特許第6032171号(P6032171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6032171
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】モールドパッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   H01L21/56 T
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-210445(P2013-210445)
(22)【出願日】2013年10月7日
(65)【公開番号】特開2015-76450(P2015-76450A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 昌明
(72)【発明者】
【氏名】山岸 哲人
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−016686(JP,A)
【文献】 特開2013−096970(JP,A)
【文献】 特開2004−140201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路チップ(2)と、
第1平面(3c)、および、前記第1平面と反対側の第2平面(3d)を有し、一端(3a)側に前記回路チップと電気的に接続される電気接続部(3g)を備えると共に他端(3b)側にセンシング部(3f)を備える板状のセンサチップ(3)と、
前記回路チップを搭載する回路チップ搭載部(4a)を備える板状のチップ搭載部材(4)と、を有し、
前記センサチップの一端側がモールド樹脂(6)で封止され、他端側が外部に露出した構成とされたモールドパッケージの製造方法であって、
前記回路チップと、前記センサチップと、前記チップ搭載部材と、を有する構成とされ、前記回路チップが前記回路チップ搭載部に搭載され、前記センサチップの一端側が前記回路チップ側に位置するように配置され、前記回路チップと前記電気接続部とが接続部材(5)を介して電気的に接続されたワークを用意する第1工程と、
前記第1工程ののちに、第3平面(9aa)を有する上型(9a)と、第4平面(9ba)を有する下型(9b)と、で構成されるモールド樹脂成形用の金型(9)を用意し、
前記センサチップの第1平面が前記上型の第3平面に向けられると共に前記センサチップの第2平面が前記下型の第4平面に向けられるように、前記センサチップが前記上型と前記下型により直接的または間接的に挟み込まれた状態とされると共に、前記上型と前記下型を合致させたときの前記上型と前記下型との間の空間をキャビティ(91)として、前記センサチップの一端側が前記キャビティ内に配置されるように、前記ワークを前記金型に設置する第2工程と、
前記第2工程ののちに、溶融した前記モールド樹脂を前記金型の外部から注入して前記キャビティ内に充填することにより、前記センサチップの一端側を前記モールド樹脂で封止すると共に、前記センサチップの他端側を前記モールド樹脂より突出させる第3工程と、を備え、
前記第2工程では、
前記上型または前記下型の少なくとも一方と前記センサチップとの間に樹脂フィルム(10)を配置し、前記樹脂フィルムを介して前記センサチップが前記上型と前記下型との間に挟み込まれた状態となるように、前記ワークを前記金型に設置し、
前記第3工程では、
前記溶融したモールド樹脂を、前記上型および前記下型のうち前記樹脂フィルムを挟んで前記センサチップの反対側に配置された方と、前記樹脂フィルムのうち前記センサチップに向けられた一面(10a)と反対側の他面(10b)と、の間を通じて前記キャビティ内に流し込むことを特徴とするモールドパッケージの製造方法。
【請求項2】
前記第2工程では、
前記第2平面に対する法線の方向から見て前記センサチップから離された位置において、前記樹脂フィルムが前記上型と前記下型により直接的または間接的に挟み込まれて固定された状態となるように、前記ワークを前記金型に設置し、
前記第3工程では、
前記第2平面に対する法線の方向から見て前記センサチップと前記樹脂フィルムのうち前記離された位置との間に前記モールド樹脂を流すことで、前記樹脂フィルムを前記センサチップのうち第1平面または第2平面の少なくとも一方に隣接する面(3e)に密着させることを特徴とする請求項1に記載のモールドパッケージの製造方法。
【請求項3】
前記樹脂フィルムのうち前記上型と前記下型により直接的または間接的に挟み込まれて固定された状態となる前記離された位置を、前記第2平面に対する法線の方向から見て、前記センサチップのうち前記モールド樹脂より突出させられる部分において前記樹脂フィルムによって覆われた部分の周囲とすることを特徴とする請求項2に記載のモールドパッケージの製造方法。
【請求項4】
前記第2工程では、
前記下型と前記センサチップとの間に前記樹脂フィルムを配置し、
前記第3工程では、
