(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記織布材は、複数本の前記第1繊維と、該織布材を構成する繊維のうち該第1繊維の長手方向に交差する方向に延びる複数本の第2繊維(346)とを織って構成されており、
前記第1繊維が前記織布材の前記ケース壁部側に露出している総面積は、前記第2繊維が該ケース壁部側に露出している総面積よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の車室内空調ユニット。
前記凸リブ部(42a、344)は、該凸リブ部の長手方向が前記摺動ドアの摺動方向となるように配設されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1つに記載の車室内空調ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0012】
(第1実施形態)
図1に、本発明に係る車室内空調ユニット10の第1実施形態を示す。
図1は、その車室内空調ユニット10の概略構成を示しており、車室内空調ユニット10内の空気流れが判るように断面図示されている。
図1において上下前後の各矢印は、車室内空調ユニット10が車両に搭載された状態での向きを示す。
【0013】
車室内空調ユニット10は、車室内に配設される空調ユニットであって、例えばエンジンルームに配設されるコンプレッサおよびコンデンサ等と共に、車両用空調装置を構成する。
【0014】
図1に示すように、車室内空調ユニット10は、例えば遠心送風機である送風機11を備えている。送風機11は、空調ケース21内において、送風機11の回転軸11aの軸線方向から吸い込んだ空気を径方向外側に吹き出す。その送風機11からの空気は、空調ケース21に導かれ、矢印Aの如く、冷房用熱交換器22の空気流れ上流側に吹き出される。
【0015】
また、車室内空調ユニット10は空調ケース21を備え、その空調ケース21内に、冷房用熱交換器22、暖房用熱交換器23、エアミックスドア24、および吹出モードドア25を備えている。
【0016】
冷房用熱交換器22は、空調ケース21内の空気流れにおいて、送風機11の次、すなわち、送風機11の下流側に配置されている。冷房用熱交換器22は、圧縮機、コンデンサ、膨張弁とともに、冷媒を循環させる周知の冷凍サイクル装置を構成し、冷媒を蒸発させることにより、送風機11から吹き出された空気を冷却する。
【0017】
暖房用熱交換器23は、空調ケース21内において、冷房用熱交換器22の上側に配置されている。また、空調ケース21内の空気流れにおいては、冷房用熱交換器22の下流側に配置されている。暖房用熱交換器23は、冷房用熱交換器22から吹き出される空気すなわち冷風を、温水であるエンジン冷却水により加熱する。
【0018】
空調ケース21内において、暖房用熱交換器23に対して車両後側には、バイパス通路26が設けられている。バイパス通路26は、暖房用熱交換器23をバイパスして冷房用熱交換器22からの冷風を流す通路である。
【0019】
エアミックスドア24は、バイパス通路26の空気流れ下流側に配置されている。エアミックスドア24は、空調ケース21により回転自在に支持されている。
【0020】
エアミックスドア24は、バイパス通路26を流れる空気量と暖房用熱交換器23に流れる空気量との比率を調整することにより、車室内に吹き出す空気温度を調整する。
【0021】
空調ケース21内におけるバイパス通路26の上側、すなわち、空気流れにおけるエアミックスドア24およびバイパス通路26の下流側には、空気混合室27が設けられている。空気混合室27は、バイパス通路26を通過した冷風(矢印E参照)と、暖房用熱交換器23を通過した温風(矢印D参照)とを混合する。
【0022】
吹出モードドア25は、空調ケース21内に収容されており、その空調ケース21内において空気混合室27の上側に配置されている。吹出モードドア25は回転軸25aを備えており、その回転軸25aにより、空調ケース21に対して回転自在に支持されている。吹出モードドア25は、不図示の電動モータ等により作動させられる。吹出モードドア25は本発明の摺動ドアに対応する。
【0023】
空調ケース21は、吹出モードドア25に対して径方向外側に、ケース周壁部210を備えている。ケース周壁部210は、回転軸25aを中心とする断面円弧状に形成されている。このケース周壁部210は、本発明のケース壁部に対応する。
【0024】
