【実施例】
【0033】
以下で実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
(製造例)
表1に従って配合したものを、80℃の加熱下において100rpmにて撹拌を行ったものを、消泡剤サンプルとした。
【0035】
使用した配合成分としては、(A)のソルビタントリオレイン酸エステルにはノニオンOP−85R、
(A’)のソルビタンモノオレイン酸エステルにはノニオンOP−80R、(B)のモノグリセリントリカプリル酸エステルとしてはパナセート810S、(C)のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレイン酸エステルはウィルサーフTF−80、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアリン酸エステルはウィルサーフTF−60(以上、日油株式会社製)を使用した。(C)はいずれも親水性乳化剤であるが、その親水性を示す値であるHLBは約15である。
【0036】
比較例に使用する配合成分において、(A)の代替成分に使用した親油性の乳化剤については(A´)で、(C)の代替成分に使用した親水性の乳化剤については(C´)で示した。(A´)のショ糖オレイン酸エステルはリョートーシュガーエステルO−170、(C´)のショ糖オレイン酸エステルはリョートーシュガーエステルO−1570(以上、三菱化学フーズ製)を使用した。(A´)のデカオレイン酸デカグリセリンにはサンソフトQ−1710S、ペンタオレイン酸デカグリセリンにはサンソフトQ−175S、オレイン酸モノグリセリドにはサンソフトNo.8070Vを、(C´)のモノラウリン酸デカグリセリンにはサンソフトQ−12S(以上、太陽化学製)を使用した。
【0037】
【表1】
【0038】
表1の注記:
※1.(A´)に使用したショ糖オレイン酸エステルは、モノエステル含量が約1%、ジ、トリ、ポリエステル含量が約99%のものであり、HLBは1である。
※2.(C´)に使用したショ糖オレイン酸エステルは、モノエステル含量が約70%、ジ、トリ、ポリエステル含量が約30%のものであり、HLBは15である。
【0039】
(試験例1)
表1に挙げた消泡剤サンプルについて、水への分散性および外観について評価した。まず、分散性については消泡剤サンプル1gを100mlビーカーに投入し、イオン交換水99gにて希釈し、25℃または80℃において、500rpmで5〜10分間撹拌した際の希釈液の外観を観察し、消泡剤が均一に分散する時間(分散時間)と、撹拌後分離し始める時間(分離開始時間)の計測を行い、下記評価基準に基づいて評価した。再分散性については、高温分散性試験に使用した消泡剤分散液について、25℃になるまで冷却し、上記の条件にて撹拌した際の分散の有無を確認した。外観については、消泡剤を配合して常温にて1日保管した際の外観を評価した。結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
表2の注記:
※3.分散時間
〇:撹拌開始5分以内に均一に分散する
△:撹拌開始10分以内に均一に分散する
×:撹拌しても、油滴や固体が分離した状態のままである
※4.分離開始時間
〇:撹拌停止後の液体の外観が30秒以上均一状態を保つことができる
△:撹拌停止後の液体の分散状態を15秒以上保ち、30秒以内に分離する
×:撹拌後15秒以内に固体分と液体分に分離する、または2層分離する
※5.再分散性
〇:再撹拌した際に、分散液の外観が均一となる
×:再撹拌した際に、分散液が不均一となる
※6.外観
〇:均一である
×:固形分と液体分に分離する、不均一である
【0042】
表2から明らかなように、本発明品については良好な水分散性、均一な外観を示すことが分かる。
一方、比較例1〜3は、発明品に含有される3成分中の2成分しか含んでいないため、十分な分散性を示さない。また、比較例4、6の様に(C)成分の代替としてショ糖脂肪酸エステルを含有する場合は、その融点が高い性質があるため、外観が不均一となる。比較例5は(C)成分のような水との親和性が高い成分を含まないため、25℃での分離開始時間が早くなり、分散性を保持できない。また、比較例7は(C)成分の代替としてポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する場合は、(A)、(B)成分の一部が遊離するため分散性を保てない。比較例8のようにモノグリセリン脂肪酸モノエステルを含有すると、そのものが高融点であるため外観が不均一となり、さらには(C)成分のような親水性成分を含まないため、分散性を保持できない。
