(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0017】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示されるように、本実施形態の熱電変換装置1は、絶縁基材10、表面保護部材20、裏面保護部材30が一体化され、この一体化されたものの内部で異種金属である第1、第2層間接続部材40、50が交互に直列に接続されて構成されている。なお、本実施形態では、第1、第2層間接続部材40、50が本発明の熱電変換素子に相当している。
【0018】
絶縁基材10は、本実施形態では、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリエーテルイミド(PEI)を含む平面矩形状の熱可塑性樹脂フィルムによって構成されている。
そして、この絶縁基材10には、当該絶縁基材10を厚さ方向に貫通するように、第1層間接続部材40と当該第1層間接続部材40と異種金属となる第2層間接続部材50とが配置されている。本実施形態では、これら第1、第2層間接続部材40、50は、互い違いになるように千鳥パターンに配置されている。
【0019】
なお、特に限定されるものではないが、例えば、第1層間接続部材40は、P型を構成するBi−Sb−Te合金の粉末(金属粒子)が、焼結前における複数の金属原子の結晶構造を維持するように固相焼結された金属化合物(焼結合金)で構成されている。また、第2層間接続部材50は、N型を構成するBi−Te合金の粉末(金属粒子)が、焼結前における複数の金属原子の結晶構造を維持するように固相焼結された金属化合物(焼結合金)で構成されている。
【0020】
絶縁基材10の表面10aには、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリエーテルイミド(PEI)を含む平面矩形状の熱可塑性樹脂フィルムからなる表面保護部材20が配置されている。この表面保護部材20は、絶縁基材10と平面形状が同じ大きさとされており、絶縁基材10と対向する一面20a側に銅箔等がパターニングされた複数の表面パターン21が互いに離間すると共に第1、第2層間接続部材40、50と接続されるように形成されている。
【0021】
また、絶縁基材10の裏面10bには、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリエーテルイミド(PEI)を含む平面矩形状の熱可塑性樹脂フィルムからなる裏面保護部材30が配置されている。この裏面保護部材30は、絶縁基材10と平面形状が同じ大きさとされており、絶縁基材10と対向する一面30a側に銅箔等がパターニングされた複数の裏面パターン31が互いに離間すると共に第1、第2層間接続部材40、50と接続されるように形成されている。
【0022】
なお、複数の表面パターン21および裏面パターン31は、第1、第2層間接続部材40、50がこれら表面パターン21および裏面パターン31を介して交互に直列に接続されるように、適宜第1、第2層間接続部材40、50と電気的に接続されている。
【0023】
ここで、本実施形態の第1、第2層間接続部材40、50の構成について具体的に説明する。第1、第2層間接続部材40、50は、表面パターン21と接続される第1端部40a、50a、裏面パターン31と接続される第2端部40b、50b、これら第1、第2端部40a、40b、50a、50bを連結する中間部40c、50cを有している。そして、第1、第2層間接続部材40、50は、絶縁基材10の平面方向と平行な方向の断面積において、第1端部40a、50aおよび第2端部40b、50bの断面積が中間部40c、50cの断面積より大きくされている。つまり、第1、第2層間接続部材40、50は、いわゆる断面I字状とされている。
【0024】
なお、
図1とは、別断面において、裏面保護部材30には、裏面パターン31と電気的に接続されると共に、裏面保護部材30のうち絶縁基材10側と反対側の一面から露出するコンタクト部が形成されている。そして、このコンタクト部によって外部との電気的な接続が図れるようになっている。
【0025】
以上が本実施形態における熱電変換装置1の構成である。このような熱電変換装置1では、第1、第2層間接続部材40、50は、第1端部40a、50aおよび第2端部40b、50bの断面積が中間部40c、50cの断面積より大きくされている。このため、第1、第2層間接続部材40、50が中間部40c、50cの断面積で一定とされている場合と比較して、熱電変換の効果を高くできる。また、第1、第2層間接続部材40、50が第1、第2端部40a、40b、50a、50bの断面積で一定とされている場合と比較して、第1、第2層間接続部材40、50の熱抵抗が小さくなることを抑制できる。つまり、表面保護部材20と裏面保護部材30との温度差が小さくなることを抑制できる。