ケース周壁部210には、デフロスタ開口部21b、フェイス開口部21c、およびフット開口部21dが形成されている。デフロスタ開口部21b、フェイス開口部21c、およびフット開口部21dは、吹出モードドア25の回転軸25aを中心とした周方向に順次並んで配置されている。例えば
図1において時計回りに、デフロスタ開口部21b、フェイス開口部21c、フット開口部21dの順で配置されている。
【0025】
フェイス開口部21cは、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出す開口部であり、フット開口部21dは、乗員の下半身に向けて空調風を吹き出す開口部であり、デフロスタ開口部21bは、車室内の窓ガラスの内表面に向けて空調風を吹き出す開口部である。また、デフロスタ開口部21bは本発明の開口部に対応する。なお、デフロスタ開口部21bが本発明の開口部に対応するとしているが、デフロスタ開口部21b、フェイス開口部21c、およびフット開口部21dは何れも、空気が流通する開口部であるので、それらのうちの何れが本発明の開口部に対応しても差し支えない。
【0026】
吹出モードドア25は、回転に伴って、開口部21b、21c、21dのうちいずれかの開口部に対して空気混合室27からの混合風を流す。すなわち、吹出モードドア25は、空調ケース21のケース周壁部210に対して摺動することより、それぞれの開口部21b、21c、21dを開閉する。吹出モードドア25は、
図3に示すような略半筒状に形成されており、回転軸25aを中心に回動するロータリドアである。
【0027】
次に、本実施形態の吹出モードドア25の具体的な構造について説明する。
【0028】
図2は、
図1におけるII部の詳細図であり、
図3は、吹出モードドア25の斜視図である。
図2および
図3に示すように、吹出モードドア25は、空調ケース21内に収容されており、その吹出モードドア25の骨格をなす樹脂製のドア本体25bと、そのドア本体25bに貼り付けられている第1、第2、第3シール材25c、25d、25eとを備えている。なお、
図2における矢印ARdrは、回転軸25aを中心に回動する吹出モードドア25の動作方向、すなわち、空調ケース21に対する吹出モードドア25の摺動方向を表している。
【0029】
吹出モードドア25およびドア本体25bは略半筒状の形状をしており、ドア本体25bは、その軸方向両端にそれぞれ配置された側壁250a、250bと、第1、第2外周壁251、252と、ドア開口部250cとを備えている。
【0030】
側壁250a、250bの間には、空気導入口252cが設けられている。その空気導入口252cには、空気混合室27からの混合風が導入される。
【0031】
側壁250a、250bには、上述の回転軸25aが一対をなしてそれぞれ配置されており、その一対の回転軸25aは、側壁250a、250bからそれぞれ外側に突出するように形成されている。
【0032】
第1外周壁251は、回転軸25aを中心とする円弧状の断面を有する板状の形状をなしている。第1外周壁251は、回転軸25aの軸方向において、一方の側壁250aから他方の側壁250bにまで延びて形成されている。すなわち、第1外周壁251は、側壁250a、250bの間に介装され、その側壁250a、250bをつなぐように形成されている。第1外周壁251はドア本体25bにおける第1の外周部となっている。
【0033】
また、第1外周壁251は、第1シール材25cを貼り付けるためのシール貼付面251aを、一面側すなわち径方向外側に備えている。すなわち、ケース周壁部210に対向する第1外周壁251の外周側面がシール貼付面251aとなっている。この第1外周壁251には、第1シール材25cのシール性能が損なわれないようにするために、貫通孔などは設けられていない。すなわち、第1外周壁251においては、その厚み方向への通気が阻止されている。なお、第1外周壁251は本発明のドア壁に対応し、シール貼付面251aは本発明のシール接合面に対応する。
【0034】
第2外周壁252は、回転軸25aまわりの周方向において第1外周壁251に対しドア開口部250cを挟んで配置されている。第2外周壁252は、回転軸25aを中心とする円弧状の断面を有し、回転軸25aの軸方向において、一方の側壁250aから他方の側壁250bにまで延びて形成されている。この第2外周壁252が設けられている部位において空気の流通を防ぐため、第2外周壁252に、貫通孔などは設けられていない。第2外周壁252はドア本体25bにおける第2の外周部となっている。
【0035】
