(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032145
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】車両用運行データ分析システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20161114BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20161114BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20161114BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20161114BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/13
G07C5/00 Z
G06Q50/30
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-147558(P2013-147558)
(22)【出願日】2013年7月16日
(65)【公開番号】特開2015-22332(P2015-22332A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2015年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 昌弘
【審査官】
東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−219761(JP,A)
【文献】
特開昭59−103027(JP,A)
【文献】
特開2001−171388(JP,A)
【文献】
特開平11−016083(JP,A)
【文献】
特開2012−212394(JP,A)
【文献】
特開2006−057484(JP,A)
【文献】
特開2012−197069(JP,A)
【文献】
特表2002−544451(JP,A)
【文献】
米国特許第04207845(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 1/16
G07C 5/00
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運行データを収集して記録する記録手段と、前記記録手段により記録された運行データを分析する分析手段とを備え、
前記記録手段は、前記運行データとしての、時間経過に伴う、運転者の操作並びに車両の挙動に関するデータを記録し、
前記分析手段は、前記運行データから、前記運転者の運転技能、又は、車両自体の状態に関する評価を行う車両用運行データ分析システムであって、
前記記録手段は、運行データとして、エンジン回転数及び車速のデータを記録し、
前記分析手段は、車両の発進時における同一運転者の複数回の運行データから、エンジン回転数と車速との関係に関しての偏差を求めることに基づいて、運転者の発進時の運転技能を評価することを特徴とする車両用運行データ分析システム。
【請求項2】
前記記録手段は、更に、運行データとして、車両の横方向の加速度を検出する横Gセンサの検出出力のデータと、ターンシグナルスイッチの動作データとを記録し、
前記分析手段は、更に、前記車両が所定速度以上で走行しているときの前記運行データから、ふらつき運転の有無を評価することを特徴とする請求項1記載の車両用運行データ分析システム。
【請求項3】
前記分析手段は、更に、車両が所定速度以上で走行しているときの前記運行データから、エンジンの異常の有無を評価することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用運行データ分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運行データを収集して記録する記録手段と、記録手段により記録された運行データを分析する分析手段とを備えて構成される車両用運行データ分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばタクシー会社、バス会社、運送会社等の車両の運行業務を行う企業において、各営業所の担当者や運転者が操作する操作端末と、サーバとをネットワークにより接続し、車両の運行にかかわる情報の管理を行う運行管理システムが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この運行管理システムでは、サーバのマスタDB(データベース)に、運転者のデータ、車両のデータ、経費関連データ、車両の日々の運行関連データ、事故関連データ、自動車保険関連データ等を蓄積記憶している。そして、サーバの処理装置では、マスタDBに蓄積されているデータに基づいて、交通事故分析、経営分析、運転効率分析、車両管理、運転免許管理、自動車保険管理、運送原価分析、運行計画立案等の各種の評価、分析の処理を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−30289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の運行管理システムは、事故分析や経営管理を主眼としている。そのため、車両の日々の運行関連データを蓄積記憶しているにもかかわらず、その運行関連データを、例えば、省燃費や安全運転面での運転者の運転技能の向上や、各車両の状態の把握などに有効に活用できるものとはなっていなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の運行データを収集して記録するものにあって、記録された運行データを、有効に利用することができる車両用運行データ分析システムを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の車両用運行データ分析システムは、車両の運行データを収集して記録する記録手段と、前記記録手段により記録された運行データを分析する分析手段とを備えて構成され、前記記録手段は、前記運行データとしての、時間経過に伴う、運転者の操作並びに車両の挙動に関するデータを記録し、前記分析手段は、前記運行データから、前記運転者の運転技能、又は、車両自体の状態に関する評価を行う
