特許第6032149号(P6032149)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032149
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20161114BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H02M3/00 Y
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-151376(P2013-151376)
(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公開番号】特開2015-23720(P2015-23720A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2015年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 脩央
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−110065(JP,A)
【文献】 特開2009−189175(JP,A)
【文献】 特開2013−066316(JP,A)
【文献】 特開2008−259282(JP,A)
【文献】 特開2012−217316(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0059541(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体モジュール(21)を有する半導体ユニット(2)と、
上記半導体モジュール(21)と電気的に接続されたコンデンサ(4)と、
該コンデンサ(4)に残留した電荷を放電するための放電抵抗(5)と、
上記半導体ユニット(2)、上記コンデンサ(4)及び上記放電抵抗(5)を収容するケース(6)とを有しており、
該ケース(6)は、上記半導体ユニット(2)及び上記コンデンサ(4)を内側に収容する第1ケース(61)と、上記放電抵抗(5)を内側に収容する第2ケース(62)とを有し、
該第2ケース(62)には、上記半導体モジュール(21)と共に電力変換回路の一部を構成する発熱電子部品(71、72)と、該発熱電子部品(71、72)を冷却する冷却部(631)とが、上記放電抵抗(5)と共に配置されており、
上記放電抵抗(5)は、上記発熱電子部品(71、72)と共に、上記冷却部(631)と熱的に接触して配されており、
上記第2ケース(62)には、上記コンデンサ(4)と上記放電抵抗(5)とを接続するための接続部材(8)が配置されており、
該接続部材(8)は、上記コンデンサ(4)から延出するコンデンサ端子(41)と接続するための第1端子(811)と、上記放電抵抗(5)から延出する抵抗端子(51)と接続するための第2端子(812)とを有し、
上記コンデンサ(4)と上記放電抵抗(5)とは、それぞれ上記コンデンサ端子(41)及び上記抵抗端子(51)において、上記接続部材(8)に接続されることにより、互いに電気的に接続されていることを特徴とする電力変換装置(1)。
【請求項2】
上記コンデンサ(4)、上記放電抵抗(5)及び上記接続部材(8)は、上記半導体ユニット(2)に対して、上記第1ケース(61)と上記第2ケース(62)との並び方向と直交する一方向の同じ側に配されており、上記接続部材(8)は、上記コンデンサ(4)よりも外側に配されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置(1)。
【請求項3】
上記第1ケース(61)には、制御回路基板(22)が配されており、上記第2ケース(62)には、上記発熱電子部品(71、72)としてのリアクトル(71)と、該リアクトル(71)の温度を検出するサーミスタとが収容されており、上記接続部材(8)は、上記制御回路基板(22)と上記サーミスタとを接続する接続配線(9)を固定するための配線固定部(822)を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両には、DC−DCコンバータやDC−ACインバータ等の電力変換装置が用いられている。このような電力変換装置としては、例えば、特許文献1に示されたものがある。特許文献1の電力変換装置は、2つの電力変換器と、これを収容するケースとを有している。
【0003】
ケース内の空間は、仕切部によって、上方と下方とに分割されており、上側収容部と下側収容部とが形成されている。
【0004】