第1シール材25cは弾力性を備えており、ケース周壁部210と第1外周壁251との間をシールする。第1シール材25cは、吹出モードドア25において空調ケース21のケース周壁部210に対向する側に配置されている。詳細には、第1シール材25cは、第1外周壁251に形成されたシール貼付面251aの略全面にわたって配設されており、そのシール貼付面251aに貼り付けられている。そして、第1シール材25cは、その周方向両側すなわち摺動方向ARdrの両側にそれぞれ端部25f、25gを備えており、その端部25f、25gは、第1外周壁251の径方向内側の面すなわちシール貼付面251aの反対面に、曲げ込まれて貼り付けられている。
【0036】
また、第1シール材25cは、ドア本体25bにより、回転軸25aの径方向に向けてケース周壁部210に対し押し付けられている。すなわち、吹出モードドア25は、第1シール材25cが厚み方向に弾性圧縮された状態で空調ケース21に取り付けられている。なお、第1シール材25cは本発明のシール材に対応する。また、第1シール材25cの詳細な構成については後述する。
【0037】
第2シール材25dおよび第3シール材25eは、第2外周壁252とケース周壁部210との間に介装されている。第2シール材25dは、その第2外周壁252の周方向一端、すなわち第1外周壁251側の端部に貼り付けられている。その一方で、第3シール材25eは、第2外周壁252の周方向他端に貼り付けられている。
【0038】
第2シール材25dおよび第3シール材25eは、矩形断面の棒状の形状を有し例えば発泡ウレタン等から成る弾性部材である。第2シール材25dおよび第3シール材25eは、回転軸25aの軸方向に第2外周壁252の略全長にわたって延びるように形成されている。第2シール材25dは、回転軸25aの径方向に向けてケース周壁部210に対し押し付けられ圧縮されている。また、第3シール材25eは、吹出モードドア25の
図2に示す状態において、すなわち、後述するフェイスモードにおいて、ケース周壁部210の一端210aに対し回転軸25aまわりの周方向に押し付けられ圧縮される。
【0039】
ドア開口部250cは、回転軸25aまわりの周方向において、第1外周壁251と第2外周壁252との間に配置されている。
図1に示す吹出モードドア25の回動位置では、ドア開口部250cとフェイス開口部21cとが重なり合うフェイスモードとなっている。
【0040】
次に、本実施形態の吹出モードドア25の具体的な作動について説明する。車室内空調ユニット10は、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フット−デフモード、デフロスタモードの何れかの吹出モードに切り替えられる。
【0041】
まず、フェイスモードでは、第1外周壁251がデフロスタ開口部21bを閉じ、かつ第2外周壁252がフット開口部21dを閉じている状態になる。このとき、第1シール材25cは、空気混合室27からデフロスタ開口部21bへの空気流れを妨げるようにシールする。また、第2シール材25dおよび第3シール材25eは、空気混合室27からフット開口部21dへの空気流れを妨げるようにシールする。
【0042】
また、フェイスモードでは、ドア開口部250cがフェイス開口部21cに重なり合い連通する。このため、空気導入口252cから導入された空気がドア開口部250cを通してフェイス開口部21cに流入することになる。すなわち、フェイスモードでは、空気混合室27からの空気は専らフェイス開口部21cに流入する。
【0043】
図2において吹出モードドア25がフェイスモードでの回動位置から時計方向に回動すると、バイレベルモードになる。このバイレベルモードでは、第1外周壁251がデフロスタ開口部21bを閉じると共にフェイス開口部21cを半開とした状態で、ドア開口部250cがフェイス開口部21cとフット開口部21dとにそれぞれ連通した状態になる。
【0044】
このとき、第1シール材25cは上述のフェイスモードと同様にデフロスタ開口部21bをシールして塞いでいる。そのため、空気導入口252cから導入された空気は、専ら、ドア開口部250cを通してフェイス開口部21cとフット開口部21dとの両方に流入することになる。
【0045】
図2において吹出モードドア25がバイレベルモードでの回動位置から時計方向に回動すると、フットモードになる。このフットモードでは、デフロスタ開口部21bが若干開口し、かつ第1外周壁251がフェイス開口部21cを閉じ、さらにドア開口部250cがフット開口部21dに連通した状態になる。
【0046】
このとき、第1シール材25cはフェイス開口部21cをシールして塞いでいる。そのため、空気導入口252cから導入された空気はフット開口部21dへ殆ど流れ、デフロスタ開口部21bへ僅かに流れる。