車両用運行データ分析システムであって、前記記録手段は、運行データとして、エンジン回転数及び車速のデータを記録し、前記分析手段は、車両の発進時における同一運転者の複数回の運行データから、エンジン回転数と車速との関係に関しての偏差を求めることに基づいて、運転者の発進時の運転技能を評価するところに特徴を有する。
【0008】
上記構成によれば、記録手段により、車両の運行データとして、時間経過に伴う、運転者の操作並びに車両の挙動に関するデータが収集されて記録される。そして、分析手段により、前記運行データが分析され、運転者の運転技能、又は、車両自体の状態に関する評価が行われるようになる。この場合、運行データが、運行効率といった経営面での分析に利用されるのではなく、運転者の運転技能、又は、車両自体の状態に関する評価に利用される。従って
、車両の運行データを収集して記録するものにあって、記録された運行データを有効に利用することができ
る。
このとき、前記記録手段が、運行データとして、エンジン回転数及び車速のデータを記録し、前記分析手段が、車両の発進時における同一運転者の複数回の運行データから、エンジン回転数と車速との関係に関しての偏差を求めることに基づいて、運転者の発進時の運転技能を評価するので、運行データから運転者の発進時の運転技能を評価することができ、運転者の運転技能向上に役立てることができる。
【0009】
本発明において
は、
更に、上記記録手段が、運行データとして、車両の横方向の加速度を検出する横Gセンサの検出出力のデータと、ターンシグナルスイッチの動作データとを記録し、前記分析手段が、前記車両が所定速度以上で走行しているときの前記運行データから、ふらつき運転の有無を評価するように構成することができる(請求項2の発明)。これによれば、運行データからふらつき運転の有無を確実に評価することができ、運転者の運転技能向上に役立てることができる。
【0011】
或いは、
更に、前記分析手段が、車両が所定速度以上で走行しているときの前記運行データから、エンジンの異常の有無を評価するように構成することができる(
請求項3の発明)。これによれば、運行データから、エンジンの異常の有無を評価することができ、車両自体の状態の評価に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例を示すもので、車両用運行データ分析システムの構成を概略的に示す図
【
図2】ウインドウデータの例(a)及びふらつき運転リストの例(b)を示す図
【
図3】データ分析サーバが実行する、ふらつき運転の有無の評価の処理手順を示すフローチャート
【
図4】高ランクの運転者の運行データの例(a)及び低ランクの運転者の運行データの例(b)を示す図
【
図5】データ分析サーバが実行する、運転者の発進時の運転技能の評価の処理手順を示すフローチャート
【
図7】データ分析サーバが実行する、エンジンの異常の有無の評価の処理手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施例に係る車両用運行データ分析システム1の構成を概略的に示している。ここで、例えば運送会社(A運送)は、複数台(1台のみ図示)の車両2(トラック)を所有しており、その事務所には、管理用のコンピュータ3が設置されている。前記運行データ分析システム1は、運送会社のコンピュータ3と、情報センタのファイルサーバ4とをネットワークを介して通信可能に接続して構成されている。尚、他の運送会社(B運送、C運送、D運送)のコンピュータ5,6,7も、情報センタのファイルサーバ4に接続可能とされている。
【0014】
前記車両2には、車載端末器8が搭載されている。本実施例では、この車載端末機8が、運行データを収集して記憶媒体である例えばSDメモリカード9に書込むようになっており、記録手段として機能するようになっている。詳しく図示はしないが、車載端末機8は、コンピュータを主体として構成された制御装置を備えると共に、前記SDメモリカード9が着脱可能に挿入されるスロットを有している。また、前記制御装置には、GPS受信機が接続されており、車両2の現在位置(絶対位置)、速度や進行方向、現在時刻等が高精度で検出されるようになっている。
【0015】
そして、これも図示はしないが、車載端末器8(制御装置)には、例えばCAN等の車内ネットワークが接続されている。この車内ネットワークには、車両2に搭載された各種ECU、各種車載センサ等が接続されている。これにて、制御装置には、例えばイグニッションのオン・オフ情報や、エンジン回転数センサ、車速センサ、シフトポジションセンサ、水温センサ、フューエルセンサ、車両2の横方向の加速度を検出する横Gセンサからの検出信号、ターンシグナルスイッチからの情報(動作データ)等が入力される。
【0016】
これにて、車載端末器8(制御装置)は、運行データを所定時間間隔で生成(収集)し、スロットに挿入されたSDメモリカード9に対し、その運行データを書込む。このとき、運行データには、時間経過に伴う、運転者(乗務員)の操作並びに車両2の挙動に関するデータが含まれる。より具体的には、
