(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直流電源線(2,13,14)から直流電源(1)の電圧が入力される入力端子、前記直流電源線(2,13,14)から定電圧バイアスが印加される制御端子、前記制御端子に定電圧バイアスが印加されることにより前記直流電源線(2,13,14)から前記入力端子を通じて電源が供給される出力端子、を具備したトランジスタ(Tr1)、を備える電源回路(50)と、
この電源回路(50)の供給電源を電源供給ノード(Na)から入力して動作しデータを変調して前記電源供給ノード(Na)からデータ変調信号を出力する変調回路(52)と、を備え、
前記電源回路(50)は、前記変調回路(52)からデータ変調信号が出力されると前記トランジスタ(Tr1)の出力端子の電位が変動することで前記トランジスタ(Tr1)の制御端子及び出力端子間の電圧を変動させ、これにより前記トランジスタ(Tr1)の入力端子の電位を変動させて前記直流電源線(2,13,14)に前記データ変調信号を重畳して電力線送信するデータ送信部(50)を兼用することを特徴とする電力線データ送信機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は車両内の各ブロック間の電源線の配線接続関係と直流電源が供給される電気的ユニットの接続例を示す。車両内には、バッテリ1からバッテリ電源線(直流電源線相当)2を通じてバッテリ電圧が供給される。
【0012】
このバッテリ電源線2にはヒューズ3を通じてイグニッションスイッチ4が接続されている。このイグニッションスイッチ4は、ユーザ切換に応じて車両内の各電気的ユニット5〜11にバッテリ1の電源供給を切替えるように構成されている。
【0013】
例えば、イグニッションスイッチ4がOFF位置のときには、異常通知部5、各種のランプスイッチ6、ルームランプおよびブレーキランプ7〜8などの各種ランプ系機器までバッテリ1の電源が通ずるように接続される。ブレーキランプ7〜8は通常10〜100[Ω]程度のインピーダンスになる。
【0014】
ブレーキランプスイッチ9がブレーキランプ7〜8に直列接続されており、ユーザのブレーキペダル(図示せず)の操作などによりこのスイッチ9がオンされると、対象ランプ7〜8に通電されブレーキランプ7〜8が点灯する。異常通知部5は、ブレーキランプ7などに正常に通電されているか否かを検知し通電されていなければ後述のメータ10に異常である旨を通知するように構成されている。
【0015】
また、イグニッションスイッチ4がACC(アクセサリ)位置のときには、バッテリ1の電源電圧が、他の電源線13にも通電されるようになり、各電気的ユニット10〜11にバッテリ1の電源電圧が給電される。これらの電気的ユニット10〜11は、例えばメータ10、人体検出器11などの機器である。人体検出器11は、例えばクリアランスソナー、乗員検知装置などの機器である。
【0016】
例えば、メータ10は人体検出器11から人体検出信号を入力する。またメータ10はIG電源線14の電圧を検出するバッテリチェッカ、ランプスイッチ6の状態を報知する機器として機能し、異常通知部5から異常通知信号(ダイアグ)を受付けて報知したり、各種状態を報知したりする機器となる。
【0017】
イグニッションスイッチ4がIG位置に切替えられると、IG電源線14にもバッテリ1の電源電圧が供給される。また、イグニッションスイッチ4がST(スタータ)位置に切換えられると、エンジンスタータ15が起動されエンジン16が起動する。エンジン16が起動すると、オルタネータ17が発電開始し、バッテリ電源線2を通じてバッテリ1に充電される。
【0018】
従来構成では、
図1に破線で示すように、ランプスイッチ6−メータ10間、IG電源線14−メータ10間、人体検出器11−メータ10間、異常通知部5−メータ10間にそれぞれ専用線18〜21を接続しているが、本実施形態では、これらの専用線18〜21を設けることなく、バッテリ1側の電源線2、電源線13、IG電源線14(直流電源線相当)を通じて電力線通信可能にした態様を説明する。
【0019】
図2は電力線通信システムを構成する車両用機器の実装形態例を示す。この
図2に示す電気的ユニット25、26、27…は、それぞれ、前述説明したメータ10、人体検出器11、又はその他の各種センサ、各種ランプスイッチ6、ルームランプユニット等にそれぞれ対応するものである。これらの電気的ユニット25、26、27…は、それぞれ単体基板上に電子部品が組み込まれてユニット化されている。
【0020】