上側収容部には、複数の半導体モジュールと冷却管とを積層した積層体、リアクトル及びコンデンサを備えたDC−ACインバータが収容されており、下側収容部には、DC−DCコンバータが収容されている。また、仕切部の内部には、冷媒を流通する流路が形成されており、仕切部の下面が冷却面をなす冷却器を形成している。これにより、下側収容部に収容されたDC−DCコンバータを冷却可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の電力変換装置には、以下の課題がある。
【0007】
特許文献1の電力変換装置においては、ケース内の空間が仕切り部によって、上方収容部と下方収容部とに分割されている。そのため、上方収容部内に配された部品と下方収容部内に配された部品とを電気的に接続することが難しい。
【0008】
また、上方収容部に収容された部品においても冷却を必要とする場合がある。例えば、コンデンサには、残留した電荷を放出するための放電抵抗が電気的に接続されている。この放電抵抗は、放電時に発熱するため冷却されることが好ましい。放電抵抗を冷却する手段としては、半導体ユニットを構成する冷却管と、仕切部によって構成された下方冷却器とが考えられる。
【0009】
放電抵抗を冷却管によって冷却しようとした場合、半導体モジュールを冷却するための冷却面に加え、放電抵抗を冷却するための冷却面を形成する必要がある。そのため、冷却管が大型化することとなる。
【0010】
また、放電抵抗を下側冷却器によって冷却しようとした場合、放電抵抗を下方収容部に収容する必要がある。そのため、放電抵抗と上方収容部に収容されたコンデンサと電気的に接続することが難しい。
【0011】
また、放電抵抗を冷却するために専用の冷却器を設けることもできるが、電力変換装置における構成部品数の増加と構造の複雑化及び大型化につながる。
【0012】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、コンデンサと放電抵抗とを容易に接続すると共に冷却部によって放電抵抗を冷却することのできる電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、半導体モジュールを有する半導体ユニットと、
上記半導体モジュールと電気的に接続されたコンデンサと、
該コンデンサに残留した電荷を放電するための放電抵抗と、
上記半導体ユニット、上記コンデンサ及び上記放電抵抗を収容するケースとを有しており、
該ケースは、上記半導体ユニット及び上記コンデンサを内側に収容する第1ケースと、上記放電抵抗を内側に収容する第2ケースとを有し、
該第2ケースには、上記半導体モジュールと共に電力変換回路の一部を構成する発熱電子部品と、該発熱電子部品を冷却する冷却部とが、上記放電抵抗と共に配置されており、
上記放電抵抗は、上記発熱電子部品と共に、上記冷却部と熱的に接触して配されており、
上記第2ケースには、上記コンデンサと上記放電抵抗とを接続するための接続部材が配置されており、
該接続部材は、上記コンデンサから延出するコンデンサ端子と接続するための第1端子と、上記放電抵抗から延出する抵抗端子と接続するための第2端子とを有し、
上記コンデンサと上記放電抵抗とは、それぞれ上記コンデンサ端子及び上記抵抗端子において、上記接続部材に接続されることにより、互いに電気的に接続されていることを特徴とする電力変換装置にある。
【発明の効果】
【0014】
上記電力変換装置は、上記第1ケースに上記半導体ユニット及び上記コンデンサが収容されており、上記第2ケースに上記放電抵抗と上記接続部材が収容されている。そして、上記コンデンサと上記放電抵抗とは、それぞれ上記コンデンサ端子及び上記抵抗端子において、上記接続部材に接続されることにより、互いに電気的に接続されている。そのため、上記コンデンサと上記放電抵抗とを容易に接続すると共に該放電抵抗を上記冷却部によって冷却することができる。
【0015】
すなわち、上記第1ケースに上記コンデンサを収容することで、上記第1ケース内における上記コンデンサの位置決めを容易に行うことができる。したがって、上記第1ケース内に対して上記コンデンサ端子の位置決めを容易に行うことができる。
【0016】
また、上記放電抵抗と上記接続部材とは、いずれも上記第2ケースに収容されている。それゆえ、上記抵抗端子と上記第2端子との接続は、上記第1ケースと上記第2ケースとを互いに組み付ける前に容易に行うことができる。また、上記第2ケース内における上記接続部材の位置決めを容易に行うことができる。したがって、上記第2ケースに対する上記第1端子の位置決めを容易に行うことができる。
【0017】
そのため、上記電力変換装置を組み立てる際に、上記第1ケースと上記第2ケースとを、適切に組み合わせることで、上記コンデンサ端子と上記第1端子とを互いに正確に位置合わせすることができる。したがって、上記コンデンサ端子と上記第1端子とを所定の接続位置に配置し、両者を容易に接続することができる。これにより、上記第1ケースに収容された上記コンデンサと上記第2ケースに収容された上記放電抵抗とを容易に接続することができる。
【0018】