前記溶融したモールド樹脂を、前記下型と、前記樹脂フィルムのうち前記センサチップに向けられた一面と反対側の他面と、の間を通じて前記キャビティ内に流し込むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載のモールドパッケージの製造方法。
【請求項5】
前記第1工程では、
前記チップ搭載部材を、前記回路チップ搭載部を有すると共に、前記センサチップの他端側を支持するための第5平面(4ca)と、前記第5平面から前記第5平面と反対側の面(4cb)まで貫通する貫通孔(4cc)と、が形成されたセンサチップ支持部(4c)を有する構成とし、
前記第2平面に対する法線の方向から見て、前記第5平面に形成された前記貫通孔の開口部(4cd)の少なくとも一部を前記樹脂フィルムが内包するように、前記樹脂フィルムを前記第5平面上に配置すると共に、
前記開口部の少なくとも一部が前記第2平面の外方に位置するように、かつ、前記センサチップの第2平面と前記センサチップ支持部の第5平面により前記樹脂フィルムが挟み込まれた状態となるように、前記センサチップを、前記樹脂フィルムを介して前記センサチップ支持部の第5平面上に設置し、
前記樹脂フィルムを介して前記センサチップ支持部によって前記センサチップの他端側が支持された状態のワークを得て、
前記第2工程では、
前記下型として、その内部において、前記下型の外部から注入される前記溶融したモールド樹脂を通過させるための内部通路(9bb)が形成され、前記内部通路の前記キャビティ側の出口である放出口(9bc)が前記第4平面に形成された構成とされている下型を用意し、
前記貫通孔が前記内部通路と連通するように前記センサチップ支持部を前記下型の第4平面上に配置し、
前記第3工程では、
前記センサチップ支持部による前記支持を維持した状態にて、前記溶融したモールド樹脂を、前記下型の外部から前記内部通路を介して前記放出口に流し、さらに前記貫通孔に流して、前記貫通孔の開口部から前記キャビティ内に流し込み、
前記第3工程ののちに、前記センサチップの他端側から前記センサチップ支持部を除去することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載のモールドパッケージの製造方法。
【請求項6】
前記樹脂フィルムが、ワークを前記金型から離型するために使用される樹脂モールド成形用の離型フィルムであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載のモールドパッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサチップの一端側がモールド樹脂で封止され、他端側が外部に露出した構成とされたモールドパッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサチップの一端側がモールド樹脂で封止され、他端側が外部に露出した構成とされたモールドパッケージが知られている。この種のモールドパッケージとして、例えば、特許文献1に記載されているものが提案されている。このモールドパッケージは、センサの制御等を行う回路チップと、センシング部を備えたセンサチップとがリードフレームの上面に搭載されると共に、センサチップの一端側がモールド樹脂で封止され、他端側が外部に露出した構成とされている。この種のモールドパッケージの製造方法は、一般に、次の通りである。
【0003】
まず、第1工程として、まず、回路チップと、一端側に回路チップと電気的に接続される電気接続部を有すると共に他端側にセンシング部を有するセンサチップと、回路チップおよびセンサチップを搭載するアイランド部を有するリードフレームとを用意する。次に、アイランド部の上面に回路チップを搭載すると共に、一端側を回路チップ側に位置させつつセンサチップをアイランド部に載せて、電気接続部と回路チップとをボンディングワイヤなどの接続部材を介して電気的に接続する。これにより、アイランド部、回路チップ、接続部材、およびセンサチップよりなるワークが得られる。ここまでが第1工程である。
【0004】
第1工程ののちに、第2工程として、ワークをモールド樹脂成形用の金型に設置する。なお、この金型は上型と下型とにより構成される。
【0005】
第2工程ののちに、第3工程として、アイランド部、回路チップ、接続部材およびセンサチップの一端側をモールド樹脂で封止すると共に、センサチップの他端側をモールド樹脂より突出させる。
【0006】
このような製造方法により、特許文献1に記載されているモールドパッケージは完成する。このモールドパッケージは、最終的にセンサチップの他端側がモールド樹脂より突出した状態となることで、他端側に位置するセンシング部にて正確なセンシングを実現する。
【0007】
ここで、センサチップは、通常、一方の平面と、この一方の平面と反対側の他方の平面とを有する板状とされる。そして、上記の第2工程では、センサチップの一方の平面を下型に形成された平面に接触させると共に他方の平面を上型に形成された平面に接触させるようにワークを設置する。
【0008】
