガイドとの間に位置するコア体の外周にコイル状にワイヤを巻回してコイル部を形成する。その後に、ワイヤの第2リード部を、ワイヤ通路から前記第1コア端の方向に引き出す。
【0008】
ワイヤを巻回する際には、ワイヤを巻回する軸方向の長さが、2つのワイヤガイドにより仕切られた所定長さにより決定され、ワイヤを自動巻きしやすいと共に、ワイヤの位置決め精度が向上し、所定のインダクタンス、Q特性および周波数特性などを高精度で実現することが可能になり、電子ペンによる位置検出精度も向上する。
【0009】
また、第1ワイヤガイドと第2ワイヤガイドとの間では、第1リード部は、コイル部の内周側に配置させることができるために、コイル部の外側にリード部のための配線が露出することはなく、配線が他の部材に引っかかるおそれも少なくなる。ただし、本発明では、第1リード部がコイル部の外側に配置されるようにコイル部を形成しても良い。
【0010】
好ましくは、前記第1ワイヤガイドは、前記コア体とは異なる非磁性材料で構成してあり、前記第1コア端から前記軸方向に沿って所定距離離れた位置に、前記ワイヤの第1リードと第2リードとが各々接続される端子が具備してある。
【0011】
第1ワイヤガイドをコア体とは別に形成することで、第1コア端から所定距離で離れた端子を容易に形成することができる。
【0012】
好ましくは、前記端子が、前記第1リードに電気的に接続する第1端子と、前記第1端子に絶縁されて前記第2リード部に電気的に接続する第2端子とを有する。第1端子および第2端子を第1コア端から所定距離で離すことで、コイル装置のQ特性が向上する。
【0013】
好ましくは、前記係止段差は、前記第2コア端の近くに位置する前記コア体の外周の一部に、切り欠き面または切り欠き溝を形成することにより形成してある。切り欠き面または切り欠き溝は、コア体を切削加工などで形成しても良いが、コア体を圧縮成形または射出成形により形成する際に一体に形成しても良い。係止段差からなる第2ワイヤガイドの形成はきわめて容易である。
【0014】
好ましくは、前記コア体の外周には、前記第1コア端から前記第2コア端の近くまで前記軸方向に沿って延在するワイヤ通し溝が形成してある。このワイヤ通し溝を通して、ワイヤの第1リード部を係止段差方向に案内しやすくなる。しかも、ワイヤの第1リード部が通されたワイヤ通し溝の外周にはワイヤが巻回されるが、このワイヤ通し溝のために、巻回されたコイル部の外周が第1リード部に沿って外側に突出することはない。
【0015】
好ましくは、前記ワイヤ通し溝は、前記ワイヤ通路と重なる位置に位置合わせされている。このような構造によれば、ワイヤ通し溝およびワイヤ通路を通して、ワイヤの第1リード部を係止段差の方向に向かわせやすくなる。
【0016】
好ましくは、前記ワイヤ通路は、周方向に沿って少なくとも2つ形成してあり、隣り合うワイヤ通路の間には、分離用凸部が前記第1ワイヤガイドに一体に形成してある。このような構造によれば、各ワイヤ通路を通して各リードをコイル部からワイヤ保持部に向かわせることができ、リードの配線が整然となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0019】
第1実施形態
図1に示す本発明の一実施形態に係る電子ペン用コイル装置2は、電子ペンの内部に装着され、電子ペンの位置情報と共に、その使用状態の変化情報、たとえば電子ペンに加わる圧力または変位などに関する情報を、たとえばタブレットなどの入力用表示画面に非接触式に伝達する装置の一部として使用される。
【0020】
まず、本実施形態において、電子ペンの位置情報と電子ペンの使用状態とを検出する原理を簡単に説明する。
【0021】
電子ペンが具備する同調回路(
図1に示すコイル部20を含む)は、タブレット(図示略)などの入力用表示画面から所定の同調周波数、例えば周波数f0の電波が発信されると、該電波を受けて励振され、