【0026】
次に、このような熱電変換装置1の製造方法について、
図2および
図3を参照しつつ説明する。
【0027】
まず、
図2(a)に示されるように、絶縁基材10を用意し、円筒状の第1、第2ビアホール11、12をドリル等によって複数形成する。なお、複数の第1、第2ビアホール11、12は、互い違いになるように千鳥パターンに形成する。
【0028】
次に、
図2(b)に示されるように、複数の貫通孔60aが形成されたマスク60およびスキージ70を用いた印刷法等により、第1ビアホール11に第1導電性ペースト41を充填する。
【0029】
具体的には、まず、第1導電性ペースト41として、本実施形態では、金属原子が所定の結晶構造を維持している合金の粉末を融点が常温であるテレピネ等の有機溶剤を加えてペースト化したものを用意する。なお、第1導電性ペースト41を構成する合金の粉末としては、例えば、メカニカルアロイにて形成されたBi−Sb−Te合金の粉末が用いられる。
【0030】
そして、裏面10bが吸着紙80と対向するように絶縁基材10を配置すると共に、絶縁基材10の表面10a側にマスク60を配置する。その後、第1導電性ペースト41を溶融させつつ、貫通孔60aを介して第1ビアホール11内に第1導電性ペースト41を充填する。
【0031】
次に、
図2(c)に示されるように、複数の貫通孔61aが形成されたマスク61およびスキージ70を用いた印刷法等により、第2ビアホール12に第2導電性ペースト51を充填する。
【0032】
具体的には、まず、第2導電性ペースト51として、本実施形態では、第1導電性ペースト41を構成する金属原子と異なる金属原子が所定の結晶構造を維持している合金の粉末を融点が常温であるテレピネ等の有機溶剤を加えてペースト化したものを用意する。なお、第2導電性ペースト51を構成する合金の粉末としては、例えば、メカニカルアロイにて形成されたBi−Te合金の粉末が用いられる。
【0033】
そして、絶縁基材10の表面10a側にマスク61を配置し、第2導電性ペースト51を溶融させつつ、貫通孔61aを介して第2ビアホール12内に第2導電性ペースト51を充填する。
【0034】
なお、吸着紙80は、第1、第2導電性ペースト41、51の有機溶剤を吸収できる材質のものであれば良く、一般的な上質紙等が用いられる。また、本実施形態では、第1、第2導電性ペースト41、51に含まれる有機溶剤として融点が常温であるテレピネを用いている。このため、第1、第2導電性ペースト41、51を充填する際に有機溶剤が蒸発するが、吸着紙80を配置することにより、さらに第1、第2導電性ペースト41、52中から有機溶剤を除去することができる。つまり、第1、第2ビアホール11、12に第1、第2導電性ペースト41、51に含まれる合金の粉末を密接して配置できる。
【0035】
以上のようにして、第1、第2導電性ペースト41、51が充填された絶縁基材10を用意する。
【0036】
また、上記各工程とは別工程において、
図2(d)に示されるように、表面保護部材20のうち絶縁基材10と対向する一面20aに銅箔等を形成する。そして、この銅箔を適宜パターニングすることにより、互いに離間している複数の表面パターン21を形成する。
【0037】
その後、
図2(e)に示されるように、複数の貫通孔62aが形成されたマスク62およびスキージ70を用いた印刷法等により、表面パターン21上の所定箇所に第1導電性ペースト41を塗布する。
【0038】
次に、
図2(d)に示されるように、複数の貫通孔63aが形成されたマスク63およびスキージ70を用いた印刷法等により、表面パターン21上の所定箇所に第2導電性ペースト51を塗布する。
【0039】
なお、表面パターン21のうちの第1導電性ペースト41が塗布される所定箇所とは、後述する積層体90を構成した際に第1ビアホール11に充填された第1導電性ペースト41と対向する箇所である。同様に、表面パターン21のうちの第2導電性ペースト51が塗布される所定箇所とは、後述する積層体90を構成した際に第2ビアホール12に充填された第2導電性ペースト51と対向する箇所である。
【0040】