また、この種のモールドパッケージの製造方法では、センサチップを下型に設置する際に、下型の平面に平行な方向かつセンサチップの一端から他端へ向かう方向に垂直な方向において、センサチップの設置位置が目標位置に対してずれてしまうことがある。このため、通常、金型は、その内部空間(下型と上型が重ねられることでできる内部空間)がセンサチップの外形と一致する形状とされない。つまり、金型は、下型と上型が重ねられたときにセンサチップの側面(センサチップのうち一方の平面もしくは他方の平面に隣接する面)に対向する空間において隙間ができる形状とされる。そして、この種のモールドパッケージの製造方法では、このような金型を用いて第2工程が行われたのち、上記の第3工程として、センサチップの一端側を封止するために金型のキャビティ内にモールド樹脂が注入される。ここで、キャビティとは、下型と上型を合致させたときの下型と上型との間の空間である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−6752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載されている製造方法では、上記の第3工程におけるセンサチップと金型(上型および下型)との各接触面が平面とされている。従って、この製造方法における第3工程では、下型と上型が重ねられたときに、センサチップが、その一方の平面および他方の平面において金型(上型および下型)と密着状態とされる。このため、この製造方法では、キャビティ内にモールド樹脂を充填する際に、モールド樹脂がセンサチップの一方の面や他方の面に付着することは無い。
【0011】
しかしながら、この製造方法では、上記したように、下型と上型が重ねられたときにセンサチップの側面に対向する空間において隙間ができる構成とされるため、この隙間もモールド樹脂が入り込むキャビティの一部となる。
【0012】
以上のことから、特許文献1に記載されている製造方法では、第3工程において、センサチップの一方の平面や他方の平面にモールド樹脂が付着することは無いものの、センサチップの側面にモールド樹脂が付着する問題が生じていた。このため、センサチップの側面に付着したモールド樹脂をレーザー等によって除去する別途の工程を設けるなどの対応が必要となっていた。
【0013】
本発明は上記点に鑑みて、センサチップの一端側がモールド樹脂で封止され、他端側が外部に露出した構成とされたモールドパッケージの製造方法において、センサチップの側面にモールド樹脂が付着し難い製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、回路チップ(2)と、第1平面(3c)、および、第1平面と反対側の第2平面(3d)を有し、一端(3a)側に回路チップと電気的に接続される電気接続部(3g)を備えると共に他端(3b)側にセンシング部(3f)を備える板状のセンサチップ(3)と、回路チップを搭載する回路チップ搭載部(4a)を備える板状のチップ搭載部材(4)と、を有し、センサチップの一端側がモールド樹脂(6)で封止され、他端側が外部に露出した構成とされたモールドパッケージの製造方法であって、以下の特徴を有する。すなわち、溶融したモールド樹脂を金型(9)の外部から注入してキャビティ(91)内に充填することによりセンサチップの一端側をモールド樹脂で封止すると共に他端側をモールド樹脂より突出させる工程において、溶融したモールド樹脂を、上型(9a)および下型(9b)のうち樹脂フィルム(10)を挟んでセンサチップの反対側に配置された方と、樹脂フィルムのうちセンサチップに向けられた一面(10a)と反対側の他面(10b)と、の間を通じてキャビティ内に流し込むことを特徴とする。
【0015】
このため、モールド樹脂とセンサチップ(の側面)との間に備えられた樹脂フィルムがシールドとなることで、モールド樹脂がセンサチップの側面に付着することが抑制され、センサチップの側面にモールド樹脂が付着し難い製造方法とすることができる。
【0016】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態におけるモールドパッケージを示す概略断面図である。
図2図1に示すモールドパッケージを示す概略平面図である。
図3図1に示すモールドパッケージの第2工程後のワークの概略平面図である。
図4図1に示すモールドパッケージの製造工程中におけるモールド封止前の工程を示す概略断面図である。
図5図4に続くモールドパッケージの製造工程中におけるモールド封止前の工程を示す概略断面図である。
図6図5に続くモールドパッケージの製造工程中におけるモールド封止前の工程を示す概略断面図である。
図7図1に示すモールドパッケージのワークをモールド樹脂成形用の金型に設置した状態(モールド封止前)を示す概略断面図である。
図8図7のVIII−VIII断面を示した図である。
図9図1に示すモールドパッケージのワークをモールド樹脂成形用の金型に設置した状態を下型側から上型側に視たときの概略平面図である。