【0047】
図2において吹出モードドア25がフットモードでの回動位置から時計方向に回動すると、フット−デフモードになる。フット−デフモードでは、フットモードと比較して、デフロスタ開口部21bの周方向開口幅が拡大されると共に、フット開口部21dの周方向開口幅が狭められる。従って、フット−デフモードでも、空気導入口252cから導入された空気は、デフロスタ開口部21bとフット開口部21dとの両方へ流れる。
【0048】
図2において吹出モードドア25がフット−デフモードでの回動位置から時計方向に回動すると、デフロスタモードになる。このデフロスタモードでは、第1外周壁251がフェイス開口部21cとフット開口部21dとをそれぞれ閉じ、かつデフロスタ開口部21bが開放された状態になる。このとき、第1シール材25cはフェイス開口部21cとフット開口部21dとをシールして塞いでいる。そのため、空気導入口252cから導入された空気は、専ら、デフロスタ開口部21bへ流れる。
【0049】
次に、吹出モードドア25の第1シール材25cの具体的な構成を、
図4〜
図6を用いて説明する。
図4は、第1シール材25c単体を表した分解斜視図である。また、
図5はその
図4で矢印V方向から見た第1シール材25c単体の側面図であり、
図6は
図4で矢印VI方向から見た第1シール材25c単体の側面図である。
【0050】
図4〜
図6に示された矢印ARdrは、空調ケース21に対する第1シール材25cの摺動方向を表している。従って、
図4〜
図6の矢印ARdr方向は、空調ケース21内では
図2における矢印ARdr方向と同じになる。また、
図4〜
図6に示された矢印ARxは、第1シール材25cの摺動方向ARdrに直交する非摺動方向を表している。
図4〜
図6に示された非摺動方向ARxは、空調ケース21内では回転軸25aの軸方向に一致し、摺動方向ARdrは回転軸25aを中心とした周方向に一致する。なお、
図4において矢印V方向は摺動方向ARdrと平行であり、矢印VI方向は非摺動方向ARxと平行である。
【0051】
図4〜
図6に示すように、第1シール材25cは、単体では平板状の形状であるので、吹出モードドア25においては、第1外周壁251(
図2参照)に沿って湾曲させられて、その第1外周壁251に貼り付けられている。第1シール材25cは、面状に拡がった弾性パッキン材40と、全体としては薄板状の基布材すなわち表皮材42とを備えている。
【0052】
その弾性パッキン材40と表皮材42とは厚み方向に積層され、接着又は溶着などによって互いに接合されている。例えば、その弾性パッキン材40と表皮材42との接合にはラミネート加工等が用いられ、それにより、表皮材42が弾性パッキン材40に貼り付けられている。弾性パッキン材40は本発明の弾性部材に対応する。
【0053】
具体的には、弾性パッキン材40の厚み方向の一方面40aが第1外周壁251のシール貼付面251a(
図2参照)に貼り付けられる。そして、弾性パッキン材40においてその一方面40aの反対側の他方面である表皮材接合面40bには、表皮材42が接合されている。弾性パッキン材40は、例えば発泡ウレタン等で構成された弾性部材である。
図2のように吹出モードドア25が空調ケース21に取り付けられた状態では、弾性パッキン材40は、その厚み方向に圧縮されている。弾性パッキン材40の厚みは、そのように圧縮された状態においても、表皮材42に比して格段に厚くなっている。
【0054】
図4〜
図6に示すように、表皮材42は、長手状に延びた複数の第1リブ部42aと、その第1リブ部42aと直交する方向に長手状に延びた第2リブ部42bとから構成されている。第1リブ部42aが本発明の凸リブ部に対応し、第2リブ部42bが本発明の連結用リブ部に対応する。複数の第1リブ部42aは互いに平行であって互いの間に隙間を形成して配設されており、複数の第2リブ部42bも互いに平行であって互いの間に隙間を形成して配設されている。また、第1リブ部42aと第2リブ部42bとは互いに交差し接合されている。そのため、表皮材42は、第1リブ部42aと第2リブ部42bとが一体となった網状の部材とされている。
【0055】
また、表皮材42は、ナイロン樹脂またはポリエステル樹脂などから構成されており、例えば射出成形等によって形成されるものである。すなわち、第1リブ部42aと第2リブ部42bとは射出成形等によって一体成形されている。
【0056】
第1リブ部42aは、第1リブ部42aの長手方向が吹出モードドア25の摺動方向ARdrとなるように、弾性パッキン材40のケース周壁部210(
