(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記キュー構成制御手段は、他の上記光回線ユニットを、現用系の光回線ユニットとして立ち上げる場合には、その下りバッファを個別キューとして構築させることを特徴とする請求項1又は2に記載の局側装置。
【背景技術】
【0002】
近年のFTTH(Fiber To The Home)サービスの利用拡大と共に、光サービスのライフライン化に伴うサービス断時間の短縮のため、PONシステムへの高信頼化の要求が高まっている。障害検出等に伴う自動予備切り替えや、保守用途での手動切り替えを行えるPONプロテクション技術がIEEE P1904.1(非特許文献1)にて標準化が行われている。
【0003】
PONプロテクション構成として、トランクプロテクション又はタイプBプロテクションと呼ばれている
図5に示すものがある(非特許文献1、2参照)。このPONプロテクション構成は、局側装置であるOLT(Optical Line Terminal)101の2つの光回線ユニット(OSU;Optical Subscriber Unit)105−n1、105−n2(nは1〜N)と、加入者側装置である複数のONU(Optical Network Unit)102−n1〜102−nm(mは1〜M)を、光伝送媒体(又は光ファイバ;
図5ではPON回線と表記している)104−n1、104−n2及び光スプリッタ103−nという受動素子を介して接続したPONシステムの冗長化構成である。PONプロテクション構成では、光スプリッタ103−nより上位の光伝送媒体104−n1、104−n2及びOSU105−n1、105−n2が冗長な構成となっている。
【0004】
なお、
図5において、制御部107は、OLT101の全体的な制御を行なう。集線部106は、OSU105(105−11〜105−N2)からの上りフレームを多重して上位ネットワーク側に送信すると共に、上位ネットワーク側から受信した下りフレームを適切なOSUに振り分ける処理を行なう。
【0005】
また、PONプロテクション構成として、従来、
図6に示すものも提案されている(非特許文献3、特許文献1参照)。このPONプロテクション構成は、光スイッチ208と呼ばれる能動素子を用い、複数の運用OSU(例えば、205−1〜205−N)のいずれかを1枚の予備系OSU(例えば、205−(N+1))に切り替え可能なN対1のプロテクション構成である。
【0006】
図5及び
図6に示すPONプロテクション構成のいずれの場合でも、予備系への切り替え時に、音声サービスに影響を与えない50m秒以下での切り替え時間が要求される。OLT101、201の上位ネットワーク側とのインタフェース(上位インタフェース)が10Gビット/秒の転送能力を持つ場合、OSU105、205からONU102、202への下り方向のフレームをロスすることなく切り替えるためには、切り替え中のデータをOSU105、205内部で蓄積する必要があり、最大500Mビット強の一時蓄積バッファが必要となる。
【0007】
一方、光サービスへの高信頼化の要求とは別に、近年高まる低エネルギー社会への要求を背景に、光アクセス網の消費電力の大部分を占めるPONシステム及びその加入者側装置であるONUにて、トラヒック状態に応じて回路動作を休止状態とするパワーセービング技術がIEEE P1904.1にて標準化が行われている。
【0008】
ONU内部の上り方向の送信部の一部をパワーセーブ対象とするTxモードスリープと、ONU内部の上り方向の送信部の一部に加え、下り方向の受信部の一部までパワーセーブ対象とするTRxモードスリープの2種類が検討されている。パワーセーブ中は、スリープサイクルとアウェイクサイクルを周期的に繰り返すことで、消費電力を抑え、かつ、トラヒック入力時に直ぐに通常状態に復元させることが可能である。TRxモードのスリープサイクル中、ONUは、下り方向のトラヒックを受け取ることができない。よって、下り方向のフレームロスを回避する目的で、OLTのOSU内部で、下り方向のトラヒックを一時蓄積する必要がある。そこで、ONU毎に下りバッファを個別に有するOLTが特許文献2で提案されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(A)主たる実施形態
以下、本発明によ