また、上記電力変換装置においては、上記第2ケースに上記放電抵抗を収容可能であるため、上記冷却部によって、上記発熱電子部品と共に上記放電抵抗を冷却することができる。それゆえ、上記電力変換装置における、部品点数の増加を抑制し、上記電力変換装置を大型化することなく、上記放電抵抗を冷却することができる。
【0019】
以上のごとく、上記電力変換装置によれば、コンデンサと放電抵抗とを容易に接続すると共に冷却部によって放電抵抗を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1における、電力変換装置を示す説明図。
図2図1における、II−II矢視断面図。
図3図1における、III−III矢視断面図。
図4】実施例1における、部品が収容された第1ケースを示す説明図。
図5図4における、V矢視図。
図6】実施例1における、部品が収容された第2ケースを示す説明図。
図7図6における、VII矢視図。
図8】実施例1における、接続部材を示す説明図。
図9図8における、IX矢視図。
図10図8における、X矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上記電力変換装置において、上記コンデンサ、上記放電抵抗及び上記接続部材は、上記半導体ユニットに対して、上記第1ケースと上記第2ケースとの並び方向と直交する一方向の同じ側に配されており、上記接続部材は、上記コンデンサよりも外側に配されていることが好ましい。この場合には、上記接続部材を、上記電力変換装置において、より外側の位置に配置することができる。これにより、上記接続部材の第1端子及び第2端子と、上記コンデンサ端子及び上記抵抗端子との接続作業を行う際に工具等に干渉しうる部分を少なくすることができる。それゆえ、上記電力変換装置における組立作業をより容易に行うことができる。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
上記電力変換装置にかかる実施例について、図1図10を参照して説明する。
【0023】
図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は、半導体モジュール21を有する半導体ユニット2と、半導体モジュール21と電気的に接続されたコンデンサ4と、コンデンサ4に残留した電荷を放電するための放電抵抗5と、半導体ユニット2、コンデンサ4及び放電抵抗5を収容するケース6とを有している。
【0024】
ケース6は、半導体ユニット2及びコンデンサ4を内側に収容する第1ケース61と、放電抵抗5を内側に収容する第2ケース62とを有している。第2ケース62には、半導体モジュール21と共に電力変換回路の一部を構成する発熱電子部品としてのリアクトル71及びトランス72と、発熱電子部品を冷却する下方冷却部631とが、放電抵抗5と共に配置されている。
【0025】
放電抵抗5は、発熱電子部品と共に、下方冷却部631と熱的に接触して配されており、第2ケース62には、コンデンサ4と、放電抵抗5とを接続するための接続部材8が配置されている。
【0026】
図2及び図3に示すごとく、接続部材8は、コンデンサ4から延出するコンデンサ端子41と接続するための第1端子811と、放電抵抗5から延出する抵抗端子51と接続するための第2端子812とを有している。
【0027】
コンデンサ4と放電抵抗5とは、それぞれコンデンサ端子41及び抵抗端子51において、接続部材8に接続されることにより、互いに電気的に接続されている。
【0028】
以下、さらに詳細に説明する。
【0029】
図1及び図2に示すごとく、本例においては、半導体ユニット2における積層方向を前後方向X、第1ケース61及び第2ケース62が並んだ方向を上下方向Z、また、前後方向X及び上下方向Zの両方と直交する方向を横方向Yとして、以下説明する。
【0030】
また、前後方向Xにおいて、冷媒導入管32及び冷媒排出管33の先端側を前方とし、反対側を後方とする。また、上下方向Zにおいて、第1ケース61が配された側を上方とし、反対側を下方とする。
【0031】
本例の電力変換装置1は、例えば、ハイブリッド自動車等において、直流電源から、三相交流モータ(図示略)に通電する駆動電流(U相、V相、W相)を生成するための装置である。
【0032】
図1に示すごとく、電力変換装置1は、半導体モジュール21を備えた半導体ユニット2と、電圧を平滑化するためのコンデンサ4と、コンデンサ4の残留電荷を放電するための放電抵抗5と、発熱電子部品としてのリアクトル71及びトランス72と、これらを収容するケース6とを有している。
【0033】
図1に示すごとく、ケース6は、半導体ユニット2及びコンデンサ4を収容する第1ケース61と、第1ケース61の下方側に配され放電抵抗5、接続部材8、リアクトル71及びトランス72を収容する第2ケース62と、第1ケース61の上部に配される蓋体67とを有している。
【0034】