図2参照)側に形成された表皮材接合面40b上に配設されている。例えば、第1リブ部42aの長手方向は吹出モードドア25の摺動方向ARdrと一致している。そして、全ての第1リブ部42aは互いに平行に設けられている。なお、上記長手方向が摺動方向ARdrと一致していることとは、厳密に両者が一致しているということではなく、一見して両者が一致していると認識される程度を意味する。また、同様に、第1リブ部42aが互いに平行とは、厳密な平行ではなく、一見して平行であると認識される程度を意味する。
【0057】
第1リブ部42aの長手方向に垂直な断面形状、すなわち
図4の矢印V方向から見た第1リブ部42aの形状は、
図5に示すように、非摺動方向ARxの幅LB1wが表皮材42の厚み方向の高さLB1hに比して小さくなっている。また、その断面形状において、弾性パッキン材40の表皮材接合面40b側とは反対側の先端部42cすなわちケース周壁部210(
図2参照)に摺接する第1リブ部42aの先端部42cが丸みを有し例えば円弧状になっている。第1リブ部42aの基端部42dは弾性パッキン材40の表皮材接合面40bに接合されている。
【0058】
なお、
図2に示すように、ケース周壁部210は、その吹出モードドア25側の面から径方向内側に向けて突き出たリブ状のシールリブ210bを備えている。そのため、詳細に言えば、吹出モードドア25が回転軸25aまわりに回動する際に、第1リブ部42aの先端部42c(
図5参照)は、ケース周壁部210のうちシールリブ210bに対して接触し摺動する。そのシールリブ210bは、その第1リブ部42aの長手方向に交差する方向すなわち回転軸25aの軸方向に長手状に延びている。シールリブ210bは本発明のケースリブに対応する。
【0059】
第2リブ部42bの断面形状、すなわち
図4の矢印VI方向から見た第2リブ部42bの形状も、上述した第1リブ部42aと同様の形状となっている。そして、第2リブ部42bの基端部42eも、第1リブ部42aの基端部42dと同様に、弾性パッキン材40の表皮材接合面40bに接合されている。
【0060】
但し、
図6に示すように、第1リブ部42aの高さLB1hに対し、第2リブ部42bの高さLB2hは小さくされている。すなわち、第1リブ部42aがケース周壁部210(
図2参照)に圧接される方向において、第1リブ部42aは、第2リブ部42bに比してケース周壁部210側に突き出ている。そのため、第1シール材25cがケース周壁部210に対して摺動する際には、第2リブ部42bはケース周壁部210に殆ど接触することなく、専ら第1リブ部42aがケース周壁部210に対して接触し摺動する。すなわち、第1シール材25cでは、主として第1リブ部42aが空調ケース21のケース周壁部210に対して摺動する。なお、第2リブ部42bは、複数の第1リブ部42aを相互に連結し、それにより表皮材42を補強し表皮材42の形状を安定させるために設けられているものである。
【0061】
上述したように、本実施形態によれば、第1シール材25cは、吹出モードドア25の摺動方向ARdrに長手状に延びた複数本の第1リブ部42aを備えている。そして、第1シール材25cでは、主として第1リブ部42aが、ケース周壁部210に対して圧接されつつ摺動する。すなわち、吹出モードドア25がケース周壁部210に対して摺動するときには、主として第1リブ部42aが、摺動方向ARdrに沿ってケース周壁部210に対し線状に接する。そのため、第1シール材25cは、例えば表皮材42を備えずにケース周壁部210に対し面状に接する場合と比較して、そのケース周壁部210に対し滑らかに摺動するので、その摺動時の作動異音を低減することができる。
【0062】
また、第1リブ部42aは空調ケース21のケース周壁部210に対して線状に接するので、例えば表皮材42が無い場合と比較して、ケース周壁部210に対する第1シール材25cの接触面積を大幅に低減でき、そのケース周壁部210に対する吹出モードドア25の摺動抵抗を抑えることが可能である。
【0063】
また、本実施形態によれば、第1シール材25cは弾性パッキン材40を備えており、その弾性パッキン材40は、第1リブ部42aのケース周壁部210側とは反対側に配設されている。そして、その第1リブ部42aは、弾性パッキン材40の弾力により、ケース周壁部210に圧接されている。従って、例えば第1シール材25cがフィルム状を成しケース周壁部210に対し空気混合室27からの風圧によって押し当てられる場合と比較して、安定した押圧力で第1リブ部42aをケース周壁部210に圧接させることが可能である。その結果、吹出モードドア25が回動する際に、不規則な作動異音の発生を抑えることが可能である。