る局側装置及び光通信システムの一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(A−1)実施形態の構成
実施形態の光通信システムであるPONシステムの全体構成も、上述した
図6で表すことができ、実施形態の局側装置であるOLTの概略構成も、上述した
図6で表すことができる。なお、加入者側装置であるONUは、従来のものと同様である。OLTは、
図6に示したように、N個のPONシステムのOLTの機能を統括したOLTになっている。
【0022】
実施形態の光回線ユニットであるOSU(
図6の符号205−1〜205−(N+1)参照)の詳細構成が、従来のものと異なっている。基本的に予備系となるOSUが定まっている場合でも、現用系のOSUと予備系のOSUとは同じ詳細構成を有している。
【0023】
図1は、実施形態のOSUの詳細構成を示すブロック図である。
図1において、実施形態のOSU300は、PON送受信部301、受信処理部302、送信処理部303、制御インタフェース部(制御I/F部)304、PON制御部305、上りバッファ306、集線インタフェース部307及び下りバッファ308を有する。
【0024】
PON送受信部301は、光スイッチ(
図6参照)と接続され、主に、PON区間における光信号から電気信号への変換を行うものである。PON送受信部301は、図示は省略するが、光トランシーバと、バースト受信対応のクロックとデータとを再生する再生回路とを具備し、上述した機能を実現する。また、PON送受信部301では、送信処理部303から転送されたPON区間の電気信号を光信号へ変換して光スイッチに送出する。
【0025】
受信処理部302は、当該OSU300の配下のONUからの光信号が変換された連続した電気信号に対し、シリアル・パラレル変換、誤り訂正、符号変換、PONヘッダ終端、MAC(Media Access Control)フレーム終端等の受信信号処理を行う。受信処理部302が抽出した正常なMPCP(Multi Point Control Protocol)フレームやOAM(Operation Administration and Maintenance)フレームは、PON制御部305に転送される。
【0026】
PON制御部305は、受信処理部302から与えられたMPCPフレームやOAMフレームの情報に基づいて、PONのリンクを確立、維持するための制御を行う。
【0027】
上りバッファ306は、優先度が異なる複数のキューを備え、受信処理部302からの上り方向ユーザフレームを優先度別にバッファリングすると共に、高優先のフレームを優先的に出力するQoS(Quality of Service)制御を行い、集線インタフェース部307に転送する。
【0028】
集線インタフェース部307は、上り方向ユーザフレームに対し、集線部(
図6の符号206参照)へ転送するための符号フォーマット変換等を行った後、集線部へ転送する。また、集線インタフェース部307は、集線部から転送された下り方向のユーザフレームを受け取り、正常なフレームを下りバッファ308に転送する。
【0029】
下りバッファ308は、下り方向ユーザフレームを優先度別にバッファリングし、高優先のフレームを優先的に出力するQoS制御を行い、送信処理部303に転送する。
【0030】
この実施形態の場合、物理的に一つの下りバッファ308がその機能的な構成を切り替えることができることを一つの特徴としている。
図2は、下りバッファ308の機能的な構成の説明図である。下りバッファ308は、通常バッファ構成(以下、符号で区別する場合には「308a」を用いる)と、PONプロテクションバッファ構成(以下、符号で区別する場合には「308b」を用いる)との2つのバッファ構成を取り得、制御部インタフェース部304を介した制御部(
図6の符号207参照)からの制御を受けて、通常バッファ構成308a又はPONプロテクションバッファ構成308bを択一的にとる。なお、下りバッファ308は、通常バッファ構成308a又はPONプロテクションバッファ構成308bに加え、PONプロテクションバッファ構成308bから通常バッファ構成308aへの切り替え時に機能する一時バッファを有する。
【0031】
図2(A)は、下りバッファ308の通常バッファ構成308aを示している。通常バッファ構成308aは、当該OSU300が運用中の現用系OSUとして立上げられたときに初期化されるバッファ構成であり、通常動作時及びPONパワーセービング動作時に利用されるバッファ構成である。通常バッファ構成308aは、当該OSU300が収容し得る最大数(