図10図1に示すモールドパッケージのワークをモールド樹脂成形用の金型に設置した状態(モールド封止後)を示す概略断面図である。
図11図10のXI−XI断面を示した図である。
図12図1に示すモールドパッケージの製造工程中におけるモールド封止後の工程を示す概略断面図である。
図13図12に続くモールドパッケージの製造工程中におけるモールド封止後の工程を示す概略断面図である。
図14】本発明の第2実施形態におけるモールドパッケージのワークをモールド樹脂成形用の金型に設置した状態(モールド封止前)を示す概略断面図である。
図15図14のXV−XV断面を示した図である。
図16図14に示すモールドパッケージのワークをモールド樹脂成形用の金型に設置した状態を下型側から上型側に視たときの概略平面図である。
図17】本発明の第3実施形態におけるモールドパッケージのワークを示す概略断面図である。
図18図17に示すモールドパッケージのワークをモールド樹脂成形用の金型に設置した状態(モールド封止前)を示す概略断面図である。
図19図17に示すモールドパッケージのワークをモールド樹脂成形用の金型に設置した状態を下型側から上型側に視たときの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図1〜18に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るモールドパッケージ1について図1〜13を参照して説明する。
【0020】
図1、2に示すように、本実施形態に係るモールドパッケージ1は、回路チップ2と、センサチップ3と、回路チップ2を搭載するリードフレーム4と、両チップ2、3を電気的に接続するボンディングワイヤ5と、これらを封止するモールド樹脂6とを有する。モールドパッケージ1は、センサチップ3の一端3a側がモールド樹脂6で封止され、他端3b側が外部に露出した構成とされている。
【0021】
回路チップ2は、シリコン半導体などを用いて形成され、半導体集積回路を備えた一般的なICチップなどである。回路チップ2は、センサチップ3と電気的に接続されてセンサチップ3の制御等を行うものである。
【0022】
センサチップ3は、回路チップ2と同様、シリコン半導体などを用いて形成され、半導体集積回路を備えた一般的なICチップなどである。図1に示すように、センサチップ3は、一方の平面(以下、第1平面という)3cと、第1平面と反対側の他方の平面(以下、第2平面という)3dと、第1平面3cもしくは第2平面3dに隣接する面(以下、側面という)3eとを有する板状に構成される。本実施形態では、第1平面3cおよび第2平面3dに隣接する面が側面3eとなる構成とされている。センサチップ3は、長手方向の一端3a側が後述する回路チップ2側に位置し、反対側の他端3b側が回路チップ2とは反対側に位置する状態で配置されている。
【0023】
ここで、センサチップ3は、モールド樹脂6より突出する他端3b側にセンシング部3fを備えた構成とされている。このセンシング部3fは、たとえば圧力検出や流量検出を行う薄肉部としてのメンブレンや、加速度や角速度検出を行う梁構造体などである。ここでは、センシング部3fは、センサチップ3の第2平面3d側に設けられている。
【0024】
また、センサチップ3の第1平面3cのうち一端3a側には、電気接続部としてのパッド3gが設けられている。パッド3gは蒸着やスパッタなどにより形成されたアルミなどにより構成されている。
【0025】
リードフレーム4は、回路チップ2を搭載する回路チップ搭載部4aを有するチップ搭載部材である。リードフレーム4は、回路チップ搭載部4aとしてのアイランド部4aと、外部との電気的接続を行う端子としてのリード部4bとを有する構成とされている。リードフレーム4は、一般的なものと同様、Cuや42アロイなどの導電性に優れた金属よりなるもので、エッチングやプレスなどにより形成されたものである。リードフレーム4は、センサチップ3の一端3aに対向するように配置されている。
【0026】
アイランド部4aは、回路チップ2よりも一回り大きい板状をなし、回路チップ2は、導電性あるいは電気絶縁性の接着剤7を介してアイランド部4a上に接着されて固定されている。そして、回路チップ2とリード部4bとは、金やアルミなどよりなるボンディングワイヤ8により結線され電気的に接続されている。
【0027】
また、回路チップ2とパッド3gとは、金やアルミなどよりなる接続部材としてのボンディングワイヤ5を介して結線され電気的に接続されている。このように、回路チップ2、センサチップ3、リード部4bは、各ボンディングワイヤ5、8を介して互いに電気的に接続されている。
【0028】
そして、これら各チップ2、3、リードフレーム4、ボンディングワイヤ5、8は、モールド樹脂6により封止されている。モールド樹脂6は、一般的なエポキシ樹脂などよりなるものであり、金型を用いたトランスファーモールド法などにより成形されたものである。
【0029】