図1図4及び図5に示すごとく、第1ケース61は、四角筒形状をなす第1壁部611によって形成されており、第1ケース61の内周は上下方向Zに貫通している。また、前方に配された第1壁部611には、一対の配管挿通孔612が貫通形成されている。
【0035】
蓋体67は、板状をなしており、第1ケース61の上側の開口部を覆うように配されている。
【0036】
図1図6及び図7に示すごとく、第2ケース62は、平板状をなす底部63と、底部63から立設した第2壁部64とを有している。
【0037】
底部63は、上方から見たとき矩形形状をなしている。また、底部63の内部には、冷媒を流通する下方冷媒流路632が形成されており、底部63が下方冷却部631を構成している。
【0038】
第2壁部64は、四角筒形状をなしており、底部63の外周縁全周から上方に向かって立設すると共に上方が開口している。また、前方側に配された第2壁部64の内側には、接続部材8を固定するための固定部65が形成されている。固定部65の上面には、ネジ穴が形成されており、固定ボルトを螺合して接続部材8を固定可能に構成されている。
【0039】
図1図4及び図5に示すごとく、半導体ユニット2は、第1ケース61内に収容されており、スイッチング素子を内蔵した複数の半導体モジュール21と、半導体モジュール21を冷却する冷却器3とを備えている。
【0040】
半導体モジュール21は、スイッチング素子を有する本体部211と、本体部211から上方に向かって延びる複数の制御端子212と、本体部211から下方に向かって延びる複数の主電極端子213とを有している。
【0041】
半導体ユニット2を構成する半導体モジュール21は、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、MOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子を内蔵してなる。本例の半導体モジュール21における本体部211は、平板状をなしており、2つのスイッチング素子を樹脂モールドして形成されている。
【0042】
本体部211から上方に延びるよう形成された制御端子212は、制御回路基板22と接続されており、スイッチング素子を制御する制御電流が入力される。
【0043】
図1図5に示すごとく、制御回路基板22における前端側の位置には、接続配線9を構成する基板側接続配線221が配されている。基板側接続配線221はコネクタ222を有しており、リアクトル71が有するサーミスタのサーミスタ側接続配線711が有するコネクタ712と嵌合すると共に接続されることにより接続配線9が形成される。
【0044】
図1図4及び図5に示すごとく、冷却器3は、半導体モジュール21の両面に配された熱交換部31と、熱交換部31へ冷媒を循環させるための冷媒導入管32及び冷媒排出管33を有している。本例において、熱交換部31は、アルミニウム等の金属によって構成されており、内部に冷媒を流通する冷媒流路を有している。複数の熱交換部31は、半導体モジュール21を両面から挟持するように配されており、隣り合う熱交換部31は、前後方向Xの両端部付近において連結管34によって、互いに連結されている。そして、熱交換部31と半導体モジュール21とが交互に積層されることによって、半導体ユニット2が形成されている。
【0045】
冷媒導入管32及び冷媒排出管33は、半導体ユニット2の前端部に配された熱交換部31の前面から、前方に向かって突出すると共に、第1ケース61に形成された配管挿通孔612にそれぞれ挿通するように設けられている。
【0046】
冷却器3において、冷媒導入管32から導入された冷媒は、適宜連結管を通り、各熱交換部31に分配されると共にその長手方向(前後方向X)に流通する。そして、各熱交換部31を流れる間に、冷媒は半導体モジュール21との間で熱交換を行う。熱交換により温度上昇した冷媒は、下流側の連結管を通り、冷媒排出管33に導かれ排出される。冷媒としては、例えば、水やアンモニア等の自然冷媒、エチレングリコール系の不凍液を混入した水、フロリナート等のフッ化炭素系冷媒、HCFC123、HFC134a等のフロン系冷媒、メタノール、アルコール等のアルコール系冷媒、アセトン等のケトン系冷媒等の冷媒を用いることができる。
【0047】
コンデンサ4は、略板形状をなしており、半導体ユニット2の横方向Yにおいて、主面の法線方向が横方向Yとなるように配されている。コンデンサ4は、半導体ユニット2側に配された面における下方側から延出されたコンデンサ端子41を有している。コンデンサ端子41は、上方から見たとき略U字形状をなしており、その先端部は、電力変換装置1を組み立てた状態において、接続部材8における第1端子811と当接する位置に配されている。
【0048】
尚、本例においては、図1図3に示すごとく、コンデンサ4の上方側は、第1ケース61の内側に配されており、コンデンサ4の下方側は第2ケース62内に配されている。