図6の例であれば「m」)に応じた各ONU用の優先度別のキューと、ブロードキャスト用の優先度別のキューとを備えている。
【0032】
図2(B)は、下りバッファ308のPONプロテクションバッファ構成308bを示している。待機中の予備系OSU又は待機中の現用系OSU(対向するONU群が実装されていない現用系OSU)として立上げられたときに初期化されるバッファ構成であり、PONプロテクション動作時に利用されるバッファ構成である。PONプロテクションバッファ構成308bは、全てのONUに対する下り方向ユーザフレームを一括してバッファリングする優先度別の一括キューからなる。
【0033】
通常バッファ構成308aとPONプロテクションバッファ構成308bとは、物理的には有限の同じバッファ(下りバッファ308)であり、物理的なバッファに対し、各キューとして機能する部分の割り当て方法が異なるだけである。例えば、物理的バッファとして、総容量がα+βのものを適用する。容量β分だけ一時キューとして適用される。通常バッファ構成308aでは、残った容量αを、各ONU用の優先度別のキューと、ブロードキャスト用の優先度別のキューとに振り分ける。PONプロテクションバッファ構成308bでは、容量αを、優先度別の一括キューに振り分ける。図示しない制御部が、ブロードキャスト用の優先度別のキューと優先度別の一括キューとに同じ識別情報を用いる場合であれば、PONプロテクションバッファ構成308bの場合には、各ONU用の優先度別キューのサイズを0にし、ブロードキャスト用の優先度別キュー(言い換えると、優先度別の一括キュー)に容量αを集中的に割り当てることで、通常バッファ構成308aからPONプロテクションバッファ構成308bへ下りバッファ308の構成を容易に変更することができる。
【0034】
一時キューは、バッファ構成の組み替え中に、入力される下り方向ユーザフレームを蓄積する機能を担っており、容量βは、バッファ構成の組み替え中に、入力される下り方向ユーザフレームの最大量を考慮して定められている。
【0035】
図1に戻り、送信処理部303は、収容しているONUからのREPORTフレームにて収集したONUの上りバッファの蓄積容量情報から演算した各ONUへの帯域割り当て情報を含んだGATEフレームと、MPCPフレームやOAMフレーム等の制御フレームと、下り方向ユーザフレームとを多重し、MACフレーム生成、PONヘッダ生成、符号変換、誤り訂正用パリティ付与、パラレル・シリアル変換等の送信処理を行い、PON送受信部301へ転送する。
【0036】
制御インタフェース部304は、当該OSU300が搭載されているOLT内の制御部(
図6の符号207参照)からの制御監視信号の終端・生成を行い、当該OSU300内の各ブロックを制御監視するものである。
【0037】
この実施形態の場合、当該OSU300が搭載されているOLT内の制御部は、上述したように、下りバッファ308の構成の切替えや、それに応じた集線部の下り方向ユーザフレームの振分けの変更を制御するものである。
【0038】
(A−2)実施形態の動作
次に、実施形態の局側装置であるOLTの動作、特に、OSUの切り替えを伴うPONプロテクション動作を、図面を参照しながら説明する。
図3は、実施形態のOLTにおけるPONプロテクション動作を示すシーケンス図である。
【0039】
図3では、OSU以外の構成要素について、上述した
図6におけると同一若しくは対応する符号を付して表している。すなわち、制御部207は
図6に示すようにOLT内の制御部であり、集線部206は
図6に示すようにOLT内の集線部である。また、現用系OSU300−ACTは、
図6の例で言えば、N個ある現用系OSU205−1〜205−Nのうち、運用状態にある任意の1個のOSUを表しており、予備系OSU300−SBYは、
図6の例で言えば、
図3のシーケンスの開始前において待機中の予備系OSU205−(N+1)を表している。
図3におけるONU202は、現用系OSU300−ACTに収容されている複数のONUのうちの1台を代表して示している。そのため、各ONUを対象とした処理は、
図3とは異なり、それぞれのONUとの間で実行される。すなわち、
図3は、PONプロテクション動作のうち、OSUの下りバッファ308の切り替えが理解し易いように切り替えに重みをおいて示しており、PONプロテクション動作そのものを正確に表現しているとは言い切れないものである。