【0064】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、
図7、
図8を用いて説明する。
図7は、本実施形態の第1シール材25cの表皮材42側を表した図であり、
図8は
図7のVIII−VIII断面図である。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明し、第1実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。
【0065】
本実施形態では、
図7、
図8に示すように、表皮材42において、第1実施形態の第1リブ部42aが第1リブ部52aに置き換わっている。また、第1実施形態の第2リブ部42bが第2リブ部52bに置き換わっている。すなわち、表皮材42の厚み方向において、第1リブ部52aの高さは第2リブ部52bと比較して大きい。一方で、弾性パッキン材40は第1実施形態と全く同じである。第1リブ部52aは本発明の凸リブ部に対応し、第2リブ部52bが本発明の連結用リブ部に対応する。
【0066】
図7に示すように、第1リブ部52aは、第1実施形態の第1リブ部42aとは異なり、第1リブ部52aの長手方向が吹出モードドア25の摺動方向ARdrとはなっていない。具体的には、第1リブ部52aの長手方向は、吹出モードドア25の摺動方向ARdrに対して45度未満の角度を成している。
【0067】
また、第1実施形態では
図4に示すように複数の第1リブ部42aは互いに平行又は略平行に設けられているが、
図7に示す本実施形態の全ての第1リブ部52aは、その長手方向が摺動方向ARdrに対して45度未満となるように形成されているものの、互いに平行にはなっていない。すなわち、複数の第1リブ部52aは、その第1リブ部52aの長手方向がそれぞれ異なる方向となるように配設されている。
【0068】
また、複数の第1リブ部52aのうちの一部は断続的に形成されている。第1リブ部52aは、以上の点を除き第1実施形態の第1リブ部42aと同じである。
【0069】
上述した第1リブ部52aと同様に、複数の第2リブ部52bは、互いに平行にはなっていない。すなわち、複数の第2リブ部52bは、その第2リブ部52bの長手方向がそれぞれ異なる方向となるように配設されている。そして、複数の第2リブ部52bのうちの一部は断続的に形成されている。また、複数の第2リブ部52bのうち、第1リブ部42aに対し直交して連結されているものもあれば、直交せずに連結されているものもある。第2リブ部52bは、以上の点を除き第1実施形態の第2リブ部42bと同じである。
【0070】
本実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様に、表皮材42の厚み方向において、第2リブ部42bの高さは、第1リブ部52aの高さに対して小さくされている。そのため、第1シール材25cでは主として第1リブ部52aが空調ケース21のケース周壁部210に対して摺動する。そして、第1リブ部52aの長手方向は吹出モードドア25の摺動方向ARdrに平行ではないものの、その摺動方向ARdrに対して45度未満の角度範囲内に収まっている。従って、第1実施形態と同様に、吹出モードドア25をケース周壁部210に対し滑らかに摺動させることができ、吹出モードドア25が摺動するときの作動異音を低減する効果を得ることが可能である。
【0071】
また、例えば
図7に示すように、1本の第1リブ部52a上でA1点とA2点とを任意に選択したとする。その場合、第1リブ部52aの長手方向は吹出モードドア25の摺動方向ARdrに対して45度未満の角度範囲内に収まっていることから、そのA1点とA2点との間の摺動方向ARdrに直交する幅WD1が、そのA1点とA2点との間の摺動方向ARdrに平行な幅WD2よりも小さくなる。そのため、それらの幅WD1、WD2の大小関係が逆の場合と比較して、ケース周壁部210に対する吹出モードドア25の摺動抵抗を抑えることが可能である。
【0072】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、
図9を用いて説明する。
図9は、本実施形態の表皮材342を表した図である。その
図9では、表皮材342のケース周壁部210(
図2参照)側が表示されている。すなわち、
図9では、表皮材342の摺動面が表示されている。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明し、第1実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。