【0049】
図1図6及び図7に示すごとく、放電抵抗5は、略直方体形状を有しており、長手方向が前後方向Xに沿うと共に下方冷却部631に接触するように第2ケース62内に収容されている。放電抵抗5は、電線からなる抵抗端子51を有しており、抵抗端子51は、接続部材8の第2端子812と接続されている。
【0050】
図6及び図7に示すごとく、発熱電子部品としてのリアクトル71は、略円筒状をなしており、第2ケース62内において下方冷却部631上に配されている。リアクトル71は、リアクトル71に内蔵され温度を検出するサーミスタと、サーミスタが発する電気信号を出力するサーミスタ側接続配線711とを有している。サーミスタ側接続配線711の先端には、コネクタ712が配されており、接続部材8のコネクタ固定部65に固定されている。
【0051】
トランス72は、略直方体形状を有しており、第2ケース62内におけるリアクトル71の後方側の位置において、底部63の上面に配されている。
【0052】
図8図10に示すごとく、コンデンサ4と放電抵抗5とを接続する接続部材8は、導電性を備えた接続バスバー81と、接続バスバー81の周囲に形成された絶縁部82とを有している。
【0053】
接続バスバー81は、導電性の金属部材からなる板材をプレス加工することによって形成されている。接続バスバー81は、コンデンサ4と電気的に接続される第1端子811と、放電抵抗5と電気的に接続される第2端子812と、第1端子811と第2端子812とを繋ぐように形成されたバスバー本体813とを有している。
【0054】
図8に示すごとく、バスバー本体813は、上方から見たとき横方向Yに延びる長辺部814と、長辺部814の一端から後方に延びる短辺部815とを有する略L字状に形成されている。
【0055】
第2端子812は、バスバー本体813の長辺部814における他端から延設されており、バスバー本体813と同一平面上に形成されている。
【0056】
第1端子811は、短辺部815の後端から下方に向かって延設されており、コンデンサ端子41と隣り合う位置に配されている。
【0057】
絶縁部82は、絶縁性樹脂によって形成されており、接続バスバー81を内包する絶縁本体部821と、絶縁本体部821から上方に向かって延びる配線固定部822とを有している。
【0058】
絶縁本体部821は、略直方体形状を有しており、接続バスバー81と共にインサート成形されている。尚、接続バスバー81における第1端子811及び第2端子812は、絶縁本体部821から露出して配されている。
【0059】
また、絶縁本体部821において、接続バスバー81の第2端子812が露出した側と反対側の端部には、ボルト挿通孔83が貫通形成されている。このボルト挿通孔83に固定ボルトを挿通配置すると共に第2ケース62の固定部65におけるネジ穴に、固定ボルトを螺号することにより、接続部材8を第2ケース62に固定することができる。
【0060】
配線固定部822は、絶縁本体部821における上面から上方に向かって立設しており、その先端には、サーミスタ側接続配線711のコネクタ712を嵌合固定可能に構成されている。
【0061】
次に、本例の電力変換装置1における組立順序を説明する。
【0062】
まず、図4及び図5に示すごとく、第1ケース61内に半導体ユニット2及びコンデンサ4を固定する。
【0063】
第1ケース61内に固定されたコンデンサ4は、上方側が第1ケース61内に収容され、下方側が第1ケース61の下端から突出している。
【0064】
また、基板側接続配線221は、サーミスタ側接続配線711と未接続の状態にある。
【0065】
また、図6及び図7に示すごとく、第2ケース62に、放電抵抗5、接続部材8、リアクトル71及びトランス72を固定する。
【0066】
放電抵抗5、リアクトル71及びトランス72は、第2ケース62の底部63によって構成された下方冷却部631の上面に当接して固定されている。
【0067】
接続部材8は、第2ケース62における固定部65に固定ボルトによって締結固定されている。
【0068】
リアクトル71におけるサーミスタのサーミスタ側接続配線711のコネクタ222、712は、配線固定部822の先端に嵌合固定する。
【0069】
放電抵抗5の抵抗端子51は、接続部材8における第2端子812にボルト及びナットを用いて締結固定する。
【0070】
次に、図1図3に示すごとく、第1ケース61と第2ケース62とを互いに固定する。
【0071】
第1ケース61と第2ケース62とは、図示しない固定フランジをそれぞれ有しており、ボルトによって締結することにより、互いの位置合わせを行いながら固定される。
【0072】
第1ケース61と第2ケース62とを固定した際に、コンデンサ端子41と第1端子811とは、第2ケース62内において、互いに近接して対向した位置に配される。そして、第2ケース62に形成された作業孔66からボルトと工具を挿入し、コンデンサ端子41と第1端子811とを締結固定する。