図2において、2本のワイヤ31,32は、隣接する電気的ユニット25、26、27…間で例えば数m程度(1.5m、2m、2.5m程度)の長さに調整されており、各電気的ユニット25、26、27…にそれぞれ設けられたコネクタ30間を接続する。これにより、各電気的ユニット25、26、27…は順次従属接続されている。
【0021】
なお、ユーザが電気的ユニットをコネクタ30に後付けしても良く、その他の後付けユニットとしては、イルミネーションランプユニット(外付け)、電動ファンユニット(外付け)、など数(例えば7)ユニットを従属接続可能となっている。この接続結線方法は平行2線式給電線としても良いし撚り対線としても良い。電気的には、ワイヤ31が
図1の電源線2,13,14に対応し、ワイヤ線32が
図1のグランドGに対応する。
【0022】
ここで、電気的ユニット25は、全ての電気的ユニット25、26、27…を含むマスタスレーブシステムのマスタとして動作する。例えば電気的ユニット25は、ワイヤ31、32に所定の搬送波周波数のデータ変調信号を重畳し、他の電気的ユニット(例えば26又は27)がこのデータ変調信号を復調しデータを受信する。そして、他の電気的ユニット26,27…は応答データを所定の搬送周波数のデータ変調信号としてワイヤ31、32に出力する。そして、電気的ユニット25がこのデータ変調信号を復調するように構成されている。
【0023】
図3は車両に搭載された車両用機器が使用する信号の周波数割当を示す。例えば、オーディオ周波数帯f1は20〜20000[kHz]、スマートエントリー帯f2は134[kHz]帯、AMラジオの中間周波数帯f3は455[kHz]帯、また1[MHz]以上の周波数f4は、ECU(Electronic Control Unit)に搭載されるマイコンのクロック周波数、FMラジオの中間周波数帯、AM波、FM波、及び、地上波デジタルに使用される。また、車両内にはエンジンが高回転するときにレーシングノイズを生じるが、このレーシングノイズの発生周波数帯をf5に示している。
【0024】
この
図3に示すように、スマートエントリー帯f2とAMラジオの中間周波数帯f3との間に空き周波数帯域f6(例えば150[kHz]〜430[kHz])が見出されており、この周波数帯域f6ではレーシングノイズも少ない。このため周波数帯域f6内の所定周波数が電力線通信用の搬送波周波数に設定されている。また、
図1に示す電源線2,13,14にはオルタネータ17を通じてノイズが重畳されるが、電力線通信の搬送波周波数はオルタネータ17のノイズ周波数とは異なる周波数領域に割当てると良い。するとオルタネータ17の発生ノイズの影響を極力受けることなく電力線通信できる。
【0025】
さて、
図2に参照図面を戻すと、マスタとなる電気的ユニット25の端部にはコネクタ30を通じてシガーライターソケット33が電気的に接続されている。このシガーライターソケット33は、バッテリ1の電源線13の電源供給ラインとなる接続端子34、35に直流的に接続され、ユーザが外部機器(図示せず)を接続できる。
【0026】
ローパスフィルタ36が、シガーライターソケット33(ACC電源)と電気的ユニット25のコネクタ30との間に介在して設けられている。このローパスフィルタ36は、コイルL1,L2及びコンデンサC1をT型に接続した所謂LCフィルタにより構成されている。このローパスフィルタ36を設けずに電力線通信を行うと、バッテリ(ACC電源)側を見たインピーダンスは1〜2[Ω]程度になるため、電力線通信するときに各電気的ユニット25,26,27…間の通信信号が打ち消される虞がある。
【0027】
このため、ローパスフィルタ36を設けることで、電力線通信周波数帯(150[kHz]〜430[kHz]帯)において電源側を見たインピーダンスを数十[Ω](例えば50[Ω])よりも高い高インピーダンスに設定している。
【0028】
高インピーダンスに設定すれば、シガーライターソケット33側及びバッテリ1側の電気的構成と、各電気的ユニット25,26,27…とを例えば電気的に切り離して考慮できる。また、ローパスフィルタ36側の入力インピーダンスが数十[Ω](例えば50[Ω])程度であっても電源線2,13,14に重畳したデータ変調信号の減衰を極力抑制でき、各電気的ユニット25,26,27…間の入出力インピーダンスを整合し易い。
【0029】
これにより、バッテリ1側、シガーライターソケット33側のインピーダンス変化の影響を極力受けることなく、各電気的ユニット25,26,27…間でデータを良好に通信できる。
【0030】
以下、ACCの電源線13に接続された電気的ユニット25の電気的構成例について
図4〜
図6を参照しながら説明する。