【0073】
本実施形態では、第1シール材25cにおいて、表皮材342が前述の第1実施形態に対して異なっている。
図9に示すように、本実施形態の表皮材342は、長手方向が互いに直交する複数本の第1繊維344と第2繊維346とを織った織布材で構成されている。
図9の表皮材342は、所謂綾織りで織られている。
【0074】
例えば、表皮材342は、
図9のように、複数の第1繊維344の相互間と複数の第2繊維346の相互間とのそれぞれに隙間が空くように、織られている。その繊維344、346間の隙間は、第1繊維344または第2繊維346の繊維径よりも大きくてもよいし、或いは小さくてもよい。また、表皮材342では、第1繊維344が互いに平行となるように配設されており、第2繊維346も互いに平行となるように配設されている。
【0075】
そして、第1実施形態と同様に、表皮材342は、例えば接着又は溶着などによって、弾性パッキン材40の表皮材接合面40bに接合されている。すなわち、第1シール材25cは、ケース周壁部210に摺動する側に、織布材である表皮材342を備えている。
【0076】
第1繊維344および第2繊維346は、例えばナイロン繊維またはポリエステル繊維などから構成されている。
図9に示すように、表皮材342のケース周壁部210側(
図2参照)の面である摺動面では、第1繊維344の方が、第2繊維346に比してより多く露出している。すなわち、第1繊維344が表皮材342のケース周壁部210側に露出している総面積は、第2繊維346がそのケース周壁部210側に露出している総面積よりも大きい。
【0077】
そのため、吹出モードドア25が第1繊維344の長手方向に沿って動作するように、第1繊維344の長手方向が吹出モードドア25の摺動方向ARdrとされて、表皮材342は弾性パッキン材40に接合されている。すなわち、表皮材342を構成する第1繊維344および第2繊維346のうち第1繊維344が、吹出モードドア25の摺動方向ARdrに延びている。従って、第1繊維344は、長手方向が摺動方向ARdrに対して45度未満の角度になっている凸リブ部を構成している。
【0078】
図9の表皮材342では、吹出モードドア25(
図2参照)が回動する際、第1繊維344と第2繊維346との両方がケース周壁部210(
図2参照)に対して摺動するが、第1繊維344は、上述したように、第2繊維346と比較してより多く摺動面に露出している。従って、第1シール材25cでは、主として第1繊維344がケース周壁部210に対して摺動する。
【0079】
本実施形態によれば、第1繊維344は、断続的ではあるものの、第1実施形態の第1リブ部42aに対応する凸リブ部を構成しているので、第1実施形態と同様に、吹出モードドア25の摺動時において摺動抵抗を抑制すると共に作動異音を低減するという効果がある。
【0080】
また、本実施形態によれば、表皮材342は織布材で構成されているので、樹脂の成形品と比較して、表皮材342の厚み方向に垂直な方向に伸縮可能である。従って、弾性パッキン材40(
図2参照)は、表皮材342が貼り付けられている表皮材接合面40bの伸縮を伴うように弾性変形させられた場合に、その弾性変形が表皮材342によって規制され難い。
【0081】
例えば、
図2のように吹出モードドア25がロータリドアである場合には、弾性パッキン材40は湾曲させて取り付けられる。そして、弾性パッキン材40は湾曲させられると、周方向において内周側が縮む一方で外周側が伸びようとする。すなわち、表皮材接合面40bが伸びようとする。従って、その弾性パッキン材40の湾曲変形を妨げないようにするためには、表皮材342はその弾性パッキン材40の表皮材接合面40bと共に伸びる必要がある。
【0082】
この点、本実施形態の表皮材342は、上記したように伸縮可能であるので、弾性パッキン材40の湾曲変形を妨げにくい。仮に表皮材342が伸縮不能でありその弾性パッキン材40の湾曲変形を過剰に妨げれば、湾曲変形した弾性パッキン材40の厚みが不均一になり、表皮材342をケース周壁部210に押し付ける押圧力が不均一になり易い。すなわち、伸縮可能な表皮材342が用いられることにより、ドア本体25bに弾性パッキン材40をほぼ均一な厚みで取り付けることができる。そのため、吹出モードドア25の作動途中において、第1シール材25cのシール性能を安定して得ることができる。
【0083】
(他の実施形態)
(1)上述の第1、第2実施形態において、
図4または