ここで、センサチップ3の他端3b側は、モールド樹脂6より突出して露出している。これにより、センシング部3fにおける精度のよい検出が可能とされている。また、リード部4bの一部がモールド樹脂6より突出して露出することで、外部との電気的接続が可能とされている。
【0030】
また、図1、2に示すように、センサチップ3の一端3a側は、アイランド部4aに接触して支持される構成とされている。なお、本実施形態において、センサチップ3の一端3a側がアイランド部4aに支持されない構成、すなわちセンサチップ3の一端3a側がアイランド部4aから離された構成としてもよい。
【0031】
次に、本実施形態に係るモールドパッケージ1の製造方法について、図3〜13を参照して説明する。
【0032】
本製造方法の第1工程では、まず、回路チップ2と、センサチップ3と、アイランド部4a、リード部4bおよびセンサチップ支持部4cを有するチップ搭載部材4としてのリードフレーム4とを用意する。
【0033】
回路チップ2およびセンサチップ3として、それぞれ、シリコン半導体などを用いて形成され、半導体集積回路を備えたICチップを用意する。センサチップ3としては、特に、第1平面3cと、第2平面3dと、第1平面3cおよび第2平面3dに隣接する側面3eとを有し、第1平面3cのうち一端3a側にパッド3gを備えると共に、他端3b側にセンシング部3fを備える板状のICチップを用意する。
【0034】
また、リードフレーム4として、図3に示すように、アイランド部4a、リード部4bおよびセンサチップ支持部4cが、これら4a〜4cの外側を取り囲むように位置する枠状のフレーム部4dに対してタイバー4eで連結され、一体化されたものを用意する。なお、図3において、最終的に形成されるモールド樹脂6の外形を一点鎖線で示してある。
【0035】
センサチップ支持部4cは、センサチップ3の他端3b側が設けられるべき位置に配置され、センサチップ3の他端3b側においてセンサチップ3の第2平面3dを受けて支持するものである(図5を参照)。また、センサチップ支持部4cは、センサチップ3の他端3b側を受けて支持する平面4ca、および、該平面4caから該平面と反対側の面4cbまで貫通する貫通孔4ccが形成されたものである(図4を参照)。
【0036】
次に、アイランド部4aに回路チップ2を搭載すると共に、センサチップ3の一端3a側を回路チップ2側に位置させてパッド3gと回路チップ2とをボンディングワイヤ5を介して電気的に接続する。
【0037】
具体的には、まず、図4に示すように、センサチップ支持部4cのうちセンサチップ3の他端3b側を受けて支持する平面4caに対して樹脂フィルム10を密着するように貼り付ける。この樹脂フィルム10は、センサチップ3に対する密着性を有する樹脂よりなる薄膜である。樹脂フィルム10としては、後述する金型9からワークを離型するために使用される樹脂モールド成形用の離型フィルムであることより好ましく、例えば、ポリイミド樹脂や、フッ素系樹脂、各種の発泡樹脂、あるいはUV硬化性樹脂などを成形したものが採用され得る。
【0038】
このとき、本製造方法では、第2平面3dに対する法線の方向から見て、センサチップ支持部4cの平面4caに形成された貫通孔4ccの開口部(図3、4の符号4cd)の少なくとも一部を内包するように、樹脂フィルム10を配置する。ここでは、図3に示すように、開口部4cdの全部を内包するように樹脂フィルム10を配置している。
【0039】
そののち、図5に示すように、センサチップ3の第2平面3dのうち他端3b側の部分を樹脂フィルム10に貼り付けるようにして、センサチップ3をセンサチップ支持部4cに搭載させる。これにより、センサチップ3は樹脂フィルム10を介してセンサチップ支持部4cの平面4ca上に設置され、樹脂フィルム10はセンサチップ3の第2平面3dと前記センサチップ支持部4cの平面4caにより挟み込まれた状態となる。このとき、本製造方法では、第2平面3dに対する法線の方向から見て、開口部4cdの少なくとも一部がセンサチップ3の第2平面3dの外方に位置するように、センサチップ3を配置する。ここでは、図3に示すように、開口部4cdの全部が第2平面3dの外方に位置するように、センサチップ3を配置している。こうして、センサチップ3は、その他端3bが、第2平面3dに密着した樹脂フィルム10を介してセンサチップ支持部4cによって支持された状態となる。
【0040】
また、図5に示すように、接着剤7を介してアイランド部4aに回路チップ2を搭載し、固定する。続いて、図6に示すように、回路チップ2とリード部4bとの間および回路チップ2とセンサチップ3のパッド3gとの間にてワイヤボンディングを行い、これらの間をボンディングワイヤ5、8で電気的に接続する。ここまでが第1工程である。
【0041】
次に、第2工程では、第1工程を経て得られたワークを図7〜9に示すように設置する。
【0042】