図4に示すように、マスタとなる電気的ユニット25は、レギュレータ40、CPU41、送信部42、受信部43、選択スイッチ44、エラー表示器45、作動ランプ点灯回路46、を備え、さらに、スピーカ駆動ドライバ、スピーカ、外部シリアル入出力インタフェース回路(何れも図示せず)を備える。
【0031】
レギュレータ40は、例えば三端子レギュレータにより構成され、電源線13を通じてバッテリ1から電源電圧の供給を受けるとDCDC変換し、CPU41、作動ランプ点灯回路46に電源電圧を供給する。CPU41は送信部42にASK変調用のデータ(「H」「L」のデジタル信号)を出力する。また、CPU41は受信部43からASK復調されたデータ(「H」「L」のデジタル信号)を入力する。
【0032】
選択スイッチ44は、スレーブとなる通信先の他の電気的ユニット26,27…を選択するためのスイッチであり、CPU41がこの選択スイッチ44を切換えることで通信先の電気的ユニットを切換える。また、エラー表示器45は、スレーブとなる他の電気的ユニット26,27…の各種エラーを表示するもので、他の電気的ユニット26,27…からエラーが送信されるとこの旨を表示する。作動ランプ点灯回路46はCPU41の指令に応じて作動ランプを点灯する。
【0033】
図5に送信部42の構成例を示すように、送信部42は、電源回路50と、搬送波生成回路51と、変調回路52と、増幅回路53とを備える。電源回路50は、電源線13と、変調回路52及び増幅回路53との間に介在して構成される。
【0034】
電源回路50は、NPNトランジスタTr1、抵抗R1,R2、及びツェナーダイオードD1を備えて構成され、電源線13にデータ変調信号を送信するデータ送信部を兼用する構成となっている。
【0035】
NPNトランジスタTr1は、そのコレクタ(入力端子相当)から抵抗R1を通じて電源線13に接続されている。通常のシリーズレギュレータによる電源回路は、
図5中の抵抗R1を備えておらず、トランジスタTr1のコレクタが直接電源線13に接続されているが、本実施形態の回路構成では、トランジスタTr1のコレクタから抵抗R1を通じて電源線13に接続されている。
【0036】
また、電源線13とグランドGとの間には抵抗R2と逆方向ツェナーダイオード(定電圧回路相当)D1とが直列接続されている。これらの抵抗R2とツェナーダイオードD1の共通接続ノードはNPNトランジスタTr1のベース(制御端子相当)に接続され、電源線13からトランジスタTr1のベースに定電圧バイアスが印加される。
【0037】
電源線13からトランジスタTr1のベースに定電圧バイアスが印加されると、電源回路50はトランジスタTr1のエミッタ(出力端子相当)を通じて電源供給ノードNaに電源電圧を供給する。この電源供給ノードNaは変調回路52及び増幅回路53に接続されているため、電源回路50から変調回路52及び増幅回路53に電源電圧が供給される。
【0038】
増幅回路53の電源供給ノードNaと、変調回路52のバイアス供給側の電源供給ノードNbとの間にはコイルL1が接続されており、電源供給ノードNbとグランドGとの間にはバイパスコンデンサC3が接続されている。これらのコイルL1及びバイパスコンデンサC3はデータ変調信号の遮断フィルタを構成する。これにより、電源回路50は電源供給ノードNa及びNbを通じて変調回路52に電源電圧を供給すると共に搬送波生成回路51にも電源電圧を供給できる。
【0039】
搬送波生成回路51は、インバータIN1、コイルL2、コンデンサC2及びC3を組み合わせて構成され、所定周波数(例えば200[kHz]:150[kHz]〜430[kHz]の所定周波数)の搬送波を生成する。この搬送波周波数は、
図3に示したように、他の車両用機器に用いられる周波数帯を避けるように選定した周波数(例えば200[kHz])に設定されている。
【0040】
変調回路52は、抵抗R3及びR4による搬送波の分圧回路、コンデンサC4、抵抗R5及びR6によるバイアス回路、トランジスタTr2及び抵抗R7並びにR8によるプリ増幅回路、を備える。
【0041】
抵抗R3及びR4の分圧回路は搬送波生成回路51の出力搬送波を分圧する。この分圧された搬送波は、コンデンサC4、抵抗R5及びR6のバイアス回路を通じてトランジスタTr2のベースエミッタ間に印加され、トランジスタTr2を用いたプリ増幅回路はこの搬送波を増幅する。
【0042】
他方、CPU41のデータ出力端子は、トランジスタTr2のベースノードNcに接続されている。CPU41がノードNcに「H」「L」のデジタルデータを出力すると、このデジタルデータはASK変調され、このデータ変調信号が増幅回路53に出力される。
【0043】