図1に示すように、運行データには、時刻と、その時刻における車両2の位置情報(緯度、経度)、車速、エンジン回転数、ブレーキ信号、横Gセンサ信号、ターンシグナルスイッチ信号が含まれている。また、運行データを保存する所定時間間隔は、少なくとも100msec以下とされ、詳細なデータが記憶されるようになっている。
【0017】
前記管理用のコンピュータ3は、前記SDメモリカード9が着脱可能に挿入されるスロットを有し、SDメモリカード9から運行データの読取りを行うようになっている。この場合、例えば車両2の運転者(乗務員)は、1日の業務終了後に、車載端末器8からSDメモリカード9を取出し、事務所に設置されたコンピュータ3に読取らせる作業を行う。コンピュータ3は、SDメモリカード9から読取った各車両2(運転者)毎の運行データを、情報センタのファイルサーバ4に送信し、ファイルサーバ4には、それら運行データが蓄積記憶されるようになっている。
【0018】
さて、本実施例では、情報センタのファイルサーバ4には、データ分析サーバ10が接続されている。このデータ分析サーバ10は、コンピュータを主体として構成され、そのソフトウエア的構成(分析プログラムの実行)により、前記ファイルサーバ4から与えられた運行データを分析する処理を実行する。このとき、データ分析サーバ10は、前記運行データから、運転者の運転技能、又は、車両2自体の状態に関する評価を行うようになっている。
【0019】
より具体的には、次の作用説明(フローチャート説明)でも述べるように、本実施例では、データ分析サーバ10は、運行データを分析する処理として、(A)ふらつき運転の有無の評価、(B)運転者の発進時の運転技能の評価、(C)エンジンの異常の有無の評価、を実行するようになっている。従って、データ分析サーバ10が分析手段として機能する。
【0020】
次に、上記構成の作用について、
図2から
図7も参照して述べる。上記構成の運行データ分析システム1においては、情報センタのデータ分析サーバ10は、コンピュータ3から送信されファイルサーバ4に蓄積記憶されている運行データに基づき、車両2(運転者)毎の運行データの分析の処理を実行する。以下、データ分析サーバ10が実行する、上記した3種類の分析(評価)の処理について、順に述べる。
【0021】
(A)ふらつき運転の有無の評価
まず、
図2及び
図3を参照して、ふらつき運転の有無の評価について述べる。ここで、ふらつき運転の有無の評価(検出)は、運行データとして、車両2が例えば高速道路を所定速度(例えば60km/h)以上で走行しているときの、横Gセンサの検出出力の時系列データと、ターンシグナルスイッチの動作データ(ターン信号)とが用いられ、
図3のフローチャートに示す処理手順で行われる。
【0022】
即ち、
図3のフローチャートにおいて、ステップS1では、車両2が所定速度(60km/h)以上で走行しているときの、運行データ(横Gセンサの時系列データ及びターン信号)が入力される。ステップS2では、ターン信号が検出されていないかどうかが判断され、ターン信号が検出されていない場合(ステップS2にてYes)には、ステップS3にて、上記横Gセンサの時系列データを、一定時間例えば10秒間のウインドウ間隔で区切ったウインドウデータが抽出される。
【0023】
図2(a)は、横軸に時間、縦軸に出力(加速度)をとったときのウインドウデータの例を示しており、横Gセンサの検出出力の変動が比較的大きく発生している場合の例を示している。
図3に戻って、ステップS4では、1つのウインドウデータ内において、横Gセンサの検出出力が、上限値及び下限値(例えば±0.1G)を越えている回数が、2回以上あるかどうかが判断される。
【0024】
上限値及び下限値を越えた回数が2回以上あった場合には(ステップS4にてYes)、ステップS5にて、ふらつき運転を起こしていると判断される。上限値及び下限値を越えた回数が2回未満(0又は1回)であった場合には(ステップS4にてNo)、ステップS6にて、ふらつき運転ではないと判断される。尚、上記ステップS2にて、ターン信号が検出されている場合(ステップS2にてNo)も、ステップS6にて、ふらつき運転ではないと判断される。
【0025】
また、ふらつき運転を起こしていると判断された場合には、データ分析サーバ10において、
図2(b)に示すような、ふらつき運転リストが作成され、コンピュータ3に送信される。このふらつき運転リストは、ふらつき運転のあった日時、場所、車載器ID、ふらつきのレベル等の情報が含まれる。運送会社側では、その評価結果を受けて、運転者の勤務評価やふらつき運転があった運転者に対する指導などを行うことができ、運転者の運転技能(安全運転性)の向上に役立てることができる。
【0026】
(B)運転者の発進時の運転技能の評価
次に、
図4及び
図5を参照して、運転者の発進時の運転技能の評価について述べる。ここでは、運行データとしてのエンジン回転数及び車速のデータに基づき、車両2の発進時における同一運転者の複数回の運行データから、エンジン回転数と車速との関係に関しての偏差を求めることに基づいて、運転者の発進時の運転技能(アクセル及びギアワークが毎回安定しているかどうか)を評価する。また、複数の運転者に対するランク付けが行われるようになっている。
【0027】
図5のフローチャートは、データ分析サーバ10の実行する、運転者の発進時の運転技能の評価の処理手順を示している。まずステップS11では、運行データとして、車両2の発進時における、同一運転者の複数回のエンジン回転数及び車速の時系列のデータが入力される。次のステップS12では、複数回の運行データから、発進時の、時間経過とエンジン回転数との関係、及び時間経過と車速との関係についての近似式が、例えば最小二乗法を用いて求められる。