また、第1、第2導電性ペースト41、51は、有機溶剤として融点が常温であるテレピネを用いて構成されているため、塗布されている最中に有機溶剤が蒸発し、塗布された後にはほぼ流動しない。このため、マスク62、63の貫通孔62a、63aを適宜調整することにより、表面パターン21に塗布された第1、第2導電性ペースト41、51が濡れ広がって混ざり合うことを抑制できる。
【0041】
さらに、本実施形態では、貫通孔62a、63aは、第1、第2ビアホール11、12より径が大きくされた円筒状とされている。つまり、表面パターン21上および裏面パターン31上に塗布された第1、第2導電性ペースト41、51は、後述する積層体90を構成した際、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51と対向する箇所からはみ出すように塗布されている。
【0042】
また、
図3(a)〜(c)に示されるように、
図2(e)〜
図2(f)と同様の工程を行い、裏面パターン31上の所定箇所に第1、第2導電性ペースト41、51が塗布されたものを用意する。
【0043】
その後、
図3(d)に示されるように、裏面保護部材30、絶縁基材10、表面保護部材20を順に積層して積層体90を構成する。具体的には、絶縁基材10の表面10a側に、表面パターン21上に塗布された第1導電性ペースト41と第1ビアホール11に充填された第1導電性ペースト41とが接触すると共に、表面パターン21上に塗布された第2導電性ペースト51と第2ビアホール12に充填された第2導電性ペースト51とが接触するように表面保護部材20を配置する。また、絶縁基材10の裏面10b側に、裏面パターン31上に塗布された第1導電性ペースト41と第1ビアホール11に充填された第1導電性ペースト41とが接触すると共に、裏面パターン31上に塗布された第2導電性ペースト51と第2ビアホール12に充填された第2導電性ペースト51とが接触するように裏面保護部材30を配置する。これにより、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51と表面パターン21との間に第1、第2導電性ペースト41、51が配置されていると共に、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51と裏面パターン31との間に第1、第2導電性ペースト41、51が配置された積層体90が構成される。
【0044】
続いて、
図3(e)に示されるように、この積層体90を図示しない一対のプレス板の間に配置し、積層方向の上下両面から真空状態で加熱しながら加圧して積層体90を一体化する一体化工程を行う。
【0045】
このとき、第1、第2導電性ペースト41、51に含まれる合金の粉末同士が圧接されて固相焼結されることにより、焼結前における複数の金属原子の結晶構造を維持した金属化合物(焼結合金)にて第1、第2層間接続部材40、50が構成される。具体的には、表面パターン21上に塗布された第1、第2導電性ペースト41、51から第1、第2層間接続部材40、50における第1端部40a、50aが形成される。また、裏面パターン31上に塗布された第1、第2導電性ペースト41、51から第1、第2層間接続部材40、50における第2端部40b、50bが形成される。さらに、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51から第1、第2層間接続部材40、50における中間部40c、50cが形成される。そして、これら第1端部40a、50a、第2端部40b、50b、中間部40c、50cも一体化されるため、断面I字状の第1、第2層間接続部材40、50が構成される。
【0046】
また、この一体化工程では、第1、第2層間接続部材40、50を構成する合金の粉末と表面パターン21および裏面パターン31とも圧接され、第1、第2層間接続部材40、50と表面パターン21および裏面パターン31とも接続される。
【0047】
なお、特に限定されるものではないが、積層体90を一体化する際には、積層体90とプレス板との間にロックウールペーパー等の緩衝材を配置してもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態では、絶縁基材10の第1、第2ビアホール11、12に中間部40c、50cを構成する第1、第2導電性ペースト41、51を配置している。また、表面パターン21上に第1端部40a、50aを構成する第1、第2導電性ペースト41、51を配置し、裏面パターン31上に第2端部40b、50bを構成する第1、第2導電性ペースト41、51を配置している。そして、裏面保護部材30、絶縁基材10、表面保護部材20を順に積層して積層体90を構成し、これらを一体化することにより、熱電変換装置1を構成している。