まず、上型9aと下型9bとを合致させてなるモールド成形用の金型9を用意する。金型9は、上型9aと下型9bとがワークを挟んだ状態で合致したときにキャビティ91の一部がモールド樹脂6の外形に対応するような形状とされたものである。図7に示すように、上型9aおよび下型9bとしては、それぞれ、平面を有する構成とされているものを用意する(以下、上型9aが有する平面を第3平面9aa、下型9bが有する平面を第4平面9baという)。また、下型9bとしては、その内部において、下型9bの外部から注入されるモールド樹脂6を通過させるための内部通路9bbが形成され、内部通路9bbのキャビティ91側の出口である放出口9bcが第4平面9baに形成されているものを用意する。
【0043】
本製造方法では特に、図7、8に示すように、上型9aとして、一面9abを有し、この一面9abにおいて凹部9acが形成されており、この凹部9acの底面が第3平面9aaとされたものを用意する。
【0044】
このような金型9を用意したのち、第1工程を経て得られたワーク(図6を参照)を金型9に設置する。なお、本製造方法では、上型9aからワークを容易に離型できるようにするために、図7に示すように、上記樹脂フィルム10とは別の樹脂モールド成形用の離型フィルム11を上型9aの外形に倣うように設けている。
【0045】
このとき、図7,8に示すように、センサチップ3の第1平面3cが上型9aの第3平面9aaに向けられると共に第2平面3dが下型9bの第4平面9baに向けられるようにワークを配置する。また、センサチップ3を、上型9aと下型9bにより直接的または間接的に挟まれた状態とする。また、下型9bとセンサチップ3との間に樹脂フィルム10を配置する。よって、本製造方法では、センサチップ3が樹脂フィルム10などを介して上型9aと下型9bにより挟み込まれた状態とされる。また、本製造方法では、センサチップ3の一端3a側をキャビティ91内に配置する。また、本製造方法では、貫通孔4ccが内部通路9bbと連通するようにセンサチップ支持部4cを下型9bの第4平面9ba上に配置する。すなわち、第2平面3dに対する法線の方向から見て、貫通孔4ccのうち上記開口部4cdと反対側の開口部(面4cbに形成された開口部)4ceが放出口9bcにオーバーラップするように、センサチップ支持部4cを下型9bの第4平面9ba上に配置する。
【0046】
また、第2平面3dに対する法線の方向から見て、センサチップ3のうちモールド樹脂6より突出させられる部分において樹脂フィルム10によって覆われた部分の周囲(図9の実線ハッチング部分)において、樹脂フィルム10が固定された状態となるようにする。より具体的には、上記周囲(図9の実線ハッチング部分)において、樹脂フィルム10が上型9aと下型9bとにより直接的または間接的に挟み込まれて固定された状態となるようにする。本製造方法では、上記周囲において、図7、8に示すように、樹脂フィルム10が、離型フィルム11やセンサチップ支持部4cを介して、上型9aの一面9abと下型9bの第4平面9baとにより挟み込まれて固定された状態となるようにしている。
【0047】
次に、第3工程では、溶融したモールド樹脂6を金型9の外部から注入してキャビティ91内に充填することにより、アイランド部4a、回路チップ2、ボンディングワイヤ5、8およびセンサチップ3の一端3a側をモールド樹脂6で封止する。そして、センサチップ3の他端3b側をモールド樹脂6より突出させる。
【0048】
具体的には、まず、上記のようにワークを金型9に配置したのち、センサチップ支持部4cによるセンサチップ3の他端3b側の支持を維持した状態にて、溶融したモールド樹脂6を、下型9bの外部から内部通路9bb内へ注入する。上記したように内部通路9bbが貫通孔4ccと連通しているため、注入したモールド樹脂6は、内部通路9bb内を通過して放出口9bc、さらには貫通孔4ccへと至り、貫通孔4ccの開口部4cdからキャビティ91内に放出されることとなる。
【0049】
そして、本製造方法では、上記したように、第2平面3dに対する法線の方向から見て、貫通孔4ccの開口部4cdの少なくとも一部を内包するように樹脂フィルム10が配置されている。このため、開口部4cdから放出されるモールド樹脂6が、樹脂フィルム10のうち第2平面3dの外方の部分に対して下面(センサチップ支持部4cに対向する面)側から衝突する。これにより、樹脂フィルム10のうち開口部4cdの周辺の部分が下型9b側から上型9a側に押し上げられる。そののち、モールド樹脂6は、樹脂フィルム10のうち、センサチップ3と、上型9aと下型9bとの間において固定された部分との間の領域(図9の破線ハッチング部分。以下、押上げ領域という)を下型9b側から上型9a側に押し上げつつ進行する。そして、モールド樹脂6は、キャビティ91内に充填されていく。
【0050】
このように、本製造方法では、モールド樹脂6を、下型9bと、樹脂フィルム10のうちセンサチップ3に向けられた一面10aと反対側の他面10bとの間を通じてキャビティ91内に流し込む。
【0051】
このため、本製造方法では、モールド樹脂6とセンサチップ3(の側面3e)との間に備えられた樹脂フィルム10がシールドとなることで、モールド樹脂6がセンサチップ3の側面3eに付着することが抑制される。
【0052】