図1に示すコイル部20には誘導電圧が誘起される。そして、該電波の発信が停止されると、前記誘導電圧に基づく電流により、コイル部20から所定の周波数の電波が発信される。このコイル部20を含む同調回路から発信された電波をタブレット(図示略)で受信することで、タブレット(図示略)上における電子ペン(コイル装置2を含む)の位置を検知できる。
【0022】
また、電子ペン用芯体6のペン先6aは、タブレットの表面に押しつけるように操作される。この操作時には、芯体6がコイル部20の内部を軸方向に移動し、図示省略してある押圧部材を感圧素子の一面を押圧する。感圧素子は、本実施形態では、容量可変コンデンサで構成してあり、素子に作用する押圧力(押圧変位)に応じて、静電容量が変化する。
【0023】
この素子は、コイル部20と、図示省略してある回路基板に実装してあるコンデンサとから成る同調回路に並列に接続してあり、素子に加わる圧力に応じて、同調回路の同調周波数が変化させる。この場合、タブレット(図示略)から周波数f0の無線信号を発信すると、同調回路の同調周波数が変化しているため、コイル部20に生じる誘導電圧は、非操作時とは位相がずれたものとなる。このため、同調回路からは、タブレット(図示略)から発信された電波とは位相がずれた電波が発信される。このため、タブレット(図示略)から電波を発信して同調回路を励振するとともに、同調回路から発せられる電波における位相差を検知すれば、電子ペンの操作を検知することができる。電子ペンから検出された位相ズレに応じて、電子ペンにより実現しようとしている線の太さ、指定位置あるいは指定領域の色相や濃度(明度)等を検出することが可能である。
【0024】
このような電子ペンの機能を実現するための本実施形態に係るコイル装置2は、電子ペンの内部に装着可能なコア体4を有する。コア体4は、その長手方向(X軸)に沿って貫通している軸孔4aを有し、中空筒体で構成してある。コア体4は、磁性体で構成してあり、たとえばフェライト材、パーマロイなどの軟磁性材、金属圧粉成形の磁性材などで構成される。
【0025】
図2に示すように、円筒状のコア体4は、図示省略してある電子ペンの内部に沿ってX軸方向に細長く、軸方向の反対側にそれぞれ位置する第1端としての基端4bと、第2端としての先端4cとを有する。基端4bには、後述する第1ワイヤガイド10aが、たとえば接着により接合される。
【0026】
本実施形態では、第1ワイヤガイド10aは、コア体4とは異なる非磁性材料、たとえば合成樹脂で構成してある。第1ワイヤガイド10aには、ワイヤ保持部としての第1爪部34aおよび第2爪部34bがそれぞれ形成してある第1端子30aおよび第2端子30bが一体成形してある。なお、これらの端子30a,30bは、本実施形態では、合成樹脂で構成してある第1ワイヤガイド10aにインサート成形などにより一体成形してあるが、接着剤などで接着しても良い。
【0027】
図4にも示すように、これらの第1端子30aおよび第2端子30bは、本実施形態では、完全に分離された2つの金属端子で構成してあり、金属板から打ち抜き成形された端子片を折り曲げ成形することで形成される。第1端子30aは、円弧片状の第1端子接合片31aを有し、第1ワイヤガイド10aの端子保持部14に形成してある挿通孔14aを塞がないように、端子保持部14の基端14a近くに一体成形される。
【0028】
第1端子接合片31aのZ軸方向の上部は、X軸方向に沿って接合片31aから離れる方向に折り曲げられて湾曲片33aが形成され、その上部に、第1係止溝32aが間に形成してある一対の第1爪部34aが一体に形成してある。第1係止溝32aは、入口から底部に向けてテーパ状に幅が狭くなっており、ワイヤ22の第1リード22aの端部を入口から底部に向けて挿入するのみで、ワイヤ22の第1リード22aが端子30aに固定されるようになっている。
【0029】
すなわち、第1係止溝32aの入口幅は、ワイヤ22の外径と同等以上であり、第1係止溝32aの底部幅は、ワイヤ22の外径と同等以下であることが好ましい。好ましくは、第1係止溝32aは、その底部が湾曲片33aの一部まで形成してある。
【0030】