【0049】
このため、第1、第2ビアホール11、12の径や、表面パターン21および裏面パターン31上に配置される第1、第2導電性ペースト41、51の塗布量、積層体90を一体化する際の条件等を適宜変更することにより、上記構成の第1、第2層間接続部材40、50を有する熱電変換装置1を容易に製造できる。
【0050】
なお、本実施形態では、第1導電性ペースト41としてBi−Sb−Te合金の粉末を含むものを用い、第2導電性ペースト51としてBi−Te合金の粉末を含むものを用いる例について説明したが、合金の粉末はこれらに限定されるものではない。例えば、第1、第2導電性ペースト41、51を構成する合金の粉末として、銅、コンスタンタン、クロメル、アルメル等が鉄、ニッケル、クロム、銅、シリコン等と合金化されたものから適宜選択してもよい。また、テルル、ビスマス、アンチモン、セレンの合金や、シリコン、鉄、アルミニウムの合金等から適宜選択してもよい。
【0051】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態の製造方法に対して絶縁基材10の表面10aおよび裏面10bに第1、第2導電性ペースト41、51を塗布するものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0052】
図4(a)に示されるように、本実施形態では、
図2(a)〜(c)の工程を行った後、絶縁基材10の表面10aにおいて、第1ビアホール11に充填された第1導電性ペースト41上にさらに第1導電性ペースト41を塗布する。
【0053】
次に、
図4(b)に示されるように、絶縁基材10の表面10aにおいて、第2ビアホール12に充填された第2導電性ペースト51上にさらに第2導電性ペースト51を塗布する。
【0054】
なお、
図4(a)の工程は、
図2(e)および
図3(b)の工程で説明したマスク62およびスキージ70を用いた印刷法等によって行うことができる。同様に、
図4(b)の工程は、
図2(f)および
図3(c)の工程で説明したマスク63およびスキージ70を用いた印刷法等によって行うことができる。また、本実施形態においても、貫通孔62a、63aは、第1、第2ビアホール11、12より径が大きくされた円筒状とされている。つまり、
図4(a)および
図4(b)の工程では、絶縁基材10の表面10aにおける第1、第2ビアホール11、12の周囲に位置する部分にもはみ出すように、第1、第2導電性ペースト41、51を塗布する。
【0055】
次に、
図4(c)に示されるように、第1、第2ビアホール11、12と対応する箇所に貫通孔100aが形成された支持ベース100を用意する。そして、絶縁基材10の表面10aから盛り上がっている第1、第2導電性ペースト41、51が貫通孔100aに収容されるように、絶縁基材10を支持ベース100に固定する。そして、絶縁基材10の裏面10bにおいて、第1ビアホール11に充填された第1導電性ペースト41上にさらに第1導電性ペースト41を塗布する。
【0056】
続いて、
図4(d)に示されるように、絶縁基材10の裏面10bにおいて、第2ビアホール12に充填された第2導電性ペースト51上にさらに第2導電性ペースト51を塗布する。
【0057】
なお、
図4(c)および
図4(d)の工程は、
図4(a)および
図4(b)の工程と同様に、マスク62、63およびスキージ70を用いた印刷法等によって行うことができる。つまり、
図4(c)および
図4(d)の工程においても、絶縁基材10の裏面10bにおける第1、第2ビアホール11、12の周囲に位置する部分にもはみ出すように、第1、第2導電性ペースト41、51を塗布する。
【0058】
その後、
図4(e)に示されるように、積層体90を構成する。具体的には、絶縁基材10の表面10aに、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51上にさらに塗布された第1、第2導電性ペースト41、51と表面パターン21とが接触するように、表面保護部材20を配置する。また、絶縁基材10の裏面10bに、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51上にさらに塗布された第1、第2導電性ペースト41、51と裏面パターン31とが接触するように、裏面保護部材30を配置する。
【0059】
その後は、特に図示しないが、上記