【0040】
以下では、現用系OSU300−ACT及び予備系OSU300−SBYにおける下りバッファ(308)の構成の切り替えを中心に説明する。なお、
図3の当初状態においては、現用系OSU300−ACTの下りバッファ308は、通常バッファ構成308aを採用しており、予備系OSU300−SBYの下りバッファ308は、PONプロテクションバッファ構成308bを採用している。
【0041】
制御部207は、上位装置やその時点で接続されている保守端末などから、現用系OSU300−ACTに代えて予備系OSU300−SBYを運用状態にする切り替え指令が与えられると、現用系OSU300−ACTに対して、内部で適用している運用情報を読み出して予備系OSU300−SBYに転送することを指示し(S400)、これに応じて、現用系OSU300−ACTは、運用情報を読み出して予備系OSU300−SBYに転送し(S401)、予備系OSU300−SBYは、受信した運用情報を所定箇所に書き込む(S402)。
【0042】
例えば、現用系OSU300−ACTを保守しようとする場合に、保守員が上位装置や保守端末に対して手動によって切り替えを起動し、これに応じて、上位装置や保守端末が制御部207に切り替え指令を送出する。また例えば、現用系OSU300−ACT及び予備系OSU300−SBY間の切り替えが適切になされるかを定期的に監視するような場合であれば、上位装置が予め定められている時刻に、制御部207に切り替え指令を送出するようにしても良い。
【0043】
現用系OSU300−ACTから予備系OSU300−SBYへ転送される運用情報は、予備系OSU300−SBYが動作を継続するのに必要な情報である。例えば、運用情報としては、LLIDと呼ばれるロジカルリンクIDと、このロジカルリンクIDを割り当てられたONUのMACアドレスの一覧と、ロジカルリンクIDに対応付けられた往復伝播遅延測定値(RTT;Round Trip Time)と、ロジカルリンクIDに対応付けられたリンクアップ状態などを挙げることができる。
【0044】
上記では、
図3のシーケンスの開始前(当初状態)に、予備系OSU300−SBYの下りバッファ308が、PONプロテクションバッファ構成308bを採用していると説明したが、運用情報の書き込み動作とほぼ同時に、下りバッファ308を、PONプロテクションバッファ構成308bに設定するようにしても良い。
【0045】
予備系OSU300−SBYは、受信した運用情報の書き込みを終了すると、下りバッファ308を、下り方向ユーザフレームが蓄積し得る状態にする(S403)。下りバッファ308は、実際上、メモリ群で構成されているが、PONプロテクションバッファ構成308bで機能するメモリエリアの書き込みイネーブルを有意(ON)にすると共に、読み出しイネーブルを非有意(OFF)とすることで、下り方向ユーザフレームを蓄積し得る状態となる。
【0046】
制御部207は、例えば、運用情報の転送を指示してから所定時間経過すると、若しくは、予備系OSU300−SBYから、下りバッファ308を下り方向ユーザフレームが蓄積し得る状態にした通知があると、現用系OSU300−ACTに接続されていた光スイッチ208を予備系OSU300−SBYに接続させ(S404)、現用系OSU300−ACT宛の下り方向ユーザフレームが、予備系OSU300−SBY宛に送信されるように集線部206における下りトラヒックの振分けを変更させる(S405)。これにより、現用系OSU300−ACT宛の下り方向ユーザフレームが、予備系OSU300−SBY宛に送信されるように設定変更され、予備系OSU300−SBYの下りバッファ308に下り方向ユーザフレームが蓄積される。なお、この蓄積は、優先度別の一括キューに対してなされる。
【0047】
その後、制御部207は、現用系OSU300−ACTに対して、リンク断を検出することを抑制する設定を行うことを求めるリンク断検出抑制設定のメッセージをブロードキャストにて配下の全ONU(当然にONU202も含まれる)に送信することを指示し、これに応じて、現用系OSU300−ACTはリンク断検出抑制設定のメッセージをブロードキャストする(S406)。各ONUは、リンク断検出抑制設定メッセージの受信により、リンク断を検出することを抑制する設定になり(S407)、また、内部の上りバッファに上り方向ユーザフレームを蓄積させる(S408)。