【0028】
ステップS13では、複数回の各運行データについて、近似式との偏差の平均が求められる。そして、ステップS14にて、偏差平均の値から、運転者のランク付けが行われる。この場合、偏差平均が最も小さい運転者が、ランキングのトップとされ、順位付けがなされる。このような各運転者のランク付け、つまり発進時の運転技能の評価のデータは、コンピュータ3に送信され、運転者の勤務評価等に用いられ、運転者の運転技能向上に役立てることができる。
【0029】
ちなみに、
図4(a)は、ある運転者Xにおける、3回の発進時のエンジン回転数及び車速の時系列のデータの例を示しており、この運転者Xは、アクセル及びギアワークが安定しており、運転技能が高い評価(ランク)となっている。これに対し、
図4(b)は、別の運転者Yの3回のデータの例を示しており、アクセル及びギアワークが安定せず、ランクは低いものとなる。
【0030】
(C)エンジンの異常の有無の評価
図6及び
図7を参照して、エンジンの異常の有無の評価について述べる。ここで、エンジンの異常の有無の評価(検出)は、運行データとして、車両2が空車状態(荷物を積載していない状態)で、所定速度(例えば60km/h)以上で走行しているときの、車速及びエンジン回転数の時系列データが用いられ、
図7のフローチャートに示す処理手順で行われる。
【0031】
即ち、まずステップS21では、運行データとして、車両2の車速及びエンジン回転数の時系列のデータが入力される。次のステップS22にて、運行データに基づき、車両2が空車状態で且つ所定速度(60km/h)以上で走行しているときの、車速を横軸、エンジン回転数を縦軸として、それらの関係をプロットすることが行われる(
図6参照)。そして、ステップS23では、車速とエンジン回転数との関係を示す近似式が、最小二乗法により求められ、そのグラフを元に正常領域±σが定められる。そして、その正常領域を統計的に外れた場合に、エンジンの異常と判定されるようになっている。
【0032】
この場合、
図6には、車速とエンジン回転数との関係の一例を示している。
図6中、実線で示されるグラフが、車速とエンジン回転数との関係を示す近似式となり、そのグラフの両側の破線で示される範囲が正常範囲(±σの範囲)とされる。そして、例えば星印で示すように、正常範囲を外れた場合のデータは、異常なデータと考えらえる。これによれば、運行データから、エンジンの異常の有無を評価することができ、車両2自体の状態の評価に役立てることができるのである。
【0033】
このように、本実施例の運行データ分析システム1によれば、運行データとして、時間経過に伴う、運転者の操作並びに車両2の挙動に関するデータを記録し、データ分析サーバ10により、前記運行データから運転者の運転技能、又は、車両2自体の状態に関する評価を行うように構成したので、運行データが運行効率といった経営面での分析にのみ利用されるものと異なり、車両2の運行データを収集して記録するものにあって、記録された運行データを有効に利用することができるという優れた効果を奏する。
【0034】
特に本実施例では、運行データとして、車両2の横方向の加速度を検出する横Gセンサの検出出力のデータと、ターンシグナルスイッチの動作データとを記録し、車両2が所定速度以上で走行しているときの運行データから、ふらつき運転の有無を評価するように構成したので、ふらつき運転の有無を確実に評価することができ、運転者の運転技能向上に役立てることができる。
【0035】
また、運行データとして、エンジン回転数及び車速のデータを記録し、車両2の発進時における同一運転者の複数回の運行データから、エンジン回転数と車速との関係に関しての偏差を求めることに基づいて、運転者の発進時の運転技能を評価するように構成したので、運転者の発進時の運転技能を評価することができ、運転者の運転技能向上に役立てることができる。さらに、車両2が所定速度以上で走行しているときの車速とエンジン回転数とから、エンジンの異常の有無を評価するように構成したので、車両2自体の状態の評価に役立てることができるものである。
【0036】
尚、上記実施例では、運行データを、SDメモリカード9を介して車載器とコンピュータとの間でやり取りするように構成したが、USBメモリや磁気ディスク、光ディスク等の他の記録媒体を用いてやり取りしたり、車両から管理コンピュータに対して無線通信により送信したりするように構成しても良い。この場合、車両(車載端末)と管理コンピュータとを無線通信で接続し、リアルタイムで運行データ等の通信を行うことにより、各車両の位置管理、業務状況の把握、業務指示等の必要な運行管理を行うシステムとして構成することもできる。
【0037】
そして、上記実施例では、運行データから3種類の分析(評価)の処理を行うようにしたが、そのうち1種類の分析(評価)の処置や、2種類の分析(評価)の処置を行うようにしても良い。それ以外の分析(評価)を併せて行うようにしても良い。その他、本発明は、運送会社に限らず、タクシー会社、バス会社等における、車両の運行データの分析にも適用することができる。また、上記一実施例における所定速度やウインドウの時間間隔といった具体的数値についても、あくまでも一例をあげたに過ぎず、種々の変更が可能である。更に、車載端末器や情報センタのハードウエア構成等についても様々な変形が可能である等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0038】
図面中、1は車両用運行データ分析システム、2は車両、3はコンピュータ、4はファイルサーバ、8は車載端末器(記録手段)、9はSDメモリカード、10はデータ分析サーバ(分析手段)を示す。