図3(e)と同様の工程を行う。これにより、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51上に塗布された第1、第2導電性ペースト41、51から第1、第2端部40a、40b、50a、50bが形成されると共に、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51から中間部40c、50cが形成されて上記熱電変換装置1が製造される。
【0060】
このように、絶縁基材10の表面10aおよび裏面10bにおいて、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51上にさらに第1、第2導電性ペースト41、51を塗布するようにしても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態の製造方法に対して絶縁基材10と表面保護部材20とを一体化した後に、これらを裏面保護部材30と一体化するものであり、その他に関しては第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0062】
本実施形態では、まず、
図5(a)に示されるように、
図4(b)の工程まで行ったものを用意する。
【0063】
そして、
図5(b)に示されるように、絶縁基材10の表面10a側に表面保護部材20を配置して中間構成体90aを構成する。具体的には、絶縁基材10の表面10aに、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51上にさらに塗布された第1、第2導電性ペースト41、51と表面パターン21とが接触するように、表面保護部材20を配置する。
【0064】
その後、
図5(c)に示されるように、この中間構成体90aを積層方向の上下両面から真空状態で加熱しながら加圧して一体化する一体化工程を行う。このとき、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51上に塗布された第1、第2導電性ペースト41、51から第1端部40a、50aが形成される。また、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51から中間部40c、50cが形成される。つまり、本実施形態では、第1、第2層間接続部材40、50のうちの第1端部40a、50aおよび中間部40c、50cが先に形成される。
【0065】
次に、
図5(d)に示されるように、絶縁基材10の裏面10bにおいて、第1、第22ビアホール11、12に配置された中間部40c、50c上にさらに第1、2導電性ペースト41、51を塗布する。
【0066】
なお、この工程は、上記
図4(c)および
図4(d)と同様の工程を行えばよいが、既に絶縁基材10の表面10aに表面保護部材20が配置されているため、支持ベース100は必要ない。
【0067】
そして、
図5(e)に示されるように、絶縁基材10の裏面10b側に裏面保護部材30を配置して積層体90を構成する。具体的には、絶縁基材10の裏面10bに、第1、第2ビアホール11、12に配置された中間部40c、50c上にさらに塗布された第1、第2導電性ペースト41、51と裏面パターン31とが接触するように、裏面保護部材30を配置する。
【0068】
次に、
図5(f)に示されるように、この積層体90を積層方向の上下両面から真空状態で加熱しながら加圧して一体化する一体化工程を行う。このとき、第1、第2ビアホール11、12に配置された中間部40c、50c上にさらに塗布された第1、第2導電性ペースト41、51から第1、第2層間接続部材40、50における第2端部40b、50bが形成される。
【0069】
このように、絶縁基材10と表面保護部材20とを一体化すると共に第1端部40a、50aおよび中間部40c、50cを形成した後、これらを裏面保護部材30と一体化する共に第2端部40b、50bを形成するようにしても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0071】
例えば、上記各実施形態において、第1、第2ビアホール11、12に第1、第2導電性ペースト41、51を充填する際に吸着紙80を用いなくても良い。
【0072】
また、上記各実施形態において、第1、第2導電性ペースト41、51を塗布する際には、印刷法ではなく、メッキ処理等で形成してもよい。
【0073】