第1端子接合片31aのZ軸方向の下方には、X軸方向に延在する第1端子ベース36aが形成してあり、そのベース36aのX軸方向の一端に第1基板接続爪38aが折り曲げ成形などにより一体に形成してある。第1基板接続爪38aは、たとえば図示省略してある回路基板に接続される。回路基板には、コンデンサやその他の回路素子などが装着してあり、第1基板接続爪38aは、回路基板に装着された回路や素子に電気的に接続される。
【0031】
第2端子30bは、第1端子30aと対にして用いられる。
図4に示すように、第2端子30bは、円弧片状の第2端子接合片31bを有し、第1ワイヤガイド10aの端子保持部14に形成してある挿通孔14aを塞がないように、端子保持部14の基端14a近くに一体成形される。
【0032】
第2端子接合片31bのZ軸方向の上部は、X軸方向に沿って接合片31bから離れる方向に折り曲げられて湾曲片33bが形成され、その上部に、第2係止溝32bが間に形成してある一対の第2爪部34bが一体に形成してある。第2係止溝32bは、第1係止溝32aと同様な構造になっている。
【0033】
第2端子接合片31bのZ軸方向の下方には、X軸方向に延在する第2端子ベース36bが形成してあり、そのベース36bのX軸方向の一端に第2基板接続爪38bが折り曲げ成形などにより一体に形成してある。第2基板接続爪38bは、第1期版接続爪38aと同様な機能を有している。
【0034】
なお、図面において、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に垂直であり、この実施形態では、X軸は、コア体4の長手方向であり、Y軸は、第1係止溝32aと第2係止溝32bとが離間する方向である。
【0035】
本実施形態では、
図4に示すように、端子保持部14は、外周カバー15と共に第1ワイヤガイド10aと一体に形成してあることが好ましいが、第1ワイヤガイド10aと端子保持部14とを別体で構成しても良い。外周カバー15は、コア体4の基端4b付近の外周部に装着されて、その部分を覆うように筒状に形成してあり、その周方向の一部に、軸方向Xの切り欠きが形成してあり、その部分が、ワイヤ通路12aとなっている。
【0036】
外周カバー15に軸方向Xに沿って連続して一体成形してある端子保持部14には、
図1および
図2に示す芯体6の基端が軸方向Xに移動可能な挿通孔14aが形成してある。端子保持部14には、基端14bの軸方向Xの反対側に、突き合わせ端面14cが形成してあり、その突き合わせ端面14cに、コア体4の基端4bが突き合わされるようになっている。
【0037】
図3および
図4に示すように、外周カバー15の軸方向一部と端子保持部14のZ軸方向の上下は、それぞれX−Y平面に平行な切り欠き面で切り欠かれており、外周カバー15には、上側切り欠き18と下側切り欠き19が形成されると共に、端子保持部14には、上側平坦面16と下側平坦面17が形成してある。切り欠き18および19のY軸方向の幅は、ワイヤ通路12aのY軸方向の幅よりも広くなるように、平坦面16および17が形成される。
【0038】
外周カバー15に形成してあるワイヤ通路12aのY軸方向の幅は、後述するコア体4の外周に軸方向Xに沿って形成してあるワイヤ通し溝7のY軸方向の幅よりも大きくなっている。外周カバー15は、ワイヤ通し溝7がワイヤ通路12a内に含まれる(重複する)ようにコア体4の基端4bに接着などの手段で取り付けられる。その際には、コア体4の基端4bは、突き合わせ端面14cに突き合わされる。
【0039】
端子保持部14に形成された挿通孔14aの内径は、コア体4の軸孔4aの内径と同程度である。また、前述した平坦面16および17は、挿通孔14aの内部を外周側から露出させないように形成される。
図3に示すように、下側の平端面17に沿って端子30a、30bのベース36a,36bがX軸方向に延びるようになっていることが好ましい。また、上側の平坦面16では、端子30a,30bの爪部34a,34bがY軸方向に離れてZ軸方向に突出するようになっている。このような関係にすることで、細長い電子ペンの内部に、図示する全ての部材がコンパクトに収まり、電子ペンの細径化にも寄与する。