増幅回路53は、バイパスコンデンサC5、抵抗R9及びR10によるバイアス回路、メイン増幅回路54、を備える。メイン増幅回路54は、コンデンサC6及びコイルL3によるLC並列共振回路、トランジスタTr3、抵抗R11及びコンデンサC7の並列回路、を電源供給ノードNa及びグランドG間に接続して構成され、トランジスタTr3のベースエミッタ間には変調回路52が出力したデータ変調信号がコンデンサC5を通じて印加される。
【0044】
コンデンサC6及びコイルL3によるLC並列共振回路は、電源供給ノードNaとトランジスタTr3のコレクタとの間に接続され、その共振周波数は概ね搬送波生成回路51の搬送波周波数に合わせて設定されている。このメイン増幅回路54は、電源供給ノードNaから電源回路50を通じてデータ変調信号を電源線13に出力することになる。
【0045】
一般的な電源回路は、その電源供給ノードNaにバイパスコンデンサが接続されており本来はこの電源供給ノードNaの電位を変動させるように回路構成しないが、本実施形態の
図5に示す回路構成では、電源供給ノードNaにはバイパスコンデンサを設けておらず、あえてこの電源供給ノードNaの電流変動を生じやすくしている。また、バイパスコンデンサは少なくとも送信部42近辺の電源線13に接続されていない。
【0046】
この電源供給ノードNaの電流変化はトランジスタTr1のエミッタ電位の変化となるため、トランジスタTr1のベースエミッタ間電圧が増減することでNPNトランジスタTr1のコレクタ電流が増減し、抵抗R1を経由して電源線13の電位を変動出力できる。
【0047】
図6は受信部43の回路構成例を概略的に示しているが、この受信部43は、電源回路70と、共振増幅回路71と、増幅回路72と、復調器73と、を備える。電源回路70は、電源線13に接続されており当該電源線13から電源電圧の供給を受ける。電源回路70は、電源線13と各回路71〜73の電源供給ノードNcとの間に介在して構成される。この電源回路70は、NPNトランジスタTr4、抵抗R51,R52、及びツェナーダイオードD51を備えて構成され、電源線13から直流電源電圧の供給を受ける。
【0048】
NPNトランジスタTr4は、そのコレクタから抵抗R51を通じて電源線13に接続されている。また電源線13とグランドGとの間には抵抗R52と逆方向ツェナーダイオードD51とが直列接続されている。
【0049】
これらの抵抗R52とツェナーダイオードD51の共通接続ノードはNPNトランジスタTr51のベースに接続されており、電源線13からトランジスタTr51のベースに定電圧バイアスが印加される。電源線13からトランジスタTr1のベースに定電圧バイアスが印加されると、電源回路70は電源供給ノードNcに電源電圧を供給する。
【0050】
なお、この受信部43の電源回路70は、前述した送信部42の電源回路50と異なり、その電源線13からの入力インピーダンスは高い方が良い。したがって、
図6の回路構成では、電源線13とトランジスタTr4のコレクタとの間に抵抗R51を介在して接続した形態を示したが、この抵抗R51を設けずトランジスタTr4のコレクタを直接電源線13に接続しシリーズレギュレータを構成しても良い。
【0051】
共振増幅回路71は、電源供給ノードNcとバイアス供給側の電源供給ノードNdとの間にコイルL51を接続すると共にノードNdとグランドGとの間にコンデンサC51を接続して電源電圧が供給されている。
【0052】
この共振増幅回路71は、バイアス規定用の抵抗R53及びR54と、トランジスタTr5と、抵抗55と、コンデンサC52,C53と、コイルL52と、を備えて構成されている。ノードNdとグランドGとの間には抵抗R53及びR54が直列接続されており、抵抗R53及びR54の共通接続ノードには、トランジスタTr5のベースが接続されている。
【0053】
ノードNcとトランジスタTr5のコレクタとの間には、コンデンサC52とコイルL52の並列共振回路が接続されており、トランジスタTr5のエミッタとグランドGとの間には、抵抗R55とコンデンサC53とが並列接続されている。そして、トランジスタTr5のベースはカップリングコンデンサC54を通じて電源線13に接続されており、このコンデンサC54を通じてデータ変調信号が入力される。
【0054】
コンデンサC52とコイルL52の並列共振回路は、その共振周波数がデータ変調信号の搬送波周波数に合わせて設定されており、共振増幅回路71は他の電気的ユニットから送信されるデータ変調信号を主に増幅する。
【0055】