そして、上記各実施形態において、第1、第2導電性ペースト41、51に含まれる有機溶剤として、例えば、融点が43℃であるパラフィン等の有機溶剤を用いてもよい。なお、このような有機溶剤を用いる場合には、例えば、
図2(e)および
図2(f)、
図3(b)および
図3(c)の工程を行った後等、有機溶剤を蒸発させて第1、第2導電性ペースト41、51を流動させないことが好ましい。つまり、有機溶剤を蒸発させて第1、第2導電性ペースト41、51が混ざり合うことを抑制することが好ましい。
【0074】
さらに、上記第1実施形態において、貫通孔62a、63aが第1、第2ビアホール11、12より径が小さくされていてもよい。つまり、表面パターン21上および裏面パターン31上に塗布される第1、第2導電性ペースト41、51は、積層体90を構成した際、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51と対向する箇所の内側にのみ塗布されていてもよい。このような場合は、第1、第2導電性ペースト41、51の塗布量や積層体90を一体化する際の条件等を適宜制御することにより、絶縁基材10の平面方向と平行な方向の断面積において、第1端部40a、50aおよび第2端部40b、50bの断面積が中間部40c、50cの断面積より大きくされた第1、第2層間接続部材40、50を形成すればよい。
【0075】
同様に、上記第2、第3実施形態において、貫通孔62a、63aが第1、第2ビアホール11、12より径が小さくされていてもよい。
【0076】
また、上記第1実施形態において、
図2(c)の工程を行った後、予め第1、第2導電性ペースト41、51を焼結して中間部40c、50cを形成してもよい。また、絶縁基材10に第1、第2層間接続部材40、50における中間部40c、50cが埋め込まれたものを用意してもよい。さらに、
図2(f)の工程を行った後、表面パターン21上に塗布された第1、第2導電性ペースト41、51を焼結してもよい。つまり、表面パターン21上に第1、第2層間接続部材40、50における第1端部40a、50aが形成されたものを用意してもよい。同様に、
図3(c)の工程を行った後、裏面パターン31上に塗布された第1、第2導電性ペースト41、51を焼結してもよい。つまり、裏面パターン31上に第1、第2層間接続部材40、50における第2端部40b、50bが形成されたものを用意しても良い。
【0077】
そして、
図3(d)の工程において積層体90を構成した際、絶縁基材10に中間部40c、50cが配置され、中間部40c、50cと表面パターン21との間に第1端部40a、50aが配置され、中間部40c、50cと裏面パターン31との間に第2端部40b、50bが配置されていてもよい。このような積層体90を構成しても、
図3(e)の工程において一体化する際、第1端部40a、50aと中間部40c、50c、第2端部40b、50bと中間部40c、50cとが接続されることにより、上記構成の熱電変換装置1が製造される。
【0078】
なお、積層体90を構成した際、第1、第2導電性ペースト41、51の全てが焼結されたものではなく、一部のみが焼結されたものであってもよい。例えば、積層体90を構成した際、第1、第2ビアホール11、12に充填された第1、第2導電性ペースト41、51のみが焼結されて中間部40c、40cとされていてもよく、組み合わせは適宜変更可能である。
【0079】
同様に、上記第2実施形態においても、積層体90を構成した際、第1、第2導電性ペースト41、51の一部が焼結されていてもよい。さらに、上記第3実施形態においても、中間構成体90aおよび積層体90を構成した際、第1、第2導電性ペースト41、51の一部が焼結されていてもよい。
【0080】
また、上記各実施形態において、第2層間接続部材50をAg−Sn系等の金属粒子にて構成してもよい。つまり、第2層間接続部材50として、主として熱電変換の効果を発揮させるためのものではなく、導通を図るためのものを形成してもよい。この場合、第1、第2ビアホール11、12を形成する場所を適宜変更すると共に表面パターン21および裏面パターン31の形状を適宜変更することにより、第1層間接続部材40を第2層間接続部材50を介してそれぞれ並列接続するようにしてもよい。
【0081】
さらに、熱電変換は、異なる2種類の金属が接続されていれば発生するため、上記各実施形態において、絶縁基材10に第1ビアホール11のみを形成すると共に第1ビアホール11に第1層間接続部材40のみが配置されていてもよい。つまり、絶縁基材10に1種類の層間接続部材のみが配置された熱電変換装置に本発明を適用することもできる。