【0040】
本実施形態では、上述した端子30a,30bは、コイル部20のリード22a,22bを単に保持する機能を有すると共に、図示省略してある回路基板にコイル部20を電気的に接続する機能を有する。
【0041】
次に、コア体4およびコイル部20について詳細に説明する。前述したように、コア体4の外周で基端4aの近くには、コア体4の外周を覆う外周カバー15を有する第1ワイヤガイド10aが装着してある。第1ワイヤガイド10aは、コア体4の外周から径方向外方に突出し、周方向に沿って少なくとも1つの凹状のワイヤ通路12aを有する。
【0042】
また、コア体4の外周で先端4bの近くには、第2ワイヤガイドとしての係止段差10bがコア体4の外周に形成してある。係止段差10bをコア体4の先端4c近くの外周に形成するために、コア体4の先端4c近くの外周には、先端切り欠き面8が形成してある。この実施形態では、切り欠き面8は、平坦面であるが、必ずしも平坦面である必要はなく、曲面であっても良い。切り欠き面8をコア体4の先端4cに形成することで、コイル部20となるコア体4の外周面との間で、X軸方向に略垂直な面を持つ段差10bが、コア体4の先端4c近くに形成されれば良い。
【0043】
第2ワイヤガイドとしての段差10bと先端4bとの間に位置するコア体4の外周面には、ワイヤ22が少なくとも1周以上巻回できる程度のX軸方向隙間があるように、切り欠き面8が形成してあれば良い。
【0044】
本実施形態では、第1ワイヤガイド10aに形成してある外周カバー15のコア側端面15aと、第2ワイヤガイドとしての係止段差10bとの間に位置するコア体4の外周がワイヤを巻回してコイル部20を形成するための空間となる。
【0045】
図5および
図6に示すように、段差10bは、切り欠き面8をコア体4の先端4c付近に形成することで形成される。この切り欠き面8に連続するように、コア体4の外周には、基端4bから先端4cの近くまで軸方向に沿って延在するワイヤ通し溝7が形成してある。
【0046】
本実施形態では、ワイヤ通し溝7のX軸に垂直な横断面は、四角形状であるが、その形状に限らず、三角形状、その他の多角形状、あるいは半円形状、楕円形状などであっても良い。ワイヤ通し溝7の底部は、切り欠き面8と面一であることが好ましい。
図1に示すように、ワイヤ通し溝7を通して延びるワイヤ22の第1リード部22aを、切り欠き面8と通し溝7との境界に位置する段差10bにワイヤ22を係止させやすいからである。
【0047】
図5および
図6に示すように、本実施形態では、ワイヤ通し溝7は、切り欠き面8のY軸方向の中央に位置するように形成してあり、段差10bが、通し溝7の両側に形成される。このため、本実施形態では、ワイヤ通し溝7を通して切り欠き面8に向かうワイヤ22は、いずれかの段差10bに係止させることができ、ワイヤ22の巻方向を自由に選択できるという利点がある。
【0048】
また本実施形態では、切り欠き面8は、コア4の先端4cまで連続して形成してあるが、必ずしも連続させる必要はなく、切り欠き面8をY軸方向に延びる溝の底面に形成しても良い。
【0049】
図1に示すコイル部20を形成するワイヤ22としては、特に限定されず、たとえばリッツ線、USTC線、ウレタンワイヤなどが用いられる。特に、リッツ線などの撚り線を用いることで、高周波におけるQ特性などが向上し、電子ペン用コイル装置として特に好ましい。
【0050】
図1に示すように、コア体4のワイヤ通し溝7は、第1ワイヤガイド10aのワイヤ通路12aの周方向幅内に位置(重なる位置)し、通し溝7に通されたワイヤ22の第1リード22aは、第1端子30aの爪部34a,34a間の第1係止溝32aに挿入されて固定される。また、ワイヤの第2リード22bの端部は、第2端子30bの爪部34b,34b間の第2係止溝32bに挿入されて固定される。係止溝32aと係止溝32bとの間の隙間は、第1ワイヤガイド10aにおけるワイヤ通路12aの周方向幅と同等以下であることが好ましい。