また、本製造方法では特に、上記したように、センサチップ3の上記周囲(図9の実線ハッチング部分)において、樹脂フィルム10を固定された状態としている。このように樹脂フィルム10を固定した状態とすることで、モールド樹脂6が下型9bと樹脂フィルム10の他面10bとの間に流し込まれた際に、モールド樹脂6の流れによって樹脂フィルム10がしわ寄せされるように変形されることが防止される。また、上記のように樹脂フィルム10を固定することで、樹脂フィルム10のうち上記押上げ領域(図9の破線ハッチング部分)の部分は、モールド樹脂6に押されることにより、伸ばされて張った状態で下型9b側から上型9a側に押し上げられ易くなる。つまり、樹脂フィルム10のうち上記押上げ領域の部分は、しわとならずに押し上げられ易くなる。
【0053】
このため、本製造方法における封止では、図10、11に示すように、樹脂フィルム10が、センサチップ3の側面3eの外形や第3平面9aaの外形(より正確には離型フィルム11の外形)に沿って変形し、これら各面3e、9aa、11に密着し易くなる。ここで、樹脂フィルム10がセンサチップ3の側面3eに密着していれば、モールド樹脂6が回路チップ2側からセンサチップ3側に流れ込んできた場合でも、モールド樹脂6が樹脂フィルム10とセンサチップ3の側面3eとの間に流れ込むことを防止できる。本製造方法では、上記のように樹脂フィルム10を固定された状態とすることで樹脂フィルム10がセンサチップ3の側面3eに密着し易くなるようにすることにより、センサチップ3の側面3eにモールド樹脂6がより付着し難くなる。
【0054】
本製造方法では、樹脂フィルム10を、第2平面3dに対する法線の方向から見て、貫通孔4ccの開口部4cdの少なくとも一部を内包する程度に大きい寸法で、かつ、センサチップ3の側面3eの寸法に対応する寸法としている。ここで、「センサチップ3の側面3eの寸法に対応する寸法」とは、第3工程において、上記のように樹脂フィルム10が押し上げられてセンサチップ3の側面3eに密着してモールド樹脂6の付着を抑制できる程度に大きい寸法をいう。具体的には、例えば、センサチップ3の側面3eのうち他端3b側の全面に樹脂フィルム10が密着する程度に大きい寸法などとすることが好ましい。
【0055】
以上説明したように、センサチップ支持部4cによるセンサチップ3の他端3b側の支持を維持した状態にて、キャビティ91に溶融したモールド樹脂6を注入し充填し、モールド樹脂6による封止が行われる。そして、センサチップ3の他端3b側のうち第1平面3c、第2平面3dおよび側面3eは露出し、チップ3の一端3a側のみがモールド樹脂6で封止される。このようにして、第3工程が完了し、図12に示すようなワークが得られる。
【0056】
こののち、図13に示すように、リードフレーム4からセンサチップ支持部4cをカットして、センサチップ3の他端3b側からセンサチップ支持部4cを除去する。具体的には、まず、ワークから離型フィルム11を除去し、カット型によりフレームと一緒にモールド樹脂6を打ち抜くことで、センサチップ3の側面3e付近に形成されたモールド樹脂6などのモールド樹脂6の不要部分を除去する。次に、リードフレーム4におけるタイバー4eをカットして、アイランド部4aおよびリード部4bを残して、フレーム部4dとともにセンサチップ支持部4cおよび樹脂フィルム10を除去する。こうして、本モールドパッケージ1が完成する(図1を参照)。
【0057】
上記で説明したように、本製造方法では、モールド樹脂6を、下型9bと、樹脂フィルム10のうちセンサチップ3に向けられた一面10aと反対側の他面10bとの間を通じてキャビティ91内に流し込む。このため、本製造方法では、モールド樹脂6とセンサチップ3(の側面3e)との間に備えられた樹脂フィルム10がシールドとなることで、モールド樹脂6がセンサチップ3の側面3eに付着することが抑制される。
【0058】
また、本製造方法では、モールド樹脂6による封止前において、センサチップ3を、その他端3b側にてセンサチップ支持部4cにより支持している。このため、本製造方法によれば、封止前におけるセンサチップ3のぐらつきを防止して、工程中のワークの取り扱い性に優れた製造方法を実現することができる。
【0059】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について図14〜16に基づいて説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、センサチップ支持部4cの形状を変更したものあり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0060】
本実施方法における第1工程では、リードフレーム4として、センサチップ支持部4cのうちセンサチップ3の他端3b側を受けて支持する側の平面4caにおいて溝4cfが形成されたものを用意する(図14〜16を参照)。
【0061】