共振増幅回路71の後段にはカップリングコンデンサC55を介して増幅回路72が接続されている。この増幅回路72は、抵抗R56〜R59、及びNPNトランジスタTr6を組み合わせて構成されている。ノードNcとグランドGとの間にはノイズ除去用のコンデンサC56が接続されており、このノードNcと電源供給ノードNeとの間にはノイズ除去用のコイルL53が直列接続されている。
【0056】
ノードNcとグランドGとの間には、バイアス用の抵抗R56及びR57が直列接続されており、これらの抵抗R56及びR57の共通接続ノードにはトランジスタTr6のベースが接続されている。トランジスタTr6のエミッタとグランドGとの間には抵抗R59が接続されている。
【0057】
また、ノードNeとトランジスタTr6のコレクタとの間には抵抗R58が接続されている。このようにして、増幅回路72はエミッタ帰還増幅回路により構成されておりデータ変調信号を増幅しカップリングコンデンサC57を通じて復調器73に出力する。復調器73は、他の電気的ユニットの送信部42から送信されるデータ変調信号を復調する。この復調器73はCPU41に復調データを出力する。このようにして受信部43は構成されている。
【0058】
スレーブとなる他の電気的ユニット26,27…も、マスタとなる電気的ユニット25と同様の電気的構成を備えている。これらの電気的ユニット25,26,27…にはアドレスが個別に割当てられており、各電気的ユニット25,26,27…はマスタにもスレーブにも変化してデータを送受信できる。
【0059】
例えば、
図1に示す構成では、例えば異常通知部5がメータ10に電源線2及び13を通じてデータ変調信号としてダイアグを送信すると、メータ10は例えばインストゥルメンタルパネルのウォーニングランプを点灯/点滅することで警告情報を報知できる。
【0060】
<本実施形態の主な特徴のまとめ>
以上説明したように本実施形態によれば次に示す作用効果を奏する。
電源回路50はトランジスタTr1を備え、このトランジスタTr1のコレクタから直流電源が入力されると共にトランジスタTr1のベースには定電圧バイアスが与えられる。このとき電源回路50はトランジスタTr1を通じて直流電源を電源供給ノードNaに供給できる。
【0061】
また、変調回路52は電源回路50の供給電源を電源供給ノードNaから入力して動作しCPU41の出力データに応じてデータ変調信号を生成する。電源供給ノードNaにはコンデンサが接続されていない。このためノードNaにはデータ変調信号が大きく漏れることになる。そして、トランジスタTr1のエミッタ電流はノードNaの電流変化に応じて変化し、この変化に応じてトランジスタTr1のコレクタ電流およびコレクタ電圧が変化する。これにより、送信部42は、電源回路50を通じてデータ変調信号を電源線13に出力でき、このデータ変調信号を他の電気的ユニット等に送信できる。
【0062】
すなわち、電源回路50はデータ変調信号を送信するデータ送信部を兼用しているため、たとえば増幅回路53の後段にデータ送信用回路を別途構成することなく、さらに別途専用線18〜21等を設けることなく、電源線13にデータ変調信号を重畳して送信できる。これにより、よりシンプルな回路を用いて、電源線2,13,14にデータ変調信号を重畳して電力線通信できる。
【0063】
バッテリ1及びシガーライターソケット33と、電源回路50との間の車両用バッテリ1の電源線2,13,14,31にデータ変調信号の通過を遮断するローパスフィルタ36を遮断回路として設けているときには、バッテリ1側、シガーライターソケット33側の電気的構成を極力切り離して電気的に考慮できるようになり、各電気的ユニット25,26,27…間の入出力インピーダンスの関係を把握し易くなる。これにより、バッテリ1側、シガーライターソケット33側の信号、ノイズ、インピーダンス変化の影響を極力排除しながら、送信部42、受信部43等の回路設計を容易に行うことができる。
150[kHz]〜430[kHz]帯を用いて通信機能を実現できるため、送信部42及び受信部43は共に集中定数回路を用いて構成できる。
【0064】
(他の実施形態)
前述実施形態の態様に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。直流電源線として車両用バッテリ1の電源線2,13,14を適用したが、直流電源ラインであればどのような直流電源線にデータ変調信号を重畳するようにしても良い。
【0065】
電源回路50には、電解コンデンサがツェナーダイオードD1に並列に接続されていても良い。トランジスタTr1〜Tr6は、バイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)により構成した形態を示したが、MOSFETなど他種類のトランジスタを用いて構成しても良い。