【0051】
本実施形態では、巻始めである第1リード22aの端部が爪部34a間の係止溝32aに固定されたワイヤ22は、第1ワイヤ通路12aおよびワイヤ通し溝7を通して、まずはコイル部を形成することなく、第2ワイヤガイドとしての係止段差10bに向かわせる。その後に、係止段差10bにワイヤを係止させて、自動作業により、第2ワイヤガイドとしての係止段差10bと第1ワイヤガイド10aとの間に位置するコア体4の外周に、先端4cから基端4bに向けてコイル状にワイヤ22を巻回してコイル部20を形成する。巻回されたワイヤ22が外周カバー15のコア側端面15aに到達した時点で、ワイヤ22の第2リード部22bを、ワイヤ通路12aから第2端子30bの第2係止溝32b方向に引き出し、係止溝32bに固定する。
【0052】
本実施形態では、ワイヤ22を巻回する際には、ワイヤ22を巻回する軸方向の長さが、第2ガイドワイヤとしての係止段差10bと第1ワイヤガイド10aにおけるコア側端面15aとにより仕切られた所定長さにより決定され、ワイヤを自動巻きしやすい。また、ワイヤの位置決め精度が向上し、所定のインダクタンス、Q特性および周波数特性などを高精度で実現することが可能になり、電子ペンによる位置検出精度も向上する。
【0053】
また、本実施形態では、第1ワイヤガイド10aと係止段差10bとの間では、第1リード部22aは、通し溝7の内部に配置され、コイル部22の内周側に配置させることができる。このために、コイル部22の外側にリード部のための配線が露出することはなく、配線が他の部材に引っかかるおそれも少なくなる。
【0054】
さらに本実施形態では、第1ワイヤガイド10aは、コア体4とは異なる非磁性材料で構成してある。しかも、そのガイド10aは、
図7に示すように、コア体4の基端4bからX軸方向に沿って所定距離dで離れた位置に、金属製の端子30a,30bにおける基端4bに最も近い部分(端子接合片31a,31b)が位置するように、端子30a,30bを保持している。なお、
図7では、端子30a,30bを保持する第1ワイヤガイド10aの図示を省略している。
【0055】
図1に示すように、第1ワイヤガイド10aに端子保持部16を一体に形成することで、ワイヤ22の第1リード22aおよび第2リード22bの固定が容易になる。また、第1ワイヤガイド10aをコア体4とは別に形成することで、コア体4の基端4bから所定距離dで離れて端子30a,30bを容易に保持することができる。このように、第1端子30aおよび第2端子30bをコア体4の基端4bから所定距離dで離すことで、コイル装置のQ特性が向上する。
【0056】
このことは、
図8に示す本発明者等の実験結果からも明らかである。すなわち、
図8に示すように、第1端子30aおよび第2端子30bをコア体4の基端4bから所定距離dで離すことで、コイル装置のQ特性が向上して安定することが本発明者等の実験により明らかとなった。
図8に示すように、Q値を安定して向上させるためには、端子30a,30bとコア体4の基端4bとの最短距離dは、好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.8mm以上、特に好ましくは1mm以上である。ただし、最短距離dが大きすぎても、Q値とは変化しなくなるので、不必要に長くしない観点からは、dは3mm以下、あるいは2mm以下でも良い。
【0057】
また、本実施形態では、
図5および
図6に示すように、第2ワイヤガイドとしての係止段差10bは、コア体4の先端4c近くに位置するコア体4の外周の一部に、切り欠き面8または切り欠き溝を形成することにより形成してある。切り欠き面8または切り欠き溝は、円筒状のコア体の外周面の一部を切削加工などで形成しても良いが、コア体4を圧縮成形または射出成形により形成する際に一体に形成しても良い。係止段差10bからなる第2ワイヤガイドの形成はきわめて容易である。なお、ワイヤ通し溝7に関しても、切り欠き面8または切り欠き溝と同様に、切削加工により形成しても良く、コア体4と一体成形しても良い。