図7に示す表皮材42は網状であるので、表皮材42はその厚み方向に通気可能であるが、例えば、第1リブ部42aと第2リブ部42bとによって囲まれた微細な穴が膜状に塞がれて通気不可能となっていても差し支えない。
【0084】
(2)上述の第3実施形態において、表皮材342は織布材で構成されているので、その厚み方向に通気可能であるが、通気不可能となっていても差し支えない。
【0085】
(3)上述の第1実施形態では、第1シール材25cはドア本体25bの第1外周壁251に貼り付けられているが、そのドア本体25bに対し、ピン留めなどで係止する引掛け固定とされていても差し支えない。
【0086】
(4)上述の実施形態では、吹出モードドア25は、回転軸25aを中心に回動するロータリドアであるが、回転軸25aを有さずに平行移動するスライドドアであっても差し支えない。また、本発明は、吹出モードドア25に適用されているが、摺動動作する摺動ドアであればドアの用途に特に限定はなく、例えば、摺動式のエアミックスドア、又は、車室内空調ユニット10に導入される内外気の切り替えを行う内外気ドアに適用されても差し支えない。
【0087】
(5)上述の第1、第2実施形態では、第2リブ部42b、52bはリブ状の形状を成しているが、複数の第1リブ部42a、52aを相互に連結するために設けられているので、リブ状である必要はなく、例えば薄膜状であっても差し支えない。
【0088】
(6)上述の第3実施形態において、表皮材342は、複数の第1繊維344の相互間と複数の第2繊維346の相互間とのそれぞれに隙間が空くように織られているが、その第1繊維344が相互に密着するように織られていてもよいし、第2繊維346が相互に密着するように織られていてもよい。
【0089】
(7)上述の実施形態において、弾性パッキン材40の材質は発泡ウレタンなどであるが、POM樹脂などの樹脂材であっても差し支えない。その弾性パッキン材40の材質がPOM樹脂などである場合には、弾性パッキン材40は、ばね状に成形される等、その成形形状により厚み方向に弾性を備えるようにすればよい。
【0090】
(8)上述の第3実施形態において、表皮材342は、
図9のような綾織りで織られた織布材で構成されているが、その織り方に限定はない。表皮材342は、例えば
図10のような朱子織りで織られていても差し支えない。
【0091】
その
図10は、
図9と同様に表皮材342のケース周壁部210(
図2参照)側の面すなわち摺動面を表示した図である。
図10の表皮材342でも、
図9と同様に、第1繊維344の長手方向が吹出モードドア25の摺動方向ARdrとされている。そして、
図10から判るように、第1繊維344は、第2繊維346と比較してより多く摺動面に露出しているので、第1シール材25c(
図2参照)において、主として第1繊維344がケース周壁部210に対して摺動する。
【0092】
また、表皮材342は、例えば
図11のような織柄であっても差し支えない。その
図11は、
図9および
図10と同様に表皮材342の摺動面を表示した図である。
図11の表皮材342でも、
図9および
図10と同様に、第1繊維344の長手方向が吹出モードドア25の摺動方向ARdrとされている。そして、
図11から判るように、第1繊維344は、第2繊維346と比較してより多く摺動面に露出しているので、第1シール材25c(
図2参照)において、主として第1繊維344がケース周壁部210に対して摺動する。
【0093】
(9)上述の第3実施形態において、表皮材342は第1繊維344と第2繊維346とから構成されているが、その第1繊維344および第2繊維346以外の繊維等を含んでいても差し支えない。また、第2繊維346は複数の第1繊維344を相互に連結させるために表皮材342に含まれているので、第2繊維346が設けられておらず、第2繊維346以外の部材により第1繊維344が相互に連結されていても差し支えない。
【0094】
(10)上述の第3実施形態において、第1繊維344および第2繊維346はナイロン繊維またはポリエステル繊維などの化学繊維から構成されているが、綿、麻などの天然繊維から構成されていても差し支えない。
【0095】
(11)上述の第2実施形態において、全ての第1リブ部52aは、その長手方向が摺動方向ARdrに対して45度未満となるように形成されているが、例えば、その第1リブ部52aの一部が、摺動方向ARdrに対し45度以上の角度をなす長手方向を有するように形成されていても差し支えない。要するに、大半の第1リブ部52aの長手方向が摺動方向ARdrに対して45度未満となっておればよい。
【0096】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。