図16に示すように、溝4cfは、第2平面3dに対する法線の方向から見て、樹脂フィルム10の押上げ領域に形成されている。この押上げ領域は、第1実施形態の場合と同様、第2平面3dに対する法線の方向から見て、樹脂フィルム10のうち、センサチップ3と、上型9aと下型9bとの間において固定された部分との間の領域(図16の破線ハッチング部分)である。また、溝4cfは、平面4caに対する法線の方向から見て、貫通孔4ccにオーバーラップするように形成されている。すなわち、溝4cfは、貫通孔4ccと連続的に形成されている。さらに、溝4cfは、貫通孔4ccの位置からセンサチップ3を挟んだ両側を通じて回路チップ2側の端部まで連続的に形成されている。
【0062】
上記したような溝4cfが樹脂フィルム10の上記押上げ領域に形成されていることで、本実施形態における第3工程では、開口部4cdから放出されるモールド樹脂6が、溝4cfを通って上記押上げ領域の全体に流れ易くなる。さらに、上記したような溝4cfが貫通孔4ccと連続的かつ樹脂フィルム10のうち回路チップ2側の端部まで連続的に形成されていることで、貫通孔4ccから放出されたモールド樹脂6が回路チップ2側に流れ易くなる。さらに、上記したような溝4cfが貫通孔4ccの位置からセンサチップ3を挟んだ両側を通じて連続的に形成されていることで、開口部4cdから放出されるモールド樹脂6がより効率的に上記押上げ領域の全体に流れ易くなり、回路チップ2側に流れ易くなる。
【0063】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0064】
例えば、第1、2実施形態においては、チップ搭載部材をリードフレーム4として構成していたが、チップ搭載部材としては、回路チップ2などを搭載する部材であればリードフレーム以外の部材であってもよい。すなわち、例えば、チップ搭載部材を配線基板として構成してもよい。
【0065】
また、第1、2実施形態における樹脂フィルム10として、少なくともモールド樹脂6を透過しない材質であればどのようなものであってもよく、樹脂以外の材質のフィルムを用いることもできる。なお、樹脂フィルム10としては、センサチップ3のうち第1平面3cもしくは第2平面3dに隣接する面3eに対する密着性を有し、モールド樹脂6に押されて伸びる程度の塑性を有するものであることがより好ましい。
【0066】
また、第1、2実施形態における製造方法では、下型9bとセンサチップ3との間に樹脂フィルム10を配置するようにしていたが、上型9aとセンサチップ3との間に樹脂フィルム10を配置するようにしてもよい。なお、この方法では、第1、2実施形態のように離型フィルム11を上型9aの外形に倣うように設ける場合、上型9aから離型フィルム11を挟んで反対側に樹脂フィルム10を設けることとなる。
【0067】
また、第1、2実施形態における製造方法では、チップ搭載部材としてセンサチップ支持部4cを有するものを用いていたが、センサチップ支持部4cを有さないもの(例えば、回路チップ搭載部4aとリード部4bのみを有するリードフレーム4)を用いてもよい。すなわち、例えば、第1、2実施形態における第1工程にてセンサチップ支持部4cを省いたワーク(図17を参照)を得て、センサチップ支持部4cを介さずに樹脂フィルム10を下型9bの第4平面9baに対して直接的に設置するようにしてもよい(図18、19を参照)。この場合、センサチップ支持部4cによる封止前におけるセンサチップ3のぐらつきを防止する効果は得られないものの、第1、2実施形態と同様、モールド樹脂6がセンサチップ3の側面3eに付着することが抑制される等の効果が得られる。
【0068】
また、第1、2実施形態では、第2平面3dに対する法線の方向から見て、センサチップ3のうちモールド樹脂6より突出させられる部分において樹脂フィルム10によって覆われた部分の周囲において、樹脂フィルム10が固定された状態となるようにしていた。しかしながら、樹脂フィルム10を固定する領域は、上記周囲に限られず、第2平面3dに対する法線の方向から見てセンサチップ3から離された別の領域であってもよい。例えば、第1、2実施形態において、センサチップ3の第2平面3dを多角形(例えば、四角形)とした場合に、この多角形を構成する辺のうち一部の辺(例えば、対向する2辺)に対応する位置のみにおいて樹脂フィルム10を固定するようにしてもよい。この場合においても、センサチップ3と、樹脂フィルム10のうち上型9aと下型9bとの間において固定された部分との間にモールド樹脂6を流した際には、モールド樹脂6の流れによって樹脂フィルム10がしわ寄せされるように変形されることが防止される。
【符号の説明】
【0069】
1 モールドパッケージ
3 センサチップ
3e センサチップの側面
4 リードフレーム
4c リードフレームのセンサチップ支持部
4cc 貫通孔
4cd 開口部
4cf 溝
6 モールド樹脂
9 金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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