【0058】
本実施形態では、コア体4の外周には、基端4bから先端4cの近くまで軸方向に沿って延在するワイヤ通し溝7が形成してある。このワイヤ通し溝7を通して、
図4に示すように、ワイヤ22の第1リード部22aを係止段差10bの方向に案内しやすくなる。しかも、ワイヤ22の第1リード部22aが通されたワイヤ通し溝7の外周にはワイヤ22が巻回されてコイル部20を構成するが、このワイヤ通し溝7のために、巻回されたコイル部22の外周が第1リード部22aに沿って外側に突出することはない。
【0059】
さらに本実施形態では、
図1に示すように、ワイヤ通し溝7は、第1ワイヤガイド10aのワイヤ通路12aと重なる位置に位置合わせされている。このような構造によれば、ワイヤ通し溝7およびワイヤ通路12aを通して、ワイヤ22の第1リード部22aを係止段差10bの方向に向かわせやすくなる。さらに、ワイヤ通し溝7を通して案内されたワイヤ22の第1リード部22aは、係止段差に引っかかりやすくなり、この点でも、コア体4の外周に、ワイヤ22を自動巻きしやすい。すなわち、コア体4の外径を小さくしても、ワイヤ22の自動巻作業がきわめて容易になる。
【0060】
また、巻線の終了と同時に、ワイヤ22の両端を第1端子30aと第2端子30bに固定することができる。これらの端子30a,30bは、図示省略してある回路基板の回路パターンに直接に接続してあることから、回路基板との特別な配線が不要となり、コイル部20と回路基板との配線がシンプルになり、この点でも、ペンの小径化を図ることができる。
【0061】
また、本実施形態では、各端子30a,30bの係止溝32a,32bは、入口から底部に向けて幅が狭くなっており、ワイヤ22のリード22a,22bの端を入口から底部に向けて挿入するのみで、ワイヤ端が各端子に固定されるようになっている。その点でも、ワイヤの自動巻回作業が容易である。
【0062】
さらに本実施形態では、ワイヤ通路12aとワイヤ通し溝7と係止段差10bとは、コア体4の周方向で同じ位置に形成してある。このような構造であるため、ワイヤ通し溝7およびワイヤ通路12aを通して、ワイヤ22の巻き始め端である第1リード22aを係止段差10bの方向に直線上に移動させれば良く、その作業が容易である。
【0063】
さらに本実施形態では、
図3および
図4に示すように、第1係止溝12aおよび第2係止溝12bのコア体4の周方向に沿っての位置が、ワイヤ通路12aの周方向位置と略一致する。このような構造であるため、第1係止溝32aからワイヤ通路12aへ向けてワイヤ22の第1リード22aを引き出す際と、ワイヤ通路12aから第2係止溝32bに向けてワイヤ22の第2リード22bを引き出す際に、ワイヤ22を直線上に移動させれば良いので、ワイヤ22の自動巻作業がさらに容易になる。
【0064】
第2実施形態
本実施形態では、
図9〜
図11に示すように、コア体4Aに形成する係止段差10bを、コア体4Aの先端4c近くに位置するコア体4Aの外周の一部に、Y軸方向の切り欠き溝8aを形成することにより形成してある。また本実施形態では、ワイヤ通し溝7aを、
図9に示す第1係止溝32aと周方向位置が同じ位置になるように、コア体4aのX軸方向に沿って全長にわたり形成してある。ワイヤ通し溝7aの横断面(Y−Z面)は、三角形状となる。ワイヤ通し溝7aの底面と切り欠き溝8aの底面は面一となる。
【0065】
本実施形態では、コア体4aの外周に形成される係止段差10bは、Y軸方向に一箇所であり、ワイヤ22の巻方向は、第1実施形態と異なり、左回りの巻方向となる。ワイヤ通し溝7aを通過して係止段差10b方向に案内されたワイヤ22の第1リード部22aは、単一の切り欠き溝8a方向に沿って巻方向が案内されるからである。
図9〜
図11に示す実施形態では、その他の構成および作用効果は、
図1〜
図8に示す実施形態と同様であり、その他の説明は省略する。
【0066】
第3実施形態
本実施形態では、
図12〜
図14に示すように、ワイヤ通し溝7aを、