【0048】
現用系OSU300−ACTは、リンク断検出抑制設定メッセージをブロードキャストした後、自OSU300−ACTからの発光(光信号の送信)を停止し(S409)、これに応じて、予備系OSU300−SBYが発光を開始する(S410)。そして、予備系OSU300−SBYは、自己のローカルタイムと呼ばれる時刻情報と各ONUのローカルタイムを同期させるために、ONU毎に同期用GATEフレームを送信し(S411)、同期用GATEフレームを受信した各ONUは、ローカルタイムの同期動作を行う(S412)。また、予備系OSU300−SBYは、リンク断検出抑制解除メッセージをブロードキャストにて全ONUに送信し(S413)、各ONUは、リンク断検出抑制設定メッセージの受信により、リンク断を検出する設定になる(S414)。
【0049】
その後、予備系OSU300−SBYは、各ONUにそれぞれ、REPORT収集のためのGATEフレームGATE−1を送信した後に(S415)、下りバッファ308(308b)を蓄積状態から出力状態に切り替えて出力を開始する(S416)。
【0050】
予備系OSU300−SBYは、各ONUからのREPORTフレームREPORT−1の受信により(S417)、各ONUへの帯域割当を行って、GATEフレームGATE−2によって通知し(S418)、これにより、各ONUは上りバッファの出力を再開する(S419)。
【0051】
これ以降、PONプロテクションバッファ構成308bの下りバッファ308(一括キュー)を利用しながら、予備系OSU300−SBYは、各ONUと通信を行う。
【0052】
そして、予備系OSU300−SBYは、下りバッファ308(の一括キュー)からの出力開始後、一定の条件を満たすようになると、下りバッファ308の構成をPONプロテクションバッファ構成308bから通常バッファ構成308aに変更する(S420)。
【0053】
以下、下りバッファ308(の一括キュー)からの出力開始後に、ユーザフレームをロスことなく、下りバッファ308の構成をPONプロテクションバッファ構成308bから通常バッファ構成308aに変更する処理を、
図4のフローチャートを参照しながら説明する。
図4は、ある優先度について切り替える場合の流れを示している。
図4に示すように、優先度毎に、PONプロテクションバッファ構成308bから通常バッファ構成308aに変更するようにしても良い。また、
図4におけるステップS500、S502、S505の判別を、全ての優先度について成立するかの判別に置き換えることにより、全ての優先度に関し、同時に、PONプロテクションバッファ構成308bから通常バッファ構成308aに変更するようにしても良い。ある優先度Pの一括キューの容量(蓄積可能な最大量)α
Pは同一優先度の一時キューの容量β
Pより多くなっている。
【0054】
予備系OSU300−SBYは、ステップS416による下りバッファ308のPONプロテクションバッファ構成308bにおける一括キューからのユーザフレームの出力を開始すると、
図4に示す処理を開始する。この開始時点では、一時キューは、ユーザフレームの書き込みも読み出しも禁止されている状態になっており、一括キューは、ユーザフレームの書き込みも読み出しも可能な状態になっている。
【0055】
予備系OSU300−SBYは、周期的に、若しくは、一括キューからユーザフレームを読み出した直後に、一括キューにキューイングされている蓄積量が、一時キューの容量未満になっているか否かを判断する(S500)。
【0056】
一括キューにキューイングされている蓄積量が一時キューの容量以上であると、予備系OSU300−SBYは、ユーザフレームの書き込みも読み出しも可能な一括キューの状態を継続させ、次のステップS500の判断タイミングを待ち受ける。
【0057】
これに対して、一括キューにキューイングされている蓄積量が、一時キューの容量未満になると、予備系OSU300−SBYは、一括キューを、ユーザフレームの読み出しは可能で、書き込みを禁止した状態に切り替えると共に、一時キューを、ユーザフレームの書き込みは可能で、読み出しを禁止した状態に切り替える(S501)。この切り替えにより、一括キューの蓄積量が徐々に減少し、一時キューの蓄積量が徐々に大きくなるように変化する。
【0058】