【0073】
また、接続部材8の配線固定部822に固定されたサーミスタ側接続配線711のコネクタ222、712は、制御回路基板22の近傍に配される。サーミスタ側接続配線711のコネクタ222、712に基板側接続配線221のコネクタ222、712を嵌合固定して、サーミスタと制御回路基板22とが接続される。
【0074】
コンデンサ端子41と第1端子811、及びサーミスタと制御回路基板22との接続作業が完了した後、第1ケース61の上方開口部に蓋体67を配して電力変換装置1が完成する。
【0075】
本例の電力変換装置1において、コンデンサ4、放電抵抗5及び接続部材8はいずれも、半導体ユニット2に対して、横方向Yにおける同じ側に配されている。また、接続部材8は、コンデンサ4の前方側の位置でかつ第2ケース62の第2壁部64の内側面に沿って配されている。
【0076】
次に本例の作用効果について説明する。
【0077】
電力変換装置1は、第1ケース61に半導体ユニット2及びコンデンサ4が収容されており、第2ケース62に放電抵抗5と接続部材8が収容されている。そして、コンデンサ4と放電抵抗5とは、それぞれコンデンサ端子41及び抵抗端子51において、接続部材8に接続されることにより、互いに電気的に接続されている。そのため、コンデンサ4と放電抵抗5とを容易に接続すると共に放電抵抗5を下方冷却部631によって冷却することができる。
【0078】
すなわち、第1ケース61にコンデンサ4を収容することで、第1ケース61内におけるコンデンサ4の位置決めを容易に行うことができる。したがって、第1ケース61内に対してコンデンサ端子41の位置決めを容易に行うことができる。
【0079】
また、放電抵抗5と接続部材8とは、いずれも第2ケース62に収容されている。それゆえ、抵抗端子51と第2端子812との接続は、第1ケース61と第2ケース62とを互いに組み付ける前に容易に行うことができる。また、第2ケース62内における接続部材8の位置決めを容易に行うことができる。したがって、第2ケース62に対する第1端子811の位置決めを容易に行うことができる。
【0080】
そのため、電力変換装置1を組み立てる際に、第1ケース61と第2ケース62とを適切に組み合わせることで、コンデンサ端子41と第1端子811とを互いに正確に位置合わせすることができる。したがって、コンデンサ端子41と第1端子811とを容易に接続することができる。これにより、第1ケース61に収容されたコンデンサ4と第2ケース62に収容された放電抵抗5とを容易に接続することができる。
【0081】
また、電力変換装置1においては、第2ケース62に放電抵抗5を収容可能であるため、下方冷却部631によってリアクトル71及びトランス72と共に放電抵抗5を冷却することができる。それゆえ、電力変換装置1における、部品点数の増加を抑制し、電力変換装置1を大型化することなく、放電抵抗を冷却することができる。
【0082】
また、コンデンサ4、放電抵抗5及び接続部材8は、半導体ユニット2に対して、上下方向Zと直交する横方向Yの同じ側に配されており、接続部材8は、コンデンサ4よりも前方の外側に配されている。そのため、接続部材8を、電力変換装置1において、より外側の位置に配置することができる。これにより、接続部材8の第1端子811及び第2端子812と、コンデンサ端子41及び抵抗端子51との接続作業を行う際に、工具等に干渉しうる部分を少なくすることができる。それゆえ、電力変換装置1における組立作業をより容易に行うことができる。
【0083】
また、第1ケース61には、制御回路基板22が配されており、第2ケース62には、発熱電子部品としてのリアクトル71と、リアクトル71の温度を検出するサーミスタとが収容されており、接続部材8は、制御回路基板22とサーミスタとを接続する接続配線9を固定するための配線固定部822を備えている。そのため、接続配線9の位置決めを容易に行うことができる。これにより、電力変換装置1内のレイアウトを整然とすることができる。
【0084】
以上のごとく、本例の電力変換装置1によれば、コンデンサ4と放電抵抗5とを容易に接続すると共に下方冷却部631によって放電抵抗5を冷却することができる。
【0085】
また、発熱電子部品としては、リアクトル及びトランスに限定されるものではなく、種々の部品を搭載することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 電力変換装置
2 半導体ユニット
21 半導体モジュール
22 制御回路基板
4 コンデンサ
41 コンデンサ端子
5 放電抵抗
51 抵抗端子
6 ケース
61 第1ケース
62 第2ケース
631 下方冷却部
71、72 発熱電子部品
8 接続部材
811 第1端子
812 第2端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10