図12に示す第1係止溝32aと周方向位置が同じ位置になるように、コア体4aのX軸方向に沿って全長にわたり形成してある。ワイヤ通し溝7aの横断面(Y−Z面)は、三角形状となる。ワイヤ通し溝7aの底面と切り欠き面8の底面は面一となる。ワイヤ通し溝7aの構成は、前述した第2実施形態と同様である。切り欠き面8の構成は、前述した第1実施形態と同様である。
【0067】
ただし、ワイヤ通し溝7aの構成が、第1実施形態と異なり、切り欠き面8のY軸方向の片側に寄せて形成してあるために、係止段差10bは、一箇所で形成される。そのため、ワイヤ22の巻方向は、第1実施形態と異なり、左回りの巻方向となる。ワイヤ通し溝7aを通過して係止段差10b方向に案内されたワイヤ22の第1リード部22aは、単一の係止段差10b方向に沿って巻方向が案内されるからである。
図12〜
図14に示す実施形態では、その他の構成および作用効果は、第1実施形態または第2実施形態と同様であり、その他の説明は省略する。
【0068】
第4実施形態
本実施形態では、
図15〜
図17に示すように、第1ワイヤガイド10cの構成が、第3実施形態と異なり、その他は、第3実施形態と同様である。すなわち、本実施形態では、第1ワイヤガイド10cには、分離用凸部11が、端子保持部14の上側平坦面16からコア体4の外周をX軸方向に延びるように形成してあり、ワイヤ通路を、2つのワイヤ通路12bおよび12cに分離するようになっている。分離用凸部11の外周面は、外周カバー15と同じ外径の外周面であり、外周カバー15よりも外径側に飛び出すことはない。
【0069】
分離用凸部11のX軸方向の先端11aは、外周カバー15のコア側端面15aと面一であることが好ましいが、必ずしも面一である必要はなく、第2リード部22aを、二つ目のワイヤ通路12cへと案内しやすいようになっていればよい。このような構造によれば、各ワイヤ通路12b,12cを通して各リード22a,22bをコイル部20からワイヤ保持部としての係止溝32a,32bに向かわせることができ、リード22a,22bの配線が整然となる。
図15〜
図17に示す実施形態では、その他の構成および作用効果は、第1〜第3実施形態と同様であり、その他の説明は省略する。
【0070】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0071】
たとえば第1ワイヤガイド10a,10cにおけるコア体4、4A,4Bの外周面からの突出高さは、ワイヤ22の線径の1.5〜2.5倍程度であることが好ましい。コイル部20の外周が、ワイヤガイド10a,10cの最大径を超えないようにするためである。ガイド10a,10cの外周は、電子ペンの外装筒体の内周面に接触するように構成しても良く、電子ペンの外径の縮小化に寄与する。
【0072】
また、前述した実施形態では、コア体4,4A,4Bに、その長手方向(X軸)に沿って貫通している軸孔4aを形成し、この軸孔4aに芯体6を通したが、コア体4,4A,4Bには必ずしも軸孔を形成しなくても良い。たとえば静電容量を変化させずにインダクタンスを変化させて筆圧などを検知するタイプの電子ペンでは、コア体4,4A,4Bには必ずしも軸孔を形成しなくても良い。さらに、コア体4,4A,4Bは、円筒以外の多角筒形状、楕円筒形状、あるいはその他の筒形状、あるいは軸孔が無くても良く、円柱以外の角柱形状、あるいはその他の柱形状でも良い。また、コア体4,4A,4Bは、X軸方向に沿って断面形状が変化するような形状であっても良い。
【0073】
また本実施形態では、芯体6の材質は、特に限定されないが、たとえば合成樹脂などの非磁性材料であることが好ましい。芯体6を非磁性材で構成することにより、Q特性の向上を図ることができる。
【0074】
さらに上述した実施形態では、ワイヤ保持部として、係止溝32a,32bを各端子30a,30bに形成したが、ワイヤ保持部としては、係止溝ではなく、係止凸部であっても良く、各係止凸部には、それぞれ第1リード22aおよび第2リード22bが絡められて固定可能に構成しても良い。