上述したステップS501の切り替え後、予備系OSU300−SBYは、周期的に、若しくは、一括キューからユーザフレームを読み出した直後に、一括キューにキューイングされている蓄積量が0(空)になったか否かを判断する(S502)。一括キューが空でないと、予備系OSU300−SBYは、読み出しが可能で書き込みを禁止した一括キューの状態、及び、書き込みが可能で読み出しを禁止した一時キューの状態を継続させ、次のステップS502の判断タイミングを待ち受ける。
【0059】
一括キューが空になると、予備系OSU300−SBYは、一括キューの構成を、ONU単位の個別キューの構成(PONプロテクションバッファ構成における所定の優先度の構成部分)へ変更する。まず、予備系OSU300−SBYは、一時キューを、ユーザフレームの読み出しは可能で、書き込みを禁止した状態に切り替えると共に、ONU単位の個別キューを、ユーザフレームの書き込みは可能で、読み出しを禁止した状態に切り替える(S503)。この切り替えにより、一時キューの蓄積量が徐々に減少し、ONU単位の個別キューの蓄積量が徐々に大きくなるように変化する。
【0060】
ここで、一括キューが空になることは、一括キューから一時キューへの切り替えが終了したことを意味し、この終了をトリガとして、一時キューからONU単位の個別キューへの切り替えを起動する。
【0061】
上述したステップS503の切り替え後、予備系OSU300−SBYは、周期的に、若しくは、一時キューからユーザフレームを読み出した直後に、一時キューにキューイングされている蓄積量が0(空)になったか否かを判断する(S504)。一時キューが空でないと、予備系OSU300−SBYは、読み出しが可能で書き込みを禁止した一時キューの状態、及び、書き込みが可能で読み出しを禁止したONU単位の個別キューの状態を継続させ、次のステップS504の判断タイミングを待ち受ける。
【0062】
一時キューが空になると、予備系OSU300−SBYは、一時キューを、ユーザフレームの読み出しも書き込みも禁止した状態に切り替えると共に、ONU単位の個別キューを、ユーザフレームの書き込みも読み出しも可能な状態に切り替える(S505)。
【0063】
全ての優先度について、上述したステップS505の処理が終了することにより、下りバッファ308の構成は、通常バッファ構成308aになる。
【0064】
以上では、運用中の現用系OSUから待機中の予備系OSUへの切り替えを説明したが、運用中の予備系OSUから待機中への現用系OSUへの切り戻しにも、同様な動作が実行される。
【0065】
(A−3)実施形態の効果
上記実施形態によれば、OSUの下りバッファにおける通常時の、ONU単位の小容量の個別キューのバッファ構成を、PONプロテクション時の場合に限り、大容量の一括キューのバッファ構成に組み替えるようにしたので、追加の大容量バッファなどの余計な部品コストを追加することなく、有限のバッファ容量を効率的に使用し、パワーセービングにもプロテクションにも最適な下りバッファを構成することができる。
【0066】
その結果、上記実施形態によれば、OSUの切り替え時に、下りフレームのロスを低減することができる。
【0067】
(B)他の実施形態
上記実施形態では、フレームの優先度が高低2段階で優先度別のキュー(個別キュー、一括キュー、一時キュー)が2個であるのものを示したが、優先度が存在しない光通信システムや、優先度が3段階以上の光通信システムにも本発明を適用することができる。すなわち、個別キュー、一括キュー及び一時キューが1個であっても良く、個別キュー、一括キュー及び一時キューが3個以上であっても良い。
【0068】
上記実施形態では、一時キューを利用して、下りバッファを、PONプロテクションバッファ構成308bから通常バッファ構成308aへ切り替えるものを示したが、一時キューを用いることなく、PONプロテクションバッファ構成308bから通常バッファ構成308aへ切り替えるようにしても良い。例えば、一括キューに蓄積されている量が所定量(0であっても良い)以下になったときに、一括キューからONU毎の個別キューに切り替えるようにしても良い。この際、上位装置側に、下り方向への送信を待機してもらうことにより、一括キューに蓄積されている量が所定量以下になることを早めるようにしても良い。
【0069】
上記実施形態では、
図6に示すようなN個のOSUに1個の予備系OSUを備えるOLTを示したが、
図5に示すような1個のOSUに1個の予備系OSUを備えるOLTに対して、本発明の技術思想を適用することができる。