【0043】
(試験例2)
起泡液として、大豆蛋白質(プロリーナRD−1:不二製油製)の0.5質量%水分散液を使用した。大豆蛋白液38gおよび実施例1において調製した消泡剤1質量%分散液2.0gを250mlメスシリンダーに投入し、100℃に加熱した。加熱し、発泡開始後のメスシリンダーを観察し、発泡開始1分後の起泡量を初期の破泡性、発泡開始10分後の起泡量を抑泡性の判断材料とし、下記評価基準に基づいて評価した。さらに、試験中のメスシリンダーを観察し、発泡してできた泡の泡切れについても評価した。この結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
表3の注記:
※7.初期の破泡性
〇:1分間の起泡量が100ml以下のもの
×:1分間の起泡量が100mlを越えるもの
※8.抑泡性
〇:試験開始後10分間の起泡量が200ml以下のもの
×:10分間の起泡量が200mlを越えるもの
※9.10分後の起泡量
メスシリンダーの目盛りで測定不可能の場合を−で示した。
※10.泡切れ
〇:メスシリンダーに割れた泡が付着して残らないもの
×:メスシリンダーに泡が付着して残るもの
【0046】
本発明品は、初期の破泡性、抑泡性、泡切れのいずれも要求性能を満たしていた。
これに対して比較例1〜3は、発明品に含有される3成分中の2成分しか含んでいないため、十分な消泡効果を示さない。また、比較例4、6のように(C)成分の代替として、ショ糖脂肪酸エステルを用いた場合は、抑泡性がみられない。さらに、比較例7のように(C)成分の代替としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する場合については、そのもの自体の比重が大きいことから、初期は消泡剤有効成分が水溶液中に沈むため、破泡性がみられない。また、比較例5、比較例8についてはいずれも(C)のように水への親和性の高い成分を使用していないため、分散性が保持できず、抑泡性がみられない。また、泡切れに関してはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを使用していない比較例1、5、6、7等で劣る傾向がみられたが、これは泡切れを向上させる作用のある(C)を含んでいないためである。
【0047】
(試験例3)
起泡液として、ホエイ(エンラクトYYY:日本新薬)3質量%水溶液を使用した。ホエイ水溶液69.3gおよび実施例1において調製した消泡剤1質量%分散液0.7gを250ml容器に投入し、55℃に加熱した。5分加熱した後に、家庭用ミキサー(ミルサー600D:イワタニ製)にて10秒間撹拌し、撹拌開始1分後(撹拌停止50秒後)の泡の量を初期の破泡性、撹拌開始5分後(撹拌停止290秒後)の泡の量を抑泡性の判断材料として、下記評価基準に基づいて評価した。結果を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
表4の注記:
※11.初期の破泡性
〇:撹拌後1分間の間に起泡量が20mm以下になる
×:撹拌後1分間の間に起泡量が20mmを上回る
※12.抑泡性
〇:撹拌開始時と撹拌後5分後の起泡量の差が5mm以上
×:撹拌開始時と撹拌後5分後の起泡量の差が5mmを下回る
【0050】
本発明品は、いずれも優れた破泡性、抑泡性を示した。
これに対して比較例1〜3は、発明品に含有される3成分中の2成分しか含んでいないため、十分な消泡効果を示さない。比較例4と6では、(C)成分の代替としてショ糖脂肪酸エステルを使用しており、抑泡性を示さない。比較例5および8については、(C)のような親水性の高い成分を含んでいないため、(A)および(B)の分散させることができず、破泡性も抑泡性もみられない。比較例7は初期の破泡性が不十分であるが、この理由は(C)成分の変わりに使用したポリグリセリン脂肪酸エステルの比重が大きいことから、(A)および(B)成分を起泡液中に沈んでしまい、泡表面に分散するまでに時間を要するためである。